神奈川の地酒12選と14の酒蔵|日本酒・湘南クラフトビール・ワインを公式データで比べる
「蔵は15前後」「ぶどうのお酒で日本一」という二つの言い方を、国税庁と県が出している数字で数え直しました。先に答えを書きます。蔵の数は公表する主体ごとに12・13・14と割れます。日本一のほうは区分を一つ変えるだけで上位10位から名前が消えます。そのうえで、飲み手が選ぶときに使える12銘柄を4つのジャンルにまたいで並べます。
神奈川の地酒を三つの公式資料で確かめる

本記事が根拠に使ったのは次の5系統です。数字はすべて2026年8月時点に自分で取得したページとPDFから取り、比較表に入っている実勢価格だけは2026年5月時点の調査値をそのまま置いています。この2つの時点が混ざっていることを先に明示しておきます。
| 資料 | 発行元 | 基準となる時点 | 本記事で使っている数字 |
|---|---|---|---|
| 神奈川の地酒 | 神奈川県 県央地域県政総合センター | 更新日 2026年3月3日 | 酒蔵14軒・各蔵の創業年・代表銘柄・蔵元が挙げる料理 |
| 蔵元紹介 | 神奈川県酒造組合 | 参照日 2026年8月4日 | 組合に加わる蔵元12軒と代表銘柄の表記 |
| 酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和7年アンケート) | 国税庁 | 令和7年1月1日現在ほか。正誤表は令和8年6月16日付 | 清酒の事業者数と課税移出数量・ワイナリー数・ワインの製成数量・ビール及び発泡酒の免許場数 |
| 国内製造ワインの概況(平成30年度調査分) | 国税庁 | 平成30年度 | 果実酒の都道府県ランキングの過去の順位 |
| 酒税法・酒税法施行令 | e-Gov 法令検索(昭和二十八年法律第六号・昭和三十七年政令第九十七号) | 酒税法は令和8年5月25日施行 | 第七条第二項の最低製造数量基準とビール・発泡酒の定義、施行令第六条のビールの原料 |
| 各蔵と各社の公式サイト | 熊澤酒造・黄金井酒造・鈴廣かまぼこ | 参照日 2026年8月4日 | 設立年・品質保持期限・ラインナップ・ボタニカル・価格・製造免許の日付 |
この記事で分かることと分からないこと
分かるのは、公表された数量・免許場数・条文の数値と、それらの内訳が足し合わせで閉じるかどうかです。分からないのは、県内の各醸造所の生産量です。国税庁の売上表は本社の所在地でまとめられているため、大手の工場が県内にあっても、その工場の生産量として読むことはできません。本記事はこの区別を守り、読み取れない数字は読み取れないと書きます。
神奈川の酒蔵の数は14と12と13で割れる

神奈川県の観光ページ「神奈川の地酒」は冒頭で「神奈川県には14軒の酒蔵があり、どの蔵も個性的な日本酒を造っています。」と書き、続く一覧にちょうど14蔵を並べています。一方で神奈川県酒造組合の蔵元紹介は「神奈川県下12の蔵元」で、一覧は12蔵です。さらに国税庁の令和7年酒類業実態調査で清酒製造業として回答した神奈川県の事業者数は13者です。三つとも公的な数字ですが、一致しません。
14と12の差は同じページの中で説明が付いている
神奈川県のページは末尾の「かながわ蔵元屋」の欄で、神奈川県下の12蔵の代表銘柄の地酒を購入できます。(瀬戸酒造店及びRiceWine/森山酒造は除く)
と書いています。県の一覧14蔵から名指しされた2蔵を引くと12蔵で、組合の数と一致します。つまり14と12は数え方の違いであって、どちらかが誤っているわけではありません。
よく見かける「約15蔵」という言い方は、この三つのどれとも一致しません。数を書くなら、どの主体がいつ公表した数かを添えるのが確実です。なお13者という国税庁の数は調査に回答した事業者の数で、免許を持つ場の数でも組合員の数でもありません。
神奈川の14蔵と代表銘柄
神奈川県のページの一覧を、相模原・県央から県西へ大きく並べ替えたものが下の表です。所在地と銘柄の表記は神奈川県のページに合わせています。右端の欄は神奈川県酒造組合の蔵元紹介に掲載があるかどうかを示しています。
| 蔵元 | 所在地 | 代表銘柄 | 県酒造組合 |
|---|---|---|---|
| 清水酒造 | 相模原市緑区中野 | 巖乃泉 | 加入 |
| 久保田酒造 | 相模原市緑区根小屋 | 相模灘 | 加入 |
| 大矢孝酒造 | 愛川郡愛川町田代 | 残草蓬莱 | 加入 |
| 黄金井酒造 | 厚木市七沢 | 盛升 | 加入 |
| 泉橋酒造 | 海老名市下今泉 | いづみ橋 | 加入 |
| 吉川醸造 | 伊勢原市神戸 | 雨降・菊勇 | 加入 |
| 金井酒造店 | 秦野市堀山下 | 白笹鼓 | 加入 |
| 熊澤酒造 | 茅ヶ崎市香川 | 天青 | 加入 |
| 石井醸造 | 足柄上郡大井町上大井 | 曽我の譽 | 加入 |
| 井上酒造 | 足柄上郡大井町上大井 | 箱根山 | 加入 |
| 中沢酒造 | 足柄上郡松田町松田惣領 | 松美酉 | 加入 |
| 川西屋酒造店 | 足柄上郡山北町山北 | 丹沢山 | 加入 |
| 瀬戸酒造店 | 足柄上郡開成町金井島 | あしがり郷 | 県の一覧のみ |
| RiceWine/森山酒造 | 小田原市鬼柳 | 蜂龍盃・HINEMOS | 県の一覧のみ |
公式のあいだで表記が割れている二件
同じ銘柄でも公式のあいだで字が違うものが二つあります。大矢孝酒造の銘柄は神奈川県のページが残草蓬莱(ざるそうほうらい)
、神奈川県酒造組合が残草蓬萊(ざるそうほうらい)
で、「莱」と「萊」が違います。石井醸造の銘柄は県のページが曽我の譽
、組合が曽我の誉
で、「譽」と「誉」が違います。どちらも旧字と新字の関係で、どちらかが誤りというわけではありません。
逆に中沢酒造の銘柄は両者とも松美酉(まつみどり)
でそろっています。読みだけを仮名や別の漢字に置き換えた表記は、県のページにも組合のページにも見当たりません。県のページによれば松美酉の名は「松」が酒匂川沿いの松並木、「美」が松田町の風景と美酒、「酉」が酒壺の形を表し、小田原城主の大久保家から授かったものです。
