ワインとは|赤・白・ロゼの違いと造り方、法令に無いテロワール

ワインとは|赤・白・ロゼの違いと造り方、法令に無いテロワール

ワインは、ブドウの果汁を発酵させただけの酒である。赤・白・ロゼの違い、泡と酒精強化、品種、造り方、度数とカロリー、飲み方と最初の一本までをひととおり整理した。そのうえでこの記事は、もうひとつ別のことを確かめている。ワインを語るとき誰もが使う「テロワール」という言葉を、日本の法令は一度も書いていない。ところが土そのものについては、傾斜を七段に切り、腐植の量を二パーセントで分け、土の名前には地名を冠せと決めている。その土と地面の十一の法令に、酒はどこにいるのか。

ワインとは ブドウの果汁を発酵させただけの醸造酒

ワインとは ブドウの果汁を発酵させただけの醸造酒
収穫期のブドウとぶどう畑の一例

ワインは、ブドウの果汁に酵母を働かせて造る醸造酒である。米や麦の酒との違いは、はじめの一手が要らないところにある。米も麦もでんぷんの形で炭水化物を抱えているので、まず糖に変える工程が必要になる。ブドウは搾った時点ですでに糖を含んでいるから、つぶしてそのまま置けば発酵が始まる。

この単純さが、そのまま味の性格になる。蒸留もしないので、原料の個性が薄まらずに液体へ移る。同じ造り手が同じ手順で仕込んでも、畑が違えば別の味になる。ワインの話がいつも産地の話になってしまうのは、糖に変える工程が要らず、蒸留のように原料の個性を薄める手続きも挟まっていないからだ。

日本の酒税法では、ワインは果実酒という区分に入る。裏ラベルの品目欄に「果実酒」と書かれている理由や、甘味果実酒との線引きはハウスワインとはの記事が条文ごと扱っているので、そちらに譲る。ここから先は、色とタイプ、品種、造り方という順で基本を押さえ、そのあとで「産地」という言葉の足元を掘る。度数とカロリー、飲み方と最初の一本は、そのさらに後ろにまとめてある。

壺で造られていた八千年前から、ガラス瓶の今日まで

ブドウの酒は、人が造った酒のなかでもきわめて古い部類に入る。ジョージア(旧グルジア)の遺跡からは、紀元前六千年紀のブドウ由来の残渣を伴う土器が見つかっている。地面に埋めた素焼きの壺で仕込む方法は、同じ土地でいまも生きている。

その後、地中海世界がワインを商品にした。ローマは属州へブドウの木を持ち込み、木樽という運びやすい容器を広めた。中世には修道院が畑を持ち、区画ごとの出来の違いを記録に残していく。ここが後の格付けの母型になる。十七世紀以降、丈夫なガラス瓶とコルク栓が普及して、はじめて「何年寝かせたか」が意味を持つ酒になった。

十九世紀のフィロキセラ禍は、ヨーロッパのブドウ畑に壊滅的な打撃を与えた。アメリカ系の台木に接ぐという解決が広がった結果、いま世界で飲まれているワインの大半は、根がアメリカ系、地上部がヨーロッパ系という二階建ての木から採れている。畑と品種の話をするとき、この接ぎ木の事実は案外忘れられている。

色とタイプによる五つの種類

色とタイプによる五つの種類
赤と白を並べたグラスの一例

赤・白・ロゼの違いは、色ではなく造り方の違い

赤・白・ロゼは、見た目で分けているようでいて、実際には果皮をどう扱ったかの分類である。赤は黒ブドウを果皮も種も一緒に発酵させる。果皮から色素が出て、種と皮からタンニンが出る。白は搾った果汁だけを発酵させるので、色が薄く、酸とアロマが前に出る。

ロゼはその中間で、黒ブドウの果汁を果皮と短い時間だけ触れさせ、狙った色になったところで引き上げる。白ブドウで造った白より渋みがあり、赤より軽い。冷やして飲めるので食卓での守備範囲が広い。

泡のあるスパークリングと、度数を上げた酒精強化

スパークリングワインは、発酵で生まれた炭酸ガスを容器の中に閉じ込めたものだ。瓶の中で二度目の発酵を起こす方式と、大きなタンクで起こす方式があり、前者のほうが泡が細かく持続する。フランスのシャンパーニュ地方で定められた条件を満たしたものだけがシャンパンを名乗れる。品種や気圧の下限まで決まっている仕組みはシャンパンとはの記事が詳しい。

酒精強化ワインは、発酵の途中または後に、ぶどう由来の中性アルコールやワインの蒸留物などを加えて度数を上げたものである。発酵を途中で止めれば糖が残って甘口になる。ポートやシェリー、マデイラが代表で、日本の酒税法では甘味果実酒という別の区分に入るものが多い。区分と呼称の守り方はマデイラワインとはの記事にまとめてある。

五つのタイプの見分け方
タイプ 果皮の扱い 度数の目安 向く場面
赤 果皮と種ごと発酵させる 12〜15% 肉料理、常温に近い温度で
白 果汁だけを発酵させる 10〜13% 魚介、よく冷やして
ロゼ 短時間だけ果皮に触れさせる 11〜13% 献立を選ばない日常の食卓
スパークリング 二度目の発酵で泡を閉じ込める 10〜12% 始まりの一杯、揚げ物
酒精強化 ぶどう由来のアルコールを加える 15〜22% 食後、少量をゆっくり

