B-52とは|作り方と黄金比、三層が度数順にならない理由

B-52(ビーフィフティーツー)とは|作り方と黄金比、3層のレシピとカルーア・ベイリーズの選び方

B-52とは|作り方と黄金比、三層が度数順にならない理由

B-52は、コーヒーリキュール、クリーム系リキュール、オレンジ系リキュールを同じ量ずつ、混ざらないように重ねて出すショットカクテルです。下から順に茶・白・琥珀と三段に分かれ、境目がくっきり残ります。作り方を調べると、たいてい「比重の重いものから注ぐ」と書かれています。ではその比重は、どこかに数字として書かれているのでしょうか。

ここで思わぬところに行き当たります。日本で酒を分類し課税している酒税法には、「比重」も「密度」も一度も出てきません。かわりに条文が持っているのは「アルコール分」と「エキス分」という二つの言葉だけです。ところが、その二つの数値を実際に測る手順を定めた国税庁の訓令を開くと、そこには比重と密度が何十回も出てきます。グラスの中で層を作っているのと同じ量が、税務の現場では酒の数字の多くを決めているのです。

この記事は、B-52の作り方と黄金比を押さえたうえで、層の順が度数の順と一致しないという事実を出発点に、酒税法の定義、国税庁所定分析法の測定手順、換算表である第2表、そしてエキス分の計算式までを原典の逐語で追います。火をつける演出についても、条文の側に何が書かれていて何が書かれていないかを確かめます。

B-52は下から三層に分かれるショットカクテル

B-52は下から三層に分かれるショットカクテル
三層に分かれたショットの参考画像

B-52はショットグラスで供される三層のカクテルです。定番の組み合わせは、下からコーヒーリキュール、クリーム系リキュール、オレンジ系リキュールの三本。名前は米空軍の戦略爆撃機B-52ストラトフォートレスに由来するという説が広く語られていますが、考案者と初出については複数の説が流通しており、本稿ではどれかを断定しません。

黄金比は1対1対1

分量は三本を同量ずつ、いわゆる1対1対1が基本です。ショットグラスの容量に合わせて、それぞれ10mLずつ、あるいは15mLずつというのが実際的なところになります。三等分という決め方は覚えやすいだけでなく、層の厚みが揃うので見た目も安定します。

作り方と注ぐ順番

作り方は次のとおりです。

  1. ショットグラスにコーヒーリキュールを注ぐ。
  2. バースプーンの背をグラスの内壁に当て、クリーム系リキュールを伝わせて静かに落とす。
  3. 同じ要領でオレンジ系リキュールを重ねる。

大事なのは二段目以降で、液面に直接落とさず内壁を伝わせることです。落下の勢いがそのまま下の層をかき混ぜてしまうため、スプーンの背で速度を殺してやります。三層が決まったら、時間を置かずに出します。

層の順は度数の順と一致しない

層の順は度数の順と一致しない
三本のリキュールを並べた参考画像

「重いものから注ぐ」と言われたとき、多くの人はまず度数を思い浮かべます。アルコールは水より軽いので、度数が低いほど重い。だから度数の低い順に下から積めばよい――そう考えるのが自然です。ところが定番のB-52で、その考え方は成り立ちません。

カルーアは20%、ベイリーズは17%

下層に使われるコーヒーリキュールのカルーア コーヒー リキュールについて、サントリーの商品紹介ページは1000mL・700mL・350mL・200mLの4サイズすべての度数を次のように表示しています。

20%

サントリー カルーア 商品紹介ページ 度数欄

いっぽう中層のベイリーズは、ブランド公式サイトの製品ページが次のように表示しています。

BAILEYS Irish Cream Liqueur. 17% Alc/Vol.

Baileys 公式サイト Baileys Original Irish Cream 製品ページ

つまり下に沈むほうが20%、その上に乗るほうが17%です。度数だけで決まるのなら、17%のベイリーズのほうが重いのですから下に来なければおかしい。実際の層は逆になっています。

効いているのはもう一方の数字

この二本の順番を反転させているのは度数ではなく、糖分と乳固形分です。液体の重さは度数とエキス分の両方で決まりますが、この二本では後者の差が前者の差を上回っています。カルーアは砂糖を多く含み、ベイリーズはアイリッシュウイスキーに乳のクリームを合わせた一本です。どちらの成分も蒸発せずに残り、液体を重くします。そしてこの「重くしているもの」を測る言葉が、日本の酒税法にはちゃんと用意されています。エキス分です。

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ここではその他スピリッツの在庫から一部を掲載しています。価格・在庫・箱の有無は各商品ページでご確認いただけます。

