ボウモア9年と12年の違いと定価を公式の数字だけで整理する

ボウモア12年・18年の違いとは?終売情報や市場価値を解説

ボウモア9年と12年の違いと定価を公式の数字だけで整理する

ボウモアの定価を調べていて、公式サイトに価格が見当たらず戸惑った方に向けて書きました。答えは日本の輸入元であるサントリーの製品解説にあり、そこには4本ぶんの数字が並んでいます。検索されている「9年」「終売」「ナンバーワン」といった語が何を指しているのかも、一次資料の記述と突き合わせて一つずつ確かめていきます。

ボウモアは日本の公式が4本だけを載せている銘柄

アイラ島のシングルモルト数本
アイラ島のシングルモルトが並ぶ様子

ボウモアを調べようとすると、最初につまずくのは「どこを見れば答えが載っているのか」です。ブランドの世界共通サイトである bowmore.com と、日本での輸入元であるサントリーの製品解説。この2つは同じ銘柄を扱っているのに、書いている項目がほとんど重なっていません。

結論を先に置きます。日本語で知りたくなる数字、つまり定価・容量・アルコール分は、ブランドの世界共通サイトにはほぼ載っておらず、サントリーの製品解説に載っています。当店で bowmore.com の主要18ページを取得して語を数えたところ、price・yen・700ml・70cl・75cl はいずれも0件でした。ABV は1回だけ出てきますが、それは9年のページです。

読者が探している項目 bowmore.com 全18ページ サントリー公式
価格(price / ¥ / yen / $) 0件 4本すべてに税別価格を掲載
容量(700ml / 70cl / 75cl) 0件 4本すべてに700mlと掲載
アルコール分(ABV) 1件(9年のページのみ) 4本すべてに%で掲載
Queen of という語 0件 「アイラモルトの女王」と記載

つまり「ボウモア 定価」で検索した人がブランド公式にたどり着いても、そこに答えはありません。この記事はサントリーの製品解説と bowmore.com、そして英国のスコッチウイスキー規則を突き合わせて、検索されている項目を一つずつ埋めていきます。

当店の棚にあるボウモアを現物で見る

ボウモア12年15年18年の並び
年数表記の異なるボウモアを並べた様子

公式の数字を読む前に、実物の幅を見ておくと理解が速くなります。ボウモアは年数表記の定番4本のほかに、旧ラベル、蒸溜所限定、カスクストレングス、ワイン樽やミズナラ樽での後熟など、名前の付き方が非常に多い銘柄です。

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ここではボウモアの在庫から一部を掲載しています。価格・在庫・箱の有無は各商品ページでご確認いただけます。

ここに並ぶ商品名を眺めると、「ボウモア」の後ろに来る語が年数・ラベルの通称・シリーズ名・樽の種類の4通りに分かれているのが分かります。検索で「ボウモア 12年 終売」と入力する人の多くは、このうちどれか1つを指しているつもりで、実際には別の系統の商品を見ていることがあります。次の章から、その混線を1つずつほどきます。

定価はサントリーが4本ぶんだけ公表している

ボウモア25年のボトル
長期熟成のボトルは価格の桁が変わる

サントリーの製品解説は、ボウモアを「スモーキー4シリーズ」として12年・15年・18年・25年の4本にまとめ、それぞれに容量・アルコール分・税別価格を並べています。ここが日本語で定価を確認できる唯一の場所です。

年数表記 容量 アルコール分 税別 税込 30mlあたり税込
12年 700ml 40% 6,600円 7,260円 311円
15年 700ml 43% 11,960円 13,156円 564円
18年 700ml 43% 16,800円 18,480円 792円
25年 700ml 43% 90,720円 99,792円 4,277円

右端の欄は、1杯を30mlとして税込価格を割り戻したものです。700mlのボトルは30mlなら23杯とれるので、税込7,260円の12年は1杯あたり311円、税込99,792円の25年は1杯あたり4,277円になります。

税別定価で見ると25年は12年の約13.7倍です。この倍率をどう受け取るかは人それぞれですが、「熟成年数が2倍になったから価格も2倍」といった比例関係ではないことははっきりしています。年数の比は25対12で約2.1倍、価格の比は約13.7倍です。

