白州ストーリーオブディスティラリーの定価と違い
白州 Story of the Distillery の「定価」を調べると、16,500円と17,600円という二つの数字が出てきます。どちらも正しい額です。2026年8月27日にサントリーの告知ページを一本ずつ開いて確かめたところ、2024 EDITION と 2025 EDITION が16,500円(税込)、2026 EDITION が17,600円(税込)でした。三年のうち値段が動いたのは一度だけで、差は1,100円です。
「違い」のほうも同じ場所で答えが出ます。三年とも700ml・43度で、白州のテイスティングノートは一字も変わっていません。公式が年ごとに書き分けているのはラベルと化粧箱の絵柄と、同梱するリーフレットの主題です。ただし2026年版だけは中身の説明文に公式の訂正が入っており、「原酒のみを厳選」が「原酒を主に厳選」に直されています。
この記事は、三年分の告知を並べて違いと定価を先に確定させます。そのうえで、なぜ同じ商品の値段が場所によって違う数字で書かれるのかを、消費税法第六十三条まで下りて説明します。「希望小売価格」という言葉は、e-Gov法令検索が収録する法令に一文もありません。値札に税込を書く義務を負っているのは、値段を決めた側ではなく、その値段で消費者に売る側です。
白州Story of the Distillery 2024・2025・2026を一枚の表で比べる

まず結論から並べます。以下はサントリーのブランドサイトに残っている告知ページを、2026年8月27日に一本ずつ開いて書き写したものです。数字はすべて公式の表記どおりで、当店で換算し直したものではありません。
| 項目 | 2024 EDITION | 2025 EDITION | 2026 EDITION |
|---|---|---|---|
| シリーズでの位置 | 記載なし | シリーズ第2弾 | シリーズ第3弾 |
| 春の発売日 | 2024年5月28日 | 2025年5月27日 | 2026年5月26日 |
| 秋の再発売日 | 2024年10月1日 | 2025年10月7日 | 2026年10月6日 |
| 公式が示した価格 | 16,500円(税込) | 16,500円(税込) | 17,600円(税込) |
| 税抜の額の掲載 | 確認できず | 15,000円(製品データベース) | 確認できず |
| 容量 | 700ml | 700ml | 700ml |
| アルコール度数 | 43度 | 43度 | 43度 |
| 中身の説明 | バーボンバレル熟成の原酒のみ | バーボンバレル熟成の原酒のみ | バーボンバレル熟成の原酒を主に |
| ラベルの主題 | 改修後の蒸溜所の姿 | 越前和紙・森に抱かれた蒸溜所 | バードサンクチュアリの野鳥 |
| 販売本数 | 非公表 | 非公表 | 非公表 |
| 当店の取扱価格 | 22,000円 | 22,000円 | 24,200円 |
横に並べると、動いている欄と動いていない欄がはっきり分かれます。動いたのは価格とラベルの絵柄、そして2026年版の説明文だけです。容量も度数も三年とも同じで、テイスティングノートに至っては色・香り・味わい・余韻の四項目が一字も変わっていません。
値段が動いたのは2026年版の一度だけ
16,500円が二年続き、三年目に17,600円へ上がりました。差は1,100円で、率にすると約6.7パーセントです。「2024年版の定価は17,600円」と書いている資料を見かけますが、それは2026年版の額です。逆に「2026年版は16,500円」も成り立ちません。年を取り違えると1,100円ずれます。
白州ブランド全体の価格改定についてはサントリーウイスキーの値上げ一覧に横並びの整理があります。定番品の改定とこの限定品の改定は別の話なので、混ぜずに読んでください。
同じ日に山崎版が同じ値段で出ている
このシリーズは白州の単独企画ではありません。山崎にも同名のシリーズがあり、発売日も価格も三年とも白州と一致します。2024年5月28日、2025年5月27日、2026年5月26日。額も16,500円・16,500円・17,600円で同じです。中身だけが違い、2024年版の山崎はミズナラ樽やスパニッシュオーク樽の原酒をはじめとする多彩なモルト原酒、と公式が書いています。
