チョコレートリキュールとは|「カカオ分35%」も度数の下限も、この酒には無い

チョコレートリキュールとは|「カカオ分35%」も度数の下限も、この酒には無い

17%から25%まで、公式が公表している数字だけで1.47倍の開きがある。しかも度数をまったく公表していないブランドがいくつもある。甘いお酒の話なのに、下限を決めた条文が日本にもEUにもアメリカにも無いからだ。棚の瓶を一本ずつ確かめていくと、名前そのものが法令のどこにも書かれていないことが分かってくる。

それでもこの酒は売られていて、度数もカロリーも「だいたいこのくらい」と語られている。その「だいたい」がどこから来ているのかを、条文と公式の商品ページに戻って確かめた。分かったのは、公表されていない数字が想像よりずっと多いということだった。

「チョコレートリキュール」は、法律のどこにも書かれていない名前

「チョコレートリキュール」は、法律のどこにも書かれていない名前
各種チョコレートを並べたところ

まず日本から。酒税法(昭和二十八年法律第六号)の全文をe-Gov法令APIから取得し、条文テキストを連結して機械で数えた。実測10万5,070字に対して「チョコレート」0件、「ココア」0件、「カカオ」0件。ひらがなの「かかお」も0件だった。日本の酒の法律は、この飲み物を名指ししていない。

では何に当たるのか。受け皿は第3条第21号の「リキュール」で、条文はこう書いている。

酒類と糖類その他の物品(酒類を含む。)を原料とした酒類でエキス分が二度以上のもの(第七号から第十九号までに掲げる酒類、前条第一項に規定する溶解してアルコール分一度以上の飲料とすることができる粉末状のもの及びその性状がみりんに類似する酒類として政令で定めるものを除く。)をいう。

度数の下限は書かれていない。あるのは「エキス分が二度以上」だけで、その定義は第3条第2号にある。

温度十五度の時において原容量百立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数をいう。

2度は1リットルあたり20gである。2度未満なら第3条第20号の「スピリッツ」に落ちる。日本の法律がこの酒について言っているのは、突き詰めると「1リットルあたり20g以上の不揮発性成分があればリキュール」という一点だけである。

品目そのものの成り立ちはリキュールを条文から読む記事にある。

クレーム・ド・カカオは、EUの規則で乳を使えない

クレーム・ド・カカオは、EUの規則で乳を使えない
カカオパウダーと生チョコレート

日本の条文が沈黙している一方で、EUには数字がある。規則(EU)2019/787の統合版(02019R0787、2024年5月13日版)を取得して附属書Iの44カテゴリーを全部確認した。カカオが載っているカテゴリーは無い。附属書I本文6万9,043字に cacao 0件・cocoa 0件・chocolate 0件、規則全体16万1,019字で数え直しても0件だった。

では「クレーム・ド・カカオ」はどこに入るのか。第34類「Crème de(使用した果実その他の原料名を付す)」という一般形である。

Crème de (supplemented by the name of a fruit or other raw material used) is a liqueur which has a minimum content of sweetening products of 250 grams per litre expressed as invert sugar.

The minimum alcoholic strength by volume of crème de (supplemented by the name of a fruit or other raw material used) shall be 15 %.

The raw materials used shall exclude milk and milk products.

三つ目が効いてくる。クレーム・ド・カカオを名乗る限り、乳と乳製品は原料に使えない。「クレーム」は生クリームのことだと説明されることがあるが、条文はその原料を除くと定めている。しかも第33類「Liqueur」には、乳を含む側についての規定がある。

without prejudice to point (2) of Article 3, point (b) of Article 10(5) and Article 11, for liqueurs containing milk or milk products, the legal name may be ‘cream’ supplemented by the name of the raw material used conferring on the liqueur its predominant flavour, with or without the term ‘liqueur’.

