焼酎は甲類と乙類どっちが体にいい?条文で読む表示のきまり

焼酎の甲類と乙類は、どちらが体にいいのか。棚の前でこの問いを持つとき、私たちは無意識にラベルを頼りにしています。ところがラベルに何を書かなければならないか、何を書かなくてよいか、そして何を書いてはいけないかは、焼酎の場合だけ他の食品と違う道筋で決まっています。酒類は食品表示法のなかで「酒類を除く」というかっこ書きによって六回抜かれ、多くは財務大臣が引き取りますが、一箇所だけ引き取り手がありません。抜かれた結果、焼酎のラベルからは熱量も原材料もアレルゲンも賞味期限も消えてよいことになり、かわりに「体にいい」と読める言葉を置く入口は三つとも遠いままです。この記事は、甲類と乙類の味の違いではなく、その問いに法令がどう答えているかを条文で確かめたものです。結論から言えば、法令は「どちらが体にいいか」に答えていません。

甲類と乙類は、どの数字で分かれているのか

甲類と乙類は、どの数字で分かれているのか
焼酎の瓶が並ぶ棚の一例

酒税法は焼酎を二つの品目に分けています。第三条第九号が連続式蒸留焼酎、第十号が単式蒸留焼酎です。どちらの号も、蒸留の道具と度数の上限という二点で線を引いています。

アルコール含有物を連続式蒸留機(連続して供給されるアルコール含有物を蒸留しつつ、フーゼル油、アルデヒドその他の不純物を取り除くことができる蒸留機をいう。次号イ及び第四十三条第六項において同じ。)により蒸留した酒類(略)で、アルコール分が三十六度未満のものをいう。

酒税法 第三条第九号

連続式蒸留機の定義がかっこの中に丸ごと入っている点に注意してください。条文は機械の形を描かず、フーゼル油、アルデヒドその他の不純物を取り除くことができるという機能で定義しています。甲類に癖が少ないという説明と、条文の定義は、同じところを見ています。省略した部分にはこれに水を加えたものを含むという一句もあり、加水は第九号と第十号の双方で認められています。

上限は三十六度未満と四十五度以下で、そろっていない

単式蒸留焼酎の側は、イからヘまでの六類型を並べたうえで、末尾に上限を置きます。

次に掲げる酒類(これらに水を加えたものを含み、前号イからニまでに掲げるものに該当するものを除く。)でアルコール分が四十五度以下のものをいう。

酒税法 第三条第十号

連続式が三十六度未満、単式が四十五度以下です。片方は「未満」で三十六度そのものを含まず、もう片方は「以下」で四十五度ちょうどを含みます。同じ焼酎という言葉のなかで、上限の数字も、境界の含み方も一致していません。単式の第十号イは、蒸留機を連続式蒸留機以外の蒸留機と裏返しに書いており、単式蒸留機という語はここで初めて定義されます。第十号が並べる類型はイからヘまでの六つで、イが穀類または芋類とそのこうじと水、ロが穀類のこうじと水、ハが清酒かす、ニが政令で定める砂糖と米こうじと水、ホがイの原料に政令で定める物品を加えたもの、ヘがそれ以外という順です。芋焼酎も麦焼酎も米焼酎もイの一行に同居し、黒糖焼酎はニに分かれます。品目の線引きそのものは、甲類焼酎の条文を正面から扱った甲類焼酎とは 条文と数字で読む定義と選び方と、焼酎という品目の外周を扱った焼酎とは何かを酒税法の品目から読むに譲ります。度数の上限を清酒と並べて見たい場合は焼酎と日本酒の違いが対応します。

この記事は、味ではなく表示の側から答える

甲類と乙類のどちらが体にいいかという問いは、成分の話に見えて、実は表示の話です。私たちが手に取れる情報は、ほぼすべてラベルと広告を経由しています。そこで以下では、焼酎という商品が食品表示法・食品表示基準・健康増進法の三つのなかでどう扱われているかを順に確かめます。

関連商品ラインナップ
原料別に分かれる焼酎の一例

甲類の定番から本格焼酎まで、焼酎のコレクションから在庫のある銘柄を並べています。

RECOMMENDED

「焼酎は甲類と乙類どっちが体にいい?条文で読む表示のきまり」に関連するおすすめ商品

ここでは焼酎の在庫から一部を掲載しています。価格・在庫・箱の有無は各商品ページでご確認いただけます。

甲類・乙類の焼酎30本を種類と度数で比較

甲類・乙類の焼酎30本を種類と度数で比較
グラスに注がれた焼酎の一例

下の表は甲類と乙類を混ぜて三十本並べたものです。度数と価格帯で横並びにすると、品目の違いが度数の違いとは一致しないことが見えます。ただし表に並ぶどの数字も、体にいいかどうかを直接には示しません。理由はこのあと条文で確かめます。

