アメリカーノとは|作り方と黄金比、度数とカンパリ・ベルモットの選び方
アメリカーノは、カンパリとスイートベルモットを等量で合わせ、ソーダで満たすイタリアの食前酒だ。国際バーテンダー協会が公表する分量は各30ミリリットルとソーダ少量で、氷を入れたグラスに直接注いで軽く混ぜる。この記事では、その分量と度数の計算、ミラノで生まれた名前の由来、ネグローニとの分かれ道を順に確かめる。そのうえで、グラスに入る材料を日本の法律で仕分けてみる。卸売市場法という短い法律は、酒という字を本則に一度も書いていない。それでもこの一杯には、この法律が品目として名前を呼ぶものが混じっている。
アメリカーノとは|カンパリとベルモットを炭酸で満たす食前酒

アメリカーノは、赤いビターリキュールのカンパリと、赤いスイートベルモットを同じ量ずつ合わせ、そこへソーダを注いだ一杯だ。国際バーテンダー協会(IBA)が公認カクテルとして掲げるレシピは、この三つしか使わない。
出典:International Bartenders Association「Americano」
30 ml Bitter Campari / 30 ml Sweet Red Vermouth / A splash of Soda Water
材料が三つで、シェーカーも要らない。氷を入れたグラスに順に注いで混ぜるだけで完成する。それでいて味の輪郭ははっきりしていて、最初にカンパリの苦味が立ち、あとからベルモットの甘さと薬草の香りが追ってくる。炭酸がその二つを薄めながら持ち上げるので、口に残るのは重さではなく軽い渋みになる。
食前酒として置かれてきた理由
イタリアで夕食前に飲む一杯をアペリティーボと呼ぶ。アメリカーノはその代表格として扱われてきた。理由は度数と苦味の二つにある。仕上がりの度数は一割に届かない程度で、食事の前に一杯飲んでも料理の味がわからなくなることがない。そして苦味は、甘い飲み物と違って口の中をいったん引き締める。
同じカンパリを使うカクテルでも、カンパリソーダはベルモットを入れずソーダだけで割る。ベルモットが入るかどうかで、甘みの層が一枚増えるかどうかが変わる。技法としてはどちらも、グラスの中で直接組み立てるビルドという作り方にあたる。アメリカーノはその一枚があるぶん、苦味だけで押し切らない。
赤い色と苦味はどこから来るのか
色はカンパリのものだ。かつては昆虫由来の色素が使われていたと語られることが多いが、現在の製品でどの着色料が使われているかは製造者の公表内容で確かめるほかない。苦味のほうは、ハーブと果皮を漬け込んで得られる。ここで使われる柑橘は甘い食用の品種ではなく、苦味の強いものだ。
ベルモットはワインをベースに、ニガヨモギをはじめとする草根木皮を浸けて造る。赤いスイートタイプは糖分を多く含み、カンパリの苦味と正面から組み合う。銘柄ごとの性格はベルモットの記事で整理しているので、選び分けの手がかりにしてほしい。
三本の材料がそれぞれ担うもの
三つしかない材料は、役割が綺麗に分かれている。カンパリは苦味と色、ベルモットは甘みと香り、ソーダは量と軽さだ。どれか一つを増やせば、その担当分だけが強くなる。だから調整が読みやすい。
たとえばカンパリを40ミリリットルに増やせば苦味が立つが、同時に色も濃くなり、度数も上がる。ベルモットを増やせば甘さと薬草感が同時に増える。ソーダだけは味を足さずに全体を薄めるので、他の二つの比率を保ったまま濃さだけを動かせる唯一の材料になる。
この構造は、あとで見るネグローニやオレンジ系のアレンジにもそのまま引き継がれる。三本目を何にするかで、足される役割が変わるだけだ。
アメリカーノの基本レシピと黄金比、ビルドの手順

黄金比は一対一だ。カンパリ30ミリリットルとスイートベルモット30ミリリットルを等量で置き、そこにソーダを足す。IBAはソーダの量を数字で書かず「少量(a splash)」とだけ示している。氷を入れたグラスの残りを満たすと考えれば、一般的なタンブラーなら70から100ミリリットル程度が目安になる。
手順は四つしかない
IBAの手順は、オールドファッションドグラスに氷を入れ、材料を直接混ぜ、ソーダを加えて軽くステアし、オレンジのハーフスライスとレモンピールを飾る、という流れだ。順番を守るだけで味は安定する。
- 大きめの氷をグラスいっぱいに入れる
- カンパリ30ml、スイートベルモット30mlを注ぐ
- 冷やしたソーダを静かに加える
- バースプーンで一回だけ持ち上げるように混ぜる
混ぜるのは一回でいい。炭酸は撹拌のたびに抜けていくので、上下を入れ替える程度で止めるほうが最後まで泡が残る。氷を先に入れて材料を冷やしてから炭酸を注ぐのは、液体が冷えているほど二酸化炭素が溶けたままでいられるからだ。
比率を動かすとどう変わるか
苦味が強いと感じたらソーダを増やす。ソーダを120ミリリットルまで増やせば、同じ材料でも輪郭がぼやけて飲みやすくなる。逆にソーダを50ミリリットル程度に抑えると、ミラノ・トリノに近い濃い味になる。カンパリとベルモットの比率そのものを崩すやり方もあるが、まずはソーダの量だけを動かすほうが失敗しにくい。
グラスとガーニッシュの選び方
IBAが指定するのはオールドファッションドグラス、つまりロックグラスだ。日本の店ではタンブラーで供されることも多い。背の高いグラスにするとソーダの比率が上がるので、同じレシピでも薄くなる。濃さを守りたいならグラスを小さくするのが早い。
