シャルドネとは|特徴と産地、苗を呼ぶ二つの法律

シャルドネとは|特徴と産地、苗を呼ぶ二つの法律

シャルドネは、白ワイン用のぶどう品種です。ブルゴーニュを故郷としながら、いまは世界中の産地で植えられています。品種そのものの香りが穏やかなので、土地の性格と造り手の判断がそのまま味に出る。同じ名前のワインなのに、シャープな辛口から樽の効いた濃厚なタイプまで幅が広いのは、そのためです。

この記事では、味わいの決まり方、産地ごとのスタイル、樽あり樽なしの違いをまず押さえ、後ろのほうで度数と適温、料理との合わせ方、選び方と保存に戻ります。

そのあいだに置くのが、樽から先の話です。シャルドネを寝かせる樽の材はナラ、つまりオークで、それは畑の外で育つ一本の木です。ではその木の苗は、日本の法令でどう扱われているのか。調べていくと、「種苗」という同じ二文字を、二本の法律が別々の意味で使っていることに行き当たります。片方の定義は一行で終わり、もう片方は政令が名指しした八つの樹種にしか掛からない。しかも広いほうの法律は、表示規制の入口で林業の木を自分から外している。結果として、樽になるナラの苗はどちらの表示制度からも外れます。同じ種苗法のもとでぶどうの苗木が表示義務を負うのに、です。そして林業種苗法のただ一か所、輸入の条文だけが括弧書きで八つの外を引き戻します。定義が二つあると、同じ「苗」が別々の道を通る。その分かれ方を条文と表の行数で追います。

シャルドネとは|白ブドウの女王と呼ばれる理由

シャルドネとは|白ブドウの女王と呼ばれる理由
房は小さく、粒は密に付く

シャルドネは白ワイン用のぶどう品種です。フランス・ブルゴーニュを原産地とし、いまではフランス国内にとどまらず、アメリカ、オーストラリア、チリ、南アフリカ、そして日本まで、白ワインを造るほとんどの国で栽培されています。冷涼な土地でも温暖な土地でも実を付ける適応力の広さが、この分布を支えています。

「白ブドウの女王」という呼び名は、公的な制度が与えた称号ではありません。生産量の多さと、造りの幅の広さから、市場と書き手が使ってきた通称です。この記事でもその意味で使います。

品種そのものは静かで、造りが声を出す

ソーヴィニヨン・ブランやゲヴュルツトラミネールのように、品種固有の香りが強く前に出るタイプの白ぶどうがあります。シャルドネはその反対側にいます。果実そのものの香りは穏やかで、輪郭がやわらかい。だから土地の気候、収穫のタイミング、発酵の容器、熟成に樽を使うかどうか、乳酸菌による発酵を通すかどうかといった判断が、そのまま味の表情になります。

言い換えると、シャルドネのラベルからは味が読めません。読めるのは産地と造り手までです。冷涼な産地の樽なしと、温暖な産地の樽ありでは、同じ品種とは思えないほど違います。リースリングのように品種の輪郭がはっきり残るタイプと比べると、この差は分かりやすいはずです。

親は二つ|一九九九年の遺伝子研究が示したこと

シャルドネの出自については、一九九九年に科学誌サイエンスへ発表された研究がよく引かれます。カリフォルニア大学デービス校とフランスの研究機関による共同研究で、三百を超える品種のマイクロサテライト領域を比べ、北東フランスで古くから栽培されてきた十六の品種が、ピノとグーエ・ブランという一組の親の子であることと矛盾しない遺伝子型を持つと報告しました。シャルドネはその十六のうちの一つです。

研究が示したのは「矛盾しない」という関係で、中世の畑で誰かが意図して交配した記録が見つかったわけではありません。ピノ・ノワールとシャルドネが同じ土地で並んで扱われてきたのには、こうした背景もあります。

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白ワインの棚から選ぶ

シャルドネを軸にワインを探すなら、産地の切り口が使いやすいはずです。ブルゴーニュの白はブルゴーニュワインの一覧から、シャルドネ主体の泡はシャンパンの一覧から辿れます。産地をまたいで見比べたいときはワインの一覧が広く拾えます。

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ここではワインの在庫から一部を掲載しています。価格・在庫・箱の有無は各商品ページでご確認いただけます。

シャルドネ代表銘柄30種を比較

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特級から新世界まで並べた

下の表は、シャルドネで造られる代表的な銘柄を三十本並べたものです。ブルゴーニュの特級とプルミエ・クリュ、シャブリ、マコン、カリフォルニアの著名生産者、オーストラリアや南米、日本、そしてシャルドネ百パーセントのブラン・ド・ブランまでを含みます。

この表は定価の一覧ではありません。ワインは同じ銘柄でも造り年によって流通価格が動き、希望小売価格が公表されていないものが多いためです。比べるときは、まず産地と造り手、そして樽の使い方の三点を見てください。

