キールとは|度数13.25%と作り方・黄金比

キールとは|度数13.25%と作り方・黄金比

グラスの底に沈めたひと匙の黒すぐりのリキュールが、注いだ白ワインに押し上げられて赤紫の筋を描く。この二つを合わせただけの飲み物が、フランス・ブルゴーニュで生まれた食前酒だ。アサヒビールが自社のレシピについて公表している数値では、仕上がりの度数は13.25%、シャンパーニュに替えた版は12.71%になる。本記事では、公表されている材料の分量と純アルコール量から度数を検算し、配合比が出典ごとにどれだけ割れているか、材料のクレーム・ド・カシスにどんな法定基準があるかまで、メーカー公式と法令の原文だけを根拠に並べていく。カクテルの分類全体も合わせて読んでほしい。

キールとは。白ワインとクレーム・ド・カシスで作る食前酒カクテル

食前酒として供されるグラス
アペリティフの一場面

キールは、辛口の白ワインに黒すぐり(カシス)のリキュール「クレーム・ド・カシス」を少量加えた食前酒だ。混ぜる以外の操作がなく、シェイカーもミキシンググラスも使わない。国際バーテンダー協会(IBA)の公式レシピは、材料が二つ、手順が一文という短さで書かれている。

キールはどんなお酒か。辞書はどう定義しているか

国語辞典と百科事典は、この語をカクテルとして立項している。デジタル大辞泉は「クレーム‐ド‐カシスを白ワインで割ったカクテル。多く、食前酒とする」、精選版 日本国語大辞典は「辛口の白ワインに、クレーム‐ド‐カシスを混ぜ合わせたカクテル。多く食前酒とする」とする。どちらも原綴をフランス語の kir と示している。日本洋酒酒造組合の用語集も「白ワインとクレーム・ド・カシスを使ったカクテル」と説明する。つまり「キールとは何か」への答えは、辞書の段階ですでに材料の二つで固まっている。

一方で日本の酒税法には「キール」という区分がない。酒税法は酒類を4つの種類に分け、第3条第7号から第23号までで17の品目を定めるが、その並びに入るのは清酒・果実酒・ウイスキー・リキュールといった造りの区分で、飲み方の名前は含まれない。キールは酒類そのものではなく、二つの酒類を注ぎ合わせた飲み方の呼び名にあたる。リキュールの定義の側から見ると、材料のクレーム・ド・カシスは「酒類と糖類等を原料とした酒類でエキス分が2度以上のもの」に該当する。

キールの味と色。何が甘くて何が酸っぱいのか

味の骨格を作るのは白ワインの酸で、カシスは甘みと香り、そして色を足す役割にとどまる。分量の比率でいえばカシスは全体の1割前後しかないため、甘口の飲み物にはならない。百科事典マイペディアはこの飲み口を「中甘口」と表現し、「赤く澄んだ色が美しく、食前酒として人気がある」と書いている。色は使うカシスの濃さと量で変わり、少量なら淡い紅色、多めに入れると赤紫に寄る。

IBA公式のキールは90mlと10ml

IBAの公式ページは、材料を「90ml Dry White Wine」と「10ml Crème de Cassis」の二つだけ挙げ、手順を「Pour Crème de Cassis into glass, top up with white wine.(クレーム・ド・カシスをグラスに注ぎ、白ワインで満たす)」と書く。分類はContemporary Classics、ガーニッシュは N/A(該当なし)だ。注意したいのは、このページにグラスを指定する欄そのものが存在しないことと、由来や歴史の記述が一行もないことだ。同じ構成は他のカクテルのページでも共通しており、IBAの公式ページは材料と手順と飾りの三つしか持たない。「IBAはキールを◯◯グラスで供すると定めている」という書き方は、公式には根拠がない。

キールの度数は13.25%。メーカーの公表値11件を検算する

カクテルの度数を確かめる場面
度数はレシピの分量から決まる

キールの度数を数値で公表している日本のメーカーはアサヒビールだ。同社のカクテルガイドは、各レシピについて材料の分量、材料ごとの純アルコール量、そして完成した一杯のアルコール分を並べて載せている。キールは13.25%、キールロワイヤルは12.71%、温めて飲むホットキールは13.14%である。

公表値11件が同じ式で閉じる

同社は純アルコール量の求め方を「容量(ml)×アルコール分(%)÷100×0.8」と明記している。この係数を逆に使うと、公表されている純アルコール量から材料そのものの度数が復元できる。白ワイン(アルパカ・シャルドネ・セミヨン)は100mlで10g、120mlで12g、40mlで4g、30mlで3gと公表されており、どの分量からも12.5%に収束する。スパークリングは90mlで8.6gなので12%、クレーム・ド・カシスは製品ページに17%と明記されている。この三つを材料の分量に当てて「材料のml×度数の合計÷完成量」を計算すると、カシスを使う11件すべてで公表度数と一致する。