原料となるブドウ品種と、赤・白・ロゼ・泡で分かれる造り方

原料となるブドウ品種と、赤・白・ロゼ・泡で分かれる造り方
木に残るブドウの房の一例

覚えておくと迷わない、黒と白の代表品種

ワインになるブドウは、生食用とは別の品種群である。粒が小さく、皮が厚く、糖と酸が高い。数千の品種があるといわれるが、店頭で目にするものは限られる。まず黒ブドウから見ていく。

代表的なブドウ品種の見取り図
品種 色 味わいの傾向 主な産地
カベルネ・ソーヴィニヨン 黒 タンニンが強く長命。カシスの香り ボルドー、チリ、カリフォルニア
メルロー 黒 渋みが穏やかで丸い。早くから飲める ボルドー右岸、チリ、日本
ピノ・ノワール 黒 色は淡く香りは複雑。畑の差が出やすい ブルゴーニュ、ニュージーランド
シラー(シラーズ) 黒 黒胡椒を思わせる香りと厚み ローヌ、オーストラリア
シャルドネ 白 造りで表情が変わる。樽との相性がよい ブルゴーニュ、世界各地
ソーヴィニヨン・ブラン 白 青草と柑橘。酸がはっきりしている ロワール、ニュージーランド
リースリング 白 辛口から極甘口まで。酸が骨格をつくる ドイツ、アルザス
甲州 白 穏やかな酸と和の食卓への寄り添い 山梨

品種ごとの深掘りは、ピノノワールとは、シャルドネとは、リースリングとは、甲州ワインとはがそれぞれ受け持っている。品種名そのものが一つに決まらない事情についてはマルベックとはの記事が、公式名と通称の関係を扱っている。

果皮を入れるか、果汁だけか、二度目を起こすか

造り方の分岐点は多くない。赤は除梗と破砕のあと、果皮ごとタンクへ入れる。発酵の熱で色素とタンニンが溶け出し、途中で液を循環させて抽出を進める。発酵が終われば圧搾して果皮を分け、樽やタンクで寝かせる。

白は順番が逆で、先に搾ってから発酵させる。果皮の成分が入らないぶん、酸化への備えが要る。ロゼは黒ブドウの果汁を短く果皮と触れさせるか、圧搾のときに出るわずかに色づいた果汁を使う。

スパークリングは、いったん造った静かなワインに糖と酵母を加え、密閉した容器の中でもう一度発酵させる。生じた炭酸ガスが逃げ場を失って液に溶ける。瓶内で行えば澱と長く接して香りが複雑になり、タンクで行えば果実味が保たれる。

どの工程でも共通して使われるのが、酸化と微生物の増殖を抑える亜硫酸塩である。使ってよい量は品目ごとに決まっていて、その根拠は酸化防止剤とはの記事にある。

この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいう。

地力増進法 第二条第一項

ここまでが、ワインという酒の中身の話である。ところが造り手に「この味はどこから来るのか」と尋ねると、返ってくるのは工程の話ではなく、たいてい畑の話になる。次の章から、その畑の足元を見にいく。上に引いたのは、日本の法律が「農地」という語を定義した一行だ。耕作の目的に供される土地。ぶどう畑という言葉は、日本の法令のどこにも出てこない。

テロワールという言葉は、日本の法令に一度も出てこない

テロワールという言葉は、日本の法令に一度も出てこない
なだらかな丘に広がるぶどう畑の一例

ワインの本を開けば、必ずテロワールという語に出会う。土壌、地形、気候、そこで積み上がった人の手つき。それらをひとまとめにして、この畑でしか出ない味の理由を指す言葉である。日本語に訳しにくいので、そのままカタカナで通っている。

その語を、日本の法令の全文にかけてみた。e-Gov 法令検索の全法令横断キーワード検索は、施行されている法律・政令・省令などの法令を一度に引ける。「テロワール」で引くと、該当なしを意味する応答が返る。ゼロ件である。カタカナの伸ばし方を疑って「テロワ」まで縮めても結果は変わらない。「ぶどう畑」も「ブドウ畑」も「ぶどう園」も、同じくゼロ件だった。なお、この検索がすくい上げるのは法令までで、国税庁の告示のような下位の定めは対象外である。

言葉が無いことと、その事柄を国が見ていないことは、まったく別である。むしろ逆で、テロワールが指しているものの一つひとつには、日本の法令はかなり細かい言葉と数字を与えている。ただし、それは酒の側の棚には置かれていない。

国が定義した「地力」は、土壌の性質に由来する農地の生産力

テロワールが背負っているものをまとめて一語で受け止めている法令用語を探すと、一つだけ見つかる。地力である。昭和五十九年の地力増進法が、わざわざ定義の条を置いている。

この法律で「地力」とは、土壌の性質に由来する農地の生産力をいう。

地力増進法 第二条第二項

土地の力、という日本語がそのまま条文になっている。ただし範囲は狭い。テロワールが土と地形と気候と人をひとまとめにするのに対して、この定義は土壌の性質に由来するという限定を先に置き、出口を農地の生産力に絞っている。気候も、造り手の判断も、この語には入らない。