シャルドネ代表銘柄30種を比較(世界の白ワイン&ブラン・ド・ブラン)
白ブドウの女王シャルドネから生まれる世界の白ワイン30銘柄を横断比較。ブルゴーニュのモンラッシェ・ムルソー・コルトンシャルルマーニュ・シャブリ・マコンを軸に、カリフォルニア・オーストラリア・イタリア・アルゼンチン・チリ・日本、さらにシャルドネ100%のブラン・ド・ブラン(サロン等)まで。樽香リッチ系からミネラル系まで、産地・スタイル・度数・特徴を一覧できます。
画像 銘柄・スコア 定価
市場相場
特徴 リンクサス酒販
本命
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ブシャール ペール エ フィス モンラッシェ 特級1特級・最高峰 ブシャール ペール エ フィス モンラッシェ 特級
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白ワインの頂点モンラッシェ。シャルドネの究極形。

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ブシャール シュヴァリエ・モンラッシェ 特級2特級・長命 ブシャール シュヴァリエ・モンラッシェ 特級
市場相場70,000〜90,000円前後(750ml・実勢・2026年6月時点)
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モンラッシェの丘の上に広がる特級。緊張感ある気品。

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ポール・ペルノ バタール・モンラッシェ 特級3特級・豊満 ポール・ペルノ バタール・モンラッシェ 特級
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ピュリニーの名手が造る、豊満な特級バタール。

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ルイ・ラトゥール コルトン・シャルルマーニュ 特級4特級・力強い ルイ・ラトゥール コルトン・シャルルマーニュ 特級
市場相場は流通量が少なく、確認できる範囲でも売り手によって開きが大きい(750ml)。当店価格は各行のリンクサス酒販の欄を参照してほしい。
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ブルゴーニュ白の雄、堂々たる特級コルトン。

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ピュリニーの女王ルフレーヴの、純度高い1級。

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コシュ・デュリ ムルソー1er ペリエール6超希少・最高峰 コシュ・デュリ ムルソー1er ペリエール
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ムルソー最高峰の造り手、伝説的な1級ペリエール。

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コント・ラフォン ムルソー1er ペリエール 200671級・名門 コント・ラフォン ムルソー1er ペリエール 2006
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ムルソーの名門ラフォンが手がける、深遠な1級。

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コント・ラフォン ムルソー・シャルム1er 200681級・優雅 コント・ラフォン ムルソー・シャルム1er 2006
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ムルソーの優雅な1級シャルム。丸みと厚み。

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コント・ラフォン ムルソー 20119村名・名門 コント・ラフォン ムルソー 2011
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名門ラフォンの村名ムルソー。入口に最適。

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マコン・ヴィラージュ レ・ゼリティエール・デュ・コント・ラフォン 201910入門・コスパ マコン・ヴィラージュ レ・ゼリティエール・デュ・コント・ラフォン 2019
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ラフォンが手がける、手頃で瑞々しいマコン。

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11特級・ミネラル シャブリ グラン・クリュ(レ・クロ等)
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樽に頼らない、ミネラル全開のシャルドネの極み。

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シャブリ(村名)12定番・爽快 シャブリ(村名)
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牡蠣に合う、シャープで爽快な定番シャブリ。

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13銘醸・コスパ プイィ・フュイッセ
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マコンの銘醸、厚みとコスパを兼ねる人気白。

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キスラー シャルドネ 201514加州・名門 キスラー シャルドネ 2015
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ソノマの名門、ブルゴーニュ流の高級加州シャルドネ。

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ピーター・マイケル キュヴェ・アンディジェーヌ 201015加州・凝縮 ピーター・マイケル キュヴェ・アンディジェーヌ 2010
市場相場33,000〜45,000円前後(750ml・実勢・2026年6月時点)
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凝縮感あふれる、贅沢な加州プレミアム。

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マーカッシン シャルドネ 200616超希少・カルト マーカッシン シャルドネ 2006
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入手困難なカルトシャルドネ、官能的な凝縮。

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17加州・歴史的名門 シャトー・モンテレーナ シャルドネ(ナパ)
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“パリスの審判”の勝者、歴史を変えた加州の名門。

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ドメーヌ・ミエ・イケノ シャルドネ 月香 201818日本・トップ ドメーヌ・ミエ・イケノ シャルドネ 月香 2018
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日本ワインのトップ、繊細な国産シャルドネ。

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シャトー・メルシャン 北信シャルドネ アンウッデッド 201819日本・入門 シャトー・メルシャン 北信シャルドネ アンウッデッド 2018
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樽なしで果実そのまま、日本の良心的シャルドネ。

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20豪州・最高峰 リーウィン・エステート アートシリーズ シャルドネ
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豪州最高峰、世界が認めるマーガレットリバー。

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21豪州・威信 ペンフォールズ ヤッタルナ シャルドネ
市場相場12,000〜20,000円前後(750ml・実勢・2026年6月時点)
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“白いグランジ”、豪州が威信をかけた最高峰。

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オー・ボン・クリマ シャルドネ22加州・バランス オー・ボン・クリマ シャルドネ
市場相場4,000〜7,000円前後(750ml・実勢・2026年6月時点)
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ブルゴーニュ流の良心、バランス型の加州。

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ロンバウアー シャルドネ23加州・濃厚 ロンバウアー シャルドネ
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“バタリー”の代名詞、濃厚甘やかな加州。

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ケンダル・ジャクソン ヴィントナーズ・リザーブ シャルドネ24定番・入門 ケンダル・ジャクソン ヴィントナーズ・リザーブ シャルドネ
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米国No.1級の定番、親しみやすい毎日のシャルドネ。

