山廃とは|生酛・速醸との違いと、酒母に課された免許

山廃とは|生酛・速醸との違いと、酒母に課された免許

山廃とは|生酛・速醸との違いと、酒母に課された免許

山廃は「山卸廃止酛(やまおろしはいしもと)」の略で、蔵に棲みつく乳酸菌の力で酒母を育てる、生酛系の伝統的な仕込み方です。ところが酒税法を開いても、施行令や施行規則をめくっても、「山廃」という語は一度も出てきません。「生酛」も「速醸」も同じです。そのかわり、山廃酛そのもの、つまり酒母は、酒税法が清酒とは別に定義し、別の免許を課し、勝手に動かすことを禁じ、罰則まで用意している独立した規制の対象です。この記事は、味わいや飲み方だけでなく、酒母が法令の中でどう扱われているかという側から山廃を読み直しました。先に一行で言うと、名前のほうは法令のどこにも書かれていないのに、その中身のほうは免許と帳簿と承認で三重に囲まれている、という非対称の話です。

山廃とは|法令の側から見た「山卸廃止酛」

山廃とは|法令の側から見た「山卸廃止酛」
棚に並ぶ日本酒の一升瓶

山廃とは、酒母を仕込むときに醸造用の乳酸を加えず、蔵に棲みついた乳酸菌が乳酸を作るのを待つ造り方です。生酛と同じ系統に属し、生酛から「山卸」というひとつの作業を外したものにあたります。日数と手間がかかるぶん、乳酸由来の幅のある酸と厚みのある旨味が出やすく、燗にしたときの伸びが持ち味になります。

ここまでは売り場でもよく聞く説明です。ところが法令の側に回ると、この言葉はまったく姿を見せません。そして姿を見せないのは名前だけで、山廃酛という物そのもの、つまり酒母は、酒税法が条を立てて定義し、免許を課し、動かし方まで決めている対象です。名前は自由、中身は厳格という組み合わせになっています。

三本の法令を数えると、山廃も生酛も速醸も零回

酒税法、酒税法施行令、酒税法施行規則の全文を取り出して、造りにまつわる語を機械的に数えてみます。

酒税法 酒税法施行令 酒税法施行規則
山廃 0回 0回 0回
山卸 0回 0回 0回
生酛(生もと) 0回 0回 0回
速醸 0回 0回 0回
乳酸 0回 0回 1回
酒母 72回 27回 18回
もろみ 61回 24回 16回
こうじ 21回 9回 9回

造り方の名前はどれも零、それを指す物の名前は、酒母だけで三本あわせて百十七回。この落差が、この記事の出発点です。ちなみに施行規則に一回だけ現れる「乳酸」は、酒母の話ではなく、保存のため清酒に混ぜても新たな製造とみなさない物品を並べた第十三条第八項にあるものです。

廃止されたのは「山卸」という作業のほう

山廃という略し方は、「山卸廃止酛」の頭とおしりを取ったものです。廃止されたのは酛ではなく、山卸のほう。山卸は、蒸米と米麹と水を仕込んだ桶の中身を、櫂で何度もすりつぶしていく作業を指します。深夜から明け方にかけて三回ほど繰り返す重労働でした。

これを外しても、米麹の酵素が米を溶かし、乳酸菌が増えて酸を作るという流れそのものは変わりません。つまり山廃と生酛の違いは、乳酸をどこから得るかではなく、米を溶かすのに人の手を使うか麹の酵素に任せるかにあります。乳酸を人が加えるかどうかで分かれるのは、生酛系と速醸系のあいだの線です。ここは二本の別の線なので、重ねて読むと混乱します。生酛の側からの見取り図は生酛とは|山廃・速醸との違いと天然乳酸菌の酒母造り・燗のおいしさにまとめています。

関連商品ラインナップ
当店で扱う日本酒の一例

当店で扱っている日本酒を並べます。裏ラベルの品目欄に入るのは「清酒」で、山廃という語はそこには現れません。造りの表記が読み手に届くのは、商品名や表ラベル、説明書きの側からです。この記事で追っている名前と中身のずれは、一枚のラベルの上にも出ています。日本酒の商品一覧から在庫を確認できます。

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ここでは日本酒の在庫から一部を掲載しています。価格・在庫・箱の有無は各商品ページでご確認いただけます。

山廃・生酛と飲み比べたい日本酒30銘柄を比較

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造りの違う日本酒を並べて比べる

山廃や生酛の銘柄と、速醸で仕込まれた定番とを、価格帯と特徴で並べました。造りの違いは飲み比べるといちばん早く分かるので、まず予算で絞り、次に燗にするかどうかで方向を決める使い方が分かりやすいはずです。価格は流通の参考値で、最安値の案内ではありません。特定名称の読み方は純米酒とは|3等以上の玄米という条件と醸造用玄米の特上・特等もあわせてどうぞ。

