グレーンウイスキーとは|酒税法と公正競争規約が定める意味
グレーンウイスキーを説明した文章の多くは、とうもろこしや小麦を連続式蒸溜機で蒸留したもの、という書き出しで始まります。ところが日本の表示ルールを最後まで読むと、そこに蒸留機の話は一言も出てきません。「グレーンウイスキー」という言葉を定義しているのは酒税法でもメーカーでもなく、公正競争規約に付いている運用上の取扱いという文書です。しかもその定義の中心にあるのは、原料の種類でも蒸留機でもなく、発芽させた穀類をどう働かせて糖化させたかでした。
日本の酒税法と公正競争規約、英国のスコッチ・ウイスキー規則、アイルランドのテクニカルファイル、米国の連邦規則集を突き合わせると、同じ「グレーン」という語が法域ごとに別の物差しで決められていることが分かります。銘柄の味の紹介はグレーンウイスキーはなぜ安いかに譲ります。
グレーンウイスキーとは 日本の表示ルールが定める意味

日本国内で製造・販売されるウイスキーの表示には、酒税法とは別に「ウイスキーの表示に関する公正競争規約」があります。この規約は不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第36条第1項の規定に基づき
定められた業界の自主的なルールです。法令そのものではなく、違反の調査も措置も日本洋酒酒造組合が行う仕組みで、第9条第2項は警告に従わない事業者について理事会の議決により、当該事業者に対し、30万円以下の違約金を課し
と定めています。効き方は法令と同じではありません。そして規約そのものではなく、規約に添えられた運用上の取扱いという文書が、「国産ウイスキーのタイプ名等」という見出しの下でグレーンウイスキーの意味を次のように書いています。
「グレーンウイスキー」とは、酒税法第3条第15号ロに掲げる酒類をいう。
同 運用上の取扱い 第1項⑶
定義は一行だけで、原料の種類にも蒸留機の種類にも直接は触れず、酒税法第3条第15号ロという条文を指しているだけです。
この規約が対象にしているのは国内で製造されたものに限られます。規約第2条はこの規約で「ウイスキー」とは、酒税法(昭和28年法律第6号)第2条に規定する酒類のうち、同法第3条第15号に規定する酒類(輸入ウイスキーを除く。)をいう。
と書いており、輸入されたウイスキーは別の規約が受け持ちます。
関連商品ラインナップ

当店で取り扱っているウイスキーを並べています。シングルグレーンだけでなく、ブレンデッドや比較対象になるシングルモルトも含まれます。
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ここではウイスキーの在庫から一部を掲載しています。価格・在庫・箱の有無は各商品ページでご確認いただけます。
グレーンウイスキー30銘柄を産地とタイプで比較

グレーン原酒が中心の銘柄と、グレーンの性格が表に出るブレンデッドを合わせて30本並べました。産地は日本・スコットランド・アイルランド・南アフリカが中心で、複数国の原酒を合わせた一本も含みます。このうち日本・英国・アイルランドの三つについては、後の章で「グレーン」という語の決め方の違いを条文で確かめます。南アフリカの規格はこの記事では扱っていません。
| 画像 | 銘柄・スコア | 定価 市場相場 |
特徴 | リンクサス酒販 本命 |
Amazon | 楽天 | 買取 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
1位人気
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サントリー 知多(シングルグレーン) ★★★★★5/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢4,000〜7,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
ジャパニーズグレーンの代表格。とうもろこし由来の軽やかな甘み。 |
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| 2位限定 | 知多 ディスティラーズセレクト ★★★★☆4/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢7,000〜12,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
度数を高めた限定仕様。知多の甘みをより濃密に味わえる。 |
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3位人気
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キリン 富士 シングルグレーン ★★★★☆4/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢5,000〜9,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
3種の蒸溜機を操る富士御殿場の技。厚みのあるグレーン。 |
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| 4位人気 | ニッカ カフェグレーン ★★★★☆4/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢3,500〜6,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
古式カフェスチルが生む、とうもろこしの甘く香ばしい個性。 |
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| 5位話題 | ニッカ カフェモルト ★★★★☆4/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢4,000〜7,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
連続式蒸溜機で大麦麦芽を蒸溜した異色の一本。グレーンの兄弟。 |