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ガヤ ガイア&レイ シャルドネ25伊・別格 ガヤ ガイア&レイ シャルドネ
市場相場25,000〜40,000円前後(750ml・実勢・2026年6月時点)
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イタリアの帝王ガヤが手がける、別格のシャルドネ。

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カテナ・サパータ アドリアナ・ヴィンヤード シャルドネ26亜・高標高 カテナ・サパータ アドリアナ・ヴィンヤード シャルドネ
市場相場5,000〜9,000円前後(750ml・実勢・2026年6月時点)
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アンデス高標高が生む、純度の高い新世界白。

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27チリ・コスパ エラスリス アコンカグア・コスタ シャルドネ
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海風の冷涼産地、コスパ抜群のチリ白。

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市場相場150,000〜180,000円前後(750ml・実勢・2026年6月時点)
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幻のシャンパーニュ、シャルドネ100%の頂点。

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アルマン・ド・ブリニャック ブラン・ド・ブラン シルバー29ブラン・ド・ブラン・豪華 アルマン・ド・ブリニャック ブラン・ド・ブラン シルバー
市場相場100,000〜130,000円前後(750ml・実勢・2026年6月時点)
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メタルボトルの華、シャルドネ100%の贅沢な泡。

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ペリエ・ジュエ ベル・エポック ブラン・ド・ブラン 201430ブラン・ド・ブラン・名花 ペリエ・ジュエ ベル・エポック ブラン・ド・ブラン 2014
市場相場70,000〜90,000円前後(750ml・実勢・2026年6月時点)
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アネモネボトルの名花、繊細なシャルドネの泡。

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ワインは銘柄ごとに希望小売価格を公表しないものが大半のため、定価(list_price)は掲載せず市場相場の目安のみを記載しています(2026年6月時点の実勢・750ml)。ヴィンテージや流通状況により価格は大きく変動し、楽天/Amazonは同一年・同一品が見つからない場合は空欄となります。樽香の効いたリッチなスタイルが好みならカリフォルニアやムルソー系、シャープでミネラル感のあるスタイルが好みならシャブリ系を起点に選ぶと、自分好みのシャルドネに出会いやすくなります。

主な産地とスタイル

主な産地とスタイル
斜面の向きで日照が変わる

シャルドネの味を決めるいちばん大きな要素は、産地の気温です。冷涼な土地では酸が残り、果実は柑橘や青リンゴの方向に寄ります。温暖な土地では糖が上がり、酸が下がり、洋梨や熱帯果実の方向へ動きます。同じ造り方をしても、この差だけで印象が変わります。

ブルゴーニュ|北のシャブリから南のマコンまで

ブルゴーニュは南北に長い産地です。北端のシャブリは大陸性気候で、酸が高く、輪郭のシャープな辛口になります。中央のコート・ド・ボーヌにはムルソーやモンラッシェの名を持つ白の銘醸村が並び、樽を使った厚みのあるスタイルが中心です。南のマコネでは日照が増え、価格を抑えた飲みやすい辛口が多くなります。村ごとの違いはモンラッシェとシャサーニュ・ピュリニーの違いで細かく見られます。

シャブリの生産条件は、品種の項が一行で終わる

シャブリは産地の名前であって、品種の名前ではありません。ただし中身はシャルドネです。フランスの国立原産地・品質研究所(INAO)がシャブリの生産条件として公開している文書は、品種構成の項をこう書いています。

V. - Encépagement
Les vins sont issus exclusivement du cépage chardonnay B.

INAO「CAHIER DES CHARGES DE L’APPELLATION D’ORIGINE CONTRÔLEE « CHABLIS »」

「ワインはシャルドネのみから造られる」。末尾のBは白ぶどうであることを示すINAOの記号で、品種名の一部ではありません。副次品種も補助品種も置かず、一行で終わります。同じ文書は、シャブリのワインが一九二九年の判決で定められた条件を土台に一九三八年に原産地統制呼称として認められたこと、植栽密度が一ヘクタールあたり最低五千五百株であることも書いています。なお、この文書は二〇二五年六月二十三日の全国委員会の意見を受けて全国異議申立手続に掛けられている版で、冒頭に最終的な文言を予断するものではないという断り書きが付いています。シャブリの飲み口の違いはシャブリの種類と特徴にまとめてあります。

新世界|カリフォルニア、オーストラリア、日本

カリフォルニアのシャルドネは、日照の強さから果実が濃く、樽と乳酸発酵を効かせたリッチなスタイルが知られています。オーストラリアも近い性格ですが、どちらも近年は冷涼な区画で酸を残す造りが増え、一枚岩ではなくなりました。

日本では長野、山梨、北海道を中心にシャルドネが植えられています。冷涼な気候を生かした酸のある辛口が多く、樽の使い方も控えめです。ヴィンテージワインの側から遡ると、日本のシャルドネが評価され始めた時期の輪郭もつかめます。

樽あり・樽なし|二つのスタイル

樽あり・樽なし|二つのスタイル
樽は容器であり、材料でもある

シャルドネの味を二つに分ける最大の分岐は、樽を使うかどうかです。ステンレスタンクだけで発酵と熟成を済ませれば、果実と酸がそのまま出ます。オーク樽で発酵させたり熟成させたりすると、木由来のバニラやトースト、ナッツの香りが乗り、口当たりに厚みが出ます。