カクテル 材料と分量(アサヒ公表) 完成量 公表度数 分量からの計算値
キール アルパカ・シャルドネ・セミヨン 100ml/ボルス クレーム・ド・カシス 20ml 120ml 13.25% 13.25%
キールロワイヤル アルパカ・スパークリング・ブリュット 90ml/ボルス クレーム・ド・カシス 15ml 105ml 12.71% 12.71%
ホットキール アルパカ・シャルドネ・セミヨン 120ml/ボルス クレーム・ド・カシス 20ml 140ml 13.14% 13.14%
シャルドネ&カシス ソーダ ボルス クレーム・ド・カシス 10ml/アルパカ・シャルドネ・セミヨン 40ml/ウィルキンソン タンサン 70ml 120ml 5.58% 5.58%
白ワイン&カシ酢ソーダ ボルス クレーム・ド・カシス 15ml/アルパカ・シャルドネ・セミヨン 30ml/りんご酢 10ml/ウィルキンソン タンサン 65ml 120ml 5.25% 5.25%
カシスオレンジ ボルス クレーム・ド・カシス 30ml/オレンジジュース 120ml 150ml 3.40% 3.40%
カシスソーダ ボルス クレーム・ド・カシス 45ml/ウィルキンソン タンサン 105ml 150ml 5.10% 5.10%
カシスウーロン ボルス クレーム・ド・カシス 30ml/烏龍茶 90ml 120ml 4.25% 4.25%
カシスミルク ボルス クレーム・ド・カシス 30ml/生クリーム 10ml/牛乳 80ml 120ml 4.25% 4.25%
カシス&オレンジ ヨーグルト ボルス クレーム・ド・カシス 30ml/オレンジジュース 30ml/ドリンクヨーグルト 60ml 120ml 4.25% 4.25%
カシスビア アサヒスーパードライ 180ml/ボルス クレーム・ド・カシス 30ml 210ml 6.71% 6.71%

純アルコール量の側も同じ係数で閉じる。公表されている材料ごとのグラム数は17か所あり、そのすべてが「ml×度数÷100×0.8」を小数第1位に丸めた値と一致した。度数11件と純アルコール量17か所の二重で、同じ一つの式が通っていることになる。

キールロワイヤルの度数は12.71%

キールロワイヤルは白ワインをシャンパーニュに替えるため、ベースの度数がわずかに下がる。アサヒの配合はスパークリング90mlとカシス15mlで、完成量105mlに対して12.71%。キールの13.25%より低い。泡が入るぶん華やかに感じるが、度数はロワイヤルのほうが低いという関係になる。一杯あたりの純アルコール量で比べると、キールが12.7g、ロワイヤルが10.7gだ。

クレーム・ド・カシスの度数は「20度」ではない

日本語の解説では「クレーム・ド・カシスは20度」と書かれることが多い。しかしメーカー公式の表示を集めると、確認できただけで6段階に割れる。実測した18銘柄の下は15%、上は25%で、その間に15%・16%・17%・18%・20%・25%が並ぶ。しかも同じメーカーの中で割れる。ジファールはノワール・ド・ブルゴーニュが20%、アンペリアルが18%、ダンジュが16%。ブリオットーは同じ「カシス・ド・ディジョン」名で20%と、別銘柄で15%を持つ。銘柄一覧は後述の公式度数一覧にまとめた。

いちばん分かりやすいのはルジェの「ロット」で、700mlは20度、1000mlは16度と、同じ商品名なのに容量が違うと度数が4度変わる。「ルジェ ロットは何度」と一つの数字で答えると、どちらかが必ず誤りになる。

白ワインの度数はレシピを出しているメーカー自身が公表していない

ここで一つ、押さえておきたい事実がある。キールの度数を13.25%と公表しているアサヒビールは、そのレシピが使うワインのアルコール分を製品ページに載せていない。同社のアルパカのワイン4製品を見ると、成分表の欄そのものが置かれていない。一方で同じサイトのボルス クレーム・ド・カシスには17%、アサヒスーパードライには5%が明記されている。リキュールとビールには度数の表示があり、ワインだけ欄が無い。本記事が使っている12.5%は、公表された純アルコール量から逆に求めた値であって、メーカーが度数として公表した数字ではない。ここは区別して読んでほしい。

カロリーと純アルコール量の目安

カロリーについては、ルジェの本国公式が「10clのキール、またはブラン・カシスで約90kcal」と書いている。日本語の記事でよく見る「1杯あたり120キロカロリーから150キロカロリー」という幅には典拠が見当たらなかったため、本記事では採らない。純アルコール量は上に示したとおり、アサヒの配合で12.7g。国際的に使われる1ドリンク10gの目安に当てると、1杯強にあたる。

なお、純アルコール量の換算係数は資料によって微妙に違う。アサヒ・サントリー・厚生労働省はいずれも0.8を使うが、ペリエ ジュエの公式栄養表示は表示度数12.5%に対して100ml当たりのアルコール量を9.9gとしており、逆算すると係数は0.8より小さい。小数第2位まで詰める場面では、どちらの係数を使ったかで答えが変わる。カクテルの度数を横並びで比べた記事も参考になる。

キールの作り方と黄金比。白ワインとカシスの割合

カクテルを作る道具
混ぜる道具は最小限で足りる

作り方そのものは短い。冷やしたワイングラスに先にクレーム・ド・カシスを注ぎ、冷えた辛口の白ワインで満たす。強くかき混ぜる必要はなく、注ぐ勢いで足りる。問題は「どのくらいの割合で」のほうで、ここが出典によって大きく違う。

「黄金比」は9出典で6通りに割れる

公的機関・メーカー公式・百科事典から拾えるキールの配合比を並べると、白ワインとカシスの比は3対1から12対1までの範囲で6通りある。IBAの9対1がもっともカシスが少なく、平凡社の旧版百科事典の12対1がさらに薄い。日本のメーカーはおおむね4対1から5対1で、IBAよりカシスをはっきり多く入れる。「これが黄金比」と一つに決められる数字は、少なくとも公表資料の上には存在しない。

