ネグローニの三つの材料は、名前の守られ方が三つとも違う

ネグローニの三つの材料は、名前の守られ方が三つとも違う

ネグローニは材料が三つで、分量も三つとも同じです。ジン、カンパリ、スイートベルモットを30ミリリットルずつ。グラスの中では等分ですが、この三つは名前の守られ方がまるで違います。一つは規則が定めた区分の名前、一つは固有名が規則に一度も出てこない商品名、残る一つは、産地の名前を上に載せる制度が三つとも同じようにあるなかで、その枠に入った名前が数えるほどしかない種類です。黄金比の流儀を並べるかわりに、三つの名前をそれぞれ定めている条文に当たりました。

IBA公式が書いている三行のうち、一行だけ書き方が違う

IBA公式が書いている三行
計量して等量に合わせる道具

比率も飾りも書き手によって動くので、動かない側から確かめます。国際バーテンダー協会(IBA)の公認レシピは、ネグローニをThe unforgettablesという区分に置いています。マティーニやマンハッタンと同じ枠です。

材料欄は三行です。30 ml Gin30 ml Bitter Campari30 ml Sweet Red Vermouth。作り方はPour all ingredients directly into chilled old fashioned glass filled with ice.Stir gently.の二文、飾りはGarnish with half orange slice.の一文で終わります。

三十ミリリットルが三つ並ぶ

三行を並べて読むと、一行だけ書き方が違うことに気づきます。一行目のGinと三行目のSweet Red Vermouthは、どちらもお酒の種類を指す一般名です。二行目のBitter Campariだけが、特定の会社が作っている一つの商品の名前です。IBAは他の二つを「イタリアの赤いビター」とは書かず、商品名で書いています。

三十四杯を数えて分かること

この書き方がどれくらい珍しいのかを、同じThe unforgettablesの全34杯で数えました。材料欄に商品名が入っている杯は16杯あります。数えたのは製造者が一社に定まる名前で、ルクサルド、アンゴスチュラ、ペイショー、ドランブイ、ベネディクティン、シャルトリューズ、そしてカンパリの七つです。フェルネのように種類の名前として使われる語は含めていません。カンパリが出てくるのはアメリカーノ、ブルヴァルディエ、ネグローニの3杯でした。

もう一段しぼると輪郭が出ます。材料が三つで、三つとも30ミリリットルの杯は3杯しかありません。アレキサンダー、エンジェルフェイス、ネグローニです。このうち材料欄に商品名が混じっているのはネグローニだけでした。アレキサンダーはコニャック・クレームドカカオ・生クリーム、エンジェルフェイスはジン・アプリコットブランデー・カルヴァドスで、どれも種類の名前で書かれています。

表1 ネグローニの三行と、その名前を定めている規則
材料 IBAの表記 名前の性格 名前を定める条文
ジン 30 ml Gin 区分の名前 規則(EU) 2019/787 附属書I 第20区分
カンパリ 30 ml Bitter Campari 商品名+区分名 Campariの記載なし/bitterは第30区分
スイートベルモット 30 ml Sweet Red Vermouth 販売名称 規則(EU) No 251/2014 附属書II A(3)

ジンという語は、区分の名前がそのまま法定名称になっている

ジンのボトルに刷られた名前
ラベルに載る法定名称の一例

ではジンという名前は誰が守っているのか。答えは規則(EU) 2019/787で、しかも守り方が独特です。

The name of a spirit drink shall be its legal name.(蒸留酒の名称は、その法定名称とする)

規則(EU) 2019/787 第10条第1項

名前と法定名称は同じものだと言っています。続く第2項はSpirit drinks that comply with the requirements of a category of spirit drinks set out in Annex I shall use the name of that category as their legal name, unless that category permits the use of another legal name.と定めています。つまりジンという語は、附属書Iの第20区分の見出しであると同時に、その要件を満たした瓶が必ずラベルに書かなければならない名前でもあります。産地も会社も関係なく、要件を満たせば世界のどこで作っても名乗れます。