神奈川の地酒とあわせて選びたい関連商品

神奈川の地酒は特約店限定の銘柄が多く、県外の店頭では見つけにくいものが混ざります。まずは日本酒そのものの選び方を確かめたい方向けに、当店で扱っている銘柄を下に並べています。
「神奈川の地酒12選と14の酒蔵|日本酒・湘南クラフトビール・ワインを公式データで比べる」に関連するおすすめ商品
ここでは日本酒の在庫から一部を掲載しています。価格・在庫・箱の有無は各商品ページでご確認いただけます。
ジャンルごとに探す場合は日本酒の一覧、ワインの一覧、ウイスキーの一覧、クラフトジンなどはスピリッツの一覧、焼酎は焼酎の一覧からご覧いただけます。
神奈川の地酒12選をジャンル横断で比べる

下の比較表は、神奈川の日本酒・クラフトビール・クラフトジン・デイリーワインから12銘柄を並べたものです。神奈川の地酒はほとんどがオープン価格で、メーカーが希望小売価格を公表していません。そのため定価の欄は使わず、実勢の価格帯を文章で入れています。
| 画像 | 銘柄・スコア | 定価 市場相場 |
特徴 | リンクサス酒販 本命 |
Amazon | 楽天 | 買取 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
1位
|
天青 風露 特別本醸造(熊澤酒造) ★★★★★5/ 唎酒師スコア |
オープン価格(実勢 約1,400〜2,600円・720ml〜1.8L) |
💎 プロのおすすめ
【日本酒・特別本醸造】神奈川県の公式ページが「『湘南』に残る唯一の蔵元」と書く熊澤酒造の銘柄。銘は中国の故事「雨過天青雲破処」に由来し、突き抜けるようなすずやかさを目指した食中酒。 |
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2位
|
純米吟醸 箱根山 ブルーボトル(井上酒造) ★★★★★5/ 唎酒師スコア |
オープン価格(実勢 約1,800〜2,300円・720ml) |
💎 プロのおすすめ
【日本酒・純米吟醸】1789年創業の井上酒造の代表銘柄。神奈川県の公式ページによれば「箱根山」は約50年前にヨーロッパ諸国への輸出向けに誕生した銘柄で、バナナやメロンのような吟醸香と優しい酸味が特徴。 |
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| 3位 | 松美酉 純米 しぼりたて(中沢酒造) ★★★★☆4/ 唎酒師スコア |
オープン価格(実勢 約1,600〜3,300円・720ml〜1.8L) |
💎 プロのおすすめ
【日本酒・純米/しぼりたて】1825年創業・松田町の中沢酒造。麹造りから槽による上槽まで全量手造り。銘の松美酉は小田原城主の大久保家から授かったもので、季節商品にも力を入れている蔵。 |
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4位
|
丹沢山 麗峰 純米酒(川西屋酒造店) ★★★★★5/ 唎酒師スコア |
オープン価格(実勢 約1,300〜2,800円・720ml〜1.8L) |
💎 プロのおすすめ
【日本酒・純米】明治30年創業・山北町の川西屋酒造店。醸す酒は全量純米。麗峰は阿波山田錦のみで醸し約2年のタンク熟成を経たおだやかな味わいで、熱めの燗から下がる温度を楽しむ飲み方が公式のすすめ。 |
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5位
|
いづみ橋 恵 青ラベル 純米吟醸(泉橋酒造) ★★★★★5/ 唎酒師スコア |
オープン価格(実勢 約1,500〜3,200円・720ml〜1.8L) |
💎 プロのおすすめ
【日本酒・純米吟醸】米作りから醸造まで一貫する海老名の泉橋酒造。醸す日本酒は全て純米酒。恵 青ラベルは地元海老名の山田錦を100パーセント使い、食事との相性を重視した旨辛タイプ。 |
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6位
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残草蓬莱 四六式 純米(大矢孝酒造) ★★★★☆4/ 唎酒師スコア |
オープン価格(実勢 約1,500〜3,000円・720ml〜1.8L) |
💎 プロのおすすめ
【日本酒・純米】1830年創業・愛川町の大矢孝酒造。純米酒のみを醸造し生酛仕込みにも取り組む蔵。透明感のある爽やかな味わいの中にしっかりとした旨みがあり、冷酒から燗酒まで幅広く楽しめる。 |
LINXASで探すコレクション | 価格を見るAmazon | ¥1,815 楽天 | 査定 買取 |
7位
|
相模灘 特別本醸造(久保田酒造) ★★★★☆4/ 唎酒師スコア |
オープン価格(実勢 約1,300〜2,800円・720ml〜1.8L) |
💎 プロのおすすめ
【日本酒・特別本醸造】1844年創業・相模原市緑区の久保田酒造。丹沢山系の湧水で仕込み、県公式は「米の旨味を生かしたバランスの良い食中酒」と紹介。冷酒から燗酒まで温度の幅が広い。 |
LINXASで探すコレクション | 価格を見るAmazon | ¥1,440 楽天 | 査定 買取 |
8位
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湘南ビール ピルスナー(熊澤酒造) ★★★★★5/ 唎酒師スコア |
オープン価格(実勢 約400〜600円・330ml/詰合せ約1,650円〜) |
💎 プロのおすすめ
【クラフトビール・ピルスナー】明治5年設立の熊澤酒造。無ろ過・非加熱処理で酵母が生きており、公式は品質保持期限を製造日から冷蔵で120日と公表。通年商品はピルスナー・アルト・シュバルツ・妻ビールの4種。 |
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9位
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横浜ビール 6種飲み比べセット(横浜ビール) ★★★★☆4/ 唎酒師スコア |