ただし告知の出し方は非対称です。白州はブランドサイトの一般向けニュースに載りますが、山崎は「山崎倶楽部」という会員クラブのページに載ります。白州には対応する会員クラブがありません。山崎版の中身と相場は山崎ストーリーオブディスティラリー2024の定価と評価にまとめてあります。
白州とサントリーウイスキーの関連商品

当店で在庫している白州を並べています。Story of the Distillery は三年分とも取り扱いがあり、2026年8月27日時点で2024年版が277本、2025年版が131本、2026年版が4本です。表示している金額は当店の販売価格で、サントリーが示した額とは別のものです。
「白州ストーリーオブディスティラリーの定価と違い」に関連するおすすめ商品
ここでは白州の在庫から一部を掲載しています。価格・在庫・箱の有無は各商品ページでご確認いただけます。
白州以外のサントリーウイスキーもあわせてご覧になりたい場合は、ウイスキーの一覧から絞り込めます。
白州30本を当店の取扱価格で並べた一覧

Story of the Distillery の三年版を含む白州30本を、当店の取扱価格で並べました。三年版もこの中に並んでいます。下端は180mlのNVで3,850円、上端はオーナーズカスクの770,000円で、同じ蒸溜所の名前を持つボトルが二百倍の幅に散らばっています。
この表の金額はすべて当店が付けた値で、サントリーの希望小売価格ではありません。表示が税込になっているのは、当店が消費税法第六十三条の名宛人にあたるからです。その理屈は記事の後半で条文まで下りて説明します。
この表に並ぶ金額は、すべて当店の取扱価格です。サントリーが公表している希望小売価格ではありません。希望小売価格は小売店の値付けを拘束しないので、同じ商品でも店ごとに違う数字が出ます。表示している金額は税込で、これは当店が消費税法第六十三条の名宛人にあたるためです。度数の欄は、公式リリースで度数を確認できた Story of the Distillery の三本と、商品名に度数を明記している二本にだけ数字を入れています。空欄は度数が不明という意味ではありません。Amazonの欄と楽天の欄には数値を持たせていないため、横棒や検索リンクが出ます。買取の欄も同様に個別のリンクを持たせていません。在庫と価格は2026年8月27日時点のもので、その後に動くことがあります。
度数の欄は、公式リリースで度数が確認できた Story of the Distillery の三本と、商品名に度数を明記している二本にだけ数字を入れています。空欄は度数が不明という意味ではありません。
定価はいくらか|16,500円と17,600円が並ぶ理由

「定価」を調べて話がかみ合わなくなる原因は二つあります。年を取り違えているか、税の基準が違う面を見比べているかです。前者は前の章の表で片づきました。ここでは後者を扱います。
サントリーは三つの面で値段を出していて、基準が揃っていない
同じ商品の価格が、サントリーの中でも三か所に別々の形で置かれています。
一つ目はブランドサイトの告知ページです。「■価格:16,500円(税込)」と括弧で税込を明示しますが、税に関する注記はほかに何も付きません。二つ目は製品データベースで、こちらは「希望小売価格 15,000円」と書き、その真下に注記が入ります。
※価格は販売店様の自主的な価格設定を拘束するものではありません。記載の価格は消費税別の価格です。
三つ目はウイスキーの製品情報ページで、同じ一文がページの末尾にまとめて置かれています。15,000円に10パーセントを足すと16,500円ですから、額そのものは食い違っていません。食い違っているのは、どちらの基準で書くかという方針だけです。
税抜の額が確認できるのは三年のうち一年だけ
ここが厄介なところで、製品データベースに載っているのは2025年版だけです。2024年版と2026年版のページは存在しません。したがって税抜の額を一次情報で確かめられるのは2025年版の15,000円に限られ、残る二年については税込の額しか公式に出ていません。
2026年版の17,600円を1.1で割れば16,000円という数字は出せますが、それは公式が書いた額ではありません。この記事では、公式が書いていない額を「定価」として提示することはしません。しかも唯一載っている2025年版のページには「※製造を終了しました」と付き、商品名も「白州 Story of the Distillery 2025」でEDITION が付いていません。同じ会社の中でも、面が変われば名前も変わります。