どの区分にも当たらなければ「spirit drink」になる

区分から外れたときの行き先も同じ条に書かれています。A spirit drink that does not comply with the requirements laid down for any of the categories of spirit drinks set out in Annex I shall use the legal name ‘spirit drink’.です。区分に当たらないことは違反ではなく、名乗れる名前が一段抽象的になるだけです。なお第5項(a)は、法定名称を地理的表示でsupplemented or replaced by a geographical indication referred to in Chapter III.こともできると定めています。この二階建てが後で効いてきます。

ジュニパーの区分は四段の入れ子になっている

ジュニパーの区分を分ける蒸留
銅製の蒸留器の一例

附属書Iには全44区分が並びます。そのうち4区分がジュニパーの一族です。順に狭くなっていきます。

第19区分のjuniper-flavoured spirit drinkは、A juniper-flavoured spirit drink is a spirit drink produced by flavouring ethyl alcohol of agricultural origin or grain spirit or grain distillate or a combination thereof with juniper (Juniperus communis L. or Juniperus oxicedrus L.) berries.と定義され、下限はThe minimum alcoholic strength by volume of a juniper-flavoured spirit drink shall be 30 %.です。実はネズ属の2種、Juniperus communis L.Juniperus oxicedrus L.のどちらでも構いません。土台のアルコールも穀物スピリッツや穀物蒸留液で構いません。

第20区分のジンはここから四つ絞ります。Gin is a juniper-flavoured spirit drink produced by flavouring ethyl alcohol of agricultural origin with juniper berries (Juniperus communis L.).で、実はJuniperus communis L.の一種だけになり、土台も農産物由来のエチルアルコールに限られます。下限もThe minimum alcoholic strength by volume of gin shall be 37,5 %.に上がります。さらにOnly flavouring substances or flavouring preparations or both shall be used for the production of gin so that the taste is predominantly that of juniper.と、使ってよい香りの付け方まで限定されます。

第21区分の蒸留ジンは、実の存在下で蒸留したものか、その蒸留液を同じ規格のアルコールと合わせたものの二択です。ただし条文は第20区分ではなく第19区分を土台に書かれているので、四段は完全な直列ではありません。同区分(c)はGin produced simply by adding essences or flavourings to ethyl alcohol of agricultural origin shall not be considered distilled gin.と書いていて、香料を後から混ぜただけの物を締め出しています。

表2 規則(EU) 2019/787 附属書I のジュニパー四区分
区分 名称 最低度数 実の指定 香り付けの条件
第19区分 ジュニパー風味の蒸留酒 30% ネズ属2種の実 香料・植物の追加可
第20区分 ジン 37.5% セイヨウネズの実のみ 香料・香料調製品のみ
第21区分 蒸留ジン 37.5% 同上(実の存在下で蒸留) エッセンス添加だけの物は不可
第22区分 ロンドン・ジン 37.5% 同上 全植物原料の存在下での蒸留のみ

「ドライ」を名乗れる条件は1リットルあたり0.1グラム

「ドライ」は味の印象ではなく数字で決まります。第20区分(d)は、if it does not contain added sweetening exceeding 0,1 grams of sweetening products per litre of the final product, expressed as invert sugar.場合にだけ「dry」を足せるとしています。転化糖に換算して1リットルあたり0.1グラム。第21区分にも同じ条件が置かれています。

ロンドン・ジンのロンドンは、地名として働いていない

第22区分はLondon gin is distilled gin which meets the following requirements:で始まり、六つの条件を並べます。農産物由来のエチルアルコールだけを使うこと、蒸留液が70%以上であること、後から足すアルコールもa maximum methanol content of 5 grams per hectolitre of 100 % vol. alcoholit is not coloured;it is not sweetened in excess of 0,1 grams of sweetening products per litre of the final product, expressed as invert sugar;、そしてit does not contain any other ingredients than the ingredients referred to in points (i), (iii) and (v), and water.

