ロゼワインとは|作り方・度数・選び方を条文から
ロゼワインを調べると、色の話、造り方の名前、そして「赤と白を混ぜてはいけない」という説明が並びます。そこで先に一次資料へ当たりました。結果はひとことで言えます。ロゼという色を定義した条文は、日本の法令にもEUの規則にも一つもありません。それでいて、数字を書いた欄では、ロゼはいつも白と同じ側に置かれています。
この記事は、EUの委任規則の全文でロゼが出てくる箇所を数え、フランスの原産地呼称の明細書を二枚読み、造り方を「二通り」と数える二つの機関が別の二つを指していることを確かめたうえで、タイプと産地の違いを表で並べます。条文と明細書は原文から写しました。転売価格は扱いません。
ロゼワインとは|色を定義した条文は無く、数字の欄では白と同じ側にいる

ロゼワインは、多くの場合は黒い果皮のぶどうを使い、果皮から色を少しだけ移して造るピンク色のワインです。ここまでは辞書の説明で足ります。問題は、その「少しだけ」がどこまでなのかを決めた文書があるのかどうかです。
探した範囲では、ありませんでした。法律・政令・省令を横断して「ロゼ」を引くと七本が返りますが、内訳は木材のパリッサンドルロゼ、カメレオン科の一種の和名の一部、フランスのロゼール県、農薬名で、酒に関わるものは一本もありません。「ロゼワイン」という語で引くと零件です。EUの側でも、ワインの基本規則である規則(EU)一三〇八/二〇一三号には、ワインの色としてのロゼが全文で一度も出てきません。出てくる二件は、どちらも生後八〜十二か月の牛肉の販売名称です。
それでも、ロゼは数字の表に何度も出てくる
定義が無いからといって、制度がロゼを見ていないわけではありません。醸造の方法と亜硫酸の上限を定めた委任規則(EU)二〇一九/九三四号を全文で数えると、ワインの色としてのロゼは六か所に出てきます。そのうち四か所は数値と使用条件の欄で、いずれもロゼは白ワインと同じ側に置かれています。赤の側に置いているのは一か所だけです。
つまり同じ一本の規則が、言葉の上では赤に寄せ、数字の上では白に寄せている。この記事の主題はここです。定義の無い色が、それでも制度の中でどう扱われているかを、条文の側から見ていきます。
この記事が読んだ範囲と、読んでいない範囲
読んだのは、規則(EU)二〇一九/九三四号と同一三〇八/二〇一三号の現行統合版、原産地呼称タヴェルとコート・ド・プロヴァンスの明細書、国際ぶどう・ぶどう酒機構の醸造規範と表示標準、そして日本の酒税法と添加物の使用基準です。原文は英語版とフランス語版の両方を突き合わせました。
読んでいないのは、加盟国が個別に置いている国内規定、日本の地理的表示ごとの生産基準、そして各造り手の技術資料です。日本の産地ごとの生産基準に色で分かれる数値の欄があることはワインの種類|赤白ロゼ・泡・ボディの違いを基準から読むで扱っています。
造り方|「二通り」と数える二つの機関が、別々の二つを指している

ロゼの造り方は三つ、と説明されることがよくあります。セニエは仕込んだ果醪から果汁を一部抜くこと、直接圧搾は黒ぶどうをそのまま搾ること、マセラシオンは果皮と短く漬け込むことです。ところが公的な文書に当たると、この三つで揃っている資料が見つかりません。それどころか、「二通り」と数えている二つの機関が、別々の二つを指していました。
フランスぶどう・ワイン研究所は、抜くか搾るかで二つに割る
フランス農務省が認めた技術機関であるフランスぶどう・ワイン研究所の実務資料は、見出しそのものを問いの形にしています。「Saignée ou pressurage direct ?」、セニエか直接圧搾か。ここでマセラシオンは独立の方法として立てられておらず、「rosé de pressurage (avec ou non une phase de macération de quelques heures)」、数時間のマセラシオンの段階を伴うか伴わないかを含めて圧搾の側に畳まれています。接触時間の目安として「Des temps de contact de 3 à 10 h à la température de 15-20°C sont en général suffisants.」、摂氏十五度から二十度で三時間から十時間という数字が添えられています。
プロヴァンスの業際団体は、漬けるか搾るかで二つに割る
