おりがらみとは|にごり酒との違い・澱の旨味と外した澱の行き先

おりがらみとは|にごり酒との違い・澱の旨味と外した澱の行き先

おりがらみとは|にごり酒との違い・澱の旨味と外した澱の行き先

おりがらみは、搾ったあとに沈む細かな澱(おり)を、あえて取り除かずに瓶へ入れた清酒です。うっすら白く濁り、口に含むと米の甘みと軽い発泡が同時に来る。ここまでは、どの解説にも書いてあります。ところが「取り除かなかった」という言い方は、裏を返せば、ふだんの清酒では澱が取り除かれているということでもあります。取り除かれた澱は、その先どこへ行くのか。日本の制度は、その行き先を複数の法律と告示に分けて書いています。この記事は、おりがらみの造りと飲み方を押さえたうえで、瓶に残した側ではなく、ふつうの清酒が外した側の行き先を、条文と国の統計で追いかけます。

おりがらみとは|澱を残して仕上げるうっすら白濁の日本酒

おりがらみとは|澱を残して仕上げるうっすら白濁の日本酒
切子のグラスに注いだ日本酒の一例

おりがらみは、上槽(じょうそう)で搾った直後の酒に残る微細な固形分を、沈殿させて分離する工程まで進めずに瓶詰めした清酒を指します。液体そのものは搾られていますから、見た目はどぶろくのような厚い白ではありません。光にかざすと、うっすら曇る程度。銘柄によっては瓶の底に薄い層ができ、立てて置いた翌日には上が澄んで下が白い、二層の状態になります。

「おり」と「がらみ」が指すもの

「おり」は、搾ったあとの酒のなかに漂う細かな粒のことです。中身は一つではありません。もろみのなかで働いた酵母の細胞、溶けきらずに残った米の粒子、麹に由来するでんぷんやたんぱく質の断片などが混ざっています。粒が細かいので、搾りの網目を通り抜けてしまう。だから搾ったあとの酒はしばらく濁っていて、静かに置いておくと少しずつ沈みます。

「がらみ」は「絡み」で、その澱が液体に絡んだまま残っている状態を表します。つまり「おりがらみ」という語は、原料でも製法でもなく、出荷時点の状態を言い当てた名前です。造り手が特別な材料を足したわけでも、特別な菌を使ったわけでもありません。ふつうならもう一手間かけて外すものを、外さなかった。それだけのことが、味の輪郭を大きく変えます。

うすにごり・かすみ酒との呼び分け

おりがらみに近い言葉として、うすにごり、かすみ酒、おりがみ、といった表記が店頭に並びます。これらは法令用語ではなく、蔵や販売店がラベルに書く商品名の一部です。清酒の品質表示に関する国のルールは、精米歩合や原料によって純米酒や吟醸酒といった特定名称を定めていますが、濁りの度合いを段階で区切る決まりは置いていません。したがって「うすにごり」と「おりがらみ」のどちらが薄いかを一般論で言うことはできず、実際には蔵ごとの慣用に従っています。

厚く濁った側はにごり酒と呼ばれます。さらに搾らずに仕上げればどぶろくの領域に入りますが、こちらは搾る工程を経ていない点で清酒の定義から外れます。おりがらみは、搾ってはいるが澄ませてはいない、その中間に位置づけられます。

おりがらみができるまで|上槽から澱引きまでの分かれ道

おりがらみができるまで|上槽から澱引きまでの分かれ道
酒蔵の仕込みタンクの一例

清酒づくりは、蒸した米と麹と水と酵母でもろみを立て、二十日から一か月ほどかけて発酵させます。発酵が終わったもろみは、液体と固形分が混ざった粥のような状態です。ここから先が、おりがらみの分かれ道になります。

上槽で酒と粕に分かれる

もろみを搾る工程を上槽といいます。搾ると、液体である酒と、固形分である酒粕に分かれます。この時点で取り出される酒粕は、量としては仕込んだ白米に対しておおむね二割から四割にあたり、粕歩合と呼ばれる指標で管理されます。精米歩合を下げて磨いた米を使う大吟醸ほど粕歩合は高くなりやすく、搾りを弱くして雑味を避けるためです。

酒粕は板状や練り状で流通し、甘酒や粕漬けの材料として売られます。つまり搾りの段階で出る固形分は、はじめから食品として扱われている。ここは後で法律の話に戻ってくる、重要な分岐点です。

澱引きをするか、しないか

搾った直後の酒には、まだ細かな澱が浮いています。ふつうはタンクに移して数日から十日ほど静置し、沈んだ層を残して上澄みだけを別のタンクに移します。この作業が澱引きです。澱引きのあとに濾過をかけ、火入れをして貯蔵に入ります。生酒や生詰めは、この火入れの回数と順序を変えたものです。

おりがらみは、この澱引きを省く、あるいは澱引きで分けた澱をあとから戻して瓶詰めします。前者は自然な濁りになり、後者は狙った濃さに調整できます。どちらの手順を取ったかはラベルにはまず書かれません。