この法律は同じ第二条の第一項で「農地」を耕作の目的に供される土地と定め、第一条で目的を農業生産力の増進と農業経営の安定と書く。測っているのは味ではなく、収量のほうだ。地力という語そのものは、全法令横断で引くと四十二の文、十の法令に現れる。肥料の法律、食料・農業・農村基本法、そして地力増進法とその政令・省令が中心である。

不良農地という語と、百ヘクタール・五十ヘクタールという線

地力増進法は、土の悪い地域をまとめて指定する仕組みを持っている。第四条第一項第一号は、その地域の農地がおおむね不良農地から成ることを条件に置き、括弧の中で不良農地を土壌の性質が不良であると認められる農地と定義したうえ、面積の下限は農林水産省令に預けた。

受けている地力増進法施行規則の第一条は、こう書く。北海道にあってはおおむね百ヘクタール、都府県にあってはおおむね五十ヘクタール。土の性質を理由に都道府県知事が地域を指定できるのは、都府県なら五十ヘクタールからである。ワインの世界が一つの畑の名前で語る面積は、たいていこれよりずっと小さい。制度が拾い上げるのは畑ではなく、地域という単位だということが、この数字に表れている。

指定された地域では、都道府県が対策調査を行う。施行規則第二条が挙げる中身は五つで、土壌の性質に関する細密な調査から、営農の状況、農業生産基盤の整備状況、農作物の生育状況、そして対策を立てるための調査まで。農業者の側から改善状況の調査を請求することもでき、その要件は施行規則第三条に四つ並ぶ。生育障害が出ていること、それが土壌の性質に起因すると推定されること、面積が北海道でおおむね十ヘクタール、都府県でおおむね五ヘクタール以上あること、指針に即した営農が行われていること。

調べる側の権限も条文になっている。第九条は職員が農地に立ち入り土壌又は農作物につき調査させることができると定め、そのうえであらかじめ、当該農地の占有者に通知しなければならないと続ける。畑に入って土を掘る手続きが、通知の順番まで含めて法律に書かれている。

国が土を掘って測るときの、決められた手つき

国が土を掘って測るときの、決められた手つき
畑の土と畝を写した参考画像

国土調査法は、国土の調査を四つに分けている。そのうち土地の性質を見るのが土地分類調査で、土性その他の土壌の物理的・化学的性質と生産力を調べて地図と簿冊にする、と条文が書く。線を測る地籍調査とは別の欄に置かれていることは、サンジョヴェーゼとはの記事が登記の側から詳しく追っている。ここではその「別の欄」、つまり土のほうの作業手順を開く。

基準となるのが、昭和三十年の土じよう調査作業規程準則である。総理府令として出され、いまも生きている。この準則の第一条が、これを土地分類基本調査のうちの一つと書いている。全文で九千五百九十五字。短い府令だが、中身は驚くほど具体的だ。

試坑は一メートル、農地は〇・二五平方キロメートルに一点

現地の作業は、まず踏査で全体を見る概査から始まり、次に穴を掘る精査に移る。掘る穴を試坑と呼ぶ。第十三条は、その密度と深さを数字で決めている。

農地、草地及び林地における試坑点の数は、原則として、農地及び草地においては〇・二五平方キロメートルにつき一点、林地においては一平方キロメートルにつき一点とする。

土じよう調査作業規程準則 第十三条第二項

同じ条の第四項が試坑の深さは、一メートルを基準とする。と定める。断面の違いを確かめるために掘る簡易な穴は六十センチメートル、細い棒を突き刺す試穿は一メートルで、これは別の条(第十八条)の担当だ。第二十条は、分析に回す試料の量まで書いている。各層につきおおむね二キログラム。

ぶどう畑の土を語るとき、よく地表の石や砂利の話が出る。この準則が見ているのは、そこから一メートル下までである。

断面に十七項目、分析に十一項目

掘った断面について何を見るかは、第十四条第一項が十七の号に分けて列挙する。層、層界、土性、礫、色、腐植の含量、泥炭及び黒泥、構造、孔げき、かたさ、粗密度、ねばり、斑紋・結核・盤層、湿り及び湧水面、根、菌根及び菌糸、そしてその他必要な事項。持ち帰った試料の分析項目は第二十一条第一項が十一。粒径組成、容積重及び容水量、全炭素、全窒素、水素イオン濃度、置換酸度、置換容量、置換性石灰、珪ばん比、燐酸吸収係数、その他。

断面の側は、最後の「その他」を除く十六までの中身を別表一が引き受ける。数字の刻み方が、この府令のいちばんの見どころだ。

別表一が数字で切っている区分(抜粋)
調査事項 区分の仕方
層 上から第一層、第二層…と区分。農地にあつては、別に作土を区分する
層界 明瞭(1cm以上3cm未満)/判然(3cm以上5cm未満)/漸変(5cm以上)
礫の大きさ 細礫(長径2mm以上1cm未満)から巨礫(20cm以上)まで五段
腐植の含量 2%以上は日本農学会法により、2%未満は「なし」と記載する
孔げき 富む(30%以上)/含む(10%以上30%未満)/あり(10%未満)
かたさ 零・小・中・大・極大の五段。土じよう硬度計を使えば目盛を併記
湿り 乾・半乾・湿・多湿の四段。手で握ったときの感触で分ける