いっぽう、プロヴァンスワイン業際評議会の説明はこうです。「In Provence, there are two main techniques used at this stage: skin maceration or direct press.」。マセラシオンと直接圧搾の二つを主要な方法とし、セニエについては「It should be noted that, in other regions, a third technique may also be used: saignée.」、他の地域では三つ目の方法として使われることがある、と数の外へ出しています。マセラシオンの数字は「The must macerates in a tank for 2 to 20 hours at a controlled temperature of 16°C to 20°C.」です。
両方とも「二つ」と言い、両方とも直接圧搾を入れています。ところが残る一つが、片方ではセニエ、もう片方ではマセラシオンです。片方が数に入れたものを、もう片方は外に出している。この食い違いは、どちらかが間違っているというより、産地の実務がそのまま数え方に出た結果と読むほうが自然です。
「混醸法」という区分は、読んだ範囲の一次資料に無い
この記事の以前の版は、セニエ法・直接圧搾法・混醸法の三つを挙げていました。このうち混醸、つまり黒ぶどうと白ぶどうを一緒に発酵させるという区分は、今回読んだ規則にも、二枚の明細書にも、この二つの機関の説明にも出てきません。国際ぶどう・ぶどう酒機構の醸造規範にも、ロゼの造り方を数え上げた箇所そのものがありません。したがって以前の版の「三つの製法」という数え方は取り下げます。なお発泡性のロゼについては原産地呼称シャンパーニュの明細書が造り方を書き分けており、そちらはロゼシャンパンとは|安い〜高級のおすすめ在庫30本で扱っています。スティルのロゼと同じ数え方にはなっていません。
ロゼと一緒に選ばれるワインの品揃え

ロゼを一本足したい、贈る相手の好みが分からないので白と赤も見ておきたい、というご相談を多くいただきます。ここには当店のワインの品揃えから、ロゼ以外も含めて並べています。当日十四時までのご注文で当日発送します。
「ロゼワインとは|作り方・度数・選び方を条文から」に関連するおすすめ商品
ここではワインの在庫から一部を掲載しています。価格・在庫・箱の有無は各商品ページでご確認いただけます。
ロゼ三十行をタイプ・産地・甘辛で比べる

下の表は三十行あり、前半十四行がロゼの産地とタイプ(泡を一行含む)、後半十六行が当店在庫のロゼ・シャンパーニュです。当店はスティルのロゼを常時在庫していないため、前半には販売価格ではなく参考の価格帯だけを置いています。後半は当店サイトの税込表示価格で在庫のあるものに限り、価格帯ごとの選び方はロゼシャンパンとは|安い〜高級のおすすめ在庫30本に譲ります。
表の見方は二つあります。ひとつは甘辛で、ロゼ・ダンジュやホワイトジンファンデルの甘口から、プロヴァンスやタヴェルの辛口までが並びます。もうひとつは色の濃さで、淡いサーモンピンクの側と、軽い赤に近い濃色の側があります。この二つは連動しません。濃いから甘い、淡いから辛い、という関係は制度の側にも実務の側にもありません。
価格は2026年6月時点の参考値で、スティルロゼの定番銘柄は楽天・Amazonの実勢価格帯、ロゼ・シャンパンはリンクサス酒販の販売価格帯を目安にしている。ロゼワインやシャンパンはオープン価格・ヴィンテージ品が中心のためメーカー定価は掲載していない。容量(375ml/750ml/1500ml)や年、箱の有無で価格は変動する。在庫・価格の最新情報は各リンク先で確認してほしい。最安値を保証する一覧ではない。
「赤と白を混ぜたロゼは禁止」は、どのワインについて書かれた一文か

この記事の以前の版は、本文とよくある質問の両方で「EUでは赤ワインと白ワインを混ぜてロゼを造ることは原則として認められておらず、ロゼ・シャンパンだけが例外的に赤ワインのブレンドを許されている」と書いていました。原文に当たると、この説明は条文とずれています。以前の版の記述は取り下げます。
この一文が向いているのは、呼称を持たないワインの側だけ
該当するのは委任規則(EU)二〇一九/九三四号の第八条第一項第二副段で、書かれているのは行為の禁止ではなく結果の否定です。フランス語の正文はこうです。「Le coupage d'un vin blanc ne bénéficiant pas d'une AOP/IGP avec un vin rouge ne bénéficiant pas d'une AOP/IGP ne peut pas produire un vin rosé.」。呼称を持たない白と、同じく呼称を持たない赤とのコーパージュは、ロゼワインを生じさせることができない。主語の両方に「呼称を持たない」がかかります。原産地呼称を持つワインは、初めからこの一文の外側にいます。