第33類のほうは、乳や乳製品を含むリキュールに英語の「cream」を名乗ることを認める規定である。一方の第34類は、クレーム・ドを名乗るなら乳を除けと定める。綴りは似ているのに、条文が向いている方向は反対で、棚で隣り合う「クレーム・ド・カカオ」と「チョコレートクリームリキュール」はEU法の上では別の条に立っている。

糖分の下限にも段差がある。第33類は1リットルあたり100g以上(さくらんぼ系70g、ゲンチアナ・ニガヨモギ系80g)、第34類は250g以上。固有名で名指しされているのは crème de cassis の「400gを超えるもの」だけで、規則全文の crème de 4件はすべて第34類の中にある。crème de cacao という語は条文に一度も書かれていない。

もう一つ、直感と逆になる点がある。第33類は香りづけの手段を限定する銘柄群を列挙していて、植物系は génépi・gentian・mint・aniseed の四つだけである。カカオはこの四つに入っていない。香料を厳しく縛られるのはミントのほうで、カカオ側は緩い側に置かれている。ミント側の制度はグラスホッパーの記事で追った。

カカオ系リキュールを買うときに一緒に考えることになるのがベース酒である。後で見るとおり、国際バーテンダーズ協会がアレキサンダーで指定しているのはコニャック——つまりブランデーで、当店の在庫は下の一覧から確認できる。

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ここではブランデーの在庫から一部を掲載しています。価格・在庫・箱の有無は各商品ページでご確認いただけます。

アメリカは同じ酒をまったく別の線で切っている

アメリカは同じ酒をまったく別の線で切っている
ショットグラスにリキュールを注ぐ

アメリカの規則は連邦規則集27編第5部(TTB)にある。eCFRのAPIから2026年8月4日時点の全文を取得した。該当は §5.150、見出しは Cordials and liqueurs. である。

Cordials and liqueurs are flavored distilled spirits that are made by mixing or redistilling distilled spirits with or over fruits, flowers, plants, or pure juices therefrom, or other natural flavoring materials, or with extracts derived from infusions, percolation, or maceration of such materials, and containing sugar (such as sucrose, fructose, dextrose, or levulose) in an amount of not less than 2.5 percent by weight of the finished product.

糖の下限は2.5重量パーセント。EU第33類は1リットルあたり100g以上を求めるので、単位も基準も揃わない。さらにこのクラス全体には最低アルコール度数が置かれていない。度数の下限が書かれているのはライ/バーボン系30%、ロック系24%、ラム・ジン・ブランデー系30%の三行だけである。「Crème de」も型として登場するが、書きぶりは一行しかない。

Crème de — A liqueur/cordial where the blank is filled in with the predominant flavor (for example, Crème de menthe is mint flavored liqueur/cordial.)

糖分の上乗せも度数の指定も無く、例に挙がるのはクレーム・ド・マント(ミント)ただ一つ。カカオは例示にすら入っていない。実際、第5部の本文17万8,721字に対して cacao・cocoa・chocolate はいずれも0件だった。

糖が2.5%に届かない製品は §5.156 の「Distilled spirits specialty products」に落ち、組成表示と独自の名前で売ることになる。「チョコレートリキュール」は、米国では規格の名前ではなく販売上の名前として扱われうる。

「チョコレート」を名乗る条件は、お酒には及ばない

「チョコレート」を名乗る条件は、お酒には及ばない
チョコレートを使ったデザート

「チョコレート」と名乗るにはカカオ分35%以上が要る。根拠はチョコレート類の表示に関する公正競争規約(現行版は令和6年10月1日施行)の第2条第12項第1号である。

チョコレート生地 カカオ分が全重量の35パーセント以上(ココアバターが全重量の18パーセント以上)であって、水分が全重量の3パーセント以下のもの(ただし、カカオ分が全重量の21パーセントを下らず(ココアバターが全重量の18パーセント以上)、かつ、カカオ分と乳固形分の合計が全重量の35パーセントを下らない範囲内(乳脂肪が全重量の3パーセント以上)で、カカオ分の代わりに、乳固形分を使用することができる。)

「チョコレート」という種類別名称そのものは第2条第2項が決めている。

この規約において「チョコレート」とは、チョコレート生地のみのもの及びチョコレート生地が全重量の60パーセント以上のチョコレート加工品をいう。

問題はこの規約がチョコレートリキュールに及ぶかである。規約には「適用範囲」という条が無く、射程は第2条第1項の列挙で閉じている。

この規約において「チョコレート類」とは、チョコレート、準チョコレート、チョコレート菓子、準チョコレート菓子、カカオマス、ココアバター、ココアケーキ、ココアパウダー(ココア)及び調整ココアパウダー(調整ココア)をいう。

九つとも固形か粉末で、飲料は一つも入っていない。さらに施行規則の別表は、チョコレート加工品から外すものの最終行に「パン類、冷凍食品、飲料」を置く。飲料は明示的に枠の外である。