「作土」という語は、この別表一の一行にだけ現れる。全法令を横断して引いても、作土が出てくる法令はこの準則ただ一つ、文にしてわずか一つである。耕して作物を育てる、いちばん上の土。ワインの本なら真っ先に出てくるはずの層に、日本の法令はたった一度しか触れていない。

統及び類の名称には、地名を冠する

この準則は、土そのものに名前を付けるやり方も決めている。第三条は土を「統」と「類」に区分すると定め、統を層の特徴及び配列が類似し、かつ、岩種及び堆積様式の類似した母材から生成した土じようの一群、類をそれらをまとめた一つ以上の統だと説明する。そして第四項が、こう書く。

統及び類の名称には地名を冠する。

土じよう調査作業規程準則 第三条第四項

十五文字の命令である。土の一群を見つけたら、そこに地名を付けろと国が決めている。テロワールという語を一度も使わずに、日本の制度は、土の名前と土地の名前を結びつけることだけは条文で義務にしていた。分けた境界線は地形図の上に引かれ、最終的に土じよう図と土じよう説明書になる。説明書に何を書くかは別表六が八項目で示し、その五番目は土じようと土地利用との関係である。

テロワールの中身は、七十年前の聞き取り表に並んでいる

テロワールの中身は、七十年前の聞き取り表に並んでいる
日射しを受ける白ブドウの畝の一例

土じよう調査作業規程準則の現地作業は、穴を掘るだけでは終わらない。第十五条の付帯調査で土地利用・植生・地形・地質・傾斜を記録し、第十六条の聴取調査で、そこを耕している人から話を聞く。何を聞くかは別表三が決めていて、項目名は二十五ある。田・畑・草地・林地の別に、どの項目を聞くかが○印で割り当てられる表になっている。

日照の良否、地下水位、そして階段耕作の法面

別表三に並ぶ項目名を眺めると、ワインの本の目次を読んでいるような気分になる。日照の良否。地下水位。開田、開畑又は開園の年。栽培作物及び樹性。常習被害。平年反収。作付順序。間作。

傾斜のほうは付帯調査の担当で、別表二の五が最大傾斜の向き、角度及び同じ傾斜角をなす斜面の長さを記録させる。そして段々畑については、こう続く。

階段耕作の場合には、右のほか、法面の高さ、法面の状態(石垣、粘土又は草生等)及び耕地面の最大の幅並びに傾斜角度

土じよう調査作業規程準則 別表二 五 傾斜の角度及び方位(二)

石垣か、粘土か、草を生やしてあるか。ドウロ川やモーゼルの写真で必ず映る、あの段々の壁のことを、日本の府令は記録項目として持っている。傾斜そのものを地図にする作業も別に用意されていて、昭和二十九年の地形調査作業規程準則は、地形の傾斜を七段に区分し、別表第四で色まで指定する。

地形調査作業規程準則が定める傾斜の七区分と彩色
区分 彩色
傾斜40度以上 茶
傾斜30度以上40度未満 赤
傾斜20度以上30度未満 橙
傾斜15度以上20度未満 黄
傾斜8度以上15度未満 黄緑
傾斜3度以上8度未満 緑
傾斜3度未満 彩色しない

五万分の一の地形図の上で、南北を三十等分・東西を三十六等分した交点の近くを測点にとり、等高線の間隔と高度差から傾斜を計算する。畑の向きと傾きが味を決めるとワインの本が言うその傾斜を、国は七つに区切り、六色に塗り分け、いちばん平らな三度未満だけを白く残した一枚の地図にしている。この準則の全文にも、ぶどうという字は一つも無い。

植付年代及び樹令、植栽密度

別表三の項目名には、樹を植えた年と密度も入っている。植付年代及び樹令と植栽密度、それに樹の生育状況。古木から採ったブドウを珍重する言い方や、一ヘクタールあたり何本植えるかという議論は、ワインの世界ではおなじみのものだ。国はそれを、聞き取りの項目名として七十年前から持っていた。

もちろん、この表が想定しているのは果樹一般であって、酒の原料ではない。それでも、テロワールという一語がまとめて背負っている中身は、こうして一項目ずつばらばらに、別の目的のために書き取られている。概念が無いのではなく、名前だけが無い。

それでも、畑は「果樹園」の一語で足りる

付帯調査の別表二は、土地利用の状況を田・畑・草地・林地に分け、畑をさらに八つに区分する。普通畑、牧草畑、果樹園、茶園、桑園、竹林畑、兼用畑、周囲作畑。茶と桑と竹には、それぞれ専用の欄が与えられている。ブドウの畑は果樹園という一語に丸められ、りんご畑ともみかん畑とも区別されない。

本稿が全文を取った土と地面の十一の法令、合わせて二十七万三千九百八十六字のうち、「果樹」という語が現れるのは三回だけである。この別表二と、同じ土地分類基本調査の土地分類調査作業規程準則、そして農業振興地域の整備に関する法律が果樹若しくは野菜の生産団地の形成と書く一箇所。二回は土地の区分の一項目、一回は施策の目的を書いた一句としての登場だ。なお登記のほうで土地に付ける地目の一覧にぶどう畑が無いことは、前掲のサンジョヴェーゼの記事が扱っている。あちらは登記簿の地目、こちらは調査票の土地利用区分で、別の表である。あちらの地目には果樹園という欄すら無く、こちらは果樹園までは在って、その先を分けない。

