リースリングとは|甘辛の読み方と、屋根になった畑の石
リースリングは、ドイツのライン川とモーゼル川の流域を故郷とする白ワイン用のぶどうです。細く鋭い酸と、青りんごやライムのような果実味、そして年を重ねると立ち上がる独特の香り。辛口から極甘口まで、ひとつの品種がこれほど広い甘辛の幅を持つ例はほかにありません。
この品種を語るとき、必ず出てくる言葉が二つあります。ひとつは「石」。モーゼルの急斜面を覆う黒い板状の岩が、リースリングの味を決めていると言われます。もうひとつは「灯油のような香り」。褒め言葉として使われる、この品種だけの符牒です。
そこで今回は、その「石」の名前を日本の法令で引いてみました。モーゼルの斜面を覆う岩は、日本語では粘板岩、英語ではスレートと呼ばれます。日本の法令の全文を横断して検索すると、粘板岩は四つの法令に、スレートは十一の法令にだけ見つかります。ところが、石そのものを「土」と呼んだ条文はひとつもありません。国がこの名前を書きとめた場所は、採ってよい岩石の一覧、売り買いされる商品の区分、輸出入で仕分けられる物の別表、建物の材料、屋根をふく技能の名前、そして国が酒を造っていた工場の建物の目録の六つでした。しかも屋根の側の条文のうち一本は、その名前を借りた板が人を踏み抜かせる危険を前提に書かれています。
下では、リースリングの味わい・甘辛・産地・選び方といった実用の話を先に置き、後半でこの「石の名前」を法令の条文に当たりながら追いかけます。
リースリングとは|ドイツ生まれの白ぶどう品種

リースリングは白ワイン用のぶどう品種です。原産地はドイツのライン川流域で、十五世紀の文書に名前が現れるとされます。房は小ぶりで粒も小さく、皮は薄い。晩熟で、収穫は十月から十一月、遅摘みなら十二月以降に及ぶこともあります。冷涼な土地でゆっくり熟すため、糖が上がっても酸が落ちきらない。この「熟しても酸が残る」という性質が、リースリングという品種のほとんどすべてを説明します。
酸が残るということは、糖を残しても味が緩まないということです。だから甘口に振ることができる。同時に、酸があるから辛口に仕上げても骨格が立つ。ひとつの品種が辛口から極甘口までを行き来できるのは、この一点によります。さらに酸は保存にも効きます。ドイツやアルザスの上級品が数十年の熟成に耐えるのは、樽や度数ではなく酸のおかげです。
造りにも特徴があります。多くの生産者は新樽を使いません。樽の香りを乗せると、この品種の細い輪郭が埋もれてしまうからです。ステンレスタンクか、香りの出ない古い大樽で発酵と熟成を行い、果実味と酸をそのまま瓶に入れる。シャルドネのように造り手の意匠で表情が変わる品種とは、そこが正反対です。
日本の酒税法では、リースリングから造られたワインは「果実酒」に分類されます。品種の名前は法律のどこにも出てきません。第三条第十三号は、果実酒を次のように定めています。
次に掲げる酒類でアルコール分が二十度未満のもの(ロからニまでに掲げるものについては、アルコール分が十五度以上のものその他政令で定めるものを除く。)をいう。イ 果実又は果実及び水を原料として発酵させたもの
酒税法(昭和二十八年法律第六号)第三条第十三号
ぶどうだけを発酵させたワインはイに当たり、アルコール分が二十度未満のもの
という枠に収まる限り果実酒です。糖類やブランデー等を加えたロからニまでは十五度以上だと果実酒から外れますが、イにはその除外が掛かりません(号にはこのあとホまであります)。品種も産地も国籍も、この条文は問いません。国が見ているのは原料の種類とアルコール分だけです。
シャルドネ・ソーヴィニヨンブランとの違い
白ぶどうの三大品種と並べると、性格の違いがはっきりします。シャルドネは中庸で、樽・産地・造りで表情が大きく動く品種です。ソーヴィニヨン・ブランは青草やハーブ、柑橘の香りが分かりやすく立ち、若いうちに飲まれることが多い。リースリングはその中間にはいません。香りは華やかなのに味は張り詰めていて、若いときと十年後で別の酒のように変わります。
| 品種 | 樽の使用 | 酸の印象 | 甘辛の幅 | 熟成の効き方 |
|---|---|---|---|---|
| リースリング | ほぼ使わない | 鋭く長い | 辛口から極甘口まで | 香りが変質して増える |
| シャルドネ | 使う造りが多い | 穏やか | おおむね辛口 | 樽由来の風味が溶ける |
| ソーヴィニヨン・ブラン | 原則使わない | 青みを伴う | 辛口が中心 | 香りが落ちやすい |
言い換えると、シャルドネは造り手の器、ソーヴィニヨン・ブランは香りの名刺、リースリングは畑の記録係です。白ワイン全体の見取り図はワインの基礎解説に、産地ごとの規格はドイツワインの格付けにまとめてあります。
リースリングの味わいの特徴|酸・ミネラル・果実味

香りは青りんご、洋なし、白桃、ライム、白い花。ここに蜂蜜や生姜のような要素が混じることもあります。口に含むと、まず酸が舌の中央を通っていく。ワインの酸のうち、ぶどう由来の主なものは酒石酸とリンゴ酸ですが、冷涼な産地のリースリングはリンゴ酸が多く残ります。多くの生産者がこの品種で乳酸発酵を行わないのは、リンゴ酸を乳酸に変えると持ち味の鋭さが鈍るためです。
「ミネラル」という言葉もよく使われます。塩気や石を舐めたような感覚を指す表現で、味覚の用語としては曖昧です。土壌の鉱物がそのまま味に移るという説明は、科学的には裏づけが弱いとされます。ただ、飲み手のあいだで通じる符牒としては便利で、酸と低い度数と余韻の乾いた感じが重なったときに、人はこの言葉を使います。同じ生産者の同じ年でも、畑が変わると余韻の質が変わる。その差を指す言葉が「ミネラル」以外に見当たらないから、この語が生き残っているのだと考えたほうがよさそうです。
アルコール分も特徴のひとつです。ドイツの甘口タイプは八度前後にとどまるものがあり、辛口でも十二度台に収まることが多い。これは糖をすべて発酵させずに残す造り、あるいはもともと収穫時の糖度が高くならない冷涼な気候の帰結です。度数の低いワイン全般の考え方はワインのアルコール度数にまとめています。
ペトロール香とは|熟成で生まれる独特の香り
リースリングを何本か飲むと、灯油やガソリンをかすかに思わせる香りに出会います。これがペトロール香です。欠陥ではありません。原因物質はTDN(一・一・六-トリメチル-一・二-ジヒドロナフタレン)と呼ばれる化合物で、ぶどうの中のカロテノイドから生まれた前駆体が、瓶の中で酸によって分解されて現れるとされています。