ボウモアの定価と度数を公式の記載で並べた一覧
サントリーが定価を公表しているのは12年・15年・18年・25年の4本だけです。この一覧では、その4本の行に公表された税込の希望小売価格を入れ、残りの18行には「なぜ定価が無いのか」を書き分けています。アルコール分と樽の情報は本文の表にまとめてあります。
価格は 2026/08/17 更新
画像 銘柄・スコア 定価
市場相場
特徴 リンクサス酒販
本命
Amazon 楽天 買取
ボウモア 12年 700ml1定番 ボウモア 12年 700ml
★★★★★5/ ウイスキープロフェッショナルスコア
¥7,260
サントリー公表の希望小売価格 税別6,600円(税込7,260円)
💎 プロのおすすめ

サントリーが定価を公表する4本の中では、アルコール分がいちばん低い40%。

¥5,000リンクサス最安 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア 15年 700ml2定番 ボウモア 15年 700ml
★★★★★5/ ウイスキープロフェッショナルスコア
¥13,156
サントリー公表の希望小売価格 税別11,960円(税込13,156円)
💎 プロのおすすめ

バーボン樽で12年熟成させた原酒をオロロソ・シェリー樽で3年熟成させた構成。

¥8,800リンクサス最安 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア 18年 700ml3定番 ボウモア 18年 700ml
★★★★★5/ ウイスキープロフェッショナルスコア
¥18,480
サントリー公表の希望小売価格 税別16,800円(税込18,480円)
💎 プロのおすすめ

色の表現がサントリーとbowmore.comで重なる1本(マホガニー)。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア 25年 700ml4長期熟成 ボウモア 25年 700ml
★★★★★5/ ウイスキープロフェッショナルスコア
¥99,792
サントリー公表の希望小売価格 税別90,720円(税込99,792円)
💎 プロのおすすめ

税別定価は12年の約13.7倍。アルコール分の差は40%と43%しかない。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア 9年 700ml5入門 ボウモア 9年 700ml
★★★★☆4/ ウイスキープロフェッショナルスコア
サントリーの製品解説に掲載なし。定価の公表は確認できない
💎 プロのおすすめ

日本の公式に項目が無く、度数40%はbowmore.com側にだけ書かれている。

在庫切れリンクサス入荷通知 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア レジェンド カモメラベル 700ml6旧ラベル ボウモア レジェンド カモメラベル 700ml
★★★☆☆3/ ウイスキープロフェッショナルスコア
熟成年数を表示しないため定価の公表対象外
💎 プロのおすすめ

年数を表示しない選択をしたボトル。カモメラベルの旧仕様。

在庫切れリンクサス入荷通知 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア 10年 ダーク&インテンス 1000ml7免税店向け ボウモア 10年 ダーク&インテンス 1000ml
★★★☆☆3/ ウイスキープロフェッショナルスコア
免税店向けの容量で国内定価の公表なし
💎 プロのおすすめ

1000mlの免税店向け容量。国内の製品解説には掲載がない。

¥6,600リンクサス最安 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア 22年 アイラナイトフライ 700ml8限定 ボウモア 22年 アイラナイトフライ 700ml
★★★★★5/ ウイスキープロフェッショナルスコア
限定リリースのため定価の公表なし
💎 プロのおすすめ

22年という年数表記は、中身のうち最も若い原酒が22年を超えることを意味する。

¥176,000リンクサス最安 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア 30年 セラミックドラゴン 750ml9限定 ボウモア 30年 セラミックドラゴン 750ml
★★★★★5/ ウイスキープロフェッショナルスコア
限定リリースのため定価の公表なし
💎 プロのおすすめ

750ml時代のセラミックボトル。容量表示で世代が分かる1本。

¥330,000リンクサス最安 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア ミズナラカスクフィニッシュ 700ml10限定 ボウモア ミズナラカスクフィニッシュ 700ml
★★★★★5/ ウイスキープロフェッショナルスコア
限定リリースのため定価の公表なし
💎 プロのおすすめ

サントリーが「ミズナラ樽でも貯蔵している」と書く系統の限定品。

¥363,000リンクサス最安 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア 12年 ダンピーボトル 750ml11旧ボトル ボウモア 12年 ダンピーボトル 750ml
★★★★☆4/ ウイスキープロフェッショナルスコア
旧ボトルのため現行定価の対象外
💎 プロのおすすめ