B-52に使うリキュールとスピリッツ30銘柄を比較

B-52に使うリキュールとスピリッツ30銘柄を比較
リキュールのボトルを並べた参考画像

下層のコーヒー系、中層のクリーム系、上層のオレンジ・カカオ・ナッツ系まで、B-52とその派生に使われるリキュールを横断して並べました。当店が保有する製品データでは、この30本のアルコール分は13.75%から40%まで分布しており、最も多いのは20%と40%がそれぞれ5本、次いで17%が4本です。40%の5本のうち3本はウォッカで、エキス分が二度に満たなければ品目はリキュールではなくスピリッツになります。

B-52に使うリキュール30銘柄 比較表
B-52の味と層の出方は、重ねる三本のリキュール選びでほぼ決まります。下層のコーヒーリキュール(カルーアやティア マリア、ビターなミスターブラック)、中層のクリーム系(ベイリーズやシェリダン)、上層のオレンジ・コニャック系に加え、チョコ・カカオ系のゴディバ、ナッツ・バニラ系のフランジェリコやリコール43、アレンジに使えるスピリッツまで、B-52作りに役立つ30本を度数・タイプ・特徴で横断的に並べました。価格は楽天・Amazonの実勢を参考値として掲載し、最安値を案内する一覧ではありません。リンクサス酒販の在庫品は各リンクから状態と価格を確認できます(2026年6月時点)。
画像 銘柄・スコア 定価
市場相場
特徴 リンクサス酒販
本命
Amazon 楽天 買取
カルーア コーヒーリキュール 700ml 20%1 カルーア コーヒーリキュール 700ml 20%
コーヒーリキュールやスピリッツはオープン価格の銘柄が多く、メーカーの希望小売価格が公表されていない場合があります。現在の販売価格は各リンク先でご確認ください。
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コーヒーリキュールの代名詞。カルーアミルクで世界中に親しまれる。

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ティア マリア コーヒーリキュール 700ml 20%2 ティア マリア コーヒーリキュール 700ml 20%
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ジャマイカ産コーヒーの上品な香り。カルーアと並ぶ定番。

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3 ミスターブラック コールドプレス コーヒーリキュール 700ml 23%
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甘さ控えめでコーヒー感が濃い新世代。本格派に人気。

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4 カフェ ボルゲッティ エスプレッソ リキュール 700ml 25%
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本場イタリアのエスプレッソリキュール。香り高くキレがある。

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5 イリクオーレ エスプレッソ コーヒーリキュール 700ml 28%
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エスプレッソの名門イリーが手がける本格リキュール。

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6 パトロン XO カフェ 700ml 35%
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テキーラにコーヒーを掛けた辛口リキュール。甘さ控えめで通好み。

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7 カモラ コーヒーリキュール 750ml 20%
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メキシコ産の手頃なコーヒーリキュール。カクテルの常備に。

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8 サブロッソ コーヒーリキュール 750ml 20%
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なめらかな口当たりのメキシカンコーヒーリキュール。

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9 ガリアーノ リストレット エスプレッソ 700ml 30%
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ガリアーノが造る濃厚エスプレッソリキュール。ハーブの余韻も。

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10 マリーブリザール カフェ 700ml 25%
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1755年創業の名門が造るコーヒーリキュール。上品な甘み。

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11 コンカー コールドブリュー コーヒー リキュール 700ml 25%
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英国クラフト蒸溜所の水出しコーヒーリキュール。香り重視。

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ベイリーズ オリジナル アイリッシュクリーム 700ml 17%12 ベイリーズ オリジナル アイリッシュクリーム 700ml 17%
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ウイスキーと生クリームのまろやかな甘さ。コーヒーに浮かべて。

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13 ベイリーズ エスプレッソクリーム 700ml 17%
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ベイリーズにエスプレッソを利かせた一本。甘さとコーヒー感を両立。

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シェリダン コーヒーレイヤード リキュール 500ml 15.5%14 シェリダン コーヒーレイヤード リキュール 500ml 15.5%
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黒いコーヒー層と白いクリーム層が美しい二層リキュール。

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15 ラムチャタ ホースチャタ クリーム 750ml 13.75%
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ラムベースのシナモン香るクリーム。アイスコーヒーと好相性。

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16 アマルーラ クリーム 700ml 17%
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アフリカ産マルーラの実を使ったクリーム。やさしい甘み。

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17 ゴディバ チョコレートリキュール 750ml 15%
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高級チョコブランドが手がける濃厚リキュール。モカ系に最適。

