にごり酒とは|「開栓注意」を書かせている法律はどれか

にごり酒とは|「開栓注意」を書かせている法律はどれか

にごり酒の瓶には、たいてい小さな字で「開栓注意」と書いてあります。ところが清酒の表示を決めている国税庁の告示にも、酒類の表示を義務づけている法律にも、その四文字はどこにも出てきません。ではあの一行は、どこから来ているのか。にごり酒とは何かという話を、白い濁りの正体からではなく、瓶に刷られた注意書きの根拠から追いかけます。

にごり酒とは|こしてある清酒で、瓶の中ではまだ動いている

にごり酒とは|こしてある清酒で、瓶の中ではまだ動いている
棚に並ぶ日本酒の一例

にごり酒は、もろみを目の粗い布などで軽くこして、米の細かい固形分をあえて残した日本酒です。「こす」という工程を通っているので、酒税法の品目としては清酒に入ります。

米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの

酒税法 第三条第七号イ

条文が求めているのはこしたものであることだけで、どこまで澄ませろとは書いていません。だから粗くこした白い酒も清酒です。こさなければ清酒ではなくなり、品目はその他の醸造酒に移ります。この分岐そのものはどぶろくとは|にごり酒・マッコリ・甘酒との違いと度数・買える場所と日本酒とは|清酒の定義と、原料の米を追う三つの法律が正面から扱っているので、ここでは通過点として置きます。

「にごり酒」という名前は、法令のどこにも無い

清酒に固有のラベルの書き方は、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第八十六条の六第一項にもとづく酒類の表示の基準で決まります。その基準が清酒の製法品質表示基準(平成元年国税庁告示第8号)です。全文を通して読むと、「にごり」「濁」「おり」「澱」「発泡」「炭酸」のいずれの語も、一度も出てきません。任意記載事項として名前が与えられているのは、原料米の品種名、清酒の産地名、貯蔵年数、原酒、生酒、生貯蔵酒、生一本、樽酒、品質が優れている印象を与える用語、製造時期の十項目で、にごり酒も活性にごりもここに入っていません。

つまり「にごり酒」は、酒税法の品目名でも、告示が定義した用語でもありません。造り手と売り手が慣習で使っている呼び名です。名前が制度の外にあることは、このあと注意書きの根拠を探すときに効いてきます。

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切子のグラスと日本酒を並べた一例

にごり酒と飲み比べる澄んだ清酒を、日本酒のコレクションから在庫のある銘柄で並べています。

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にごり酒とあわせて知りたい日本酒30銘柄を比較

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カウンターに並ぶ日本酒の瓶の一例

下の表は、にごり酒の味わいを測る物差しとして澄んだ清酒を中心に三十本並べたものです。どの銘柄も価格と容量は公表値で、にごりの有無はここでは比べていません。表の数字は味の目安であって、瓶の中で何が起きているかは示しません。

にごり酒とあわせて知りたい日本酒のおすすめ銘柄30選 比較表|澄んだ清酒との飲み比べに
にごり酒は、醪(もろみ)を目の粗い布などで軽く漉し、米のかすをあえて残した白濁の日本酒です。とろりと甘く濃厚な口当たりが特徴で、同じ米・米麹・水から造られる澄んだ清酒とは飲み口が大きく異なります。この比較表では、にごり酒を理解する手がかりとして、入門の定番(獺祭・八海山・上善如水)から新潟淡麗(〆張鶴・久保田)、生酛造りの大七、入手困難な人気銘柄(十四代・而今・飛露喜・黒龍)まで、澄んだ清酒を中心とした日本酒30銘柄を横断比較します。度数・味わいタイプ・産地・おすすめの温度帯・楽天/Amazonの購入先を一覧でき、にごり酒と飲み比べる際の基準になります。表上部のタブで『おすすめ順』『価格順』に並べ替えできます(日本酒の多くはオープン価格のため定価は非掲載、市場相場の目安のみを表示/2026年6月時点)。
画像 銘柄・スコア 定価
市場相場
特徴 リンクサス酒販
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公式希望小売6,380円(720ml箱無し・税込/紙箱入り7,150円・木箱入り7,480円。2026年8月6日に旭酒造公式サイトで確認)

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新潟淡麗の定番。料理に寄り添うすっきり辛口。

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新潟淡麗のやわらかな旨口。冷酒〜ぬる燗。

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久保田 千寿 吟醸 720ml13位淡麗辛口の定番 久保田 千寿 吟醸 720ml
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獺祭 純米大吟醸45 720ml14位定番スタンダード 獺祭 純米大吟醸45 720ml
¥1,782
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獺祭のいちばん身近な定番。日常の晩酌から贈り物まで。

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風の森 秋津穂 657 720ml15位生酒・冷酒向き 風の森 秋津穂 657 720ml
市場相場2,000円台後半(実勢・2026年6月時点)