日照が強い年、収量を絞った畑、瓶熟成の長いもの、酸が高くpHが低いものほど出やすいと言われます。栓の種類も関係するとされ、酸素をほとんど通さないスクリューキャップの瓶で、より早く感じられるという報告があります。若いうちはほとんど分からず、数年から十数年で立ち上がってくる。だから、この香りは熟成の目印としても読まれます。
関連商品ラインナップ

ドイツやアルザスのリースリングは、細長い瓶に入っていることが多く、店頭でも判別しやすい品種です。まずは手に取りやすい価格帯から、産地違いを二本並べて飲み比べるのが近道になります。品揃えは下の一覧から確認できます。
「リースリングとは|甘辛の読み方と、屋根になった畑の石」に関連するおすすめ商品
ここではワインの在庫から一部を掲載しています。価格・在庫・箱の有無は各商品ページでご確認いただけます。
世界のリースリング30本を産地・甘辛で比較

下の表は、ドイツの主要産地からアルザス、オーストリア、オーストラリア、北米までを横断した三十本です。生産者名と畑名、甘辛の目安を並べてあります。比較の際は、まず産地の欄で二つに分け、次に甘辛の欄で並べ替えると、価格の差がどこから来ているのかが見えてきます。当日十四時までのご注文で当日発送に対応しています。
| 画像 | 銘柄・スコア | 定価 市場相場 |
特徴 | リンクサス酒販 本命 |
Amazon | 楽天 | 買取 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
1位
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ドクター・ローゼン リースリング QbA 750ml ★★★★☆4/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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モーゼルの名門が手がける入門リースリング。低めの度数と爽やかな甘酸。 |
LINXASで探すコレクション | 価格を見るAmazon | ¥2,180 楽天 | 査定 買取 | |
| 2位 | ドクター・ローゼン ウルツィガー ヴュルツガルテン カビネット 750ml ★★★★☆4/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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赤色粘板岩の畑から生まれるカビネット。繊細な甘みと張りのある酸。 |
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| 3位入手困難 | J.J.プリュム ヴェーレナー ゾンネンウーア シュペートレーゼ 750ml ★★★★★5/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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モーゼルの伝説的生産者。熟成で開花する蜜と火打石の複雑香。 |
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4位入手困難
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エゴン・ミュラー シャルツホーフベルガー カビネット 750ml ★★★★★5/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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世界最高峰の白ワイン生産者。カビネットでも別次元の透明感。 |
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| 5位 | フリッツ・ハーグ ブラウネベルガー ユッファー カビネット 750ml ★★★★☆4/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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中部モーゼルの名門。軽やかで気品あるカビネットの好例。 |
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| 6位 | ザンクト・ウルバンスホーフ リースリング トロッケン 750ml ★★★☆☆3/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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辛口モーゼルの入門。シャープな酸とドライな飲み口。 |
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| 7位入手困難 | ドンホフ オーバーホイザー ブリュッケ シュペートレーゼ 750ml ★★★★★5/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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ナーエの至宝。火山土壌が生む凝縮した果実とミネラル。 |
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| 8位入手困難 | ロバート・ヴァイル キードリッヒャー グレーフェンベルク リースリング GG 750ml ★★★★★5/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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ラインガウ最上の辛口特級。重厚な骨格と長い余韻。 |
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9位
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シュロス・ヨハニスベルク リースリング 750ml ★★★★☆4/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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遅摘み(シュペートレーゼ)発祥の歴史的名門。端正な果実味。 |
