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自宅のワインを眺めていて、「これ、賞味期限ってあるの?」と疑問に思ったことはありませんか?
ワインはお酒でありながら、食品のように“賞味期限”の表示がないため、不安に感じる方も多いはずです。
実は、ワインには明確な賞味期限が存在しません。
しかしそれは「どんな状態でも劣化しない」という意味ではなく、保存環境や種類によって“おいしく飲める期間”が異なるということを示しています。
本記事では、ワインの賞味期限や飲み頃の目安、正しい保存方法、そして開封後の扱い方までを徹底解説。
「ワインを長く楽しみたい」「劣化させずに保存したい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。

ワインに賞味期限はあるの?まず知っておきたい基本

ワインに賞味期限はない
多くの食品には「賞味期限」や「消費期限」が表示されていますが、ワインには基本的に賞味期限の記載がありません。
これは、ワインがアルコール発酵によって作られており、微生物が繁殖しにくい=腐りにくい性質を持っているためです。
そのため法律上も、ワインには「賞味期限の表示義務」が定められていません。
ただし、これは「永遠に品質が保たれる」という意味ではありません。ワインは時間の経過や保存状態によって、香りや味わいが少しずつ変化していく飲み物です。
つまり、“飲める期間”と“おいしく飲める期間”は異なるという点を理解しておくことが大切です。賞味期限がないからこそ、適切な温度・湿度で保管し、開けるタイミングを見極めることがワインを楽しむうえで重要になります。
ワインは熟成を楽しむお酒
「ウン十年物のワインを手に入れた」など、“〇〇年もののワイン”といわれているものがあることはご存知でしょう。仮にワインに賞味期限があった場合、こういったワインが存在していること自体がおかしな話となります。
ましてや数十年前は今ほど保存技術が優れていないわけですから、熟成ワインの存在はどれだけワインが長持ちするお酒かをものがたる存在でしょう。
例えば、これらワインは長期熟成された高級ヴィンテージワインとして市場でも高値で取引されています。
シャトーマルゴー 1999
ボルドー五大シャトーのひとつとして名高いシャトー・マルゴー。
1999年ヴィンテージは若々しさを残しつつも、今まさに飲み頃を迎えています。
ブラックチェリーやスミレの香り、シルクのようなタンニンが織りなすエレガントな味わいが魅力。
長期熟成にも十分耐えうる構成力を持ち、今後数年の熟成でもさらなる円熟味を楽しめる一本です。
シャトーペトリュス 2009
世界で最も高価なワインの一つとして知られるペトリュス。
2009年は気候条件にも恵まれ、凝縮感とエネルギーに満ちた秀逸な年。
熟したプラムやトリュフのような香りが広がり、しなやかな口当たりと長い余韻が印象的です。
既に完成度が高く、現在でも十分に楽しめますが、適切な環境で保管すれば今後10年以上の熟成にも耐えるポテンシャルを秘めています。
シャトーディケム 1986
貴腐ワインの最高峰と称されるシャトー・ディケム。
1986年は糖度と酸のバランスが極めて優れており、今なお美しい黄金色と蜂蜜のような香りを放ちます。
長い年月を経ても衰えることなく、むしろ味わいが一層複雑に変化。
熟成を重ねるほどに深い甘みと酸味の調和が生まれ、50年以上の熟成にも耐えうる力を持つ名ヴィンテージです。
DRCリシュブール 2007
ブルゴーニュの最高峰、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)が手がけるリシュブール。
2007年は繊細で女性的な印象の年で、ラズベリーやスパイスの香りが華やかに広がります。
すでに開き始めた柔らかな味わいを楽しめる一方で、今後5〜10年の熟成によってより深みと官能性が増していくでしょう。
香りの余韻が長く、熟成ポテンシャルも非常に高い一本です。
オーパスワン 1982
ナパ・ヴァレーの象徴的存在、オーパス・ワンの初期ヴィンテージにあたる1982年。
40年以上の歳月を経て、カベルネ主体の重厚な骨格が丸みを帯び、熟成香と果実味の絶妙なバランスが楽しめます。
カシスや杉の香り、わずかなスモーキーさが漂い、まさに円熟の極み。
飲み頃としてはピークを迎えており、ワインの熟成美を堪能できる歴史的なボトルです。
ワインは上記で解説したようにポリフェノールや酸が多く含まれるお酒であるため、ゆっくりと熟成させることが可能です。また、長年熟成させるワインはアルコール度数が高い傾向にあるため、さらに耐久性があります。
“ワインは熟成するお酒”とわかれば、賞味期限がないことがよく理解できるでしょう。
未開封ワインの賞味期限・保存期間の目安

未開封ならどれくらいもつ?