焼酎を甲類・乙類で比較|糖質ゼロ・プリン体ゼロの蒸留酒30本
焼酎は甲類・乙類いずれも蒸留酒で、糖質・プリン体はほぼゼロです。体への向き合い方で選ぶなら、雑味が少なく割り材で楽しむ甲類と、原料の香味が残る本格焼酎(乙類)で個性が分かれます。ここでは甲類の定番からプレミアムな本格焼酎まで30本を、種類・度数・市場相場で横並びにしました。どちらが体にいいかは飲む量と飲み方しだいで、銘柄を選ぶ前に適量を守ることが大前提です(2026年6月時点)。
画像 銘柄・スコア 定価
市場相場
特徴 リンクサス酒販
本命
Amazon 楽天 買取
森伊蔵 かめ壺焼酎 1800ml 25度1位プレミア・3M 森伊蔵 かめ壺焼酎 1800ml 25度
市場相場25,000〜35,000円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

3Mの筆頭格。お湯割りにすると上品な甘い香りがふわりと立ち上がる。

¥17,600リンクサス 価格を見るAmazon ¥27,498 楽天 査定 買取
魔王 芋焼酎 1800ml 25度2位プレミア・3M 魔王 芋焼酎 1800ml 25度
市場相場15,000〜22,000円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

黄麹由来の果実のような香り。5:5のお湯割りで吟醸香が際立つ。

¥11,000リンクサス 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
百年の孤独 麦焼酎 720ml 40度3位プレミア・樽熟成 百年の孤独 麦焼酎 720ml 40度
市場相場5,000〜9,000円前後(720ml・実勢・2026年6月時点)

樽熟成40度の麦焼酎。お湯3:焼酎7の濃いめ割りでウイスキーの趣。

¥4,950リンクサス最安 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
村尾 かめ壺焼酎 1800ml 25度4位プレミア・3M 村尾 かめ壺焼酎 1800ml 25度
市場相場20,000〜30,000円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

杜氏が一人で仕込む3Mの実力派。お湯割りで骨太な芋の旨みが開く。

在庫切れリンクサス入荷通知 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
5位定番・麦 いいちこ 25度 1800ml
市場相場1,300〜2,000円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

下町のナポレオン。クセが少なくお湯割り初心者の最初の一杯に。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
6位定番・黒麹 黒霧島 25度 1800ml
市場相場1,700〜2,300円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

トロッとキリッとの黒麹定番。お湯割りで甘みがふくらむ。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
佐藤 黒 25度 1800ml7位プレミア・黒麹 佐藤 黒 25度 1800ml
市場相場3,500〜6,000円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

力強い芋の旨みで知られる人気銘柄。お湯割り推奨を公言する蔵。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
三岳 25度 1800ml8位人気・屋久島 三岳 25度 1800ml
市場相場2,500〜4,000円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

屋久島の名水仕込み。お湯割りで柔らかな甘みと軽快な後口。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
さつま白波 25度 1800ml9位定番・お湯割りの代名詞 さつま白波 25度 1800ml
市場相場1,500〜2,200円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

「ロクヨンのお湯割り」を世に広めた銘柄。芋らしい香ばしさの教科書。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
二階堂 麦 25度 1800ml10位定番・麦 二階堂 麦 25度 1800ml
市場相場1,400〜2,100円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

麦100%のパイオニア。お湯割りで香ばしい麦チョコ様の風味。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
中々 25度 1800ml11位人気・百年の孤独の蔵 中々 25度 1800ml
市場相場2,200〜3,500円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

百年の孤独の原酒となる麦焼酎。お湯割りで上品な香ばしさ。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
白岳 しろ 25度 720ml12位定番・球磨焼酎 白岳 しろ 25度 720ml
市場相場1,100〜1,800円前後(720ml・実勢・2026年6月時点)

クリアな球磨焼酎の代表格。お湯割りで米の甘みがふんわり。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
れんと 25度 1800ml13位定番・黒糖 れんと 25度 1800ml
市場相場1,800〜2,600円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

音響熟成の黒糖焼酎。お湯割りで黒糖の甘い香りが優しく広がる。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon ¥42,000 楽天 査定 買取
雲海 そば焼酎 25度 1800ml14位定番・そば 雲海 そば焼酎 25度 1800ml
市場相場1,400〜2,100円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

そば焼酎の元祖。お湯割りはそば湯感覚で和食と好相性。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
久米島の久米仙 30度 1800ml15位定番・泡盛 久米島の久米仙 30度 1800ml
市場相場1,800〜2,800円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

泡盛もお湯割りで化ける。米由来のコクと黒麹の香ばしさ。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
キンミヤ焼酎 25度16位下町・名酒 キンミヤ焼酎 25度
市場相場1,300〜2,200円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

下町の名酒。ホッピー割りの定番として愛される。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
宝焼酎「純」 25度17位定番・甲類 宝焼酎「純」 25度
市場相場700〜1,800円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

クリアな甲類の代表格。サワーやチューハイのベースの定番。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
宝焼酎 25度18位定番・大容量 宝焼酎 25度
市場相場1,200〜2,800円前後(4L・実勢・2026年6月時点)