出典 ベース側 クレーム・ド・カシス側
IBA(国際バーテンダー協会)公式 辛口白ワイン 90ml 10ml 9対1
アサヒビール カクテルガイド 白ワイン 100ml 20ml 5対1
サントリー カクテルレシピ 白ワイン(辛口) 5分の4 5分の1 4対1
サントリー 別ページのレシピ 白ワイン(辛口) 45ml 15ml 3対1
ルジェ本国公式 レシピページ 辛口白ワイン 5分の4 5分の1 4対1
ルジェ本国公式 FAQ 辛口白ワイン 80ml 25ml 3.2対1
サッポロビール 白ワイン 80ml 20ml 4対1
百科事典マイペディア(平凡社) 辛口白ワイン 4 カシス 1 4対1
世界大百科事典 旧版(平凡社) 辛口白ワイン 120ml 10ml 12対1

同じ会社の中でも割れる。サントリーはカクテルレシピのページで4対1と示す一方、別のページでは45mlと15ml、つまり3対1で書いている。ルジェの本国公式も、製品ページのレシピは4対1だが、FAQでは80mlに対して25ml、およそ3.2対1になる。実用上は「まずカシスを小さじ1杯ほど入れて、甘さが足りなければ足す」で足りるということでもある。

作り方の手順と分量

材料 分量(IBA公式) 扱い方
辛口の白ワイン 90ml 主役。冷蔵庫でよく冷やしておく
クレーム・ド・カシス 10ml 先にグラスへ注ぐ。色と甘みの源
使わない IBAの手順に氷は登場しない

順番は、カシスを先、白ワインを後にする。こうすると比重の重いカシスがグラスの底に残り、注いだワインに押し上げられて自然に混ざる。サッポロビールは自社の解説で「キールには氷を入れないので、白ワインやクレーム・ド・カシスや、グラスをよく冷やしておくのがおいしく飲むためのポイント」と書いている。冷やす手間が味を決める、という点はどの出典も一致している。

キールロワイヤルの比率は7出典で4通り

シャンパーニュに替えた場合の比率も、同じように割れる。こちらは4対1から9対1までの4通りだ。興味深いのは、サッポロビールが自社の中で数字を分けている点で、キールを扱った記事では6対1、スパークリングワインを扱った記事と業務用資料では4対1になっている。

出典 ベース側 クレーム・ド・カシス側
IBA公式(Kirページの注記) シャンパーニュ 90ml 10ml 9対1
アサヒビール カクテルガイド スパークリング 90ml 15ml 6対1
ルジェ本国公式 レシピページ シャンパーニュ 4 カシス 1 4対1
ルジェ本国公式 FAQ シャンパーニュ 120ml 25ml 4.8対1
サッポロビール キールの記事 シャンパーニュ 6 カシス 1 6対1
サッポロビール スパークリングの記事 スパークリング 80ml 20ml 4対1
サッポロビール 業務用資料 スパークリング 5分の4 5分の1 4対1

キールとキールロワイヤルの違い

シャンパーニュのグラスと泡
泡の有無が二つを分ける

二つを分けるのはベースに使う酒だけで、加えるクレーム・ド・カシスは共通だ。白ワインを使えばキール、シャンパーニュを使えばキールロワイヤルになる。IBAの公式ページも、独立した項目を立てるのではなく、Kirのページに「Kir Royal – Use Champagne instead of white wine(キール・ロワイヤル ― 白ワインの代わりにシャンパーニュを使う)」という注記を一行置くだけだ。

対照表

項目 キール キールロワイヤル
ベースの酒 辛口の白ワイン シャンパーニュ(スパークリング)
なし あり
アサヒ公表の度数 13.25% 12.71%
同じ配合の完成量 120ml 105ml
同じ配合の純アルコール量 12.7g 10.7g
IBA公式での扱い 独立した項目がある Kirページの注記1行
日本バーテンダー協会での扱い スタンダード スタンダード

キールロワイヤルはIBA公式の102品に入っていない

「キールロワイヤルもIBAの公認カクテル」と書かれていることがあるが、これは公式リストと合わない。IBAの全カクテル一覧は全102品で、アルファベット順に並んでいる。K の項に載るのは Kir ただ一つで、直前が Jungle Bird、直後が Last Word。Kir Royal も Kir Royale も一覧に存在しない。ロワイヤルは、あくまで Kir のページに置かれた注記として扱われている。

日本バーテンダー協会はキールの仲間を4つ収載している

日本バーテンダー協会(N.B.A.)が公開しているカクテル名一覧の扱いは、IBAとは違う。こちらはキールの仲間を独立した項目として並べており、和名と英名の対応も明示されている。

和名 英名 区分
キール KIR スタンダード
キール・アンペリアル KIR IMPERIAL スタンダード
キール・ロワイヤル KIR ROYAL スタンダード
キールNO.8 KIR NO.8 準スタンダード

「キールインペリアル」という表記で探す人もいるが、協会の一覧ではキール・アンペリアル(KIR IMPERIAL)という表記になっている。同じ飲み物を指していても、団体によって収載の有無も表記も違うということだ。

ワインを選ぶ棚
棚から一本を選ぶ場面

リンクサス酒販の在庫からラインアップを掲載する。各カードから商品ページへ進むと、銘柄・容量・価格・在庫状況を確認できる。ここに並ぶのは在庫の一部で、内容は入荷と販売の状況に応じて日々入れ替わる。