オープン価格(実勢 約3,000〜5,500円・330ml×6本) |
💎 プロのおすすめ
【クラフトビール・飲み比べ】横浜のブルワリーによる詰合せ。定番からフルーツを使ったものまで揃い、苦味が苦手な方の入口やギフトに向く。銘柄構成は時期によって変わる。 |
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10位
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箱根ビール 箱根ピルス(鈴廣かまぼこ) ★★★★☆4/ 唎酒師スコア |
オープン価格(実勢 約500〜700円・330ml) |
💎 プロのおすすめ
【クラフトビール・ピルスナー】小田原・箱根の鈴廣かまぼこが手がけるクラフトビール。雑味が少なく食事に寄り添う味わいで、箱根土産の定番として扱われている。 |
LINXASで探すコレクション | 価格を見るAmazon | ¥748 楽天 | 査定 買取 |
11位
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The Japanese Craft GIN 黄金井(黄金井酒造) ★★★★☆4/ 唎酒師スコア |
オープン価格(実勢 約4,500〜5,200円・500ml) |
💎 プロのおすすめ
【クラフトジン・スピリッツ】文政元年(1818年)創業の黄金井酒造。米焼酎と粕取り焼酎をベースに、厚木七沢産のカボスや山椒など神奈川県産9種のボタニカルとジュニパーベリーを使う。容量は500mlと200ml。 |
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12位
|
メルシャン おいしい酸化防止剤無添加ワイン(メルシャン) ★★★☆☆3/ 唎酒師スコア |
オープン価格(実勢 約600〜1,200円・720ml〜1.5L) |
💎 プロのおすすめ
【ワイン・デイリー】家庭向けの酸化防止剤無添加ワイン。ペットボトル仕様で開けやすく、毎日の食事に合わせる価格帯。神奈川県はぶどうを原料とした果実酒の製成数量が全国1位の県。 |
LINXASで探すコレクション | 価格を見るAmazon | 楽天で探す 商品名検索 | 査定 買取 |
価格は2026年5月時点の実勢相場です。神奈川の地酒・クラフトビール・クラフトジンの多くはオープン価格のため、メーカー定価ではなく市場での販売価格帯を記載しています。容量や詰合せの構成によって実際の売価は変わります。12行のうち価格が入っているのは8行、入っていないのは4行です。天青 風露 特別本醸造と湘南ビール ピルスナーは楽天の掲載が銘柄と容量まで一致しなかったため価格を外してリンクだけを残しており、松美酉 純米 しぼりたてとメルシャン おいしい酸化防止剤無添加ワインは楽天の掲載が見つからず商品名で検索するリンクになっています。この4行は価格帯の絞り込みでは「価格不明」に入ります。また価格が入っている8行は748円から5,250円までなので、絞り込みの区分は最初のものだけが使えます。
表の上には「おすすめ順」「価格順」「希少度順」の3つの並べ替えボタンと、価格帯の絞り込みボタンが並びます。絞り込みが読む値は各行の楽天の価格で、12行のうち価格が入っているのは8行、入っていないのは4行です。入っていない4行の理由は2通りあります。天青 風露 特別本醸造と湘南ビール ピルスナーは楽天の掲載が銘柄と容量まで一致しなかったため価格を外し、リンクだけを残しています。松美酉 純米 しぼりたてとメルシャン おいしい酸化防止剤無添加ワインは楽天の掲載が見つからず、商品名で検索するリンクになっています。この4行は絞り込みでは「価格不明」に入ります。
もう一つ先に書いておきます。絞り込みの区分は3万円を境に4段階が用意されていますが、この表で価格が入っている8行は最も安い748円から最も高い5,250円までで、全行が最初の区分に収まります。つまり中間より上の3区分を押しても何も表示されません。神奈川の地酒は価格の幅が狭いジャンルなので、絞り込みよりジャンルと蔵で選ぶほうが早いです。価格は2026年5月時点の調査値で、容量や詰合せの構成によって実際の売価は動きます。
神奈川の日本酒を創業年の古い順にたどる

神奈川県のページには各蔵の創業年が書かれています。読み取れる10蔵を古い順に並べると、最も古い清水酒造の1751年から最も新しい川西屋酒造店の1897年まで146年の幅があります。清水酒造については県のページが創業1751年(宝暦元年)の清水酒造は、神奈川県内最古の歴史があり
と明記しています。
| 蔵元 | 創業年 | 和暦などの表記 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 清水酒造 | 1751年 | 宝暦元年 | 神奈川県公式(県内最古) |
| 井上酒造 | 1789年 | 記載なし | 神奈川県公式 |
| 黄金井酒造 | 1818年 | 文政元年 | 黄金井酒造公式(歴史) |
| 中沢酒造 | 1825年 | 記載なし | 神奈川県公式 |
| 大矢孝酒造 | 1830年 | 文政13年 | 神奈川県公式 |
| 久保田酒造 | 1844年 | 弘化元年 | 神奈川県公式 |
| 泉橋酒造 | 1857年 | 安政四年 | 神奈川県公式 |
| 石井醸造 | 1870年 | 明治3年 | 神奈川県公式 |
| 熊澤酒造 | 1872年 | 明治5年 | 熊澤酒造公式(会社概要「設立」) |
| 川西屋酒造店 | 1897年 | 明治30年 | 神奈川県公式 |
黄金井酒造の創業年は県のページに記載がなく、同社の公式サイトの歴史ページが江戸時代後期の文政元年(1818年)相模の國 玉川村七澤の現在の蔵元に於いて、造り酒屋を営みだし
と書いています。2026年から数えると208年です。熊澤酒造の設立年も県のページの「明治5年に創業」に加えて、同社の会社概要が「設立 明治5年(1872年)」と数字で書いています。2026年から数えると154年になります。
全量を純米酒で造る蔵が三つある