澱引きを省くと、酵母や米の粒子が瓶のなかに残ります。生のまま出荷する場合、瓶のなかで発酵が続いて炭酸ガスが生まれ、微発泡になります。搾りたての時期に出るおりがらみが泡立ちやすいのは、この残り火のせいです。ひやおろしのように貯蔵を経てから出す酒とは、時間の使い方が正反対だといえます。

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おりがらみと飲み比べたい日本酒のおすすめ銘柄30選を比較

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棚に並ぶ日本酒のボトルの一例

おりがらみは季節限定の少量出荷が中心で、同じ銘柄を通年で追いかけるのは簡単ではありません。そこで、澄んだ定番酒と、濁りやフレッシュさを持つ酒を横に並べた比較表を用意しました。価格帯と味の方向をあわせて見ておくと、店頭でおりがらみに出会ったときに、どの位置にある酒なのかを判断しやすくなります。

おりがらみと飲み比べたい日本酒のおすすめ銘柄30選 比較表|澄んだ定番からにごり・しぼりたてのフレッシュ系まで
おりがらみは季節限定の少量出荷が多く、いつでも同じ銘柄が手に入るとは限りません。そこでこの比較表では、澄んだ定番酒30本を「おりがらみやにごり、しぼりたてのフレッシュ系と飲み比べるための基準点」として横断比較します。入門の定番(獺祭・八海山・上善如水)から新潟淡麗(〆張鶴・久保田)、生酛造り(大七)、入手困難な人気銘柄(十四代・而今・飛露喜・黒龍)、発泡・原酒・低アルコールまでをそろえ、度数・味わいタイプ・産地・おすすめの温度帯を並べました。澄んだ酒の味わいを基準点にしておけば、同じ蔵のおりがらみやうすにごりに出会ったとき、澱由来のふくらみや微発泡がどれだけ表情を変えているかをつかみやすくなります。
価格は 2026/09/01 更新
画像 銘柄・スコア 定価
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特徴 リンクサス酒販
本命
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獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分 720ml1入門の定番 獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分 720ml
★★★★★5/ 唎酒師スコア
¥3,080
公式希望小売3,080円(720ml・2026年4月改定税込)
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初めての日本酒に最適。冷酒・ワイングラスで香りを堪能。

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公式希望小売6,380円(720ml箱無し・税込/紙箱入り7,150円・木箱入り7,480円。2026年8月6日に旭酒造公式サイトで確認)
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「西の而今」。雄町の個性が際立つ希少な最高峰。

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黒龍酒造は公式サイトで価格を公表していないため、定価は掲載していない。実勢は販売店により幅がある(2026年8月6日確認)
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上品な香りとキレ。贈り物にも喜ばれる福井の銘酒。

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甘口好き・デザート合わせに。日本酒の新しい楽しみ方。

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乾杯・お祝いに。瓶内二次発酵の自然な泡が華やか。

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11定番の名酒 八海山 純米吟醸 720ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
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新潟淡麗の定番。料理に寄り添うすっきり辛口。

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12新潟の名酒 〆張鶴 純 純米吟醸 720ml
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市場相場2,000〜2,600円台(720ml・実勢/2026年6月時点)
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新潟淡麗のやわらかな旨口。冷酒〜ぬる燗。

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久保田 千寿 吟醸 720ml13淡麗辛口の定番 久保田 千寿 吟醸 720ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場2,000〜3,000円台(実勢・2026年6月時点)
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淡麗辛口の代表格。冷やでも、ぬる燗でも楽しめる万能型。

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獺祭 純米大吟醸45 720ml14定番スタンダード 獺祭 純米大吟醸45 720ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
¥1,782
希望小売1,782円(720ml・2026年4月改定税込)
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獺祭のいちばん身近な定番。日常の晩酌から贈り物まで。

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風の森 秋津穂 657 720ml15生酒・冷酒向き 風の森 秋津穂 657 720ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場2,000円台後半(実勢・2026年6月時点)
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無濾過生酒のフレッシュさ。よく冷やしてシュワっと。

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16生醛の代表 大七 生もと純米 1800ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
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生醛造りの濃醇旨口。燗で旨味が開く。

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17入門に人気 上善如水 純米吟醸 720ml
★★★☆☆3/ 唎酒師スコア
市場相場1,200〜1,600円台(720ml・実勢/2026年6月時点)
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軽快フルーティで飲みやすい入門酒。

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獺祭 ブルー Type 50 720ml18話題・飲み比べ 獺祭 ブルー Type 50 720ml
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市場相場4,000円台(実勢・2026年6月時点)
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話題のアメリカ醸造・獺祭。飲み比べの一杯に。

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風の森 ALPHA 5 燗SAKEの探求 720ml19燗酒向き・実験的 風の森 ALPHA 5 燗SAKEの探求 720ml
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市場相場2,000円台後半(実勢・2026年6月時点)
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燗酒の新提案。温めることで旨味が開く実験的な一本。

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20日常の定番 白鶴 まる パック 2000ml
★★★☆☆3/ 唎酒師スコア
市場相場900〜1,300円台(2000mlパック・実勢/2026年6月時点)
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毎日の晩酌に。クセのない定番普通酒。