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| 6位定番 | 富士御殿場 シングルグレーン(旧ラベル) ★★★☆☆3/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢5,000〜10,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
富士のグレーンを世に広めた先駆け。バランスのよい甘み。 |
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| 7位定番 | キャメロンブリッグ ★★★☆☆3/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢3,000〜6,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
市場で買える数少ないスコッチ単一蒸溜所グレーン。 |
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8位話題
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ヘイグ クラブ ★★★☆☆3/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢4,000〜7,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
デビッド・ベッカム監修で話題。青ボトルの単一グレーン。 |
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9位定番
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ヘイグ クラブ クラブマン ★★★☆☆3/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢3,500〜6,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
ヘイグ クラブの弟分。よりライトでミキサー向き。 |
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| 10位人気 | ガーヴァン パテントスティル No.4 アップス ★★★☆☆3/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢4,000〜8,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
グランツの心臓部。クリーンで上質なシングルグレーン。 |
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11位定番
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ノースブリティッシュ ★★★☆☆3/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢6,000〜15,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
エディンバラの名門グレーン蒸溜所。独立瓶詰めで人気。 |
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12位定番
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インヴァーゴードン ★★★☆☆3/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢7,000〜18,000円前後(2026年6月時点) |
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ハイランド唯一級のグレーン蒸溜所。長熟ボトルが秀逸。 |
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| 13位定番 | ストラスクライド ★★★☆☆3/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢6,000〜14,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
グラスゴーのグレーン蒸溜所。クリーミーで甘い原酒。 |
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14位話題
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ロッホローモンド シングルグレーン ★★★☆☆3/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢4,000〜8,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
モルト用蒸溜機でつくる異色のシングルグレーン。 |
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15位希少
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ポートダンダス ★★★☆☆3/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢10,000〜25,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
閉鎖蒸溜所の貴重なグレーン。軽快で蜜のような甘さ。 |
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| 16位人気 | ベインズ ケープマウンテン ★★★☆☆3/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢4,000〜7,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
南アフリカ産の単一グレーン。トウモロコシの甘さが軸。 |
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17位話題