ガーニッシュはオレンジのハーフスライスとレモンピールの組み合わせが公式の形だ。レモンピールは皮を絞って香りだけを移す。オレンジは輪切りをそのまま沈めるので、時間が経つほど果汁がにじんで味が変わっていく。
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ここではその他スピリッツの在庫から一部を掲載しています。価格・在庫・箱の有無は各商品ページでご確認いただけます。
アメリカーノに使うカンパリ・ベルモット30銘柄を比較

味の方向を決めるのは、苦味を担うカンパリ系のビターリキュールと、甘みを担う赤いベルモットの二つだ。どちらもオープン価格の商品が多く、同じ棚に並んでいても実勢価格には差がある。下の表は、取り扱いのある銘柄を価格と特徴で並べたものだ。並べ替えて、手持ちの予算と好みの方向から絞り込んでほしい。
価格帯は数百円台の小容量から数千円台の輸入ベルモットまで幅がある。アメリカーノは一杯につき各30ミリリットルしか使わないので、750ミリリットルのボトル一本でおよそ二十五杯分だ。一杯あたりの単価に直して考えると、少し高い銘柄を選んでも差は小さい。
| 画像 | 銘柄・スコア | 定価 市場相場 |
特徴 | リンクサス酒販 本命 |
Amazon | 楽天 | 買取 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
1位
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タンカレー ロンドンドライジン 750ml 47.3% | 💎 プロのおすすめ
キレのあるジュニパーが苦味と甘味の間でしっかり立つ、ネグローニの王道ベース。 |
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| 2位 | ビーフィーター ロンドンドライジン 700ml 47% | 💎 プロのおすすめ
柑橘を効かせた辛口ロンドンドライ。手頃でネグローニの基準になる一本。 |
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3位
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サントリー ジャパニーズクラフトジン ROKU 六 700ml 47% | 💎 プロのおすすめ
桜花・煎茶・山椒など6種の和素材。47度の骨格が苦味に映える和ネグローニに。 |
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4位
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季の美 京都ドライジン 700ml 45% | 💎 プロのおすすめ
柚子・檜・山椒が香る京都産クラフトジン。繊細な香りを生かした一杯に。 |
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5位
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ボンベイ・サファイア 750ml 47% | 💎 プロのおすすめ
10種ボタニカルを蒸気で抽出。華やかで軽やかなモダンネグローニに。 |
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世界で最も売れる定番ロンドンドライ。日常のネグローニを手堅く支える。 |
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7位
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タンカレー No.TEN 750ml 47.3% | 💎 プロのおすすめ
フレッシュな柑橘を加えた最上級ライン。香り高い贅沢なネグローニに。 |
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8位
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プリマス ジン 700ml 41.2% | 💎 プロのおすすめ
産地呼称を持つ伝統ジン。まろやかで土の香りがクラシックに映える。 |
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9位
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No.3 ロンドンドライジン 700ml 46% | 💎 プロのおすすめ
ロンドンの老舗酒商が手がける王道。ジュニパー主体でネグローニの理想形。 |
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10位
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ザ・ボタニスト アイラドライジン 700ml 46% | 💎 プロのおすすめ
アイラ島の22種野生ボタニカル。複雑で奥行きあるネグローニを生む。 |
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黒い森の47種ボタニカル。圧倒的な複雑さでプレミアムネグローニに。 |
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12位