土に入れてよいものと、入ってはいけないもの

土に入れてよいものと、入ってはいけないもの
畑と樹列を見渡した参考画像

十二の土壌改良資材と、たった一度のアルコール

地力増進法の第十一条第一項は、土に施す物のうち、買う人には品質が見分けにくく、しかも地力の増進のうえで見分ける必要が特にあるものを政令で定め、その種類ごとに表示の基準を告示すると定める。受けた地力増進法施行令が挙げるのは、十二の種類だ。

一 泥炭、二 バークたい肥、三 腐植酸質資材、四 木炭、五 けいそう土焼成粒、六 ゼオライト、七 バーミキュライト、八 パーライト、九 ベントナイト、十 VA菌根菌資材、十一 ポリエチレンイミン系資材、十二 ポリビニルアルコール系資材。

一番目の泥炭は、スコッチの麦芽を燻す煙の材料と同じものである。同じ語が、酒の側では香りの話になり、土の側では改良資材の一号になる。ピートとしての顔はスコッチウイスキーとはの記事とウイスキーとはの記事が扱っている。

そして十二番目に注意したい。本稿が数えた十一法令二十七万三千九百八十六字のうち、「アルコール」という語が現れるのは、この一箇所だけである。それも飲むものではなく、括弧の中でポリ酢酸ビニルの一部をけん化した物と説明される、土壌改良資材の十二番目に並べられた高分子のことだ。酒という字は一度も出てこない。ワインも、ぶどうも、ブドウも、葡萄も、醸造も、飲も、酔も、すべてゼロである。

カドミウム〇・四ミリグラムと、客土という言葉

入ってはいけないものの側は、昭和四十五年の農用地の土壌の汚染防止等に関する法律が受け持つ。第二条第三項は特定有害物質をカドミウム等と書き出したうえで政令に預けており、受けた施行令第一条が挙げるのは三つだけである。カドミウム及びその化合物、銅及びその化合物、砒素及びその化合物。

指定の要件は施行令第二条にあり、こちらは数字が並ぶ。その地域の農用地でとれる米に含まれるカドミウムの量が米一キログラムにつき〇・四ミリグラムを超えること。田の土壌に含まれる銅が土壌一キログラムにつき百二十五ミリグラム以上であること。同じく砒素が十五ミリグラム以上であること。砒素については、自然的条件に特別の事情があれば、都道府県知事が十から二十ミリグラムの範囲で別の値を定められる。

指定されると対策計画が作られ、その中身を並べた第五条第二項第二号のロに、聞き慣れない一語が置かれている。農用地の土壌の特定有害物質による汚染を除去するための客土その他の事業。客土とは、よそから土を運んできて入れ替えることだ。土は動かせないという前提でテロワールは語られるが、制度の側には土を入れ替える手続きがある。本稿の十一法令では、客土という語はここ一箇所に出てくる。

工場跡地などを対象とする土壌汚染対策法は、特定有害物質を鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質と書き出して政令に預ける。農地の側は法律が「カドミウム等」とだけ書いて政令に預け、その政令が三つで閉じた。こちらは法律の段階で三つを名指ししたうえ、「その他の物質」と続けて政令に渡している。名指しされた三つのうち砒素は農地の側にもあり、鉛とトリクロロエチレンは無い。同じ「土」でも、守ろうとしているものが違えば、測る物質も変わる。

土を作り替える工事そのものにも、専用の法律がある。本稿が数えた十一法令のうち最も長い十六万三千字あまりを占めるのが土地改良法で、第二条第二項が土地改良事業を七つの号に切り分けている。用排水施設や農道などの土地改良施設の新設・管理・廃止・変更、区画整理、農用地の造成、埋立て又は干拓、災害復旧、権利の交換分合、そのほか農用地の改良又は保全のため必要な事業。農業振興地域の整備に関する法律は、その土地改良事業のうち省令が挙げるものが行われる区域を、農用地区域に含めるべき土地として名指しする。土地を区切り、造成し、水を引き、土を入れ替えるところまで、日本の制度はひととおり用意してある。そのどこにも、酒のための一行は無い。

関連商品ラインナップ
棚に並ぶワインボトルの一例

リンクサス酒販の在庫から、産地や造り手の個性が出ているワインをまとめて掲載する。各カードから商品ページへ進むと、タイプ、産地、ヴィンテージ、容量、価格、在庫状況を確認できる。ワインの品揃えは随時入れ替わるので、気になる一本は早めに押さえておきたい。当日14:00までのご注文で当日発送に対応している。

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タイプ別の代表ワイン30本を比較

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売場に並ぶワインの一例

下の比較表は、千円前後で買える入門ワインから、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティやクリスタル ロゼ マグナムのような頂点の一本まで、赤・白・ロゼ・スパークリング・酒精強化を横断して三十本並べたものである。まず試したい色やスタイルで候補をしぼり、次に価格帯で検討する使い方がわかりやすい。価格欄の楽天・Amazonは流通している高値帯の参考値で、最安値を案内する一覧ではない。当店の在庫品は表内のリンクから状態と最新価格を確認できる。