同じ12年でも43%表記。現行の40%と世代が違うことが度数で分かる。

¥110,000リンクサス最安 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
12希少 ブラックボウモア 42年 1964 シェリーカスク 700ml
★★★★★5/ ウイスキープロフェッショナルスコア
限定リリースのため定価の公表なし
💎 プロのおすすめ

1993年に始まったブラックボウモアの系譜に連なる長期熟成品。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア 12年 シェリーカスク 700ml13日本では製造終了 ボウモア 12年 シェリーカスク 700ml
★★★★☆4/ ウイスキープロフェッショナルスコア
日本での製造終了品のため定価の公表なし
💎 プロのおすすめ

サントリーの製造終了商品一覧に載っている「ボウモアシェリー」系。

在庫切れリンクサス入荷通知 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア 15年 シェリーカスク 700ml14日本では製造終了 ボウモア 15年 シェリーカスク 700ml
★★★★☆4/ ウイスキープロフェッショナルスコア
日本での製造終了品のため定価の公表なし
💎 プロのおすすめ

「ボウモア15年 シェリーカスク 終売」で検索される当の商品。

在庫切れリンクサス入荷通知 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア ダーケスト シェリーカスク 700ml15旧シリーズ ボウモア ダーケスト シェリーカスク 700ml
★★★★☆4/ ウイスキープロフェッショナルスコア
旧シリーズのため現行定価の対象外
💎 プロのおすすめ

シェリー樽の比率を高めた旧シリーズ。現行4本とは別系統。

¥77,000リンクサス最安 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア 22年 ザ・チェンジリング 700ml16限定 ボウモア 22年 ザ・チェンジリング 700ml
★★★★★5/ ウイスキープロフェッショナルスコア
限定リリースのため定価の公表なし
💎 プロのおすすめ

漫画家フランク・クワイトリーとの企画シリーズの1本。

¥110,000リンクサス最安 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア 22年 アストンマーティン 700ml17限定 ボウモア 22年 アストンマーティン 700ml
★★★★★5/ ウイスキープロフェッショナルスコア
限定リリースのため定価の公表なし
💎 プロのおすすめ

bowmore.comに専用ページがある提携シリーズ。

¥88,000リンクサス最安 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア 25年 アイラナイトフライ 700ml18限定 ボウモア 25年 アイラナイトフライ 700ml
★★★★★5/ ウイスキープロフェッショナルスコア
限定リリースのため定価の公表なし
💎 プロのおすすめ

同じ25年でも現行の定番とは別ラベルの限定品。

¥242,000リンクサス最安 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア 16年 ナチュラルカスクストレングス 1989 700ml19カスクストレングス ボウモア 16年 ナチュラルカスクストレングス 1989 700ml
★★★★★5/ ウイスキープロフェッショナルスコア
限定リリースのため定価の公表なし
💎 プロのおすすめ

加水しないカスクストレングス。現行4本の40〜43%とは度数の桁が違う。

¥99,000リンクサス最安 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア 18年 アイラフェス 2020 700ml20蒸溜所限定 ボウモア 18年 アイラフェス 2020 700ml
★★★★★5/ ウイスキープロフェッショナルスコア
蒸溜所限定のため定価の公表なし
💎 プロのおすすめ

アイラ島の祭典に合わせた蒸溜所限定ボトル。

¥66,000リンクサス最安 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア アイラ 12年 カモメラベル 700ml21旧ラベル ボウモア アイラ 12年 カモメラベル 700ml
★★★★☆4/ ウイスキープロフェッショナルスコア
旧ボトルのため現行定価の対象外
💎 プロのおすすめ

旧カモメラベルの12年。度数43%で現行40%と区別できる。

¥44,000リンクサス最安 楽天で探す 商品名検索 査定 買取
ボウモア 24年 信濃屋向け 700ml22限定 ボウモア 24年 信濃屋向け 700ml
★★★★★5/ ウイスキープロフェッショナルスコア
ボトラーズ向け限定のため定価の公表なし
💎 プロのおすすめ

特定の小売店向けに瓶詰めされた24年。定価という概念がない系統。

¥143,000リンクサス最安 楽天で探す 商品名検索 査定 買取

定価の欄に金額が入っているのは4行だけです。残りの18行は値を持たないため、価格順の並べ替えと価格帯の絞り込みではその18行が拾われません。各行に出ている金額は当店の販売価格で、絞り込みが読む値とは別のものです。「最安」の表示は当店に在庫がある行へ一律に付くもので、他店との価格比較を示すものではありません。定価として記載しているのはサントリーが製品解説で公表している税込の希望小売価格です。