家庭の定番甲類。大容量パックでコスパに優れる。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
純(アサヒ) 25度19位クリア・甲類 純(アサヒ) 25度
市場相場1,100〜2,000円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

クリアテイスト設計の甲類。雑味なく割りやすい。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
鏡月 25度20位まろやか・韓国 鏡月 25度
市場相場1,200〜2,200円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

韓国生まれのまろやかな甲類。やわらかな飲み口。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
JINRO 25度21位クリア・韓国 JINRO 25度
市場相場1,200〜2,100円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

世界的に売れる韓国の甲類。なめらかでクリア。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
大五郎 25度22位大容量・コスパ 大五郎 25度
市場相場1,500〜2,600円前後(4L・実勢・2026年6月時点)

大容量ペットの代名詞。コスパ重視の家庭の定番。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
23位クリア・甲類 樹氷 25度
市場相場1,000〜1,900円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

サントリーの定番甲類。軽やかでクリアな味わい。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
富士白 25度24位果実酒・甲類 富士白 25度
市場相場1,100〜2,000円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

梅酒の蔵が造る甲類。果実酒のベースにも好適。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
サッポロソフト 20度25位まろやか・甲類 サッポロソフト 20度
市場相場1,000〜1,800円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

北海道で愛される甲類。やわらかな口当たり。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
鏡月グリーン 20度26位低アル・韓国 鏡月グリーン 20度
市場相場1,000〜1,800円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

20度で軽やか。やさしい飲み口の低アル甲類。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
27位低アル・韓国 チャミスル 17度前後
市場相場500〜1,200円前後(360ml・実勢・2026年6月時点)

韓国で大人気。低めの度数でそのまま飲める韓国焼酎。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
かのか〈麦〉 25度28位甲乙混和・麦 かのか〈麦〉 25度
市場相場1,200〜2,200円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

麦の風味とクリアさを両立した甲乙混和。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
29位甲乙混和・芋 かのか〈芋〉 25度
市場相場1,200〜2,200円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

芋の甘い香りとクリアさを両立した甲乙混和。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
宝 ホワイトリカー(果実酒用) 35度30位果実酒・35度 宝 ホワイトリカー(果実酒用) 35度
市場相場1,400〜2,200円前後(1.8L・実勢・2026年6月時点)

梅酒づくりの定番。高度数で果実のエキスを引き出す。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取

度数・容量・価格は改定や流通で変わるため、購入時はラベルと各リンク先をご確認ください(2026年6月時点)。焼酎は甲類・乙類とも糖質ゼロ・プリン体ゼロですが、純アルコール量そのものはカロリー源であり、健康への効果は適量を守ることが前提です。多くがオープン価格のため定価は掲載せず、市場相場の目安のみを記載しています。最安値を案内する一覧ではありません。

焼酎は食品表示法のなかで、六回「除かれる」

焼酎は食品表示法のなかで、六回「除かれる」
酒売り場の棚を描いた図の一例

食品の表示を決める法律は食品表示法です。本則は八千八百字ほどの短い法律で、そのなかに「酒類」という語が十九回出てきます。うち六回は酒類を除くというかっこ書きです。第四条第四項、第六条第一項、第八条第二項、第八条第八項、第九条第一項、第十二条第一項の六箇所で、多くは酒類を農林水産大臣の側の線路から抜く働きをしています。つまりこの法律は、酒類をいったん食品の枠に入れたうえで、条文のあちこちで抜き出しています。

定義だけが酒税法から借りてくる

この法律において「酒類」とは、酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二条第一項に規定する酒類をいう。

食品表示法 第二条第二項

食品表示法は「食品」を第二条第一項で自前に定義しますが、「酒類」は自前で定義せず、酒税法の定義をそのまま引きます。焼酎が食品表示の世界でどう扱われるかは、まず税法の側で決まった線に従うということです。

農林水産大臣の席に、財務大臣が座り直す

食品表示基準を作るとき、農林水産大臣は内閣総理大臣に案を添えて策定を要請できます。その対象は当該基準に係る食品(酒類を除く。)です。抜けた酒類の分は、次の項がそのまま引き取ります。

財務大臣は、第一項の規定により販売の用に供する食品に関する表示の基準が定められることにより、当該基準に係る酒類の生産若しくは流通の円滑化又は消費者の需要に即した当該酒類の生産の振興が図られると認めるときは、内閣総理大臣に対し、当該基準の案を添えて、その策定を要請することができる。

食品表示法 第四条第五項

第四項と第五項は、主語と対象語を入れ替えただけのほぼ同じ文です。表示違反への指示も同じ構造で、第六条第一項が食品(酒類を除く)を農林水産大臣に、第六条第三項が酒類を財務大臣に割り振ります。本則に「財務大臣」は十四回、「農林水産大臣」は二十回出てきます。焼酎の表示を見にくるのは農林水産省ではなく国税庁を抱える財務省側だ、というのが条文上の姿です。

