純米酒とは|3等以上の玄米という条件と醸造用玄米の特上・特等

純米酒とは|米だけで造る日本酒の意味と本醸造・吟醸との違い

純米酒は「米だけで造った日本酒」と説明されます。ですが告示が定める純米酒の要件に、精米歩合の数字はありません。かわりに置かれているのは、原料の玄米が3等以上に格付けされていること、という条件です。この記事は、その一行がどこへつながっているのかを、告示・通達・農産物検査法・酒税法・農産物規格規程・検査結果の六つの一次資料でたどります。

純米酒とは|告示の表が定める三つの特定名称の一つ

告示の表が定める三つの特定名称の一つ
純米酒の原料と等級に関する参考画像

純米酒は、酒税法が定める品目ではありません。酒税法が置いているのは「清酒」という品目までで、その中を吟醸酒・純米酒・本醸造酒に分けているのは、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第86条の6第1項の委任を受けて国税庁長官が告示した「清酒の製法品質表示基準」(平成元年11月22日 国税庁告示第8号)です。清酒そのものの定義については清酒と日本酒の呼び分けで扱っています。

この告示の第1項には表が一つあり、左欄に特定名称、右欄に製法品質の要件が並びます。行は三つしかありません。純米吟醸酒も大吟醸酒も、この表には出てきません。

表1 国税庁告示第8号 第1項の表(特定名称と製法品質の要件)
特定名称 製法品質の要件(告示第8号 第1項の表・右欄)
吟醸酒 精米歩合60%以下の白米、米こうじ及び水、又はこれらと醸造アルコールを原料とし、吟味して製造した清酒で、固有の香味及び色沢が良好なもの
純米酒 白米、米こうじ及び水を原料として製造した清酒で、香味及び色沢が良好なもの
本醸造酒 精米歩合70%以下の白米、米こうじ、醸造アルコール及び水を原料として製造した清酒で、香味及び色沢が良好なもの

純米酒の欄を読むと、他の二つと決定的に違うところが一つあります。吟醸酒には「精米歩合60%以下の白米」、本醸造酒には「精米歩合70%以下の白米」と数字が入っているのに、純米酒の欄には精米歩合の数字がありません。精米歩合は数値が小さいほど多く削ったことを表しますから、この60%・70%は数値の上限、すなわち削る量の下限です。純米酒にはその上限が置かれていません。どれだけ削らなくても、要件の上では純米酒です。精米歩合そのものの意味と計算のしかたは精米歩合の意味と計算のしかたにまとめています。

「表示できる」であって「表示しなければならない」ではない

告示第1項の柱書きはこう書きます。当該清酒がそれぞれ同表の右欄に掲げる製法品質の要件に該当するものであるとき、当該清酒の容器又は包装に表示できるものとする。解釈通達も念を押しています。

特定名称の表示は、製法品質の要件を満たしている清酒について表示ができるものであり、その表示を義務付けるものではないのであるから留意する。

つまり、米と米こうじと水だけで造った清酒でも、蔵が書かなければラベルに純米酒の四文字は出ません。表示が見当たらないことは、要件を満たしていないことを意味しません。

この表を作っているのは酒税法ではない

特定名称を定める根拠は、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第86条の6第1項です。同項が国税庁長官に酒類の表示の基準を定める権限を与え、その委任に基づいて告示第8号が出されています。告示の冒頭も、同法第86条の6第1項の規定に基づき基準を定め、第2項の規定に基づき告示する、と書き起こされています。

この違いは実務に効きます。酒税法を改正しなくても、告示の改正だけで特定名称の要件は動くからです。告示第8号は平成9年から令和4年まで七度改正され、現行の姿は令和5年1月1日施行のものです。

純米酒と日本酒のおすすめ銘柄30選を比較

純米酒と日本酒のおすすめ銘柄30選を比較
純米酒の原料と等級に関する参考画像

下の比較表は、純米大吟醸から普通酒までが順位順に並ぶ30本です。純米酒だけを集めた表ではありません。

銘柄名に「純米」を含むのは30本のうち12本で、残りの18本には、特別本醸造の十四代 本丸、大吟醸の黒龍 龍、吟醸酒の久保田 千寿、普通酒の白鶴 まる、本醸造の生原酒であるふなぐち菊水一番しぼり、アルコール分46%で酒税法第3条第7号が清酒に求める22度未満を外れる越後武士などが並びます。