気になる一本が品切れの場合でも、カード経由で近いタイプの銘柄をたどれる。価格と状態は各カードのリンク先で最新の情報を確かめてほしい。

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「キールとは|度数13.25%と作り方・黄金比」に関連するおすすめ商品

ここではシャンパンの在庫から一部を掲載しています。価格・在庫・箱の有無は各商品ページでご確認いただけます。

キールロワイヤルのベースに使えるシャンパーニュとワイン30銘柄

並んだシャンパーニュのボトル
泡のボトルが並ぶ様子

キールロワイヤルは、家にあるシャンパーニュやスパークリングをそのまま使える。下の表は当店の在庫から30銘柄を横並びにしたものだ。並び順は当店の在庫棚の並びに近く、価格の安い順ではない。

キールロワイヤルのベースに使えるシャンパーニュとワイン30銘柄
この表に並ぶ30銘柄は、当店の在庫からキールロワイヤルとキールの土台に使える泡と白を選んだものだ。内訳はシャンパーニュが24銘柄、白ワインが6銘柄で、容量は375mlのハーフボトルから750mlのフルボトルまである。アサヒビールが公表するキールロワイヤルの配合は1杯あたりスパークリング90mlなので、ハーフボトルなら4杯前後、フルボトルなら8杯前後が取れる計算になる。
価格は 2026/08/06 更新
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この表の定価市場相場の欄には、希望小売価格の公表状況を記している。シャンパーニュとワインは輸入元も生産者も希望小売価格を公表しないことが多く、この表では価格の数値を持たせていない。そのため表の上部にある価格順の並べ替えと価格帯の絞り込みは動かない。並び順は当店の在庫棚の並びに近く、おすすめの順位や価格の順ではない。表の上部に表示される日付はページを開いた日付が入る仕様で、価格を取得した時点ではない。最安と表示されるしるしは、当店に在庫がある行に一律で付くもので、他店との価格比較を示すものではない。アルコール分の欄は設けていない。輸入元や生産者の公式サイトで確認できた銘柄が限られるためで、推定値を入れることは避けている。在庫と価格は日々動くため、最新の情報は各商品ページで確認してほしい。

表からは、同じシャンパーニュでもハーフボトル(375ml)が用意されている銘柄があることが読み取れる。キールロワイヤルが1杯に使うスパークリングはアサヒの配合で90mlなので、少人数なら小容量のほうが飲み切りやすい。飲みやすいシャンパンの選び方ペリエ・ジュエの種類の違いも合わせて見てほしい。

白ワインとクレーム・ド・カシスの選び方

ワイン用ぶどうの房
原料となる果実

キールの土台は白ワインで、色と甘みはカシスが決める。どちらもブルゴーニュの産物で、しかも白ワインの側には産地呼称の法定文書がある。つまり「どんな白ワインか」は、好みの話であると同時に、条文で数値が決まっている話でもある。

ブルゴーニュ・アリゴテの法定基準

本場ディジョンでキールに使われてきたのは、ブルゴーニュ・アリゴテという白ワインだ。この呼称の仕様書(2011年12月7日のデクレ第2011-1824号、同月8日の官報で公示)は、次の数値を定めている。

項目 定められている値
品種 アリゴテB種のみ
ぶどうの糖度 1リットル当たり161グラム以上(これ未満は適熟とみなさない)
最低自然アルコール含有量 10%
補糖後の総アルコール分 12.5%を超えない
収量 1ヘクタール当たり60ヘクトリットル

この最低アルコール分は動いている。2010年の草案段階では9.5%だったものが、2011年の官報公示版で10%に引き上げられた。手に入らない場合は、酸のしっかりした辛口の白ワインで代用してかまわない。甘口を使うと全体が重くなるので、辛口を選ぶのが要点になる。ワインの基本は別記事で整理している。

クレーム・ド・カシス18銘柄の公式アルコール分

メーカーと輸入元の公式表示から拾った度数を、そのまま並べる。推定値や実測値は入れていない。同じカテゴリーでありながら15%から25%まで開いていることが分かる。

銘柄 容量 公式のアルコール分 公表元 備考
ルジェ クレーム ド カシス 700ml瓶 700ml 20% サントリー 希望小売価格1,970円(税別)
ルジェ クレーム ド カシス ベビー 200ml瓶 200ml 20% サントリー 希望小売価格885円(税別)
ルジェ ロット クレーム ド カシス 700ml瓶 700ml 20% サントリー 希望小売価格1,650円(税別)
ルジェ ロット クレーム ド カシス 1000ml瓶 1000ml 16% サントリー 同じ名前で容量が違うと度数も違う
ルジェ ビターカシス 700ml瓶 700ml 25% サントリー 希望小売価格2,182円(税別)
ルジェ ビターカシス ベビー 200ml瓶 200ml 25% サントリー 希望小売価格900円(税別)
ボルス クレーム・ド・カシス 700ml 17% アサヒビール カクテルガイドのレシピで使われている銘柄
レニエ クレーム・ド・カシス 700ml 16% アサヒビール 同じ輸入元の別ブランド
ボルス ラ・フルーレット 700ml 17% アサヒビール カシスを用いた姉妹品
リゼット クレーム ド カシス 700ml 20% サッポロビール ブルゴーニュ産カシス100%使用と明記
LEJAY ORIGINAL 18% ルジェ本国公式 日本向けの表示20度と本国表示18%が食い違う
LEJAY ORIGINAL NOIR DE BOURGOGNE 20% ルジェ本国公式 品種名を冠した上位品
Gabriel Boudier Crème de Cassis de Dijon 20% ガブリエル ブーディエ公式 ディジョンのIGP名称を冠する
Giffard Cassis Noir de Bourgogne 20% ジファール公式 同じ社内で3段階に分かれる
Giffard Crème de Cassis Impérial 18% ジファール公式 同上
Giffard Crème de Cassis d'Anjou 16% ジファール公式 同上
Briottet Cassis de Dijon 20% ブリオットー公式 同じディジョン名で2段階に分かれる
Briottet New Harvest 15% ブリオットー公式 EU規則の下限とちょうど同じ