ワインは開けなければ長期間の保存が可能ですが、種類や保管環境によって寿命が大きく変わります。
一般的な市販ワイン(スーパーや通販で購入できる価格帯のもの)を目安にすると、以下のような期間が参考になります。
-
赤ワイン:3〜5年
タンニン(渋み成分)やポリフェノールが多く含まれており、酸化に強いタイプ。比較的長期保存に向いています。 -
白ワイン:2〜3年
酸化に弱く、時間の経過とともに香りや酸味のバランスが崩れやすいため、早めの消費が推奨されます。 -
スパークリングワイン:1〜2年
発泡性のため内部圧が高く、ガス抜けや酸化によって劣化が早いのが特徴。購入から1年以内に飲み切るのが理想です。
一方で、熟成を前提に造られた高級ワインやヴィンテージワインは別格。
シャトー・マルゴーやオーパス・ワンなどの上質なボトルは、10年以上の熟成にも耐えるポテンシャルを持ちます。
ただし、これは適切な環境(定温・遮光・湿度管理)で保存している場合に限られます。
保存環境による違い(常温・冷暗所・冷蔵庫)
| 保存環境 | おすすめ期間 | 注意点 |
|---|---|---|
| 常温(25℃前後) | 数ヶ月〜1年 | 夏場は温度が上がりやすく、劣化スピードが速い。長期保存には不向き。 |
| 冷暗所(15〜20℃) | 2〜5年 | 直射日光や温度変化の少ない場所が理想。押入れや床下収納が代用可。 |
| ワインセラー | 長期熟成可 | 温度・湿度を一定に保てるため、最も安定した保存環境。コルク劣化を防ぎ品質を維持できる。 |
同じワインでも、保存環境が違えば寿命は大きく変わります。
上記の表を参考に、家庭での保管に適した場所を選びましょう。
特に日本の夏は湿度と気温が高く、ワインにとって過酷な環境です。
長く保管したい場合は、ワインセラーや冷暗所を活用し、温度変化を避けることが最優先です。
赤・白・スパークリングの保存性の違い
ワインの種類によっても、酸化への耐性が大きく異なります。
色や種類による違いは以下のとおりです。
-
赤ワイン
ポリフェノールやタンニンが豊富で、酸化しにくい構造を持っています。
未開封なら数年単位で熟成可能。長期保存にも比較的向いています。 -
白ワイン
酸や香りの成分が繊細なため、温度変化や酸素の影響を受けやすく、長期保存には不向きです。
爽やかな香りを楽しみたいなら、購入から2〜3年以内が目安。 -
スパークリングワイン
ガス圧が高く、瓶内の状態が変化しやすいタイプ。
長く置くと発泡が弱まり、香りも飛んでしまいます。できるだけ早めに開栓するのがおすすめです。 -
甘口ワイン
糖分が多く保存性が高い傾向があります。
冷暗所に保管すれば数年単位で風味を保ちやすく、ゆるやかな熟成も楽しめます。
開封後のワインはいつまで飲める?保存方法と注意点

開封後の目安期間
一度開けたワインは、空気と触れることで酸化が進み、風味や香りが徐々に変化していきます。
開封後においしく飲める期間の目安は、ワインの種類と保存環境によって異なります。
以下の表を参考に、早めに飲み切るようにしましょう。
| 保存場所 | 赤ワイン | 白ワイン | スパークリング |
|---|---|---|---|
| 常温 | 当日中〜1日 | 当日中 | 数時間以内 |
| 冷蔵庫 | 3〜5日 | 2〜4日 | 1〜2日 |
| 真空ストッパー使用 | 約7日 | 約5日 | 約3日 |