銘柄名に純米大吟醸・純米吟醸とあるものは、告示第1項の純米酒そのものではなく、吟醸酒に第2項(1)で「純米」を併せた表示です。この記事で見てきた原料の格付けの条件は、そのどちらにも同じようにかかります。

表の列は画像・銘柄とスコア・定価と市場相場・特徴・リンクサス酒販・Amazon・楽天・買取の八つで、精米歩合や原料米の等級の列はありません。定価の欄が埋まっているのは30本のうち3本、市場相場の文字列が入るのが26本で、残る1本は価格が非公表である旨の説明文です。並べ替えは表の上部のボタンから行えます。

純米酒と日本酒のおすすめ銘柄30選 比較表|純米・純米吟醸・純米大吟醸から本醸造まで
純米酒は米・米麹・水だけで造る日本酒で、醸造アルコールを加える吟醸酒や本醸造酒とは原料の点で一線を画します。この比較表では、純米大吟醸の代表格(獺祭)から、新潟淡麗の純米系(〆張鶴・久保田)、生酛造りの純米(大七)、入手困難な人気銘柄(十四代・而今・飛露喜・黒龍)、さらに本醸造や普通酒まで、純米酒とそれ以外を飲み比べる基準として日本酒30銘柄を横断比較。度数・味わいタイプ・産地・おすすめの温度帯・楽天/Amazonの購入先を一覧できます。表上部のタブで『おすすめ順』『価格順』に並べ替えできます(日本酒の多くはオープン価格のため定価は非掲載、市場相場の目安のみを表示/2026年6月時点)。
画像 銘柄・スコア 定価
市場相場
特徴 リンクサス酒販
本命
Amazon 楽天 買取
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新潟淡麗のやわらかな旨口。冷酒〜ぬる燗。

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獺祭 純米大吟醸45 720ml14位定番スタンダード 獺祭 純米大吟醸45 720ml
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獺祭のいちばん身近な定番。日常の晩酌から贈り物まで。

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風の森 秋津穂 657 720ml15位生酒・冷酒向き 風の森 秋津穂 657 720ml
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無濾過生酒のフレッシュさ。よく冷やしてシュワっと。

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16位生醛の代表 大七 生もと純米 1800ml
市場相場2,200〜2,800円台(1800ml・実勢/2026年6月時点)

生醛造りの濃醇旨口。燗で旨味が開く。

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17位入門に人気 上善如水 純米吟醸 720ml
市場相場1,200〜1,600円台(720ml・実勢/2026年6月時点)

軽快フルーティで飲みやすい入門酒。

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獺祭 ブルー Type 50 720ml18位話題・飲み比べ 獺祭 ブルー Type 50 720ml
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話題のアメリカ醸造・獺祭。飲み比べの一杯に。

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風の森 ALPHA 5 燗SAKEの探求 720ml19位燗酒向き・実験的 風の森 ALPHA 5 燗SAKEの探求 720ml
市場相場2,000円台後半(実勢・2026年6月時点)

燗酒の新提案。温めることで旨味が開く実験的な一本。

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20位日常の定番 白鶴 まる パック 2000ml
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毎日の晩酌に。クセのない定番普通酒。

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市場相場2,000円台〜(1800ml・実勢/2026年6月時点)

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22位定番原酒・受賞 月桂冠 つき原酒 1800ml
市場相場1,000円台〜(1800ml・実勢/2026年6月時点)

コスパ良の定番原酒。IWC SAKE部門ゴールド受賞。

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ふなぐち菊水一番しぼり 200ml23位生原酒・定番缶 ふなぐち菊水一番しぼり 200ml
市場相場200円台〜(200ml缶・実勢/2026年6月時点)

生原酒の代名詞。缶でいつでもフレッシュ。

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越後武士(さむらい)720ml24位超高度数・話題 越後武士(さむらい)720ml
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25位活性にごり・甘口 酔仙酒造 活性原酒 雪っこ 300ml
市場相場400円台〜(300ml・実勢/2026年6月時点)

酵母が生きた活性にごり原酒。とろける甘味。

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川鶴 讃岐くらうでぃ 1800ml26位低アル・にごり 川鶴 讃岐くらうでぃ 1800ml
市場相場2,000円台〜(1800ml・実勢/2026年6月時点)

通常の3倍麹のにごり酒。低アル6%で焼肉に合う。

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一ノ蔵 ひめぜん 720ml27位低アル・パイオニア 一ノ蔵 ひめぜん 720ml
市場相場1,000円台〜(720ml・実勢/2026年6月時点)