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| 10位 | ゲオルク・ブロイヤー リースリング ラウエンタール 750ml ★★★★☆4/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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辛口ラインガウの旗手。スレート由来の塩気と張りのある酸。 |
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| 11位 | ヴィットマン リースリング トロッケン 750ml ★★★★☆4/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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ビオディナミの旗手が造るピュアな辛口。果実と酸の純度が高い。 |
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| 12位入手困難 | ドクター・ローゼン リースリング アウスレーゼ ゴールドカプセル 375ml ★★★★★5/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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貴腐を含む遅摘みの甘口。蜜とドライフルーツの濃密な香り。 |
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| 13位 | トリンバック リースリング 750ml ★★★★☆4/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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アルザス辛口の世界的定番。シャープでミネラリーな飲み口。 |
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| 14位入手困難 | トリンバック クロ・サンチューン リースリング 750ml ★★★★★5/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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アルザス辛口リースリングの頂点。長熟で開く荘厳な複雑味。 |
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15位
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ヒューゲル リースリング クラシック 750ml ★★★☆☆3/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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アルザスの老舗が手がける親しみやすい辛口。果実味豊かで使いやすい。 |
LINXASで探すコレクション | 価格を見るAmazon | ¥3,223 楽天 | 査定 買取 | |
16位入手困難
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マルセル ダイス マンブール グランクリュ 2017 750ml ★★★★★5/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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テロワール表現を追求する名門の特級。複雑で奥行きのある味わい。 |
在庫切れリンクサス入荷通知 | 価格を見るAmazon | 楽天で探す 商品名検索 | 査定 買取 | |
| 17位入手困難 | ドメーヌ・ヴァインバック リースリング 750ml ★★★★★5/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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ビオディナミの名門が造る優美な辛口。果実とミネラルの調和。 |
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18位入手困難
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F.X.ピヒラー リースリング スマラクト 750ml ★★★★★5/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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ヴァッハウ辛口の巨匠。凝縮した果実と力強いミネラル。 |
LINXASで探すコレクション | 価格を見るAmazon | ¥59,136 楽天 | 査定 買取 | |
| 19位 | プラーガー リースリング フェーダーシュピール 750ml ★★★★☆4/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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急斜面の段々畑が育む端正な辛口。柑橘とスパイスの清涼感。 |
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| 20位 | ブリュンデルマイヤー リースリング ツォーベル 750ml ★★★★☆4/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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カンプタールの名手。冷涼産地らしい張りのある酸と純度。 |