特に夏場など気温の高い季節は、常温での保存は避けたほうが安全です。
赤ワインでも冷蔵保存が基本。飲む前に少し常温に戻すと、香りと味わいがより豊かに感じられます。
味や香りが変わるサイン
開栓後のワインは、見た目や香りに劣化のサインが現れることがあります。
以下のような変化が見られた場合は、品質が落ちている可能性が高いと判断してください。
-
酸っぱいにおい・ツンとした香り
酸化が進み、酢のような匂いやツンとした刺激臭を感じたら要注意。 -
色が濁る・沈殿物が増える
透明感が失われて濁りが出たり、沈殿物が増える場合は劣化のサインです。 -
液面に泡や異臭がある場合は飲まない
再発酵や雑菌繁殖が起こっている可能性があり、飲用は避けましょう。
これらの兆候が出たワインは、たとえ見た目がきれいでも口にしないほうが安全です。
「少し変な匂いがするかも?」と思った時点で無理に飲まず、料理などへの再利用を検討しましょう。
開封後に腐ることはある?
一般的にアルコール度数が高いワインは腐りにくい飲み物ですが、保存環境が悪いと“腐る”ケースもゼロではありません。特に、開封後に常温で放置すると、コルクや注ぎ口から雑菌が入り込み、再発酵が起こることがあります。
この状態になると、酸味が強くなり、異臭や泡立ちが発生。飲むと胃腸に負担をかける可能性もあります。
健康面を考慮しても、開栓後は必ず冷蔵保存し、できるだけ数日以内に飲み切るのが理想です。
また、ワインを長持ちさせたい場合は、真空ポンプ式のストッパーやガス充填タイプの保存グッズを活用するのもおすすめです。
空気との接触を減らすことで、酸化を遅らせ、数日間はフレッシュな香りを保つことができます。
ワインの飲み頃はいつ?価格帯・種類ごとのおすすめ時期まとめ

ワインには“飲み頃”と呼ばれる最も美味しい時期があります。
飲み頃とは、そのワインの香りや味わいが最も調和し、バランスよく楽しめるタイミングのこと。
ここでは、価格帯やタイプ別に「いつ飲むのがベストか」を分かりやすくまとめました。
| ワインのタイプ | 主な特徴 | 飲み頃(未開封) | 開封後の目安 | 美味しく飲むポイント |
|---|---|---|---|---|
| 手頃な価格の赤・白ワイン | 500円〜1,000円程度で手軽に購入できるデイリーワイン。早飲みタイプが多い。 | 半年〜1年以内 | 当日〜翌日 | 市場に並んだ時点で飲み頃。長期保存せず早めに楽しむのがおすすめ。 |
| 熟成タイプではない赤・白ワイン | やや価格が上がり、造りがしっかりした一般的なワイン。熟成を目的としていない。 | 赤:2年以内/白:1年以内 | 約1週間(適切な保存時) | フレッシュさが命。長期熟成させると風味が落ちるので注意。 |
| 熟成タイプの赤・白ワイン | カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネなど熟成向き品種。樽熟成を経た高級タイプも。 | 赤:4〜10年以上/白:2〜6年以上高級銘柄は20〜50年熟成可 | 1日〜1週間(熟成度による) | 飲む前に空気に触れさせると香りが開く。熟成が進んでいる場合は早めに飲み切る。 |
| スパークリングワイン | 炭酸ガスを含む発泡性タイプ。一般的には早飲み向き。 | 1年以内高級シャンパンなどは5〜10年以上熟成可 | 当日(できればすぐ)ストッパー使用で2〜3日 | 炭酸と香りが命。開けたらできるだけ早く飲み切るのが理想。 |