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ティーリング シングルグレーン ★★★☆☆3/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢4,500〜8,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
ワイン樽熟成のアイリッシュグレーン。華やかで個性的。 |
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18位定番
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キルベガン シングルグレーン ★★★☆☆3/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢3,500〜6,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
アイルランド産の親しみやすいグレーン。旧名グリノア。 |
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19位希少
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コンパスボックス ヘドニズム(ブレンデッドグレーン) ★★★★☆4/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢9,000〜18,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
複数蒸溜所のグレーンを合わせた贅沢なブレンデッドグレーン。 |
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| 20位定番 | スノーグラウス(ブレンデッドグレーン) ★★★☆☆3/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢3,000〜5,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
冷やして飲むブレンデッドグレーン。クリーンでなめらか。 |
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21位人気
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サントリー 響 ブレンダーズチョイス ★★★★★5/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢15,000〜25,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
知多のグレーンが甘く効いた、人気のジャパニーズブレンデッド。 |
¥18,700リンクサス最安 | 価格を見るAmazon | 楽天で探す 商品名検索 | 査定 買取 |
22位定番
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キリン 富士山麓 樽熟原酒50度 ★★★★☆4/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢5,000〜8,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
富士御殿場のモルト・グレーンを50度で。力強いコク。 |
¥5,500リンクサス最安 | 価格を見るAmazon | ¥7,800 楽天 | 査定 買取 |
23位人気
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イチローズモルト&グレーン クラシカルエディション ★★★★☆4/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢8,000〜13,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
秩父のモルトにスコッチのグレーンを重ねた飲みやすい一本。 |
¥8,800リンクサス最安 | 価格を見るAmazon | 楽天で探す 商品名検索 | 査定 買取 |
24位定番
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イチローズモルト モルト&グレーン ホワイトラベル ★★★☆☆3/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢4,000〜7,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
イチローズの入門ライン。グレーンが効いた親しみやすさ。 |
¥4,400リンクサス最安 | 価格を見るAmazon | 楽天で探す 商品名検索 | 査定 買取 |
25位限定
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イチローズモルト&グレーン ワールドブレンデッド 505 ★★★★☆4/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢18,000〜30,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
世界の原酒を結ぶワールドブレンデッド。グレーンが土台。 |
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26位人気
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ザ ニッカ 12年 ★★★★☆4/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢18,000〜26,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
余市・宮城峡のモルトに伝統のカフェグレーンを重ねた高級ライン。 |
在庫切れリンクサス入荷通知 | 価格を見るAmazon | 楽天で探す 商品名検索 | 査定 買取 |
27位人気