ワインのタイプ別 横断比較(30本)
「ワインとは何か」を一本で掴むために、赤・白・ロゼ・スパークリング・酒精強化(ポート)まで主要タイプを横断して30本を比較。味わい(甘口〜辛口)・ボディ・産地・楽天/Amazonの購入先を一覧できます。1,000円前後で買える飲みやすい入門ワイン(アルパカ/イエローテイル/コノスル/フレシネ)から、シャブリやムルソーの白、キャンティ・クラシコやバローロ、アマローネの赤、ヴーヴ・クリコやドンペリニヨンのシャンパン、テイラーやグラハムのポートまで。頂点にはルイ・ロデレール クリスタル ロゼ マグナムやドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティを置き、価格と希少性の幅を体感できる構成です(輸入ワインは大半がオープン価格のため定価は非掲載、市場相場の目安のみ)。
画像 銘柄・スコア 定価
市場相場
特徴 リンクサス酒販
本命
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9位甘口微発泡・低アル リユニーテ ランブルスコ 750ml
市場相場900〜1,300円台(750ml・実勢・2026年6月時点)

甘口の赤微発泡。ジュース感覚で飲める。

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フレシネ コルドン ネグロ ブリュット 750ml10位泡入門・定番 フレシネ コルドン ネグロ ブリュット 750ml
市場相場1,100〜1,500円台(750ml・実勢・2026年6月時点)

黒ボトルが目印。世界一売れるカバ。

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プロセッコ(スプマンテ)11位 プロセッコ(スプマンテ)
1,200〜2,200円

タンク発酵で造る軽快な辛口。世界で最も売れる泡

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カヴァ12位 カヴァ
1,300〜2,800円

シャンパンと同じ製法を手頃な価格で

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アスティ・スプマンテ(甘口)13位 アスティ・スプマンテ(甘口)
1,300〜2,000円

度数控えめで華やか。甘口微発泡の代表格

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クレマン14位 クレマン
2,000〜4,000円

シャンパンと同じ瓶内二次発酵をより手頃に

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ヴーヴ・クリコ イエローラベル ブリュット15位辛口の世界的定番 ヴーヴ・クリコ イエローラベル ブリュット

鮮やかなイエローラベルで知られる辛口の代名詞

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モエ・エ・シャンドン ロゼ アンペリアル16位定番ロゼ モエ・エ・シャンドン ロゼ アンペリアル

華やかなサーモンピンクの定番辛口ロゼ

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ドンペリニヨン 白17位辛口プレステージの代名詞 ドンペリニヨン 白
¥24,200

シャンパーニュ製法の祖の名を冠した最高峰

¥25,300リンクサス 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ルイ・ロデレール クリスタル ロゼ 2000 マグナム 1500ml18位最高値アンカー・伝説のロゼ ルイ・ロデレール クリスタル ロゼ 2000 マグナム 1500ml

ロシア皇帝のために生まれた伝説のロゼ・マグナム

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ドメーヌ パンソン シャブリ 2018 750ml 12.5%19位シャブリ名手 ドメーヌ パンソン シャブリ 2018 750ml 12.5%

プルミエ/グランクリュでも知られるパンソンのシャブリ。ミネラル感と酸が際立つ食中向きの白。

¥6,000リンクサス最安 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ルイ ラトゥール コルトン シャルルマーニュ グラン クリュ 2015 750ml20位白の特級・名門 ルイ ラトゥール コルトン シャルルマーニュ グラン クリュ 2015 750ml

白の特級コルトン シャルルマーニュ。老舗ルイ ラトゥールが生む力強くも気品ある一本。

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ドメーヌ ルフレーヴ シュヴァリエ モンラッシェ グラン クリュ 2019 750ml21位白の女王・ビオ名門 ドメーヌ ルフレーヴ シュヴァリエ モンラッシェ グラン クリュ 2019 750ml

白ブルゴーニュの女王ルフレーヴ。鋭い酸とミネラルが際立つ特級シュヴァリエ モンラッシェ。

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ジョゼフ ドルーアン シャンボール ミュジニー 2020 750ml22位名門ネゴシアン ジョゼフ ドルーアン シャンボール ミュジニー 2020 750ml

ボーヌの名門ドルーアンが手がける村名赤。エレガントなシャンボールの個性を素直に表現。

¥16,940リンクサス 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ドメーヌ ド ラ ロマネ コンティ ロマネ コンティ グラン クリュ 2015 750ml 14%23位最高峰・高値アンカー ドメーヌ ド ラ ロマネ コンティ ロマネ コンティ グラン クリュ 2015 750ml 14%

ブルゴーニュ最高峰DRCのロマネ コンティ。わずか1.8haの畑が生む世界の頂点。

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FELSINA フェルシナ ベラルデンガ キャンティ・クラシコ 2019 750ml24位DOCG入門価格 FELSINA フェルシナ ベラルデンガ キャンティ・クラシコ 2019 750ml
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DOCGキャンティ・クラシコの実力派。サンジョヴェーゼの酸と果実味が素直に楽しめる入口の一本。

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BARBARESCO バルバレスコ 2019 750ml25位DOCG BARBARESCO バルバレスコ 2019 750ml
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「ワインの女王」と呼ばれるDOCG。ネッビオーロの華やかな香りとしなやかなタンニン。