無濾過生酒のフレッシュさ。よく冷やしてシュワっと。

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16位生醛の代表 大七 生もと純米 1800ml
市場相場2,200〜2,800円台(1800ml・実勢/2026年6月時点)

生醛造りの濃醇旨口。燗で旨味が開く。

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17位入門に人気 上善如水 純米吟醸 720ml
市場相場1,200〜1,600円台(720ml・実勢/2026年6月時点)

軽快フルーティで飲みやすい入門酒。

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獺祭 ブルー Type 50 720ml18位話題・飲み比べ 獺祭 ブルー Type 50 720ml
市場相場4,000円台(実勢・2026年6月時点)

話題のアメリカ醸造・獺祭。飲み比べの一杯に。

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風の森 ALPHA 5 燗SAKEの探求 720ml19位燗酒向き・実験的 風の森 ALPHA 5 燗SAKEの探求 720ml
市場相場2,000円台後半(実勢・2026年6月時点)

燗酒の新提案。温めることで旨味が開く実験的な一本。

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20位日常の定番 白鶴 まる パック 2000ml
市場相場900〜1,300円台(2000mlパック・実勢/2026年6月時点)

毎日の晩酌に。クセのない定番普通酒。

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菊姫 原酒 1800ml21位濃厚原酒 菊姫 原酒 1800ml
市場相場2,000円台〜(1800ml・実勢/2026年6月時点)

熟成原酒をブレンドした濃厚旨口。ロックも美味。

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22位定番原酒・受賞 月桂冠 つき原酒 1800ml
市場相場1,000円台〜(1800ml・実勢/2026年6月時点)

コスパ良の定番原酒。IWC SAKE部門ゴールド受賞。

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ふなぐち菊水一番しぼり 200ml23位生原酒・定番缶 ふなぐち菊水一番しぼり 200ml
市場相場200円台〜(200ml缶・実勢/2026年6月時点)

生原酒の代名詞。缶でいつでもフレッシュ。

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越後武士(さむらい)720ml24位超高度数・話題 越後武士(さむらい)720ml
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ウォッカ並みの度数46%。米・米麹由来の世界最高度数級。

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25位活性にごり・甘口 酔仙酒造 活性原酒 雪っこ 300ml
市場相場400円台〜(300ml・実勢/2026年6月時点)

酵母が生きた活性にごり原酒。とろける甘味。

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川鶴 讃岐くらうでぃ 1800ml26位低アル・にごり 川鶴 讃岐くらうでぃ 1800ml
市場相場2,000円台〜(1800ml・実勢/2026年6月時点)

通常の3倍麹のにごり酒。低アル6%で焼肉に合う。

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一ノ蔵 ひめぜん 720ml27位低アル・パイオニア 一ノ蔵 ひめぜん 720ml
市場相場1,000円台〜(720ml・実勢/2026年6月時点)

低アル酒のパイオニア。ジュース感覚で飲める。

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富久錦 純米 Fu. 500ml28位低アル・純米 富久錦 純米 Fu. 500ml
市場相場1,000円台〜(500ml・実勢/2026年6月時点)

辛口白ワイン感覚の低アル純米。食中酒に。

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松竹梅白壁蔵 澪 スパークリング清酒 300ml29位低アル・入門 松竹梅白壁蔵 澪 スパークリング清酒 300ml
市場相場400円台〜(300ml・実勢/2026年6月時点)

低アル5%の大定番。日本酒が苦手でも飲みやすい。

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花の舞 Abysse(アビス)スパークリング 720ml30位ワイン酵母・洋食向き 花の舞 Abysse(アビス)スパークリング 720ml
市場相場1,500円台〜(720ml・実勢/2026年6月時点)

ワイン酵母仕込みの洋食に合う日本酒。中庸の度数。

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掲載銘柄は澄んだ清酒を中心とした日本酒の代表例で、にごり酒の味わいを理解するための飲み比べ基準として並べています。日本酒の多くはメーカー希望小売価格を公表しない「オープン価格」のため、定価(list_price)は掲載せず市場相場の目安のみを記載しています(2026年6月時点の実勢)。十四代・而今・飛露喜・黒龍石田屋などは品薄・価格変動が大きく、実勢が大きく上振れする場合があります。にごり酒は同じ蔵が季節限定で展開することも多く、各蔵の通常ラインの味わいが参考になります。楽天/Amazon価格は各モールの実勢で、同一銘柄・容量が見つからない場合は空欄となります。最新の在庫・価格・スペックは各リンク先でご確認ください。

開けると噴くのは、瓶の中で発酵が続いているから

開けると噴くのは、瓶の中で発酵が続いているから
グラスに注がれた日本酒の一例

白い濁りの正体は、こしきれなかった米と米こうじの微細な固形分です。そこには糖と、糖を食べる酵母が一緒に残ります。加熱処理をしていない酒では酵母が生きているので、瓶に詰めたあとも発酵が続き、二酸化炭素が生まれます。瓶は密閉されていますから、生まれたガスは逃げ場がなく、液に溶けて内側の圧力を押し上げます。栓を回すと圧力が一気に抜け、溶けていたガスが泡になり、その泡が固形分を巻き上げて口から吹き出します。これが「噴く」の中身です。