ですから、原産地呼称を持つシャンパーニュのロゼは、例外なのではなく初めから対象外です。この条文の射程と、続く第三副段が何を排除しないと言っているのかはロゼシャンパンとは|安い〜高級のおすすめ在庫30本で条ごとに追っています。
フランスの業際団体の説明も、カテゴリーを限って書いている
フランスの業際団体アニヴァン・ド・フランスが配っている二〇二一年四月の資料は、この条文をこう言い換えています。「Peut-on produire du Vin De France rosé en recourant au coupage ?」に対して「Non, le coupage d'un vin blanc de la catégorie Vin De France avec un vin rouge de la catégorie Vin De France ne peut pas produire un vin rosé.」。主語はどちらも「ヴァン・ド・フランスというカテゴリーの」白と赤です。この一文が向くのも、呼称を持たないワインの側だけです。
いっぽう、プロヴァンスワイン業際評議会は「A rosé wine is not a blend of red and white wine!」と条文を引かずに断定しています。産地の実務としてはそのとおりでも、条文が書いていることより広い言い方です。売り場で見かける「原則禁止」という表現は、この広いほうの言い方が独り歩きしたものだと考えられます。
数字と条件の欄では、ロゼは四か所とも白と同じ側にいる

委任規則(EU)二〇一九/九三四号の現行統合版で、ワインの色としてのロゼが出てくる箇所は六つあります。前の章で見た第八条の一文がそのひとつ。もうひとつはコーパージュを定義した第七条で、その第二項の末尾が「For the purposes of this paragraph, rosé wine shall be regarded as red wine.」、本項の適用上ロゼは赤ワインとして扱う、と書きます。残る四つは、すべて数値か使用条件の欄です。そして四つとも、ロゼは白と同じ行に入っています。
亜硫酸の上限は、白と同じ二〇〇と二五〇
附属書I第B部Aの第一項は、発泡性ワインと酒精強化ワイン以外のワインについて総亜硫酸の上限をこう置きます。「(a) 150 milligrams per litre for red wines; (b) 200 milligrams per litre for white and rosé wines.」。フランス語の正文も「200 milligrammes par litre pour les vins blancs et rosés.」です。糖分がグルコースとフルクトースの合計で一リットルあたり五グラム以上のワインについては第二項が上限を引き上げ、「(a) 200 milligrams per litre for red wines; (b) 250 milligrams per litre for white and rosé wines」となります。第二項にはさらに三〇〇ミリグラムの段もありますが、そこにロゼの名前はありません。
赤より五十ミリグラムずつ高い。官報初出版の前文は、この上限を国際機関の数値に合わせたと書くだけで、なぜ赤だけが低いのかには触れていません。分かるのは、線を二本引いたときにロゼが白と同じ側に置かれたという事実だけです。日本の側では二酸化硫黄が果実酒一キログラムにつき〇・三五グラム以上残存しないよう定められており、こちらは色で分かれていません。日本の数字の立て方は酸化防止剤とは|亜硫酸塩6品目と果実酒0.35g/kgの根拠で扱っています。
揮発酸の上限も、白と同じ十八ミリ当量
同じ附属書の第C部は揮発酸の上限を三つに分けます。「(a) 18 milliequivalents per litre for partially fermented grape must; (b) 18 milliequivalents per litre for white and rosé wines; or (c) 20 milliequivalents per litre for red wines.」。ここでも赤だけが二十で、白とロゼが十八です。三つの区分のうち色で分かれるのは (b) と (c) で、ロゼは白の側です。日本の地理的表示の生産基準にも、揮発酸値を白とロゼで同じ側に置いた欄があります。
使ってよい物質の欄でも、ロゼは白と同じ行に入る