裏づけはもう一つある。消費者庁の公正競争規約一覧(令和5年3月22日現在)では、表示に関する規約が「食品一般 36規約」と「酒類 7規約」に分かれる。酒類側はビール・輸入ビール・ウイスキー・輸入ウイスキー・泡盛・酒類小売業・単式蒸留焼酎の7つで、リキュールの規約は存在しない。チョコレート側は食品一般の中に「チョコレート類」と「チョコレート利用食品」の2本がある。

国際規格も同じ結論になる。Codexのチョコレート規格CXS 87-1981(Rev.1-2003)は適用範囲を chocolate and chocolate products intended for human consumption and listed in Section 2 と第2節の製品に限定し、第2節は固形チョコレートしか挙げていない。本文2万8,132字に liqueur・alcohol・spirit がいずれも0件である。

まとめると、「カカオ分35%以上」はチョコレートリキュールには適用されない。瓶の中身のカカオ分を名乗りの条件として問う制度は無い。

公式が公表している度数を、公表していない銘柄ごと並べる

公式が公表している度数を、公表していない銘柄ごと並べる
バーに置かれたカクテルグラス

制度が数字を決めていないなら、実際の数字はメーカーの公表値を見るしかない。主要ブランドの公式ページを一件ずつ当たった。

銘柄 産地 度数 公表の状態 確認先
ジファール クレーム・ド・カカオ ブラウン フランス 25% 公表 giffard.com
ジファール クレーム・ド・カカオ ホワイト フランス 25% 公表 giffard.com
ボルス クレーム・ド・カカオ ブラウン 公式に記載なし 24% 公表 アサヒビール
ボルス クレーム・ド・カカオ ホワイト 公式に記載なし 24% 公表 アサヒビール
テンプスフュジット クレーム・ド・カカオ 公式に生産国の記載なし 24% 公表 公式ページ
マリーブリザール ブラウン ココア フランス 20% 公表 mariebrizard.com
マリーブリザール ホワイト ココア フランス 20% 公表 mariebrizard.com
マリーブリザール ショコラ ロイヤル フランス 17% 公表 mariebrizard.com
マリーブリザール ホワイト チョコレート ロイヤル フランス 17% 公表 mariebrizard.com
モーツァルト コーヒー チョコレート オーストリア 17% 公表(題名のみ) 公式ページ
モーツァルト ココナッツ チョコレート オーストリア 15% 公表(題名のみ) 公式ページ
モーツァルト クリーム チョコレート オーストリア 非公表 記載なし
モーツァルト ホワイト チョコレート オーストリア 非公表 記載なし
モーツァルト ダーク チョコレート オーストリア 非公表 記載なし
モーツァルト ストロベリー チョコレート オーストリア 非公表 記載なし
モーツァルト パンプキンスパイス チョコレート オーストリア 非公表 記載なし
ディカイパー(カカオ系) 非公表 製品ページ未確認
ゴディバ(チョコレートリキュール) 掲載が無い 公式2サイト0件
ルクサルド(カカオ系) イタリア 製品が無い 公式24品0件

公表値だけを並べると17%から25%まで1.47倍の開きがある。「クレーム・ド・カカオは20〜25%」という言い方は、マリーブリザールの17%を外して初めて成り立つ。そしてモーツァルトは公式7品のうち5品が度数非公表である。

ゴディバに至っては、公式サイトのどこにもチョコレートリキュールが載っていない。godiva.com の検索で「liqueur」は2件出るがどちらも板チョコで、日本語サイトの商品検索でも0件だった。度数を確認しようにも一次資料が存在しない。

純アルコール量の換算式はアサヒビールの商品ページに明記されている。

純アルコール量(g) = 内容量(ml) × アルコール分(%)/100 × 0.8

ボルスは24%なので30mlで 30×0.24×0.8=5.76、表示は5.8g。同ページが引く「健康日本21」の目安が1日20g程度だから、20÷5.76=3.4730mlのショットおよそ3.5杯分に当たる。同じ式はシングルとダブルの記事でも使った。

同じ会社が「カカオ」20%と「チョコレート」17%を別に売っている

同じ会社が「カカオ」20%と「チョコレート」17%を別に売っている
ウイスキーとチョコレートを合わせる

呼び名の問題は、思っていたより制度的だった。公式が自社製品をどう呼ぶかを逐語で拾うと三系統に割れる。

  • クレーム・ド・カカオと呼ぶ……ボルス(アサヒビール表記「ボルス クレーム・ド・カカオ ホワイト」)、ジファール(Crème de Cacao (white))、テンプスフュジット(Crème de Cacao
  • ココアとだけ呼ぶ……マリーブリザール(Brown cocoaWhite cocoa
  • チョコレートリキュールと呼ぶ……モーツァルト(MILK CHOCOLATE LIQUEUR)、マリーブリザール(White Chocolate Royal