火入れをしているかどうかで、動き方が変わる

加熱処理、いわゆる火入れをすると酵母は働きを止めます。火入れ済みのにごり酒は瓶の中で発酵が進まないので、噴く力も基本的には持ちません。逆に、製成後に一度も加熱していない酒は、清酒の製法品質表示基準が定義する生酒にあたります。

生酒の用語は、製成後、一切加熱処理をしない清酒である場合に表示できるものとする。

清酒の製法品質表示基準 5(5)

製成後が起点であって、しぼった直後ではありません。この一文の読み方は生酒とは 「製成後、一切加熱処理をしない清酒」という国の定義から読み解くにゆずります。ここで押さえたいのは、噴くかどうかを決めているのが「にごっているか」ではなく「加熱したか」だ、という点です。澄んでいても生なら動きますし、濁っていても火入れ済みなら静かです。

活性・うすにごり・おりがらみの見分け方

売り場で使われる呼び名は、濁りの濃さと発泡の強さで、おおむね次のように分かれます。いずれも慣用の呼び名で、告示に定義はありません。

表1 濁りと発泡でみた呼び名の使われ方(いずれも法令上の定義は無い)
呼び名 濁りの目安 発泡 栓の形
活性にごり 濃い 強い ガス抜き穴付きの王冠、緩めやすいスクリュー
にごり酒(火入れ) 濃い ほぼ無し 通常の栓
うすにごり 薄い 弱いものがある 銘柄により異なる
おりがらみ ごく薄い 弱いものがある 銘柄により異なる

おりがらみは、澱を引かずに瓶詰めしたものを指す呼び方で、白濁の度合いはにごり酒より控えめです。詳しくはおりがらみとは|にごり酒・どぶろくとの違いと微発泡・澱の旨味の楽しみ方で扱っています。

「開栓注意」を書けと命じている条文を探す

「開栓注意」を書けと命じている条文を探す
日本酒の裏ラベルの一例

にごり酒の瓶に刷られる注意書きの根拠を、表示を決めている順に上から当たっていきます。結論を先に書くと、「開栓注意」という言葉を書けと命じている条文は、どこにもありません。

告示が注意書きを義務づけているのは、生酒に対してだけ

清酒の製法品質表示基準は、必ず書かせる事項を四つ並べています。原材料名、保存又は飲用上の注意事項、原産国名、外国産清酒を使用したものの表示です。うしろの二つは、保税地域から引き取る清酒と、国内産と外国産の清酒を併用して造った清酒にだけ掛かります。注意書きに最も近い位置にあるのは二番目です。

製成後一切加熱処理をしないで製造場から移出する清酒には、保存又は飲用上の注意事項を表示する。

清酒の製法品質表示基準 3(2)

この一文には二つの限定が掛かっています。第一に、対象は製成後一切加熱処理をしないで製造場から移出する清酒だけです。火入れをしてから出荷する酒には、この義務が及びません。濃厚な火入れのにごり酒に注意書きが付いていても、それは告示が命じたものではないということです。第二に、書かせているのは保存又は飲用上の注意事項という項目名だけで、中身は指定されていません。「要冷蔵」と書くか「開栓注意」と書くか、両方書くかは、造り手の判断に委ねられています。

ちなみに同じ告示の第4項は、必要記載事項の文字の大きさを八ポイント以上、容量二百ミリリットル以下の容器では六ポイント以上と決めています。大きさは決めるのに中身は決めない、という書き方です。

酒類共通の表示義務にも、開栓の注意は入っていない

清酒に限らず酒類全般の表示は、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第八十六条の五が根拠です。

酒類製造業者又は酒類販売業者は、政令で定めるところにより、酒類の品目その他の政令で定める事項を、容易に識別することができる方法で、その製造場から移出し、若しくは保税地域(略)から引き取る酒類(略)又はその販売場から搬出する酒類の容器又は包装の見やすい所に表示しなければならない。

酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律 第八十六条の五

受けている政令は酒類業組合法施行令第八条の三です。柱書が氏名又は名称と製造場の所在地を求め、各号が内容量、品目、アルコール分、雑酒の税率の適用区分、その他の発泡性酒類の発泡性を有する旨を表す事項の五つを並べます。注意書きは、柱書にも各号にもありません。