数値だけではありません。附属書I第A部の表2は認可物質を並べた表で、その第六・一一項はカルボキシメチルセルロースについて「Only to ensure tartaric stabilisation.」と用途を限り、適用対象の欄は「White and rosé wines」に発泡性の六区分が続きます。フランス語版は「Vins blancs et rosés」です。スティルの赤には使えません。
同じ表には逆向きの行もあります。第六・六項のフィチン酸カルシウムは「Only for red wines and no more than 8 g/hl.」で、赤ワイン専用です。つまりこの表は色を条件にした行を複数持っており、そのうちロゼの名前が出るのは第六・一一項だけで、そこではロゼは白の側です。
色の濃さを数値で押さえた明細書が、ローヌにある

EUの規則にはロゼの色を測る数字がありません。ところが、産地ごとの明細書まで降りると、読んだ二枚の一方にありました。ローヌのタヴェルです。二〇一一年十一月十六日のデクレ第二〇一一―一五七一号を、二〇一七年四月二十四日のアレテが改正したものが現行版で、フランス農務省の公報に二〇一七年五月四日付で載っています。
「ロゼだけ」と書いた第III節と、吸光度で線を引いた第IX節
第一章第III節はこう書き出します。「L'appellation d'origine contrôlée « Tavel » est réservée aux vins tranquilles rosés.」。原産地呼称タヴェルは、スティルのロゼワインに限られる。名乗れるのはロゼだけで、白も赤もありません。
数字が出るのは第一章第IX節1°b)の分析基準です。「une intensité colorante modifiée (DO 420 nm + DO 520 nm + DO 620 nm) comprise entre 0,50 et 3」。四二〇ナノメートル、五二〇ナノメートル、六二〇ナノメートルの三つの波長で測った吸光度の和が、〇・五〇以上三以下であること。これは言葉の説明ではなく、機械で測って合否が出る線です。下限があるので薄すぎてもいけません。色を呼称の入口にした明細書はほかにもありますが、数値で押さえているのはこちらの側です。
同じ明細書は、造りのほうにも三つの禁止を置いている
タヴェルの明細書は数値の線だけでなく、造りにも線を引きます。第一章第IX節1°c)は「L'utilisation de morceaux de bois est interdite」、木片の使用を禁じ、続けて「L'utilisation de charbons à usage œnologique, seuls ou en mélange dans des préparations, est interdite」、醸造用木炭を単独でも配合品に混ぜてもいけないとします。同項は補糖後の総アルコール度数についても「Les vins ne dépassent pas, après enrichissement, le titre alcoométrique volumique total de 13,5 %」と上限を置きます。さらに同節1°d)が「Les pressoirs continus sont interdits.」、連続圧搾機を禁じています。
品種の側には「Les vins sont issus d'un assemblage dans lequel le cépage grenache N est obligatoirement présent.」、グルナッシュ・ノワールを必ず含むアッサンブラージュであること、という定めがあります。なお、白ワインと赤ワインを混ぜることの可否については、この明細書に coupage という語が一度も出てきません。禁止も許可も書かれていない、というのが実測です。
脱色に使う木炭は、同じ国の中で答えが割れている

ロゼは、色を付ける酒であると同時に、色を抜く処理の可否が問われる酒でもあります。そこで出てくるのが醸造用の木炭です。ところがこの一点について、読んだ二枚は、同じ国の中で線を三か所で引き直していました。
タヴェルは全面禁止、コート・ド・プロヴァンスは二割まで
前の章で見たとおり、タヴェルは醸造用木炭を単独でも配合品でも禁じています。いっぽうコート・ド・プロヴァンスの明細書は、逆に条件付きで認めています。現行版は二〇二六年四月二十七日のアレテによるもので、同月三十日の官報に載り、農務省の公報には五月七日付で掲載されています。その第一章第IX節の醸造の項はこう書きます。