この六つを読み通しても、ロンドンで作れという条件は一つも出てきません。官報版の全文でLondonの語を数えると5回で、その内訳は前文の1回と、第22区分の見出し・(a)柱書・(b)・(c)の4回です。地理を要求する条項はどこにもありません。ロンドン・ジンのロンドンは、地名の形をしていますが産地を指していないわけです。同区分(c)はThe term ‘London gin’ may be supplemented by or incorporate the term ‘dry’.と、条件を付けずに「dry」を認めます。甘味の上限が(a)の中にすでに書き込まれているからです。

ベルモットの名前が求めているのは、ヨモギ属という一語だけ

ベルモットの土台になるワイン
ワインを土台にした酒の栓

三行目のスイートベルモットに移ります。ベルモットを定めているのは蒸留酒の規則ではなく、アロマタイズドワイン製品を扱う規則(EU) No 251/2014です。附属書II A(3)の中身は二行しかありません。

to which alcohol has been added, andwhose characteristic taste has been obtained by the use of appropriate substances of Artemisia species.(アルコールが添加されていること/特徴的な味がヨモギ属の適切な物質の使用によって得られていること)

規則(EU) No 251/2014 附属書II A(3) Vermouth

求めているのはこれだけです。土台の条件は上位のアロマタイズドワインの定義から降りてきます。第3条第2項はin which the grapevine products referred to in point (a) represent at least 75 % of the total volume;which has an actual alcoholic strength by volume of not less than 14,5 % vol. and less than 22 % vol. and a total alcoholic strength by volume of not less than 17,5 % vol.を求めています。ぶどう由来の製品が体積の75%以上、実際の度数が14.5%以上22%未満です。さらに第4条第1項がAromatised wine products shall be produced in accordance with the requirements, restrictions and descriptions laid down in Annexes I and II.と定めているので、使ってよい香料と添加できるアルコールの種類は附属書Iの側で限定されます。名称の欄が二行で済むのは、共通の制約が別のところに置かれているからです。

「スイート」も「レッド」も名称の側にない

IBAが書いたSweet Red Vermouthを三語に分けると、法令上の重みが全部違います。ベルモットは附属書IIの販売名称そのもの。スイートは同規則が糖分で定める表示の一つ。そしてレッドについては、色を要件にした条項が附属書II A(3)にも第3条にもありません。第3条第2項(d)がto which colours may have been addedと触れているだけで、これは許容であって条件ではありません。色を名称の要件にしている枠はこの規則にも実在しますが、それはA(4)のビター・アロマタイズドワインの側で、ベルモットの側ではありません。

ベルモットそのものの詳しい整理はベルモットとはにまとめています。ここでは名前の守られ方だけを追います。

Vermouthを名に含む地理的表示は、二つから一つになった

ベルモットの地理的表示とトリノ
トリノを含む北イタリアの地図

産地の名前を上に載せる制度は、ジンの側にもベルモットの側にもあります。251/2014の第5条第4項はSales denominations may be supplemented or replaced by a geographical indication protected under this Regulation.と定めていて、これは前章で見た蒸留酒の規則の第10条第5項(a)と同じ構造です。違うのは制度の有無ではなく、その枠に実際に名前がいくつ入っているかです。ここから数えるのはアロマタイズドワイン製品の登録簿の側だけで、蒸留酒には別の登録簿があります。

251/2014は1991年の旧規則(EEC) No 1601/91を廃止して置き換えた規則です。1991年の官報に載った制定時の附属書IIには、地理的名称が3件だけ並んでいました。そのうち2件がベルモットで、トリノとシャンベリーです。1601/91が廃止されるのは2015年3月28日で、その間の二十年あまりに附属書IIは増えています。2020/198が旧附属書II由来として名前を挙げているのは、合わせて5件です。

消えた理由は、書類が届かなかったこと

251/2014の第26条第1項は、旧附属書IIの名称と、and any geographical designation submitted to a Member State and approved by that Member State before 27 March 2014(加盟国に提出され2014年3月27日より前に承認された地理的名称)を、shall automatically be protected as geographical indications under(自動的に地理的表示として保護される)と定めました。ただし同条第3項に期限が付いています。

Existing geographical designations referred to in paragraph 1, for which the information referred to in paragraph 2 is not submitted by 28 March 2017, shall lose protection under this Regulation.(第1項の既存の地理的名称のうち、第2項の情報が2017年3月28日までに提出されなかったものは、本規則に基づく保護を失う)