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菊姫 原酒 1800ml21濃厚原酒 菊姫 原酒 1800ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場2,000円台〜(1800ml・実勢/2026年6月時点)
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熟成原酒をブレンドした濃厚旨口。ロックも美味。

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22定番原酒・受賞 月桂冠 つき原酒 1800ml
★★★☆☆3/ 唎酒師スコア
市場相場1,000円台〜(1800ml・実勢/2026年6月時点)
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コスパ良の定番原酒。IWC SAKE部門ゴールド受賞。

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ふなぐち菊水一番しぼり 200ml23生原酒・定番缶 ふなぐち菊水一番しぼり 200ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場200円台〜(200ml缶・実勢/2026年6月時点)
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生原酒の代名詞。缶でいつでもフレッシュ。

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越後武士(さむらい)720ml24超高度数・話題 越後武士(さむらい)720ml
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市場相場2,000円台後半〜(720ml・実勢/2026年6月時点)
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ウォッカ並みの度数46%。米・米麹由来の世界最高度数級。

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25活性にごり・甘口 酔仙酒造 活性原酒 雪っこ 300ml
★★★☆☆3/ 唎酒師スコア
市場相場400円台〜(300ml・実勢/2026年6月時点)
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酵母が生きた活性にごり原酒。とろける甘味。

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川鶴 讃岐くらうでぃ 1800ml26低アル・にごり 川鶴 讃岐くらうでぃ 1800ml
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通常の3倍麹のにごり酒。低アル6%で焼肉に合う。

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一ノ蔵 ひめぜん 720ml27低アル・パイオニア 一ノ蔵 ひめぜん 720ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場1,000円台〜(720ml・実勢/2026年6月時点)
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低アル酒のパイオニア。ジュース感覚で飲める。

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富久錦 純米 Fu. 500ml28低アル・純米 富久錦 純米 Fu. 500ml
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辛口白ワイン感覚の低アル純米。食中酒に。

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松竹梅白壁蔵 澪 スパークリング清酒 300ml29低アル・入門 松竹梅白壁蔵 澪 スパークリング清酒 300ml
★★★★☆4/ 唎酒師スコア
市場相場400円台〜(300ml・実勢/2026年6月時点)
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低アル5%の大定番。日本酒が苦手でも飲みやすい。

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花の舞 Abysse(アビス)スパークリング 720ml30ワイン酵母・洋食向き 花の舞 Abysse(アビス)スパークリング 720ml
★★★☆☆3/ 唎酒師スコア
市場相場1,500円台〜(720ml・実勢/2026年6月時点)
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ワイン酵母仕込みの洋食に合う日本酒。中庸の度数。

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日本酒の多くはメーカー希望小売価格を公表しないオープン価格のため、定価(list_price)は掲載せず市場相場の目安のみを記載しています(2026年6月時点の実勢)。おりがらみやうすにごりは季節商品で流通量が少なく、同一銘柄・容量が見つからない場合は楽天・Amazon欄が空欄になります。掲載する価格は最安値ではなく流通している高値帯の参考値です。十四代・而今・飛露喜・黒龍などの限定酒は品薄で実勢が大きく上振れする場合があります。アルコール度数・味わいタイプは各蔵の公表値や代表的な傾向に基づく目安です。

表の並べ替えは、価格でもおすすめ順でも切り替えられます。おりがらみを初めて選ぶなら、まず同じ蔵の澄んだ定番を一本知っておくと、濁りがどれだけ味を変えているのかが分かります。日本酒の商品一覧からも探せます。

取り除いた澱はどこへ行くのか|食品リサイクル法の定義の階段

取り除いた澱はどこへ行くのか|食品リサイクル法の定義の階段
酒米と稲穂の一例

ここから、おりがらみが残した側ではなく、ふつうの清酒が外した側の話に移ります。搾りかす、澱、洗米や仕込みの過程で出る米の破片。これらをまとめて扱う法律が、平成十二年法律第百十六号「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」です。通称は食品リサイクル法。本則は三十条、七章立てで、条文の文字数は一万千字あまりしかありません。あとで見る廃棄物処理法の七分の一にも満たない短さです。

短いのに、この法律は第二条だけで定義を三段に積み上げます。その階段の踏み外し方が、清酒の澱の扱いを決めます。

「食品廃棄物等」は二つの号でできている

第二条第二項は、こう書きます。

この法律において「食品廃棄物等」とは、次に掲げる物品をいう。
一 食品が食用に供された後に、又は食用に供されずに廃棄されたもの
二 食品の製造、加工又は調理の過程において副次的に得られた物品のうち食用に供することができないもの

食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律 第二条第二項

一号は「廃棄されたもの」、二号は「副次的に得られた物品」。売れ残りや食べ残しが一号、製造の過程で出るものが二号です。清酒づくりで出る澱や、洗米で流れる米の粉は、造る途中で副次的に生じますから、入口としては二号のほうを見ることになります。

ここで見落としやすいのが、二号の末尾です。食用に供することができないものという限定が付いています。副次的に出たというだけでは足りない。食べられないことが条件になっています。