命令を出せるのは一人だけで、センターは酒蔵に入れない

ただし、指示と命令では権限の持ち主が違います。指示は財務大臣も単独で出せますが、三人のうち、指示に従わない相手へ命令を出せるのは食品表示法第六条第五項により内閣総理大臣だけです。財務大臣にできるのは、同条第七項の命ずることを要請することができるまでです。もっとも、権限の名義と実際の行使者は別です。同法第十五条第一項は内閣総理大臣は、この法律の規定による権限(政令で定めるものを除く。)を消費者庁長官に委任する。と定め、その除外を定める平成二十七年政令第六十八号第一条は食品表示基準の策定などに限っています。命令の名義は内閣総理大臣、動くのは消費者庁長官です。同政令第二条は財務大臣の権限を国税庁長官に委任しており、焼酎の蔵を見にくるのは国税局と税務署になります。

立入検査の側も分かれています。第八条第二項の農林水産大臣の検査は酒類を除くとされ、そのかわり同条第三項が財務大臣自身の検査を用意しています。ただし同条第一項の内閣総理大臣の検査にはかっこ書きが付いておらず、こちらは焼酎の蔵にもそのまま及びます。同条第八項のかっこ書きは権限ではなく、内閣総理大臣が単独で検査したときの通知先を農林水産大臣と財務大臣に振り分けるもので、席は同じ項の後段に用意されています。六回のうち受け皿の無い一箇所が第九条第一項です。独立行政法人農林水産消費安全技術センターに検査をさせられるのは販売の用に供する食品(酒類を除く。以下この項において同じ。)に限られ、焼酎の蔵にセンターの職員は来ません。財務省側に同じ役目の法人は置かれていません。

結果を外に出す段になると、三人がまた並びます。食品表示法第七条は内閣総理大臣、農林水産大臣又は財務大臣は、前条の規定による指示又は命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。と定めており、酒類について財務大臣が指示を出した場合も公表の対象です。することができるではなくしなければならないで書かれている点が、指示や要請の条文と対照的です。

この分岐は省令の側でも徹底されています。食品表示法第六条第三項を受けた命令は「食品表示法第六条第三項の内閣府令・財務省令で定める表示事項及び遵守事項等を定める命令」という長い名前を持ち、平成二十七年内閣府・財務省令第一号として内閣府と財務省の連名で出ています。同令第三条は、申出をするときの記載事項として申出に係る酒類の品目を挙げます。品目、つまり連続式蒸留焼酎か単式蒸留焼酎かを書かせるところまで、酒税法の用語で回っています。

その一方で、守る義務そのものには酒類の例外がありません。食品表示法第五条は食品関連事業者等は、食品表示基準に従った表示がされていない食品の販売をしてはならない。と一文で言い切り、ここにかっこ書きは付いていません。分かれているのは誰が見にくるかであって、従うかどうかではない、ということです。

ラベルから消えてよいもの|熱量・原材料・賞味期限

ラベルから消えてよいもの|熱量・原材料・賞味期限
焼酎の度数表示を示す図の一例

ここからは内閣府令である食品表示基準に移ります。加工食品の義務表示は同基準第三条が決めていますが、その第三項に、表示を省略できる区分を並べた表があります。焼酎はこの表に三度登場します。

栄養成分の欄では、五つの区分のうち二番目

表1 食品表示基準第三条第三項で酒類が省略できる表示事項(栄養成分の条件は次章)
表示事項 区分の総数 酒類の位置
保存の方法 10 7 酒類
消費期限又は賞味期限 9 7 酒類
栄養成分の量及び熱量 5 二 酒類

栄養成分の欄だけ区分の番号が漢数字になっているのは、条文がそのように書き分けているためです。並んでいる五つは、容器包装の表示可能面積がおおむね三十平方センチメートル以下のもの、酒類、栄養の供給源としての寄与の程度が小さいもの、原材料が極めて短い期間で変わるもの、消費税の納税義務が免除される事業者が売るものです。焼酎は二番目に置かれています。缶チューハイやビールに栄養成分表示が載っていることが多いのに、二十五度の焼酎の瓶に何も書かれていないことがあるのは、この一行の効果です。

原材料名とアレルゲンは、別の条文で外れる

原材料名の省略は第三条第三項の表にもありますが、そこに酒類は入っていません。酒類を外しているのは次の条文です。

前二条の規定にかかわらず、次の表の上欄に掲げる場合にあっては、同表の下欄に掲げる表示事項の表示は要しない。/酒類を販売する場合原材料名 アレルゲン 原産国名

食品表示基準 第五条

省略できる、ではなく表示は要しないです。芋なのか麦なのか米なのかがラベルに書かれているのは、この基準が求めた結果ではありません。ただしラベルが空になるわけでもありません。酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第八十六条の五が酒類の品目その他の政令で定める事項の表示を義務づけ、同法施行令第八条の三が製造業者の氏名または名称と製造場の所在地に加えて、内容量、品目、アルコール分を並べています。誰がどこで造ったかは必ず載るということです。このほか同法第八十六条の六は、財務大臣が酒類の表示の基準を告示で定められるとしており、容器の上のルールは組合法の側にもう一段あります。食品表示基準が手を離した先を、別の法律が埋めている構図です。この二本の条文と、そこから伸びる表示の基準についてはカンパリソーダの記事が容器の側から扱っています。原料の違いを知りたいときは、芋焼酎や麦焼酎、黒糖焼酎のように、原料ごとの記事で条文の側から確かめるほうが確実です。なお同基準第十一条は、飲食店などに渡る業務用酒類(消費者に販売される形態となっている酒類以外のものをいう。)についても同じ三項目を外しています。