山廃・生酛仕込みとあわせて知りたい日本酒のおすすめ銘柄30選 比較表|速醸との飲み比べに
山廃(やまはい)は、生酛系酒母の一種で、乳酸を人工添加する速醸酛とは異なり、蔵に棲む乳酸菌の力で自然に乳酸を育てて造る伝統的な仕込み方です。手間と時間をかけるぶん、複雑な酸味とコク、奥行きのある力強い味わいが生まれます。この比較表では、山廃・生酛造りを理解する手がかりとして、入門の定番(獺祭・八海山・上善如水)から新潟淡麗(〆張鶴・久保田)、生酛造りの大七、入手困難な人気銘柄(十四代・而今・飛露喜・黒龍)まで、速醸を含む日本酒30銘柄を横断比較します。度数・味わいタイプ・産地・おすすめの温度帯・楽天/Amazonの購入先を一覧でき、山廃・生酛と速醸を飲み比べる際の基準になります。表上部のタブで『おすすめ順』『価格順』に並べ替えできます(日本酒の多くはオープン価格のため定価は非掲載、市場相場の目安のみを表示/2026年6月時点)。
価格は 2026/08/25 更新
画像 銘柄・スコア 定価
市場相場
特徴 リンクサス酒販
本命
Amazon 楽天 買取
獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分 720ml1入門の定番 獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分 720ml
★★★★★5/ 唎酒師スコア
¥3,080
公式希望小売3,080円(720ml・2026年4月改定税込)
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初めての日本酒に最適。冷酒・ワイングラスで香りを堪能。

¥4,950リンクサス最安 価格を見るAmazon 価格を見る 楽天 査定 買取
獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分 720ml2最高峰・贈答 獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分 720ml
★★★★★5/ 唎酒師スコア
¥6,380
公式希望小売6,380円(720ml箱無し・税込/紙箱入り7,150円・木箱入り7,480円。2026年8月6日に旭酒造公式サイトで確認)
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獺祭のフラッグシップ。特別な日のお祝い・贈答に。

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而今 特等雄町 純米大吟醸 720ml3希少・最高峰 而今 特等雄町 純米大吟醸 720ml
★★★★★5/ 唎酒師スコア
市場相場(希少・公式定価非公開・2026年6月時点)
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「西の而今」。雄町の個性が際立つ希少な最高峰。

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十四代 純米大吟醸 七垂二十貫 720ml4超希少・頂点 十四代 純米大吟醸 七垂二十貫 720ml
★★★★★5/ 唎酒師スコア
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十四代の中でも別格。搾りにこだわった純米大吟醸の頂点。

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十四代 本丸 秘伝玉返し 1800ml5入手困難・人気No.1級 十四代 本丸 秘伝玉返し 1800ml
★★★★★5/ 唎酒師スコア
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入手困難の代名詞。十四代の魅力を凝縮した看板酒。

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6入手困難 飛露喜 特別純米 720ml
★★★★★5/ 唎酒師スコア
市場相場4,000〜6,000円台(720ml・実勢/2026年6月時点)
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入手困難な福島の人気酒。ジューシーな旨味。

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黒龍 大吟醸 龍 720ml7上品・贈答 黒龍 大吟醸 龍 720ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
黒龍酒造は公式サイトで価格を公表していないため、定価は掲載していない。実勢は販売店により幅がある(2026年8月6日確認)
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上品な香りとキレ。贈り物にも喜ばれる福井の銘酒。

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久保田 萬寿 純米大吟醸 720ml8贈答の定番 久保田 萬寿 純米大吟醸 720ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場5,000〜6,000円台(実勢・2026年6月時点)
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久保田の最高峰。お祝い・贈答シーンの定番ギフト。

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新政 陽乃鳥 貴醸酒 720ml9個性派・甘口 新政 陽乃鳥 貴醸酒 720ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場(限定・公式定価非公開・2026年6月時点)
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甘口好き・デザート合わせに。日本酒の新しい楽しみ方。

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新政 天蛙 スパークリング 720ml10乾杯・お祝い 新政 天蛙 スパークリング 720ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場(限定・公式定価非公開・2026年6月時点)
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乾杯・お祝いに。瓶内二次発酵の自然な泡が華やか。

¥33,000リンクサス最安 価格を見るAmazon ¥36,300 楽天 査定 買取
11定番の名酒 八海山 純米吟醸 720ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場1,800〜2,500円台(720ml・実勢/2026年6月時点)
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新潟淡麗の定番。料理に寄り添うすっきり辛口。

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12新潟の名酒 〆張鶴 純 純米吟醸 720ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場2,000〜2,600円台(720ml・実勢/2026年6月時点)
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新潟淡麗のやわらかな旨口。冷酒〜ぬる燗。

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久保田 千寿 吟醸 720ml13淡麗辛口の定番 久保田 千寿 吟醸 720ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場2,000〜3,000円台(実勢・2026年6月時点)
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淡麗辛口の代表格。冷やでも、ぬる燗でも楽しめる万能型。

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獺祭 純米大吟醸45 720ml14定番スタンダード 獺祭 純米大吟醸45 720ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
¥1,782
希望小売1,782円(720ml・2026年4月改定税込)
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獺祭のいちばん身近な定番。日常の晩酌から贈り物まで。

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風の森 秋津穂 657 720ml15生酒・冷酒向き 風の森 秋津穂 657 720ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場2,000円台後半(実勢・2026年6月時点)
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無濾過生酒のフレッシュさ。よく冷やしてシュワっと。

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16生醛の代表 大七 生もと純米 1800ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場2,200〜2,800円台(1800ml・実勢/2026年6月時点)
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生醛造りの濃醇旨口。燗で旨味が開く。

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17入門に人気 上善如水 純米吟醸 720ml
★★★☆☆3/ 唎酒師スコア
市場相場1,200〜1,600円台(720ml・実勢/2026年6月時点)
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軽快フルーティで飲みやすい入門酒。