目を引くのはマリーブリザールで、一社で二系統を併用している。しかも呼び分けは趣味の問題ではない。Excellenceの「cocoa」を名乗る2品はどちらもABV 20%、Heroesの「chocolat/chocolate」を名乗る2品はどちらもABV 17%。同じ会社の製品でありながら、名前がカカオかチョコレートかで度数が3ポイント動く。

もう一つ、レシピの側でも二語は分かれている。アサヒビールのカクテルガイドをフリーワードで検索すると、「カカオ」で14件、「チョコレート」で6件がヒットし、重複は0件だった。ボルスのクレーム・ド・カカオ ホワイトを使う4件はすべて「カカオ」側に出て、「チョコレート」側には1件も出てこない。同じデータベースの中で、二語は一件も重ならない。

だから「チョコレートリキュールのカクテル」で探すと、空振りするのではなく別のレシピ群(ホットチョコレートワインやカティサーク&ホワイトチョコなど)が出てくる。クレーム・ド・カカオを使うレシピにたどり着きたいなら、探すべき語はカカオのほうである。名前と中身がずれる例はカクテルの定義をたどる記事でも扱った。

ホワイトとブラウンの違いは、色ではなく作り方

ホワイトとブラウンの違いは、色ではなく作り方
バーツールを並べたところ

クレーム・ド・カカオにはホワイトとブラウンがある。透明か茶色かの違いだと説明されがちだが、アサヒビールの商品ページは製法の違いとして書く。ブラウン側の逐語はこうだ。

カカオ豆からダークチョコレートのリッチなフレーバーを備えた成分を抽出して使用しています。そのため、蒸溜によってミルクチョコレートの味わいを生み出している「ボルス クレーム・ド・カカオホワイト」とは異なり、ダークチョコレートの味わいが備わっています。

ホワイトは蒸溜、ブラウンは抽出。色は結果であって原因ではない。そして度数は両方とも24%、容量700ml・参考小売価格1,940円(税別)まで一致する。違うのは作り方と、そこから来る味の方向だけである。

ジファールは書き方が違い、ホワイトは Liqueur made from natural cocoa flavouring.(香料)、ブラウンは Liqueur made from cocoa extract.(抽出物)と原料の側で分けている。蒸溜という語は使っていない。それでも度数は両方25%で揃う。二社とも、ホワイトとブラウンの間に度数差を置いていない。

テンプスフュジットは1銘柄だけで色の区別を置いていない。公式は19世紀のレシピを英仏の資料で突き合わせて再現したと書き、The raw cacao is distilled and the distillate is then macerated with additional cacao and crushed whole vanilla bean.——蒸溜してから、さらにカカオとバニラを漬け込むと説明する。蒸溜と抽出の両方をやっているので、二分法に収まらない。度数は24%である。

カロリーは、公的な資料からは出せない

カロリーは、公的な資料からは出せない
ウイスキーとチョコレートとチーズ

「1杯何kcalか」には正確に答える方法が無い。日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の混成酒類は12品目しか収載されていない。

  • 梅酒155/合成清酒108/白酒236/本みりん241/本直し179/薬味酒181
  • キュラソー319/スイートワイン125/ペパーミント300/ベルモット甘口151/ベルモット辛口113/缶チューハイ レモン風味51(いずれもkcal・可食部100g当たり)

この12品目に、チョコレートリキュールもカカオリキュールもクレーム・ド・カカオも入っていない。ところが同じ表にペパーミント300kcalは入っている

グラスホッパーで考えると分かりやすい。材料は三つ。ペパーミントは16030で引け、生クリームは13014「クリーム/乳脂肪」404kcalで引け、カカオだけが引けない。同じ一杯の中に、公的な数値がある材料と無い材料が混在している。