ひとつ注意がある。ルジェの本国公式には「LE KIR CASSIS」という12%の製品があるが、これはクレーム・ド・カシスではなく、キールそのものを瓶に詰めた完成品だ。後述するEUの規則がクレーム・ド・カシスに求める最低アルコール分は15%なので、この12%の製品はそもそもクレーム・ド・カシスを名乗れない。上の一覧には含めていない。

ルジェの全ラインアップ16品と希望小売価格

日本でもっとも流通しているのはサントリーが扱うルジェで、公式の商品情報サイトには16の品目が並ぶ。度数は15%から25%まで幅がある。

正式名称 容量 アルコール分 希望小売価格(税別) JANコード
ルジェ クレーム ド カシス 700ml瓶 700ml 20% 1,970円 3104691012063
ルジェ クレーム ド カシス ベビー 200ml瓶 200ml 20% 885円 3104691012209
ルジェ クレーム ド ピーチ 700ml瓶 700ml 15% 1,760円 3104691025643
ルジェ クレーム ド ピーチ ベビー 200ml瓶 200ml 15% 885円 3104691024202
ルジェ クレーム ド ストロベリー 700ml瓶 700ml 15% 2,060円 3104691401249
ルジェ ペア 700ml瓶 700ml 21% 1,760円 3104691028026
ルジェ ピンクグレープフルーツ 700ml瓶 700ml 16% 1,760円 3104691028248
ルジェ バナナ 700ml瓶 700ml 25% 1,760円 3104691411132
ルジェ クレーム ド カルテット 700ml瓶 700ml 15% 2,080円 3104691025667
ルジェ クレーム ド アプリコット 700ml瓶 700ml 15% 2,080円 3104691025650
ルジェ グリーン アップル 700ml瓶 700ml 22% 2,060円 3104691122229
ルジェ クレーム ド フランボワーズ 700ml瓶 700ml 15% 2,060円 3104691400259
ルジェ ビターカシス 700ml瓶 700ml 25% 2,182円 3104690002140
ルジェ ビターカシス ベビー 200ml瓶 200ml 25% 900円 3104690002157
ルジェ ロット クレーム ド カシス 700ml瓶 700ml 20% 1,650円 4901777119642
ルジェ ロット クレーム ド カシス 1000ml瓶 1000ml 16% 2,660円 4901777108899

ここで一つ、旧来の説明を訂正しておきたい。「輸入リキュールは価格がオープンなものばかりで、メーカーの定価を載せられない」と書かれることがあるが、少なくともルジェについては、輸入元が16品すべてに希望小売価格を公表している。アサヒビールもボルスやレニエについて参考小売価格を出している。価格が分からないのではなく、探し方の問題だった。

表記についても補足しておく。サントリーのブランドサイトは「ルジェ カシス」、商品情報サイトは「ルジェ クレーム ド カシス」と書き分けており、同じ製品に二つの呼び名がある。また中黒を挟んだ「ルジェ・クレーム・ド・カシス」という表記は、同社のどのページにも使われていない。

EUの規則が定めるクレーム・ド・カシスの条件

「クレーム・ド・カシス」という名前は、EUでは自由に付けられる名称ではない。規則(EU)2019/787の附属書Iは酒類を44のカテゴリーに分け、糖分の下限を三段階で定めている。

区分 糖分(転化糖換算) 最低アルコール分
第33項 リキュール 1リットル当たり100グラム以上 15%
第34項 クレーム・ド(果実名) 1リットル当たり250グラム以上 15%
同項(g) クレーム・ド・カシス 1リットル当たり400グラム超 15%

逐語では「The legal name 'crème de cassis' may only be used for liqueurs produced with blackcurrants, which have a content of sweetening products of more than 400 grams per litre expressed as invert sugar.(法定名称『クレーム・ド・カシス』は、ブラックカラントで製造され、転化糖として表した糖分が1リットル当たり400グラムを超えるリキュールにのみ使用できる)」とある。果実はブラックカラント(黒すぐり)に限定され、糖分はリキュール一般の4倍を超える水準が要求される。度数の下限は三つとも15%で同じだ。なお、この附属書Iに「Kir」という語は一度も出てこない。カクテル名は規則の対象外である。

カシス・ド・ディジョンの地理的表示に定められた要件

ディジョン産を名乗る場合、要件はさらに細かくなる。地理的表示「Cassis de Dijon」の仕様書(2013年8月7日のアレテで承認、同年8月31日の官報で公示)は次のように定める。

項目 定められている値
糖分 1リットル当たり400グラム以上(転化糖換算)
最低アルコール分 15%
果実の使用量 1リットル当たり200グラム以上
品種 ノワール・ド・ブルゴーニュとロワイヤル・ド・ナープルの2品種を合わせて25%以上
浸漬 冷浸漬で5週間以上
浸漬液のアルコール分 25%以上
製造地 コート・ドール県ディジョン市の区域内