神奈川県のページの紹介文をそのまま読むと、造る酒を純米酒に限っている蔵が三つあります。大矢孝酒造は純米酒(純米吟醸、純米大吟醸を含む)のみを醸造しています
、泉橋酒造は醸す日本酒は全て純米酒(純米吟醸、純米大吟醸)です
、川西屋酒造店は醸すお酒は全て純米酒です
と書かれています。大矢孝酒造については日本酒の生産量で1%しかない生酛(きもと)仕込みにも取り組み
という記述も添えられています。
日本酒造組合中央会の初代会長は神奈川の蔵元だった
黄金井酒造の歴史ページには、五代目当主の黄金井為造について「明治43年(1910年)より衆議院議員を務め」、「翌昭和4年(1929年)5月12日、日本酒造組合中央会を設立し初代会長に就任し、昭和9年(1934年)10月14日に没するまで会長職を務めました」と書かれています。議員就任から中央会の設立までは19年です。
同じページには、当時の酒税が出荷量ではなく製造量にかかる造石税だったことと、木桶が吸ってしまう分にも税がかかっていたことが書かれています。為造の働きかけで認められた控除は、対象になる減量の種類まで分けて記されています。
| 時期 | 認められた控除の内容 |
|---|---|
| 大正7年3月23日 | 清酒は滓引減量及貯蔵減量で査定石数の5%/味醂は滓引減量で2%を控除 |
| 大正9年 | 焼酎は貯蔵減量で査定石数の1%を控除 |
| 大正11年4月1日 | 控除率を清酒7%/味醂3%/焼酎2%へ引き上げ |
同ページは現在の課税方式を「現在はタンク仕込みで出荷数量に合わせての課税が行われています。」と対比させています。神奈川の蔵元が動かしたのは、いまの制度の一つ前の課税方式のほうだということになります。
この段落の出所について
控除率と年月日、衆議院議員就任、中央会の設立と初代会長就任は、いずれも黄金井酒造の公式サイトの歴史ページ1枚に書かれている記述です。国税庁の資料や法令から裏を取ったものではないため、同社の記述としてそのまま引いています。2026年から数えた年数だけは筆者の計算です。
神奈川の清酒は7割が県内へ出ている

国税庁の令和7年酒類業実態調査は、清酒の課税移出数量を自県・自局・他局の3つに分けて公表しています。神奈川県は合計950キロリットルで、内訳は自県660キロリットル、自局194キロリットル、他局96キロリットルです。3つを足すと合計にぴったり戻り、割合も公表されている69.5パーセント・20.4パーセント・10.1パーセントと小数第1位まで一致します。
| 区分 | 数量 | 同じ表に載っている割合 | 合計から計算した割合 |
|---|---|---|---|
| 自県 | 660 キロリットル | 69.5 パーセント | 69.5 パーセント |
| 自局 | 194 キロリットル | 20.4 パーセント | 20.4 パーセント |
| 他局 | 96 キロリットル | 10.1 パーセント | 10.1 パーセント |
| 合計 | 950 キロリットル | - | 100.0 パーセント |
量そのものは小さいです。同じ表で首位の兵庫県は97,834キロリットル、京都府は83,215キロリットル、新潟県は31,063キロリットルで、兵庫県は神奈川県の約103.0倍です。一方で自県内に出ていく比率は69.5パーセントあり、「量は少ないが県内で飲まれている」という形がはっきり出ます。「神奈川でしか買えないお酒」を探す読者の感覚と、この数字は同じ方向を向いています。
輸出も同じ表で確かめられます。神奈川県の清酒は国内売上903キロリットルに対して輸出が25キロリットルで、輸出割合は数量で2.7パーセント、金額で4.1パーセントです。金額のほうが数量より高いので、輸出に回る分は単価が高い側に寄っていることになります。この2つの割合も、同じ表の売上数量と売上金額から計算するとそのまま再現できます。
未開封のまま置いてある一升瓶の扱いに迷ったら、日本酒の未開封の保存期間もあわせてご覧ください。どぶろくやにごり酒との違いはどぶろくの解説で扱っています。
神奈川のクラフトビールを酒税法の10倍差から読む

クラフトビールの話を数字で始めるなら、酒税法第七条第二項の最低製造数量基準から入るのが早道です。この項は「酒類の製造免許は、一の製造場において製造免許を受けた後一年間に製造しようとする酒類の見込数量が当該酒類につき次に定める数量に達しない場合には、受けることができない。」と定め、17の品目に数量を並べています。
| 品目 | 1年間の製造見込数量の下限 |
|---|---|
| 清酒 | 60キロリットル |
| 合成清酒 | 60キロリットル |
| 連続式蒸留焼酎 | 60キロリットル |
| 単式蒸留焼酎 | 10キロリットル |
| みりん | 10キロリットル |
| ビール | 60キロリットル |
| 果実酒 | 6キロリットル |
| 甘味果実酒 | 6キロリットル |
| ウイスキー | 6キロリットル |
| ブランデー | 6キロリットル |
| 原料用アルコール | 6キロリットル |
| 発泡酒 | 6キロリットル |
| その他の醸造酒 | 6キロリットル |
| スピリッツ | 6キロリットル |
| リキュール | 6キロリットル |
| 粉末酒 | 6キロリットル |
| 雑酒 | 6キロリットル |
17品目のうち六十キロリットルが4品目、十キロリットルが2品目、六キロリットルが11品目です。ビールは六十キロリットル、発泡酒は六キロリットルで、同じ発泡性酒類のなかで下限が10倍違います。果実酒も六キロリットルで、ビールとの差は同じ10倍です。小さな造り手が入りやすい品目とそうでない品目が、条文の段階で分かれていることになります。
神奈川の免許場数は東京に次ぐ規模
国税庁の令和7年酒類業実態調査(令和7年1月1日現在)でビール及び発泡酒の製造免許場数を見ると、神奈川県はビールのみ3場、発泡酒のみ13場、両方が18場で合計34場です。全国計は603場で、神奈川県はその5.6パーセントを占めます。