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ジン マーレ 700ml 42.7% | 💎 プロのおすすめ
オリーブ・ローズマリー・バジルが香る地中海ジン。食前酒らしいネグローニに。 |
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13位
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コーヴァル ドライジン 500ml 47% | 💎 プロのおすすめ
シカゴ発のオーガニッククラフトジン。穀物由来の柔らかな甘みが個性。 |
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14位
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サントリー ジン 翠 SUI 700ml 40% | 💎 プロのおすすめ
柚子・緑茶・生姜の和素材。手頃で飲みやすい国産デイリージン。 |
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15位
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桜尾 ジン オリジナル 700ml 47% | 💎 プロのおすすめ
広島産17種ボタニカルのクラフトジン。柑橘と塩味が苦味に映える。 |
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| 16位 | シタデル ジン オリジナル 700ml 44% | 💎 プロのおすすめ
コニャック地方発の19種ボタニカル。華やかで滑らかなフレンチジン。 |
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17位
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カンパリ 1000ml 25% | 💎 プロのおすすめ
ネグローニの主役。鮮烈な苦味と赤い色を決める不可欠のビター。 |
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18位
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アペロール 700ml 11% | 💎 プロのおすすめ
度数低めで苦味もマイルド。軽く飲みやすいネグローニに置き換えたい人へ。 |
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19位
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チナール 700ml 16.5% | 💎 プロのおすすめ
アーティチョーク由来のほろ苦さ。大人びた変化球ネグローニに。 |
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| 20位 | ルクサルド ビッター ロッソ 750ml 25% | 💎 プロのおすすめ
カンパリに近い赤いビター。苦味と香草感がやや濃いめの代替に。 |
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| 21位 | セレクト アペリティーボ 750ml 17.5% | 💎 プロのおすすめ
ヴェネツィア生まれの赤いアペリティーボ。柑橘と杜松が香る。 |
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| 22位 | カルパノ アンティカ フォーミュラ 1000ml 16.5% | 💎 プロのおすすめ
ベルモットの源流とされる濃厚な逸品。ネグローニに重厚なコクを与える。 |
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| 23位 | マルティーニ ロッソ 1000ml 15% | 💎 プロのおすすめ
世界で最も知られる赤ベルモット。手に入りやすくネグローニの基準に。 |
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| 24位 | チンザノ ロッソ 1000ml 15% | 💎 プロのおすすめ
トリノの老舗が造る親しみやすい赤ベルモット。軽快な甘みが身上。 |
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25位
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ノイリー・プラット ルージュ 1000ml 16% | 💎 プロのおすすめ
フランス産の赤ベルモット。ハーブの効いた端正でドライ寄りの甘み。 |
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26位
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コッキ ヴェルモット ディ トリノ 750ml 16% | 💎 プロのおすすめ
トリノの伝統製法で復刻された職人系ベルモット。柑橘と苦皮の余韻。 |