| 酸化防止剤無添加の赤・白ワイン | ナチュラル志向のワイン。酸化防止剤を使わないため繊細で劣化が早い。 | 購入後すぐ〜1年以内(保存環境により変動) | 当日〜2日以内 | 自然派ワインはデリケート。開封後はすぐ飲むか冷蔵保存を徹底する。 |
手頃な価格の赤・白ワイン
近年、ワンコインでも手軽に購入できるワインが増えています。
これら手軽に飲める赤ワインや白ワインは、“早く飲んで美味しい”造りとなっている場合がほとんどです。そのため市場に並んでいる時はすでに飲み頃といったことを考え、半年から1年以内に飲みきってしまった方が美味しく飲むことできます。
また、開封後は当日か翌日までには飲みきってしまった方がよいでしょう。
熟成タイプではない赤・白ワイン
やや価格が張るワインの中でも、熟成タイプではないワインが多くあります。
まず、赤ワインは基本的に瓶詰めされた後、1年以上熟成されて市場に出回ります。白ワインは、瓶詰めした当年、または翌年に市場に出回るといった形です。
長期熟成を前提に造られていない赤ワインや白ワインの場合、赤ワインは2年以内、白ワインは1年以内が飲み頃と考えられます。
熟成を目的としていないため、あまり長期間熟成させるとそのワインの魅力である風味などが無くなっている可能性があるためです。ただしカジュアルなワインではなく多少しっかりと造られているワインなので、開封後は正しい保存方法であれば一週間ほどは美味しく飲むことができるでしょう。
熟成タイプの赤・白ワイン
熟成タイプの赤ワインや白ワインの飲み頃は、その銘柄や品種によっても変わってきます。
一般的にカベルネ・ソーヴィニヨンやテンプラリーニョを中心に使うフルボディの長期熟成タイプの赤ワインは、4年から10年以上が飲み頃。シャルドネを樽熟成させた高級白ワインであれば、2年から6年以上が飲み頃になります。
一部、ボルドーやブルゴーニュのグラン・クリュレベルの高級ワインの場合、銘柄によって20年から50年以上で飲み頃を迎えるものもあるほどです。
開封後の飲み方について詳しくは後述しますが、少し時間をおいて酸素と触れ合わせてから飲むと香りが開き真価が味わえます。
徹底された保存方法であれば1週間程度美味しく飲めますが、かなり熟成が進んでいた場合は劣化スピードが早いため、翌日には飲みきりたいところです。
スパークリングワイン
スパークリングワインの飲み頃は、基本的には1年以内と考えてよいでしょう。しかし、詳しくは後述しますが、高級シャンパンやカバ、フランチャコルタなど熟成を目的としているものであれば、5年から10年以上寝かせると飲み頃を迎えることがあります。
しかし、これらは一部のスパークリングワインであり、一般的なスパークリングワインであれば購入後にすぐに飲んでしまうのがおすすめです。
また、スパークリングワイン用のワインストッパーがあれば3日間は問題ありませんが、できれば炭酸や酸化の関係上、スパークリングワインは開封後すぐに飲みきってしまうのが理想的でしょう。
酸化防止剤無添加の赤・白ワイン
近年、酸化防止剤無添加などナチュラルな造りのワインに人気が集まっています。
酸化防止剤無添加の赤ワインや白ワインは、「大手メーカー」が手掛けた大量生産のものと、ドメーヌなど小さな生産者が自然な造りをしているものに分けられます。
例えば前者はかなり手頃な価格のワインに入るため、購入後はすぐに飲みきってしまうことをおすすめします。