| 都道府県 | ビールのみ | 発泡酒のみ | ビールと発泡酒の両方 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 東京 | 3 場 | 23 場 | 23 場 | 49 場 |
| 北海道 | 1 場 | 17 場 | 16 場 | 34 場 |
| 神奈川県 | 3 場 | 13 場 | 18 場 | 34 場 |
| 長野県 | 3 場 | 22 場 | 8 場 | 33 場 |
| 静岡県 | 4 場 | 14 場 | 7 場 | 25 場 |
| 大阪 | 2 場 | 12 場 | 9 場 | 23 場 |
| 兵庫県 | 3 場 | 12 場 | 8 場 | 23 場 |
| 新潟県 | 1 場 | 14 場 | 6 場 | 21 場 |
| 全国計 | 50 場 | 330 場 | 223 場 | 603 場 |
全国計を見ると、ビールのみの50場に対して発泡酒のみが330場で、6.60倍あります。なお下の表は上位8県までを載せています。9番目は新潟県の21場ですが、愛知県も21場で同数です。神奈川県でも発泡酒に関わる場が31場、ビールに関わる場が21場で、発泡酒側が多いという同じ形になります。条文の10倍差と免許場数の偏りは、同じ方向を指しています。
売上の表から県内の生産量は読めない
同じ調査には都道府県別のビール及び発泡酒の国内売上数量の表もあり、神奈川県は合計1,597キロリットル(ビール1,270キロリットル、発泡酒327キロリットル)です。ただしこの概況は留意事項で「都道府県別の集計結果については、果実酒の製造免許場に関する計表を除き、事業者の本店所在地(個人については住所地)により区分している。」と断っています。東京都に3,710,993キロリットルが集まっています。大手の売上が本社所在地に計上される作りなので、「県内の工場でどれだけ造られたか」をこの表から読むことはできません。神奈川県内に大手の工場があることと、この表の数字は別の話です。
湘南ビールとさがみビールは造りの前提が違う

神奈川のクラフトビールでよく名前が挙がる二つを、公式サイトの記述だけで並べます。熊澤酒造の湘南ビールと、黄金井酒造のさがみビールです。
湘南ビールは品質保持期限を日数で公表している
熊澤酒造の湘南ビールのページは「湘南ビール」は、無ろ過、非加熱処理で酵母が生きたピュアでフレッシュなビールです。
と書き、続けて品質保持期限は、製造日より冷蔵保存で120日
としています。同じページの注にプレミアムラベルや天狗ビール等一部商品は180日
とあり、商品によって120日と180日の二本立てになっています。食品表示基準の第三条第三項には賞味期限の表示を省略できる区分として酒類が挙がっていますが、湘南ビールはその省略を使わずに日数を自ら出している例です。
ラインナップは通年商品・ローカルプロダクトシリーズ・IPAシリーズ・限定醸造品・イベントラベル・プレミアムシリーズの5区分に整理されています。「限定醸造品・イベントラベル」はボタンの表示が2行に折り返されますが、リンク先の見出しはこの中点でつながった一つの区分名です。
ここから先は同じサイトの子ページ「通年商品」に書かれている内容です。通年商品は4種で、ピルスナー・アルト・シュバルツ・妻ビール(ゴールデンエール)です。IPAは通年商品ではなく独立したIPAシリーズに置かれています。このうち3種にはアートラベルの別名があり、ピルスナーが大磯クラシックビア、アルトが江ノ島ビール、シュバルツが大仏ビールです。シュバルツには2008年度ワールド・ビア・カップ ドイツ系黒ビール部門金賞受賞
という受賞歴が併記されています。先の品質保持期限の記述は親ページ、この通年商品の内容は子ページで、どちらも熊澤酒造のサイトですが同じページには載っていません。
さがみビールは麦100パーセントを掲げる
黄金井酒造のさがみビールのページは東丹沢山麓のふもと厚木市七沢の豊かな自然の風景の中で仕込まれる「さがみビール」。1998年より製造を開始
と始まります。造りの前提は米、コーン・スターチなどの副原料を使わず、麦100%の一番麦汁だけを使い、ビール特有の苦味や香りの元になるホップのみで造る
という一文にまとまっています。仕込み水は200年前井戸を掘り、清酒「盛升」の仕込水として使われ続けています。
という同じ井戸の伏流水で、「水源の森」100選に選ばれた東丹沢山麓から湧くものだと書かれています。
同じページのフレーバービアの説明には、制度に直接つながる一文があります。※酒税法上は発泡酒に分類されます。
という注記です。ただし「果実を入れたから発泡酒になる」と読んでしまうと条文とずれます。酒税法第三条第十二号ロはビールを「麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの(その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の百分の五十以上のものであり、かつ、その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の百分の五を超えないものに限る。)」と定めています。そして酒税法施行令第六条第一項第二号がこの「政令で定める物品」として「果実(果実を乾燥させ、若しくは煮つめたもの又は濃縮させた果汁を含む。)又はコリアンダーその他の財務省令で定める香味料」を挙げています。つまり果実は上限内であればビールの副原料として認められており、麦芽の重量の5パーセントという枠を超えたときに発泡酒の側へ移る、という順序です。
移った先の第三条第十八号は発泡酒を「次に掲げる酒類(第七号から前号までに掲げる酒類を除く。)で発泡性を有するもの(アルコール分が二十度未満のものに限る。)」と定義し、イに「麦芽又は麦を原料の一部とした酒類(…)」を挙げています。先の表で見た六キロリットルという下限は、この号に該当する商品にかかる数字です。少量で試す商品ほど発泡酒側に置くと免許の下限が10分の1になる、という関係になります。
スパークリング系の割り方はスパークリングワインのカクテル、コンビニで買えるワインの選び方はアルパカワインの解説で扱っています。
神奈川のワインが全国1位で日本ワインでは圏外になる理由