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27位
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メーカーズマーク バーボン 750ml 45% | 💎 プロのおすすめ
ジンをバーボンに替えるとボウルヴァルディエに。甘く香ばしい変化球。 |
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28位
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ブラントン シングルバレル バーボン 750ml 46.5% | 💎 プロのおすすめ
世界初のシングルバレル。コク深いプレミアムなボウルヴァルディエに。 |
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| 29位 | プロセッコ スパークリングワイン 750ml 11% | 💎 プロのおすすめ
ジンをスパークリングに替えるとネグローニ・スバリアートに。泡で軽やか。 |
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| 30位 | スーズ 700ml 15% | 💎 プロのおすすめ
カンパリを黄色いスーズに替えるとホワイトネグローニ風に。苦味は上品。 |
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価格は各モールの実勢(2026年6月時点)で、カンパリ・リキュール・ベルモット・ジンはいずれもオープン価格のためメーカー定価は掲載していません。楽天/Amazon価格は同一品が見つからない場合は空欄になります。在庫・価格は変動するため、最新情報は各リンク先でご確認ください。最安値を保証する一覧ではありません。
苦味を強くしたいならカンパリの比率を保ったまま銘柄を替え、甘みを落としたいならベルモットをドライ寄りのものに替える。同じ「一対一」でも、選ぶ二本で仕上がりはかなり動く。
カンパリ以外のビターリキュールで組む場合は、苦味の質が変わることを見込んでおきたい。同じ赤系でも、より柑橘寄りのものやより甘いものがあり、ソーダの量を同じにしても仕上がりの印象は動く。アペロールとの違いを先に押さえておくと、置き換えの見当がつけやすい。
アメリカーノの度数とカロリーを材料から数え直す

度数は材料の公表値から計算できる。カンパリを25パーセント、スイートベルモットを16パーセントとして、それぞれ30ミリリットル、ソーダ90ミリリットルで割った場合を見てみる。
計算の手順は掛けて足して割るだけ
純アルコール量は、30×0.25=7.5ミリリットルと、30×0.16=4.8ミリリットルで、合わせて12.3ミリリットル。全体量は30+30+90で150ミリリットルになる。12.3を150で割ると0.082、つまり約8.2パーセントだ。
| ソーダの量 | 全体量 | おおよその度数 |
|---|---|---|
| 50ml | 110ml | 約11.2% |
| 90ml | 150ml | 約8.2% |
| 120ml | 180ml | 約6.8% |
ソーダの量だけで四ポイント以上動く。市販の缶チューハイが5から9パーセントの帯に多いことを思えば、アメリカーノはその真ん中あたりに収まる。使う銘柄の度数が違えば結果も変わるので、手持ちのボトルの表示を見て入れ替えて計算してほしい。
ソーダをジンに替えると三倍を超える
同じ材料からソーダを抜き、代わりにジンを30ミリリットル入れるとネグローニになる。ジンを40パーセントとすれば、純アルコールは7.5+4.8+12.0で24.3ミリリットル、全体量は90ミリリットルなので約27パーセントだ。割り材が炭酸か蒸留酒かという一点で、三倍以上に開く。
カロリーは糖分の側から効いてくる
熱量はアルコールと糖分の両方から出る。カンパリもスイートベルモットも糖分を含むリキュール・酒精強化ワインなので、同じ度数の蒸留酒を炭酸で割った場合より熱量は高くなる。正確な数値は銘柄ごとの表示に従うのが確実で、ここでは「ソーダを増やすと度数も熱量も同時に下がる」という関係だけ押さえておけばいい。
純アルコール量で見るといくつになるか
度数のパーセントは濃さの指標で、体に入る量そのものではない。量を見るなら純アルコールのミリリットル数、あるいはグラム数で数える。先ほどの計算では、一杯に含まれる純アルコールは12.3ミリリットルだった。エタノールの比重を0.8として掛けると、約9.8グラムになる。
ソーダを120ミリリットルに増やしても、この数字は変わらない。薄まるのは濃度だけで、入っているアルコールの総量は同じだからだ。度数を下げたつもりで一杯の量が増え、結果として飲む速さが上がることもある。薄めることと減らすことは別だと考えておきたい。
名前の由来と、ネグローニ・ガリバルディへの分かれ道

アメリカーノはイタリア語で「アメリカの」を意味する。イタリア生まれの飲み物に、なぜアメリカの名前が付いたのか。この点については複数の説が語られていて、確定した一次資料にたどりつけるものではない。断定を避けたうえで、はっきりしていることだけを並べておく。
ミラノ・トリノという原型