一方、自然のまま、ブドウの力だけで繊細に造られているワインも酸化防止剤である亜硫酸などをほとんど使っておらず、劣化スピードが早い上に微生物汚染されやすいワインです。できれば購入後すぐか、正しい保存方法であれば半年から1年以内を飲み頃としたいところでしょう。
酸化防止剤無添加ワインは開封後の酸化スピードも早いこともあり、すぐに飲みきってしまう、または正しい保存方法で2日以内には飲みきってしまうことをおすすめします。
熟成できるワインの特徴は?美味しく飲む方法と保存方法まとめ

ワインは熟成可能とお伝えしてきました。しかし、厳密には熟成できるワインとそうでないワインが存在します。
ワインの熟成はとても複雑なので一概に伝えることができませんが、これら特徴があります。
- 渋みや酸味が取れてまろやかな酒質になる
- 熟成による特有の香味が出てくる
- 複雑性が増し、奥行きが出る
熟成できるワインの条件は、最良のブドウを原料としていることですが、長期熟成させることを目的とした醸造がなされているところもポイントです。
例えば、ワインの熟成にはポリフェノールや酸などが関連するとお伝えしましたが、これらが豊富なワインは熟成に向くワインと考えられます。
20年先の飲み頃を目指して造られる高級赤ワインの場合、出来上がったばかりのワインは渋く、“硬い”印象。それが年月を経ていくことで丸みを帯びていき、まろやかでビロードのような繊細な味わいに変化してくのです。
熟成ワインを美味しく飲むには?
熟成ワインを美味しく飲むには、まず正しい状態で保存されていたか否かが重要です。例えば高級ワインを扱うワインショップの場合、店舗の特別なカーヴでワインを保管しているはずです。ご自宅で熟成する場合も、ワインセラーなどを利用しながら正しい環境で保存しましょう。
そして、抜栓した後は少し時間をおいて空気中の酸素と接触させましょう。本来ワインは酸化に弱いのですが、長期熟成されたワインは還元的な状態になっており、香りなどが閉じ込められている状態です。
よく、“ワインをひらく”といいますが、1時間から2時間程度は開封後、グラスに注がずにデキャンタなどで準備をしておきましょう。
そしてグラスに空気を含むようにゆっくりと注ぎ、その高貴な味を楽しみます。
熟成ワインの保存方法
ワインの保存方法について詳しくは後述しますが、先に熟成ワインの保存方法をお伝えします。ワインは非常に繊細であり、温度・湿度・光・振動などに弱く、できればこれらを調節できるワインセラーで保存しておきたいところです。
仮に相応しくない場所で保管するとワインの劣化に繋がるだけでなく、熟成スピードが早まることから飲み頃をあっという間に過ぎてしまうといったことが起こります。
また、熟成を目的とした高級ワインはコルク仕様がほとんどあることから、コルクを湿らせる意味でもボトルを横にして保管しましょう。
一部、立てて保存するといった意見もありますが、ワインセラーの多くはボトルを寝かせる仕様です。高級ワインを熟成させたいうのであれば、ワインセラーのスペックにもこだわるとよいでしょう。
ブルゴーニュから輸入した高級ワインが届いた。
— 馬神 傑 (@party_hero_star) November 22, 2019
ワインセラーも届いたし長期熟成するぜ🍷 pic.twitter.com/nwLMQOi3W6
ワインの保存方法と注意点!常温保存は可能なの?