樽の効き方は、新樽の比率、樽の大きさ、内側を焼く強さ、入れておく期間で変わります。新樽が多く、焼きが強く、期間が長いほど木の性格が前に出ます。

乳酸発酵を通すかどうかで、口当たりが変わる

もう一つの分岐が、マロラクティック発酵です。ワインの中のリンゴ酸を乳酸菌が乳酸に変える工程で、これを通すと酸が丸くなり、乳製品を思わせる風味が出ます。冷涼産地のシャープさを残したい造り手は、この発酵を止めることがあります。樽の有無とこの発酵の有無を掛け合わせると、四通りの方向が生まれます。自然派ワインではこの工程を管理しない選択も語られます。

樽になる木は、ナラ(オーク)という一本の木

ここから話が畑の外へ出ます。ワインの樽に使われるのはオーク、日本語でいうナラの仲間です。ワイン用ではフランス産のオークとアメリカンホワイトオークが代表で、ウイスキーの世界では日本のミズナラも使われます。ミズナラ樽の性格はミズナラにまとめてあります。

ここから先で見るのは、日本で植えられるナラの苗です。木は、切ってから樽になるまでに時間が掛かります。樽材に使える太さになるには何十年もかかり、そのあと乾燥にも年単位の時間が要ります。つまり樽は、ぶどうよりもずっと長い時間の先にある材料です。そして、その時間の起点には一本の苗木があります。日本の法令は、その苗木をどう扱っているのでしょうか。

同じ「種苗」の二文字を、二本の法律が別々に定義する

同じ「種苗」の二文字を、二本の法律が別々に定義する
畑の外にも苗の制度がある

e-Gov法令検索で「種苗」を横断検索すると、この語を含む法令は百五十二本あります。うち六本は廃止済みなので、現行は百四十六本。その百五十二本を全部落として全文を数えると、出現は合わせて九百八回になります。ところが同じ本文を「「種苗」とは」で機械照合すると、自分でこの語を定義している法令は二本しかありません。種苗法と、林業種苗法です。他法令の定義を借りる形なら三本目があり、森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法第二条第二項が「種苗(林業種苗法第二条第一項に規定する種苗をいう。以下同じ。)」と置いています。

二本は、同じ二文字にまったく違う長さの定義を与えています。

この法律において「種苗」とは、植物体の全部又は一部で繁殖の用に供されるものをいう。

種苗法(平成十年法律第八十三号)第二条第三項

一行です。植物体の一部で繁殖に使うものなら、何でも入ります。種でも、挿し木の枝でも、球根でも、条件は付きません。もう一本はこうです。

この法律において「種苗」とは、林業の用に供される樹木の繁殖の用に供される種子、穂木、茎、根及び苗木(幼苗を含む。以下同じ。)であつて、政令で定める樹種に係るものをいう。

林業種苗法(昭和四十五年法律第八十九号)第二条第一項

絞りが三重に掛かっています。まず「林業の用に供される樹木」であること。次に、その繁殖に使う物が種子・穂木・茎・根・苗木のいずれかであること。そして最後に、政令が名指しした樹種に係るものであること。この三つ目が効きます。政令に載っていない木は、どれだけ立派な苗でも、この法律のいう「種苗」ではありません。

二つの定義を並べる

比べる点 種苗法 第二条第三項 林業種苗法 第二条第一項
定義の長さ 四十一字(「この法律において」から句点まで) 八十四字(同じ数え方)
対象の範囲 植物体の全部又は一部で繁殖の用に供されるもの 林業の用に供される樹木のうち、政令で定める樹種に係るもの
政令の役割 「種苗」の定義には出てこない 樹種を名指しして範囲を確定する
法律の公布年 一九九八年 一九七〇年
現行版の施行日 二〇二六年七月二十四日 二〇一七年四月一日
本則の条数 八十七か条(第一条〜第七十五条と枝番) 三十六か条(第一条〜第三十五条と第十六条の二)
章立て 四章(総則・品種登録制度・指定種苗・罰則) 章を置かず条を並べる

公布年が二十八年離れています。ただし、これは現行版どうしを比べた数字です。どちらにも前身があり、いまの林業種苗法は附則で昭和十四年法律第十六号の同名の法律を廃止し、いまの種苗法は昭和二十二年法律第百十五号の後身にあたります。年代の順番の話としてではなく、二本がどう仕事を分けたかの話として読むほうが早い。なお、林業側がなぜ八つの樹種に絞られたのかは、条文からは読み取れません。

広いほうの法律は、表示の入口で林業の木を自分から外す

種苗法には、表示規制の章があります。第三章「指定種苗」がそれで、苗や種を売るときに何を書かなければならないかを定めています。その「指定種苗」の定義を見ると、括弧書きが一つ挟まっています。

この法律において「指定種苗」とは、種苗(林業の用に供される樹木の種苗を除く。)のうち、種子、胞子、茎、根、苗、苗木、穂木、台木、種菌その他政令で定めるもので品質の識別を容易にするため販売に際して一定の事項を表示する必要があるものとして農林水産大臣が指定するものをいい

種苗法 第二条第六項(前段)

「林業の用に供される樹木の種苗を除く」。定義の側では何でも入る広さを取っておいて、表示規制に掛けるときだけ林業の木を外しています。外した先は、林業種苗法です。表示のことは向こうの法律に任せる、という切り分けになっています。