「食品循環資源」は有用なものだけ

次の第三項が二段目です。

この法律において「食品循環資源」とは、食品廃棄物等のうち有用なものをいう。

食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律 第二条第三項

一行しかありません。食品廃棄物等という大きな器のなかから、有用なものだけを取り出した部分集合が食品循環資源です。この法律が肥料や飼料に回そうとしているのは、この内側の集合のほうです。外側にとどまるもの、つまり有用でないものは、再生利用へ導く対象から外れ、廃棄物処理法の手続だけが残ります。

定義がこう積まれているので、条文を読むときは語を取り違えないことが要ります。第九条の定期報告も、第二十四条第一項の報告徴収も、対象は「食品廃棄物等」の発生量と「食品循環資源」の再生利用等の状況、というふうに二語を並べて書いています。

食べられるものは入口で外れる

酒粕は、板粕として売られ、粕汁にも粕漬けにもなります。食用に供することができる。すると第二条第二項第二号の限定に当たらず、二号では食品廃棄物等にならないと読むのが素直です。食品リサイクル法の階段は、一段目で酒粕を外しうる。

一方、澱引きで沈めた澱は、そのまま食品として流通する道がほとんどありません。だから同じ「搾ったあとに残った固形分」でも、板粕と澱では入口の判定が分かれる可能性があります。おりがらみは、その澱を瓶のなかに残して製品の一部にしてしまった酒です。制度の言葉に翻訳するなら、副次的に得られた物品を、そもそも副次的にしない造り方だといえます。

なお、あとで見る判断基準省令は、その第一条第三項で、事業者が防止すべきものとして食品廃棄物等の不適正な処理(食品廃棄物等を食用に供するために譲渡することを含む。以下同じ。)という書き方をしています。いったん食品廃棄物等になったものを食用に戻すことを、この制度は不適正な処理の側に置いています。入口の判定が最初に効いてくるのは、そのためです。

再生利用の七つの用途|法律が書く二つと政令が足す五つ

再生利用の七つの用途|法律が書く二つと政令が足す五つ
米と田んぼの一例

食品循環資源をどこへ回せば「再生利用」になるのか。法律の本文はここでも短く済ませています。

この法律において「再生利用」とは、次に掲げる行為をいう。
一 自ら又は他人に委託して食品循環資源を肥料、飼料その他政令で定める製品の原材料として利用すること。

食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律 第二条第五項第一号

法律が名指しするのは肥料と飼料の二つだけで、あとは政令に投げています。投げ先は平成十三年政令第百七十六号、同法施行令です。本則はわずか七条しかありません。

施行令第二条が足す五つ

施行令第二条は、こう並べます。一号がきのこ類の栽培のために使用される固形状の培地、二号が炭化の過程を経て製造される燃料及び還元剤、三号が油脂及び油脂製品、四号がエタノール、五号がメタン。法律の肥料と飼料を合わせて、再生利用の用途は全部で七つです。

この七つを見て気づくのは、酒づくりと縁の深い言葉が二つ入っていることです。エタノールと、メタン。エタノールは酒を酒たらしめている成分であり、メタンは酒粕や蒸留廃液をメタン発酵にかけたときに出るガスです。制度は、酒の残さが酒に近いものへ戻る道と、燃料へ回る道の両方を、同じ一条のなかに並べて置いています。

飼料が肥料より先に置かれている

七つの用途に優先順位はあるのか。これは法律ではなく、六つの省が共同で出した判断基準省令(平成十三年財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省令第四号)の第一条第二項が定めています。順は、発生の抑制、再生利用、熱回収、減量の四段。そして再生利用の号のなかに、さらに細かい指示が入っています。

この場合において、飼料の原材料として利用することができるものについては可能な限り飼料の原材料として利用し、飼料の原材料として利用することができないものであって肥料の原材料として利用することができるものについては可能な限り肥料の原材料として利用すること。

食品循環資源の再生利用等の促進に関する食品関連事業者の判断の基準となるべき事項を定める省令 第一条第二項第二号

法律の第二条第五項は「肥料、飼料」の順で書いているのに、省令は飼料を先に置いています。栄養として牛や豚が食べられるものは、まず飼料へ。それが無理なら肥料へ。土に入れるのは二番手だ、という考え方です。この順序は、あとで見る国の統計にそのまま表れます。

清酒製造業の数字|令和五年度の定期報告から

清酒製造業の数字|令和五年度の定期報告から
店頭に並ぶ一升瓶の一例

この制度には、事業者に数字を出させる仕組みが付いています。第九条の定期の報告です。誰が出すのかは政令が決めます。

百トンという線と、報告の宛先

施行令第四条は、報告義務の対象を当該年度の前年度において生じた食品廃棄物等の発生量が百トン以上であることと定めます。この線に達した事業者を、法律は食品廃棄物等多量発生事業者と呼びます。届かなければ報告はいりません。中小の蔵の多くは、この線の下にいます。