低アル酒のパイオニア。ジュース感覚で飲める。

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富久錦 純米 Fu. 500ml28位低アル・純米 富久錦 純米 Fu. 500ml
市場相場1,000円台〜(500ml・実勢/2026年6月時点)

辛口白ワイン感覚の低アル純米。食中酒に。

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松竹梅白壁蔵 澪 スパークリング清酒 300ml29位低アル・入門 松竹梅白壁蔵 澪 スパークリング清酒 300ml
市場相場400円台〜(300ml・実勢/2026年6月時点)

低アル5%の大定番。日本酒が苦手でも飲みやすい。

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花の舞 Abysse(アビス)スパークリング 720ml30位ワイン酵母・洋食向き 花の舞 Abysse(アビス)スパークリング 720ml
市場相場1,500円台〜(720ml・実勢/2026年6月時点)

ワイン酵母仕込みの洋食に合う日本酒。中庸の度数。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon ¥2,564 楽天 査定 買取

日本酒の多くはメーカー希望小売価格を公表しない「オープン価格」のため、定価(list_price)は掲載せず市場相場の目安のみを記載しています(2026年6月時点の実勢)。純米酒かどうかは原材料表示で醸造アルコールの有無を見れば判別できます。十四代・而今・飛露喜・黒龍石田屋などの限定酒は品薄・価格変動が大きく、実勢が大きく上振れする場合があります。楽天/Amazon価格は各モールの実勢で、同一銘柄・容量が見つからない場合は空欄となります。アルコール度数・精米歩合はメーカー公表値・ラベル表記に基づきますが、製造年・ロットにより前後する場合があります。最新の在庫・価格・スペックは各リンク先でご確認ください。

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純米酒の原料と等級に関する参考画像

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白米の定義が指しているのは農産物検査法

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純米酒の原料と等級に関する参考画像

純米酒に精米歩合の縛りが無いなら、原料の米は何でもよいのでしょうか。そうではありません。告示第8号の表には「本表の適用に関する通則」が八つ付いていて、その二つ目が「白米」という語を定義しています。

白米とは、農産物検査法(昭和26年法律第144号)により、3等以上に格付けされた玄米又はこれに相当する玄米を精米したものをいうものとする。

純米酒の要件は白米、米こうじ及び水を原料として製造した清酒で、香味及び色沢が良好なものですから、ここでいう「白米」はこの通則(2)の白米です。削り方の下限は無いかわりに、原料の玄米の側に「3等以上に格付けされたもの」という条件が置かれています。純米酒の「米だけ」は、格付けを通った米だけ、という意味を含んでいます。

参照先の法律に「等級」も「格付」も「三等」も無い

ところが、通則(2)が名指しする農産物検査法(昭和26年法律第144号)の本則42か条を通しで走査すると、「等級」「格付」「三等」のいずれも一度も出てきません。使われている語は「品位」と「農産物検査規格」です。

同法第2条第1項はこの法律において「農産物検査」とは、品位等検査及び成分検査をいう。と定めます。その品位等検査の中身を決めているのが同条第3項です。

この法律において「品位等検査」とは、第十七条第一項第一号に掲げる検査の区分に係る登録検査機関が、農林水産省令で定めるところにより、第十一条第一項の農産物検査規格に基づいて行う同号に掲げる検査をいう。

検査の物差しは農産物検査規格だ、と書いてあるだけで、その規格の中身は法律には入っていません。規格を定める権限は第11条第1項にあります。

農林水産大臣は、農産物の種類及び銘柄ごとに、その量目、荷造り及び包装並びに品位及び成分についての規格(以下この条及び第三十三条第一項において「農産物検査規格」という。)を定める。

等級の実体は法律ではなく、この規格の側にあります。

外国産の玄米や、国外で造る清酒の原料についても道が用意されています。解釈通達はこう説明します。

「これに相当する玄米」とは、外国産玄米であって、農産物規格規程(平成 13 年2月農林水産省告示第 244 号)に規定されている国内産玄米の3等以上の品位に相当することが明らかなものをいい、当分の間、農産物検査法(昭和26年法律第144号)に基づく検査により合格と格付けされたものは、これに該当するものとして取り扱う。