よく「ノワール・ド・ブルゴーニュ種を25%以上」と紹介されるが、条文はノワール・ド・ブルゴーニュとロワイヤル・ド・ナープルの二品種を合わせて25%以上と書いている。一品種だけの要件ではない。また、名前が似た別の地理的表示「Crème de cassis de Bourgogne」は数値が全部違い、糖分450グラム以上、果実250グラム以上、アルコール分15%から25%の範囲と定められている。

おいしく作るコツ。温度とグラスと注ぐ順番

冷やしたグラス
グラスを冷やしておく

材料が二つしかないぶん、味を左右するのは温度と分量のバランスだけになる。手順の細部より、冷やす工程に手をかけたほうが結果は変わる。

氷は入れるのか

IBAの手順に氷は登場せず、サッポロビールも「キールには氷を入れない」と明記している。白ワインもグラスも冷蔵庫でよく冷やしておき、注いだらすぐ飲むのが本来の形だ。薄めたいときだけ少量の氷を加える、という調整にとどめたい。ぬるいと酸がだれて、カシスの甘さだけが前に出る。

グラスはどれを使うか

IBAの公式ページにはグラスを指定する欄が無い。手順の文中に「into glass」とあるだけで、種類の指定はない。アサヒビールはキールをワイングラス、キールロワイヤルをシャンパングラスとしている。サントリーも「冷やした材料をワイン・グラスに注ぎ、軽くかき混ぜる」と書く。つまりグラスの指定は国際的な統一規格ではなく、各社の推奨として存在している。

実用面では、ボウルが大きすぎると香りが逃げやすく、細長いフルート型は泡を保ちやすい。泡を使わないキールはワイングラス、ロワイヤルはフルート型、という使い分けが理にかなっている。

コミュナールやアンペリアルなどキールのアレンジ

色の異なるカクテル
材料を替えると色が変わる

ベースの酒か、加えるリキュールのどちらかを替えると、別の名前が付く。ルジェの本国公式は「白ワインを赤ワインに替えるとコミュナール(またはカルディナル)と呼ぶ」と説明している。

アレンジの一覧

名前 替えるもの 特徴
キールロワイヤル 白ワイン → シャンパーニュ 泡が加わる。アサヒ公表の度数は12.71%
キール・アンペリアル カシス → フランボワーズ 日本バーテンダー協会の一覧にKIR IMPERIALとして収載
コミュナール 白ワイン → 赤ワイン ルジェ本国公式はカルディナルとも呼ぶと記載
ホットキール 温めて供する アサヒ公表の度数は13.14%
キールNO.8 日本バーテンダー協会の一覧に準スタンダードとして収載

カシス以外のリキュールで色と香りを替える

同じルジェのラインアップには、カシス以外の果実も揃っている。上に挙げた16品の表からフレーバーを選べば、色も香りも変えられる。度数はフレーバーによって15%から25%まで開くので、同じ分量で作っても仕上がりの度数は変わる。

アルコールを控えたいときは、ノンアルコールカクテルの考え方を使って、ノンアルコールのスパークリングとカシスシロップで似た色合いを作れる。泡の食前酒という点で近いミモザアペロールスプリッツ、白ワインを炭酸で割るスプリッツァーも同じ流れで楽しめる。

キールの仲間の早見表

カクテル ベース 加えるもの キールとの違い
キール 辛口白ワイン クレーム・ド・カシス 基準となる一杯
キールロワイヤル シャンパーニュ クレーム・ド・カシス ベースに泡がある
コミュナール 赤ワイン クレーム・ド・カシス ベースが赤ワイン
キール・アンペリアル シャンパーニュ フランボワーズのリキュール 加えるリキュールが違う
ミモザ スパークリング オレンジ果汁 リキュールを使わない
スプリッツァー 白ワイン 炭酸水 リキュールを使わない

こうして並べると、キールの個性は「辛口白ワインの酸に、果実リキュールの甘みをひと匙だけ足す」構成にあると分かる。泡が欲しければロワイヤル、コクが欲しければコミュナール、リキュールを使わずさっぱりさせたいならスパークリングワインをそのまま、と選び分けられる。食前酒と食後酒の考え方も対で読むと整理しやすい。

キールの名前の由来と歴史。ディジョンのキール司祭

フランスのワイン産地図
ブルゴーニュの位置関係

名前の由来になったのはフェリックス・キール(1876〜1968)という人物だ。「カノン・キール」「キャノン・フェリックス・キール」と書かれることが多いが、この「カノン(chanoine)」は聖職者の称号で、あだ名ではない。

在任期間が資料で食い違う理由

日本語の資料では在任期間が「1945年から1967年」とも「1945年から1968年」とも書かれ、食い違って見える。フランス国民議会の歴代議員データベースを見ると、これはどちらも正しく、指している役職が違うことが分かる。

役職 期間 根拠
ディジョン市長 1945年〜1968年 1945年の市議選で就任し、1953年・1959年・1965年と再選。在職のまま死去
国民議会議員(コート・ドール県選出) 1945年〜1967年 1945年10月21日から1967年4月2日まで。1967年の総選挙で撤退
生没 1876年1月22日〜1968年4月25日 アリーズ・サント・レーヌ生まれ、ディジョンで没