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| 21位入手困難 | グロセット ポリッシュヒル リースリング 750ml ★★★★★5/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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豪州辛口リースリングの最高峰。鋼のような酸とライムの凝縮。 |
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22位
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ジム・バリー ザ・ロッジヒル リースリング 750ml ★★★★☆4/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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クレアヴァレーの定番辛口。ライムの爽快感とコスパの良さ。 |
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23位
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ペンフォールズ ビン51 エデンヴァレー リースリング 750ml ★★★★☆4/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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標高の高い銘醸地の辛口。柑橘の純度とミネラルの伸び。 |
LINXASで探すコレクション | 価格を見るAmazon | ¥5,665 楽天 | 査定 買取 | |
24位入手困難
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フェルトン・ロード ドライ リースリング 750ml ★★★★★5/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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世界最南の銘醸地が生む辛口。凛とした酸と清冽なミネラル。 |
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25位
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シャトー・サン・ミッシェル エロイカ リースリング 750ml ★★★★☆4/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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独の名手と組んだ米国の代表作。果実味と酸の心地よい均衡。 |
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| 26位 | ドクター・コンスタンティン・フランク ドライ リースリング 750ml ★★★★☆4/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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冷涼な米北東部の銘醸地。シャープで清涼感のある辛口。 |
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| 27位入手困難 | イニスキリン リースリング アイスワイン 375ml ★★★★★5/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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凍結果実から造る蜜の甘露。リースリングの甘口の極致。 |
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| 28位 | 比較:ゲヴュルツトラミネール(アルザス) 750ml ★★★☆☆3/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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ライチと薔薇の香り。リースリングと並ぶアルザスの主要白。 |
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| 29位 | 比較:グリューナー・ヴェルトリーナー(オーストリア) 750ml ★★★☆☆3/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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白胡椒とハーブの香り。ヴァッハウでリースリングと双璧の品種。 |
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| 30位 | 比較:ミュラー・トゥルガウ(ドイツ) 750ml ★★☆☆☆2/ J.S.A.認定ソムリエスコア |
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リースリング×別品種の交配種。穏やかでマイルドな日常白。 |
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三十本の中には、比較のためにゲヴュルツトラミネール、グリューナー・ヴェルトリーナー、ミュラー・トゥルガウも入れてあります。いずれもリースリングと同じ地域で造られ、しばしば同じ棚に並ぶ品種です。香りの華やかさや酸の質を隣で確かめると、リースリングの輪郭がかえってはっきりします。
辛口から極甘口まで|甘辛の読み方と肩書き

リースリングで最初につまずくのが甘辛です。同じ生産者の同じ畑でも、瓶によって辛口と甘口が並びます。値段の高いほうが甘い、あるいは辛い、という関係もありません。読むべきはラベルの一語だけです。