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18 モーツァルト ダークチョコレート 500ml 17%
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カカオ感の強いビターなチョコレートリキュール。

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19 ボルス クレーム ド カカオ ブラウン 700ml 24%
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カクテルの基本となる茶色のカカオリキュール。

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ボルス クレーム ド カカオ ホワイト 700ml 24%20 ボルス クレーム ド カカオ ホワイト 700ml 24%
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無色のカカオリキュール。色を出さずにチョコ風味を足せる。

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ディサローノ アマレット 700ml 28%21 ディサローノ アマレット 700ml 28%
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アンズの核が香る定番アマレット。コーヒーカクテルの隠し味に。

在庫切れリンクサス入荷通知 価格を見るAmazon ¥3,135 楽天 査定 買取
フランジェリコ ヘーゼルナッツ 700ml 20%22 フランジェリコ ヘーゼルナッツ 700ml 20%
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ヘーゼルナッツの香ばしい甘み。コーヒーに加えてナッツ感を。

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23 リコール43 クアレンタイトレス 700ml 31%
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バニラ香る黄金色のスペインリキュール。カラヒージョの主役。

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24 ガリアーノ ヴァニラ 700ml 30%
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バニラとアニスが香る黄金色のリキュール。背の高いボトルが象徴。

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グレイグース ウォッカ 700ml 40%25 グレイグース ウォッカ 700ml 40%
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なめらかなフレンチウォッカ。エスプレッソマティーニのベースに。

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アブソルート バニラ 750ml 40%26 アブソルート バニラ 750ml 40%
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バニラ香るフレーバーウォッカ。コーヒーカクテルに甘い香りを。

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27 ケテルワン ウォッカ 700ml 40%
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小麦由来のなめらかなウォッカ。クセが少なくカクテル向き。

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モリナリ サンブーカ エクストラ 700ml 40%28 モリナリ サンブーカ エクストラ 700ml 40%
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アニスの清涼な甘み。コーヒー豆を浮かべて楽しむ食後酒。

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グラン マルニエ コルドンルージュ 700ml 40%29 グラン マルニエ コルドンルージュ 700ml 40%
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コニャックにオレンジを掛けた銘酒。カラヒージョにも使える万能型。

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ボルス コーヒー リキュール 700ml 24%30 ボルス コーヒー リキュール 700ml 24%
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老舗ボルスが造るコーヒーリキュール。カクテルに使いやすい定番素材。

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価格は各モールの実勢(2026年6月時点)で、リキュールはいずれもオープン価格のためメーカー定価は掲載していません。楽天/Amazon価格は同一品が見つからない場合は空欄になります。在庫・価格は変動するため、最新情報は各リンク先でご確認ください。最安値を保証する一覧ではありません。

クリームを名乗る4本は13.75%から17%と低いところに集まり、上層に使われる一群はカカオ・ナッツ系の15%から、ウォッカ・アニス・コニャック系の40%まで広がります。定番のB-52を下から並べると20%・17%・40%で、度数はいったん下がってから上がります。度数の順に積めば軽い順になるという直感は、上の二段では当たり、下の二段では外れる。この記事が扱うのは、その「外れる」理由のほうです。

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リキュールの品揃えの参考画像

ここでは当店の「その他スピリッツ」の品揃えから、テキーラとメスカルを中心にカードで並べています。各カードから商品ページへ進むと、容量や在庫状況を確認できます。当日14:00までのご注文で当日発送に対応しています。

B-52そのものの三本ではありませんが、上層を高い度数の一本に替えるブルドッグ型を試すときや、比較表に一本だけ入っているテキーラベースのコーヒーリキュールと飲み比べるときの手がかりになります。コーヒー系・クリーム系の銘柄は、上の比較表から探してください。

酒税法が酒を測る物差しは二つだけ

酒税法が酒を測る物差しは二つだけ
酒税法の条文を示す参考画像

ここから法令の側に入ります。酒税法第3条は「その他の用語の定義」という条で、第1号と第2号に酒を測る二つの量が置かれています。この二つが、品目の線引きと税率の刻みを支える共通の物差しになっています。

第1号 アルコール分

温度十五度の時において原容量百分中に含有するエチルアルコールの容量をいう。

酒税法 第3条第1号(アルコール分)

容量に対する容量なので比の量です。条文はこれを「度」と呼びます。いわゆる度数、容量パーセントのことです。基準の温度が十五度と決められている点が効いてきます。

第2号 エキス分

温度十五度の時において原容量百立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数をいう。

酒税法 第3条第2号(エキス分)