もう一つ、通説として「キール市長がこのカクテルを考案した」と書かれることが多い。ところが、ブルゴーニュ・アリゴテの呼称仕様書という法定文書は、「キール司祭によって有名になった(rendu célèbre par)、カシスを用いた著名なアペリティフ『キール』」と書いており、「考案した(inventé)」とは書いていない。ルジェの本国公式も popularized(広めた)という語を使う。白ワインにカシスを合わせる飲み方自体は以前から「ブラン・カシス」として存在しており、彼が公の場で供したことで名前が広まった、というのが公式資料の書き方に沿った理解になる。

1951年に名称の使用権がメーカーへ渡っている

ルジェの本国公式は、1951年にキールが自分の名を冠したこの飲み物の名称について、同社へ使用の権利を認めたと書いている。英語版では独占的にという語も添えられている。サントリーも「フランスでは商標登録されている」と記し、さらに「ルジェ カシスをつかったものこそが『キール』なのです」とまで書いている。クレーム・ド・カシスそのものの起源は1841年で、地理的表示の仕様書にも「1841年にディジョンでドニ・ラグートがクレーム・ド・カシスのレシピを発明した」と明記されている。

カシス・ド・ディジョン判決。材料のリキュールがEUの原則を作った

キールの材料は、法律の世界では固有名詞になっている。1979年2月20日の欧州司法裁判所判決(事件番号120/78、レーヴェ・ツェントラル対連邦酒精専売庁)は、通称を「カシス・ド・ディジョン判決」といい、EUの単一市場を支える相互承認の原則を確立した判決として知られる。

争点は単純だった。当時の西ドイツは、果実リキュールを国内で販売するにはアルコール分25%以上でなければならないと定めていた。一方、フランスで自由に売られていたクレーム・ド・カシス・ド・ディジョンのアルコール分は15%から20%だった。判決文はこれを「the marketing of fruit liqueurs, such as 'Cassis de Dijon', is conditional upon a minimum alcohol content of 25%, whereas the alcohol content of the product in question, which is freely marketed as such in France, is between 15 and 20%」と記している。

裁判所は第14項で、「加盟国のいずれかにおいて適法に製造・販売されたものである限り、酒類が他のいかなる加盟国にも導入されない正当な理由は存在しない」と述べた。これが相互承認の原則である。ただし無条件ではなく、第8項で、税務監督の実効性・公衆衛生の保護・商取引の公正・消費者の保護という4つの強制的要請にもとづく例外を明示的に留保している。日本語の紹介では、この例外が落ちて「一方で作られたものは他方でも売れる」とだけ書かれることが多い。

細かい点だが、この裁判で争われたのはカクテルのキールではなく、材料のリキュールの輸入である。また「ドイツがカシスを禁止した」のでもなく、「果実リキュールとして売るには度数が足りない」という規格の問題だった。キールを一杯飲むとき、その材料が欧州の物の自由移動をめぐる判例の名前になっている、という関係になる。

カクテル言葉に公的な定義は見当たらない

「キールのカクテル言葉」を探す人は多い。ただし、この語に定義や一覧を持つ公的な資料は確認できなかった。調べたのはIBA(国際バーテンダー協会)・日本バーテンダー協会・国税庁・日本洋酒酒造組合の4団体で、いずれの公式サイトにも該当する記述が無い。IBAの各カクテルのページは材料・手順・飾りの三つだけで構成され、日本バーテンダー協会の資料はカクテル名と区分の一覧である。カクテル言葉は、公的機関や業界団体が定めたものではないという前提で読むのが正確だ。同じ論点はギムレットの記事でも扱っている。

キールと呼ばれるものは他にもある。同じ表記の6系統

酒瓶とガラス器の陳列
同じ名前が指す別のもの

カタカナの「キール」は、綴りの違う複数の語が日本語で同じ表記に落ち着いたものだ。検索で思ったものにたどり着かないときは、探している対象がどれかを先に切り分けると早い。

原綴・分野 何を指すか 典拠
kir(フランス語) 辛口の白ワインにクレーム・ド・カシスを混ぜたカクテル。多く食前酒とする デジタル大辞泉/精選版 日本国語大辞典/百科事典マイペディア/飲み物がわかる辞典
Kiel(ドイツ語) ドイツ北部の港湾都市。シュレースウィヒ・ホルシュタイン州の州都で、キール運河のバルト海側の入口 デジタル大辞泉/日本大百科全書/ブリタニカ国際大百科事典
keel(英語) 船の竜骨。船底の中心線を船首から船尾まで貫く部材で、人体の背骨にあたる デジタル大辞泉/精選版 日本国語大辞典/日本大百科全書
Keill, John イギリスの物理学者・数学者(1671〜1721)。主著のオランダ語版が江戸期の日本に入り、志筑忠雄が『暦象新書』を著した ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
フライドチキンの部位 日本KFCのオリジナルチキン5部位のひとつ。公式は「キール(胸)」と表記し、脂質が少なくあっさりしていると説明する 日本ケンタッキー・フライド・チキン ニュースリリース
ダイビング用語 フィンのブレード両サイドの固い部分。サイドリブとも呼ぶ ダイビング用語集

フライドチキンの「キール」は胸の部位

「ケンタッキー キール」で検索する人が一定数いるのは、日本ケンタッキー・フライド・チキンがオリジナルチキンの部位名として「キール」を使っているためだ。同社のニュースリリースは5つの部位を次のように説明している。