規則(EU) No 251/2014 第26条第3項

その結果が、2020年の施行規則(EU) 2020/198に書かれています。前文(7)はこう述べています。

The Commission has not received the technical file and the national decision of approval of the existing geographical designation ‘Vermouth de Chambéry’. The existing geographical designation ‘Vermouth de Chambéry’ has therefore lost the protection as of 29 March 2017.(委員会は、既存の地理的名称「Vermouth de Chambéry」について技術ファイルと国内の承認決定を受領しなかった。したがって同名称は2017年3月29日をもって保護を失った)

施行規則(EU) 2020/198 前文(7)

中身が変わったからでも、産地が消えたからでもありません。期限までに書類が届かなかったからです。同じ規則の前文(3)は、the technical file and the national decision of approval of the existing geographical designations of aromatised wine products listed in Annex II of Regulation (EEC) No 1601/91として四つの名前と受領日を並べ、トリノの技術ファイルが2017年3月24日に届いたことを記録しています。締切の四日前です。

登録簿に載っている五つの名前

2020/198の第2条はThe following existing geographical designations are listed in the register as geographical indications protected in accordance with Regulation (EU) No 251/2014:として5件を列挙します。ニュルンベルガー・グリューワイン、サモボルスキ・ベルメット、テューリンガー・グリューワイン、ヴェルムト・ディ・トリノ/ヴェルモット・ディ・トリノ、ビノ・ナランハ・デル・コンダード・デ・ウエルバ。この5件が、2020年に登録簿が立ち上がった時点で収載された既存の地理的名称のすべてです。五つ目のウエルバは旧附属書IIではなく、The geographical designation ‘Vino Naranja del Condado de Huelva’ was approved by Spain on 6 July 2011.という前文(4)の経路で入りました。登録簿の名称にVermouthの語を含むのは、そのうち1件だけになりました。

Campariは条文に出てこないが、bitterのほうは法定名称として書かれている

条文に名前が出てこない赤いビター
赤いビターリキュールの一例

三つ目です。2019/787の官報版全文でCampariを検索すると0件、251/2014でも0件でした。Negroniも同じく0件です。ただしIBAが書いたのはBitter Campariの二語で、後ろの固有名は条文に無くても、前の一語は規則が持っています。

附属書I 第30区分の見出しがそのままBitter-tasting spirit drink or bitterです。定義はA bitter-tasting spirit drink or bitter is a spirit drink with a predominantly bitter taste produced by flavouring ethyl alcohol of agricultural origin or distillate of agricultural origin or both with flavouring substances or flavouring preparations or both.で、下限はThe minimum alcoholic strength by volume of a bitter-tasting spirit drink or bitter shall be 15 %.。同区分(d)はthe term ‘bitter’ or ‘bitter’ may be used in the description, presentation and labelling of bitter-tasting liqueurs.と、苦味のあるリキュールにもこの語を使わせています(同じ語が二度並ぶのは官報の英語版の表記のままです)。

受け皿は二つあり、どちらの名前でも名乗れる

ワインを土台にしていないため、ぶどう由来の製品が体積の75%以上というアロマタイズドワインの入口の条件を満たしません。2019/787の側で受け皿になるのは、いま見た第30区分のbitterと、糖分の条件を満たせば第33区分のリキュールです。第33区分の下限はThe minimum alcoholic strength by volume of liqueur shall be 15 %.で、糖分の下限も置かれています。一般の場合は100 grams per litre in all other cases;で、リンドウか類似の植物、またはニガヨモギだけで香り付けしたものは80グラム、チェリー由来のものは70グラムという別の線が引かれています。

どちらか一方に決めなければならないわけではありません。第10条第4項がA spirit drink that complies with the requirements for more than one category of spirit drinks set out in Annex I may be placed on the market under one or more of the legal names provided for under those categories in Annex I.と定めているからです。つまりこの瓶について条文が縛っているのは中身の数字と、bitterやリキュールという一般名の使い方だけで、Campariという固有名を守っているのは商標の側です。ジンの名前が丸ごと公の規格に置かれているのとは、守られ方の層が違います。公表値やIBA公認の使い方はカンパリとはで扱っています。