ここで初めて、規格の名前が文書に現れます。農産物規格規程(平成13年2月28日 農林水産省告示第244号)です。通則(2)は「農産物検査法により」としか書いておらず、その先の等級表がどこにあるかは、告示だけを読んでもたどり着けません。通達まで開いて初めて、行き先が農林水産省の告示だと分かります。

なお通則(7)は、酒税法第43条第3項の適用を受けたものを特定名称の清酒から除いています。同項はこう定めます。

第一項第一号の規定の適用を受けて、清酒にアルコールその他の物品を加えた酒類は、清酒とみなす。

清酒の製造免許を受けた者が政令の定めに従って清酒にアルコール等を加えたときは、新たな製造とはみなされず、できたものは清酒のままです。品目としては清酒でも、特定名称は名乗れません。通則(7)はその線を引いています。

農産物規格規程が定める玄米の検査規格

農産物規格規程が定める玄米の検査規格
純米酒の原料と等級に関する参考画像

農産物規格規程は農林水産省の告示で、現行版は令和8年7月30日施行の国内産農産物の規程です。ここに玄米の検査規格が置かれています。規程が「種類」として挙げる玄米は、

水稲うるち玄米・水稲もち玄米・陸稲うるち玄米・陸稲もち玄米・醸造用玄米・飼料用玄米の六つです。ただし品位の表は、陸稲うるち玄米と陸稲もち玄米が一つにまとめられているため五つになります。農林水産省の解説ページも玄米には、「水稲うるち玄米」「水稲もち玄米」「陸稲うるち玄米及び陸稲もち玄米」「醸造用玄米」「飼料用玄米」の5つの検査規格があります。と、表の数で説明しています。

表2 農産物規格規程が定める玄米の五つの検査規格と等級
玄米の検査規格 等級の区分 最低限度の整粒(%)
水稲うるち玄米 1等・2等・3等 70/60/45
水稲もち玄米 1等・2等・3等 70/60/45
陸稲うるち玄米及び陸稲もち玄米 1等・2等・3等 65/55/45
醸造用玄米 特上・特等・1等・2等・3等 90/80/70/60/45
飼料用玄米 合格 (整粒の欄なし)

食用に回る米の大半は水稲うるち玄米です。この規格の等級は1等・2等・3等の三段階しかありません。整粒の最低限度は1等で70%、3等で45%です。

表3 水稲うるち玄米(一)の品位(農産物規格規程)
等級 整粒(%) 形質 水分(%) 被害粒等 計(%) 死米(%) 着色粒(%) 異種穀粒(%) 異物(%)
1等 70 1等標準品 15.0 15 7 0.1 0.4 0.2
2等 60 2等標準品 15.0 20 10 0.3 0.8 0.4
3等 45 3等標準品 15.0 30 20 0.7 1.7 0.6

ここで告示第8号の「3等以上」を重ねると、水稲うるち玄米で言えば整粒45%以上・被害粒等の合計30%以下という線になります。水分は表の上では15.0%以下ですが、後で見る「附」の一つ目により当分の間は16.0%まで認められます。決して高い線ではありません。

飼料用玄米だけは等級の欄に段階が無く、合格と規格外の二つしかありません。整粒の欄も無く、水分15.0%以下・被害粒25%以下といった最高限度だけが並びます。清酒の原料になり得ないのは、この規格に3等という区分がそもそも存在しないからでもあります。

醸造用玄米だけにある特上と特等

醸造用玄米だけにある特上と特等
純米酒の原料と等級に関する参考画像

五つの規格のうち、清酒の原料として使われる酒造好適米が入るのが醸造用玄米です。この規格だけ、等級が五段階あります。1等の上に特等が、その上に特上が乗ります。

表4 醸造用玄米の品位(農産物規格規程)
等級 整粒(%) 形質 水分(%) 被害粒等 計(%) 死米(%) 着色粒(%) もみ(%) 異物(%) 色
特上 90 特上標準品 15.0 5 3 0.0 0.1 0.0 品種固有の色
特等 80 特等標準品 15.0 10 5 0.0 0.2 0.1 品種固有の色
1等 70 1等標準品 15.0 15 7 0.1 0.3 0.1 品種固有の色
2等 60 2等標準品 15.0 20 10 0.3 0.5 0.4 —
3等 45 3等標準品 15.0 30 20 0.7 1.0 0.6 —

整粒の最低限度は、特上が90%、特等が80%です。水稲うるち玄米の1等が70%ですから、特上は食用の最上位よりさらに20ポイント高い線を求められていることになります。死米も、水稲うるち玄米の1等が7%までなのに対し、特上は3%までです。