当店の値段と公式の額の差
当店の取扱価格は、2024年版と2025年版が22,000円、2026年版が24,200円です。公式が示した額に対する倍率は、順に約1.33倍・約1.33倍・約1.38倍になります。
この差を「上乗せ」と呼ぶのは正確ではありません。希望小売価格は小売店の値付けを拘束しないもので、サントリー自身が注記でそう書いています。抽選に当たった一本を定価で買えた人と、市中で買った人が支払う額が違うのは、拘束が働いていないからです。値段そのものより、なぜ拘束が働かないのかを知っておいたほうが役に立ちます。それは後半の三章で扱います。
なお、税別表記と税込表記のどちらを指しているのかで話がずれる現象は、白州12年でも同じように起きています。定番品の側の事情は白州12年の値段と山崎との違いに詳しくまとめました。
三つの版で公式が変えたもの、変えなかったもの

「2024と2025は何が違うのか」という問いに、公式は中身の言葉ではほとんど答えていません。三年分の告知を通して読むと、書き分けられているのは主に見た目と物語のほうです。
中身の説明は二年同じで、三年目に訂正が入った
2024年版と2025年版の告知は、同じ一文で中身を説明しています。
スモーキータイプの白州モルトをバーボンバレルで熟成させた原酒のみを厳選し、丁寧にブレンドしました。
2026年版も当初は同じ文で案内されていましたが、サントリーが「お詫びと訂正」を出して書き換えています。訂正は内包リーフレットと案内ページの両方に及びました。
誤)スモーキータイプの白州モルトをバーボンバレルで熟成させた原酒のみを厳選し、丁寧にブレンドしました。/正)スモーキータイプの白州モルトをバーボンバレルで熟成させた原酒を主に厳選し、丁寧にブレンドしました。
「のみ」と「主に」の二文字の差ですが、意味は小さくありません。2026年版にはバーボンバレル以外の原酒が入っている、と公式が自分で認めた形になります。この訂正は2026年版にだけ適用されていて、2024年版と2025年版のページは「のみ」のまま残っています。三年をひとまとめに「バーボンバレルのみ」と説明すると、最新の版で誤りになります。
テイスティングノートは三年とも一字も動いていない
白州版の味わいの記述は、色・香り・味わい・余韻の四項目とも三年で完全に同一です。明るい琥珀色、パイナップルとバニラクリームと焙じ茶、軽快でやわらかく和三盆のような甘やかさとかすかな苦味、そして熾火の煙とほろ苦さ。公式の言葉の上では、年による味の違いは表現されていません。
参考までに、山崎版は2026年に味の欄が一語だけ変わり、「芳醇で複雑」から「豊潤で複雑」になりました。オレンジマーマレードと小豆の甘さという後半は据え置きです。白州版にはこの種の書き換えも見当たりませんでした。
年ごとに変わるのはラベルの絵柄と、語られる物語
公式が「今回は」と書いて差を説明している箇所を拾うと、いずれも絵柄と主題の話でした。2024年版は2023年の竣工50周年の改修を経た蒸溜所の姿、2025年版は越前和紙のラベルと化粧箱に描いた森に抱かれた蒸溜所、2026年版は蒸溜所内のバードサンクチュアリに訪れる野鳥です。同梱するリーフレットの主題も年ごとに違い、2025年版で初めて「限定リーフレット」という言葉が告知に現れます。
つまりこのシリーズは、液体の設計で年を分けるタイプの限定ではありません。同じ設計の中身に、その年の蒸溜所の物語を着せて出す企画です。樽の名前を商品名に出す白州の限定、たとえばスパニッシュオーク2021やバーボンバレルとは、成り立ちが違います。
応募の機会は年に四回ある|期間と当店の在庫

このシリーズは「年に一本」ではありません。春に発売したあと、秋に同一商品がもう一度売り出されます。秋の告知ページには「2026年5月26日(火)発売の…と同一の商品です。」と明記されており、別仕様ではないことが分かります。
応募の受付期間は毎年ほぼ同じ時期に来る
2026年版の場合、春の受付は3月16日から4月16日、秋の受付は7月30日から9月2日でした。どちらの期間も第1回と第2回に二分されていて、応募の機会は年に四度あります。2024年版は春が3月14日から4月18日、秋が8月8日から9月17日。受付が始まるのは春が三月、秋が七月末から八月上旬です。