こちらは体積あたりの質量です。グラム毎100立方センチメートル、つまり密度と同じ次元の量になっています。度数が同じなら、エキス分が高い酒ほど重い。もっとも液体の重さは度数とエキス分の両方で決まるので、この一つの数字だけで順番が決まるわけではありません。B-52でカルーアが下に沈む理由の片方を、酒税法はこの第2号の言葉で名指ししています。

表1 酒税法第3条が定める二つの量
用語 基準温度 分母 分子 次元
第1号 アルコール分 十五度 原容量百分 エチルアルコールの容量 比の量(条文の単位は度)
第2号 エキス分 十五度 原容量百立方センチメートル 不揮発性成分のグラム数 質量/体積

B-52の三本は、要件を満たす限り酒税法上の品目としてはリキュールに当たります。第21号の要件は一つではなく、酒類と糖類その他の物品を原料とした酒類であること、エキス分が二度以上であること、清酒からその他の醸造酒までの品目・粉末酒・みりんに類似するものに当たらないこと、の三つが重なっています。その線引きそのものはリキュールとはの記事で詳しく扱っています。ここで押さえておきたいのは、同じ品目に入る三本でも、エキス分の値そのものは大きく違うということです。品目の線は二度のところに一本引かれているだけで、その上にどれだけ差があるかは分類には現れません。

酒税法の条文に「比重」も「密度」も一度も出てこない

酒税法の条文に「比重」も「密度」も一度も出てこない
法令の条文を検索する参考画像

では酒税法は、その二つの数値をどうやって出すのかを書いているでしょうか。e-Govの法令データから酒税法の全文(本則と附則を含む平坦化テキスト18万2611字)を取得し、文字列検索をかけた結果が次の表です。

表2 酒税法の全文における測定・燃焼に関する語と定義に使われる単位名の出現回数
検索した語 出現回数
比重 0
密度 0
測定 0
分析 0
浮ひょう 0
引火 0
立方センチメートル 1
グラム数 1

「立方センチメートル」と「グラム数」がそれぞれ1件だけ出るのは、先ほど引いた第3条第2号のエキス分の定義です。つまり酒税法は、量を定義するところで止めている。どう測るかは条文の外に委ねられています。

測り方は訓令の側にある

測定手順を定めているのは、国税庁所定分析法という訓令です。昭和36年国税庁訓令第1号として定められ、平成19年6月22日に全部改正されています。冒頭の総則がこの文書の性格を一行で述べています。

この分析法は、間接税課税物件及びこれに関連ある物件の試験方法を規定したものである。

国税庁所定分析法(訓令)総則1

「間接税課税物件」とあるとおり、対象は酒類だけではありません。この点はあとで効いてきます。

そして総則2は、三つの場合に限って、この分析法以外の試験方法を採用できるとしています。

次に掲げるものについては、この分析法以外の試験方法を採用することができる。

国税庁所定分析法(訓令)総則2

挙げられているのは、試験方法を別途指定した場合、この分析法に規定されていない物件又は項目について試験の必要が生じた場合、やむを得ない理由で適用できない場合の三つです。採用したときは鑑定書や分析書にその出典と方法の概要を書くことも、同じ項に定められています。

実際、国税庁は所定分析法と異なる測定方法についても、酒類製造者が酒税法第46条の記帳義務を履行する際に所定分析法の代わりに使ってよいものを公表しています。その表に並ぶ13の測定方法のうち、振動式密度計を使うものは6つです。たとえば次の方法がそれにあたります。

手持型振動式密度計を用いたアルコール分の測定

国税庁「国税庁所定分析法と異なる測定方法の採用について」測定方法番号13

対象は酒類の全品目・酒母・もろみ・酒かすで、条件は次の一つだけです。

測定時の品温が0℃以上40℃以下のものに限る。

同上 適用に当たっての条件

いっぽう表の筆頭にあるのは、1170ナノメートルから1200ナノメートルの波長範囲を用いる次の方法です。

アルコライザー法によるアルコール分の測定

同上 測定方法番号8ほか

清酒からリキュールまでが並びますが、リキュールについては「アルコール分10.0容量%以下、エキス含量13.0度以下のものに限る」とされており、B-52に使う三本はいずれもこの範囲の外です。密度を読まない方法も認められる場面があるということまでを、ここでは押さえておきます。

度数は蒸留してから比重で読むのが訓令の既定路線

度数は蒸留してから比重で読むのが訓令の既定路線
分析の手順を示す参考画像

所定分析法は総則のあと、共通事項の節(1 試料、2 試薬・器具・計量器)、品目ごとの節、発泡性を有する酒類と酒かすの節、原料や酒母もろみの節、そして酒類ではない揮発油の節(101)に分かれています。目次を見ると、節番号3から19までが酒税法第3条第7号から第23号までの17品目と同じ順で1対1に並んでいます。節番号は号番号から4を引いた数です。