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PAOLO SCAVINO パオロ スカヴィーノ バローロ 2010 750ml26位DOCG・当たり年 PAOLO SCAVINO パオロ スカヴィーノ バローロ 2010 750ml
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モダン・バローロの旗手による2010年。優れた当たり年の凝縮感を備えたDOCG。

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アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラッシコ 2016 イル ルッスリオーゾ 750ml 16%27位DOCG・陰干し アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラッシコ 2016 イル ルッスリオーゾ 750ml 16%
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陰干しブドウから生まれるヴェネトのDOCG。16%の高アルコールと濃密な甘苦の余韻。

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テヌータ ルーチェ 2018 750ml 15%28位IGT テヌータ ルーチェ 2018 750ml 15%
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フレスコバルディとモンダヴィが生んだルーチェの弟分。柔らかく親しみやすいトスカーナIGT。

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樽熟成で琥珀色に育った定番トウニー。ナッツとドライフルーツの香りが楽しめる入門の一本。

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グラハム ヴィンテージ ポート 750ml30位入手困難 グラハム ヴィンテージ ポート 750ml

力強さと優美さを兼ね備えたヴィンテージ。長期熟成のポテンシャルが高い。

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輸入ワインの多くはメーカー希望小売価格を公表しない「オープン価格」のため、定価(list_price)は掲載せず市場相場の目安のみを記載しています(2026年6月時点の実勢)。楽天/Amazon価格は各モールの実勢で、同一銘柄・容量が見つからない場合は空欄となります。プレミアム銘柄(シャンパン・ブルゴーニュ・イタリアの高級ワイン等)はリンクサス酒販でお取り扱いがあり、入門デイリーワインは楽天・Amazonをご案内しています。価格・在庫は変動するため、最新情報は各リンク先でご確認ください。

ワインの度数とカロリー

ワインの度数とカロリー
度数の帯を決めるのは品種名ではなく規約

ワインのアルコール度数は、平均でおおむね十二パーセント前後になる。赤は十二〜十五パーセント、白は十〜十三パーセントというあたりが多い。低いほうの代表として挙がるモスカートについては、すぐ下の見出しで規約の数字を確かめる。酒精強化はEUの区分でいうリキュールワインで、実際の分は原則十五から二十二パーセント。足すのはぶどう由来の中性アルコールやワインの蒸留物などである。条文はデザートワインの記事にある。数字が決まる仕組みや銘柄ごとの一覧はワインのアルコール度数の記事にある。ラベルの度数から味の重さを読む見方はフルボディとはの記事が扱っている。

モスカートは低いのか、同じ品種の名で四・五から二十二まで

この記事はこれまで、低いワインの例として「モスカートのように五〜八パーセント」と書いてきた。原典に当たると、その帯はモスカート・ダスティの規約と合っていない。アスティDOCGの規約はその実際の分を「4,50% vol から 6,50% vol の範囲」と、下と上の両方で決めている。下は五ではなく四・五、上は八ではなく六・五である。条番号と総アルコール分はワインのアルコール度数の記事に、類型ごとの数値はアスティとはの記事にある。

そのうえで、帯の代表を品種の名で立てること自体が成り立たない。同じモスカート(ミュスカ/モスカテル)の名でも、シチリアのパンテッレリーアDOCは、モスカート・ディ・パンテッレリーアに実際の分を11,00% vol 以上と求める。フランスのミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズとミュスカ・ド・リヴザルトの仕様書はそろって実際の分を15%以上と求め、ポルトガルのセトゥーバルDOPは16%以上22%以下を求める。低い側の代表に立てた品種は、章の冒頭が高い側に置いた酒精強化の帯にも実在している。帯を決めるのは品種の名ではない。同じ名の下で、四・五から二十二までが規約ごとに別々に置かれている。

カロリーのほうは、文部科学省の食品成分データベースで実数を引ける。日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の「ぶどう酒」は、白・赤・ロゼの三つに分かれている。

ぶどう酒の成分(可食部100gあたり・八訂 増補2023年)
品名 エネルギー 炭水化物 アルコール
ぶどう酒/白(食品番号16010) 75kcal 2.0g 9.1g
ぶどう酒/赤(食品番号16011) 68kcal 1.5g 9.3g
ぶどう酒/ロゼ(食品番号16012) 71kcal 4.0g 8.5g

面白いのは順番である。アルコールがいちばん多いのは赤(9.3g)なのに、エネルギーがいちばん高いのは白(75kcal)だ。差を作っているのは糖のほうで、八訂がエネルギーの計算に使う利用可能炭水化物(単糖当量)は白が2.5g、赤が0.2g、ロゼが2.5g。上の表の炭水化物は差引きで求めた別の値なので、並びが違って見える。ワインのカロリーは、度数だけでは決まらない。

これらは甘口も含めた成分表の代表値なので、実際の一本は残糖と度数で上下する。辛口に寄せた概数で見ると、赤と白の差はほとんど無くなる。飲む量との兼ね合いや糖質の話はワインのカロリーの記事を合わせて読むとよい。上の成分表の値でグラス一杯を百二十ミリリットルとすれば、赤で八十キロカロリー強、白で九十キロカロリーほどという見当になる。