「神奈川県はワインの生産量が全国1位」という説明は、区分を限れば公表資料のとおりです。国税庁の概況は果実酒の上位10都道府県を8つの区分で並べています。この表の注は「「果実酒」は令和5年度国税庁統計年報による。ただし、「ワイン」及び「日本ワイン」については、令和7年酒類業実態調査による。」としており、列によって出所が二系統に分かれています。神奈川県は3つの区分で1位、2つの区分では上位10位に名前が出てきません。
| 区分 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 神奈川県の位置 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 製成数量・果実酒 | 栃木県 | 神奈川県 | 山梨県 | 長野県 | 北海道 | 2位 |
| 製成数量・ワイン | 神奈川県 | 山梨県 | 長野県 | 北海道 | 山形県 | 1位 |
| 製成数量・日本ワイン | 山梨県 | 長野県 | 北海道 | 山形県 | 岩手県 | 上位10位に入らない |
| 出荷数量・果実酒 | 神奈川県 | 栃木県 | 山梨県 | 大阪府 | 長野県 | 1位 |
| 出荷数量・ワイン | 神奈川県 | 山梨県 | 長野県 | 千葉県 | 北海道 | 1位 |
| 出荷数量・日本ワイン | 山梨県 | 長野県 | 北海道 | 山形県 | 岩手県 | 上位10位に入らない |
| 販売(消費)数量 | 東京都 | 神奈川県 | 大阪府 | 埼玉県 | 千葉県 | 2位 |
| 成人一人当たり | 東京都 | 山梨県 | 和歌山県 | 京都府 | 神奈川県 | 5位 |
1位になっているのは製成数量・ワイン、出荷数量・果実酒、出荷数量・ワインの3区分です。上位10位に入らないのは製成数量・日本ワイン、出荷数量・日本ワインの2区分で、どちらも国産のぶどうだけを原料とした「日本ワイン」の欄です。果実酒全体の製成数量では栃木県が1位で、神奈川県は2位です。平成30年度調査分の同じランキングでは果実酒の製成数量の1位が神奈川でしたから、年次によっても入れ替わります。「全国1位」と書くときは、果実酒かワインか日本ワインか、製成か出荷か販売かを添える必要があります。
6場で全国一を取る構造
同じ調査の都道府県別ワイナリー数を見ると、神奈川県は6場で22位です。1位の山梨県は85場、2位の長野県は81場、3位の北海道は69場で、全国計は519場です。ワイナリーの数は下位なのに製成数量は1位という形になります。
| 都道府県 | ワイナリー数 | 回答場数 | ワインの製成数量 | うち日本ワイン | 日本ワインの割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 神奈川県 | 6 場 | 3 場 | 20,862 キロリットル | 83 キロリットル | 0.40 パーセント |
| 山梨県 | 85 場 | 75 場 | 8,918 キロリットル | 3,762 キロリットル | 42.2 パーセント |
| 長野県 | 81 場 | 68 場 | 3,603 キロリットル | 2,981 キロリットル | 82.7 パーセント |
| 栃木県 | 10 場 | 9 場 | 233 キロリットル | 231 キロリットル | 99.1 パーセント |
回答場数で割ると、神奈川県は1場あたり6954.0キロリットル、山梨県は118.9キロリットルで、58.5倍の差があります。日本ワインの割合は神奈川県が0.40パーセント、山梨県が42.2パーセント、長野県が82.7パーセントです。神奈川県はワインの課税移出数量37,380キロリットルが製成数量20,862キロリットルの1.79倍あり、造った量より出す量が多い形になっています。果実酒の最低製造数量基準が六キロリットルであることを思い出すと、神奈川県の1場あたりの量は下限の1159.0倍、山梨県は19.8倍という開きになります。
日本ワイン以外の原料は9割超が輸入の濃縮果汁
都道府県別ではなく全国の数字ですが、同じ調査には原料の内訳を製成数量の規模別に並べた表があります。「日本ワイン」の使用原料は16,102トンで、全量が国産原料です。内訳は生ぶどう15,046トン、ぶどう果汁800トン、その他256トンで、足すと使用原料計にちょうど戻ります。対して「日本ワイン以外」の使用原料は19,552トンで、うち輸入原料が19,009トン、その大部分が濃縮果汁の18,795トンです。輸入原料の比率は97.22パーセント、濃縮果汁だけで96.13パーセントになります。
製成数量は日本ワインが12,682キロリットル、日本ワイン以外が26,772キロリットルで、合わせて39,454キロリットルです。日本ワインの比率は32.14パーセントにとどまります。また回答した269場のうち製成数量が300キロリットル以上の14場(5.20パーセント)が、製成数量の82.04パーセントを担っています。ワイナリーの数と生産量が対応しないのは神奈川県だけの話ではなく、全国の構造でもあるということです。
この表の縦計は23本のうち11本が1単位だけずれる
上で使った規模別の表について、公表されている合計と規模別3区分の足し上げを全項目で突き合わせました。23本のうち12本は完全に一致し、残る11本はちょうど1トンまたは1キロリットルだけずれます。2以上ずれる行は一つもありません。この概況は留意事項で「各集計結果の計数は、単位未満を四捨五入しているため、図表の内容と計又は合計が一致しない場合がある。」と自ら断っており、丸めによるずれで公表値そのものが誤っているわけではありません。この表から数字を引くときは、自分で足し合わせた値と公表の合計が1だけ違うことがある前提で扱うのが安全です。
| 項目 | 公表されている合計 | 規模別3区分の足し上げ | 差 |
|---|---|---|---|
| 回答場数 | 269 場 | 269 場 | 一致 |
| 日本ワイン 使用原料計 | 16,102 t | 16,102 t | 一致 |
| 日本ワイン 国産原料計 | 16,102 t | 16,102 t | 一致 |