ついでに、チョコレートそのもののカロリーは意外な順序になる。成分表のチョコレート類は6品である。

食品番号 食品名 エネルギー
(kcal)
水分(g) たんぱく質(g) 脂質(g) 炭水化物(g)
15115 ホワイトチョコレート 588 0.8 7.2 39.5 50.9
15137 アーモンドチョコレート 562 (2.0) (11.4) (40.4) (43.3)
15116 ミルクチョコレート 550 0.5 6.9 34.1 55.8
15187 スイートチョコレート/カカオ増量 539 0.9 8.9 41.3 43.3
15186 スイートチョコレート 530 0.6 5.8 37.7 52.6
15114 カバーリングチョコレート 488 (2.0) (7.1) (24.3) (64.2)

ホワイトチョコレート588kcalが最高で、ミルクチョコレート550kcalを38kcal上回る。カカオマスを含まないほうが高い。「ダークのほうが軽い」という感覚は、少なくとも板チョコどうしの比較では成り立たない。ビター寄りのスイートチョコレートは530kcalで、ミルクより低いが差は20kcalしかない。6品で最も低いのは488kcalのカバーリングチョコレートで、これは生地そのものではなく被覆した菓子である。差を作っているのは脂質で、ホワイト39.5gに対しミルク34.1gだった。

ココアでも似たことが起きる。ピュアココア386kcalよりミルクココア400kcalのほうが高いのに、脂質はピュア21.6gに対してミルク6.8gで3分の1しかない。差は炭水化物(42.4g対80.4g)にある。ただしピュアココアの炭水化物には食物繊維総量23.9gが含まれるので、この差をそのまま糖の差と読むことはできない。換算係数の話は酒類のカロリーの記事でも扱った。

IBAの102品でカカオを使うのは2品だけ

IBAの102品でカカオを使うのは2品だけ
クラシックカクテルのグラス

国際バーテンダーズ協会(IBA)の公式カクテルは102品ある。一覧と個別ページを全件取得し、材料にカカオを含むものを数えた。2品しかない。

  • Alexander(The Unforgettables)……30 ml Cognac30 ml Crème de Cacao (Brown)30 ml Fresh Cream。仕上げは Sprinkle fresh ground nutmeg on top.
  • Grasshopper(Contemporary Classics)……20 ml Crème de Cacao (White)20 ml Crème de Menthe (Green)20 ml Fresh Cream

IBAは括弧でBrownとWhiteを書き分ける。アレキサンダーはブラウン、グラスホッパーはホワイトで、前節の「色を足すかどうか」がそのまま指定になっている。

そしてもう一つ。102品の全文に chocolate という語は0件だった。カカオは2件、上の2品の材料行だけである。国際的なレシピの体系は、この材料を「クレーム・ド・カカオ」としか呼ばない。

アサヒビールの公式レシピで、ボルスのクレーム・ド・カカオ ホワイトを使うものは4件ある。公表度数が全件出ているので、材料から計算して合うかを確かめた。

カクテル 材料(ml) 完成量 公表度数 検算 技法 グラス
グラスホッパー カカオ ホワイト20+ペパーミント グリーン20+生クリーム20 60ml 16.00% (20×24+20×24)÷60=16.00 シェイク カクテルグラス
グリーンホッパー カカオ ホワイト15+ペパーミント グリーン15+生クリーム15 45ml 16.00% (15×24+15×24)÷45=16.00 ビルド リキュールグラス
ホワイトカカオミルク カカオ ホワイト30+ミルク60 90ml 8.00% 30×24÷90=8.00 ビルド オールドファッションドグラス
ゴールデンキャデラック カカオ ホワイト20+ガリアーノ20+生クリーム20 60ml 22.00% (20×24+20×42)÷60=22.00 シェイク カクテルグラス

4件とも、材料のmlと度数を掛けて完成量で割ると公表値に小数第2位まで一致する。氷の溶け込みも生クリームの泡も入っていない。メーカー自身がそう数えている。

ここで公式ページ側の数字が合っていない箇所を見つけた。ゴールデンキャデラックのガリアーノ20mlの純アルコール量が「0g」と表示されている。ガリアーノは同じ社の商品情報で42%以上43%未満と公表されており、同社の式なら 20×0.42×0.8=6.72g のはずである。度数の計算には算入されているのに、材料欄の純アルコール量だけが0gになっている。

グラスホッパーとグリーンホッパーの関係も面白い。比率は1対1対1で同じ、公表度数もどちらも16.00%。違うのは分量(20ml対15ml)と技法とグラスだけである。グリーンホッパーの作り方は 材料を順にフロートしてプースカフェスタイルに仕上げます。 で、混ぜずに層にする。同じ配合が別の名を持つ根拠は、味ではなく技法にある。