表3 所定分析法の節番号と酒税法第3条の号番号の対応(抜粋)
所定分析法の節 品目 酒税法第3条
3 清酒 第7号
5 連続式蒸留焼酎 第9号
11 ウイスキー 第15号
16 スピリッツ 第20号
17 リキュール 第21号
19 雑酒 第23号

アルコール分の測定手順が最初に書かれるのは、節3の清酒のところです。3-4という項番が付いていて、その最初の方法の名前がすべてを言っています。

蒸留-密度(比重)法

国税庁所定分析法(訓令)3-4 アルコール分 A)

浮ひょうで読む方法

手順は、検体を15℃で正確に量り取り、これを蒸留し、留出した液に水を足して元の体積に戻すところから始まります。糖や乳固形分は蒸発しないので、留液からは不揮発性成分が取り除かれ、ほぼエタノールと水の混合物になります。そのうえで、

留液に水を加えて15℃において原容に戻し、よく振り混ぜた後、シリンダーに移し酒精度浮ひょうを用いて15℃における示度を読み、検体のアルコール分とする。

国税庁所定分析法(訓令)3-4-1 試験操作

酒精度浮ひょうは、液体に浮かべてどれだけ沈むか、つまり液体の重さで目盛が決まる器具です。このA)の系統では、度数は化学反応ではなく浮かぶ深さとして読まれます。訓令がこの方法をA)蒸留-密度(比重)法と呼んでいるとおりです。なお同じ3-4には、B)ガスクロマトグラフ分析法と、重クロム酸カリウムで酸化して滴定するC)酸化法も並んでいます。B)は「この分析法はアルコール分が40度以下かつエキス分が20度以下の検体について適用する。」と範囲が限られています。比重で読むのは所定分析法の既定路線ですが、唯一の方法ではありません。

密度計で測る方法

同じ3-4には、器具を替えた方法も並んでいます。

振動式密度計を用いて3-4-1で得られた留液の15℃における密度を測定し、第2表により換算して検体のアルコール分とする。

国税庁所定分析法(訓令)3-4-2 試験操作

こちらは密度をそのまま数値で測り、換算表で度数に直します。浮ひょう法との違いは読み取り方だけで、測っている物理量はどちらも同じです。

リキュールの節はこの方法を引き継ぎますが、条件によって行き先が分かれます。17-4は本体を「5-4による」としたうえで、性状がビールに似る検体は8-6、多量の精油成分を含む検体は3-4のB)ガスクロマトグラフ分析法を適用すると書き分けています。オレンジやアニスの精油を多く含む一本は、比重ではなくガスクロで測る側に回ることがあるわけです。さらに、アルコール分が30度未満で蒸留操作に焦げ付きのおそれがある検体は、3-4-1の水蒸気蒸留法を用いるか、みりんの7-4を適用すると定められています。糖の多いコーヒーリキュールや乳固形分を含むクリームリキュールは20%前後ですから、実際にはこの分岐に入ることがあります。そのうえで17-4は次のなお書きも置いています。

アルコール分が50度を超える検体にあっては、A)蒸留-密度(比重)法の3-4-1において、水でアルコール分50度以下に希釈したのち蒸留操作を行い、測定された値に希釈倍率を乗じてアルコール分を算出する。

国税庁所定分析法(訓令)17-4 アルコール分

B-52に使う三本はいずれも50度以下なので、この希釈操作は要りません。

第2表の1001行は度数が上がるほど密度が下がることを示す

第2表の1001行は度数が上がるほど密度が下がることを示す
換算表を示す参考画像

いま出てきた「第2表」は、所定分析法の付表として国税庁が公開しているものです。正式な表題は次のとおりです。

アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表

国税庁所定分析法(訓令)目次 付表 第2表の表題

10ページに分かれた表の1ページ目の下に、一度だけ典拠が書かれています。

この表はJIS B 7548:2009(酒精度浮ひょう)附属書A(規定)「国際アルコール表」に基づき作成されている。

国税庁所定分析法(訓令)付表 第2表 注

この表は0.0%から100.0%まで0.1%刻みで、1001行にわたって度数と密度と比重を対応させています。実際に取得して並べたのが次の表です。

表4 第2表から抜き出したアルコール分と密度(15℃)
アルコール分(vol%) 密度(15℃) 比重(15/15℃) B-52での位置
0.0 0.99910 1.00000
17.0 0.97818 0.97906 中層のベイリーズと同じ度数
20.0 0.97517 0.97605 下層のカルーアと同じ度数
40.0 0.95121 0.95207 上層に使う銘柄に多い度数
100.0 0.79351 0.79422 エタノール