ここで第五号に目を留めてください。政令は「泡が出ること」を書かせる号を、ちゃんと持っています。ただし対象はその他の発泡性酒類、つまり酒税法第三条第三号ハの品目に限られます。にごり酒は瓶の中でどれだけ泡立っていても品目は清酒ですから、この号は掛かりません。発泡を告げさせる唯一の号を、にごり酒はすり抜けます。表示事項の中身と、酒類の消費と健康との関係に関する事項をめぐる別の枠については、焼酎は甲類と乙類どっちが体にいい?条文で読む表示のきまりとカンパリソーダとは|容器の健康表示を三か国で比べるで扱っています。

表示を命じる根は、この政令だけではありません。同じ法律の第八十六条の六第一項は、財務大臣が前条に規定するもののほか、酒類の製法、品質その他の政令で定める事項の表示について、酒類製造業者・販売業者の遵守すべき基準を定められるとしています。定められる範囲は政令が画しています。清酒の製法品質について同項にもとづき定められた基準が、冒頭で見た告示です。そしてその義務は、先に見たとおり項目名どまりでした。

食品表示基準は、酒類を大きく外している

食品一般の表示を決める食品表示基準(平成二十七年内閣府令第十号)は、義務表示の特例を置く第五条の表で、酒類を販売する場合の原材料名・アレルゲン・原産国名について表示は要しないと定めています。保存の方法と、消費期限又は賞味期限についても、酒類を義務から外す区分があります。そのうえで別表を含む全文十五万字あまりを通しても、「開栓」の語は一度も現れません。この除外の構造は前掲の焼酎の記事で条文ごと追いました。日本酒に賞味期限が書かれない理由を実務の側から見たい場合は日本酒の賞味期限|未開封は何年もつ?が対応します。

注意書きを支える一本目は、製造物責任法

注意書きを支える一本目は、製造物責任法
希少な日本酒の瓶を並べた一例

表示を命じる制度が空振りに終わったので、責任を問う側の制度を見ます。製造物責任法は本則が六条しかない短い法律で、全文でも千五百字ほどです。そして重要なことに、この法律の中に「警告」という語は一度も出てきません。「注意」も出てきません。「表示」は五回ありますが、いずれも製造業者の氏名や商標を指す氏名等の表示の意味で、注意書きのことではありません。

「製造物」の定義は、十一文字しかない

この法律において「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。

製造物責任法 第二条第一項

定義の本体は製造又は加工された動産の十一文字です。米を発酵させて瓶に詰めた酒はここに入ります。責任を負う製造業者等は第二条第三項が三つ並べており、第一号が当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者、第二号が自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(略)をした者です。委託醸造で自社ブランドのにごり酒を出している酒販店は、造っていなくても第二号で製造業者等に含まれます。

「欠陥」は、通常予見される使用形態から測る

この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。

製造物責任法 第二条第二項

考慮の対象は当該製造物に係る事情で、条文はその例として製造物の特性、通常予見される使用形態、引き渡した時期の三つを挙げたうえ、その他の当該製造物に係る事情と受けています。三つに限られてはいません。にごり酒に当てはめると、特性は「瓶の中で圧力が上がりうること」、通常予見される使用形態は「よく冷やして振り、栓を回して開けること」になります。振ってから開けるのが通常の飲み方である以上、振られることを前提にした安全性が求められます。注意書きは、この通常有すべき安全性を満たすための手段のひとつとして事実上要求されているのであって、条文が名指しで命じているわけではありません。書かなくても罰則はなく、事故が起きたときに賠償責任という形でだけ返ってきます。

第三条のただし書|瓶と中身だけが失われたときは動かない

製造業者等は、(略)その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。

製造物責任法 第三条

このただし書は、にごり酒の話で最もよく効きます。栓を開けたら中身が半分吹き出した、というだけでは、失われたのは酒そのものです。ここでいう当該製造物は、蔵が引き渡したもの、つまり瓶詰めされた酒の全体を指します。瓶が割れて瓶と中身が失われただけなら、損害はその内側に収まります。当該製造物についてのみ生じた損害なので、製造物責任法は動きません。この場合は売主との間の一般の契約の問題になります。制度が動き出すのは、吹き出した液が服や床を汚したとき、破片で手を切ったとき、目に入ったときです。損害が製造物の外へ出て初めて、この法律の射程に入ります。

三年・五年・十年という三つの期間

第五条は請求できる期間を区切っています。第一項第一号が被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から三年間、第二号がその製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年です(身体に蓄積する物質による損害や、潜伏期間のある損害は、第三項で起算点が損害の発生時に動きます)。第二項は、人の生命または身体を侵害した場合について第一号の「三年間」を「五年間」と読み替えます。第四条は免責事由を二つ置いており、第一号がいわゆる開発危険の抗弁、第二号が部品・原材料の製造業者に関するものです。にごり酒のような製品で第一号が通ることは考えにくく、瓶内で発酵が続くことは造り手が最もよく知っている事実です。