飲み方と保存、そして飲みきれなかったとき

飲み方と保存、そして飲みきれなかったとき
ミルクを注ぐところ

24%前後という度数は、ワインより高くウイスキーよりだいぶ低い。ロックだと甘さが立つので割るのが素直である。アサヒの「ホワイトカカオミルク」は、カカオ30mlに牛乳60mlを合わせるだけで公表度数8.00%になる。リキュールml×度数÷全体ml で目安を出しておくと飲みすぎを防げる。

  • ミルク割り……1対2で8%前後。温めれば冬の飲み方になる。
  • ソーダ割り……同じ1対2で8%前後。甘さが残るので炭酸は強めが合う。
  • コーヒーに落とす……コーヒーリキュールの制度と成分の側から見ても近い位置にある組み合わせ。
  • アイスにかける……度数の計算は要らないが、瓶の減りは早い。

クリームを含むタイプは事情が違う。第34類が乳を排除している以上、裏を返せば「クレーム・ド」を名乗っていない製品にはクリームが入っていることがある。モーツァルトは公式の説明文で書き分けていて、ダークだけが Dark chocolate liqueur without cream (vegan, lactose and gluten-free)、ホワイトは rich cocoa butter and cream である。

飲みきれず棚に残ったリキュールや洋酒は、ブランデーのラインアップのとおり銘柄によっては評価が付く。リンクサス酒販では買取の相談も承っており、当日14:00までのご注文で当日発送に対応している。品揃えは商品一覧から。

チョコレートリキュールと周辺リキュール30銘柄の比較表

チョコレートリキュールと周辺リキュール30銘柄の比較表
色とりどりのカクテルグラス

ここまでで見たとおり、カカオ系のリキュールは度数を公表しているブランドとしていないブランドが混在している。下の表は、チョコレートリキュールとその周辺(クレーム・ド・カカオ、クリーム系、コーヒー系、ナッツ系、ミント系)を30銘柄集めたものである。

並べ替えができるので、Amazonや楽天での取り扱いがある銘柄から絞り込むと選びやすい。輸入リキュールは定価が公表されていない銘柄が多く、その場合は価格欄が空になる。アサヒビールが参考小売価格を出しているボルスのようなケースは、むしろ少数である。

チョコレートリキュール & 仲間のリキュール 比較表(30銘柄)
チョコレートリキュールとその周辺(クレーム・ド・カカオ、クリーム系、コーヒー系、ナッツ系、ミント系)30銘柄を横断比較。表には画像・銘柄とスコア・定価と市場相場の目安・特徴・リンクサス酒販での取り扱い・Amazon・楽天・買取の8項目を並べています。カカオ系リキュールは公式が度数を公表していないブランドが少なくないため、度数は本文の一覧表(公式ページで確認できたものだけを掲載)を参照してください。輸入リキュールの多くはオープン価格で定価が公表されていないため、定価欄は市場相場の目安を記載しています。
価格は 2026/08/24 更新
画像 銘柄・スコア 定価
市場相場
特徴 リンクサス酒販
本命
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フランス老舗のダークチョコ系。バニラとカラメルの余韻。

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13定番 ルクサルド クレーマ ディ カカオ 700ml
★★★☆☆3/ リンクサス専属ソムリエスコア
市場相場2,200〜3,000円台(700ml・実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

イタリアの名門が造るなめらかなカカオリキュール。

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14定番 ジファール クレーム ド カカオ ブラウン 700ml
★★★★☆4/ リンクサス専属ソムリエスコア
市場相場2,200〜3,000円台(700ml・実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

プロ御用達の本格カカオ。香り高くカクテル映え。

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15定番 ジファール クレーム ド カカオ ホワイト 700ml
★★★☆☆3/ リンクサス専属ソムリエスコア
市場相場2,200〜3,000円台(700ml・実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

ジファールの無色版。透明なチョコ系カクテルに。

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16定番 ヴェドレンヌ クレーム ド カカオ 700ml
★★★☆☆3/ リンクサス専属ソムリエスコア
市場相場1,800〜2,500円台(700ml・実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

ブルゴーニュの果実系名門が造るカカオ。やさしい甘み。

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17定番 ドーバー カカオ ブラウン 700ml
★★★★☆4/ リンクサス専属ソムリエスコア
市場相場1,300〜1,800円台(700ml・実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