度数は12年だけが1段低く残りの3本は同じ

ストレートで注いだウイスキー
ストレートで香りを確かめるところ

「年数が上がると度数も上がる」と書かれた解説を見かけますが、ボウモアの現行4本では成り立ちません。サントリーの公表値は12年が40%、15年・18年・25年がそろって43%です。上がるのは12年から15年に移るところだけで、そこから先は変わりません。

日本の公式が使っている換算のしかたに合わせて、純アルコール量も出しておきます。容量に度数を掛けて100で割り、0.8を掛ける方法です。

年数表記 アルコール分 1本700mlの純アルコール量 30mlの純アルコール量
12年 40% 224.0 g 9.6 g
15年 43% 240.8 g 10.3 g
18年 43% 240.8 g 10.3 g
25年 43% 240.8 g 10.3 g

30mlで比べると9.6 gと10.3 g。差は0.7 gしかありません。ところが1杯あたりの税込価格は311円と4,277円で、こちらは約13.7倍の開きがあります。値段の差はアルコールの量の差ではない——という当たり前のことが、数字にするとはっきり見えます。

ボウモア9年は日本の公式に載っていない

スモーキーなシングルモルト
スモーキーな1杯をストレートで

「ボウモア9年」「ボウモア9年 12年 違い」と検索して当店の記事にたどり着く方が毎月いらっしゃいます。ところが日本語の情報が薄い。理由ははっきりしていて、サントリーの製品解説に9年の項目が無いからです。スモーキー4シリーズとしてまとまっているのは12年・15年・18年・25年で、9年はそこに入っていません。

では存在しないのかというと、そうではありません。bowmore.com には9年の商品ページが確かにあります。面白いのは置かれている場所です。12年・15年・18年・25年はいずれも /whiskies/ の下にあるのに、9年だけが /all-collections/permanent-collection/ の下にあります。実際に /whiskies/9-year-old を叩くと404が返り、逆に /all-collections/permanent-collection/12-year-old も404を返します。つまりボウモアの常設ラインアップは、公式サイトの中で2つの住所に分かれているのです。

項目 9年 12年
公式ページの所在 bowmore.com の /all-collections/permanent-collection/ 配下 bowmore.com の /whiskies/ 配下
サントリーの製品解説 掲載なし 掲載あり
アルコール分 40%(bowmore.com が明記) 40%(サントリーが明記)
アメリカンオークのバーボン樽とヨーロピアンオークのオロロソ・シェリー・バット バーボン樽とオロロソ・シェリー樽
熟成 9年以上 12年以上
日本での税別定価 サントリーの公表なし 6,600円

9年について bowmore.com が書いているのは、Matured for at least nine years in a harmonious blend of hand-selected American oak ex-bourbon casks and European oak Oloroso sherry butts. という一文と、an ABV of 40% という表記です。樽の組み合わせは12年と同じ考え方で、違うのは熟成の下限だけ。色は burnished walnut amber、香りは林檎のような甘いシェリーとカラント、ココア、そこにわずかな煙、と説明されています。

まとめると、9年と12年の違いを公式の記述だけで言い切れるのは「熟成の下限が9年か12年か」「日本での定価が公表されているか否か」の2点です。度数はどちらも40%で差がありません。味の差を断定する公式の比較文は存在しないので、当店としては「9年は入口として設計されたボトル」という位置づけまでにとどめます。

ラベルの年数は最も若い原酒を指している

樽が並ぶ熟成庫
樽の中で年月を重ねるところ

年数表記そのものの意味を押さえておくと、9年と12年の違いも、15年の成り立ちも一度に理解できます。根拠は英国のスコッチウイスキー規則2009の第12条です。原文はこう書かれています。

any maturation period or age may only be specified in the description, presentation or labelling of a spirit drink where it refers to the youngest alcoholic component in the drink

熟成年数や年齢を表示してよいのは、それが中身のうち最も若い原酒を指しているときだけ、という規定です。同じ条文は、年数を書くならexpressed in years——年単位で書かなければならないとも定めています。だから「12年半」や「150か月」というラベルはスコッチには出てきません。