酒は、消費生活用製品安全法の外に置かれている

酒は、消費生活用製品安全法の外に置かれている
店頭に並ぶ一升瓶の一例

製品の事故を国に集める仕組みとして、消費生活用製品安全法があります。しかし酒は、この法律の入口で外れています。

この法律において「消費生活用製品」とは、主として一般消費者の生活の用に供される製品(別表に掲げるものを除く。)をいう。

消費生活用製品安全法 第二条第一項

その別表の第二号が、こう書いています。

食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第四条第一項に規定する食品及び同条第二項に規定する添加物並びに同法第六十八条第二項に規定する洗浄剤

消費生活用製品安全法 別表(第二条関係)第二号

参照先の食品衛生法第四条第一項はこの法律で食品とは、全ての飲食物をいう。と定め、除くのは医薬品、医薬部外品、再生医療等製品だけです。酒は飲食物ですから食品にあたり、したがって消費生活用製品ではありません。別表は九号まであり、船舶、消防の検定対象機械器具等、毒物及び劇物、道路運送車両、高圧ガス保安法第四十一条の容器、猟銃等、医薬品等と並びます。第九号は、他の法律が規格や基準を定めて製造・輸入・販売を規制していて危害のおそれがないと認められる製品を、政令で追加する枠です。酒は第二号に、食品という大きな括りで入っています。

容器包装に起因する事故は、食品衛生法の側へ渡る

ここで疑問が出ます。割れたのは瓶であって中身ではない、瓶なら製品ではないか、という筋です。ところがその道も塞がっています。

法第二条第六項の政令で定める事故は、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第四条第四項に規定する器具、同条第五項に規定する容器包装又は同法第六十八条第一項に規定するおもちやに起因する食品衛生上の危害が発生した事故とする。

消費生活用製品安全法施行令 第五条

消費生活用製品安全法第二条第六項は「製品事故」を定義する規定で、その定義から他の法律の規定によつて危害の発生及び拡大を防止することができると認められる事故として政令で定めるものを除いています。除くと書けるのは、引き取り手が別にあるからです。食品衛生法第四条第五項の容器包装は食品又は添加物を入れ、又は包んでいる物で、食品又は添加物を授受する場合そのままで引き渡すものですから、にごり酒の瓶はここに入り、瓶に起因する食品衛生上の危害は製品事故から外れて食品衛生法の側が引き取ります。同法は第十八条第一項で器具・容器包装の規格を定める権限を置き、第二項でその規格に合わない容器包装の販売・製造・輸入を禁じ、第五十八条第一項で違反のおそれがある容器包装を回収するときの都道府県知事への届出を義務づけています。逆にいえば、消費生活用製品安全法施行令第五条が外しているのは食品衛生上の危害に限られます。中身は初めから消費生活用製品ではなく、瓶に起因する食品衛生上の危害は製品事故から外れる。残るのは、食品衛生上の危害とはいえない瓶そのものの破損です。ただしこれは瓶を製造・輸入した者の側の話で、瓶詰めして出荷した蔵は、次に見る報告義務の名あて人になりません。

だから、造り手に国への報告義務が無い

消費生活用製品安全法第三十五条第一項は、製造または輸入の事業を行う者に、重大製品事故を知ったとき内閣総理大臣へ報告することを義務づけています。重大製品事故の要件は消費生活用製品安全法施行令第六条が二号で定めており、第一号が生命または身体への危害(死亡、治療に要する期間が三十日以上の負傷または疾病、内閣府令で定める身体の障害が残るもの、一酸化炭素による中毒)、第二号が火災の発生です。ただし、この報告義務が発動する前提が「消費生活用製品であること」なので、酒については最初の一歩から掛かりません。にごり酒で誰かが怪我をしても、蔵に国へ届け出る法律上の義務は生じない、ということです。

事故の情報は、事業者ではなく行政の側から国に届く

事故の情報は、事業者ではなく行政の側から国に届く
種類の異なる日本酒を並べた一例

造り手に報告義務が無いなら、にごり酒で起きたことは誰も知らないまま終わるのか。そうではありません。受け皿は別の法律に用意されています。消費者安全法です。

行政機関の長、都道府県知事、市町村長及び国民生活センターの長は、重大事故等が発生した旨の情報を得たときは、直ちに、内閣総理大臣に対し、内閣府令で定めるところにより、その旨及び当該重大事故等の概要その他内閣府令で定める事項を通知しなければならない。

消費者安全法 第十二条第一項

通知する義務を負っているのが誰かに注目してください。行政機関の長、都道府県知事、市町村長、国民生活センターの長です。事業者は一人も入っていません。消費生活用製品安全法第三十五条第一項が事業者に報告させるのとは、向きが逆になっています。消費生活センターに寄せられた相談や、保健所が把握した事案が、行政の側から上がっていく仕組みです。

なおこの第一項が対象にしているのは重大事故等で、これは消費者安全法第二条第七項が定義する上の段です。下の段については、あとで見るとおり第十二条第二項が別に受けています。