「Pour l'élaboration des vins rosés, l'utilisation des charbons à usage œnologique est autorisée pour les moûts et vins nouveaux encore en fermentation issus de presse, dans la limite de 20 % du volume de vins rosés élaborés par le vinificateur concerné, pour la récolte considérée.」。ロゼの製造については、圧搾に由来する果汁とまだ発酵中の新酒に限り、当該醸造者がその収穫年に造るロゼの容量の二十パーセントまで、醸造用木炭の使用が認められる、という規定です。
同じ明細書の中で、補完地理名の五つだけが禁止に戻る
三か所目の線は、同じコート・ド・プロヴァンスの明細書の中にあります。すぐ次の一文がこうです。「Pour l'élaboration des vins rosés susceptibles de bénéficier des dénominations géographiques complémentaires « Cru Sainte-Victoire », « Fréjus », « La Londe », « Pierrefeu » et « Notre-Dame des Anges », l'utilisation des charbons à usage œnologiques, seuls ou en mélange dans des préparations, est interdite.」。五つの補完地理名を名乗りうるロゼについては、木炭は単独でも配合品でも禁止されます。
つまり、同じ呼称の中で、上位の名を名乗る区画だけが厳しいほうへ戻ります。全面禁止のタヴェル、二割まで認めるコート・ド・プロヴァンス、その中でさらに禁止へ戻る五つの補完地理名。同じ国の、同じロゼについて、線が三か所で引き直されています。
国際機関の規範も、仕上がった赤とロゼだけを外している
国際ぶどう・ぶどう酒機構の国際ぶどう酒醸造規範は、ワインの炭素処理という項目に但し書きを付けています。「The processing shall not: • Serve to de-colour red wine or rosé」。赤ワインやロゼの脱色に用いてはならない、という一文で、使用量の上限も「The quantity of dry carbon used shall be less than 100 g/hl of wine.」と置かれています。ただし同じ規範は果汁への炭素処理を色の補正として認めており、外しているのは仕上がった酒のほうです。コート・ド・プロヴァンスが認めるのもそこまでで、国際機関とは線が揃います。揃っていないのは、同じ国の二枚のほうです。
白のマセラシオンは定義したのに、ロゼは定義していない

定義が無いのはEUの規則だけではありませんでした。明細書は線を引きますが、色の定義そのものは読んだ範囲のどこにもありません。となると、次に見るべきは国際機関です。国際ぶどう・ぶどう酒機構は、醸造の方法と表示について国際的な規範を出している政府間機関です。EUの規則が認可物質の欄で参照している技術資料も、この機構が作っています。
定義の章に置かれているのは、糖分と炭酸ガスと基本の三つだけ
同機構の国際ぶどう酒醸造規範の第一部は定義の章です。「3. WINES」の下にあるのは、基本の定義、糖分による区分、炭酸ガス含有量による区分の三つだけで、色による区分はありません。続く「4. SPECIAL WINES」には九つの項目が並びますが、そこにもロゼはありません。表示に関する国際標準に至っては、rosé という語が全文で零件です。
その九番目に、白のマセラシオンだけが定義されている
ここが目を引くところです。特殊なワインの九番目には「White wine with maceration」、マセラシオンを経た白ワインが置かれています。二〇二〇年の決議で加わったもので、日本では一般にオレンジワインと呼ばれる造りに対応します。白ぶどうの果皮と一緒に漬け込む造りには定義を与えたのに、黒ぶどうの果皮と短く接触させる造りには与えていない。
いっぽう、同機構が主催を認めるコンクールの標準には「CATEGORY II – ROSÉ WINES」という区分が実在します。ただしそこでも定義は置かれず、下位区分は糖分と炭酸ガスの圧力だけで切られています。審査の順番として「3. Sparkling rosés」「4. Still rosés」が指定されているだけです。
名前を持つのに、中身を書いてもらえない色