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獺祭 ブルー Type 50 720ml18話題・飲み比べ 獺祭 ブルー Type 50 720ml
★★★☆☆3/ 唎酒師スコア
市場相場4,000円台(実勢・2026年6月時点)
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話題のアメリカ醸造・獺祭。飲み比べの一杯に。

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風の森 ALPHA 5 燗SAKEの探求 720ml19燗酒向き・実験的 風の森 ALPHA 5 燗SAKEの探求 720ml
★★★☆☆3/ 唎酒師スコア
市場相場2,000円台後半(実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

燗酒の新提案。温めることで旨味が開く実験的な一本。

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20日常の定番 白鶴 まる パック 2000ml
★★★☆☆3/ 唎酒師スコア
市場相場900〜1,300円台(2000mlパック・実勢/2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

毎日の晩酌に。クセのない定番普通酒。

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菊姫 原酒 1800ml21濃厚原酒 菊姫 原酒 1800ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場2,000円台〜(1800ml・実勢/2026年6月時点)
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熟成原酒をブレンドした濃厚旨口。ロックも美味。

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22定番原酒・受賞 月桂冠 つき原酒 1800ml
★★★☆☆3/ 唎酒師スコア
市場相場1,000円台〜(1800ml・実勢/2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

コスパ良の定番原酒。IWC SAKE部門ゴールド受賞。

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ふなぐち菊水一番しぼり 200ml23生原酒・定番缶 ふなぐち菊水一番しぼり 200ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場200円台〜(200ml缶・実勢/2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

生原酒の代名詞。缶でいつでもフレッシュ。

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越後武士(さむらい)720ml24超高度数・話題 越後武士(さむらい)720ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場2,000円台後半〜(720ml・実勢/2026年6月時点)
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ウォッカ並みの度数46%。米・米麹由来の世界最高度数級。

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25活性にごり・甘口 酔仙酒造 活性原酒 雪っこ 300ml
★★★☆☆3/ 唎酒師スコア
市場相場400円台〜(300ml・実勢/2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

酵母が生きた活性にごり原酒。とろける甘味。

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川鶴 讃岐くらうでぃ 1800ml26低アル・にごり 川鶴 讃岐くらうでぃ 1800ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場2,000円台〜(1800ml・実勢/2026年6月時点)
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通常の3倍麹のにごり酒。低アル6%で焼肉に合う。

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一ノ蔵 ひめぜん 720ml27低アル・パイオニア 一ノ蔵 ひめぜん 720ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場1,000円台〜(720ml・実勢/2026年6月時点)
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低アル酒のパイオニア。ジュース感覚で飲める。

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富久錦 純米 Fu. 500ml28低アル・純米 富久錦 純米 Fu. 500ml
★★★☆☆3/ 唎酒師スコア
市場相場1,000円台〜(500ml・実勢/2026年6月時点)
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辛口白ワイン感覚の低アル純米。食中酒に。

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松竹梅白壁蔵 澪 スパークリング清酒 300ml29低アル・入門 松竹梅白壁蔵 澪 スパークリング清酒 300ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場400円台〜(300ml・実勢/2026年6月時点)
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低アル5%の大定番。日本酒が苦手でも飲みやすい。

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花の舞 Abysse(アビス)スパークリング 720ml30ワイン酵母・洋食向き 花の舞 Abysse(アビス)スパークリング 720ml
★★★☆☆3/ 唎酒師スコア
市場相場1,500円台〜(720ml・実勢/2026年6月時点)
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ワイン酵母仕込みの洋食に合う日本酒。中庸の度数。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon ¥2,564 楽天 査定 買取

掲載銘柄は速醸を含む日本酒の代表例で、山廃・生酛造りの味わいを理解するための飲み比べ基準として並べています。なかでも大七は生酛造りの代表格で、山廃・生酛の奥深い酸とコクを知る入口になります。日本酒の多くはメーカー希望小売価格を公表しない「オープン価格」のため、定価(list_price)は掲載せず市場相場の目安のみを記載しています(2026年6月時点の実勢)。十四代・而今・飛露喜・黒龍石田屋などは品薄・価格変動が大きく、実勢が大きく上振れする場合があります。楽天/Amazon価格は各モールの実勢で、同一銘柄・容量が見つからない場合は空欄となります。最新の在庫・価格・スペックは各リンク先でご確認ください。

酒母は、酒類ではないのに酒税法が定義している

酒母は、酒類ではないのに酒税法が定義している
酒母を仕込む蔵の内部

酒税法第三条は、この法律で使う言葉をひとつずつ定義していく条です。清酒、ビール、リキュール、雑酒と品目が並んだあと、第二十四号から第二十六号までに、酒ではないものが三つ並んでいます。酒母、もろみ、こうじです。

第三条第二十四号|酵母で含糖質物を発酵させることができるもの

酒母の定義はこう書かれています。

酵母で含糖質物を発酵させることができるもの及び酵母を培養したもので含糖質物を発酵させることができるもの並びにこれらにこうじを混和したもの(製薬用、製パン用、しようゆ製造用その他酒税の保全上支障がないものとして財務省令で定める用途に供せられるものを除く。)をいう。

酒税法(昭和二十八年法律第六号)第三条第二十四号

読み下すと、要件は「酵母の力で含糖質物を発酵させることができること」の一つだけです。米も、こうじも、乳酸も、期間も、温度も、条件には入っていません。糖を発酵させられるものであれば、用途による除外を別として酒母にあたる。山廃酛も生酛も速醸酛も、この一行の下では同じ「酒母」です。