賞味期限が無いのは、劣化しないからではない

焼酎に賞味期限が印字されていない理由も、表の一行です。保存の方法と消費期限又は賞味期限のどちらの欄にも、七番目に酒類が入っています。でん粉、チューインガム、冷菓、砂糖、アイスクリーム類、食塩及びうま味調味料と並んだ次が酒類です。品質が永久に変わらないという意味ではなく、期限表示を義務づけない区分に入れられている、というだけの話です。

「糖質ゼロ」と書いた瞬間に、省略できなくなる

「糖質ゼロ」と書いた瞬間に、省略できなくなる
酒類のカロリーを比べた図の一例

前の章で見た栄養成分の省略には、条件が付いています。表の下欄はこう始まります。

以下に掲げるもの(栄養表示(栄養成分若しくは熱量に関する表示及び栄養成分の総称、その構成成分、前駆体その他これらを示唆する表現が含まれる表示をいう。以下同じ。)をしようとする場合、特定保健用食品及び機能性表示食品を除く。)

食品表示基準 第三条第三項の表

かっこ書きが、省略の条件を裏返す

括弧の中を読むと、省略が効くのは栄養表示をしようとしない場合だけだと分かります。栄養表示の定義は広く、栄養成分そのものの表示に加えて栄養成分の総称、その構成成分、前駆体その他これらを示唆する表現まで含みます。したがって瓶の正面に「糖質ゼロ」と刷った時点で、その焼酎は栄養表示をしようとする食品になり、省略できたはずの栄養成分の量及び熱量を表示しなければならなくなります。基本の五項目が、自分から義務として戻ってきます。

これは、甲類と乙類のどちらが体にいいかを考えるうえで実際的な意味を持ちます。「糖質ゼロ」を掲げた商品のほうが、掲げていない商品より情報が多いのは、性能が高いからではなく、名乗った側だけが説明義務を負うからです。

ゼロという数字は、二つの別の表から出てくる

では何グラム未満ならゼロと書けるのか。食品表示基準はこれを一つの表では決めていません。栄養成分表示の欄に〇と書ける量は別表第九にあり、正面に「含まない旨」を掲げてよい基準値は別表第十三にあります。糖質は前者には行がありますが、後者には行がありません。この二つの表の数字と、そこから生まれる読み違いは、ビールの熱量を検算したビールのカロリーは何で決まるのかで扱っています。糖質の数え方そのものを追いたい場合はハイボールの糖質はどのくらい?が同じ枠組みを使っています。ここでは、基準値に到達する前段として「名乗ると義務が発生する」という一段だけを押さえておきます。

焼酎と保健機能食品の距離を決める条文

焼酎と保健機能食品の距離を決める条文
器に注がれた焼酎の一例

「体にいい」と読める言葉を容器に書く正規のルートは、日本では三つしかありません。特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品です。三つをまとめて保健機能食品と呼びます。焼酎が条文の文言で名指しに外されているのは、このうち一つだけです。残りの二つは、条文ではない別の理由で入口が開いていません。

機能性表示食品の除外の、三番目

機能性表示食品の定義は食品表示基準第二条第一項第十号にあり、届出などの要件をイ・ロ・ハで並べます。ハは「次に掲げる食品でないこと」として五つを挙げ、その三番目が焼酎に直接当たります。

(1)健康増進法(平成十四年法律第百三号)第四十三条第一項の規定に基づく許可又は同法第六十三条第一項の規定に基づく承認を受け、特別の用途に適する旨の表示をする食品(以下「特別用途食品」という。)(2)栄養機能食品(3)アルコールを含有する食品(アルコールを人体に摂取するためのものに限る。)

食品表示基準 第二条第一項第十号ハ

ここは「飲料」ではなく食品と書かれ、さらにかっこでアルコールを人体に摂取するためのものに限ると絞られています。料理酒のように飲用でない使い方をされるものまで巻き込まない書き方です。焼酎は甲類も乙類も、人が飲むためのアルコールを含む食品ですから、この三番目にそのまま当たります。届出の準備をどれだけ整えても、機能性表示食品にはなれません。

ちなみに同じハの四番目は、健康増進法施行規則第十一条第二項が定める栄養素、すなわち脂質、飽和脂肪酸及びコレステロール、糖類(単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないものに限る。)、ナトリウムの過剰摂取につながる食品を外します。アルコールはこの三つに入っていません。アルコールは、糖や塩と同じ「過剰摂取が問題な栄養素」としてではなく、それ以前の段階で丸ごと外されているということです。