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ニッカ フロム・ザ・バレル ★★★★☆4/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
500ml実勢6,000〜9,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
モルトとグレーンをマリッジ。51度の濃密なブレンデッド。 |
¥6,600リンクサス最安 | 価格を見るAmazon | ¥6,200 楽天 | 査定 買取 |
28位希少
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サントリー 響 21年 ★★★★★5/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢90,000〜150,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
21年以上のモルト・グレーン原酒のみを厳選した最高峰ブレンデッド。 |
¥88,000リンクサス最安 | 価格を見るAmazon | 楽天で探す 商品名検索 | 査定 買取 |
29位人気
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デュワーズ ダブルダブル 21年 ★★★★☆4/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
500ml実勢10,000〜16,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
4種の樽で二度追熟。グレーンが効いたなめらかなスコッチ。 |
在庫切れリンクサス入荷通知 | 価格を見るAmazon | ¥28,700 楽天 | 査定 買取 |
30位希少
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バランタイン 21年 ★★★★☆4/ ウイスキープロフェッショナルスコア |
700ml実勢12,000〜20,000円前後(2026年6月時点) |
💎 プロのおすすめ
40種超の原酒を21年熟成。グレーンが支える長熟スコッチ。 |
¥12,100リンクサス最安 | 価格を見るAmazon | 楽天で探す 商品名検索 | 査定 買取 |
度数はメーカーの公表値をもとにした目安、価格は流通の参考値で、最安値を案内する一覧ではありません。ニッカ カフェモルトは連続式蒸溜機で大麦麦芽を蒸留した一本で、日本の区分では第15号イ、つまりモルトウイスキーにあたります。世界のシングルグレーンは日本では流通量が少なく、リンクサス酒販に在庫がない銘柄もあるため、その場合は定価を掲載していません。
表の度数はメーカーの公表値をもとにした目安で、価格の欄は流通の参考値です。ティーリングやキルベガンのように、産地の規格上はコラムスチルでの蒸留が条件になっている銘柄も含まれています。
物差しの違いがそのまま出るのがニッカ カフェモルトです。連続式蒸溜機で大麦麦芽を蒸留した一本で、日本の区分では第15号イ、つまりモルトウイスキーにあたります。同じ造りをスコットランドの規則に当てはめると、ポットスチルを使っていないためシングルモルトの条件を満たさず、シングルグレーンの側に落ちます。中身は変わらないのに、どちらの文書で読むかで呼び名が入れ替わる一例です。
酒税法はモルトとグレーンという名前を与えていない

運用上の取扱いが指す酒税法第3条第15号は、ウイスキーという一つの品目をイ・ロ・ハの三つの型で書いています。このうちイとロが原酒にあたる部分で、条文はこう書き分けています。
イとロは何が違うのか
発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの
酒税法第3条第15号イ
発芽させた穀類及び水によつて穀類を糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの
酒税法第3条第15号ロ
イは発芽させた穀類そのものを糖化させて発酵・蒸留したもの、ロは発芽させた穀類を糖化の道具として使い、穀類を糖化させたものです。運用上の取扱いは、このイを「モルトウイスキー」とは、酒税法第3条第15号イに掲げる酒類をいう。
と呼び、ロをグレーンウイスキーと呼んでいます。つまり日本のモルトとグレーンの境目は、麦芽を「原料そのもの」として使うか「他の穀類を糖化させる手段」として使うかにあります。
ここで二つ、通説とずれる点があります。一つは、イが「大麦」と書いていないことです。条文の語は「発芽させた穀類」で、大麦に限られていません。英国もアイルランドも米国も、モルトの側には大麦を名指ししているので、日本の条文はこの点で範囲が広いことになります。
もう一つは、イにもロにも蒸留機の種類が書かれていないことです。数値の条件は当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る
という留出時の度数だけで、どんな装置で蒸留したかは問われません。イとロにハを加えたものもウイスキーで、ハはイ又はロに掲げる酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの
を指します。ただしハにはイ又はロに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の百分の十以上のものに限る
という下限が付いており、元の原酒のアルコール分が全体の一割を割り込むと、もうウイスキーとは呼べません。
柱書には除外規定も置かれています。イ又はロに掲げるものについては、第九号ロからニまでに掲げるものに該当するものを除く
という一文です。除かれるのは第9号のロからニまでで、第9号イは含まれません。第9号イは発芽させた穀類又は果実を原料の全部又は一部としたものを連続式蒸留焼酎から外す規定なので、麦芽を使うウイスキーはそもそも連続式蒸留焼酎の側に入らないからです。
三本の法令に一語も出てこない
では、法令の側に「モルトウイスキー」「グレーンウイスキー」という言葉はあるのでしょうか。酒税法・施行令・施行規則の三本について、本則の全条文を検索した結果が次の表です。
| 語 | 酒税法 | 酒税法施行令 | 酒税法施行規則 |
|---|---|---|---|
| モルト | 0 | 0 | 0 |
| グレーン | 0 | 0 | 0 |