この規定を頭に入れて、サントリーが15年について書いている一文を読むと腑に落ちます。バーボン樽で12年間熟成させた原酒を、オロロソ・シェリー樽で3年間熟成。12年と3年を足して15年。ラベルの15はこの合計であり、同時に「最も若い原酒でも15年」という宣言でもあります。

ここで一つ注意点があります。この「12年+3年」という内訳は、サントリーの製品解説にしか書かれていません。bowmore.com の15年のページにはバーボン樽とオロロソ・シェリー樽を使うとあるだけで、年数の内訳は出てきません。日本語で読める情報のほうが細かい、という珍しい形になっています。

終売と言われているのはシェリーを冠した3本

シェリー樽熟成のウイスキー
シェリー樽由来の色合いを確かめる

「ボウモア12年 終売」「ボウモア18年 終売」「ボウモア15年 シェリーカスク 終売」。この3つはいずれも当店の記事が上位に出ているのにクリックされていない検索語です。答えが記事の中に無かったのだと思います。ここで正面から書きます。

サントリーは「製造終了商品一覧」というページを公開しており、お酒のウイスキー欄に商品名が並んでいます。この一覧をボウモアで検索すると、ヒットするのは次の3件だけです。

  • ボウモアシェリー12年 700ml瓶
  • ボウモアシェリー15年 700ml瓶
  • ボウモアシェリー18年 700ml瓶

いずれも「ボウモアシェリー」という商品名です。一方、「ボウモア12年」「ボウモア15年」「ボウモア18年」「ボウモア25年」という年数だけの表記はこの一覧に0件も出てきません。同じ4本は製品解説のほうに現在も価格つきで載っています。

商品名 サントリーの製造終了商品一覧 bowmore.com
ボウモアシェリー12年 700ml瓶 掲載あり 12年 Sherry Oak Cask として掲載あり
ボウモアシェリー15年 700ml瓶 掲載あり 15年 Sherry Oak Cask として掲載あり
ボウモアシェリー18年 700ml瓶 掲載あり 18年 Sherry Oak Cask として掲載あり
ボウモア 12年 700ml 掲載なし Permanent Collection に掲載あり
ボウモア 15年 700ml 掲載なし Permanent Collection に掲載あり
ボウモア 18年 700ml 掲載なし Permanent Collection に掲載あり
ボウモア 25年 700ml 掲載なし Permanent Collection に掲載あり

さらにややこしいのは、bowmore.com 側では Sherry Oak Cask のシリーズが現行として並んでいることです。12年・15年・18年・21年の4本があり、いずれも商品ページが生きています。つまり日本での製造は終わっているが、世界的に消えたわけではないという状態です。

「終売」という一語で片づけると、この違いが全部つぶれてしまいます。当店としては、日本市場の話をしているのか世界の話をしているのかを分けて考えることをおすすめします。詳しい整理は希少価値の高いウイスキー銘柄と終売の実態にまとめました。

No.1 Vaults は貯蔵庫の名前でありボトルの名前でもある

薄暗い貯蔵庫の樽
海沿いの貯蔵庫で樽が眠る

「ボウモア ナンバーワン」「bowmore no1」で検索する方が一定数いて、こちらも当店はほぼ最上位に出ているのにクリックされていません。理由は察しがつきます。この語が2つの別のものを指しているからです。

1つめ 蒸溜所の第一貯蔵庫

サントリーの解説では、No.1 Vaults はボウモア蒸溜所の第一貯蔵庫のことです。ヴォルトは地下貯蔵庫を意味する語で、スコッチのモルトウイスキー貯蔵庫として最も古い歴史を持つと説明されています。海に直接面した海抜0メートルにあり、床は海面下。荒天のときは波しぶきが外壁を洗うとまで書かれています。この環境をおよそ240年にわたり保ちつづけている、というのがサントリーの説明です。

2つめ Bowmore No.1 という名前のボトル

もう一方は商品名です。bowmore.com に「Bowmore No.1」というページがあり、そこでの分類は Permanent Collection ではなく限定品。熟成の欄には First fill Bourbon casks. とだけ書かれており、つまりファーストフィルのバーボン樽のみで組まれたボトルです。色は warm gold、香りはバニラファッジと潮の香りとピートスモーク、と説明されています。