| 表記 | 読み | おおよその位置 |
|---|---|---|
| trocken | トロッケン | 辛口。残糖はごく少ない |
| halbtrocken | ハルプトロッケン | 中辛口。かすかに甘みを感じる |
| feinherb | ファインヘルプ | 中辛口あたり。法的な定義はない慣用語 |
| lieblich | リープリッヒ | やや甘口 |
| süß | ズュース | 甘口 |
EUの表示規則では、辛口や中辛口として名乗れる残糖の上限が、酸の量との関係を条件に定められています。おおむねトロッケンで一リットルあたり九グラムまで、ハルプトロッケンで十八グラムまでという整理がされることが多いのですが、条件つきの上限であるため、単純な数値の線引きとして覚えるとかえって外れます。ファインヘルプにいたっては規則上の定義がなく、生産者が自分の判断で使う語です。
肩書き(プレディカート)は甘さの等級ではない
ドイツのラベルにはカビネット、シュペートレーゼ、アウスレーゼといった語が載ります。これらは収穫したときの果汁の糖度で決まる肩書きで、瓶に入った酒が甘いかどうかを直接には示しません。糖度の高い果汁を最後まで発酵させれば辛口になるからです。実際、シュペートレーゼ・トロッケンという表記は珍しくありません。
| 肩書き | 意味 | 瓶の中の甘辛 |
|---|---|---|
| カビネット | 基本の収穫 | 辛口も甘口もある |
| シュペートレーゼ | 遅摘み | 辛口も甘口もある |
| アウスレーゼ | 房を選んで収穫 | 甘口が多い |
| ベーレンアウスレーゼ | 粒を選んで収穫 | 極甘口 |
| アイスヴァイン | 樹上で凍った実を収穫 | 極甘口 |
| トロッケンベーレンアウスレーゼ | 干しぶどう状の粒を収穫 | 極甘口 |
ドイツは二〇二一年にワイン法を改めており、フランス型の原産地ピラミッドへ段階的に移行しています。肩書きの制度と産地の制度が併走している状態なので、ラベルの読み方は過渡期です。制度の全体像はドイツワインの格付け解説に、極甘口の造り方は貴腐ワインの解説とアイスワインの解説に譲ります。
世界の主な産地|ドイツ・アルザス・オーストリア・新世界

リースリングは冷涼な土地でしか本領を発揮しません。暑い産地では酸が落ち、香りが単調になります。結果として、栽培地は緯度の高い場所か、標高の高い場所か、海流や川で冷やされる場所に偏ります。モーゼルやラインガウで畑が川に面した斜面に集まっているのも、川面が光を返し、夜の冷え込みを和らげるからだと説明されます。斜面であること、南に向いていること、川が近いこと。この三つが揃う場所は限られていて、だからこそ古くから畑の一つひとつに名前が付き、その名前が値段の理由になってきました。
| 産地 | 甘辛の中心 | 味の印象 |
|---|---|---|
| ドイツ モーゼル | 辛口から甘口まで | 度数が低く、酸が細く長い |
| ドイツ ラインガウ | 辛口寄り | 骨格があり、蜜の香りが出やすい |
| フランス アルザス | 辛口が中心 | 厚みがあり、余韻に苦みの芯 |
| オーストリア ヴァッハウ | 辛口 | 度数が高めで密度がある |
| オーストラリア クレア/エデン | 辛口 | ライムと石灰、直線的 |
| アメリカ ワシントン/フィンガーレイクス | 辛口から中辛口 | 果実味が前に出る |
同じ品種でも、瓶の中身が変わる理由
産地でこれほど差が出るのは、リースリングが糖と酸の両方を素直に反映するからです。暖かい土地では糖が上がり、そのまま発酵させれば度数の高い辛口になります。冷涼な土地では糖が上がりきらず、発酵を途中で止めれば甘みが残り、最後まで進めれば低い度数の辛口になる。造り手が選べる幅が、気候によって決まっているわけです。アルザスの解説はアルザスのリースリングに、日本の白ぶどうとの対比は甲州ワインの解説にまとめました。
モーゼルの粘板岩|リースリングの「石」を日本語で引く

モーゼルの畑の写真を見ると、緑よりも先に黒っぽい板の破片が目に入ります。デボン紀に堆積した泥が押し固められた岩で、ドイツ語ではシーファー、英語ではスレート、日本語では粘板岩と呼ばれます。薄く平らに割れるのが特徴で、斜面ではこれが崩れて表土を覆っています。
この石がリースリングに効くとされる理由は、だいたい三つに整理されます。日中に熱を蓄えて夜に放出するので、冷涼な土地でも実が熟す。板の隙間を水が抜けるので根腐れしにくい。根が割れ目を伝って深くまで潜れる。いずれも温度と水の話であって、石の成分が味に移るという話ではありません。産地の解説では「スレート土壌」という言い方が定着していますが、それは畑の見た目と水はけを指す言葉です。ワインの「ミネラル感」を土壌の鉱物で説明する見方のほうは、現在では裏づけが弱いとされています。石は味を作るのではなく、実の熟し方を作る。そう考えたほうが、産地ごとの差ともよく合います。
斜面はきわめて急です。モーゼル沿いのカルモントの畑は、ヨーロッパで最も急な段の一つとして紹介されます。傾きの数値は、六十五度と書く資料と六十パーセントと書く資料が並立していて一定しません。ただ、機械が入らないことだけは共通しています。収穫は人の手と、斜面に渡した索道で行われます。
そこで、この石の名前を日本の法令の全文にあたって数えてみました。まず品種と栽培の言葉から。
| 語 | 全法令を横断した結果 |
|---|---|
| リースリング | 零件 |
| ぶどう畑 | 零件 |
| 葡萄畑 | 零件 |
| ワイナリー | 零件 |
| 醸造用ぶどう | 零件 |
| テロワール | 零件 |
六語すべてが零です。品種の名も、造る場所の名も、日本の法令には存在しません。このうちテロワールとぶどう畑が零であることはワインの基礎解説ですでに扱いました。この記事はその先、畑ではなく畑の下の石を見にいきます。粘板岩は四つの法令に、スレートは十一の法令に見つかりました。粘板岩のほうを開いて読んだ結果が下の表です。
| 法令 | 粘板岩の出方 | 何の一覧か |
|---|---|---|
| 採石法 第二条 | 二十四の岩石の十四番目 | この法律でいう「岩石」の定義 |
| 商標法施行規則 別表 | 第十九類の一の商品名 | 建築用又は構築用の非金属鉱物 |
| 特定有害廃棄物等の範囲等を定める省令 別表第三 | 採掘作業に伴い生ずる物のロ | 輸出入の規制から外れる側の物 |
| 不正競争防止法第十六条第一項等に規定する標章を定める省令 | 商品の列挙の中に二回(フランスの欄の三号と四号に同じ列挙が置かれている) | 外国の証明用の標章が付される商品 |