1001行すべてで、度数が上がると密度は下がります。途中で反転する箇所はありません。ここが決定的です。17.0%の密度0.97818に対して20.0%は0.97517。留液だけを比べるなら、カルーアの側のほうが軽い。それでもカルーアが下に沈むのは、留液にならなかったもの、つまり蒸留で残るほうの成分が効いているからです。

エキス分は二つの比重の差から計算される

エキス分は二つの比重の差から計算される
計算式を示す参考画像

では、蒸留で残るほうはどう数値化されるのか。所定分析法3-7がエキス分の計算式を置いています。まず置かれるのは比重で書いた式です。

E=(S-A)×260+0.21

国税庁所定分析法(訓令)3-7 エキス分

Sは検体の比重で、清酒についてはラベルでおなじみの日本酒度からS=1443/(1443+日本酒度)として求めた比重(15/4℃)です。Aはアルコール分を第2表で比重(15/15℃)に換算したものです。比重から比重を引いているのがこの式の形になります。そのうえで3-7は、器具を替えた場合の式も並べています。

E=(Ds-Da)÷0.9991×260

国税庁所定分析法(訓令)3-7 エキス分 なお書き

記号の意味も同じ項に書かれています。

Ds及びDaは、それぞれ検体及びその留液の密度(15℃)で、E値において小数点以下2けたを切り捨てる。

国税庁所定分析法(訓令)3-7 エキス分 なお書き

引き算の相手は、検体そのものと、そこから不揮発性成分を落とした状態の液です。振動式密度計で留液の密度まで測るならDaがその実測値になり、測らない場合は同じ項の注が「Daに替えてアルコール分(度)を第2表により換算した密度(15℃)を使用する」と定めています。比重で書いた主式のAも、この換算値のほうです。いずれにせよ引かれているのは「糖や乳固形分が無いときの重さ」で、残る差は不揮発性成分が液体を持ち上げたぶんにあたります。エキス分とは、その持ち上がりを260倍して整えた数字です。

B-52の層順が説明できる

密度の式を並べ替えると、Ds=Da+E×0.9991÷260になります。酒の密度は「アルコールぶんの重さ」と「エキス分の寄与」の足し算だということです。カルーアとベイリーズを比べると、度数はカルーアのほうが3ポイント高く、第2表によればその分だけ0.00301軽い。カルーアが下に来るには、この0.00301をエキス分の寄与が上回ればよいので、必要なエキス分の差は0.00301×260÷0.9991、すなわちおよそ0.78度にすぎません。甘いコーヒーリキュールとクリームリキュールの差としては、ごく小さな値です。

リキュールの節にも、エキス分の測り方が方法を分けて置かれています。

試料のエキス分が25度未満の場合には A)、25度以上の場合には B)による。

国税庁所定分析法(訓令)17-5 エキス分

A)は3-7と同じ式です。B)の行き先である7-5、つまりみりんの節の式も、検体を2倍に希釈してから同じ形の引き算に入れるというもので、原理は変わりません。エキス分が25度以上の甘いリキュールでも、測っているのはやはり二つの比重(または密度)の差です。

同じ器具が日本酒度も測っている

比重を読む器具は清酒でも使われます。3-3が定める方法は次のとおりです。

検体をシリンダーにとり、比重(日本酒度)浮ひょうを用いて15℃における示度を読み、検体の比重(日本酒度)とする。

国税庁所定分析法(訓令)3-3 比重(日本酒度) A)浮ひょう法

ラベルに書かれている日本酒度も、出どころは同じ比重です。詳しくは日本酒度の記事で扱っています。

引火点という項目があるのは揮発油の側で酒類にはない

引火点という項目があるのは揮発油の側で酒類にはない
火をつける演出の参考画像

B-52は上層に火をつけて出すことがあります。青い炎が立ち、それを吹き消してから飲む、あるいはストローで一気に飲む――そういう出し方が知られています。では、酒が燃えるかどうかを法令はどう扱っているのでしょうか。