年数表記が無いので、前章のスコッチウイスキー規則2009の話でいえば「年数を書かないという選択をした」ボトルにあたります。年数を書かない自由は規則で禁じられていません。禁じられているのは、最も若い原酒より長い年数を書くことのほうです。

検索した人が知りたいのが貯蔵庫なのかボトルなのかで、必要な情報はまったく変わります。この記事では両方を並べておきます。

味わいの説明は2つの公式で少しずれる

アイラモルトのボトルとグラス
アイラモルトを飲み比べる用意

サントリーの製品解説には、4本それぞれに色・香り・味・フィニッシュが並んでいます。日本語でボウモアの味を確認できる、いちばん整った一次資料です。

年数表記 香り フィニッシュ
12年 琥珀色 スモーキー・レモン・はちみつ スモーキー・ダークチョコレートを想わせるあたたかみのあるコク 長くて繊細
15年 赤褐色 ダークチョコレート・レーズン・スモーキー ウッディネス・はちみつ・しなやかな甘み 力強くあたたかい・かすかなシェリー
18年 マホガニー色 クリーミーなトフィー・完熟フルーツ・スモーキー 軽やかなスモーキー・フルーツ・チョコレート・柔らかな甘み 長くバランスがよい
25年 濃い琥珀色 ライトなスモーキー、完熟フルーツ、ドライレーズン 穏やかなスモーキー、ダークチョコレート、上品な甘み 長くあたたかい

ここで bowmore.com の記述と読み比べると、面白いずれが出てきます。色の表現です。

年数表記 サントリー公式の色 bowmore.com の色 語として
12年 琥珀色 Delicate, pale amber gold 重ならない
15年 赤褐色 Cool, golden glow 重ならない
18年 マホガニー色 Mellow mahogany 重なる
25年 濃い琥珀色 Deep and mellow mahogany 重ならない

4本のうち語として重なるのは18年のマホガニーだけでした。15年はサントリーが赤褐色と書いているのに対し、bowmore.com は golden glow。25年はサントリーが濃い琥珀色で、bowmore.com は mahogany。同じ液体を見て違う語を選んでいることになります。

これは矛盾というより、色の呼び名が言語と文化で違うということだと考えています。実際に注いでみて自分の言葉で書き留めるのがいちばん確かです。

飲み方は年数によって向き不向きが変わる

12年は40%と4本の中でいちばん度数が低く、サントリーの説明でも「飲みやすさのなかに、個性的な潮の香が感じられる」と書かれています。炭酸で割ってもピート香が消えにくいので、最初の1本として扱いやすい構成です。

15年は「バーボン樽で12年間熟成させた原酒を、オロロソ・シェリー樽で3年間熟成」という作りがそのまま味に出ます。シェリー由来の甘みを確かめたいなら、まずはストレートか少量の加水で。

18年と25年は香りの立ち上がりが穏やかなので、氷で温度を下げすぎないほうが持ち味が出ます。ハイボールの作り方そのものは家飲みハイボールの原液選びにまとめてあります。度数の考え方はウイスキーの度数ガイドが詳しいです。

自社で麦芽をつくる蒸溜所は今では数えるほど

銅製のポットスチル
銅製の蒸溜器が並ぶ蒸溜所

ボウモアの説明で必ず出てくるのがフロアモルティングです。大麦を発芽室の床に広げ、木製シャベルですき返しながら発芽させる古い製麦法で、サントリーは「メジャーなモルト蒸溜所の中でも6蒸溜所くらいしかないようだ」と書いています。断定ではなく「ようだ」という書き方をしているところは、そのまま受け取っておくのが誠実だと思います。

数字で押さえられるのは次の通りです。

工程 サントリー公式が書いている数字
製麦 委託70%・自社フロアモルティング30%
発酵槽 オレゴンパイン材の木桶が6基
発酵時間 約48〜62時間
発酵液の度数 約7〜8%
蒸溜器 初溜2基・再溜2基の計4基でストレートヘッド
ニューメイクの度数 69%
樽の比率 バーボン樽70%・シェリー樽30%
貯蔵庫 3棟。うちNo.1 Vaultsは海抜0メートル

注目したいのは製麦の比率です。70%を製麦会社に委託し、自社でつくるのは30%。「フロアモルティングを続けている蒸溜所」という表現から、すべての麦芽を自前でつくっている姿を思い浮かべる方がいますが、そうではありません。