ただし、括弧を通れば自動的に表示義務が付くわけではありません。条文の末尾は「農林水産大臣が指定するもの」で終わっていて、告示に載って初めて指定種苗になります。その告示が平成十七年五月二十日農林水産省告示第九百二十号で、穀類、豆類、いも類、工芸農作物、野菜、飼料作物、果樹、花き、芝草、そしてきのこの種菌の十号を並べています。第七号は「果樹のうち、あんず、いちじく、うめ、おうとう(中略)、かき、かんきつ、キウイフルーツ、くり、くるみ、すもも、なし、びわ、ぶどう、もも及びりんごの苗木及び穂木」。ぶどうが名指しされています。つまりシャルドネの苗木を種苗業者として売るなら、種苗法第五十九条第一項の表示義務が掛かります。この告示は根拠条文を「第二条第五項」と書いていますが、これは指定種苗の定義が第五項に置かれていた当時の項番号で、いまは第六項です。二〇〇五年の告示が、項番号のずれを抱えたまま生きています。

なお「指定種苗」という四文字は、植物防疫法第十三条が「農林水産大臣の指定する繁殖の用に供する植物」という別の意味で使っています。同じ言葉が別の法律で別の物を指すのは、「種苗」だけではありません。

この括弧の直後に並ぶ列挙も面白いところです。種子・胞子・茎・根・苗・苗木・穂木・台木・種菌の九つを法律が書き、その先を政令へ送っています。では政令が足したのは何か。種苗法施行令第三条は「法第二条第六項の政令で定めるものは、葉及び芽とする。」の一文だけです。九つの列挙に、葉と芽の二つを足して十一です。

種苗法のもう一つの柱である品種登録と育成者権が、なぜシャルドネのような古い品種に掛からないのかはピノ・ノワールで、加工した先まで権利が届くかどうかは日本酒で扱いました。この記事は表示と苗の側だけを見ます。

政令が名指しした八つの樹種と、そこに無いナラ

政令が名指しした八つの樹種と、そこに無いナラ
名簿に載る木と、載らない木

林業種苗法の「種苗」を確定させる政令は、林業種苗法施行令です。題名・法令番号・制定文、附則まで含めて改行を除くと千五百五十四字。法律本体が一万四千二百七十二字なので、その一割ほどしかありません。その短い政令の第一条が、この法律の射程を決めています。

林業種苗法(以下「法」という。)第二条第一項の政令で定める樹種は、すぎ、ひのき、あかまつ、くろまつ、からまつ、えぞまつ、とどまつ及びりゆうきゆうまつとする。

林業種苗法施行令(昭和四十五年政令第百九十四号)第一条

八つです。すぎ、ひのき、あかまつ、くろまつ、からまつ、えぞまつ、とどまつ、りゅうきゅうまつ。全部が針葉樹で、建築用材として植えられてきた木です。表記もそのままで、条文は「りゆうきゆうまつ」と、拗音を小書きにしない古い書き方を残しています。この政令の現行版が施行されたのは二〇〇〇年四月一日です。

ナラは、ここにいません。カシもブナもいません。樽の材になる広葉樹は、一つも名指しされていない。したがって、樽になるナラの苗木は林業種苗法のいう「種苗」ではなく、生産事業者の登録も、配布のときの表示票も、この法律からは掛かりません。

種苗法の別表で「林木」は十三行しかない

では、除外された側の種苗法はどうか。表示規制からは外れましたが、林業の木が種苗法の視野から消えるわけではありません。種苗法第二条第一項の「農林水産植物」は「農産物、林産物及び水産物の生産のために栽培される」植物なので、林産物のための木も正面から入ります。

その農林水産植物を区分ごとに並べたのが、種苗法施行規則の別表第一です。品種登録できる植物の名簿ではなく、審査で見る「重要な形質」を区分ごとに定めるための表で、区分と、農林水産植物の和名・学名を対応させています。見出しの一行を入れて九百十一行、データは九百十行あります。

その区分の内訳を数えると、草花が四百三十二、観賞樹が二百十七、野菜が七十三、果樹が五十、工芸作物が三十五、きのこが三十二、飼料作物が二十九、食用作物が二十三、海草が四。ほかに「草花・工芸作物」と「食用植物」が一行ずつあり、区分の書き方は全部で十二通りです。そして「林木」は十三行しかありません。

ちなみにシャルドネのぶどうは、この表では区分「果樹」の五十行のうちの一行です。この表がブドウを属で載せていることはピノ・ノワールでも触れました。

「林木」十三行を全部書き出すと、トドマツ、ヒノキ、クスノキ、スギ、ハスノハギリ、カラマツ、メタセコイア、キリ、ニヨウマツ(学名がPinus densifloraのアカマツとPinus thunbergiiのクロマツで二行)、イヌマキ、ハコヤナギ(ポプラ)、アキニレになります。ここにも、ナラはありません。学名で機械照合すると、ナラ属を表すQuercusは別表第一に一件も出てきません。ブナ属のFagusも同じく零件です。

二つの名簿を突き合わせる

樹種 林業種苗法施行令 第一条 種苗法施行規則 別表第一「林木」
すぎ/スギ 載る 載る
ひのき/ヒノキ 載る 載る
あかまつ/くろまつ 載る 載る(ニヨウマツとして二行)
からまつ/カラマツ 載る 載る
とどまつ/トドマツ 載る 載る
えぞまつ 載る 載らない
りゅうきゅうまつ 載る 載らない
クスノキ・キリ・イヌマキなど七行 載らない 載る
ナラ(オーク) 載らない 載らない