「消費者事故等」には、飲食物が正面から入っている

消費者安全法第二条第五項第二号は、被害が出る前の段階も拾います。その要件を定めた消費者安全法施行令第二条は、飲食物とそれ以外を書き分けています。

第一号に掲げるもののほか、当該商品等又は当該役務の使用等において、物品(飲食の用に供するものに限る。以下この号において同じ。)が腐敗し、変敗し、不潔となり若しくは病原体により汚染されており、又は物品に有毒な若しくは有害な物質が含まれ若しくは付着し、異物が混入され若しくは添加され、若しくは異臭、その容器若しくは包装の破損その他の異常が生じていたこと。

消費者安全法施行令 第二条第三号

末尾のその容器若しくは包装の破損その他の異常が、にごり酒の瓶に直接当たります。ひとつ前の第二号は物品(飲食の用に供するものを除く。)の破損を扱っています。第三号がわざわざ第一号に掲げるもののほかと書いて第二号を受けていないのは、飲食物がそちらから外れて第三号に集められているからです。飲食物の容器が破損した事態は、消費生活用製品安全法では製品事故ですらないのに、消費者安全法では消費者事故等に該当します。

被害の程度の線は二本あり、下の一本は一日から

消費者安全法は、被害の程度の線を二本引いています。低いほうが第二条第五項第一号にいう消費者事故等で、その程度は消費者安全法施行令第一条が定めます。第二号はこうです。

負傷又は疾病であって、これらの治療に要する期間が一日以上であるもの(当該治療のため通常医療施設における治療の必要がないと認められる軽度のものを除く。)

消費者安全法施行令 第一条第二号

高いほうが消費者安全法第二条第七項第一号にいう重大事故等で、こちらは消費者安全法施行令第四条第二号がこれらの治療に要する期間が三十日以上であるもの又は内閣府令で定める程度の障害が残るものと定めます。消費生活用製品安全法施行令第六条第一号ロが引く線と同じ数字です。三十日の線は二つの法律に共通していて、消費者安全法だけがその下にもう一本、一日の線を持っています。

二本は行き先が違います。三十日以上に届けば消費者安全法第十二条第一項が働き、行政機関の長らは直ちに内閣総理大臣に通知しなければなりません。一日以上三十日未満にとどまるものは同条第二項に回り、被害が拡大するおそれや同種の事故が起きるおそれがあると認めるときに通知するものとするという、条件の付いた規定になります。酒は消費生活用製品安全法の網の外にありますが、消費者安全法の二本の線はどちらも酒に届きます。

なお、重大事故等にはもう一本の枝があります。消費者安全法第二条第七項第二号は、人が傷つく前の「事態」の側を拾う枝で、要件は消費者安全法施行令第五条が定めます。同条第二号は消費者に窒息その他その生命若しくは身体に対する著しい危険が生じ、又は火災その他の著しく異常な事態が生じたことです。けが人が出ていなくても、瓶が割れて生命身体に著しい危険が生じれば、その事態はこちらへ入ります。治療日数を待たずに第十二条第一項の直ちにが働く、ということです。酒は消費生活用製品安全法では製品事故ですらないのに、消費者安全法では、けが人が出る前の破裂そのものが直ちに国へ上がりうる。この非対称が、この記事でいちばん鋭いところです。

集まった情報は消費者安全法第十三条によって内閣総理大臣が集約・分析し、同条第三項で公表し、第四項で国会に報告することになっています。

二つの法律が、同じ言葉を違う書き方で測っている

二つの法律が、同じ言葉を違う書き方で測っている
加熱処理の工程差を示した図の一例

ここまで出てきた二つの法律は、驚くほど似た文を持っています。製造物責任法第二条第二項の「欠陥」と、消費者安全法第二条第四項の「消費安全性」です。先に引いた製造物責任法第二条第二項と並べます。

この法律において「消費安全性」とは、商品等(略)又は役務(略)の特性、それらの通常予見される使用(飲食を含む。)又は利用(以下「使用等」という。)の形態その他の商品等又は役務に係る事情を考慮して、それらの消費者による使用等が行われる時においてそれらの通常有すべき安全性をいう。

消費者安全法 第二条第四項

どちらも通常有すべき安全性という同じ言葉に着地します。しかし、にごり酒に効いてくる条件の違いは二か所です。

違いその一|時点を書いているのは片方だけ

製造物責任法はその製造業者等が当該製造物を引き渡した時期を考慮事情のひとつに数えるだけで、安全性をいつ測るかという時点そのものは、この項に書いていません。引渡しの日が正面から効いてくるのは周りの条文のほうで、第四条第一号の免責事由は引き渡した時における科学又は技術に関する知見を問い、第五条第一項第二号の十年は引き渡した時から数えます。対する消費者安全法はそれらの消費者による使用等が行われる時においてと、時点を定義の中へ直接書き込んでいます。片方は時点を考慮事情に溶かし、片方は明示する。この非対称です。