ここまでを並べると形がはっきりします。ロゼという名前は、EUの規則にも、フランスの明細書にも、国際機関のコンクール標準にも出てきます。亜硫酸の欄にも、揮発酸の欄にも、認可物質の欄にも出てきます。それでいて、その名前が何を指すのかを書いた文は、どこにもありません。色は測れば数字が出ますし、実際にタヴェルの明細書は吸光度で測っています。測れるのに、上位の制度はどこも測っていません。
度数と甘辛|ラベルのどこを先に見ると迷わないか

ここまで見てきたとおり、ロゼという色そのものは制度の中で数字を持ちません。ですから選ぶときも、色から入るより、数字が書いてある欄から入るほうが早く決まります。ラベルで確実に数字が読めるのは度数の欄です。
度数の欄は、税の区分の側から書かれている
日本で売られるワインの度数表示は、酒税法の品目とつながっています。酒税法第三条第十三号は果実酒を「次に掲げる酒類でアルコール分が二十度未満のもの」と定め、果実に糖類やブランデー等を加えた型については「アルコール分が十五度以上のものその他政令で定めるものを除く」としています。この十五度は糖類やブランデー等を加えた型にだけかかる線で、味わいではなく品目を分ける線です。
書き方の細かい約束は法令ではなく通達の側にあり、ラベルの度数は幅を持ちます。国税庁の説明資料は果実酒などについて「アルコール分±1度の範囲内で『アルコール分○○度』(1度単位又は0.5度刻みにより表示する。)と表示しても差し支えありません」としています。刻みと許容の決まり方はワインのフルボディとはで詳しく追っています。ワイン全体の度数の分布はワインのアルコール度数の平均は?赤・白・スパークリングの度数の違いにまとめています。
甘辛は、色ではなく表記と産地で見当をつける
上の表に並べた産地では、度数は十度から十三度台に収まります。甘辛のほうは、スティルのロゼに共通の表示ルールがありません。手がかりになるのは産地と品名です。ロワールのロゼ・ダンジュ、カリフォルニアのホワイトジンファンデルは甘口寄りに造られることが多く、プロヴァンス、タヴェル、スペインのロサードは辛口寄りです。表の「タイプ」の列は、この見当を並べたものです。
色の濃さは、甘辛の手がかりにはなりません。タヴェルは濃色ですが辛口です。迷ったら、まず度数、次に産地、最後に色、の順で見てください。
泡のロゼを選ぶときだけ、見る欄が一つ増える
発泡性のロゼは、亜硫酸の上限がスティルとは別の欄になります。附属書I第B部Cは発泡性ワインについて、品質発泡性ワインのすべての区分に一リットルあたり一八五ミリグラム、その他の発泡性ワインに二三五ミリグラムという上限を置きます。ここには色による区分が一つもありません。白のシャンパーニュもロゼのシャンパーニュも同じ数字です。泡のロゼの選び方はロゼシャンパンとは|安い〜高級のおすすめ在庫30本で扱っています。
飲まないワインの査定・買取はリンクサス酒販へ

贈答でいただいたまま置いてある、記念に取っておいたが飲む機会がない、というご相談を日常的にお受けしています。販売と買取を同じ担当が見ているので、売り場の値付けと査定の感覚が離れにくいのが当店の形です。
査定で見ているのは、色ではなく状態と付属品
この記事で見てきたとおり、日本の制度はロゼの色に数値を与えていません。査定で見ているのは、呼称と造り手、ラベルに印字された年、液面の位置、ラベルとキャップシールの状態、そして化粧箱や冊子といった付属品の有無です。色が淡いか濃いかは、査定の項目になりません。
年号入りの高額帯では、箱の有無で結果が変わることがあります。外箱、内箱、冊子、首に掛かるタグまで揃っていれば、そのままお持ちください。
保管の状態を伝えていただけると早く進みます
横置きか立てていたか、冷蔵庫だったかセラーだったか、直射日光の当たる場所を経ていないか。この三点を先に伺えると、確認の往復が減ります。淡い色のロゼは熱と光の影響が見た目に出やすいので、履歴は白と同じくらい気にしていただいて構いません。
販売のご相談も同じ窓口で承ります。ロゼを含む品揃えはワインのコレクションにあります。当日十四時までのご注文で当日発送します。
ロゼワインに関するよくある質問

ロゼワインとは何ですか。
多くは黒い果皮のぶどうを使い、果皮から色を少しだけ移して造るピンク色のワインです。ただし、その色をどこからどこまでとするかを定義した条文は、日本の法令にもEUの規則にも見当たりませんでした。EUの基本規則である規則(EU)一三〇八/二〇一三号には、ワインの色としてのロゼが全文で一度も出てきません。定義が無いかわりに、亜硫酸や揮発酸の上限といった数値の欄には、ロゼの名前が繰り返し出てきます。