報告の宛先も、この制度は変わっています。第二十五条第一項が六人の大臣を並べるのは基本方針の策定についてで、同項第二号にある第九条第一項の報告を受ける主務大臣は、農林水産大臣、環境大臣と当該食品関連事業者の事業を所管する大臣です。酒類製造業を所管するのは財務大臣。そして施行令第七条第三項は、財務大臣の権限のうち国税庁の所掌に係るものを、国税局長(沖縄国税事務所長を含む)又は税務署長に委任すると書いています。蔵が食品リサイクル法の定期報告を出す先には、税務署長が入ってくる。リサイクルの制度なのに、窓口の一つが税務署だという設計です。

酒類五業種のなかで清酒だけが七十二パーセント

農林水産省が公表した令和五年度の定期報告の取りまとめによると、多量発生事業者から出た食品廃棄物等は年間一万三千二百八十七千トン。食品産業全体の再生利用等実施率は九十三パーセントで、業種別では食品製造業が九十八パーセント、食品卸売業が七十四パーセント、食品小売業が六十六パーセント、外食産業が五十一パーセントでした。

同じ資料は、食品製造業をさらに細かく割った表を載せています。酒類に関係する五つの行を抜き出すと、次のようになります。

表1 令和五年度 酒類関係五業種の食品廃棄物等発生量と再生利用等実施率
業種 年間発生量(千トン) 再生利用等実施率
果実酒製造業 2 96%
ビール類製造業 439 100%
清酒製造業 30 72%
単式蒸留焼酎製造業 510 97%
蒸留酒・混成酒製造業(単式蒸留焼酎製造業を除く。) 174 98%

清酒製造業だけが七十二パーセントで、他の四業種から二十四ポイント以上離れています。発生量は三十千トンと五業種のなかで下から二番目、芋焼酎などを含む単式蒸留焼酎製造業の十七分の一ほどしかありません。量が少ないのに率が低い、という組み合わせです。

実施率の算式|〇・九五という係数と、上げ続けさせる仕掛け

実施率の算式|〇・九五という係数と、上げ続けさせる仕掛け
数値と割合を示す図の一例

七十二パーセントという数字は、単純な「リサイクルした割合」ではありません。農林水産省が示している算式は、次のとおりです。

表2 再生利用等実施率の算式
分子 発生抑制量+再生利用量+熱回収量×0.95+減量量
分母 発生抑制量+発生量

熱回収に〇・九五を掛ける理由

分子の四つの項のうち、熱回収だけに係数が付いています。〇・九五。農林水産省の説明は簡潔で、食品廃棄物の残さ(灰分に相当)率が五パーセント程度であり、この部分は利用できないことを考慮して〇・九五を乗じている、というものです。燃やせば灰が残る。その灰の分だけ、燃やして熱を取る道は肥料や飼料に回す道より少しだけ割り引かれる。省令が四段の優先順位で熱回収を再生利用の下に置いていることと、この係数は同じ方向を向いています。

分母に発生抑制量が入っている点も見落とせません。そもそも出さなかった量を、分子にも分母にも足す。減らせば減らすほど比率が上がる作りです。ただし熱回収を分子に算入できるのは、省令に定める熱回収の基準を満たす場合だけです。

基準実施率という個別の宿題

業種別の目標とは別に、事業者ごとに毎年上がっていく目標があります。基準実施率です。前年度の基準実施率に、その水準に応じた増加ポイントを足していきます。

表3 基準実施率の増加ポイント
前年度の基準実施率 増加ポイント
20%以上50%未満 2%
50%以上80%未満 1%
80%以上 維持向上

低いところにいる事業者ほど、年に二ポイントずつ引き上げられます。八十パーセントに達すると数値の宿題は消え、維持向上という言葉に変わります。平成二十年度から動いている仕組みで、出発点は平成十九年度の実施率。ただし平成十九年度の実施率が二十パーセント未満だった事業者は、二十パーセントとみなして計算を始めます。

業種全体の目標のほうは、令和七年三月十四日に公表された新しい基本方針で更新されました。令和十一年度までに、食品製造業九十五パーセント、食品卸売業七十五パーセント、食品小売業六十五パーセント、外食産業五十パーセントです。これは業種全体で達成を目指す目標であり、個々の事業者に義務づけるものではない、とされています。個別の宿題はあくまで基準実施率のほうにあります。

基準を著しく下回った多量発生事業者に何が起きるか。第十条が三段で書いています。まず勧告、従わなければ公表、公表後もなお正当な理由なく措置を取らなければ命令。命令の前には食料・農業・農村政策審議会と中央環境審議会の意見を聴かなければなりません。そして命令に違反したときの罰は、第二十七条の五十万円以下の罰金です。

廃棄物処理法から見た澱|名前のない号と、名前が付く場所

廃棄物処理法から見た澱|名前のない号と、名前が付く場所
酒樽の一例

食品リサイクル法の階段を二段目で外れた分は、昭和四十五年法律第百三十七号「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の世界に入ります。本則は百六十条、八万八千字近い大きな法律です。