樽の比率も同じで、バーボン樽70%・シェリー樽30%。シェリー樽が主体という印象を持たれがちですが、量としては逆です。そのほかボルドーとマデイラのワイン樽、ミズナラ樽でも貯蔵されているとサントリーは説明しています。ミズナラ樽そのものについてはミズナラ樽ウイスキーとはで扱いました。

仕込水はピート層をくぐり抜けて湧く、蒸溜所近くを流れるラガン川を源とする水。ピートの採掘場も自前で持っており、海藻や貝殻が混じるのが本土のピートとの違いだとされています。

1779年が創業年かどうかで公式の書き方が割れている

アイラ島の海岸
アイラ島の海沿いの風景

ボウモアを紹介する日本語の記事は、ほぼ例外なく「1779年」を創業の年として書きます。サントリーの解説にも「ボウモア蒸溜所の創業は1779年。」とあります。ところが bowmore.com の年表を読むと、書き方が違います。

The name of the Bowmore Distillery is first committed to record. Oldest distillery on Islay, and Scotland's second, though local archivists suggest distilling began in Bowmore almost ten years earlier.

「ボウモア蒸溜所の名が初めて記録に残る」年であり、「地元の記録研究者は、ボウモアでの蒸溜はその10年ほど前に始まっていたとみている」と付け加えています。ブランド自身が1779年を創業年と断定していないわけです。同じ年表には1766年にデイヴィッド・シムソンが土地の借地権を取得したことも書かれています。

もう一点、位置づけの表現もずれます。bowmore.com は「アイラ島最古、スコットランドで2番目」と順位まで書き、サントリーは「スコットランドでも一、二とされる」と幅を持たせています。スコットランド最古と書いている公式はどちらにもありません。

できごと
1766 デイヴィッド・シムソンが土地の借地権を取得
1779 ボウモア蒸溜所の名が初めて記録に残る
1837〜1887 マター兄弟が小規模な工房から商業蒸溜所へ拡張
1887 ジョン・ベル・シェリフが20,000ポンドで買収。3年後に管財人の手へ
1892〜1925 ロンドンの4人の投資家グループが所有
1925 シェリフ家が買い戻し、15年間経営
1940 英空軍が接収。1940〜1943年に3個飛行隊が駐留し生産停止
1980 エリザベス2世が初めてスコッチ蒸溜所を訪問
1993 ブラックボウモアの第1弾を発表
1994 モリソン・ボウモア社がサントリー・グループ傘下に
1995 3年連続でクイーンズ・エクセレンス・アワードを受賞
2012 1957年蒸溜のボトルを発表。54年熟成で12本のみ

エリザベス2世とクイーンズカスク

1980年、エリザベス2世が蒸溜所を訪問しました。bowmore.com はこれを「初めてスコッチ蒸溜所を訪れた」ときのことだと書いています。サントリー側の記述はより詳しく、女王の前で樽詰めされたニューメイクが2002年に開けられ、648本のボトルが生まれたこと、うち645本が王室へ献上され、残る3本は蒸溜所・モリソン・ボウモア社の研究室・チャリティーオークションに1本ずつ渡ったことまで書かれています。

「アイラモルトの女王」という呼び名の出どころ

ボウモアを紹介する日本語の文章で定番になっている「アイラモルトの女王」。これはサントリーの表現です。同社の解説には「麗しくしなやかな気品、そして力強さもあり、“アイラモルトの女王”とも謳われる」とあります。一方、bowmore.com の主要18ページを調べると Queen of という語は0件でした。Queen という語自体はエリザベス2世とクイーンズ・エクセレンス・アワードの2か所にしか出てきません。

呼び名が間違いだというつもりはありません。ただ、ブランドが世界に向けて名乗っている称号ではなく、日本の輸入元が使っている表現である、という区別はしておいたほうがよいと思います。ちなみにサントリーは同じ資料の中で、アイラ島そのものを「ヘブリディーズの女王」とも呼んでいます。

アイラ島という場所

アイラ島はインナーヘブリディーズ諸島の最南端。サントリーの説明では島の大きさは淡路島よりわずかに大きく、人口は3,500人にも満たないとされています。そこに8 のモルトウイスキー蒸溜所と1 つの製麦工場がある、という密度です。蒸溜所のある町の象徴は1769年建立の円筒形の教会で、悪魔が潜まないように影を落とす角がない造りだと紹介されています。