おいしい飲み方と、最初の一本

おいしい飲み方と、最初の一本
ボトルの状態を確かめる場面の一例

温度とグラス、開けたあとの時間

ワインは温度で表情が変わる。目安は、軽い白とスパークリングが六〜十度、コクのある白が十〜十四度、軽い赤が十二〜十六度、重い赤が十六〜十八度。赤の「常温」は日本の室温ではないので、夏はいったん冷蔵庫で三十分ほど冷やしてから出すと落ち着く。

グラスは、口がすぼまった形なら香りが集まる。大ぶりのボウルは香りの開きにくい赤に向き、細長いフルートは泡を保ちやすい。銘柄ごとに揃える必要はなく、中くらいのものが一種類あれば足りる。

開けたあとは酸化が進む。栓をして冷蔵庫に立てておけば、二、三日は楽しめることが多い。長く残るなら、真空栓やガスを使う道具もある。未開栓の保管は横置きが基本で、直射日光と温度変化を避ける。専用の機械を検討する段になったらワインセラーの選び方の記事が参考になる。

最初の一本は、産地と品種のどちらかを固定して選ぶ

選び方に迷ったら、変数を一つに減らすのが早い。同じ品種で産地を変えるか、同じ産地で品種を変えるか、どちらかに決めて二本を並べて飲む。違いが自分の言葉で言えるようになると、次の一本が選べるようになる。

価格帯は、まず千円から二千円のデイリーで構わない。チリやスペイン、イタリアの南部には、この価格で完成度の高いものが多い。そこから三千円台へ上げると、産地の名前が味に現れはじめる。年号で価格が動く世界に興味が出てきたら、ヴィンテージワインとはの記事が当たり年と熟成の考え方を整理している。日本のワインから入るならシャトー・メルシャンの記事が入口になる。

よくある質問

よくある質問
よくある質問の参考画像
ワインとは何ですか。

ブドウの果汁を酵母で発酵させて造る醸造酒です。ブドウは搾った時点で糖を含んでいるため、米や麦のように糖をつくる工程を必要としません。蒸留もしないので、品種や産地の個性がそのまま液体に残ります。日本の酒税法では果実酒という区分に入ります。

赤ワインと白ワインの違いは何ですか。

果皮の扱いが違います。赤は黒ブドウを果皮と種ごと発酵させるので、色素とタンニンが出て渋みと厚みが生まれます。白は搾った果汁だけを発酵させるため色が淡く、酸と香りが前に出ます。ロゼは黒ブドウの果汁を短時間だけ果皮に触れさせて色をつけたものです。

ワインの度数はどれくらいですか。

平均でおおむね十二パーセント前後です。赤は十二〜十五パーセント、白は十〜十三パーセントが多くなります。低いほうでよく挙がるモスカートは、アスティDOCGの規約がモスカート・ダスティの実際の分を4,50〜6,50%と決めていて、よく言われる五〜八ではありません。酒精強化はEUの区分でいうリキュールワインで、実際の分は原則15〜22%。足すのはぶどう由来の中性アルコールやワインの蒸留物などです。

ワインのカロリーはどれくらいですか。

日本食品標準成分表(八訂)増補2023年では、可食部100gあたり白が75kcal、赤が68kcal、ロゼが71kcalです。アルコールは赤が9.3gで最も多いのですが、八訂のエネルギーは糖の量も足して計算されるため、エネルギーの順位は度数の順位と一致しません。実際の一本は銘柄ごとの残糖と度数で上下します。

テロワールという言葉は法律にありますか。

法律にも政令にも省令にもありません。e-Gov 法令検索の全法令横断キーワード検索で「テロワール」はゼロ件で、「ぶどう畑」も「ブドウ畑」もゼロ件でした(この検索は国税庁の告示などは対象外です)。近い意味を持つ法令用語は地力増進法第二条第二項の「地力」で、土壌の性質に由来する農地の生産力と定義されています。気候や造り手の判断はこの語には含まれません。

国はぶどう畑の土を調べているのですか。

ぶどう畑としてではなく、農地として調べています。国土調査法にもとづく土地分類基本調査の一つが土壌の調査で、昭和三十年の土じよう調査作業規程準則が手順を定めています。農地では〇・二五平方キロメートルにつき一点、深さ一メートルの試坑を掘り、断面を十七項目、持ち帰った試料を十一項目で調べます。

土の名前に地名が付くのはなぜですか。

土じよう調査作業規程準則の第三条第四項が「統及び類の名称には地名を冠する」と定めているためです。層の特徴と母材が似た土の一群を統、それらをまとめたものを類と呼び、その名称に地名を付けることが条文で義務づけられています。テロワールという語を使わずに、土の名前と土地の名前を結びつけている数少ない条です。

ワインに賞味期限はありますか。

未開栓のワインは、適切に保管すれば長く楽しめます。熟成で味わいが深まるものもあります。開栓後は酸化が進むので、栓をして冷蔵庫に立てておき、数日以内に飲みきるのが基本です。未開栓は横置きにして、直射日光と温度変化を避けてください。

ワインの買取で見られるのはどこですか。

産地と造り手と年、そして状態です。状態では液面の位置、コルクの押し上がり、ラベルのカビや水濡れを確認します。箱や付属品が残っていると評価が上がります。

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