四つのうち三つは、物としての売り買いか、輸出入の仕分けです。残る一つが採石法で、これがいちばん重い。順に見ていきます。
なお四つめの省令は、不正競争防止法が保護する外国の証明用の標章を指定するもので、標章ごとに、それが付される商品の名前を延々と並べています。粘板岩はその列挙の中に二回現れますが、二回とも同じ一文の重複です。粘板岩の直前は「建築用又は構築用の粘土」で、そのあとには、わら、麻繊維、石灰、花こう岩、砂岩、未加工の石・石材、土・土壌、製材前の木材、屋根用スレート、床用タイル、屋根用タイルといった語が続きます。注目したいのはこの並びです。粘土と粘板岩が先に立ち、七つあとに「土・土壌」が別の商品として置かれている。ただしこの欄はフランスの標章について並べられたもので、日本の省令はその区別をそのまま書き写しました。石と土は、はじめから別の品目として届けられていたわけです。
採石法第二条|国が「岩石」と呼ぶ二十四のもの

採石法は昭和二十五年の法律です。第一条は目的をこう書いています。
この法律は、採石権の制度を創設し、岩石の採取の事業についてその事業を行なう者の登録、岩石の採取計画の認可その他の規制等を行ない、岩石の採取に伴う災害を防止し、岩石の採取の事業の健全な発達を図ることによつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
採石法(昭和二十五年法律第二百九十一号)第一条
採る権利を作り、採る者を登録させ、採る計画を知事の認可に掛け、採ることに伴う災害を防ぐ。第一条の中に「採取」という語が四回出てきます。この法律にとって岩石とは、地面にある景色ではなく、掘り出される資源です。そして第二条が、その資源の範囲を決めます。
この法律において「岩石」とは、花こう岩、せん緑岩、はんれい岩、かんらん岩、はん岩、ひん岩、輝緑岩、粗面岩、安山岩、玄武岩、れき岩、砂岩、けつ岩、粘板岩、凝灰岩、片麻岩、じや紋岩、結晶片岩、ベントナイト、酸性白土、けいそう土、陶石、雲母及びひる石をいう。
採石法第二条
二十四の名前が並び、最後はをいう
で閉じます。「その他これに類するもの」といった逃げ道がありません。ここに載っていない石は、この法律の岩石ではない。粘板岩は十四番目に、けつ岩と凝灰岩のあいだに置かれています。並びは硬さでも用途でもなく、火成岩・堆積岩・変成岩・粘土鉱物というおおまかな地質の順に近い。
| 並び | 採石法第二条が挙げる岩石 |
|---|---|
| 一から十まで | 花こう岩/せん緑岩/はんれい岩/かんらん岩/はん岩/ひん岩/輝緑岩/粗面岩/安山岩/玄武岩 |
| 十一から二十まで | れき岩/砂岩/けつ岩/粘板岩/凝灰岩/片麻岩/じや紋岩/結晶片岩/ベントナイト/酸性白土 |
| 二十一から二十四まで | けいそう土/陶石/雲母/ひる石 |
この法律の全文は空白を除いて約三万一千字あります。そこに「土壌」という語は一度も出てきません。「酒」も「ワイン」も「ぶどう」も零回です。岩石を採る者は、採取計画を定めて都道府県知事(指定都市の区域ではその市長)の認可を受けなければならない、と第三十三条が定めます。国がこの石に向ける関心は、どこから掘り、どう掘り、掘ったあとの斜面が崩れないか、というところにあります。
建物のスレート|粘板岩の名前が法令に現れる場所

粘板岩は薄く平らに割れます。だから屋根に載る。ヨーロッパの古い街並みで黒く光っている屋根は、この石を割ったものです。日本の法令に現れる「スレート」も、行き先はいくつかに割れました。まず目につくのが建設業法施行規則と職業能力開発促進法施行規則で、こちらに載るのは石ではなく人です。技能検定の職種「かわらぶき・スレート施工」、指導員免許の職種「スレート科」、訓練科の名前「スレート施工科」、学科試験の科目「スレート施工法」。国はこの石の名前を、屋根をふく技能の呼び名としても登録しています。もっとも、同じ規則の附則に残る旧職種名は「石綿スレート施工」でした。技能の名前が借りているのも、石ではなくセメントと石綿の板のほうです。
もうひとつが、建物の材料そのものとして書かれている条文です。こちらは五つの法令にまたがりますが、性格のはっきりした三本を順に読みます。
| 法令 | 条 | スレートの位置づけ |
|---|---|---|
| 不動産登記規則 | 第百十四条 | 建物の屋根の種類を分ける五区分の二番目 |
| 建築基準法施行令 | 第八十四条 | 固定荷重を計算するときの屋根の種別 |
| 労働安全衛生規則 | 第五百二十四条 | 踏み抜きの危険がある屋根の材料 |
| 労働安全衛生規則 | 第三百四条第二項 | 格納室に求める耐火性の構造 |
最初は登記です。建物を登記するとき、その構造は決められた語で書かなければなりません。
建物の構造は、建物の主な部分の構成材料、屋根の種類及び階数により、次のように区分して定め、これらの区分に該当しない建物については、これに準じて定めるものとする。(中略)二 屋根の種類による区分 イ かわらぶき ロ スレートぶき ハ 亜鉛メッキ鋼板ぶき ニ 草ぶき ホ 陸屋根
不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)第百十四条
屋根の種類はこの五つだけです。スレートぶき
は、かわらぶきの次に置かれています。構成材料のほうは、木造、土蔵造、石造、れんが造、コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造の八つ。登記簿に載る建物の姿は、この八区分と屋根五区分、そして平家建か二階建か(三階建以上はこれに準ずる)という階数の組み合わせで表されます。区分に当てはまらない建物については「これに準じて定める」とだけ書かれていて、新しい材料が出てくるたびに条文を書き換えずに済むようになっています。モーゼルの斜面を覆う石は、日本の制度のなかでは、まずこの五語のうちの一語として登場します。
次が荷重です。建築基準法施行令第八十四条は、建物の各部の固定荷重を表で与えています。屋根の欄はこう並びます。
屋根 瓦ぶき ふき土がない場合 屋根面につき六四〇 (中略) 波形鉄板ぶき もやに直接ふく場合 五〇 薄鉄板ぶき 二〇〇 ガラス屋根 二九〇 厚形スレートぶき 四四〇
建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第八十四条の表から抜粋(備考欄は省略)