国産の定番。製菓にも使える信頼のカカオリキュール。

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18定番 ドーバー カカオ ホワイト 700ml
★★★☆☆3/ リンクサス専属ソムリエスコア
市場相場1,300〜1,800円台(700ml・実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

国産の無色カカオ。色を付けたくない製菓・カクテルに。

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19定番 モンテオエステ チョコレートリキュール 700ml
★★★☆☆3/ リンクサス専属ソムリエスコア
市場相場1,300〜1,800円台(700ml・実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

ベルギーチョコ使用のコスパ良チョコリキュール。

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20定番 モーツァルト ストロベリーチョコレート 500ml
★★★☆☆3/ リンクサス専属ソムリエスコア
市場相場1,600〜2,200円台(500ml・実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

苺とホワイトチョコの甘い香り。華やかなデザート系。

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ベイリーズ オリジナル アイリッシュクリーム 700ml21定番 ベイリーズ オリジナル アイリッシュクリーム 700ml
★★★★★5/ リンクサス専属ソムリエスコア
市場相場1,600〜2,200円台(700ml・実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

世界一売れるクリームリキュール。チョコと好相性。

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アマルーラ クリーム 700ml22定番 アマルーラ クリーム 700ml
★★★★☆4/ リンクサス専属ソムリエスコア
市場相場1,700〜2,300円台(700ml・実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

アフリカのマルーラ果実のクリーム。キャラメルの甘み。

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カルーア コーヒーリキュール 700ml23定番 カルーア コーヒーリキュール 700ml
★★★★★5/ リンクサス専属ソムリエスコア
市場相場1,300〜1,800円台(700ml・実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

定番コーヒーリキュール。チョコ×コーヒーの名脇役。

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ティア マリア コーヒーリキュール 700ml24定番 ティア マリア コーヒーリキュール 700ml
★★★★☆4/ リンクサス専属ソムリエスコア
市場相場1,800〜2,400円台(700ml・実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

ジャマイカ産コーヒーの芳醇リキュール。大人のチョコ合わせに。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon ¥2,383 楽天 査定 買取
フランジェリコ ヘーゼルナッツ 700ml25定番 フランジェリコ ヘーゼルナッツ 700ml
★★★★☆4/ リンクサス専属ソムリエスコア
市場相場1,800〜2,500円台(700ml・実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

修道士型ボトルのヘーゼルナッツ。チョコと黄金の相性。

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ディサローノ アマレット 700ml26希少 ディサローノ アマレット 700ml
★★★★☆4/ リンクサス専属ソムリエスコア
市場相場(リンクサス酒販 在庫価格を商品ページで確認)
💎 プロのおすすめ

アーモンド香のアマレット。チョコと合わせて濃厚に。

在庫切れリンクサス入荷通知 価格を見るAmazon ¥3,498 楽天 査定 買取
ボルス ペパーミント グリーン 700ml27定番 ボルス ペパーミント グリーン 700ml
★★★☆☆3/ リンクサス専属ソムリエスコア
市場相場1,400〜1,900円台(700ml・実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

鮮やかな緑のミント。チョコと合わせてグラスホッパー。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon ¥2,192 楽天 査定 買取
ボルス ホワイトミント 700ml28定番 ボルス ホワイトミント 700ml
★★★☆☆3/ リンクサス専属ソムリエスコア
市場相場1,400〜1,900円台(700ml・実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

無色のミント。色を抑えたチョコミント系カクテルに。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon ¥1,683 楽天 査定 買取
ボルス クレーム ド バナナ 700ml29定番 ボルス クレーム ド バナナ 700ml
★★★☆☆3/ リンクサス専属ソムリエスコア
市場相場1,400〜1,900円台(700ml・実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

甘いバナナの香り。チョコバナナ風の組み合わせに。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon ¥2,192 楽天 査定 買取
チェリーヒーリング 700ml30定番 チェリーヒーリング 700ml
★★★☆☆3/ リンクサス専属ソムリエスコア
市場相場2,500〜3,300円台(700ml・実勢・2026年6月時点)
💎 プロのおすすめ

濃厚なチェリーの名作。チョコと合わせて大人の味に。

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定価(list_price)は輸入リキュールの多くがオープン価格のため掲載せず、市場相場の目安のみを記載しています(2026年6月時点の実勢)。楽天・Amazonの価格は各モールの実勢で、同一銘柄・同一容量が見つからない場合は空欄になります。チョコレートリキュールはリンクサス酒販(プレミア・希少酒専門)では現在お取り扱いがないため購入先は楽天・Amazonをご案内し、同じ棚で選ばれるアマレットなどリンクサス在庫のある銘柄は商品ページから確認できます。並べ替えは表の見出しから行えます。価格・在庫は変動します。