八つのうち六つは両方に載り、えぞまつとりゅうきゅうまつは片方だけです。逆に別表第一の側にだけ載る木が七行あります。二つの表は、規制の射程を決める名簿と、形質審査の区分表という別々の目的で「林業の木」を選んでいて、重なりは完全ではありません。そして樽になるナラは、どちらにも出てきません。出願書の学名を書く別表第二には、掲げられていない属も出願できるただし書があるので、載らないことが登録の道を閉じるわけではありませんが、名前を持っていないことに変わりはありません。

同じ省令が、よい木とわるい木を鏡のような言葉で書く

八つに入った樹種については、条文がかなり細かいところまで降りていきます。林業種苗法施行規則の別表は、優良な穂を採るための母樹の基準を並べ、よい木の条件を「幹の通直性、真円性、細枝性、自然落枝性」という四語で表しています。まっすぐで、断面が丸く、枝が細く、下枝が自然に落ちること。種を採るための普通母樹林なら、その特性を数多く備えた木が集団の七十五パーセント以上を占め、採取を禁じられた木から一キロメートル以上離れていることも要ります。

その裏返しが同じ省令の第二十八条です。採取を禁じる対象を、「材積成長量がきわめて小さい樹木であつて、幹がわん曲していること、枝が太いこと」その他きわめて好ましくない特徴を備えたもの、またはそうした木が五十パーセント以上を占める集団と書いています。まっすぐの反対がわん曲、細枝の反対が太い枝。ただし対応しているのは四語のうち二語で、真円性と自然落枝性には裏返しの言葉が当てられていません。

採る時期も樹種で割れます。第二十七条は、都道府県知事が種子を採ってよい最初の日を指定するときの下限を、すぎ・ひのき・あかまつ・くろまつ・りゅうきゅうまつは九月二十日、からまつ・とどまつは九月一日、えぞまつは九月十日と定めています。八つの樹種が三つの日付に振り分けられている。ぶどうの収穫が畑ごとに前後するのと同じで、木にも採り時があり、それが省令の条文になっています。

もっとも、名簿から漏れることと規制が無いことは違います。外にいるのは表示と登録であって、規制一般ではありません。輸入の側では、植物防疫法施行規則の別表一の二がアメリカ合衆国産の「くり属植物及びこなら属植物の生植物(種子及び果実を除く。)であつて栽培の用に供するもの」を名指しし、ナラ類しおれ病菌の栽培地検査を条件にしています。こなら属はナラの仲間です。輸入検疫の仕組みそのものはピノ・ノワールの側で追いました。

林業種苗法でただ一か所、輸入の条だけが八つの外を引き戻す

その林業種苗法にも、一か所だけ、八つの外を条文へ引き戻す場所があります。第二十五条第一項、外国産の種苗についての条です。

政府は、外国産の劣悪な種苗(林業の用に供される樹木の繁殖の用に供される種子、穂木、茎、根及び苗木(幼苗を含む。)であつて、第二条第一項の政令で定める樹種以外の樹種に係るものを含む。以下この項において同じ。)が輸入されることにより

林業種苗法 第二十五条第一項

括弧の中で、第二条第一項の定義をもう一度書き直したうえで、「政令で定める樹種以外の樹種に係るものを含む」と足しています。つまり輸入の場面に限っては、八つに入らない木の苗も「種苗」として扱われる。国内の登録や表示は八つだけ、輸入に対する政府の措置は八つの外まで、という二段構えです。

ただし括弧の効き目は「以下この項において同じ」と限られています。輸出について措置を定める第二項の「種苗」は、八つのままです。

苗木に付ける札は、書ける事項まで決まっている

苗木に付ける札は、書ける事項まで決まっている
札は情報を足すためだけの物ではない

八つの樹種に入った苗には、配るときに札が付きます。林業種苗法第十八条第一項が、生産事業者表示票という札を容器や包装の外側に付けることを義務づけ、書くべき事項を五号に分けて並べています。第一号は「生産事業者表示票という文字」、第二号は種苗の樹種、第三号は生産事業者の氏名または名称と住所、第四号は採取や育成の場所と、その木が指定された採取源だったときはその種別。第五号が農林水産省令への委任です。

受け皿の林業種苗法施行規則第十八条は、三つを足します。種苗の数量、種穂なら採取の年月・苗木ならその苗齢、そして指定採取源から採ったものならその指定番号。合わせて七つの事項が札に載ります。

札の付け方まで書いてある

同じ省令の第十六条は、札をどう付けるかを書いています。容器や包装を使うならその外側の見やすい場所に、「針金で結びつける方法その他容器又は包装から容易に離れない方法で」添付する。容器も包装も使わない場合は、荷口ごと、または一箇ごとの見やすい場所に付ける。付け方の例として、条文が針金という具体的な語を選んでいます。

書いてよいことと、書いてはいけないこと

この札の面白いところは、書くべき事項を決めるだけで終わらない点です。法第十八条第三項は、各号の事項と商標および商号、荷口番号および出荷年月日、その他省令で定める事項「以外の事項を表示し、又は虚偽の表示をしてはならない」と定めています。足りないことだけでなく、余計なことも禁じられている。