ワインには飲み頃がありますが、その飲み頃を迎えるための間“適正な保存状態”であることが重要です。
あと1年後くらいに飲み頃を迎えるワインであっても、厳しい環境の中で放置していればワインが劣化してしまう恐れがあります。ここでは、ワインの保存方法における注意点を下記にまとめました。
温度|13〜15度前後がベスト
ワインの保存でまず気をつけたいのが温度です。ワインは熟成できるということは、その液体は瓶詰めされた後でも生きているといった意味で捉えることができます。
ワインの保存に適正といわれている温度は「13から15度(フルボディの赤ワインなら18度)」といわれており、これらの温度がもっともワインが熟成しやすいといわれています。
あまりに高い温度で保存するとワインの熟成が想像以上に進み過ぎてしまい、いつ味わいのピークがやってくるのかわかりません。
さらにキンキンに冷やせば冷凍してまい味わいが薄まりますし、ワインを飲む際の急激な温度変化により液漏れなどの危険性が発生します。ワインを保存する際は適正温度が必須条件です。
湿度|75%前後でコルクを守ることが大切
天然コルクを利用しているワインの場合、湿度にも気を配る必要があります。その理由として、天然コルクは収縮性があり、乾燥度合いによっては収縮してしまい酸素を透過し過ぎてしまうことがあるからです。
上記でも解説しているように、ワインが劣化する大きな要因は酸素との接触による酸化です。コルクが収縮すればするほど隙間ができるため、ワインの保存中に酸素の流入量が増加し、ワインが劣化してしまう恐れがあります。
また一方で湿度が高過ぎる場合、天然コルクがカビてしまう可能性が出てきます。ワインに一切触れない上部分が軽くカビているのであればよいかもしれませんが、何らかの要因でそのカビがワインに入り込めばお酒として飲めなくなってしまう恐れがあるのです。
ちなみに理想的な湿度は75%前後が最適といわれているため、それを守るようにしたいところです。
光|紫外線を浴びない冷暗所にて保管
ワインを保存する際、光にも注意しましょう。その理由としては、日光など紫外線を直接浴びるとワインの成分などが反応してしまい、硫黄等に関連する香りを発生させる恐れがあるからです。
例えば、日本酒の場合、光の影響を受けたものは日光臭、日向臭いなどともいわれています。そもそも、ワインボトルには黒色や濃い茶色、緑といったボトルが多いことを思い出しましょう。
これは日光や蛍光灯など光を透過しにくいようにする働きを期待していることが理由です。
しかし、完全にシャットアウトできるわけではなかったり、透明ボトルなど光を透過しやすいワインボトルも少なくありません。そのため、ワインを保存する際はできるだけ光が当たらない、「暗所」が理想的なのです。
振動|できるだけ動かさずに保管する
ワインを保存する場合、「振動」にも気を使う必要があるでしょう。ワインが熟成してまろやかな口当たりになる理由に、エタノールのクラスター状態が関連しているといわれています。
強い振動によってこの粒子間の安定性がなくなることで、本来ワインが持っていたまろやかさや口当たりが損なわれる可能性があるのです。
意外かもしれませんが、ワインの保存はできるだけ静かで振動が起きない場所が理想的です。
におい|強い匂いを発するもののそばに置かない
ワインを保存する際、やはり周囲のにおいにも気を使いたいところです。熟成に向くワインの多くがコルクを使用していますが、コルクの魅力は極微量な酸素を透過するところです。
それによりワインがゆっくりと理想的な熟成を進めるわけですが、一方で強いにおいのする場所に保管すると、そのにおいもワインに取り込むことになってしまいます。軽く後で触れますが、さまざまな食品のにおいが充満している冷蔵庫にワインを長期間保存しない方がよいといわれてる理由がここにあるのです。
もちろん、においを防げるキャップを利用していたとしても、瓶自体に何かにおいが染み付いてしまえば手についたり、ボトルからにおいが発せられることから、どちらにせよあまり好ましい保存環境でないことはたしかでしょう。
ワインは常温で何年もつ?
「ワインって常温で保存しても大丈夫?」という疑問を持つ人は多いでしょう。
結論から言えば、常温保存できる期間はワインの種類と環境によって大きく異なります。
一般的な市販ワイン(1,000〜3,000円程度)であれば、常温での保存は数ヶ月〜1年程度が限界です。これは、日本の家庭環境が四季によって温度や湿度の変化が激しく、特に夏場は室温が30℃を超えることもあるため、ワインの劣化が早まるからです。
特に常温保存が許容されるのは、比較的安定した15〜20℃の環境が保てる場合のみ。
その条件であれば、未開封の赤ワインは1年程度、白ワインやスパークリングワインは半年以内を目安に飲み切るのが理想です。
一方で、熟成を目的とした高級ワインやヴィンテージワインを常温で何年も放置するのはおすすめできません。温度変化や光、振動などによって酸化や味わいの崩れが進行し、せっかくの価値を損なう可能性があります。
ワインを保存する場合の方法!開封後に使える便利グッズは?