並びも意味を持っています。かっこの前には三つの形が挙げられていて、酵母で糖を発酵させられるもの、酵母を培養したもの、そしてそれらにこうじを混ぜたもの。蔵の桶の中にある山廃酛は三番目にあたり、乾燥酵母の小袋は二番目にあたります。定義の側は、桶の中身と袋の中身を区別していません。

除かれる四つの用途|法が三つ、省令が一つ

広すぎる定義を狭めているのが、末尾のかっこ書きです。製薬用、製パン用、しようゆ製造用その他酒税の保全上支障がないものとして財務省令で定める用途に供せられるものを除く。法律が自分で名前を挙げているのは三つで、残りは財務省令に投げられています。

その財務省令が、酒税法施行規則の第六条です。見出しは「酒母から除くものの用途」。中身は一行しかありません。

法第三条第二十四号に規定する財務省令で定める用途は、みそ製造用とする。

酒税法施行規則(昭和三十七年大蔵省令第二十六号)第六条

省令が足したのは、みそ製造用ひとつだけです。あわせて四つ。製薬、パン、しょうゆ、みそ。この四つ以外の用途に向けられる限り、糖を発酵させられるものは酒母として扱われます。パン用のドライイーストが酒税法の網の外にいるのは、酵母として弱いからではなく、用途がかっこ書きに名指しされているからです。

酒母を造るには、酒とは別の免許がいる

酒母を造るには、酒とは別の免許がいる
仕込みに使われる木桶と樽

酒税法の第二章は免許の章です。第七条が酒類の製造免許、第九条が酒類の販売業免許で、そのあいだの第八条は、酒ではないものを名宛人にした免許の条です。見出しは「酒母等の製造免許」。

第八条の柱書と、三つの号

酒母又はもろみを製造しようとする者は、政令で定める手続により、製造場ごとに、製造免許を受けなければならない。

酒税法第八条本文

短い一文ですが、第七条第一項と読み比べると、書かれていないものが二つあります。第七条は製造しようとする酒類の品目(第三条第七号から第二十三号までに掲げる酒類の区分をいう。以下同じ。)別に、製造場ごとに、その製造場の所在地の所轄税務署長の免許という書き方で、品目別という単位と所轄税務署長という相手が明示されています。第八条にはどちらもありません。酒母ともろみに品目はなく、免許を出す相手は政令の側で決まります。

そのあとに、免許が要らない場合が三つ並びます。

免許が要らない場合
第一号 酒類製造者が、その製造免許を受けた製造場において、当該酒類の製造の用に供するため、酒母又はもろみを製造する場合
第二号 もろみの製造免許を受けた者が、その製造免許を受けた製造場において、当該もろみの製造の用に供するため、酒母を製造する場合
第三号 アルコール事業法により製造の許可又は承認を受けた者が、当該アルコールの製造の用に供するため、同法にいう酒母又はもろみを製造する場合

清酒の蔵が山廃酛を立てても第八条の免許を取らずに済むのは、第一号があるからです。ただし条件は三つとも重なっている必要があります。すでに酒類の製造免許を持っていること、造る場所がその免許を受けた製造場であること、そして用途がその酒類の製造であること。免許が及ばないのではなく、免許のただし書に入っている、という構図です。

申請書|酒には「製造見込数量」、酒母には「製造の目的」

手続を定める政令が、酒税法施行令の第十二条と第十三条です。酒類が第十二条、酒母ともろみが第十三条。申請書に書かせる事項を並べると、性格の違いがはっきり出ます。

酒類の製造免許(令第十二条) 酒母等の製造免許(令第十三条)
記載事項の数 九号 五号
共通する事項 住所・氏名/製造場の所在地及び名称/製造方法/その他財務省令で定める事項
酒類だけにある事項 製造しようとする酒類の品目及び範囲/製造免許を受けた後一年間の酒類の製造見込数量/試験のために製造する場合はその旨及び目的/輸出するために清酒を製造する場合はその旨/製造場の設備の状況
酒母等だけにある事項 製造の目的
添付する誓約書の内容 法第十条第一号から第八号までに規定する者、及び破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しないこと 法第十条第一号から第八号までに規定する者に該当しないこと

政令の段階では、酒には数量と設備を聞き、酒母には目的を聞く。酒母の免許で行政が知りたいのは規模ではなく、何のために造るのかのほうだということです。破産に関する誓約が酒類の側にしかないのも、同じ向きの差だと読めます。ただし設備の側は財務省令で近づき、施行規則第七条と第七条の二は、どちらにも製造場の敷地と建物の図面を出させています。

取消の受け皿は、酒より三つ少ない

免許を取り消す条は、法に戻って酒類が第十二条、酒母等が第十三条です。第十三条は準用の一文でできています。

前条第一号から第三号までの規定は、酒母又はもろみの製造免許を受けた者(以下「酒母等の製造者」という。)について準用する。

酒税法第十三条

第十二条には六つの号があります。第一号が偽りその他不正の行為による取得、第二号が第十条の一定の号に該当したときや酒税の滞納処分を受けたとき、第三号が三年以上引き続き製造しない場合、第四号が三年以上引き続き製造数量が第七条第二項の数量に達しない場合、第五号が担保提供や酒類の保存の命令に従わない場合、第六号が酒類業組合法の命令違反です。準用されるのは、このうち第一号から第三号までの三つだけです。