| シングルモルト | 0 | 0 | 0 |
| ジャパニーズ | 0 | 0 | 0 |
| スコッチ | 0 | 0 | 0 |
| バーボン | 0 | 0 | 0 |
| 麦芽 | 8 | 0 | 0 |
| 連続式蒸留機 | 3 | 2 | 3 |
| 単式蒸留機 | 7 | 2 | 3 |
モルトもグレーンもシングルモルトも、三本すべてで0件でした。ジャパニーズ・スコッチ・バーボンも同じく0件です。この六つについては、附則まで含めて検索し直しても0件のままでした。一方で「連続式蒸留機」と「単式蒸留機」は三本すべてに現れます。法令が装置の名前を持っていないのではなく、ウイスキーの定義でそれを使っていないだけです。
タイプ名を決めているのは公正競争規約の運用上の取扱い

タイプ名の定義が置かれているのは、規約の本体でも施行規則でもなく、その次に来る運用上の取扱いです。規約本体の第4条は「特定事項の表示基準」という見出しで、熟成年数と原産国の二つだけを扱います。熟成年数についてはブレンドしたもののうち最も熟成年数の若いものの熟成年数をもって、当該ウイスキーの熟成年数として表示する
と定めており、複数の原酒を混ぜたときに最も若い年数を書く、という規律です。タイプ名はここには入っていません。
三つは決まり方の手続も違います。規約は公正取引委員会と消費者庁長官の認定を受けて告示されたもの、施行規則は規約第11条第2項により事前に公正取引委員会及び消費者庁長官の承認を受けるものとする
とされたものです。前の二つは同じ二者が関わりますが、運用上の取扱いだけは外部の関与がなく、日本洋酒酒造組合の理事会が承認したものです。さらに規約第9条が違反措置の対象として挙げているのは第3条、第4条若しくは第6条の規定又は第5条の規定に基づく施行規則
までで、運用上の取扱いは列挙されていません。タイプ名の定義は、三層のうち最も外側の、組合の内部で決められる層に置かれていることになります。
七つのタイプ名と根拠となる号
運用上の取扱いの第1項は、七つの号でタイプ名を定義します。このうち⑴から⑷までは酒税法第3条第15号の枝番を名指しして根拠にしています。⑸と⑹は条文を引かずに、⑵⑶で定めたモルトとグレーンを組み合わせて定義し、⑺だけはモルトにもグレーンにも触れず「単一原料のみ」とだけ書いて、例示で初めて「ピュアモルト」を挙げています。
| タイプ名 | 定義(要約) | 文書が挙げている例 |
|---|---|---|
| ウイスキー原酒 | 第15号イ又はロ | — |
| モルトウイスキー | 第15号イ | — |
| グレーンウイスキー | 第15号ロ | — |
| ブレンデットウイスキー | 第15号ハ、またはモルトとグレーンの混和 | — |
| ストレートウイスキー | モルトまたはグレーンの単独 | ストレートモルトウイスキー/ストレートグレーンウイスキー |
| シングルウイスキー | 単一蒸留所で蒸留されたもの | シングルモルトウイスキー/シングルグレーンウイスキー/シングルブレンデッドウイスキー |
| ピュアウイスキー | 単一原料のみ | ピュアモルトウイスキー/ピュアライモルトウイスキー |
原酒の側は「ウイスキー原酒」とは、酒税法第3条第15号イ又はロに掲げる酒類をいう。
、ブレンデッドはモルトウイスキーとグレーンウイスキーを混和した酒類又は酒税法第3条第15号ハに掲げる酒類をいう。
と書かれています。⑷の表記は「ブレンデットウイスキー」で濁点がありません。同じ文書でも⑹の例示は「シングルブレンデッドウイスキー」と濁点付きなので、引用は原文のままにしてあります。
「シングル」の意味も明記されています。同項⑹はシングルウイスキーを単一蒸留所で蒸留されたモルトウイスキー若しくはグレーンウイスキーの単独からなるウイスキー又は単一蒸留所で蒸留されたモルトウイスキーと当該単一蒸留所で蒸留されたグレーンウイスキーを混和したウイスキー
と定義し、例として「シングルモルトウイスキー」「シングルグレーンウイスキー」「シングルブレンデッドウイスキー」を挙げています。三つめは同じ蒸留所のモルトとグレーンを混ぜたものを指します。日本の文書に例示として実在しますが、この三つのうちシングルブレンデッドだけは、英国のスコッチの五つのカテゴリーに対応するものがありません。
⑸のストレートウイスキーは「ストレートウイスキー」とは、モルトウイスキー又はグレーンウイスキーの単独からなるウイスキーをいう。
と定義されています。米国にも Straight という語がありますが、あちらは熟成年数や蒸留度数の条件が付いたタイプ表示で、別の制度です。
⑺のピュアウイスキーは「ピュアウイスキー」とは、単一原料のみからなるウイスキーをいう。
とされ、例に「ピュアモルトウイスキー」「ピュアライモルトウイスキー」が挙がっています。ラベルの「ピュアモルト」に枠組みを与えているのがこの規定です。
ジャパニーズウイスキーの基準はタイプ名を定めていない
ジャパニーズウイスキーという呼び名の側にも、2021年に定まった基準があります。日本洋酒酒造組合の「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」で、原材料について原材料は、麦芽、穀類、日本国内で採水された水に限ること。
とし、なお、麦芽は必ず使用しなければならない。
と定めています。
ただしこの基準は、モルトかグレーンかという区分については何も決めていません。基準の全文を検索しても「モルト」も「グレーン」も0件です。タイプ名について触れているのは第5条第3項の一箇所だけで、しかも次のように、規約に則った表示を併せて使ってよい、と述べるにとどまります。
公正競争規約に則り表示することができるウイスキーのタイプ名を示す用語を特定の用語に併せて使用できるものとする。
ジャパニーズウイスキーの表示に関する基準 第5条第3項
引用したのは第3項の後半で、その前に「第1項に定める製法品質の要件に該当するウイスキーについては」という前提が置かれています。ジャパニーズと名乗れるものについての規定だ、という限定です。
ジャパニーズという呼び名そのものの成り立ちはジャパニーズウイスキーの定義で詳しく扱っています。ここで押さえておきたいのは、その基準がタイプ名そのものは定めていないという一点です。
つまり「ジャパニーズ シングルグレーンウイスキー」というラベルがあったとして、「ジャパニーズ」の部分を支えているのは2021年の基準、「シングルグレーン」の部分を支えているのは公正競争規約の運用上の取扱いです。一つの表示の中で、根拠となる文書が二つに分かれています。