はっきりしているのは、この組み合わせにミラノ・トリノという別名があることだ。カンパリはミラノで生まれ、赤いスイートベルモットはトリノで発達した。二つの都市の名前を並べただけの呼び名が、そのまま材料表になっている。ここへソーダを加えて軽くしたものが、アメリカーノと呼ばれる形にあたる。
つまりレシピの側から見れば、アメリカーノは新しい飲み物ではなく、既にあった二本組にソーダを足しただけのものだ。名前の由来がどの説であっても、この関係は変わらない。
ソーダをジンに替えるとネグローニになる
アメリカーノの割り材を蒸留酒に入れ替えた一杯がネグローニだ。フィレンツェで、ある客がアメリカーノをもっと強くしてほしいと頼んだところから生まれたと伝えられている。この逸話も確たる記録が残っているわけではないが、レシピの構造としては確かにアメリカーノが先にあり、そこから一材料を差し替えた形になっている。
ここで置き換わるのは割り材の一つだけだ。にもかかわらず、度数は八パーセント台から二十パーセント台へ跳ね上がり、炭酸の軽さは消えて重い一杯に変わる。同じ二本を土台にしながら、正反対の性格の飲み物になる。
果汁で割ればガリバルディになる
もう一つの分かれ道が果汁だ。カンパリをオレンジジュースで割るとカンパリオレンジの系統になり、イタリアではガリバルディの名で呼ばれることがある。ベルモットを使わないぶん薬草の香りは引っ込み、代わりに果実の甘みと酸が前に出る。
三つを並べると、動かしているのは常に「三本目に何を置くか」だけだとわかる。炭酸ならアメリカーノ、ジンならネグローニ、果汁ならオレンジ系。土台のカンパリは動かない。カンパリという銘柄そのものの成り立ちはカンパリとはにまとめている。
同じ名前でも、コーヒーのアメリカーノとは無関係
カフェで出てくるアメリカーノは、エスプレッソを湯で割った飲み物だ。名前が同じで語源の説明も似た形で語られるが、両者に直接のつながりはない。イタリア語で「アメリカの」を意味する形容詞が、別々の場所で別々の飲み物に付いただけだと考えるのが素直だろう。
紛らわしいのは、どちらも「濃いものを薄めた」という構造を持つ点だ。エスプレッソを湯で薄めたものと、ミラノ・トリノをソーダで薄めたもの。作りの発想は確かに似ている。ただし片方は酒で、片方はコーヒーで、材料には何一つ共通点がない。
一杯の材料を法律で仕分けると、柑橘だけが残る

ここからは、グラスに入るものを別の物差しで並べ替えてみる。カンパリ、ベルモット、ソーダ、氷、そして飾りのオレンジとレモンピール。この六つのうち、卸売市場法という法律が名前を呼ぶのはどれか。
卸売市場法は昭和四十六年法律第三十五号。全六章十九条で、本則は九千三百六十五字しかない。短い法律だ。そして本則には「酒」という字も「酒類」という語も一度も出てこない。「飲料」も単独では現れず、あるのは令和七年の改正で入った「指定飲食料品等」という一語だけだ。カンパリもベルモットも、この法律の視界には入っていない。
定義の一行に五つの品目名がある
この法律が扱う対象は第二条第一項に書かれている。
出典:e-Gov法令検索「卸売市場法」第二条第一項
この法律において「生鮮食料品等」とは、野菜、果実、魚類、肉類等の生鮮食料品その他一般消費者が日常生活の用に供する食料品及び花きその他一般消費者の日常生活と密接な関係を有する農畜水産物で政令で定めるものをいう。
野菜、果実、魚類、肉類、花き。五つの品目名が並ぶ。ところがこの五語は、いずれも本則全体でこの一行にしか現れない。数えると野菜が一回、果実が一回、魚類が一回、肉類が一回、花きが一回。定義で名前を呼ばれたきり、ほかの十八条は具体的な品目名を出さない。
それでも、この一行に飾りのオレンジは入る。オレンジは果実だからだ。同じ理由で、香りだけ移して捨てるレモンピールも果実の側にある。この法律が品目として名指しするもののうち、一杯に入るのは飾りの柑橘だけということになる。飲む部分ではなく、捨てる部分のほうが名前を呼ばれている。
氷もソーダも、五つの品目名には無い
残りの材料を順に当ててみる。定義が品目として挙げるのは野菜・果実・魚類・肉類・花きの五つで、蒸留酒も醸造酒もリキュールもここには挙がらない。ソーダは水に二酸化炭素を溶かしたもの、氷は水を凍らせたもので、どちらも五つの品目名では呼ばれない。ただし定義は前段に「その他一般消費者が日常生活の用に供する食料品」という広い受け皿を持っており、条文が酒類やソーダを名指しで外しているわけではない。
グラスの中で体積のうえでは最も多いのがソーダと氷なのに、そのどちらもこの制度の外側にある。そして体積では最も小さい、しかも多くの人が食べずに残す一枚のオレンジと、絞って捨てるレモンの皮だけが、この制度の中を通り得る側に置かれている。飲む部分と、法律が見ている部分が、ちょうど入れ替わっている。
政令が足したのは種と皮の二つだけ
定義の末尾は「政令で定めるもの」で終わっている。では政令は何を足したのか。卸売市場法施行令(昭和四十六年政令第二百二十一号)の第一条は、こう書いて終わる。
出典:e-Gov法令検索「卸売市場法施行令」第一条
一 野菜及び果樹の種苗/二 牛、馬、豚、めん羊及び山羊の原皮
二つしかない。しかも足されたのは種苗と原皮、つまりそのままでは食べないものだ。食べ物の法律の枠を広げるために政令が呼び足したのが、種と皮だった。この政令の本則は千五百四十一字で、ここにも「酒」の字は一度も出てこない。
中央と地方を分けるもの|認定する役所と面積、たった一行の禁止