部位名 鶏のどこか 公式の説明
キール 肉質が柔らかく、あっさりとしたおいしさ。軟骨と小骨以外は肉なので食べやすい
ウイング 手羽 ゼラチン質や脂肪が多く、コラーゲンが豊富で味も濃厚
サイ ぷりぷりとした肉質で、しっかりした食感。5つの中で最も脂身が多い
ドラム 鉄分が多く、味にコクがありジューシー
リブ あばら 脂身が少なく、深みのある旨味

カロリーを部位別に知りたいという需要もあるが、同社の栄養成分表はオリジナルチキンを1行の集約値で示すだけで、部位別の数値は載せていない。公表されているのは可食部平均重量87グラム、エネルギー218キロカロリーという値である。同社は「商品の特性上、チキンの部位指定はご遠慮ください」とも明記している。

ドイツの都市キールと、船のキール

ドイツ北部の港湾都市キールは綴りが Kiel で、カクテルの kir とは別の語だ。シュレースウィヒ・ホルシュタイン州の州都で、北海とバルト海を結ぶキール運河のバルト海側の入口にあたる。船の「キール」は英語の keel で、船底の中心線を船首から船尾まで貫く竜骨を指す。精選版 日本国語大辞典はこの語の初出用例として、1896年の『十五少年』(森田思軒訳)の「船はいたく龍骨(キール)を破損され」を挙げている。さらにブリタニカ国際大百科事典は、この見出しでイギリスの物理学者ジョン・キール(Keill)を立てている。同じ四文字が、酒と都市と船と人名を同時に指しているわけだ。

よくある質問

バーカウンター
疑問に答える場面
キールの度数はどのくらいですか?

アサヒビールがカクテルガイドで公表している値は13.25%です。白ワイン100mlにクレーム・ド・カシス20mlを加える配合で、完成量は120ml、純アルコール量は12.7gになります。同社が公表している「容量×アルコール分÷100×0.8」という式で計算すると、この数値は材料の分量から再現できます。使う白ワインやカシスの銘柄を変えれば度数も変わるため、あくまで同社の配合での値です。

キールロワイヤルの度数はキールより高いのですか?

同じアサヒビールの公表値で比べると、キールロワイヤルは12.71%で、キールの13.25%より低くなります。泡と香りが加わるぶん華やかに感じますが、ベースのスパークリングのほうが白ワインより度数がわずかに低く、カシスの量も少ないためです。純アルコール量は1杯あたり10.7gです。

キールの黄金比はどのくらいですか?

一つに定まっていません。IBAの公式レシピは白ワイン90mlにクレーム・ド・カシス10mlで9対1ですが、日本のメーカーはおおむね4対1から5対1です。公表資料を9件集めると3対1から12対1まで6通りに割れます。まずカシスを小さじ1杯ほど入れて、甘さが足りなければ足す、という調整で十分です。

キールとキールロワイヤルは何が違いますか?

ベースの酒だけが違います。辛口の白ワインを使えばキール、シャンパーニュを使えばキールロワイヤルです。加えるクレーム・ド・カシスは共通です。IBAの公式ページはキールロワイヤルを独立した項目にせず、キールのページに「白ワインの代わりにシャンパーニュを使う」という注記を一行置いています。

キールロワイヤルはIBAの公認カクテルですか?

IBAの公式一覧102品に Kir Royal という項目はありません。アルファベット順の一覧でKの項に載るのは Kir だけで、直前が Jungle Bird、直後が Last Wordです。一方で日本バーテンダー協会のカクテル名一覧には、キール・ロワイヤルがスタンダードとして収載されています。団体によって扱いが違います。

クレーム・ド・カシスは何度ですか?

銘柄によって違います。メーカー公式の表示を18銘柄集めたところ、15%から25%まで6段階に分かれました。同じ商品名でも容量が違うと度数が変わる例があり、ルジェのロットは700mlが20度、1000mlが16度です。EUの規則が定めるクレーム・ド・カシスの最低アルコール分は15%です。

キールに使う白ワインはどれを選べばよいですか?

本場ディジョンではブルゴーニュ・アリゴテが伝統的に使われます。この呼称の仕様書は、品種をアリゴテB種のみとし、最低自然アルコール含有量を10%、ぶどうの糖度を1リットル当たり161グラム以上と定めています。手に入らない場合は、酸のしっかりした辛口の白ワインで代用できます。甘口だと全体が重くなります。

キールに氷は入れますか?

入れないのが基本です。IBAの手順に氷は登場せず、サッポロビールも自社の解説で氷を入れないと明記しています。白ワインもクレーム・ド・カシスもグラスも、あらかじめよく冷やしておくのが要点です。薄めたいときだけ少量を加える程度にとどめてください。

キールという名前はどこから来ていますか?

ディジョン市長を務めた聖職者フェリックス・キール(1876〜1968)の名にちなみます。ただし公式資料は「考案した」ではなく「有名にした」と書いています。ブルゴーニュ・アリゴテの呼称仕様書にも彼の名が登場します。また1951年に、彼がこの名称の使用をルジェ社に認めたと同社の公式サイトが記しています。

カクテル言葉に公式な決まりはありますか?

確認できた範囲では見当たりません。IBA(国際バーテンダー協会)・日本バーテンダー協会・国税庁・日本洋酒酒造組合の4団体の公式サイトを調べましたが、カクテル言葉の定義や一覧はありませんでした。公的機関や業界団体が定めたものではない、という前提で受け取るのが正確です。

本記事はメーカー公式サイト、IBA公式、EUおよびフランスの法定文書、国税庁の資料を典拠に作成した。お酒は20歳になってから。飲みすぎに注意し、体調に合わせて適量を守ってほしい。

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