11%のアペロールは蒸留酒の定義から外れる

この下限がどれくらい効くかは、隣の瓶を見ると分かります。当店の比較表に載っているアペロールは11%です。2019/787の第2条(c)は、蒸留酒であること自体の条件としてit has a minimum alcoholic strength by volume of 15 %, except in the case of spirit drinks that comply with the requirements of category 39 of Annex I;と定めています。例外は第39区分の卵リキュールだけです。表の数値どおりなら11%はこの線を下回るので、アペロールはこの規則が言う蒸留酒には当たらないことになります。カンパリの25%は第30区分と第33区分のどちらの下限も超えています。

表3 一杯の中に出てくる名前と、その守られ方
名前 守り方 根拠 産地の名前を足せるか
ジン 区分名がそのまま法定名称 規則(EU) 2019/787 第10条第2項 足せる
ベルモット 附属書IIの販売名称 規則(EU) No 251/2014 第5条第1項 足せる
bitter 区分名がそのまま法定名称 規則(EU) 2019/787 附属書I 第30区分 足せる
Campari 固有名は条文に無い(商標) (なし) 足せない
ネグローニ この二つの規則に名前が無い (なし) 足せない
関連商品ラインナップ
当店が扱う酒の売り場

ここまでで、一杯に入る三つの名前がそれぞれ別の条文に置かれていることを見ました。実際に手に取れる瓶を、当店の在庫から並べます。スピリッツの棚には、ジンのほかにテキーラやメスカルなど、この記事で扱った区分とは別の区分の瓶も並びます。本文で扱った区分と一致するとは限らないので、区分は瓶のラベルでお確かめください。

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ジンとベルモットとビターを並べた比較表30銘柄

ジンとベルモットとビターを並べた比較表
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ネグローニに使う三種類を横並びにしました。全30本の内訳は、ジンが16本、ベルモットが5本、カンパリを含むビター系が6本、ブルヴァルディエ用のバーボンが2本、スパークリングが1本です。

ネグローニに使うジン・カンパリ・ベルモット30銘柄 比較表
ネグローニはジン・カンパリ・スイートベルモットを等量で合わせる苦甘いカクテルです。味の方向を決めるのは主にベースのジンと、苦味のカンパリ、甘みのベルモットの3要素。ここではネグローニに使えるジン16銘柄に加え、苦味のビター系5種、赤ベルモット5種、ボウルヴァルディエやスバリアートなど派生に使う材料4種をあわせて30銘柄並べました。価格は楽天・Amazonの実勢を参考値として掲載し、最安値を案内する一覧ではありません。リンクサス酒販の在庫品は各リンクから状態と価格を確認できます(2026年6月時点)。
価格は 2026/09/01 更新
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フランス産の赤ベルモット。ハーブの効いた端正でドライ寄りの甘み。

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トリノの伝統製法で復刻された職人系ベルモット。柑橘と苦皮の余韻。

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ジンをバーボンに替えるとボウルヴァルディエに。甘く香ばしい変化球。

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世界初のシングルバレル。コク深いプレミアムなボウルヴァルディエに。

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ジンをスパークリングに替えるとネグローニ・スバリアートに。泡で軽やか。

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30 スーズ 700ml 15%
★★★☆☆3/ リンクサス専属ソムリエスコア
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カンパリを黄色いスーズに替えるとホワイトネグローニ風に。苦味は上品。

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価格は各モールの実勢(2026年6月時点)で、ジン・リキュール・ベルモットはいずれもオープン価格のためメーカー定価は掲載していません。楽天/Amazon価格は同一品が見つからない場合は空欄になります。在庫・価格は変動するため、最新情報は各リンク先でご確認ください。最安値を保証する一覧ではありません。