公式が示す応募条件は短く、次の四点に集約されます。購入権は本人のみ有効で譲渡・変更・換金・転売はできないこと、第1回と第2回のそれぞれに一人一回まで応募できること、先着ではなく抽選であること、受付開始直後と締切間際は混み合うこと。当選するのは商品そのものではなく「1本購入権」です。
なお山崎版の同じ欄には「転売」という語がありません。白州版にだけ入っています。同じ会社の同じシリーズでも、注意書きの文言は揃っていません。
販売本数は三年とも公表されていない
告知は「数量限定発売です」とだけ書き、具体的な本数を出しません。2024年版から2026年版まで、白州側も山崎版も、本数を示した公式の記述は見つかりませんでした。「◯万本限定」といった数字を見かけても、公式の一次情報ではありません。
抽選のほかに定価で買えるルートがあるかどうかは、量販店や酒販店それぞれの企画によります。イオン・ビックカメラ・やまやといった各社の抽選や、蒸溜所の売店を含めた入手ルートは白州の抽選販売と定価購入の狙い方に一覧があります。定価で買える店そのものを探す場合は白州を定価で買えるお店のほうが早いはずです。
抽選を待たずに買う場合
当店は三年版とも在庫を持っています。2026年8月27日時点で2024年版が277本、2025年版が131本、2026年版が4本です。価格は白州 Story of the Distillery 2024が22,000円、2025年版が22,000円、2026年版が24,200円で、いずれも税込表示です。
抽選に当たれば公式の額で買えます。当たらなければ市中の値になります。この二つの額の間に何があるのかを、次の章から条文で見ていきます。
「希望小売価格」はe-Gov収録の法令に一文も無い

サントリーが使う「希望小売価格」という言葉は、法律に根拠を持つ用語ではありません。e-Gov法令検索の全法令横断検索にかけると、この語を含む文は一つも返ってきません。0件のときこのAPIはHTTP 404を返すので、取得に失敗したのか本当に無いのかは区別できます。
| 検索した語 | ヒットした文の数 | 法令の数 | 中身 |
|---|---|---|---|
| 希望小売価格 | 0 | 0 | — |
| 希望小売 | 0 | 0 | — |
| メーカー希望 | 0 | 0 | — |
| 参考小売価格 | 0 | 0 | — |
| オープン価格 | 0 | 0 | — |
| 二重価格 | 0 | 0 | — |
| 小売価格 | 3 | 2 | 小売物価統計調査規則に2文、統計法施行令に1文 |
| 小売定価 | 60 | 7 | たばこに関する法令 |
| 定価 | 396 | 90 | 大半が予定価格・約定価格などの複合語 |
この一覧を読むときに注意が要るのは、短い語の件数に長い語が部分一致で入り込む点です。「定価」の396文には「予定価格」も「約定価格」も「小売定価」も含まれています。実際に全文を落として前後の一字まで数えると、出現は432回で、予定価格が139、約定価格が54、小売定価が71。残りも予定価額・約定価額・特定価額といった複合語です。「定価」が独立した一語で使われるのは二十数回にとどまります。教科書の発行に関する臨時措置法や郵便切手類販売所等に関する法律といった、値段が法で決められている世界の話です。
いちばん近い法律用語は、たばこの「小売定価」
制度の側に置かれた「小売の値段」に近い言葉は、たばこ事業法系の「小売定価」です。ただしこれは性格が正反対にあたります。たばこの小売定価は財務大臣の認可を受けて決まる額で、認可された額以外で売ることができません。希望小売価格は逆に、拘束しないことを前提にした言葉です。サントリーの製品ページの注記が「販売店様の自主的な価格設定を拘束するものではありません」と断っているのは、まさにその区別を書いているわけです。
ここで一つ限定を付けておきます。e-Gov法令検索が収録するのは憲法・法律・政令・府省令等でおよそ9,550本で、告示・訓令・通達・条例・最高裁判所規則は含まれません。ですから「法令に0件」は「e-Gov が収録する範囲に0件」という意味で読んでください。実際、後で出てくる国税庁の通達には「希望小売価格」がはっきり書かれています。
「オープン価格」も同じく制度の外にある