五段階の下には規格外があり、その定義は次のとおりです。

特上から三等までのそれぞれの品位に適合しない醸造用玄米であって、もみ及び異物を五〇%以上混入していないもの

水稲うるち・水稲もち・陸稲の三つの表の規格外が「一等から三等までの……」と書き出され、飼料用玄米が「合格の品位に適合しない……」で始まるのに対し、醸造用玄米だけが「特上から三等までの……」で始まります。規格外の一行にも、この規格が五段階であることが表れています。

「色」の欄があるのは醸造用玄米だけ

表4の右端に「色」という欄があります。特上・特等・1等には品種固有の色が求められ、2等と3等の欄は規程では空欄です(表4では「—」と表記しました)。玄米の五つの品位の表を見比べても、色の欄を持つのは醸造用玄米だけです。上位三等級に限って、その品種らしい色をしていることが条件に入っています。

心白と胴割粒は定義の欄に書き込まれている

規程は表のうしろに用語の定義を置きます。玄米の「形質」の定義はこうです。

皮部の厚薄、充実度、質の硬軟、粒ぞろい、粒形、光沢並びに肌ずれ、心白及び腹白の程度をいう。

酒米の話でよく出てくる心白が、形質という等級判定項目の中身として書かれています。もみの側の形質の定義は充実度、質の硬軟、粒ぞろい、粒形及び光沢までで、心白も腹白も出てきません。玄米の段階で初めて現れる項目です。

被害粒の定義には、醸造用玄米を名指しした但書きがあります。

損傷を受けた粒(発芽粒、病害粒、芽くされ粒、虫害粒、胴割粒、奇形粒、茶米、砕粒等)をいう。ただし、醸造用玄米における胴割粒を除き損傷が軽微で精米の品質及び精米歩合に影響を及ぼさない程度のものを除き、飼料用玄米にあっては、発芽粒、病害粒及び芽くされ粒をいう。

但書きの効果は「軽微な損傷は被害粒から除く。ただし醸造用玄米の胴割粒はその除外に入れない」ということです。醸造用玄米では、胴割れした粒は軽微でも被害粒に数えられます。

規格表に付された「附」も醸造用玄米だけ別扱いにしている

表5 醸造用玄米だけを別に扱う農産物規格規程の「附」
「附」の項 内容 効き方
附 一 醸造用玄米を除く玄米の水分の最高限度に、当分の間1.0%を加算する 醸造用玄米はこの緩和の外に置かれる
附 二 北海道・青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島は1.0%、新潟・富山・石川・福井・鳥取・島根・沖縄は0.5%を加算 醸造用玄米にだけ道県別の加算がある
附 五 醸造用玄米には、もみを除く異種穀粒及び異品種粒が混入していてはならない 他の品種の混入を許さないのは醸造用玄米だけ

一つ目は水分の上限を当分の間だけ緩める規定です。

醸造用玄米を除く玄米の水分の最高限度は、各等級とも、当分の間、本表の数値に一・〇%を加算したものとする。

主語が「醸造用玄米を除く玄米」ですから、この緩和は醸造用玄米に及びません。食用の玄米が当分の間16.0%まで許されるのに対し、醸造用玄米は表の15.0%のままで、二つ目に挙がる14道県だけ0.5%または1.0%の加算が別に与えられます。三つ目は混入の禁止です。

醸造用玄米には、もみを除く異種穀粒及び異品種粒が混入していてはならない。

他の品種が一粒も混ざってはいけない、という条件が付くのは醸造用玄米だけです。品種を名乗る酒の背後には、この一行があります。

産地品種銘柄が決める原料米の呼び名

産地品種銘柄が決める原料米の呼び名
純米酒の原料と等級に関する参考画像

規程は等級だけでなく、どの道府県のどの品種を「産地品種銘柄」として扱うかも決めています。同じ文言の柱書きが玄米・もみ・小麦・大麦・大豆の各欄に置かれていますが、ここで引くのは令和8年7月30日施行版の醸造用玄米の欄のものです。