その第三条第一項は、責任の所在を一行で決めます。

事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第三条第一項

施行令第二条第四号は名前を付けていない

産業廃棄物の種類は、法第二条第四項第一号が燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類を並べ、あとは政令に委ねます。その政令が昭和四十六年政令第三百号で、第二条には枝番の第四号の二を含めて十四の号が並びます。清酒に関わるのは第四号です。

四 食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令 第二条第四号

読み方が二つあります。ひとつは業種の指定で、食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業の三つに限られていること。もうひとつは、この号のどこにも「動植物性残さ」という言葉が書かれていないことです。現場では第四号の産業廃棄物を動植物性残さと呼ぶのが当たり前になっていますが、その呼び名はこの条にはありません。清酒製造業がこの三つのどれかに当たるかどうかも、政令の文言だけでは決まりません。

「動植物性残さ」が出てくるのは二か所だけ

施行令の本則を通して数えると、動植物性残さという語は二回しか現れません。二回とも第六条、産業廃棄物の収集、運搬、処分等の基準のなかです。名前が付くのは一回目のかっこ書きです。

第二条第四号に掲げる廃棄物(事業活動に伴つて生じたものに限る。以下「動植物性残さ」という。)

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令 第六条第一項第三号ヲ(2)

この位置は、埋立処分の基準のなかの「腐敗物」を数え上げる箇所です。腐敗物を含む産業廃棄物を埋め立てるときは、一層の厚さをおおむね三メートル以下にし、腐敗物がおおむね四十パーセント以上を占めるならおおむね五十センチメートル以下にして、一層ごとに表面を土砂でおおむね五十センチメートル覆う。つまりこの語は、まず「腐る側」の例として登場します。

二回目は同じ第六条第一項第四号イで、海洋投入処分を行うことができる産業廃棄物を列挙する箇所です。そこには動植物性残さであつて、摩砕したものと書かれています。摩砕、つまりすりつぶしたもの。かつて焼酎の粕が海に投入されていた時代を知る人には、見覚えのある一行でしょう。

管理票と、その重さ

産業廃棄物の運搬や処分を他人に委託するとき、事業者は第十二条の三第一項により産業廃棄物管理票を交付しなければなりません。いわゆるマニフェストです。交付した写しは環境省令の定める期間保存し、運搬受託者は運搬が終われば写しを送り返し、処分受託者は処分が終われば写しを送り返す。写しが往復することで、出した側が最後まで行き先を握る仕組みです。

この義務に違反したときの罰は、第二十七条の二の一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金。食品リサイクル法の最も重い罰が五十万円の罰金だったことと並べると、同じ「残った固形分」を扱う制度でも、罰の重さは倍以上違います。片方は目標を上げさせる法律、もう片方は行き先を失わせない法律という違いが、罰の重さにも表れているように読めます。

肥料と飼料に戻す道|告示に「酒かす」という語はない

肥料と飼料に戻す道|告示に「酒かす」という語はない
白米と稲穂の一例

再生利用の七用途のうち、量として圧倒的に大きいのは飼料と肥料です。令和五年度の実績で、多量発生事業者の再生利用一万百六十六千トンのうち、飼料が七千八百六千トン、肥料が千四百五十三千トン。この二つで九割を超えます。省令が飼料を先に置いた優先順位が、そのまま数字になっています。

では、清酒製造業はどうか。同じ資料の用途別内訳を見ると、清酒製造業の再生利用五千トンの内訳は、肥料が一千トン、飼料が四千トン。きのこ類の培地、メタン、油脂及び油脂製品、炭化して製造される燃料及び還元剤、エタノールは、いずれもゼロです。七つある道のうち、清酒の残さが実際に通っているのは二つだけです。発生量三十千トンに対して再生利用は五千トン。実施率七十二パーセントのうち再生利用が支えるのは十七ポイント分までで、残りは算式の他の項目によります。

対照的なのが単式蒸留焼酎製造業で、再生利用四百五十一千トンのうち肥料が八十二千トン、飼料が百二千トン、そしてメタンが二百六十五千トン。食品産業全体のメタン四百六十八千トンの半分以上を、この一業種が占めています。焼酎粕をメタン発酵にかける設備が各地に入ったことをうかがわせる数字です。清酒と焼酎で、同じ酒づくりの残さの行き先がここまで違います。

もう一つ、七用途のなかで最も小さいのがエタノールで、食品産業全体でわずか三千トン。再生利用一万百六十六千トンに対して〇・〇三パーセントです。酒をつくる産業から出た残さが、酒のアルコール分に戻る道は、統計の上ではほとんど使われていません。

特殊肥料は届出、普通肥料は登録

肥料として売るには、昭和二十五年法律第百二十七号「肥料の品質の確保等に関する法律」の手続がいります。この法律は肥料を二つに割ります。

この法律において「特殊肥料」とは、農林水産大臣の指定する米ぬか、堆肥その他の肥料をいい、「普通肥料」とは、特殊肥料以外の肥料をいう。

肥料の品質の確保等に関する法律 第二条第二項

法律の条文が名前を挙げているのは、米ぬかと堆肥の二語だけです。あとは農林水産大臣の指定に委ねられています。そして手続の重さが違います。普通肥料は第四条第一項により、同条第二項の除外に当たらない限り銘柄ごとに農林水産大臣の登録(第七号のものは都道府県知事の登録)が必要ですが、特殊肥料は第二十二条第一項により、事業を開始する一週間前までに都道府県知事へ届け出れば足ります。名宛人も、審査か届出かも、別の制度です。