| 日本ワイン 生ぶどう | 15,046 t | 15,046 t | 一致 |
| 日本ワイン ぶどう果汁 | 800 t | 799 t | -1 |
| 日本ワイン その他 | 256 t | 256 t | 一致 |
| 日本ワイン 製成数量 | 12,682 kl | 12,682 kl | 一致 |
| 日本ワイン以外 使用原料計 | 19,552 t | 19,551 t | -1 |
| 日本ワイン以外 国産原料計 | 543 t | 543 t | 一致 |
| 日本ワイン以外 生ぶどう | 326 t | 327 t | +1 |
| 日本ワイン以外 ぶどう果汁 | 25 t | 24 t | -1 |
| 日本ワイン以外 その他(国産) | 192 t | 192 t | 一致 |
| 日本ワイン以外 輸入原料計 | 19,009 t | 19,008 t | -1 |
| 日本ワイン以外 濃縮果汁 | 18,795 t | 18,795 t | 一致 |
| 日本ワイン以外 その他(輸入) | 213 t | 214 t | +1 |
| 日本ワイン以外 製成数量 | 26,772 kl | 26,773 kl | +1 |
| 輸入数量計 | 17,646 kl | 17,645 kl | -1 |
| 輸入数量 原料用 | 5,627 kl | 5,628 kl | +1 |
| 輸入数量 販売用 | 12,019 kl | 12,019 kl | 一致 |
| 課税移出数量 | 56,901 kl | 56,901 kl | 一致 |
| 課税移出数量 日本ワイン | 9,897 kl | 9,897 kl | 一致 |
| 未納税移出数量 | 9,592 kl | 9,593 kl | +1 |
| 未納税移出数量 日本ワイン | 3,662 kl | 3,663 kl | +1 |
神奈川のクラフトジンは二つの蔵で正反対の設計

神奈川では二つの日本酒蔵がクラフトジンを出しており、設計の考え方が正反対です。黄金井酒造はボタニカルを増やす方向、熊澤酒造は減らす方向に振っています。
| 項目 | The Japanese Craft GIN 黄金井(黄金井酒造) | 白天狗(熊澤酒造) |
|---|---|---|
| ベースにする蒸留酒 | 米焼酎と粕取り焼酎(いずれも自社製造) | 吟醸粕を再発酵させた粕取り焼酎からつくるライススピリッツ |
| ボタニカル | 神奈川県産9種にジュニパーベリーを加えた計10種 | ジュニパーベリーのみ |
| 香りの分類 | シトラス・スパイス・ウッド・フローラル・ハーバルの5系統 | 分類の記載はない |
| 蒸留の回数 | 公式に回数の記載はない | 3回 |
| 容量 | 500ml/200ml | 公式の商品欄に容量の記載はない |
| 公表価格 | 公式に価格の記載はない | 4,500円(税込4,950円) |
黄金井酒造の公式サイトは黄金井酒造のクラフトジンに使用するボタニカルは、神奈川県の風土が育んだ素材を中心に厳選しています。
と書き、シトラス・スパイス・ウッド・フローラル・ハーバルの5系統に分けて素材を並べています。神奈川県産として挙がっているのは9種で、これにベースボタニカルのジュニパーベリーを加えると計10種です。産地の表記まで見ると、厚木七沢産が3種でいちばん多くなっています。
| 役割 | 素材 | 産地の表記 |
|---|---|---|
| シトラス | カボス | 厚木七沢産 |
| シトラス | レモングラス | 大和産 |
| シトラス | 湘南ゴールド | 小田原産 |
| スパイス | 山椒 | 厚木七沢産 |
| ウッド | 杉 | 神奈川県産 |
| ウッド | 檜 | 神奈川県産 |
| フローラル | 桜花 | 伊勢原産 |
| ハーバル | 茶葉 | 清川産 |
| ハーバル | どくだみ | 厚木七沢産 |
| ベース | ジュニパーベリー | 産地の表記はない |
ベースにする蒸留酒も公式に明記されています。米焼酎と粕取り焼酎をベーススピリッツに据えた、The Japanese Craft GIN。
という一文で、米焼酎だけでも粕取り焼酎だけでもなく二つを使う設計です。容量は500mlと200mlの2種類が並んでいます。商品名の表記は公式サイトのとおり「The Japanese Craft GIN 黄金井」です。
熊澤酒造のジンは逆です。公式サイトは吟醸粕を再発酵させて造った粕取り焼酎をベースにライススピリッツを作ります。そこにシンプルにジュニパーベリーのみを漬け込み蒸留することで蔵元ならではのジンが出来上がりました。
と書き、完成までに3回の蒸留工程を経ることで、絶妙なバランスと深みある味わいが広がります。
と続けます。商品名は白天狗で、価格は4,500円、税込4,950円と併記されています。税抜価格に1.1を掛けると税込価格にちょうど一致します。
熊澤酒造のウイスキーについて
熊澤酒造のサイトには日本酒・ビール・ジンと並んでウイスキーのページがあります。ただし本記事の執筆時点ではこのページは只今準備中です。
と表示されるだけで、商品の情報はありません。メニューにあることをもって「造っている」と書くことはできないので、ここまでにとどめます。
神奈川の地酒に合うおつまみと持ち帰り方

神奈川の地酒は食事に寄せた造りのものが多く、県内の名産と合わせやすいのが利点です。神奈川県のページは各蔵の紹介文のなかで、蔵元自身が挙げる相性の良い料理を載せています。
| 蔵元と銘柄 | 県のページに挙がっている料理 |
|---|---|
| 久保田酒造 相模灘 純米吟醸美山錦 | 白身の焼魚料理 |
| 大矢孝酒造 残草蓬莱(冷酒) | 真鯛のカルパッチョ/カツオのたたき/ローストビーフ |
| 大矢孝酒造 残草蓬莱(燗酒) | 身欠きニシンの炊いたもの/鴨焼き/さつま揚げ |
| 黄金井酒造 盛升 大吟醸 | ほたての酒蒸し/白身魚のソテー |
| 川西屋酒造店 丹沢山 麗峰 | 煮魚/しんじょ椀/しめさば/小籠包 |