ロゼワインは赤と白を混ぜて造るのですか。
ふつうは混ぜません。ただし「EUでは原則禁止で、ロゼ・シャンパンだけが例外」という説明は条文とずれています。委任規則(EU)二〇一九/九三四号の第八条第一項第二副段が書くのは「呼称を持たない白と、同じく持たない赤とのコーパージュはロゼワインを生じさせない」で、主語の両方に「持たない」がかかります。原産地呼称を持つワインは初めからこの一文の外側にいます。シャンパーニュを名指しした語は、英語版にもフランス語版にもありません。
同じEUの規則で、ロゼは赤と白のどちらに分類されるのですか。
箇所によって逆になります。コーパージュを定義した第七条の第二項は末尾に「For the purposes of this paragraph, rosé wine shall be regarded as red wine.」と書き、本項の適用上ロゼを赤として扱います。いっぽう亜硫酸の上限が二か所、揮発酸の上限、カルボキシメチルセルロースの使用条件という四つの欄では、ロゼはいずれも「white and rosé wines」として白と同じ側に置かれています。同じ一本の規則の中で、言葉の扱いと数字の扱いが逆を向いています。
ロゼの造り方は何通りですか。
資料によって数が違います。フランスぶどう・ワイン研究所の実務資料は見出しを「Saignée ou pressurage direct ?」とし、マセラシオンを圧搾の側に畳んで二つに数えます。プロヴァンスワイン業際評議会は「skin maceration or direct press」の二つを主要な方法とし、セニエは他地域で使われる三つ目として数の外に置きます。両方とも「二つ」と言いながら、残る一つが入れ替わっています。国際ぶどう・ぶどう酒機構の醸造規範には、造り方を数え上げた箇所そのものがありません。
ロゼワインの色の濃さに基準はありますか。
EUの規則にはありませんが、産地の明細書には一枚見つかりました。ローヌの原産地呼称タヴェルは、分析基準の項に「une intensité colorante modifiée (DO 420 nm + DO 520 nm + DO 620 nm) comprise entre 0,50 et 3」と定め、三つの波長で測った吸光度の和を〇・五〇以上三以下に収めるよう求めています。下限があるので、薄すぎても名乗れません。コート・ド・プロヴァンスの明細書には、同じ種類の数値の欄がありません。
ロゼワインのアルコール度数はどれくらいですか。
上の表に並べた産地では、十度から十三度台が中心です。制度の側では、酒税法第三条第十三号が果実酒を「アルコール分が二十度未満のもの」と定め、糖類やアルコールを加えた型については十五度以上を除いています。この十五度は加えた型にだけかかる線で、味わいの線ではありません。ラベルの数字は、国税庁の説明資料が果実酒などについて一度単位または〇・五度刻みでの表示を認めているため、実測値そのものとは限りません。
ロゼは白と赤のどちらに近い扱いをすればよいですか。
数字の欄では白と同じ側です。委任規則(EU)二〇一九/九三四号は総亜硫酸の上限を赤ワインに一リットルあたり一五〇ミリグラム、白およびロゼに二〇〇ミリグラムと置き、糖分が五グラム以上のワインでは赤を二〇〇ミリグラム、白およびロゼを二五〇ミリグラムに引き上げます。揮発酸の上限も赤が二十ミリ当量、白およびロゼが十八ミリ当量です。数字の欄では一貫して白と同じ側です。
ロゼの色を薄くする処理は認められているのですか。
産地によって答えが割れます。タヴェルの明細書は醸造用木炭を単独でも配合品でも禁じています。コート・ド・プロヴァンスの明細書は、圧搾に由来する果汁と発酵中の新酒に限り、その醸造者がその年に造るロゼの容量の二十パーセントまで認めます。ただし同じ明細書の中で、五つの補完地理名を名乗りうるロゼについては禁止に戻ります。国際ぶどう・ぶどう酒機構の醸造規範は、仕上がった赤とロゼの脱色だけを外し、果汁への炭素処理は認めています。
日本の制度は、ロゼの色に数字を与えていますか。
法令の側は与えていません。ワインの色としての「ロゼ」は法律・政令・省令にありません。e-Gov法令検索の全法令横断検索で「ロゼ」を引くと七本が返りますが、内訳は木材のパリッサンドルロゼ、カメレオン科の一種の和名の一部、フランスのロゼール県、農薬名で、酒に関わるものは一本もありません。「ロゼワイン」で引くと零件です。二酸化硫黄は果実酒一キログラムにつき〇・三五グラム以上残存しないよう定められていますが、この数字は色で分かれていません。






