届出をせずに事業を始めた場合の罰は、第三十七条第一号の一年以下の拘禁刑若しくは五十万円以下の罰金で、併科もできます。食品リサイクル法の罰則には拘禁刑が一つもなかったことを思い出すと、届出一枚の重みが違って見えます。

告示が名指ししているもの

では特殊肥料として何が指定されているのか。昭和二十五年六月二十日農林省告示第百七十七号「特殊肥料等を指定する件」がその一覧です。制定から今日までの改正は五十回に及び、直近は令和五年九月一日告示第千五十四号(令和五年十月一日施行)。

一覧をたどると、米ぬか、発酵米ぬか、発酵かす、アミノ酸かす、コーヒーかす、堆肥といった名前が並びます。ところが、この一覧に「酒かす」という語はありません。酒づくりの残りで名指しされているのは、まったく別の行です。

石灰処理肥料(果実加工かす、豆腐かす又は焼酎蒸留廃液を石灰で処理したものであつて、乾物1キログラムにつきアルカリ分含有量が250グラムを超えるものをいう。)

特殊肥料等を指定する件(昭和25年6月20日農林省告示第177号)

焼酎蒸留廃液は名前で書かれ、清酒の粕や澱は書かれていない。発酵かすという項目はありますが、そのかっこ書きは生産工程中に塩酸を使用しないしよう油かすを除くで、しょうゆを名指しするだけです。清酒の澱がこの項目に当たるかどうかは、告示の文言そのものからは読み取れません。

ちなみに同じ告示の飼料用の一覧には「乾燥菌体肥料(乾燥酵母に限る。)」という項目があります。酵母そのものは、名前を変えて制度のなかに居場所を持っています。

三つの特例で手続がつながる

食品リサイクル法は、第二十一条から第二十三条までに三つの特例を置いて、他の法律の手続を短くしています。第二十一条が廃棄物処理法の特例で、登録再生利用事業者の事業場へ運ぶ一般廃棄物の収集運搬について、市町村の区域をまたぐ許可の壁を下げます。第二十二条が肥料の品質の確保等に関する法律の特例で、第十一条第一項の登録または第十九条第一項の認定を受けたときは、特殊肥料の届出があったものとみなします。第二十三条が飼料安全法の特例で、同法第五十条の届出を同じようにみなします。

この三本立ての順序は、まず運ぶ許可、次に肥料の届出、最後に飼料の届出。優先順位では飼料が先でも、条文の並びでは肥料が先に来ます。もっとも、こちらは手続の順序で、どの用途を優先するかとは物差しが違います。

おりがらみの味わいと飲み方|上澄みと澱で表情が変わる

おりがらみの味わいと飲み方|上澄みと澱で表情が変わる
徳利とお猪口で日本酒を注ぐ一例

ここまで見てきたとおり、澱は制度の側から見ればいくつもの分岐を持つ物質です。しかし瓶のなかに残っているかぎり、それはただの味の一部です。

上澄みから飲むか、混ぜるか

おりがらみを冷蔵庫で立てて保管すると、瓶の下に澱がたまります。ここで飲み方が二通りに分かれます。まず静かに注いで上澄みだけを味わい、そのあと瓶をゆっくり回して澱を混ぜ、同じ酒の二つの顔を並べる。上澄みは輪郭がはっきりして酸が立ち、混ぜたほうは甘みと厚みが増します。同じ一本で二杯目の印象が変わるのは、おりがらみならではの楽しみです。

混ぜるときは、瓶を振らずに、逆さにしてから戻す動きを二、三回。振ると炭酸が一気に出て吹きこぼれます。澱は主に酵母と米の粒子で、量としてはごくわずかです。日本酒のカロリーが大きく動くわけではありません。

開栓は少しずつ、温度は低めに

生のおりがらみは瓶内でガスを持っていることがあります。栓を一気に開けず、四分の一ほど回して「しゅっ」と音がしたら止め、泡が落ち着いてからまた少し回す。これを数回繰り返します。開栓前に瓶を冷やしておくと、ガスが液体に溶けたままになるので噴きにくくなります。目安は摂氏五度から十度。

温度が上がるほど甘みと澱の厚みが前に出ます。八度前後だと発泡感とキレが立ち、十二度を超えると米の甘みが広がる。同じ一本でも、注いでから十分置くだけで印象が変わります。純米酒のおりがらみは特にこの振れ幅が大きく、口径の広いグラスを使うと香りの立ち上がりが分かりやすくなります。

選び方と季節、合わせる料理|ラベルから読み取れること

選び方と季節、合わせる料理|ラベルから読み取れること
お猪口に注いだ日本酒と酒米の一例

おりがらみは、造りの分岐が名前に表れない酒です。同じ「おりがらみ」でも、澱引きを省いたのか、いったん分けた澱を戻したのかは書かれません。それでもラベルから読み取れる手がかりはいくつかあります。