希望小売価格を設定しない売り方は「オープン価格」と呼ばれますが、この語も法令に0件です。消費者庁の「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」もこの語を使わず、「希望小売価格が設定されていない場合」と書きます。正式な区分名ではなく、無いことを指す通称です。サントリーはウイスキーにこの言い方を使っていません。
言葉が制度の外にあるということは、その言葉が指す数字にも、そのままでは制度が掛からないということです。では制度は何に掛かっているのか。次の章で条文を開きます。
値札に税込を書く義務は誰に掛かるのか

店頭の値札が税込で書かれているのは、消費税法に一か条あるからです。ふつう「総額表示義務」と呼ばれますが、条文の見出しはその言葉ではありません。
第六十三条は見出しから違う
消費税法第五章の末尾に置かれた一か条を、そのまま引きます。項は一つ、文も一つで、号もただし書もありません。
(価格の表示)第六十三条 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この条において同じ。)を行う場合(専ら他の事業者に課税資産の譲渡等を行う場合を除く。)において、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない。
見出しは「(価格の表示)」です。「総額表示」という語は、消費税法の中に一度も出てきません。e-Gov で全法令を横断すると「総額表示」は7文7法令に出ますが、その内訳は学校法人や社会福祉法人などの会計基準の見出し「(総額表示)」が五本と、消費税法施行規則の改正附則が一文、そして後で出てくる特例法の見出しが一文です。会計基準のほうは総額主義の話で、値札とは関係がありません。
主語は人で、除外が二重に掛かっている
読むべきは主語です。「事業者」が名宛人で、そこにかっこ書きで免税事業者が除かれます。商品でも媒体でもなく、人に掛かる義務です。
そのうえで除外が二段あります。一つは取引の側で、輸出免税などが落ちます。もう一つが場面の側で、「専ら他の事業者に課税資産の譲渡等を行う場合を除く。」という一句です。事業者どうしの取引が総額表示義務の外に出るのは、この「専ら」の一語が根拠になっています。
そして残った要件が「不特定かつ多数の者に」「あらかじめ」の二つ。誰に向けて、いつ示すか。この二つが揃ったときにだけ、税込で書けという命令が働きます。
この条文に罰則は付いていない
意外に思われるかもしれませんが、第六十三条に違反しても罰は用意されていません。消費税法の罰則章は第六十四条から第六十七条までの四か条だけで、四本とも全文を読んで引用条文を洗い出すと、第六十三条を引く罰条は一つもありません。第六十七条の両罰規定も「前三条の違反行為」と書いており、対象は第六十四条から第六十六条に限られます。
念のため消費税法の本則全体を「第六十三条」で機械的に走査すると5件当たりますが、うち4件は法人税法第六十三条などを引いた箇所で、残る1件が条名そのものでした。義務はあるが、罰で担保されていない。この形は覚えておいてください。
この条文は昔「第六十三条の二」だった
細かい話ですが、資料を追うときに引っかかるので書いておきます。総額表示の規定が施行されたのは平成16年4月1日です。ただし当時の条番号は第六十三条ではありません。平成15年法律第8号の附則は施行の対象を「第五章中第六十三条の次に一条を加える改正規定」と書いており、新設された条は第六十三条の二でした。
現在の番号になったのは平成25年1月1日です。平成23年法律第114号の附則が「同法第六十三条を削り、同法第六十三条の二を同法第六十三条とする改正規定」と定めています。古い解説が「第63条」と書いていても、平成24年以前の資料であれば番号が指す先は今と違う可能性があります。
同じ数字が渡された瞬間に、義務の側が入れ替わる

前の章で見たとおり、第六十三条の主語は「課税資産の譲渡等を行う事業者」です。製品データベースが載せる希望小売価格は、小売店の値付けの参考として置かれた額で、消費者を相手方とする価格表示ではありません。ブランドサイトの告知が16,500円を税込と書けるのは、そちらがサントリー自身の抽選販売の値段だからです。同じ会社の中で、面によって名宛人が入れ替わっています。
通達は「取引の相手方である消費者に対して行う価格表示ではない」と書く
この理屈を明示しているのは、法令ではなく国税庁の法令解釈通達です。消費税法基本通達18-1-5を引きます。