産地品種銘柄は、次の表の上欄に掲げる道府県において生産された同表の下欄に掲げる品種とする。

この表を数えると、掲げられているのは45道府県、のべ240銘柄、重複を除いた品種は133です。載っていないのは東京都と沖縄県の二つでした。

山田錦を挙げる道府県は40、五百万石は22、美山錦と雄町がそれぞれ9です。山田錦を挙げていないのは北海道・青森県・岩手県・秋田県・岐阜県の五つだけでした。

沖縄県の扱いは少し込み入っています。産地品種銘柄の表に沖縄県の行はありませんが、水分の最高限度に0.5%を加算する「附」の二つ目には、新潟・富山・石川・福井・鳥取・島根と並んで沖縄が挙がっています。加算の対象と、品種の銘柄を証明できる対象とは、別の話として書かれているということです。

表6 醸造用玄米の産地品種銘柄が多い六道府県
道府県 品種の数 掲げられている品種
兵庫県 24 愛山、伊勢錦、いにしえの舞、雄町、五百万石、白菊、新山田穂一号、神力、神龍錦、たかね錦、但馬強力、杜氏の夢、野条穂、白鶴錦、兵庫北錦、兵庫恋錦、HyogoSake八五、兵庫錦、兵庫夢錦、フクノハナ、辨慶、山田錦、山田穂、渡船二号
山形県 14 羽州誉、改良信交、亀粋、京の華、五百万石、酒未来、龍の落とし子、出羽燦々、出羽の里、豊国、美山錦、山酒四号、山田錦、雪女神
秋田県 10 秋田酒こまち、秋の精、一穂積、改良信交、吟の精、華吹雪、百田、星あかり、美郷錦、美山錦
新潟県 10 一本〆、菊水、越神楽、越淡麗、五百万石、たかね錦、八反錦二号、北陸一二号、山田錦、楽風舞
広島県 9 雄町、改良雄町、こいおまち、千本錦、八反、八反三五号、八反錦一号、萌えいぶき、山田錦
福島県 8 京の華一号、五百万石、華吹雪、福乃香、フクノハナ、美山錦、山田錦、夢の香

兵庫県が24品種で突出しています。山田錦のほか、山田錦の親にあたる山田穂や、渡船二号、辨慶、野条穂といった古い品種の名前が並びます。品種名をラベルに書ける条件は、告示第8号第5項(1)にあります。

原料米の品種名は、当該原料米の使用割合(当該清酒の製造に使用した原料米の総使用量に占める割合をいう。以下同じ。)が50%を超える場合(複数の原料米の品種名を表示するときは、当該複数の原料米の合計の使用割合が50%を超える場合)に表示できるものとし、表示に当たっては、当該原料米の使用割合を併せて表示するものとする。

複数の品種を書くときは合計で50%を超えていればよい、という括弧書きが付いています。兵庫県の24品種のように選択肢が多い産地では、この括弧書きが効く場面が出てきます。

令和7年産の等級比率で読む「3等以上」

令和7年産の等級比率で読む3等以上
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条件の実際の厳しさは、検査結果を見れば分かります。農林水産省が公表している令和7年産米の農産物検査結果(令和8年3月31日現在の速報値)から、醸造用玄米と水稲うるち玄米の等級比率を並べます。

表7 令和7年産の等級比率(速報値・令和8年3月31日現在)
区分 検査数量(トン) 特上 特等 1等 2等 3等 規格外
醸造用玄米 合計 85,156.343 1.1% 20.1% 54.8% 14.4% 7.1% 2.5%
水稲うるち玄米 合計 4,388,880.671 — — 75.6% 19.5% 3.6% 1.3%

醸造用玄米の規格外は2.5%ですから、3等以上に入るのは97.5%です。水稲うるち玄米では規格外が1.3%で、3等以上は98.7%になります。告示第8号が求める「3等以上」は、検査を受けた玄米のほとんどが通る線だということです。

一方で、上に伸びる側は狭くなっています。醸造用玄米で特上に届くのは1.1%、特等までを合わせても21.2%です。特上と特等という二つの等級は、醸造用玄米にしか無いうえ、そこへ入る量も限られています。

数量そのものも小さな世界です。同じ時点の検査数量は、水稲うるち玄米が4,388.9千トンなのに対し、醸造用玄米は85.2千トンで、比にすると1.94%にとどまります。前年産の同期比92.5%、前々年産同期比94.9%で、量は減っています。