規則が引いた三本の線に、在庫を当てはめる

表の度数を集計すると、条文の線がそのまま見えます。ジン16本は下が40%、上が47.3%で、全部が第20区分の下限37.5%を超えています。ベルモット5本は15%から16.5%で、全部が14.5%以上22%未満の帯に収まります。ただしこの帯に入る瓶は表全体で8本あり、残る3本はスーズ・チナール・セレクトです。帯に入れば必ずベルモットというわけではなく、ベルモットなら必ず帯に入る、という向きの条件です。37.5%以上の瓶は18本ありますが、これはジン16本にバーボン2本を足した数です。

表4 比較表30銘柄のアルコール分の分布
アルコール分 本数
47.3% 2本
47% 6本
46.5% 1本
46% 2本
45% 2本
44% 1本
43% 1本
42.7% 1本
41.2% 1本
40% 1本
25% 2本
17.5% 1本
16.5% 2本
16% 2本
15% 3本
11% 2本

15%を下回るのは2本だけで、アペロールとスパークリングワインです。スパークリングはそもそも蒸留酒の規則の対象外なので、第2条(c)と第30区分・第33区分がそろって置く15%の線から外れるのはアペロール1本ということになります。ベルモットの棚にはコッキ ヴェルモット ディ トリノ 750ml 16%も入っています。前の章で見た登録簿の名前を、そのままラベルに刷った瓶です。

規則の下限だけで組み立てた一杯は22.33度になる

規則の下限だけで組み立てた一杯
分量を量るメジャーカップ

三つの下限が分かったので、規則が許すいちばん軽いネグローニを計算できます。ジンが37.5%、ベルモットが14.5%、bitterもリキュールも15%。等量で混ぜるので単純平均になり、(37.5+14.5+15)÷3で22.33%です。氷の融解を入れる前の数字です。

当店の在庫で組むと26.67度から29.60度

同じ計算を実在の瓶でやり直します。いちばん軽い組み合わせはジン40%、ベルモット15%、カンパリ25%で26.67%。いちばん重い組み合わせはジン47.3%、ベルモット16.5%、カンパリ25%で29.60%です。規則の下限で組んだ一杯との差は4ポイント以上あります。下限は名乗るための線であって、実勢の代表値ではありません。

表5 等量で組んだときのアルコール分(希釈前・単純平均)
組み方 ジン ベルモット bitter/リキュール 仕上がり
規則が許す下限だけで組む 37.5% 14.5% 15.0% 22.33%
当店の在庫でいちばん軽く組む 40.0% 15.0% 25.0% 26.67%
当店の在庫でいちばん重く組む 47.3% 16.5% 25.0% 29.60%

日本の地理的表示に、ジンもベルモットも無い

日本の地理的表示とジンとベルモット
国内で流通する酒のボトル

同じ問いを日本の制度に投げます。国税庁が公表している国税庁長官が指定した酒類の地理的表示の一覧には、31件の名称が並び、名称と酒類区分の組合せでは34件になります。山梨・山形・長野の三つが二つの区分にまたがるためです。

三十四の組合せの内訳

区分別に数えると、清酒が23件、蒸留酒が5件、ぶどう酒が5件、その他の酒類が1件です。ジンにもベルモットにも、地名を冠した指定はありません。

ただし、いちばん近いところに一件だけあります。その他の酒類の1件は和歌山梅酒で、国税庁のパンフレットが載せる生産基準は、梅の実を浸漬する酒類は、酒税法第3条に規定する清酒、連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール又はスピリッツという七種の酒類に梅の実を浸けたものであることを求めています。そして同じ資料の「酒類の品目に関する事項」の欄には「リキュール」とだけ書かれています。日本のGIでリキュールに付いた指定は、この一件です。

表6 日本の酒類の地理的表示(名称と酒類区分の組合せ別の件数)
酒類区分 件数
清酒 23件
蒸留酒 5件
ぶどう酒 5件
その他の酒類 1件

EU側でも、2020年の登録簿立ち上げ時点でアロマタイズドワイン製品に載った名前は5件でした。制度は日欧どちらにも用意されているのに、ベルモットの棚に届いている名前はトリノの一件だけです。日本でネグローニの材料にいちばん近い指定は和歌山梅酒で、EUでカンパリを受ける区分と同じ側の酒に付いています。