違いは、たいていの製品では表に出ません。工業製品は蔵出しの日も開封の日も同じ物だからです。ところが、にごり酒はそうではありません。生の活性にごりは瓶の中で発酵が続き、内側の圧力は日を追って上がっていきます。出荷した日の瓶と、三か月後に冷蔵庫から出す瓶は、同じ銘柄でも中の状態が違います。消費者安全法は、開ける日の状態で測ると条文に書いてあります。製造物責任法は第三条が責任の対象をその引き渡したものと書くだけで、引渡し後の変化をどこまで考慮するかは、条文の文言からは決まりません。

違いその二|「飲食を含む」という五文字のかっこ書き

消費者安全法の条文には使用(飲食を含む。)というかっこ書きが挟まっています。この法律の本則に「飲食」の語が現れるのは、この一か所だけです。「酒類」も「アルコール」も一度も出てきません。それでも、飲むという行為を安全性の判断に含める旨が、たった五文字で明示されています。製造物責任法にはこのかっこ書きがなく、「食品」も「飲食」も条文には一度も現れません。

整理すると、こうなります。にごり酒の注意書きを書かせている条文は無い。書かないことへの罰則も無い。しかし、書かなかった結果として人や物が傷つけば製造物責任法が動き、傷つく前でも容器が破損すれば消費者安全法の消費者事故等にあたって行政の側から情報が上がる。この二段構えが、あの一行を瓶の上に残しています。

表2 にごり酒の瓶をめぐる四つの制度の位置
制度 酒への適用 誰に何を課すか
清酒の製法品質表示基準 3(2) 生酒のみ 造り手・売り手に、保存又は飲用上の注意事項の表示
消費生活用製品安全法 中身は適用なし(別表第二号)/瓶は食品衛生上の危害のみ施行令第五条で除外 (酒には課されない)
製造物責任法 適用あり 製造業者等に、拡大損害の賠償責任
消費者安全法 適用あり 行政機関等に、内閣総理大臣への通知(重大事故等は第十二条第一項の直ちに、それ以外は同条第二項の条件付き)

にごり酒の開け方・度数・飲み方・選び方

にごり酒の開け方・度数・飲み方・選び方
徳利からおちょこへ注ぐ一例

ここからは条文を離れて、実際の扱い方に移ります。前の章で見たとおり、注意書きの中身は造り手に委ねられています。裏を返せば、書かれていないことは自分で補う必要があります。

噴かせないための手順

圧力は温度が下がるほど液に溶け込みやすくなります。冷やすことが最大の対策で、そのうえで次の順に進めます。

  1. 冷蔵庫で十分に冷やす。持ち帰った直後の常温の瓶は開けない。
  2. 立てたまま数時間置く。運搬直後は振動でガスが不安定になっている。
  3. 栓を回さず、シンクの上か、深めのボウルに立てて作業する。
  4. 栓を少しだけ緩め、音が出たら止めて待つ。抜けきるまで、緩めては待つを繰り返す。
  5. 音が止まってから栓を外し、そのあとで静かに上下を返して澱を混ぜる。

順序で大事なのは、混ぜるのを開栓の後に回すことです。閉じたまま振ると、抜け道の無いガスが一気に泡になります。ガス抜き穴のある王冠が付いている瓶は、穴を上向きにしてから作業してください。

度数の上限は条文が決めている

にごり酒は清酒ですから、酒税法第三条第七号柱書のアルコール分が二十二度未満のものという上限がそのまま掛かります。実際の度数は瓶ごとに違い、その数字はラベルに必ず書かれています。アルコール分は、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第八十六条の五にもとづいて政令が並べる五つの表示事項のひとつだからです。にごり酒には低めに仕上げた商品も多く、澄んだ清酒と同じつもりで量を見積もると勘定が合わなくなります。数字の決まり方そのものは日本酒度とは|国税庁の公表値と甘辛度で読むと日本酒のカロリーを公表値から確かめるで扱っています。

飲み方と合わせる料理

甘みと厚みが前に出るので、冷やしてそのまま飲むのが基本です。氷を入れると濃度が落ちて飲みやすくなりますが、香りも一緒に落ちます。炭酸で割ると、もともと含まれているガスと重なって口当たりが軽くなります。温めると甘みが強く出るため、好みが分かれます。料理は、塩気と脂のあるものが合います。塩辛、白子、鶏の唐揚げ、クリームを使った料理、それに意外なところでチーズです。甘口のにごりは食後に単体で飲んでも成立します。温度帯ごとの呼び名や合わせ方の考え方は日本酒の飲み方ガイドにまとめています。