総則と32の節を全部走査した結果

国税庁所定分析法の総則と全32節(PDF33本)を取得し、空白を除いた5万5740字に対して検索をかけました。

表5 国税庁所定分析法 総則と全32節における出現回数
検索した語 出現回数 出てくる節
密度 51 節3清酒19を含む計10節(節101揮発油3・節221酒母もろみ5を含む)
比重 41 節3清酒10を含む計13節(節101揮発油2を含む)
浮ひょう 23 節3清酒17・節5連続式蒸留焼酎4・節8ビール1・節231(混和できる物品)1
引火 3 節9果実酒に1、節101揮発油に2
燃焼 0
可燃 0
発火 0

「引火」は0件ではありません。ただし中身を見ると、酒の性質を測る話ではないことが分かります。

1件は試薬の注意書き

節9(果実酒)に出てくる1件は、亜硫酸の測定に使う指示薬をエチルアルコールに溶かす場面の注意書きです。

引火性があるため、火気に注意して取り扱う。

国税庁所定分析法(訓令)9-15-1 試薬

燃えるかもしれないと言われているのは試薬であって、検体である果実酒ではありません。

2件は揮発油の試験項目

残る2件は節101、すなわち揮発油の節にあります。ここには「101-6 引火点」という独立した項目が立っていて、測り方まで指定されています。

JIS K 2265-1(原油及び石油製品 -引火点の求め方- タグ密閉法)による。

国税庁所定分析法(訓令)101-6 引火点

ここが本記事のもう一つの結論です。国税庁所定分析法は、総則が言うとおり間接税の課税物件全般を扱う訓令で、揮発油税の対象である揮発油も同じ文書に入っています。しかも揮発油の節には「101-3 比重」と「101-4 密度」も立っており、密度を測る点では酒類と同じです。

JIS K 2249(原油及び石油製品 –密度の求め方-)– 1~4 による。

国税庁所定分析法(訓令)101-4 密度

つまり揮発油は密度も引火点も測る。酒類は密度は測るが、引火点は測らない。この対比で欠けているのは引火点の一方だけです。酒税法の17品目に対応する節3から19までのどこにも、引火点という項目は立っていません。

ただしこれは「測ってはならない」という意味ではありません。総則2が挙げる三つの場合の一つは次のものでした。

この分析法に規定されていない物件又は項目について試験の必要が生じた場合

国税庁所定分析法(訓令)総則2(2)

規定の無い項目については、鑑定書等に出典と方法の概要を書いたうえで別の試験方法を採用できます。所定分析法が語っているのは、酒類について引火点を、課税上測るべき項目として立てていないというところまでです。

したがって、B-52に火がつくかどうかは、酒税の側が扱っている論点ではありません。実際に燃えるかどうかは製品ごとの引火点しだいで、その数値は所定分析法にも酒税法にも書かれていません。安全のうえでは、火は必ず消してから飲む、周囲に燃えるものを置かない、グラスが熱くなることを見込む、といった当たり前の配慮が要ります。なお、家庭で酒をたくさん保管するときにかかる消防法の線引きについては、ウイスキーの保存方法の記事で条文から整理しています。

似たカクテルとの違いと飲まないお酒の査定

似たカクテルとの違いと飲まないお酒の査定
派生のショットを並べた参考画像

B-52には名前を変えた派生がいくつもあります。材料を一つ入れ替えるという作り方が基本です。次の表の呼び名は文献や店によって差があり、一般に流通している組み合わせを整理したものです。法令の側に定義があるわけではありません。

表6 B-52と近い名前のショット
名前 定番との違い 層の数
B-52 コーヒー・クリーム・オレンジ系 3
B-53 上層をアニス系の一本に替える 3
B-54 上層をアーモンド系のリキュールに替える 3
B-52ブルドッグ 上層を高い度数のスピリッツに替える 3

B-52以外の三つは、いずれも入れ替えるのは上層です。下二段を動かすと層が崩れやすくなるためで、これも密度の話に戻ってきます。上層に高い度数の一本を置く型が多いのは、エキス分が同程度なら度数が高いほど軽くなることと無関係ではないでしょう。ただし第2表そのものはエタノールと水だけの表なので、糖を含む一本の密度をこの表から読むことはできません。B-53のアニス系やB-54のアマレットは糖分の多い型なので、度数だけで軽さが決まるわけでもありません。

飲まなくなったリキュールの査定

層を作るために三本そろえたものの、一度作って以来そのままという方は少なくありません。リキュールは開封後の風味変化が早い一方、未開栓であれば買取の対象になります。リンクサス酒販ではリキュールやスピリッツの査定を承っています。

B-52についてよくある質問

B-52についてよくある質問
よくある質問の参考画像
B-52の黄金比はどのくらいですか。

コーヒーリキュール、クリーム系リキュール、オレンジ系リキュールを1対1対1で重ねるのが基本です。ショットグラスの容量に合わせて各10mLずつ、または各15mLずつが実際的な分量になります。三等分にすると層の厚みが揃うので、見た目も安定します。