準用から外れているものの筆頭が、第四号の数量未達です。これは第七条第二項の最低製造数量基準を受けた号で、清酒なら六十キロリットルという数字が入ります。第八条には数量の下限がないので、それに対応する取消事由も置きようがありません。免許の入口で数量を聞かないことと、出口で数量を理由に取り消さないことが、そろっています。

造った酒母は、勝手には動かせない

造った酒母は、勝手には動かせない
店頭に並ぶ一升瓶

免許を取って酒母を造ったあとにも、条文はもう一枚かぶさります。第八章の第四十四条、見出しは「原料用酒類及び酒母等の処分禁止」です。第一項が免許を受けずに造った原料用の酒類の話で、第二項からが酒母ともろみの話になります。

第四十四条第二項の承認と、三つの例外

酒母又はもろみの製造者は、酒母又はもろみを処分し、又はその製造場から移出しようとするときは、政令で定める手続により、その製造場の所在地の所轄税務署長の承認を受けなければならない。

酒税法第四十四条第二項本文

捕まえられている行為は二つです。処分することと、製造場から移出すること。捨てる場合も承認が要ります。ただし書の下に三つの号が並びます。

承認が要らない場合 読みどころ
第一号 第八条各号に規定する者が酒母又はもろみを当該各号に規定する目的に使用する場合 免許が要らない三つの場合と、承認が要らない場合とを同じ枠で結んでいる
第二号 酢の製造業者が酒母又はもろみを酢の製造に使用する場合 酒税法の条文に、酢という別の業種が名指しで出てくる
第三号 酒類製造者又は酒母等の製造者に酒母を譲り渡す場合 渡す相手が同じ制度の内側にいるときは、承認を挟まない。ただし、もろみは除かれていて酒母だけ

第三号だけ、対象が「酒母」に絞られていることに注意してください。第一号と第二号は酒母又はもろみと書いているのに、第三号は酒母を譲り渡す場合です。蔵から蔵へ酒母を分けるのは承認が要らないが、もろみを分けるのは要る。同じ条の中で、渡せるものの範囲が一段狭くなっています。

手続の中身は施行令の第五十一条第二項が定めていて、処分の承認を求めるときは処分をしようとする酒母又はもろみの別ごとの数量並びに処分の理由、方法及び年月日を申請書に書くことになっています。捨てる理由と方法と日付まで届け出る、ということです。

飲めなくする処置を命じることができる

同じ条の第三項は、承認を与える側に一手を残しています。

税務署長は、前項の承認を与える場合において、酒税の取締り上特に必要があると認めるときは、酒母又はもろみに酒類として飲用することができない処置を施すべき旨を命ずることができる。

酒税法第四十四条第三項

酒母は、そのままでもアルコールを含んでいます。承認を出して外へ出すときに、飲用に回らないようにする処置を求められる場合がある、という規定です。何を施すのかは条文には書かれていません。命じることができる相手は「酒母又はもろみ」で、清酒はここに入っていません。ただし、酒類に飲用できない処置を施す制度がないわけではありません。第五十条第一項第六号が製造場にある酒類に酒類として飲用することができない処置を施そうとするとき。を承認の対象に挙げています。違うのは処置の有無ではなく向きで、酒類は自分から申請して承認を受ける側、酒母ともろみは税務署長から命じられる側に置かれています。

第四十五条|持つことも譲ることもできない場合

次の第四十五条は、名宛人が製造者ではなく「何人も」になります。

何人も、法令において認められる場合のほか、製造免許を受けない者の製造した酒類、酒母若しくはもろみ又は輸入したこれらのもので関税法第六十七条の規定による輸入の許可を受けないものを所持し、譲り渡し、又は譲り受けてはならない。

酒税法第四十五条

見出しは「密造酒類の所持等の禁止」ですが、対象語に酒母ともろみが並んでいます。禁じられる行為は所持、譲渡、譲受の三つ。造った者だけでなく、受け取った者や持っている者も同じ条の射程に入ります。免許を受けない者が造った酒母は、造った時点だけでなく、その後の動きも封じられる形です。

酒母のまま飲まれると「その他の醸造酒」になる

酒母のまま飲まれると「その他の醸造酒」になる
枡に注がれた日本酒

酒税は、酒類が製造場から移出されたときに納める税です。ではまだ製品になっていない酒母は、税とどう関わるのか。その接点を作っているのが第六条の三です。見出しは「移出又は引取り等とみなす場合」。

第六条の三|製造場で飲用されたとき

第一項の柱書は、酒類と酒母ともろみをまとめて「酒類等」と呼び、次の各号に当たったときにその時点で製造場から移出したものとみなす、と定めます。第一号がこれです。

酒類等が酒類等の製造場において飲用されたとき。
ただし、次項の規定に該当する場合を除く。

酒税法第六条の三第一項第一号

そして同条の第五項が、酒母ともろみについての読み替えを置きます。

酒母又はもろみについて前各項の規定の適用があつた場合においては、当該酒母又はもろみは、その他の醸造酒とみなし、酒母又はもろみの製造者(酒母又はもろみの製造者とみなされた者を含む。)は、その他の醸造酒の製造者とみなす。