選ぶときに見る三か所

ラベルで確かめる順番を決めておくと迷いません。第一に、加熱処理の有無です。生酒の表示があれば瓶の中で動きます。第二に、栓の形です。ガス抜き穴や二段のスクリューが付いていれば発泡が強い側です。第三に、あれば製造時期です。清酒の製法品質表示基準5(10)は、製造時期を表示する場合は容器に充塡し密封した時期によると定めており、生の活性にごりでは日付が新しいほど動きが大きくなります。季節ものを探すならひやおろしとは|秋あがりとの違いと火入れ・味わい・おいしい飲み方、造りの系統から選ぶなら山廃とは|生酛・速醸との違いと、酒母に課された免許も参考になります。

飲まない日本酒の査定・買取はリンクサスへ

飲まない日本酒の査定・買取はリンクサスへ
日本酒の査定を受け付ける様子の一例

いただきものの日本酒が飲まないまま残っている、蔵の整理で古い瓶が出てきた、というときはリンクサス酒販の査定をご利用ください。未開栓であること、ラベルが読めること、保管温度がわかることの三点が揃うと、査定は速く進みます。にごり酒や生酒のように冷蔵が前提の酒は、保冷したままお持ちいただくのが確実です。品揃えの一覧は日本酒のコレクションからご覧いただけます。当日十四時までのご注文で当日発送に対応しています。

よくある質問

よくある質問
酒蔵の内部を写した一例
にごり酒の瓶に「開栓注意」と書くことは、法律で義務づけられていますか。

いいえ。清酒の製法品質表示基準にも、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第八十六条の五にもとづく政令の五項目にも、食品表示基準にも、「開栓注意」を書けという定めはありません。食品表示基準は別表を含む全文十五万字あまりを通して「開栓」の語を一度も使っていません。告示が義務づけているのは、製成後に一切加熱処理をしないで移出する清酒について「保存又は飲用上の注意事項」を表示することだけで、中身は指定されていません。それでも多くの瓶に書かれているのは、書かなかった結果として人や物が傷ついたときに、製造物責任法上の責任が問われうるからです。

にごり酒とどぶろくは何が違いますか。

もろみをこす工程を通っているかどうかです。にごり酒は目の粗い布などで軽くこすので、酒税法第三条第七号のこしたものにあたり、品目は清酒になります。こさないどぶろくは清酒に入らず、多くはその他の醸造酒に分類されます。見た目はどちらも白く濁っていて、区別は裏ラベルの品目欄で確かめられます。

開けたら中身が半分吹き出しました。弁償してもらえますか。

製造物責任法は動きません。同法第三条のただし書がその損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでないと定めているためです。失われたのが酒そのものだけなら、この法律の外の話になり、購入した店との一般の取引の問題として扱われます。吹き出した液で衣類や床が汚れた、破片で怪我をしたなど、損害が瓶と中身の外に出た場合は事情が変わります。

にごり酒で怪我をした場合、どこに伝えれば記録に残りますか。

お住まいの自治体の消費生活センターです。センターに入った相談は、消費者安全法第十二条第四項の全国消費生活情報ネットワークシステムへの入力によって、通知をしたものとみなされます。酒は消費生活用製品安全法の別表第二号で消費生活用製品から外れているため、造り手に国への報告義務はありません。一方、消費者安全法は行政機関の長や都道府県知事、国民生活センターの長に内閣総理大臣への通知を求めており、情報は行政の側から上がる仕組みになっています。治療に要する期間が三十日以上なら重大事故等として同法第十二条第一項の直ちに通知の対象となり、三十日に届かなくても一日以上あれば消費者安全法施行令第一条第二号の消費者事故等にあたり、同法第十二条第二項の条件付きの通知に乗ります。瓶が割れて生命身体に著しい危険が生じたときは、けがの程度を問わず重大事故等になります。

火入れしてあるにごり酒でも噴きますか。

基本的には噴きません。加熱処理で酵母が働きを止めるため、瓶の中で発酵が進まず、二酸化炭素も新たに生まれないからです。ただし澱は沈むので、飲む前に混ぜる必要はあります。噴くかどうかを分けているのは濁りの濃さではなく、加熱しているかどうかです。

にごり酒は開けたあとどのくらいもちますか。

清酒には賞味期限の表示義務がなく、公的に決まった日数はありません。ただし、にごり酒は固形分と、生であれば酵母を抱えているぶん変化が速く、開栓後は冷蔵で早めに飲みきるのが無難です。未開栓の保存も含めた考え方は日本酒の賞味期限を扱った記事にまとめています。

「うすにごり」や「活性」は、告示で定義された言葉ですか。

いいえ。清酒の製法品質表示基準の任意記載事項は、原料米の品種名、清酒の産地名、貯蔵年数、原酒、生酒、生貯蔵酒、生一本、樽酒、品質が優れている印象を与える用語、製造時期の十項目で、にごり・活性・うすにごりは含まれていません。告示の全文に「にごり」「濁」「おり」「澱」「発泡」「炭酸」のいずれの語も出てきません。売り場で使われる慣習的な呼び名だと理解してください。

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