単位は一平方メートルあたりのニュートンです。厚形スレートぶき
は四四〇。瓦の六四〇より軽く、薄鉄板の二〇〇より重い。ふき土のある瓦は九八〇に達します。国がこの名前を数字で書くのは、味でも色でもなく、屋根が自分の重さでどれだけ下に力を掛けるか、という一点でした。もっとも、この「厚形スレート」はセメントを加圧成形したかわらであって、モーゼルの斜面の石ではありません。名前だけが石から借りられているわけです。
踏み抜きの条文|幅三十センチメートルの歩み板
三つめが労働安全衛生規則です。この規則には、墜落や飛来崩壊による危険を防ぐための条が並んでいます。高さ二メートル以上の場所では悪天候のとき作業をさせてはならない、必要な照度を保たなければならない。その流れの直後に、材料の名前を掲げた条が置かれています。
事業者は、スレート、木毛板等の材料でふかれた屋根の上で作業を行なう場合において、踏み抜きにより労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、幅が三十センチメートル以上の歩み板を設け、防網を張る等踏み抜きによる労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。
労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第五百二十四条
見出しは「スレート等の屋根上の危険の防止」。踏み抜き
という語が、見出しを除いた一文のなかに二度出てきます。ここで想定されているのは、天然の粘板岩よりも、セメントを固めた化粧スレートの板でしょう。年数が経つと脆くなり、人が乗ると割れる。だから幅三十センチメートル以上の歩み板を渡し、下に網を張れ、と規則は命じます。数字が出てくるのはこの幅だけで、屋根の高さも、板の厚さも、経過年数も条文には現れません。基準を材料の名前で示し、対処を幅の数字で示す。この書き方は、条文が現場の判断に委ねている範囲がどこまでかを、そのまま表しています。
直前の第五百二十二条と第五百二十三条は、高さ二メートル以上の箇所での作業について、悪天候のときは作業をさせてはならないこと、必要な照度を保つことを求めています。第五百二十四条には高さの条件がありません。低い屋根であっても、板が抜ければ落ちるからです。材料の名前がそのまま危険の理由になっている条文は、規則全体を見渡してもそう多くありません。
同じ規則の別の場所では、スレートは逆に人を守る側に回ります。
事業者は、前項の格納室については、木骨鉄板張、木骨スレート張等耐火性の構造としなければならない。
労働安全衛生規則第三百四条第二項
移動式のアセチレン溶接装置をしまう格納室そのものの構造の話で、条文に「壁」という語はありません。踏めば割れる板が、火に対しては耐える板として指定される。同じ材料が、載る場所によって危険にも安全にもなる。法令の語り口はそういうものです。火薬類取締法施行規則第五十二条第三項第三号と、鉱業上使用する工作物等の技術基準を定める省令第四十条第二項第二号ロも、火薬類を扱う建物の屋根の外面に、金属板やかわらと並べてスレート板を不燃性の材料として挙げています。
採石業者は、岩石の採取を行おうとするときは、当該岩石の採取を行う場所(以下「岩石採取場」という。)ごとに採取計画を定め、当該岩石採取場の所在地を管轄する都道府県知事(中略)の認可を受けなければならない。
採石法第三十三条
ここまでを並べると、粘板岩とスレートは、日本の法令のなかで六つの顔を持っていることになります。採る対象、売り買いされる商品、輸出入で仕分けられる物、建物の材料、屋根をふく技能の名前、そして六つめが、国有財産の目録に並ぶ建物の姿です。
この六つめが少し変わっています。新エネルギー総合開発機構がアルコール専売事業特別会計から承継する権利及び義務等に関する政令という長い名前の政令があり、その別表の二は、国から機構へ引き継がれる建物を構造ごとに数えあげています。「鉄骨造スレートぶき平家建」「木造スレートぶき平家建」といった語が、そこに合わせて四十二回現れる。日本の法令のなかで「スレート」がいちばん多く出てくるのは、この一本です。そして承継の対象になっていたのは、国がアルコールを造っていた工場でした。ぶどうの根が潜る先としての石は、やはりどこにも書かれていません。書かれていないからといって、モーゼルの畑の価値が減るわけではない。ただ、同じ石を別の国の別の制度から見ると、まったく違う書かれ方をするというだけです。
失敗しないリースリングの選び方

選ぶときに見る順番は決まっています。第一に甘辛。辛口が欲しければトロッケンの一語を探す。表記がなければ甘みが残っている可能性が高いと考えます。第二に産地。冷涼で軽いものが欲しければモーゼル、厚みが欲しければアルザスかヴァッハウ、まっすぐな辛口ならオーストラリア。第三に年。ペトロール香が目当てなら五年以上前の瓶を、果実味が目当てなら直近の年を選びます。
保管は横に寝かせて、摂氏十二度から十五度の暗い場所が理想です。ワインの保管そのものはワインセラーの解説に、開けた後の栓はワインストッパーの解説にまとめています。当たり年の考え方はヴィンテージチャートと生まれ年ワインの解説が参考になります。
リースリングの飲み方・適温・グラス
温度で表情がはっきり変わる品種です。冷やしすぎると酸だけが立ち、温度が上がりすぎると輪郭がぼやける。目安は下のとおりです。
| タイプ | 目安の温度 | ねらい |
|---|---|---|
| 若い辛口 | 摂氏八度前後 | 酸の清涼感を前に出す |
| 熟成した辛口 | 摂氏十度から十二度 | 香りをほどく |
| 中甘口 | 摂氏八度から十度 | 甘みを重くしない |
| 極甘口 | 摂氏六度から八度 | 粘りを締める |
グラスは口のすぼまった中型のもので十分です。大ぶりの赤ワイン用は香りが散り、小さすぎるものは温度が上がりません。抜栓してから飲み終わるまでのあいだに温度が二、三度上がることを見込んで、最初はやや低めから始めるとうまくいきます。
リースリングと料理の相性
酸が高く、度数が低く、甘みを調整できる。この三つは食卓ではとても使いやすい性質です。辛口は白身魚、貝、鶏、酢を使った料理に合います。中辛口はスパイスの効いた料理、エスニック、中華の甘辛い味つけと噛み合います。極甘口はブルーチーズ、鴨のパテ、レモンを使った菓子。日本の食卓なら、辛口は天ぷらや刺身、中甘口は酢豚や麻婆豆腐が分かりやすい入口です。組み合わせの一般論はワインに合うおつまみにまとめています。
よくある質問

リースリングとはどんなワインですか?