酒税法第六条の三第五項

酒母は品目を持たないので、課税の場面では「その他の醸造酒」という品目を借りてくる。物が変わるわけではなく、税の計算に必要な品目を割り当てるための読み替えです。あわせて、造った者はその他の醸造酒の製造者とみなされます。

第一号のただし書が外している第二項には、責任の振り替えが書かれています。製造場で飲用された場合において、その飲用について製造者の責めに帰することができないときは、飲用した者をその酒類等の製造者とみなす、という規定です。誰が飲んだかによって、納税義務者の側が動きます。

十万円という数字は、いまの清酒と同じ

では、その他の醸造酒の税率はいくらか。第二十三条第一項は酒類を四つの種類に分け、一キロリットルあたりの金額を並べます。

種類 税率(一キロリットルにつき)
発泡性酒類 十五万五千円
醸造酒類 十万円
蒸留酒類 二十万円(二十一度以上は二十度を超える一度ごとに一万円加算)
混成酒類 二十万円(二十一度以上は二十度を超える一度ごとに一万円加算)

その他の醸造酒は醸造酒類に属するので、十万円です。そして清酒も同じ醸造酒類に属します。平成二十九年法律第四号の附則第三十六条は、令和二年十月一日から令和五年九月三十日までの間について醸造酒類を十二万円、そのうち清酒を十一万円、果実酒を九万円とする特例を置いていましたが、この窓はすでに閉じています。第二十三条第一項の目盛りで見るかぎり、酒母のまま課税されても、清酒として出荷しても、一キロリットルあたりは同じ十万円です。

罰則の側でも、同じ読み替えをする

免許を受けずに酒母を造った場合の罰則は第五十四条です。第一項は第七条第一項又は第八条の規定による製造免許を受けないで、酒類、酒母又はもろみを製造した者は、十年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。と定めます。酒でも酒母でも、法定刑は同じです。

金額の側に、第六条の三と同じ考え方が出てきます。第三項は、犯罪に係る物に対する酒税相当額の三倍が百万円を超えるときに罰金の上限を引き上げる規定ですが、そのかっこ書きが酒母又はもろみについては、その他の醸造酒とみなして計算した金額と書いています。第六項も、酒母ともろみをその他の醸造酒とみなして直ちに酒税を徴収するとしています。

つまり、酒母が「その他の醸造酒」になる場面は一箇所ではありません。製造場で飲まれたときも、無免許で造られたときも、同じ品目を借りて金額を計算します。品目を持たない物に金額を出すための共通の道具として使われている、と読むのが分かりやすいはずです。品目そのものの並び方は清酒と日本酒の違い|酒税法の品目名と国税庁が指定した地理的表示で扱っています。

帳簿と申告|酒母の何を書き残すのか

帳簿と申告|酒母の何を書き残すのか
日本酒の裏ラベルの表示欄

免許と処分の次に来るのが、記録の義務です。第四十六条は酒類製造者、酒母若しくはもろみの製造者、酒類の販売業者又は特例申告者は、政令で定めるところにより、製造、貯蔵、販売(販売の代理又は媒介を含む。以下同じ。)又は保税地域からの引取りに関する事実を帳簿に記載しなければならない。とし、中身を政令に渡しています。

令第五十二条第一項が並べる七つ

受け皿になっているのが酒税法施行令第五十二条です。第一項が酒類製造者と酒母等の製造者に向けられていて、七つの号が並びます。

帳簿に書く事実
第一号 受け入れた原料(次号のものを除く)の区分・種別ごとの数量、価格、受入年月日、引渡人の住所氏名
第二号 受け入れた酒類・酒母・もろみの区分・種別ごとの数量、価格、受入年月日、引渡人の住所氏名、引渡先の所在地及び名称
第三号 使用した原料(次号のものを除く)の区分・種別ごとの数量と使用年月日
第四号 使用した原料用の酒類・酒母・もろみの区分・種別ごとの数量と使用年月日
第五号 製造した酒類・酒母・もろみの区分・種別ごとの数量と製造年月日
第六号 移出をした酒類・酒母・もろみの区分・種別ごとの数量、価格、移出年月日、受取人の住所氏名、移出先の所在地及び名称
第七号 前各号のほか、酒類・酒母・もろみの製造、貯蔵又は販売に関し財務省令で定める事項

第三号を除いて、第二号から第七号までに酒類と並んで酒母が書かれています。受け入れも、使用も、製造も、移出も、酒母は酒と同じ粒度で帳簿に残す対象です。製品になる前の段階を、製品と同じ書式で追跡する仕組みになっているということです。

規則第十四条第一項が足す七つ

第七号が投げた先が、酒税法施行規則の第十四条第一項です。ここにも七つの号があります。

足される事項 酒母が対象か
第一号 製造過程に関する事項 対象
第二号 製造の際生じた副産物の受入れ又は払出しに関する事項 対象
第三号 製造場において容器を取り替えたときは、その取替えに関する事項 対象
第四号 酒類に水その他の物品を混和したときは、その混和に関する事項 対象外(酒類のみ)
第五号 販売するための容器に詰めたとき又は詰め替えたときの事項 対象外(酒類のみ)
第六号 処分したときは、これに関する事項 対象
第七号 食品衛生法、医薬品医療機器等法、食品表示法又は国税通則法により収去され又は採取されたときの事項 対象