あわせて注意しておきたいのは、この基準が規約を引用するときに使っている告示番号です。基準の第2条は規約を昭和55年8月7日公正取引委員会告示第22号「制定」と、制定当時の番号で引いています。引用としては通常の書き方ですが、現行の規約はその後、平成31年3月20日に公正取引委員会と消費者庁から認定を受け、同年4月5日に告示されています。令和6年9月30日にも公正取引委員会・消費者庁の告示が出ています。基準に書かれた番号を、そのまま現在の規約の番号として引き写すことはできません。
焼酎は蒸留機で品目が変わるのにウイスキーは変わらない

日本の法令がウイスキーについて蒸留機の種類を問わないことは分かりました。これが単に「法律は装置に興味がない」という話ではないことは、同じ第3条の少し手前を読むと分かります。焼酎については、蒸留機の種類がそのまま品目の名前になっているからです。
第9号は連続式蒸留焼酎を定め、その中で連続式蒸留機を連続して供給されるアルコール含有物を蒸留しつつ、フーゼル油、アルデヒドその他の不純物を取り除くことができる蒸留機をいう
と定義しています。第10号は単式蒸留焼酎を定め、単式蒸留機を連続式蒸留機以外の蒸留機
と、第9号の裏返しとして定義しています。
| 品目 | 根拠 | 蒸留機についての定め | 度数の条件 | 蒸留機が品目を分けるか |
|---|---|---|---|---|
| 連続式蒸留焼酎 | 第3条第9号 | 連続式蒸留機で蒸留したもの | 36度未満 | 分ける |
| 単式蒸留焼酎 | 第3条第10号 | 連続式のもの以外の蒸留機で蒸留したもの | 45度以下 | 分ける |
| ウイスキー | 第3条第15号 | 蒸留機の種類の定めなし | 留出時95度未満 | 分けない |
| ブランデー | 第3条第16号 | 蒸留機の種類の定めなし | 留出時95度未満 | 分けない |
焼酎では、同じ原料を使っても連続式蒸留機を通せば連続式蒸留焼酎、それ以外の蒸留機を通せば単式蒸留焼酎になり、品目そのものが変わります。ところがウイスキーとブランデーにその分岐はなく、連続式蒸留機で蒸留しても品目は「ウイスキー」のままです。
言い換えると、日本の法律は蒸留機の種類で酒を分ける道具立てを持っており、焼酎ではそれを使い、ウイスキーでは使わなかった、ということになります。「グレーンは連続式蒸溜機で造るもの」という説明が日本の制度の話として通らないのは、この選択のためです。焼酎の側の区分については甲類焼酎とはの記事で詳しく扱っています。
もう一つ、二つの号を読み比べると分かることがあります。焼酎には度数の上限が置かれていて、連続式蒸留焼酎は36度未満、単式蒸留焼酎は45度以下です。対してウイスキーに製品としての度数の上限はなく、条文が数字で縛るのは留出時の度数だけです。樽出しのままの度数で瓶詰めされたウイスキーが成り立つのは、この違いによります。モルト側の造りとの対比はモルトウイスキーとはをあわせてご覧ください。
英国のシングルグレーンは残りものとして定義されている

英国では、スコッチウイスキーの定義そのものが法令に置かれています。The Scotch Whisky Regulations 2009 という規則で、その第3条第1項が九つの条件を並べ、第2項が五つのカテゴリーを定めています。日本のように業界の自主基準へ委ねる形ではなく、国の法令が直接カテゴリー名を持っている点が最初の違いです。バーボンとの対比はバーボンとスコッチの違いにまとめてあります。
第1項の九つは、スコットランドで蒸留すること、留出時の度数を94.8%未満に抑えること、容量700リットル以下のオーク樽でスコットランド国内で熟成させること、熟成期間を3年以上とすること、最低アルコール分を40%とすることなどを並べます。加えてよいものは水とプレーンカラメル色素だけです。日本の基準も700リットル以下の樽、3年以上の貯蔵、40度以上の充填を求めており、この三つの数字は一致しています。ただし留出時の上限だけは日本が95度未満、英国が94.8%未満で食い違います。また基準の側にその由来を述べた記述はなく、英国の規則は樽の材質をオークと明記している点も違います。
| カテゴリー | 蒸留所 | 原料の条件 | 蒸留機の条件 |
|---|---|---|---|
| Single Malt Scotch Whisky | 単一蒸留所 | 水と大麦麦芽のみ | ポットスチル |
| Single Grain Scotch Whisky | 単一蒸留所 | 第2項に定めなし | 第2項に定めなし |
| Blended Malt Scotch Whisky | 前段は二か所以上/後段は定めなし | 前段はシングルモルト/後段は第1項(a)(b)に従う留出液 | 前段はポットスチル/後段は定めなし |
| Blended Grain Scotch Whisky | 二か所以上 | 第2項に定めなし | 第2項に定めなし |
| Blended Scotch Whisky | 第2項に定めなし | 第2項に定めなし | 第2項に定めなし |
シングルモルトの条件は具体的です。第2項はfrom water and malted barley without the addition of any other cereals; and (c) in pot stills
と書いており、他の穀類を加えないこと、そしてポットスチルを使うことの両方を求めています。
ところがシングルグレーンの定義は、まったく性格が違います。
a Scotch Whisky that has been distilled at a single distillery except— (a) Single Malt Scotch Whisky; or (b) a Blended Scotch Whisky
同 reg 3(2)
原料の話も蒸留機の話も出てきません。単一蒸留所で造られたスコッチのうち、シングルモルトでもブレンデッドスコッチでもないもの、という書き方です。つまりシングルグレーンは、積極的に何かを満たすカテゴリーではなく、他の二つに当てはまらなかったものが落ちてくる受け皿として定義されています。
この書き方には実際的な帰結があります。仮に大麦麦芽だけを原料にしても、ポットスチル以外の装置で蒸留すればシングルモルトの条件を満たさないため、そのスコッチはシングルグレーンの側に分類されます。「グレーン」という名前が付いていても、穀物の種類がそれを決めているわけではありません。