卸売市場法は、市場を中央卸売市場と地方卸売市場の二つに分けている。ただしどちらも許可制ではない。平成三十年の改正で許可制は廃止され、いまは認定制になっている。中央は農林水産大臣の認定を受けて「中央卸売市場と称することができる」、地方は都道府県知事の認定を受けて「地方卸売市場と称することができる」。条文が与えているのは、まず名乗る資格だ。
中央になれるかどうかは床の広さで決まる
では中央と地方の境目はどこにあるのか。第四条第一項は「農林水産省令で定める基準」に該当するものに限ると書き、その中身は卸売市場法施行規則第一条にある。基準は面積だ。卸売場、仲卸売場、倉庫の面積を合計して、取扱品目の区分ごとに次の広さがおおむね要る。
| 取扱品目の区分 | 施設規模の基準 |
|---|---|
| 野菜及び果実 | 10,000平方メートル |
| 生鮮水産物 | 10,000平方メートル |
| 肉類 | 1,500平方メートル |
| 花き | 1,500平方メートル |
| 前各号以外の生鮮食料品等 | 1,500平方メートル |
五区分のうち、一万平方メートルを求められるのは野菜及び果実と生鮮水産物の二つだけで、残りはその六分の一以下の千五百平方メートルでいい。二以上の区分にまたがる市場は、そのうち最も大きな面積が基準になる。つまり果実を扱うと決めた時点で、市場は最も広い床を用意しなければならない。飾りに使う一枚のオレンジが市場を通るとすれば、それはこの一万平方メートルの側だ。
本則にただ一度しか出てこない「受託拒否」
認定の要件には、業務規程に書かれていなければならない遵守事項が列挙されている。中央卸売市場は卸売市場法第四条第五項第五号の表に七項目、地方卸売市場は第十三条第五項第五号の表に六項目。並びを見比べると、六つは同じ文言で二度ずつ現れる。売買取引の原則、差別的取扱いの禁止、売買取引の方法、売買取引の条件の公表、決済の確保、売買取引の結果等の公表。
差が一つある。「受託拒否」という語は、本則全体でただ一度しか使われていない。中央卸売市場の表にだけ置かれた五の項だ。
出典:e-Gov法令検索「卸売市場法」第四条第五項第五号の表 五の項
卸売業者は、その取扱品目に属する生鮮食料品等について当該卸売市場における卸売のための販売の委託の申込みがあった場合には、農林水産省令で定める正当な理由がある場合を除き、その引受けを拒まないこと。
ここは読み方に注意が要る。この一行は、法律が卸売業者に直接命じている義務ではない。開設者が業務規程に書き、その内容が認定の要件になっているという形をとる。守らせるのは開設者で、国はその業務規程を見て認定するかどうかを決める。
認定を受けたあとに続くもの
認定は一度きりで終わらない。卸売市場法の第六条は、申請事項や業務規程を変えるときに改めて変更の認定を受けるよう求めている。第十二条第一項は、開設者に毎年、市場の運営の状況を報告させる。同条第二項は、報告や資料の提出を求め、事務所に立ち入って帳簿や書類を検査する権限を国に与えている。ただし同条第四項は、この立入検査の権限を犯罪捜査のために認められたものと解してはならない、とわざわざ断っている。
要件を欠いたときは第十一条で認定が取り消される。取り消されると、地方公共団体以外の開設者は第五条第三号により、その日から二年間は再び認定を受けられない。国が使う手当ては、罰金ではなく、この名乗る資格の側に向いている。
施設を直すときの助成も条文にある。第十六条第一項は、中央卸売市場の開設者が食品等持続的供給法第八条第一項の認定を受け、その計画に従って施設を整備する場合、国が費用の十分の四以内を予算の範囲内で補助できると定める。
断ってよい七つの理由
「正当な理由」は施行規則第六条が七つ挙げている。食品衛生上有害である場合、過去に全て残品となり販売に至らなかったものと品質が同程度と開設者が認める場合、施設の受入能力を超える場合、法令違反や公益に反する行為の疑いがある場合又は販売を制限する行政機関の指示や命令があった場合、卸売業者が公表した条件に基づかない場合、他の場所での売買取引の残品の出荷であることが明白な場合、そして暴力団員等から申し込まれた場合。
裏を返せば、この七つに当たらない限り、中央卸売市場の業務規程は、取扱品目に属する荷を卸売業者に引き受けさせる形になる。値がつかない日でも、荷は市場に入る。地方卸売市場ではこの一行は共通ルールに入っておらず、農林水産省の基本方針は「地方卸売市場における受託拒否の禁止」を、市場ごとに任意で決められるその他の取引ルールの例として挙げている。
果実の市場経由率は三割台、金額で見ればいちばん通るのは食べない花

制度の形がわかったところで、実際にどれだけの荷がここを通っているのかを見ておく。農林水産省が公表する「卸売市場データ集 令和六年度」の数字を並べる。
品目で倍以上の開きがある
| 品目 | 卸売市場経由率(令和4年度) |
|---|---|
| 青果(計) | 50.5% |
| うち野菜 | 59.2% |
| うち果実 | 34.1% |
| 水産物 | 43.2% |
| 食肉 | 8.2% |
| 花き | 72.8%(金額割合) |
金額割合で見ると、最も高いのは花きの72.8パーセントだ。金額で見るかぎり、生鮮食料品等という名前の制度をいちばん通っているのは、食べない花だということになる。逆に食肉は8.2パーセントで、十本に一本も通らない。
ただしこの比較には断りが要る。同じ表に並んでいても、花きだけは金額割合で、他の品目は数量割合として推計されている。物差しが違う数字を横に並べているので、七十二対三十四という比を単純な倍率として読むことはできない。