表8 醸造用玄米の主な品種別の等級比率(令和7年産・速報値)
品種(産地) 検査数量(トン) 特上 特等 1等 2等 3等 規格外
山田錦 小計 32,366.953 2.3% 38.9% 42.8% 6.8% 5.3% 3.9%
山田錦(兵庫) 18,201.669 3.9% 59.4% 25.4% 3.1% 3.6% 4.6%
五百万石 小計 13,977.332 0.0% 0.7% 61.9% 34.7% 2.3% 0.4%
美山錦 小計 4,216.461 — 0.5% 92.3% 5.3% 1.7% 0.2%
雄町 小計 3,084.668 0.2% 4.5% 66.9% 6.1% 7.6% 14.7%

品種別に見ると、同じ「3等以上」の中の分布がかなり違います。山田錦は特上2.3%・特等38.9%で、特等以上が41.2%を占めます。兵庫県産の山田錦に限れば特等以上が63.3%です。これに対し五百万石は特上が表示単位に満たず特等も0.7%で、1等と2等に96.6%が集まります。雄町は規格外が14.7%と、この五つの中で最も高くなっています。

産地品種銘柄計は81,956.511トンで、総検査数量の96.2%です。山田錦の小計32,366.953トンは、醸造用玄米全体の38.0%にあたります。

精米した時点で品位等検査は失効する

精米した時点で品位等検査は失効する
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告示第8号の白米は「3等以上に格付けされた玄米を精米したもの」です。ところが農産物検査法の側を読むと、精米した瞬間に等級の効力は切れる仕組みになっています。

同法第15条第1項の柱書きはこう書きます。

その該当するに至つた時以後、農産物検査(第三号に該当する場合にあつては品位等検査、第四号に該当する場合にあつては同号の品位等検査を受ける前に受けた品位等検査に係る量目及び品位についての検査)を受けていないものとみなす。

括弧書きが射程を切っているところが要です。第三号に当たる場合に受けていないものとみなされるのは、農産物検査のうち品位等検査だけで、成分検査はここに含まれません。その第三号がこれです。

もみ、玄米又は精米の区分に変更が生じた場合

玄米を精米すれば区分は変わります。したがって、蔵に届いた玄米が3等以上で検査を通っていても、精米機を通した白米は、農産物検査法の上では品位等検査を受けていないものとして扱われます。等級がつながっているのは玄米の段階だけで、そこから先は清酒の告示の側が引き取っている、という接ぎ木の形になっています。

検査を受けたことは、包装や票せんへの表示か、検査証明書で示されます。同法第13条第1項は、登録検査機関が農産物検査を行ったときに検査年月日と結果を包装または票せんに表示するか、受検者に検査証明書を交付しなければならないと定め、第2項で、何人もこれと紛らわしい表示を付してはならないとしています。表示が失われたり抹消されたりした場合も、第15条第1項第一号により検査を受けていないものとみなされます。ただし同項には但書きがあり、こちらは表示や記載が改められた場合の救済で、精米による第三号には及びません。

ただし、第二十三条の規定による命令に基づき、表示又は検査証明書の記載が改められた場合は、この限りでない。

白米の範囲についても通達が線を引いています。所定の精米歩合以下に精米したあと破砕したものは白米に含まれますが、そこからさらに精米して得られる米粉は別です。

所定の精米歩合以下に精米した白米を更に精米して得られる米粉は、白米には含まれず、特定名称の清酒には使用できないのであるから留意する。

純米酒に残るもう一つの条件と「米だけの酒」

純米酒に残るもう一つの条件と米だけの酒
純米酒の原料と等級に関する参考画像

純米酒の要件からは精米歩合が外れていますが、通則にはもう一つ、純米酒にも効く数字があります。こうじ米の使用割合です。

米こうじとは、白米にこうじ菌を繁殖させたもので、白米のでん粉を糖化させることができるものをいい、特定名称の清酒は、こうじ米の使用割合(白米の重量に対するこうじ米の重量の割合をいう。以下同じ。)が、15%以上のものに限るものとする。

白米の重量に対してこうじ米が15%以上、という下限は特定名称の清酒すべてにかかりますから、純米酒も例外ではありません。しかもこの判定は通則(6)により1%未満を切り捨てて行うので、14.9%は14%として扱われ、条件を満たしません。切り上げの規定は告示にありません。

では、要件を満たさない清酒が「米だけの酒」と名乗ることはどうでしょうか。解釈通達は、純米酒に類似する用語の例として「純粋酒」、「純酒」、「米だけの酒」等を挙げています。告示第6項(3)は特定名称酒以外の清酒に特定名称に類似する用語を表示することを禁じています。ただし同項の柱書きが、その表示に近接する場所へ、特定名称の清酒に該当しないことが明確に分かる説明表示を第4項に規定するポイントの活字以上の大きさで添えれば表示してよい、という但書きを置いています。第4項が定める大きさはこうです。