七つのうち五つが酒母を含み、二つは酒類だけに向けられています。外れている二つは、水を足すことと容器に詰めて売ることで、どちらも製品になったあとの動きです。酒母は製造過程と副産物と容器の取替えまで書かせるのに、詰めることについては何も書かれていない。桶から出ないものを想定した並びになっています。第一号の「製造過程に関する事項」は、山廃酛のように何十日もかけて温度と分析値を追う仕込みでは、そのまま作業記録に重なります。

第四十七条|製造方法まで申告する

帳簿の隣に、申告の義務もあります。

酒類製造者又は酒母若しくはもろみの製造者は、政令で定めるところにより、製造場の位置、製造及び貯蔵の設備、製造の開始、休止及び終了並びに製造方法について、その製造場の所在地の所轄税務署長に申告しなければならない。

酒税法第四十七条第一項

位置、設備、開始、休止、終了、そして製造方法。同じ条の第二項は、年度ごとの製成数量と移出数量と年度末の所持数量の申告を酒類製造者にだけ課しています。第一項の名宛人には酒母の製造者が並んでいますから、第四十七条が酒母に求めるのは、量の年度集計ではなく設備と方法と時期のほうだということになります。酒母の数量は、先に見た処分の承認申請と、この節の帳簿の側で押さえられています。

ラベルの「山廃」は、どの基準の下にあるのか

ラベルの「山廃」は、どの基準の下にあるのか
特定名称ごとに分かれる清酒の区分

清酒のラベルに何を書けるかを決めているのは、酒税法ではなく酒類業組合法第八十六条の六に基づく表示基準です。清酒については、平成元年十一月二十二日の国税庁告示第八号「清酒の製法品質表示基準」がそれにあたります。特定名称、必ず書く事項、書いてもよい事項、書いてはならない事項の四つで構成されていて、令和元年六月の国税庁告示第四号まで六度の改正を経ています。以下は改正後の現行の条文で読みます。

任意記載事項は十項目で、そこに山廃はない

書いてもよい事項は、告示の第五項に十個並びます。

任意記載事項 表示できる条件の要点
(1) 原料米の品種名 使用割合が50パーセントを超える場合。割合も併記する
(2) 清酒の産地名 全部がその産地で醸造されたものである場合
(3) 貯蔵年数 一年未満を切り捨て。混和したものは最も短い年数で表示
(4) 原酒 製成後に加水調整をしない清酒(アルコール分1パーセント未満の調整を除く)
(5) 生酒 製成後、一切加熱処理をしない清酒
(6) 生貯蔵酒 加熱処理せず貯蔵し、移出の際に加熱処理した清酒
(7) 生一本 単一の製造場のみで醸造した純米酒
(8) 樽酒 木製の樽で貯蔵し、木香のついた清酒
(9) 「極上」「優良」「高級」等の用語 同一の種別又は銘柄が複数あり、香味及び色沢が特に良好で、その旨を客観的事項で説明できる場合
(10) 受賞の記述 公的機関から付与された賞であり、受賞した清酒と同一の貯蔵容器に収容されていた清酒について。授賞機関と受賞年も併記する

この十項目の中に、山廃も生酛も速醸も酒母もありません。告示の全文を通しても、これらの語は一度も出てきません。この十項目が条件を付けているのは、原料米や産地や加熱処理といった表示の中身で、酒母の立て方は入っていないということです。「生酒」の生と、生酛の生が別の系統にある理由もここにあります。前者は加熱処理をしないことを指す任意記載事項で、後者は告示の外にある造りの呼び名です。加熱処理の側は生酒とは 「製成後、一切加熱処理をしない清酒」という国の定義から読み解くで詳しく扱っています。

表示してはならないものは三つ

告示の第六項が表示禁止事項です。挙がっているのは三つで、第三号にだけただし書が付いています。

(1) 清酒の製法、品質等が業界において「最高」、「第一」、「代表」等最上級を意味する用語
(2) 官公庁御用達又はこれに類似する用語
(3) 特定名称酒以外の清酒について特定名称に類似する用語

清酒の製法品質表示基準(平成元年十一月二十二日国税庁告示第八号、令和元年六月国税庁告示第四号改正)第六項

第三号は、特定名称に寄せた紛らわしい書き方を止める号です。ただし書は、特定名称の清酒に当たらないと明確に分かる説明表示を近接する場所に添えれば表示してよい、としています。山廃は特定名称に似た語ではないので、三つのどれにも当たりません。定義されてもいないし、禁じられてもいない。だから蔵は自分の判断で表ラベルに大きく書けますし、書かないという選択もできます。この告示の側から見ると、「山廃」は特定名称でも任意記載事項でもない、自由記載の領域にある言葉です。

ただし自由記載でも、事実と違う書き方まで許されているわけではありません。景品表示法の優良誤認の規制や、酒類業組合法第八十六条の六に基づく他の表示基準は、告示の外の語にも及びます。特定名称の側の条件については精米歩合とは「白米のその玄米に対する重量の割合」|数字の決まり方を告示から読むにまとめました。

山廃の日本酒を選ぶときに見る場所

山廃の日本酒を選ぶときに見る場所
徳利からおちょこへ注ぐ

ここまでの整理を、売り場での見方に戻します。制度の側が山廃を定義していないということは、裏を返せば、判断材料はラベルの表側と蔵の説明にあるということです。

ラベルのどこに出てくるか

裏ラベルの品目欄に入るのは「清酒」で、そこに造りは出ません。特定名称の欄に入るのは純米酒、本醸造酒、吟醸酒とその派生で、これも造りとは別の軸です。山廃は表ラベルの銘柄名の近くか、裏ラベルの説明文に置かれるのが一般的です。同じ瓶の上で、告示が決めた欄と蔵が決めた欄が並んでいると考えると読みやすくなります。