オレンジが属する「果実」は野菜より二十五ポイント低い
数量割合どうしで比べられるのは、同じ青果の中の野菜と果実だ。野菜は59.2パーセント、果実は34.1パーセント。同じ「野菜及び果実」という一つの区分にまとめられ、同じ一万平方メートルの基準を課されているのに、実際に市場を通る割合は二十五ポイント開いている。輸入品が多く入る品目ほど市場を通らない、という事情がここに出ている。
なお、国内で流通した国産の青果物だけに限れば、経由率は令和四年度で72.4パーセントになる。輸入を含めた50.5パーセントとは別の数字で、母数が違う。
六十四と九百九という数の差
市場の数も見ておく。中央卸売市場は64市場(39都市)で、取扱金額は3兆7,436億円。地方卸売市場は909市場で2兆9,768億円。数では十四倍以上あるのに、金額では中央のほうが多い。仲卸業者は中央が2,685、地方が2,198。売買参加者は中央が19,845に対し、地方は78,634と逆転する。
中央卸売市場の数は減り続けている。平成十九年度末には81市場あったものが、令和五年度末で64市場。地方卸売市場も1,237から909へ減った。この数字は青果だけの話ではないが、市場という場所そのものが集約されてきたことを示している。なお全国64の中央卸売市場のうち28市場は、令和七年三月末時点で四十年以上、移転も大規模整備も行っていない。うち15市場は五十年以上たつ。
卸売業者と仲卸業者は、条文でどう区切られているか
市場の中にいる人の呼び名も、第二条が定義している。卸売業者は、出荷者から販売の委託を受けるか買い受けて、その市場で卸売をする者。仲卸業者は、卸売を受けた生鮮食料品等を当該卸売市場内の店舗において販売する者だ。「市場内の店舗」という場所の限定が、定義そのものに書き込まれている。
この二つのほか、卸売業者から直接買う売買参加者がいる。条文はこれらをまとめて第四条第四項第二号で取引参加者と呼ぶが、「売買参加者」という語自体は本則に一度も出てこない。統計上の区分だ。買う側の人数が中央で19,845、地方で78,634というのは、その数字にあたる。
建物の側も見ておくと、第二条第二項が卸売市場の定義で名指しする施設は「卸売場」と「自動車駐車場」の二つしかない。冷蔵庫も加工場も、条文では「その他の生鮮食料品等の取引及び荷さばきに必要な施設」にまとめられている。
政令が数え上げた二十八本に、酒だけの法律は一本もない

もう一つ、この制度が酒をどこに置いているかがはっきり出る場所がある。第五条の欠格事由だ。地方公共団体以外の申請者について、その法人又はその業務を行う役員が、この法律「その他生鮮食料品等の取引に関する法律で政令で定めるもの」で罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わった日などから二年を経過しないものでないこと、という要件になっている。
生鮮食料品等の取引に関する法律の一覧
その「政令で定めるもの」が施行令第二条で、二十八本の法律が並ぶ。独占禁止法、食品衛生法、日本農林規格等に関する法律、商品先物取引法、農産物検査法、輸出入取引法、と畜場法、下請代金の支払遅延を防ぐ法律、商標法、割賦販売法、不当景品類及び不当表示防止法、特定商取引に関する法律、流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法、食鳥処理法、食品等持続的供給法、商品投資に係る事業の規制に関する法律、計量法、不正競争防止法、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律、種苗法、健康増進法、牛の個体識別に関する法律、米穀等のトレーサビリティ法、消費者安全法、食品表示法、地理的表示法、特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律、そしてフリーランス取引適正化法。
食品衛生法も食品表示法も計量法も景品表示法も入っている。それでも酒税法は無い。酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律も無い。この政令の本則で「酒」の字は一度も使われていない。二十八本を並べるほど丁寧に食品まわりの法律を数え上げながら、酒だけを対象にする法律が一本も呼ばれていない。
罰則は一か条、三十万円以下
この法律の本則の罰則は第十八条の一か条だけで、上限は三十万円以下の罰金。しかも対象は二つしかない。認定を受けていないのに中央卸売市場・地方卸売市場やこれらに紛らわしい名称を称したとき、そして報告や資料の提出をせず、虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、忌避したときだ。第十九条が両罰規定を置く。
差別的な取扱いをしたときも、荷の引受けを不当に断ったときも、この条は動かない。取引の中身に効くのは罰金ではなく、認定の取消し(第十一条)と措置命令(第十条)のほうだ。
「せり」は二回、「認定」は四十六回
語の数え方を変えると、この法律の重心がもう一段はっきりする。本則で「卸売」は131回、「認定」は46回使われている。一方で「せり」はわずか2回。しかもその2回は中央と地方でまったく同じ文で、「せり売又は入札の方法、相対による取引の方法その他の売買取引の方法」と、三つ並んだ選択肢の一つとして出てくるだけだ。