飲みきれないボウモアは買取という選択肢もあります

旧ラベルのボウモアや、日本での製造が終わったシェリー系のボトルは、開けずに置いてあるだけなら状態が保たれています。当店はウイスキーの買取を行っており、ボウモアの買取ページも用意しています。年数表記・容量・度数・箱の有無で評価が変わるため、ラベルを撮影してお送りいただくのが早いです。

この記事で確かめたことの整理

  • 日本語で定価・容量・度数を確認できるのはサントリーの製品解説で、掲載は12年・15年・18年・25年の4本。
  • bowmore.com の主要18ページには価格も容量も出てこず、アルコール分を書いているのは9年のページだけ。
  • 9年は日本の公式に項目が無く、bowmore.com でも他の4本とは別の階層に置かれている。
  • サントリーの製造終了商品一覧に載っているボウモアは「ボウモアシェリー」を冠した3本で、年数だけの4本は載っていない。
  • ラベルの年数は最も若い原酒を指す。スコッチウイスキー規則2009第12条がそう定めている。
  • 1779年を創業年と断定しているのはサントリー側で、bowmore.com は「名が記録に残った年」と書いている。

あわせて読める記事もあります。シェリーカスクとはバーボンとスコッチの違い当店のボウモア一覧もあわせてどうぞ。

よくある質問

ボウモア蒸溜所の外観
海沿いに立つ白い蒸溜所
ボウモアの定価はいくらですか。

サントリーの製品解説が公表しているのは4本で、税別6,600円(12年)・11,960円(15年)・16,800円(18年)・90,720円(25年)です。いずれも700ml。税込に直すと7,260円・13,156円・18,480円・99,792円になります。

ボウモア9年の定価はどこで確認できますか。

確認できません。サントリーの製品解説に9年の項目そのものが無く、税別価格も度数も載っていないからです。度数はブランドの世界共通サイト bowmore.com が40%と書いており、そちらでしか確認できません。

ボウモア9年と12年は何が違いますか。

公式の記述で確実に違うのは熟成の下限だけです。9年は9年以上、12年は12年以上。樽の組み合わせはどちらもバーボン樽とオロロソ・シェリー樽で、アルコール分はどちらも40%です。日本での定価が公表されているのは12年だけという点も違います。

ボウモア12年は終売したのですか。

サントリーの製造終了商品一覧に「ボウモア12年」という商品は載っていません。載っているのは「ボウモアシェリー12年 700ml瓶」で、これは12年とは別の商品です。年数表記だけの4本は製品解説に現在も掲載されています。

ボウモアシェリー12年・15年・18年はもう買えないのですか。

日本での製造は終了しています。ただしブランドの世界共通サイトには Sherry Oak Cask のシリーズが現行として並んでいるため、「世界的に消えた」わけではありません。日本の流通在庫が尽きた時点で入手先が二次流通に移ります。

ボウモアの度数は何%ですか。

12年が40%、15年・18年・25年が43%です。年数が上がると度数も上がる、という関係ではなく、12年だけが1段低い形になっています。

ラベルの「12年」は平均の熟成年数ですか。

違います。英国のスコッチウイスキー規則2009が、年数の表示は中身のうち最も若い原酒を指すものでなければならないと定めています。12年と書いてあれば、いちばん若い原酒でも12年を超えているという意味です。

No.1 Vaults とは何ですか。

ボウモア蒸溜所の第一貯蔵庫の名前です。海抜0メートルにあり、スコッチのモルトウイスキー貯蔵庫として最も古い歴史を持つとサントリーが説明しています。同時に「Bowmore No.1」という名前のボトルもあり、こちらは bowmore.com で限定品に分類されています。

1779年はボウモアの創業年ですか。

公式のあいだで書き方が割れています。サントリーは「創業は1779年」と書き、bowmore.com は「ボウモア蒸溜所の名が初めて記録に残った年」と書いたうえで「地元の記録研究者は、ボウモアでの蒸溜はその10年ほど前に始まっていたとみている」と付け加えています。

1杯あたりで見ると12年と25年はどのくらい違いますか。

30mlで数えると税込311円と4,277円です。税別定価の比は約13.7倍。一方でアルコール分の比は40%と43%で約1.075倍しかありません。

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