では省令が許した「その他」は何か。施行規則第二十一条が八号を並べます。種苗の銘柄(特性を表す用語を含む)、種子なら発芽率とその鑑定機関名・鑑定年月日、苗木なら根元径と苗長の規格とその検査機関名・検査年月日、生産事業者の登録番号、所属する団体の名称、都道府県知事が特に定めている名称や略号、種苗の生産国名など輸出入に際して通常付される表示事項、増殖した特定母樹から採った種穂か特定苗木かの別。そして第八号が、表示票の記載事項を載せたウェブサイトのアドレスで、二次元コードその他これに代わるものを含むと書かれています。この八つと、法律が名指しした商標・商号・荷口番号・出荷年月日の外は、書けません。QRコードを一つ貼るのにも、省令の一号が要ります。

ワインのラベルにも表示義務はありますが、そちらは酸化防止剤の表示のように「書かなければならない」側から組み立てられています。書いてよいことのほうを閉じるという設計は、この省令の側の特徴です。

罰金は三万円のまま|「当分の間」が七十七年

札を付けずに配ったり、許されていない事項を書いたりしたときの罰は、林業種苗法第三十二条が定めています。三万円以下の罰金です。帳簿を備えなかった場合などは第三十三条で一万円以下。第三十四条が両罰規定です。

三万円と一万円という桁は、いまの物価から見ると小さく映ります。ここに一本、古い法律が挟まります。罰金等臨時措置法は「経済事情の変動に伴う罰金及び科料の額等に関する特例は、当分の間、この法律の定めるところによる」と第一条で述べ、第二条で、刑法などを除く罪について定めた罰金は「その多額が二万円に満たないときはこれを二万円とし」と読み替えます。したがって第三十三条の一万円以下は二万円以下として扱われ、第三十二条の三万円はもともと二万円を超えているので動きません。この「当分の間」は、一九四九年二月一日の施行から七十七年が過ぎました。

種苗法の側と比べると差がはっきりします。指定種苗について虚偽の表示をして販売した場合は第七十一条で五十万円以下の罰金。育成者権の侵害は第六十七条で十年以下の拘禁刑もしくは千万円以下の罰金、またはその併科で、第七十三条の両罰規定は法人に三億円以下の罰金刑を科します。どちらも目的の条文に表示を書き込んでいます。種苗法第一条は「指定種苗の表示に関する規制等について定める」と言い、林業種苗法第一条は「配布の際の表示の適正化等に関する措置を定める」と言う。それでいて表示違反の罰金の上限は、三万円と五十万円に分かれています。

度数と適温、料理との合わせ方

度数と適温、料理との合わせ方
合わせる相手は品種より造り

シャルドネのアルコール度数は、多くが十二・五から十四パーセントの間に収まります。冷涼な産地のものは低めに寄り、日照の強い産地で完熟させたものは十四パーセントを超えることもあります。度数はラベルに書かれているので、産地の性格を推し量る手掛かりになります。ワインの度数の考え方は品種をまたいで共通です。

温度で表情が変わる

樽を使っていないシャープなタイプは、八度から十度くらいまで冷やすと酸が引き締まって気持ちよく飲めます。樽の効いた厚みのあるタイプを同じ温度まで下げると、香りが閉じて木の要素だけが残りがちです。十一度から十四度くらい、冷蔵庫から出して少し置いたあたりが合います。

迷ったら低めから始めて、温度が上がるのを待つほうが失敗しません。

料理は「造り」に合わせる

樽なしの辛口は、牡蠣や白身魚の刺身、貝類、レモンを使った前菜と相性がよく、酸が脂を切ります。樽の効いたタイプは、鶏肉のクリーム煮、ロブスター、バターを使った料理、コクのあるチーズと釣り合います。シャルドネ百パーセントの泡は前菜から揚げ物まで幅広く、脂をすっきり流します。シャンパンのブラン・ド・ブランがその代表です。

選び方と保存・飲み頃

選び方と保存・飲み頃
ラベルから読めるのは産地まで

シャルドネは品種名だけでは味が決まらないので、選ぶときの手掛かりを三つに絞ると迷いにくくなります。第一に産地の緯度と気候。冷涼ならシャープ、温暖ならふくよかです。第二に樽の使い方。裏ラベルや商品説明に「樽熟成」「アンウッデッド」といった言葉があれば、そこが分岐点です。第三に等級。ブルゴーニュなら地方名、村名、プルミエ・クリュ、グラン・クリュと段が上がります。

保存と飲み頃

未開栓のワインは、直射日光と温度変化を避けて横に寝かせるのが基本です。コルクを乾かさないためで、スクリューキャップのものは立てても構いません。

飲み頃は造りによって幅があります。手頃な価格帯の樽なしタイプは若いうちが持ち味で、ブルゴーニュの村名以上や樽の効いたものは五年から十年を超えて伸びることもあります。開けたあとは酸化が進むので、栓をして冷蔵庫に入れ、二、三日のうちに飲み切ってください。ウイスキーのように開栓後も長く置ける酒とは、ここが違います。

飲まないワイン・洋酒の査定・買取はリンクサスへ

飲まないワイン・洋酒の査定・買取はリンクサスへ
状態のよいうちに相談を

林業種苗法施行規則第三十条は、生産事業者と配布事業者が備える帳簿の保存期間を五年と定めています。木の一生からすれば短い期間ですが、記録が残っているかどうかで後から言えることが変わります。