表の銘柄のうちリンクサス酒販で在庫があるものは商品ページから確認できる。ディサローノのようにカカオではないが同じ棚で選ばれる銘柄はアマレットの記事で扱った。

チョコレートリキュールについてよくある質問

チョコレートリキュールについてよくある質問
チョコレート菓子の盛り合わせ
チョコレートリキュールのアルコール度数はどのくらいですか?

公式が度数を公表している銘柄で見ると、17%から25%の範囲に収まります。ジファールが25%、ボルスとテンプスフュジットが24%、マリーブリザールはカカオ名の製品が20%でチョコレート名の製品が17%です。ただしモーツァルトは公式7品のうち5品が度数非公表、ゴディバは公式サイトに製品の掲載自体がありません。一つの数字で言い切れる状態ではないので、購入前にラベルを確認してください。

クレーム・ド・カカオとチョコレートリキュールは同じものですか?

EUの規則では別の箱に入ります。規則(EU)2019/787の第34類は、クレーム・ド◯◯を名乗る製品に糖分1リットルあたり250g以上・度数15%vol以上を求めたうえで、原料から乳および乳製品を除くと明記します。一方で乳を含むリキュールは第33類で英語の「cream」を名乗れます。クレームは乳を使えず、クリームは乳を含むから名乗れるという排他的な関係です。日本の酒税法にこの区別はなく、どちらも第3条第21号のリキュールに入ります。

チョコレートリキュールにはカカオ分の決まりがありますか?

ありません。「カカオ分35%以上」という数字はチョコレート類の表示に関する公正競争規約の第2条第12項第1号のもので、この規約が対象とするのは第2条第1項に列挙された9種類(チョコレート、準チョコレート、チョコレート菓子、準チョコレート菓子、カカオマス、ココアバター、ココアケーキ、ココアパウダー、調整ココアパウダー)だけで、施行規則の別表は飲料を明示的に除いています。消費者庁の規約一覧でも酒類は別カテゴリで、リキュールの規約は存在しません。CodexのCXS 87-1981も適用範囲を固形チョコレートに限っています。

チョコレートリキュールのカロリーは1杯どのくらいですか?

公的な資料からは出せません。日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の混成酒類は12品目が収載されていますが、そこにチョコレートリキュールもカカオリキュールも入っていないためです。同じ表にペパーミント300kcalやキュラソー319kcalは載っており、グラスホッパーの材料でいえばミントとクリームは引けてカカオだけが引けません。EUの下限どおり糖分250g/Lで24%と仮定すると30mlでおよそ70kcalと試算できますが、これは公表値ではなく仮定に基づく計算です。

チョコレートリキュールを使う定番カクテルは何ですか?

国際バーテンダーズ協会の公式102品でカカオを使うのは2品だけです。アレキサンダー(コニャック30ml・クレーム・ド・カカオ ブラウン30ml・生クリーム30ml)とグラスホッパー(同ホワイト20ml・クレーム・ド・マント グリーン20ml・生クリーム20ml)で、IBAはブラウンとホワイトを括弧で書き分けます。なお102品の全文に chocolate という語は一度も出てきません。レシピを探すときは「カカオ」で検索するほうが当たります。

ホワイトとブラウンはどちらを選べばよいですか?

度数では選べません。ボルスは両方とも24%、ジファールは両方とも25%で、同じ銘柄のホワイトとブラウンに度数差はありません。違いは作り方で、アサヒビールの説明によればホワイトは蒸溜でミルクチョコレートの味わいを生み、ブラウンはカカオ豆から成分を抽出してダークチョコレートの味わいを出します。仕上がりの色を濁らせたくないときはホワイト、色ごと味を足したいときはブラウンという選び方が実際的です。

制度の側から見ると、この酒は「名前が決まっていない」ことが一番の特徴だった。日本の条文にもEUの44カテゴリーにも米国の規則にも、カカオもチョコレートも書かれていない。それでも棚には並んでいて、公表されている度数だけを拾っても17%から25%まで開く。確かめるほど、ラベルを一枚ずつ読むしかないという結論に近づいた。

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