残る三つは、この二つを組み合わせて作られています。ブレンデッドグレーンはa blend of two or more Single Grain Scotch Whiskies that have been distilled at more than one distillery
、ブレンデッドスコッチはa blend of one or more Single Malt Scotch Whiskies with one or more Single Grain Scotch Whiskies
です。なおブレンデッドモルトの定義は2018年9月17日に改正されています。改正前は完成したシングルモルト同士の混和だけを指していましたが、第3条第1項(a)と(b)に従って造られたシングルモルトの留出液を混和し、同項(c)から(i)までを後から満たすものも含む形に書き換えられました。
アイルランドと米国では物差しがまた違う

グレーンを蒸留機で決めているのはアイルランドだけ
アイリッシュウイスキーは地理的表示として保護されており、満たすべき仕様がテクニカルファイルという文書にまとまっています。この文書は4.2.1から4.2.4に四つの種類を挙げ、ポットスチル・モルト・グレーンの三つが基本のタイプ、ブレンデッドはその混和という組み立てです。そのうちグレーンについての規定が、今回調べた四つの法域のなかで唯一、グレーンの側に蒸留機の条件を置いています。
can only be distilled through column stills
同 4.1.3.2 Distillation using Column Stills
この一文は蒸留の工程を説明した節にあります。種類ごとの仕様を並べた4.2.3の側は、要件の一つとしてdistilled in column stills in such manner that the distillate has an aroma and taste derived from the materials used and the column distillation method
と書き、原料についてはグレーンアイリッシュウイスキーがis produced from malted barley (not exceeding 30%) and includes whole unmalted cereals usually maize, wheat or barley
と述べています。麦芽を30%以下に抑えて残りを未発芽の穀類にすること、そしてコラムスチルで蒸留すること。この二つが揃って初めてグレーンを名乗れます。
モルトの側は対になっており、100%大麦麦芽から造り、distilled in pot stills in such manner that the distillate has an aroma and taste derived from the materials used
と定められています。つまりアイルランドは、グレーンの側にも原料と蒸留機の条件を積極的に置いています。英国も原料と蒸留機を条件にしてはいますが、それはシングルモルトの側に付いた条件で、グレーンはその残りとして決まります。「グレーン=連続式蒸溜機」という一般的な説明が制度としてそのまま成り立つのは、四つのうちここだけです。
米国にはグレーンに当たる区分がない
米国は、最も分かりやすい形で「持っていない」側にいます。連邦規則集の27 CFR 5.143 がウイスキーの同一性基準を定めており、まずウイスキー全体をan alcoholic distillate from a fermented mash of any grain distilled at less than 95 percent alcohol by volume
と定義したうえで、二つの表に分けて具体的な呼称を並べています。国内向けの製法基準による型が16、外国産の型が3で、表は合わせて19の行に分かれています。ただし1行が複数の呼称をまとめている行もあり、行数と呼称の数は一致しません。
この19行のどこにも、グレーンウイスキーに当たる呼称はありません。モルトウイスキー、ライウイスキー、ウィートウイスキー、コーンウイスキー、ライトウイスキー、スピリットウイスキーなど、穀物の種類や製法で切った呼称は数多くあるのに、穀物一般を指す区分だけが置かれていません。2025年1月19日に施行されたアメリカンシングルモルトウイスキーの行は、原料の欄にFermented mash of 100 percent malted barley, produced in the United States
と書いており、こちらも大麦麦芽を名指ししています。
まぎらわしいのはグレーンスピリッツという用語です。これはウイスキーの節ではなく中性スピリッツの節にあり、Neutral spirits distilled from a fermented mash of grain and stored in oak barrels.
と定義されています。ウイスキーの一種ではなく、名前が似ているだけの別区分です。
なお、同一性基準を並べたこの一連の条文には、column still や continuous still といった語が一度も出てきません。米国も日本と同じく、蒸留機の種類を呼称の条件にしていないということです。
| 法域 | 根拠となる文書 | 「グレーン」の条件 | 蒸留機の指定 |
|---|---|---|---|
| 日本(国産) | 公正競争規約の運用上の取扱い 第1項⑶ | 酒税法第3条第15号ロに当たること(発芽させた穀類で穀類を糖化させる) | 問わない |
| 英国 | The Scotch Whisky Regulations 2009 reg 3(2) | 単一蒸留所のスコッチのうちシングルモルトとブレンデッド以外 | 問わない |
| アイルランド | Technical File 4.2.3 | 麦芽30%以下と未発芽の穀類 | コラムスチルに限る |
| 米国 | 27 CFR 5.143 | 該当する区分が置かれていない | 問わない |
ラベルの原材料名から読み取れること

ラベルの原材料名欄にも規約の手が入っています。施行規則の第2条はウイスキーの特長を決定する要素に基づき、「原材料名」という文字の後に、次に掲げる原材料名を順次表示するもの
とし、書く順番まで指定しています。