製造業者、卸売業者、輸入総代理店等の小売業者以外の者(以下18-1-5において「製造業者等」という。)が、自己の供給する商品について、小売業者の価格設定の参考になるものとして設定している、いわゆる希望小売価格は、課税資産の譲渡等を行う課税事業者が、取引の相手方である消費者に対して行う価格表示ではないので、総額表示義務の対象とはならないが、小売業者において製造業者等が商品本体へ印字した希望小売価格等をそのまま消費者に対する販売価格とする場合には、当該価格が総額表示義務の対象となることに留意する。
後半が肝心です。同じ数字でも、小売業者がそれを自店の売り値として示した瞬間に、義務は小売業者の側に生まれます。数字は動いていません。動いたのは、誰がそれを示したかという一点だけです。
理由が「メーカーだから外れる」ではないことに注意してください。外れるのは、消費者への譲渡の当事者でないからです。当事者になれば、たとえ他人が決めた額でも義務が掛かります。当店が並べている白州30本の一覧が税込表示なのは、この帰結です。サントリーの製品ページが税別で書けるのと、当店の表が税込でなければならないのとは、同じ一か条の表と裏にあたります。
七年半だけ、条件つきの特例があった
いまの姿がずっと続いてきたわけではありません。「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」(平成25年法律第41号)第十条第一項が、期限つきの特例を置いていました。
事業者(消費税法…第六十三条に規定する事業者をいう。…)は、自己の供給する商品又は役務の価格を表示する場合において、今次の消費税率引上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁のため必要があるときは、現に表示する価格が税込価格(消費税を含めた価格をいう。…)であると誤認されないための措置を講じているときに限り、同法第六十三条の規定にかかわらず、税込価格を表示することを要しない。
読み方に注意が要ります。これは義務を消す免除ではありません。「誤認されないための措置を講じているときに限り」という条件が付いた不適用で、条件を満たさなければ第六十三条がそのまま働きます。特例が使えたのは平成25年10月1日から令和3年3月31日までの七年半で(始期は国税庁の案内による)、いまは失効しています。
この法律は、平成三十三年三月三十一日限り、その効力を失う。
これが同法附則第二条第一項です。同条第二項は失効後も効力を残す規定を列挙していますが、そこに第十条は入っていません。残ったのは転嫁拒否と転嫁阻害表示の処理だけです。「総額表示」という語を見出しに持つ条文は、この失効した特例法の側にあります。義務の通称は、義務を外していた法律のほうに書かれている。制度の言葉としては、そういう形をしています。
酒類の価格表示は法令になく規約にある
お酒には表示のルールが多いので、価格にも専用の規制があると思われがちです。実際にはありません。酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第八十六条の五が表示を義務づける事項は施行令第八条の三が号で並べていて、内容量・品目・アルコール分・雑酒の税率区分・発泡性の表示の五つです。第八十六条の六が財務大臣に基準を定めさせる対象も、施行令第八条の四で製法や品質、地理的な産地との関係、二十歳未満の者の飲酒防止、健康との関係の四つに限られます。どちらにも価格は入っていません。
価格そのものを扱う条文は別の系統にあります。第八十六条の基準販売価格と、第八十六条の三に基づく公正な取引の基準です。どちらも値段の水準の話で、表示の仕方は決めていません。
ただし法令の外に一つだけ、酒類にしかないルールがあります。景品表示法にもとづく「酒類小売業における酒類の表示に関する公正競争規約」です。この規約は陳列して販売する酒類に品目と販売価格の表示を求め、比較表示について「実売価格に他の価格を比較対照するとき…は、自店通常価格以外の価格を比較対照してはならない」と定めます。希望小売価格を引き合いに出した値引き表示を、この規約は正面から禁じています。景品表示法の認定を受けた業界の自主ルールで、法令ではありません。
白州Story of the Distilleryの売却はリンクサスへ