棚のワインも似ています。買ったときの気分のまま何年も置かれた一本は、液面が下がり、ラベルが日に焼けて、価値の側が静かに動いていきます。

リンクサス酒販は、ブルゴーニュの銘醸白やシャルドネ主体のシャンパーニュを含む、未開栓のワイン・洋酒の買取に対応しています。液面の下がり方、コルクやキャップの状態、ラベルの傷み、箱など付属品の有無が評価に効きます。直射日光と高温多湿を避け、状態の良いうちに相談してください。品揃えはリンクサス酒販の公式サイトから確認できます。当日十四時までのご注文で当日発送に対応しています。ワインの一覧もあわせて見てください。

よくある質問

よくある質問
迷いやすいところを集めた
シャルドネとはどんなワインですか?

フランス・ブルゴーニュを原産とする白ワイン用のぶどう品種で、いまは世界中で栽培されています。品種そのものの香りが穏やかなため、産地の気候と造り方で味わいが大きく変わります。シャブリのようなシャープでミネラリーな辛口から、樽と乳酸発酵を効かせた濃厚なタイプまで幅が広く、白ブドウの女王とも呼ばれます。

シャルドネとシャブリは何が違うのですか?

シャブリはぶどうの品種名ではなく、ブルゴーニュ北部の産地名です。INAOが公開しているシャブリの生産条件(二〇二五年六月の異議申立手続版)は、品種構成の項を「ワインはシャルドネのみから造られる」の一行で終えています。つまりシャブリはシャルドネで造られる白ワインの一つで、樽を抑えたシャープなスタイルが特徴です。

シャルドネは甘口ですか辛口ですか?

基本的に辛口です。完熟した果実味や樽由来のバニラの香りから甘く感じられることがありますが、糖分はほとんど残っていません。冷涼な産地はシャープな辛口、温暖な産地はふくよかな辛口になり、甘く感じる度合いは産地と造りによって変わります。

「樽あり」と「樽なし」はどこで見分けますか?

裏ラベルや商品説明の言葉が手掛かりです。「樽熟成」「オーク樽」「バリック」とあれば樽あり、「アンウッデッド」「ステンレスタンク発酵」とあれば樽なしです。書かれていない場合は、産地とスタイルから推し量ります。

アルコール度数と適温の目安を教えてください。

度数はおおむね十二・五から十四パーセントの間です。樽を使っていないシャープなタイプは八度から十度、樽の効いた厚みのあるタイプは十一度から十四度くらいが飲みやすい温度です。迷ったら低めから始めて、温度が上がるのを待つほうが失敗しません。

シャルドネに合う料理は何ですか?

造りに合わせて選ぶのがこつです。樽なしの辛口は牡蠣や白身魚の刺身、貝類、レモンを使った前菜と好相性です。樽の効いたタイプは鶏肉のクリーム煮、ロブスター、バターを使った料理、コクのあるチーズと釣り合います。シャルドネ百パーセントの泡は前菜から揚げ物まで幅広く合います。

ワインの樽に使うオークの苗木にも法律の規制がありますか?

日本の林業種苗法は、苗木の生産事業者に登録を求め、配るときに表示票を付けることを義務づけていますが、対象は林業種苗法施行令第一条が名指しした八つの樹種に限られます。すぎ、ひのき、あかまつ、くろまつ、からまつ、えぞまつ、とどまつ、りゅうきゅうまつです。ナラは入っていないため、樽材になるナラの苗はこの法律の「種苗」に当たりません。ただし表示と登録の外というだけで、輸入の場面では植物防疫法施行規則がこなら属の生植物を名指しして検査を課しています。

「種苗」という言葉は法律によって意味が違うのですか?

違います。e-Gov法令検索で「種苗」を含む法令は百五十二本ありますが、自分で定義を置いているのは種苗法と林業種苗法の二本です(他法令の定義を借りる形は別にあります)。種苗法第二条第三項は「植物体の全部又は一部で繁殖の用に供されるもの」と定義し(項の全文で四十一字)、林業種苗法第二条第一項は林業用の樹木で、なおかつ政令で定める樹種に係るものに限っています(同じ数え方で八十四字)。

種苗法の表示規制は、林業の木にも掛かりますか?

掛かりません。種苗法第二条第六項が「指定種苗」を定義する際、括弧書きで「林業の用に供される樹木の種苗を除く」と明記しています。表示のことは林業種苗法に任せる切り分けです。ただしこれは林業用の樹木だからこその話です。林業用でない苗木、たとえばぶどうやりんごの苗木・穂木は農林水産大臣の告示で指定種苗とされ、種苗法第五十九条第一項の表示義務を受けます(種苗業者以外の者が売る場合を除く)。

飲まないワインや洋酒は買取してもらえますか?

はい、飲みきれないワインやシャンパーニュ、洋酒はリンクサス酒販の買取窓口で査定できます。とくにモンラッシェやムルソーといったブルゴーニュの銘醸白、名門ドメーヌの一本、シャルドネ百パーセントの希少なブラン・ド・ブランは評価が付きやすい傾向です。ラベルがきれいで液面の下がりが少なく、冷暗所やセラーで保管されていたものほど高く評価されます。

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