栄養機能食品は、名乗るための条件のほうが噛み合わない

栄養機能食品の定義である同基準第二条第一項第十一号には、酒類を名指しで外す文言がありません。除かれているのは特別用途食品及び添加物だけです。かわりに条件の側が噛み合いません。同号は別表第十一の第一欄に掲げる栄養成分の補給を目的として摂取する者に向けた表示だと定め、別表第十一にはn―3系脂肪酸という脂肪酸が一種と、亜鉛、カリウム、カルシウム、鉄などのミネラル、そしてビタミン群が並びます。

同基準第七条の表は、その機能を表示できるのは当該食品の一日当たりの摂取目安量に含まれる成分の量が別表第十一の第二欄の量以上である食品に限る、としています。しかも同じ表は一日当たりの摂取目安量と摂取の方法、そして食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。という文言の表示まで義務づけます。焼酎が栄養機能食品を名乗るには、瓶に一日に飲む目安量を刷ることになります。条文が締め出しているのではなく、名乗るための条件が酒と噛み合っていない、ということです。

特定保健用食品は、届出ではなく許可

最後に残るのが特定保健用食品ですが、その根拠である特別用途表示は届出ではなく許可です。

販売に供する食品につき、乳児用、幼児用、妊産婦用、病者用その他内閣府令で定める特別の用途に適する旨の表示(以下「特別用途表示」という。)をしようとする者は、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。

健康増進法 第四十三条第一項

並んでいるのは乳児用、幼児用、妊産婦用、病者用ですが、末尾にその他内閣府令で定める特別の用途が続いていて、特定保健用食品はこちら側から入ります。健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令第一条は、その特別の用途として授乳婦用、えん下困難者用に続けて特定の保健の用途を挙げます。つまり条文は酒類を締め出していません。健康増進法の本則にも同内閣府令にも、酒類を除く旨の文言はどこにもありません。

かわりに入口が重くなっています。第四十三条第二項は製品見本と商品名、原材料の配合割合及び当該製品の製造方法、成分分析表の提出を求め、第三項は許可試験を行わせるものとし、第四項は手数料を、第五項はあらかじめ、厚生労働大臣の意見を聴かなければならないを定めます。無許可で特別用途表示をした場合は健康増進法第七十二条第二号により五十万円以下の罰金、第七十五条の両罰規定で法人にも同じ刑が科されます。この許可を受けていない焼酎は、条文の上ではあくまで保健機能食品以外の食品の側に残ります。

三つとも通らなければ、第十号の側に立つ

ここまでの三つのうち一つでも通らないかぎり、その瓶は次の条文の側に立ちます。

保健機能食品(特定保健用食品、機能性表示食品及び栄養機能食品をいう。以下同じ。)以外の食品にあっては、保健機能食品と紛らわしい名称、栄養成分の機能及び特定の保健の目的が期待できる旨を示す用語

食品表示基準 第九条第一項第十号

第十号は条件文です。保健機能食品でない食品の容器に特定の保健の目的が期待できる旨を示す用語を置くことを禁じます。同じ第九条第一項は、第一号で実際のものより著しく優良又は有利であると誤認させる用語を、第十三号でその他内容物を誤認させるような文字、絵、写真その他の表示を禁じており、言い換えや図解による迂回も想定した作りです。

禁止の厳しさは、制度に乗れた食品の側と比べると分かります。同項第八号は、機能性表示食品であっても疾病の治療効果又は予防効果を標榜する用語や消費者庁長官の評価、許可等を受けたものと誤認させるような用語を禁じます。第九号は栄養機能食品について特定の保健の目的が期待できる旨を示す用語を禁じます。届出や許可を経た食品にすら段階的な制限が掛かるなかで、焼酎は第十号によって手前の段でまとめて外されている、という位置関係です。棚の焼酎に「栄養機能食品(◯◯)」の表記も許可のマークも無いのなら、そこに書かれた健康の話は制度の外にあると読めます。

「プリン体ゼロ」は、食品表示基準に一度も出てこない

「プリン体ゼロ」は、食品表示基準に一度も出てこない
焼酎のグラスと徳利の一例

甲類と乙類の比較でよく持ち出されるのが「どちらもプリン体ゼロ」という説明です。この言葉の位置づけを確かめるために、食品表示基準の全文を機械的に数えました。

十五万字を数えても、零回

表2 食品表示基準(題名・目次・本則・附則・別表を含む全文156,723字)に現れる語の回数
語 回数
プリン体 0
尿酸 0
糖質 2
糖類(他の語の一部を除く) 15

プリン体も尿酸も、一度も出てきません。つまりプリン体は、この内閣府令が扱う栄養成分の一覧に入っていない成分です。ゼロと書いてよい下限値も、表示された値に許される誤差の幅も、条文の側には用意されていません。糖質のほうは二回しか出てこないものの、その二回はどちらも別表第九の糖質の行で、〇と書ける量も許容差もそこに書かれています。数える語の見た目が似ていても、条文の扱いは同じではありません。なお「糖類」の単純な文字数え上げは八十一回になりますが、そのうち六十二回は「砂糖類」、四回は「単糖類」と「二糖類」の一部です。