「山廃純米」という書き方は、その二つを重ねたものです。純米酒のほうは告示第一項の表に条件があり、白米、米こうじ、水を原料とすること、通則により、こうじ米の使用割合が十五パーセント以上であることが求められます。精米歩合の要件は平成十五年の改正で純米酒から外れました。山廃のほうには、対応する条件がそもそもありません。

燗で開くという言い方

山廃の酒がよく燗で薦められるのは、乳酸菌が作った酸と、時間をかけた酒母から来る旨味の厚みが、温度を上げたときに前へ出やすいからです。冷やして固く感じる酸が、四十度台では丸くなって旨味とつながります。ぬる燗から始めて、温度を少しずつ上げながら好みの点を探すのが分かりやすい方法です。温度帯ごとの呼び名と加熱の手順は熱燗の作り方と楽しみ方!温度の違いで変わる日本酒の魅力と料理とのペアリングにまとめています。

もちろん冷やして飲んでも構いません。冷やすと酸が立ってシャープになり、脂のある料理を流す方向に働きます。甘辛の目安を数字で見たいときは日本酒度とは|国税庁の公表値と甘辛度で読むもあわせてどうぞ。

合わせる料理の考え方

酸とコクが両方あるので、味の濃い料理に負けません。煮物、おでん、味噌を使った料理、干物、チーズのように熟成した香りのあるもの。逆に、繊細な白身の刺身のように香りの軽い料理では、酒のほうが前に出ることがあります。その場合は温度を下げるか、量を控えめに注ぐと収まります。清酒そのものの成り立ちを先に押さえたい場合は日本酒とは|清酒の定義と、原料の米を追う三つの法律から読むのが近道です。

飲まないお酒の査定・買取はリンクサス酒販へ

飲まないお酒の査定・買取はリンクサス酒販へ
査定に持ち込まれた日本酒

贈答で受け取ったまま飲む機会がない日本酒や、保管の場所を取っている一升瓶は、状態が変わらないうちに査定に出すという選択肢があります。山廃や生酛のように熟成が味方する造りでも、直射日光と温度変化は色と香りに残ります。

査定では、銘柄と特定名称、容量、製造年月、そして保管状態を見ています。箱や付属品がそろっていれば、そのまま一緒にお持ちください。品揃えの確認は日本酒の商品一覧から、当日14:00までのご注文で当日発送に対応しています。

よくある質問

よくある質問
グラスに注がれた日本酒
山廃と生酛の違いは何ですか。

どちらも醸造用の乳酸を加えず、蔵に棲む乳酸菌が作る乳酸で酒母を育てる生酛系の造りです。違いは、蒸米と米麹をすりつぶす「山卸」という作業を行うかどうかにあります。生酛は山卸を行い、山廃は行わずに米麹の酵素の働きに任せます。山卸を廃止した酛なので「山卸廃止酛」、略して山廃です。

山廃と速醸の違いはどこにありますか。

乳酸をどこから得るかです。速醸は酒母を仕込む段階で醸造用の乳酸を加え、短い日数で安定させます。山廃は加えずに乳酸菌が増えるのを待つため、日数と手間がかかります。山廃と生酛を分ける線が山卸の有無であるのに対し、生酛系と速醸系を分ける線は乳酸を加えるかどうかで、二本は別の線です。

酒税法に「山廃」という語は出てきますか。

出てきません。酒税法、酒税法施行令、酒税法施行規則の三本を全文で数えると、「山廃」「山卸」「生酛」「速醸」はいずれも零回です。清酒の製法品質表示基準(国税庁告示第八号)にも現れません。一方で「酒母」は三本あわせて百十七回出てきます。

酒母は酒税法でどう定義されていますか。

第三条第二十四号が酵母で含糖質物を発酵させることができるもの及び酵母を培養したもので含糖質物を発酵させることができるもの並びにこれらにこうじを混和したものと定義し、かっこ書きで一定の用途に供せられるものを除いています。原料や期間の条件はなく、糖を発酵させられるものであることが要件です。

酒母の定義から除かれる用途は何ですか。

四つです。法律の条文が製薬用、製パン用、しようゆ製造用の三つを挙げ、残りを財務省令に委ねています。その財務省令にあたる酒税法施行規則第六条は法第三条第二十四号に規定する財務省令で定める用途は、みそ製造用とする。と定めており、省令が足しているのはみそ製造用ひとつだけです。

清酒の蔵が山廃酛を仕込むのに、別の免許は必要ですか。

第八条本文は酒母を製造する者に製造場ごとの免許を求めていますが、同条第一号が、酒類製造者がその製造免許を受けた製造場において当該酒類の製造の用に供するため酒母を製造する場合を除いています。すでに清酒の製造免許を持つ蔵が自分の清酒のために酛を立てる場合は、この号に当たります。

酒母を他の蔵へ譲ることはできますか。

第四十四条第二項は、酒母の処分や製造場からの移出に所轄税務署長の承認を求めています。ただし同項第三号が、酒類製造者又は酒母等の製造者に酒母を譲り渡す場合を除いています。この号の対象は酒母だけで、もろみは含まれていません。

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