ラベルで確かめる三つのこと

ひとつめは、生か火入れか。「生酒」「本生」「生詰」といった表示があれば、瓶のなかで酵母がまだ動いている可能性が高く、発泡と変化の速さを見込む必要があります。要冷蔵の指定が併記されているのが普通です。

ふたつめは、製造年月です。清酒のラベルには瓶詰めした年月が入るのが一般的です。おりがらみは時間とともに澱がなじんで角が取れていくので、搾りたての勢いを求めるなら新しいもの、まとまりを求めるなら少し置いたものを選ぶ、という読み方ができます。

みっつめは、特定名称の有無です。純米や純米吟醸と書かれていれば、原料と精米歩合の条件を満たしています。何も書かれていなくても品質が劣るわけではありませんが、味の方向を予想する手がかりは減ります。清酒と日本酒の違いを押さえておくと、表示の読み方が楽になります。

季節と入手のこと

おりがらみが最も多く出回るのは、仕込みが本格化する冬から春先にかけてです。新酒のしぼりたてと同じ時期に、澱を残した瓶が並びます。少量出荷が多く、通年で同じ銘柄を確保するのは難しいため、見かけたときに買うのが現実的です。

合わせる料理

澱の甘みと厚みは、塩気と油に強く出ます。白子ポン酢、天ぷらの塩、クリームチーズ、鶏の唐揚げ。逆に、繊細な白身の刺身は澱の厚みに負けることがあります。上澄みを先に合わせ、澱を混ぜたあとは味の濃い皿へ移す、という順番が扱いやすいでしょう。

飲まない日本酒や、贈答で受け取ったまま置いてある一升瓶があれば、日本酒の基礎知識とあわせて査定をご検討ください。生酛山廃といった造りの酒は、状態がよければ評価の対象になります。

よくある質問

よくある質問
グラスに注いだ日本酒の一例
おりがらみとにごり酒はどう違いますか。

どちらも法令用語ではなく、蔵や販売店が使う商品名の一部です。一般には、搾ったあとの細かな澱を残した薄い濁りをおりがらみ、目の粗い布などで搾って白く厚い濁りを残したものをにごり酒と呼び分けています。濁りの濃さを段階で区切る国の基準は置かれていないため、どちらが薄いかは蔵ごとの慣用によります。

おりがらみの澱は取り除いて飲んだほうがよいですか。

取り除く必要はありません。澱は主に酵母と米の粒子で、味の一部として意図的に残されています。上澄みだけを先に飲み、そのあと瓶を静かに回して澱を混ぜると、同じ一本で二通りの味を比べられます。混ぜるときは振らず、逆さにして戻す動きを二、三回にとどめてください。

清酒づくりで出る澱や酒粕は、食品リサイクル法の食品廃棄物等にあたりますか。

同法第二条第二項第二号は、製造の過程で副次的に得られた物品のうち食用に供することができないものを食品廃棄物等としています。酒粕は板粕として食用に流通しますから、この限定に当たらないと読むのが素直です。澱については、食用に供する流通経路が一般的でないため、判定が分かれ得ます。制度上の扱いは個別の実態で決まります。

食品リサイクル法の再生利用には、どんな用途が数えられますか。

法第二条第五項第一号が肥料と飼料を挙げ、残りを政令に委ねています。施行令第二条が挙げるのは、きのこ類の栽培のために使用される固形状の培地、炭化の過程を経て製造される燃料及び還元剤、油脂及び油脂製品、エタノール、メタンの五つです。法律の二つと合わせて七つになります。

清酒製造業の再生利用等実施率はどのくらいですか。

農林水産省が公表した令和五年度の定期報告の取りまとめでは、清酒製造業は七十二パーセントでした。同じ資料で果実酒製造業は九十六パーセント、ビール類製造業は百パーセント、単式蒸留焼酎製造業は九十七パーセント、蒸留酒・混成酒製造業(単式蒸留焼酎製造業を除く。)は九十八パーセントです。なお対象は年間発生量百トン以上の多量発生事業者に限られます。

酒かすは肥料の法律で特殊肥料に指定されていますか。

特殊肥料の一覧である昭和二十五年農林省告示第百七十七号に、「酒かす」という語は見当たりません。米ぬか、発酵米ぬか、発酵かす、アミノ酸かす、コーヒーかす、堆肥などが並び、酒づくりに関係する名前としては「石灰処理肥料」のかっこ書きに焼酎蒸留廃液が挙がっています。清酒の粕や澱がどの項目に当たるかは、告示の文言だけからは読み取れません。

おりがらみは開けたあと何日くらいで飲みきるべきですか。

生のものは開栓後に味の変化が早く、冷蔵で二日から三日を目安に飲みきると持ち味が保てます。火入れをしたものはもう少し余裕がありますが、澱が入っている分だけ酸化や香りの変化が出やすい点は変わりません。いずれも瓶を立てて冷蔵庫に入れ、栓をしっかり閉めて保管してください。

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