だからといって「プリン体ゼロ」という表示が自由に書けるわけではありません。書けば食品表示基準第九条第一項第一号の実際のものより著しく優良又は有利であると誤認させる用語や第十三号の受け皿に掛かりますし、次章で見る健康増進法の側からも縛られます。表示の受け皿は食品表示基準だけでもありません。食品表示法第十四条はこの法律の規定は、不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)の適用を排除するものと解してはならない。と念を押しており、景品表示法の側も同時に働きます。数値の基準が条文に無いというのは、判断が事業者側に委ねられ、そのぶん誤認の評価が事後に委ねられるという意味です。

比べる相手は、焼酎どうしではない

蒸留という工程が糖質やプリン体を蒸留液にほとんど移さないのは事実で、その点で甲類と乙類に大きな差はありません。しかし「プリン体ゼロ」は、飲んだあとに体の中で何も起きないという意味ではありません。ここで比べたいのは焼酎どうしではなく、焼酎と、麦芽由来のプリン体を持つ飲料との差です。ホッピーの公式数値を扱ったホッピーの白と黒の違いでは、割り材と焼酎で数値の出どころが分かれる様子を実測値で追っています。

広告まで縛るのは、健康増進法の「何人も」

広告まで縛るのは、健康増進法の「何人も」
黒じょかに焼酎を注ぐ場面の一例

ここまでは容器包装の話でした。しかし「体にいい」という言葉は、ラベルより広告のほうに多く出ます。広告を押さえているのが健康増進法第六十五条です。

主語が事業者ではない

何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項(次条第三項において「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。

健康増進法 第六十五条第一項

主語は何人もです。食品関連事業者に限られていません。製造者でも販売者でもない第三者、たとえば紹介記事や個人の発信も、条文の文言のうえでは射程に入ります。対象も広告その他の表示で、容器包装に限定されていません。ただし食品として販売に供する物に関してという限定は付いているので、販売と結び付かない純粋な言及まで及ぶわけではありません。

興味深いのは、健康増進法の本則二万三千字あまりに「酒類」も「アルコール」も一度も出てこないことです。出てくるのは第七条第二項第六号の食生活、運動、休養、飲酒、喫煙、歯の健康の保持その他の生活習慣の中の「飲酒」一語だけで、これは基本方針に何を書くかを列挙した箇所です。焼酎を名指しする条文は無いのに、何人もの一語で焼酎の広告まで届いている、という構造になっています。

勧告、命令、そして拘禁刑

違反にすぐ罰則が付くわけではありません。手順は三段です。

  1. 健康増進法第六十六条第一項 内閣総理大臣又は都道府県知事が、必要な措置をとるべき旨を勧告する。
  2. 同条第二項 勧告を受けた者が正当な理由なく措置をとらないとき、その措置をとるべきことを命ずる。
  3. 同法第七十一条 その命令に違反した者を罰する。

第六十六条第二項の規定に基づく命令に違反した者は、六月以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。

健康増進法 第七十一条

健康増進法の罰則は第九章に置かれ、目次のとおり第七十条から第七十八条までです。第七十一条はその二番目に当たります。なお第七十五条の両罰規定が対象にしているのは第七十二条と第七十四条の違反であって、第七十一条は含まれていません。命令違反は行為者本人の側で処理される建て付けです。

制度から言えること、言えないこと

制度から言えること、言えないこと
焼酎の瓶とグラスの一例

ここまでの条文を並べ直すと、甲類と乙類のどちらが体にいいかという問いに対して、法令が用意している答えの形が見えてきます。

表3 焼酎の表示に効く制度と、焼酎の位置
制度 根拠 焼酎の扱い
機能性表示食品 食品表示基準第二条第一項第十号ハ(3) 条文で名指しに除外
栄養機能食品 同基準第二条第一項第十一号・第七条の表・別表第十一 酒類の除外なし。別表第十一の下限値を満たす一日当たりの摂取目安量の表示が要る
特定保健用食品 健康増進法第四十三条第一項 許可制。酒類の除外は無いが、許可がなければ保健機能食品以外の食品
保健機能食品でない食品の用語 同基準第九条第一項第十号 保健の目的を示す用語を禁止
栄養成分表示 同基準第三条第三項の表 省略できる区分の二番目
原材料名・アレルゲン 同基準第五条 表示を要しない
広告一般 健康増進法第六十五条第一項 「何人も」の射程に入る

量の物差しは、表示制度の外にある

表示制度は「この焼酎は体にいい」と言わせない仕組みですが、「どのくらいなら大丈夫か」という問いには答えていません。そちらは純アルコール量という別の物差しの話で、休肝日の考え方を扱った休肝日や、度数から純アルコール量を出す手順を扱った焼酎のアルコール度数のほうが対応します。甲類と乙類の差は、この物差しの上ではほとんど意味を持ちません。同じ二十五度なら、同じ体積に同じ量のアルコールが入っています。