市場といえば競りだという印象とは、条文の重みが逆になっている。農林水産省の資料によれば、大正十二年の中央卸売市場法は「せり売の原則」を柱の一つに掲げていた。いまの条文は、せりを原則としては書かず、どの方法を使うかを業務規程に書いて公表せよという形にしている。
選び方の整理と、飲まない一本の行き先

アメリカーノを家で作るなら、そろえるのはカンパリ、赤いスイートベルモット、ソーダ、オレンジ、そして氷だけだ。バースプーンがあると混ぜやすいが、柄の細いスプーンでも代わりになる。同じくソーダで割る定番としてジントニックを作れる人なら、注ぐ順番の感覚はそのまま使える。
最初の一本は保存の効くほうから決める
カンパリは度数が高く、開栓後も比較的長く持つ。対してベルモットはワインが土台なので、開けたあとは冷蔵し、数週間で使い切るのが無難だ。買う順番で迷ったら、使い切る自信のあるほうを小さい容量で選ぶといい。ベルモットを持て余しがちな人は、カンパリソーダやスプモーニのように、カンパリだけで完結する飲み方から始めてもいい。
ソーダは強炭酸のものを冷やして使う。ぬるいソーダを注ぐと、氷に触れた瞬間に泡が抜けてしまう。オレンジは飾りだが、輪切りを沈めると時間とともに味が動くので、香りだけ足したい日は皮を絞るだけにしておく。
グラスは家にあるもので足りる。強いて選ぶなら、口が広く背の低いロックグラスが公式の形に近い。氷は大きいほど溶けにくく、味の変化がゆっくりになる。製氷皿の小さい氷しかない日は、数を多めに入れて隙間を減らすと、結果として溶ける速さが抑えられる。
オレンジは、飾りとして最後に置く。IBAが指定するのは半分に切った輪切り一枚で、沈めてしまうと果汁が出て甘みが増える。どちらが好みかは分かれるので、一度ずつ試して決めるといい。レモンピールは皮の表面を外に向けて絞り、そのままグラスに落とすか、香りだけ移して捨てる。
飲まないリキュール・ベルモットの査定・買取はリンクサスへ
カクテル用に買ったまま棚に置いている未開栓のボトルがあれば、状態が変わらないうちに査定に出すという選択肢がある。リンクサス酒販ではリキュールやベルモットの買取を行っており、銘柄、容量、度数、保管状態を確認したうえで金額をお伝えしている。
複数本まとめて相談したほうが判断は早い。同じ銘柄でも容量や輸入時期が違えば扱いが変わることがある。
よくある質問

アメリカーノの黄金比は?
国際バーテンダー協会の公認レシピは、ビター・カンパリ30ミリリットルとスイート・レッド・ベルモット30ミリリットルの等量に、ソーダ少量という配合です。ソーダの量は数字で示されておらず、氷を入れたグラスの残りを満たす形になります。苦味を抑えたいならソーダを増やし、濃さを保ちたいならグラスを小さくして調整します。
アメリカーノの度数はどのくらいですか?
カンパリを25パーセント、スイートベルモットを16パーセントとし、各30ミリリットルをソーダ90ミリリットルで割った場合、計算上は約8.2パーセントになります。ソーダを120ミリリットルまで増やせば約6.8パーセント、50ミリリットルに抑えれば約11.2パーセントです。使う銘柄の表示度数が違えば結果も変わるので、手持ちのボトルの数字で計算し直してください。
アメリカーノとネグローニは何が違いますか?
違うのは三本目の材料だけです。カンパリとスイートベルモットの等量にソーダを加えたのがアメリカーノ、そのソーダをジンに替えたのがネグローニです。ジンを40パーセントとして30ミリリットル入れた場合、計算上は約27パーセントになり、八パーセント台から三倍以上に上がります。土台の二本は変わらないまま、割り材の一点で性格が入れ替わります。
ミラノ・トリノとアメリカーノの関係は?
ミラノ・トリノは、ミラノ生まれのカンパリとトリノで発達したスイートベルモットを合わせた、ソーダを加える前の形にあたります。これにソーダを足して軽くしたものがアメリカーノです。名前の由来については複数の説が語られており、確定した一次資料にたどりつけるものではないため、ここでは断定を避けています。
アメリカーノに使うオレンジは卸売市場を通っていますか?
通っているものも、通っていないものもあります。農林水産省の卸売市場データ集によれば、令和四年度の果実の卸売市場経由率は34.1パーセントで、同じ青果でも野菜の59.2パーセントより二十五ポイント低い数字です。いずれも国産と輸入を合わせた数量割合の推計値です。母数を国産の青果物だけに絞ると72.4パーセントになりますが、これは果実単独ではなく青果全体の数字です。
卸売市場法は酒を扱っていないのですか?
本則に「酒」「酒類」という語は一度も出てきません。「飲料」も単独では現れず、令和七年の改正で入った「指定飲食料品等」の中にあるだけです。対象は第二条第一項の「生鮮食料品等」で、野菜、果実、魚類、肉類等の生鮮食料品その他日常生活の用に供する食料品、及び花きと政令で定める農畜水産物です。飾りのオレンジやレモンピールは果実として入りますが、リキュールやベルモットは五つの品目名では呼ばれていません。
受託拒否の禁止は地方卸売市場にもありますか?
共通の取引ルールとしては置かれていません。「受託拒否」という語は卸売市場法の本則にただ一度、中央卸売市場について定める第四条第五項第五号の表にだけ現れます。ただし農林水産省の基本方針は、地方卸売市場における受託拒否の禁止を、市場ごとに任意で定められる「その他の取引ルール」の例として挙げています。市場によって扱いが違うということです。



