家で作るとき、これらの名前はどう効くか

家で作るときに効く四つの名前
ロックグラスで仕上げた一杯

買ってきた三本を等量で注いでステアする分には、ここまでの規則は直接は効きません。効くのは瓶を選ぶときです。

ラベルに「London Gin」とあれば、着色されておらず、蒸留のあとに足してよいのが水と、規格に合う追加のアルコールと、1リットルあたり0.1グラムまでの甘味だけの瓶だと分かります。「Dry Gin」なら甘味が1リットルあたり0.1グラム以下です。「Vermouth di Torino」とあれば登録簿に載った名前を名乗っている瓶で、単に「Vermouth」とあれば、ヨモギ属を使ったアロマタイズドワインという条件だけを満たしています。そしてカンパリは、名前で選ぶしかない一本です。替えが利くかどうかを規則が教えてくれないからです。

三つの飲み比べはアメリカーノマティーニと並べると分かりやすくなります。ジンをバーボン45ミリリットルに替えたブルヴァルディエ、ジンを抜いてソーダで割ったアメリカーノは、いずれも同じ三つのうち一つを動かした形です。マンハッタンの回でも同じ構造を扱いました。

ジンそのものの選び方はジンとはに、当店の取り扱いはその他スピリッツにまとめています。

よくある質問

ネグローニについてよくある質問
質問と回答をまとめた案内
ネグローニの黄金比は1対1対1で合っていますか。

IBAの公認レシピは30 ml Gin、30 ml Bitter Campari、30 ml Sweet Red Vermouthで、三つとも30ミリリットルです。等量が公式の分量にあたります。ただしこれは協会が示す目安で、法令が定めた比率ではありません。苦味を強めたいならカンパリを、甘みを足したいならベルモットを増やす調整は自由にできます。

ネグローニの度数はどのくらいですか。

等量で混ぜるので、三つの度数の単純平均になります。当店の在庫で組むと26.67%から29.60%の範囲です。規則が許す下限だけで組んだ場合でも22.33%あります。氷を入れてステアすると水が加わるので口に入る度数は下がりますが、割り材を使わない分、小ぶりなグラスでもかなり強い一杯です。

ロンドン・ジンはロンドンで作られているのですか。

ロンドンで作られているとは限りません。規則(EU) 2019/787の第22区分が定める六つの条件に、製造地の指定が含まれていないためです。条件は農産物由来のアルコールだけを使うこと、蒸留液が70%以上であること、着色しないこと、甘味が1リットルあたり0.1グラムを超えないこと、そしてそれ以外の材料を加えないことなどです。要件を満たせばどこで作ってもロンドン・ジンを名乗れます。逆に、ロンドンで蒸留することを妨げるものでもありません。

ベルモットに産地の指定はありますか。

2020年に登録簿が立ち上がった時点で収載されたアロマタイズドワイン製品の既存の地理的名称は5件で、そのうち登録簿の名称にVermouthの語を含むのはヴェルモット・ディ・トリノの1件だけです。かつては「Vermouth de Chambéry」も保護されていましたが、期限までに技術ファイルが提出されず、2017年3月29日に保護を失いました。

カンパリの代わりに別のビターを使ってもネグローニですか。

呼び方を縛る規則はありません。IBAの公認レシピが30 ml Bitter Campariと商品名で書いているのは事実ですが、IBAは業界団体で、その表記に法的な拘束力はありません。ネグローニという名前自体を定めた条文もこの二つの規則のどちらにも存在しないので、別のビターで作ったものをネグローニと呼ぶことを禁じる根拠はありません。

スイートベルモットとレッドベルモットは違うものですか。

規則(EU) No 251/2014の附属書IIには「レッド」という区分がありません。附属書II A(3)の欄が求めているのは、アルコールが添加されていることと、ヨモギ属の物質で特徴的な味が得られていることの二つだけです。土台の条件は第3条第2項に、使ってよい香料と添加アルコールの種類は第4条第1項が指す附属書Iに置かれています。「スイート」は糖分による表示の一つですが、色については名称の側に条件が置かれていません。

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