| 川西屋酒造店 隆 白ラベル | 白身魚のカルパッチョ/アスパラソテー/山菜天ぷら/トマトのファルシ |
| 瀬戸酒造店 あしがり郷 | 生ハム/チーズなどの西洋料理 |
| 熊澤酒造 千峰天青 | 魚のムニエル/香草焼き |
| 石井醸造 曽我の譽 | 小田原名産の酒盗 |
| 中沢酒造 松美酉 純米酒 | マグロのお刺身/茹で落花生/おでん |
| 金井酒造店 音楽醸造酒 原酒 | 塩やきとり |
県外への手土産にするなら、持ち帰り方まで含めて選ぶのが確実です。クラフトビールは湘南ビールのように120日という品質保持期限が公表されている商品があり、冷蔵での配送と保管が前提になります。日本酒でも、しぼりたてや生酒は火入れをしていないため常温での長時間の移動には向きません。火入れの一升瓶や化粧箱入りのほうが移動には強い、というのが現場の感覚です。
焼酎の保存期間の考え方は焼酎の賞味期限で扱っています。
神奈川の地酒に関するよくある質問

神奈川の地酒についてよく寄せられる質問を、公表資料の記述に沿ってまとめました。
神奈川県に酒蔵はいくつありますか。
公表している主体で数が違います。神奈川県の観光ページ「神奈川の地酒」は14軒、神奈川県酒造組合の蔵元紹介は12軒、国税庁の令和7年酒類業実態調査で清酒製造業として回答した事業者は13者です。県のページは「かながわ蔵元屋」の説明で「神奈川県下の12蔵の代表銘柄の地酒を購入できます。(瀬戸酒造店及びRiceWine/森山酒造は除く)」と書いており、14と12の差はこの2蔵だと同じページの中で説明が付いています。
神奈川県で最も古い酒蔵はどこですか。
神奈川県の公式ページは清水酒造について「創業1751年(宝暦元年)の清水酒造は、神奈川県内最古の歴史があり」と書いています。同じページで創業年が分かる10蔵を並べると、最も新しいのは川西屋酒造店の明治30年で、10蔵の幅は146年です。
神奈川の日本酒は淡麗辛口が主流と言えますか。
神奈川県の公式ページで14蔵の紹介文を読むと、そう言い切れません。石井醸造は「濃醇タイプが主流」、吉川醸造は「全体的に辛口で芳醇」、泉橋酒造は「旨辛タイプ」、瀬戸酒造店は「白ワインのような爽やかな酸味」と書かれています。水についても吉川醸造だけが大山の伏流水を「中硬水」と明記しており、県内が一つの味わいでまとまっているわけではありません。
神奈川の清酒はどれくらい県内で飲まれていますか。
国税庁の令和7年酒類業実態調査では、神奈川県の清酒の課税移出数量950キロリットルの内訳が自県660キロリットル、自局194キロリットル、他局96キロリットルで、自県の割合は69.5パーセントと公表されています。同じ調査で首位の兵庫県は97,834キロリットルで、神奈川県の約103.0倍です。量は小さく、地元で飲まれる比率は高いという形です。
神奈川県はワインの生産量が全国1位なのですか。
国税庁の令和7年酒類業実態調査でぶどうを原料とした果実酒を「ワイン」として集計した表では、製成数量と出荷数量のどちらも神奈川県が1位です。ただし同じ表の「日本ワイン」の欄には神奈川県が上位10位に入っていません。果実酒全体の製成数量では栃木県が1位で神奈川県は2位です。どの区分の数字かで順位が変わります。
日本ワインとふつうのワインは何が違うのですか。
国税庁の調査では、国産のぶどうだけを原料としたものを「日本ワイン」として別に集計しています。令和7年の調査で「日本ワイン」の使用原料は16,102トンすべてが国産原料でした。一方「日本ワイン以外」の使用原料19,552トンのうち輸入原料が19,009トンで、そのうち濃縮果汁が18,795トンです。輸入原料の比率は97.22パーセントになります。
神奈川県にクラフトビールの醸造所は多いのですか。
国税庁の令和7年酒類業実態調査(令和7年1月1日現在)では、神奈川県のビール及び発泡酒の製造免許場数はビールのみ3場、発泡酒のみ13場、両方が18場で合計34場です。全国603場のうち5.6パーセントで、東京都に次ぐ規模です。同数は北海道です。
クラフトビールなのに発泡酒と書かれているのはなぜですか。
酒税法第七条第二項の最低製造数量基準はビールが六十キロリットル、発泡酒が六キロリットルで10倍違います。果実そのものは酒税法施行令第六条第一項第二号でビールの副原料として認められていますが、その重量が麦芽の重量の5パーセントを超えると第三条第十二号ロの条件から外れ、第三条第十八号の発泡酒に該当します。黄金井酒造は「さがみビール」のフレーバービアについて「※酒税法上は発泡酒に分類されます。」と自ら書いています。
湘南ビールはどれくらい日持ちしますか。
熊澤酒造の公式サイトは「品質保持期限は、製造日より冷蔵保存で120日」と書いており、「プレミアムラベルや天狗ビール等一部商品は180日」という注記が添えられています。無ろ過で非加熱処理のため酵母が生きており、届いたら冷蔵庫で保管して早めに飲み切るのが前提の商品です。
神奈川のクラフトジンはどんな味の設計ですか。
同じ県内でも設計が正反対です。黄金井酒造の「The Japanese Craft GIN 黄金井」は米焼酎と粕取り焼酎をベースに、神奈川県産のボタニカル9種にジュニパーベリーを加えた計10種を使います。熊澤酒造の「白天狗」は粕取り焼酎からつくるライススピリッツに「シンプルにジュニパーベリーのみを漬け込み蒸留」しており、3回の蒸留工程を経ると公表されています。
最終更新 2026年8月4日。出典は神奈川県「神奈川の地酒」、神奈川県酒造組合「蔵元紹介」、国税庁「酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和7年アンケート)」、国税庁「国内製造ワインの概況(平成30年度調査分)」、e-Gov 法令検索「酒税法」、熊澤酒造「湘南ビール」、熊澤酒造「通年商品」、熊澤酒造「ジン」、熊澤酒造「会社概要」、黄金井酒造「CRAFT GIN」、黄金井酒造「さがみビール」、黄金井酒造「黄金井酒造の歴史」、鈴廣かまぼこ「箱根ビール」。逐語引用は各ページの表記のままで、数値の突き合わせと年数の計算は筆者が行っています。リンクサス酒販 鑑定士チーム監修。



