もうひとつ、制度が答えていないことがあります。焼酎の甲類と乙類は、原料も蒸留の道具も違いますが、どちらも酒税法第三条第九号と第十号のかっこ書きによって加水が認められた酒類です。同じ原料でも、製造の段階でどこまで水を加えるかで瓶の度数は変わります。飲む側が動かせるのは、その度数の選び方と、家で足す水の量のほうです。

ラベルのどこを見ると、何が分かるか

制度の姿が分かると、ラベルの読み方も変わります。品目の欄は酒税法の線引きを示すもので、健康とは無関係です。栄養成分の表示があるかどうかは、蔵が栄養表示を選んだかどうかの結果であって、成分の優劣ではありません。製造業者の氏名と製造場の所在地、品目、アルコール分、内容量は酒類業組合法の側で義務ですが、原材料名はどちらの側にも義務がないので、書き方の細かさは蔵ごとにばらつきます。お湯割りや水割りで実際に口に入るアルコールを減らす話は、焼酎のお湯割りの側で扱っています。実際に選ぶときに効く数字は、この記事の前半に置いた比較表の度数と容量の二つです。同じ二十五度なら甲類でも乙類でも一杯あたりのアルコールは同じで、差が出るのは注ぐ量と割る量のほうです。

飲まない焼酎の査定・買取はリンクサスへ

飲まない焼酎の査定・買取はリンクサスへ
未開栓の焼酎が並ぶ様子の一例

贈答で受け取ったまま置いてある焼酎や、飲みきれない一升瓶は、状態が良いうちに査定に出すと選択肢が広がります。リンクサスでは品目、度数、容量、ラベルとキャップの状態、外箱の有無を見て査定します。

品揃えは焼酎のコレクションでご確認いただけます。当日14:00までのご注文で当日発送に対応しています。

よくある質問

よくある質問
ロックグラスに注いだ焼酎の一例
甲類と乙類では、どちらが体にいいのですか。

法令はこの問いに答えを用意していません。焼酎は食品表示基準第二条第一項第十号ハ(3)によって機能性表示食品から名指しで外され、保健機能食品でない食品として同基準第九条第一項第十号が保健の目的を示す用語を禁じています。つまり許可も届出も通っていない棚の焼酎には、甲類にも乙類にも「体にいい」と書ける根拠がなく、優劣を示す公的な区分もありません。差が出るのは飲む量と飲み方の側です。

焼酎のラベルにカロリーが書いていないのはなぜですか。

食品表示基準第三条第三項の表で、栄養成分の量及び熱量を省略できる区分の二番目に酒類が置かれているためです。ただし同じ表のかっこ書きにより、栄養表示をしようとする場合は省略できません。「糖質ゼロ」のような表示を入れた商品では、熱量などの栄養成分表示が必要になります。

「プリン体ゼロ」には法令上の基準値がありますか。

食品表示基準の全文を数えると、プリン体も尿酸も一度も出てきません。ゼロと書ける下限値も、表示値に許される誤差の幅も条文には置かれていないということです。ただし表示が自由という意味ではなく、同基準第九条第一項第一号の誤認させる用語や、健康増進法第六十五条第一項の誇大表示の禁止が掛かります。

焼酎に賞味期限が書いていないのは、劣化しないからですか。

そうではありません。食品表示基準第三条第三項の表で、保存の方法と消費期限又は賞味期限のどちらの欄でも、七番目の区分に酒類が入っているためです。期限表示を義務づけない区分に置かれているだけで、品質が変わらないことを法令が保証しているわけではありません。開栓後の香味は変化します。

焼酎の表示を監督しているのはどの官庁ですか。

食品表示法は、酒類以外の食品を農林水産大臣に、酒類を財務大臣に割り振る形をとっています。指示は同法第六条第三項により内閣総理大臣又は財務大臣が出せますが、指示に従わない場合の命令は同条第五項により内閣総理大臣(同法第十五条第一項の委任を受けた消費者庁長官)だけが出せます。財務大臣にできるのは同条第七項の要請までです。

本格焼酎は血液をさらさらにする、という説明を見かけます。

その趣旨の研究が紹介されることはありますが、焼酎は保健機能食品ではないため、そうした効果を容器包装に表示することは食品表示基準第九条第一項第十号で禁じられています。広告についても健康増進法第六十五条第一項が何人もを主語に、著しく事実に相違する表示や著しく人を誤認させる表示を禁じています。健康効果を期待して量を増やす理由にはなりません。

原材料の書き方が蔵ごとに違うのはなぜですか。

食品表示基準第五条が、酒類を販売する場合について原材料名・アレルゲン・原産国名の表示を要しないとしているためです。製造業者の氏名または名称、製造場の所在地、品目、アルコール分、内容量は酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第八十六条の五と同法施行令第八条の三の側で義務ですが、原材料名はどちらの側にも義務がありません。そのため記載の細かさは蔵の判断に委ねられます。

前後の記事