| 順 | 表示する語 | 補足 |
|---|---|---|
| 1 | 麦芽又はモルト | — |
| 2 | 穀類又はグレーン | 括弧書で類名または穀類の種類名を書いてもよい(表示例は「大麦、とうもろこし、ライ麦」) |
| 3 | ブレンド用アルコール | 穀類を原料とするものを除き、ブレンドした場合に表示 |
| 4 | スピリッツ | 穀類を原料とするものを除き、ブレンドした場合に表示 |
| 5 | シェリー酒類 | 容量比で2.5パーセントを超えて使用した場合に表示 |
運用上の取扱いの第2項⑴も、表示する用語はおおむね次による、として、この欄で使う語をそろえています。麦芽については「モルト」と表示する
、そして穀類については「グレーン」と表示する
という二行です。この第2項の柱書が原材料名にあたる規約第3条第2号を範囲から外しているのは、そこだけは外部の基準に丸投げせず別に定める趣旨で、施行規則第2条も同じ形をとったうえで直後に原材料名の書き方を置いています。つまり原材料名の「モルト」「グレーン」は、麦芽と穀類の言い換えとして定められた表記であって、タイプ名としてのモルトウイスキー・グレーンウイスキーとは別の役割を持っています。同じ語が一つのラベルの中で二通りに使われている、というのが実際のところです。
シェリー酒類の行にだけ数値が入っています。施行規則は容量比で2.5パーセントを超えて使用した場合に、表示する。
としており、それ以下なら書かなくてよいことになります。シェリー樽での熟成を指す表現とは別で、こちらは中身として加えたシェリーの量の規定です。
産地名の扱いにも制限があります。運用上の取扱いの第4項は次のように述べています。
ウイスキーの産地名として国際的に著名な「スコッチ」、「バーボン」、「カナディアン」、「アイリッシュ」を用いたタイプ表示は、当該ウイスキーの特質に誤認を生じさせる恐れもあるので使用しないこととする。
同 運用上の取扱い 第4項⑵
国内で製造したウイスキーに「スコッチタイプ」と書くことはできない、ということです。その第4項は原産国についてもウイスキーの原産国とは、当該ウイスキーにつき最終ブレンドを行った製造場の所在する国をいう。
と定めており、原料の産地ではなく最終ブレンドの場所で原産国が決まる仕組みになっています。第5項には最上級を意味する語についてウイスキー原酒の混和率が30%未満のものについては、使用しない。
という規定もありますが、原酒の混和率という数字が出てくるのはこの箇所だけで、タイプ名の定義とは関係しません。
飲まないウイスキーの査定・買取はリンクサスへ

飲む予定のないウイスキーが手元にある場合、リンクサス酒販では未開栓のボトルの査定を承っています。シングルグレーンやブレンデッド、シングルモルトのいずれも対象で、査定では液面の高さ、キャップとラベルの状態、箱や付属品の有無を見ます。
同じ「グレーン」でも産地によって背景にある規格が違うため、査定ではその銘柄がどの規格の下で造られたものかも確認しています。ご相談はウイスキー買取のページから、商品のご購入はウイスキーのコレクションをご覧ください。
グレーンウイスキーのよくある質問
日本ではグレーンウイスキーをどう定義していますか。
国内で製造されたものについては、公正競争規約の運用上の取扱いが、酒税法第3条第15号ロに掲げる酒類をグレーンウイスキーと定めています。第15号ロは、発芽させた穀類と水によって穀類を糖化させ、発酵させたものを蒸留した酒類です。発芽させた穀類を糖化の手段に使うかどうかが分かれ目で、蒸留機の種類は条件になっていません。
グレーンウイスキーは必ず連続式蒸溜機で造るのですか。
日本の表示ルールはそう定めていません。酒税法にも公正競争規約にも、ウイスキーのタイプ名を蒸留機で分ける規定はありません。調べた四つの法域のうち、グレーンの側に蒸留機の条件を置いているのはアイルランドだけで、テクニカルファイルがグレーンアイリッシュウイスキーについてコラムスチルでしか蒸留できないと定めています。実際に連続式の設備が使われることが多いのは確かですが、定義とは別の話です。
酒税法にモルトウイスキーやシングルモルトという言葉はありますか。
ありません。酒税法、酒税法施行令、酒税法施行規則の三本について附則まで含めて検索しても、モルト、グレーン、シングルモルト、ジャパニーズ、スコッチ、バーボンはいずれも0件です。法令が定めるのは「ウイスキー」という一つの品目だけで、タイプ名は業界の自主的なルールが受け持ちます。
スコッチのシングルグレーンと日本のシングルグレーンは同じ意味ですか。
根拠となる条件が違います。スコッチ・ウイスキー規則2009は、シングルグレーンを「単一蒸留所で蒸留されたスコッチのうち、シングルモルトでもブレンデッドスコッチでもないもの」と定め、第2項では原料にも蒸留機にも触れていません。原料の大枠は第1項がスコッチ全体に課しています。一方、日本の運用上の取扱いは単一蒸留所で蒸留されたグレーンウイスキーを指し、そのグレーンウイスキーは酒税法第3条第15号ロの内容で決まります。表記が同じでも条件は同一ではありません。
ジャパニーズウイスキーの基準はモルトとグレーンを区別していますか。
していません。2021年の「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」は、ジャパニーズと名乗るための条件を定める文書で、基準の全文に「モルト」も「グレーン」も出てきません。タイプ名については第5条第3項が公正競争規約に則って併せて使えると書いているだけです。
アメリカにはグレーンウイスキーという区分がありますか。
27 CFR 5.143 が並べる19行のどこにも、グレーンウイスキーに当たる呼称はありません。モルトウイスキーやライウイスキー、コーンウイスキーのように穀物の種類で切った呼称はありますが、穀物一般を指す区分は置かれていません。名前の似たグレーンスピリッツはウイスキーではなく中性スピリッツの一種です。
ラベルの原材料名にある「グレーン」はタイプ名と同じですか。
別の役割です。運用上の取扱いは原材料名欄について、麦芽は「モルト」、穀類は「グレーン」と書くよう定めています。こちらは原料の言い換えとしての表記で、タイプ名としてのグレーンウイスキーは酒税法第3条第15号ロに当たるかどうかで決まります。
最終更新:(リンクサス酒販 鑑定士チーム監修)
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