抽選で当たった一本を飲まずに置いている、あるいはご家族が集めていた白州が手元にある、というご相談を多くいただきます。リンクサス酒販ではウイスキーの買取を行っており、白州の年次限定も対象です。買取の流れと相場の考え方はウイスキー買取おすすめはどこかにまとめています。
このシリーズで査定の分かれ目になるのは、前の章で書いたとおり外装です。中身の設計が三年とも同じで、公式のテイスティングノートも一字も違わない以上、年を特定できる情報はラベル・化粧箱・リーフレットにしかありません。箱とリーフレットが揃っている一本と、瓶だけの一本では扱いが変わります。
保管の状態も同じくらい効きます。直射日光の当たる場所に置かれていたボトルは、ラベルの退色が年の判別を難しくします。越前和紙のラベルは紙の質感が評価の対象になるため、湿気の影響も見ます。お持ち込みの前に、箱と冊子が残っていないかだけご確認ください。販売のご注文は当日14:00までで当日発送に対応しています。
白州Story of the Distilleryについてよくある質問

白州Story of the Distillery 2024 EDITIONの定価はいくらですか。
公式の告知ページに記載されている価格は16,500円(税込)です。2025 EDITIONも同額で、2026 EDITIONだけが17,600円(税込)に上がりました。17,600円を2024年版の額として紹介している資料がありますが、それは2026年版の数字です。
2024年版と2025年版と2026年版で中身は違いますか。
容量700ml・アルコール度数43度は三年とも同じで、公式のテイスティングノートも色・香り・味わい・余韻の四項目が一字も変わっていません。ただし中身の説明文は2026年版だけ違います。2024年版と2025年版が「バーボンバレルで熟成させた原酒のみを厳選」なのに対し、2026年版はサントリーの訂正を経て「原酒を主に厳選」になっています。
税抜の希望小売価格はいくらですか。
公式の製品データベースに税抜の額が載っているのは2025年版だけで、15,000円と書かれています。2024年版と2026年版のページは存在しないため、税抜の額を一次情報で確かめることはできません。2026年版の17,600円から逆算した数字は公式が書いたものではないので、この記事では定価として扱っていません。
何本限定ですか。
公表されていません。三年分の告知はいずれも「数量限定発売です」とだけ書いており、白州版でも山崎版でも本数を示した記述は見つかりませんでした。具体的な本数を挙げている情報は、サントリーの一次情報ではありません。
抽選はいつ応募できますか。
春と秋に一度ずつ売り出され、それぞれの応募期間が第1回と第2回に分かれるので、応募の機会は年に四度あります。2026年版は春が3月16日から4月16日、秋が7月30日から9月2日でした。当選するのは商品ではなく1本購入権です。
山崎にも同じシリーズがありますか。
あります。発売日も価格も三年とも白州版と一致し、2024年と2025年が16,500円、2026年が17,600円です。2024年版の中身はミズナラ樽やスパニッシュオーク樽の原酒をはじめとする多彩なモルト原酒と公式が説明しています。告知の出し方だけが違い、山崎版は山崎倶楽部という会員クラブのページに載ります。
なぜお店によって値段が違うのですか。
希望小売価格に小売店の値付けを縛る力がないためです。サントリーの製品ページ自身が「価格は販売店様の自主的な価格設定を拘束するものではありません」と注記しています。「希望小売価格」という語は、e-Gov法令検索が収録する法令に一文もありません。
公式が税抜で書いているのに、お店が税込で書いているのはなぜですか。
消費税法第六十三条の名宛人が、消費者に売る側の事業者だからです。同条は「不特定かつ多数の者に」「あらかじめ」価格を示すときに税込で書けと定めており、事業者どうしの取引は「専ら他の事業者に課税資産の譲渡等を行う場合を除く。」という一句で外れます。国税庁の通達は、小売業者が印字された希望小売価格をそのまま自店の売り値にする場合には、その価格が総額表示義務の対象になるとしています。
総額表示義務に違反すると罰則がありますか。
消費税法の罰則章は第六十四条から第六十七条までの四か条で、第六十三条を引く罰条はありません。第六十七条の両罰規定も対象を「前三条の違反行為」と書いており、第六十三条は含まれません。






