ドイツのライン川・モーゼル川流域を原産とする白ワイン用のぶどう品種、およびそれで造られたワインです。晩熟で、熟しても酸が残るのが最大の特徴。樽をほとんど使わず、辛口から極甘口まで幅広く造られます。日本の酒税法では、ぶどうを発酵させたものとして第三条第十三号イの果実酒に当たります。
リースリングは甘口ですか、辛口ですか?
両方あります。ドイツやアルザス、オーストリア、オーストラリアでは辛口が数多く造られており、甘口専門の品種ではありません。辛口が欲しいときはラベルのトロッケンという表記を探してください。
トロッケンとファインヘルプはどう違いますか?
トロッケンは表示規則に上限のある語で、辛口を指します。ファインヘルプには規則上の定義がなく、生産者が中辛口あたりの意味で自主的に使う語です。したがって同じファインヘルプでも造り手によって甘みの量が違います。
カビネットやシュペートレーゼは甘さの等級ですか?
違います。収穫したときの果汁の糖度で決まる肩書きであり、瓶の中の甘辛を直接には示しません。糖度の高い果汁を最後まで発酵させれば辛口になるため、シュペートレーゼ・トロッケンのような表記が成立します。
ペトロール香は劣化ですか?
劣化ではありません。TDNという化合物によるもので、ぶどうの中のカロテノイド由来の前駆体が瓶内で分解して現れるとされます。日照の強い年、瓶熟成の長いものほど出やすく、リースリングの熟成の目印として扱われます。
リースリングとシャルドネの違いは何ですか?
シャルドネは樽を使う造りが多く、味に厚みと丸みが出ます。リースリングは樽をほぼ使わず、酸と果実味をそのまま瓶に入れるため、輪郭が鋭くなります。甘辛の幅もリースリングのほうが圧倒的に広いです。
適温とグラスの目安を教えてください。
若い辛口は摂氏八度前後、熟成した辛口は十度から十二度、極甘口は六度から八度が目安です。グラスは口のすぼまった中型で十分で、大ぶりのものは香りが散ります。低めから始めて温度が上がる過程を楽しむのが向いています。
モーゼルの粘板岩は味に影響しますか?
石の成分がそのまま味に移るという説明は、現在では裏づけが弱いとされています。影響するのは熱の蓄えと水はけ、そして根の張り方で、結果として実の熟し方が変わります。味を作るのは石そのものではなく、石が作る環境だと考えるほうが実態に近いでしょう。
日本の法令に「リースリング」や「ぶどう畑」という語はありますか?
ありません。全法令を横断して検索すると、リースリング、ぶどう畑、葡萄畑、ワイナリー、醸造用ぶどう、テロワールはいずれも零件です。一方で粘板岩は四つの法令に、スレートは十一の法令に現れます。ただしその内容は、採石法第二条の岩石の定義、商標法施行規則の商品区分、輸出入の別表、建物の材料に関する条文、技能検定の職種名や訓練科の名前、そして国有財産の目録に並ぶ建物の構造表記で、土壌として書かれた例はありません。
飲まないリースリングやワインを売ることはできますか?
できます。リンクサス酒販では、ドイツやアルザスの上級リースリング、貴腐ワイン、アイスワインなどの買取に対応しています。液面の高さ、コルクとキャップシールの状態、ラベルの傷み、保管環境が評価に影響します。飲む予定のない瓶は、状態が良いうちに査定へ出すのがおすすめです。


