8ポイント(日本産業規格Ζ8305(1962)に規定するポイントをいう。以下同じ。)の活字以上の大きさの統一のとれた日本文字とする。ただし、容量200ミリリットル以下の容器にあっては、6ポイントの活字以上の大きさとして差し支えない。

純米酒に限って使える表示もあります。告示第5項(7)です。

生一本の用語は、単一の製造場のみで醸造した純米酒である場合に表示できるものとする。

純米酒であることに加えて、単一の製造場だけで醸したことが条件になります。なお、第1項の純米酒の内側にあるのは特別純米酒(第2項(3))だけで、純米吟醸酒や純米大吟醸酒は吟醸酒に第2項(1)で「純米」を併せ、さらに(2)で「大吟醸酒」を名乗ったものです。その違いは純米吟醸と純米大吟醸の違いと特別純米酒と純米吟醸酒の違いに、酒母の造り分けは生酛造りの考え方に、甘辛の指標は日本酒度の読み方にまとめています。

飲まない日本酒の査定・買取はリンクサスへ

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純米酒の原料と等級に関する参考画像

日本酒は保管の条件で状態が変わりやすいお酒です。冷暗所に置けていない場合は、早めに手放すほうが結果的に価値を残せることがあります。

リンクサス酒販では、鑑定士のリンクサス酒販 鑑定チームが銘柄・製造時期・保管状態を見て査定します。特定名称の表示があるかどうかだけでなく、裏ラベルの原材料名と精米歩合、蔵元が公表している原料米の品種と使用割合まで確認したうえで金額をお伝えします。

よくある質問

よくある質問
純米酒の表示と原料米についての参考画像
純米酒に精米歩合の決まりはありますか。

告示第8号 第1項の表の純米酒の欄には精米歩合の数字がありません。吟醸酒の60%以下、本醸造酒の70%以下にあたる規定は純米酒には置かれていないため、精米歩合の上限はありません。ただし原料の白米は通則(2)により、3等以上に格付けされた玄米またはこれに相当する玄米を精米したものに限られます。

「3等以上の玄米」というのは厳しい条件ですか。

令和7年産の検査結果(令和8年3月31日現在の速報値)では、醸造用玄米の規格外が2.5%、水稲うるち玄米の規格外が1.3%です。検査を受けた玄米の97〜98%が3等以上に入るため、条件そのものは高い線ではありません。差がつくのは、醸造用玄米にだけある特等と特上の側です。

特上や特等はどの米にある等級ですか。

農産物規格規程が定める玄米の品位の表は五つあり、そのうち醸造用玄米にだけ特上と特等があります。水稲うるち玄米・水稲もち玄米・陸稲の玄米はいずれも1等から3等までの三段階で、飼料用玄米は合格と規格外だけです。

ラベルに「特上」と書かれた純米酒はありますか。

解釈通達は「特上」を、品質が優れている印象を与える用語として「極上」「優良」「高級」と並べて挙げています。告示第8号第2項がこれらを特定名称に併せて用いないこととしているため、特定名称と一体で「特上」と表示することはできません。ただし特定名称と併せて用いない限りは、香味と色沢が特に良好でその旨を客観的事項で説明できる場合に銘柄等と併せて表示することが認められています。米の等級としての特上とは別の話です。

農産物検査は受けなければならないのですか。

農産物検査法第3条は、米穀の生産者はその生産した米穀について品位等検査を受けることができる、と定めています。義務ではなく任意の受検です。ただし清酒に特定名称を表示しようとする場合は、原料が3等以上であることを示す必要があるため、実務上は受検した玄米が使われます。

外国産の米で造った清酒でも純米酒と表示できますか。

解釈通達は「これに相当する玄米」を、農産物規格規程に定める国内産玄米の3等以上の品位に相当することが明らかな外国産玄米と説明しています。国外で製造される清酒の原料についても、公的検査機関の検査等により3等以上に相当することが明らかなものは該当するものとして取り扱われます。

原料米の品種名はいつラベルに書けますか。

告示第8号第5項(1)により、その品種の使用割合が50%を超える場合に表示でき、複数の品種名を書くときは合計の使用割合が50%を超える場合です。表示にあたっては使用割合も併せて書くこととされています。

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