なぜ度数の低いベイリーズが、度数の高いカルーアより上に来るのですか。

層の順を決めているのがアルコール分だけではないからです。サントリーの商品紹介ページはカルーアを20%、Baileys公式サイトはベイリーズを17% Alc/Volと表示しています。国税庁所定分析法の第2表によれば、エタノールと水だけなら17.0%の密度は0.97818、20.0%は0.97517で、度数の高いほうが軽い。それでもカルーアが下に沈むのは、糖などの不揮発性成分による重さの上乗せがその3ポイント分を打ち消しているからです。密度差0.00301を上回るのに必要なエキス分の差は0.78度ほどで、甘いリキュールどうしなら十分にありうる幅です。ただし各銘柄のエキス分の実測値はメーカーが公表しておらず、断定できるのは度数だけでは層順を説明できないというところまでです。

酒税法には比重や密度の規定がありますか。

ありません。e-Gov法令APIから取得した酒税法の全文(平坦化テキスト18万2611字)を検索すると、比重・密度・測定・分析・浮ひょうはいずれも0件でした。条文が持っているのはアルコール分とエキス分の定義だけで、測り方は国税庁所定分析法という訓令の側に置かれています。

アルコール分はどうやって測るのですか。

国税庁所定分析法3-4のA)は「蒸留-密度(比重)法」という名前です。検体を15℃で量り取って蒸留し、留液に水を加えて元の体積に戻したうえで、酒精度浮ひょうを浮かべて示度を読むか、振動式密度計で密度を測って第2表で換算します。浮ひょうは比重を、振動式密度計は密度を読みますが、どちらも液体の重さをたどっている点では同じで、第2表で行き来できます。ただし同じ3-4にはB)ガスクロマトグラフ分析法とC)酸化法も並んでおり、国税庁は酒類製造者の記帳義務に限ってですが1170ナノメートルから1200ナノメートルの波長範囲を使うアルコライザー法なども別途認めています。比重で読むのが既定路線であって、唯一の方法ではありません。

エキス分は何を表す数字ですか。

酒税法第3条第2号は「温度十五度の時において原容量百立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数」と定義しています。体積あたりの質量なので、密度と同じ次元の量です。所定分析法3-7はまず比重で書いた式E=(S-A)×260+0.21を置き、続いて振動式密度計を使う場合の式E=(Ds-Da)÷0.9991×260を並べています。DsとDaはそれぞれ検体とその留液の密度(15℃)です。つまりエキス分は、検体と、そこから不揮発性成分を落とした状態(留液の実測値、または第2表による換算値)との比重や密度の差から出ています。

B-52に火をつけるとき、酒税の側で決まっていることはありますか。

ありません。国税庁所定分析法を総則と全32節にわたって検索すると、引火という語は3件だけで、1件は果実酒の節にある試薬の取扱い注意、2件は揮発油の節にある「101-6 引火点」の項目です。酒税法の17品目に対応する節3から19までに引火点という試験項目は立っていません。もっとも総則2は「この分析法に規定されていない物件又は項目について試験の必要が生じた場合」には別の方法を採用できるとしているので、これは禁止ではなく、課税上測るべき項目として立てていないという意味です。なお酒類をたくさん保管するときの上限は消防法の側にあり、別記事で条文から整理しています。安全上は、火を消してから飲む、周囲に燃えるものを置かない、グラスが熱くなることを見込む、といった配慮が必要です。

カルーアの純アルコール量はどれくらいですか。

サントリーの商品情報ページは、カルーア コーヒー リキュール 700mL瓶について100mLあたり16g、30mLあたり4.8gと表示しています。同ページは算出方法も明記しており、純アルコール量(g) = 容量(ml) × アルコール分(%)/100 × 0.8という式に基づくとしています。

B-52の三本は酒税法ではどの品目になりますか。

いずれも要件を満たす限りリキュールに当たります。酒税法第3条第21号の要件は、酒類と糖類その他の物品を原料とした酒類であること、エキス分が二度以上であること、清酒からその他の醸造酒までの品目・粉末酒・みりんに類似するものに当たらないこと、の三つです。ただし品目の線はエキス分二度のところに一本引かれているだけなので、その上にどれだけ差があるかは分類には現れません。層の順が品目からは読み取れないのはそのためです。なお比較表に載る40%の5本のうち3本はウォッカで、エキス分が二度に満たなければ品目はスピリッツになります。

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