熟成ワインに限らず、ワインは正しく保存することで理想的な飲み頃を迎えることができます。ここからはワインを保存する場合の方法について下記にまとめました。
コルクの場合

コルクの場合、酸素を透過するため一度開封したらできるだけワインストッパーを利用したいところです。できれば品質の高いものを利用することがおすすめです。
ワインストッパーは外部からの酸素を取り込めないようにするだけでなく、中にはボトルの空間部分“ヘッドスペース”に入り込んだ酸素を取り出す機能を持つものもあります。
コルクのワインを長持ちさせたい場合、必ずこれらを利用することをおすすめします。
スクリューキャップの場合
スクリューキャップの場合、ほとんど酸素を透過することがないため、もう一度栓をするだけで高い保存効果を発揮します。
一般的なスクリューキャップの場合、1日に透過する酸素量は0.0002~0.0008ccのみともいわれており、ある意味市販のワインストッパー以上の力を持っています。
しかし、一度開封した場合は必ずヘッドスペースに酸素が入ってしまうことから、前述したワインストッパーを利用するとよいでしょう。また、窒素充填を行い、酸化を防ぐのもおすすめです。
オークドシャルドネのグラスの違いを感じつつコラヴァンに首ったけ。コルクに刺してボトルに窒素を充填させてワインの酸化を最小限にするというスグレモノ。窒素のカードリッジは10回ほど使えるそうです。なお本体の価格は… pic.twitter.com/Jx6zmqTkWK
— jiji (@fullmoon_days) May 15, 2019
窒素充填は酸化防止を防ぐためにおこなわれている方法です。窒素は無味無臭、無色の気体であり身体に悪影響を及ぼしません。
取り入れることでワインが酸素に触れることを防止できるため、スクリューキャップのワインにも有効と考えられます。
ワインセラー

ワインを保存する場として、もっとも適しているのはワインセラーです。「ワインセラー」という名が付けられているように、ワインのために開発されているセラー。
「温度・湿度・光・振動」など、ワインを保存するために適した環境が整えられています。
ワインセラーを選ぶ際は、何本入るのか、スリムか、静音なのか、また温度調節の幅など、さまざまな機能が付いているものがよいでしょう。高級ワインを熟成したいという場合、やはりそれなりのスペックのワインセラーを選びたいところです。
温度が一定の暗所
ワインセラーが無い場合でも、自宅にワインの保存に適している場所があればそこで問題ありません。温度変化が大きくならず、湿度も70%程度、暗所が理想的です。
新聞紙などでワインを包み玄関先など温度変化が大きくない場所などはよいでしょう。
自宅でこれら条件が揃っているところを見つけてみてはいかがでしょうか。
冷蔵庫
ワインの保存場所で冷蔵庫は推奨されていませんが、それは「長期保存」する場合です。冷蔵庫は閉めていれば暗所であり温度も一定であるため、購入後一週間から二週間以内に飲みきる予定であればむしろ優れているといえます。
ただし冷蔵庫は強い乾燥状態であるため、天然コルクの高級ワインなどは避けるべきでしょう。また、頻繁に冷蔵庫を開閉する方の場合、ワインへの振動が心配ですので注意してください。もちろん、お漬け物やにおいの強い食品のそばは避けるようにしたいところです。
余ったワインの活用法!開封後に飲みきれない時のおすすめ

開封後のワインは正しく保存さえすれば、最大1週間程度は美味しく飲むことができるでしょう。しかし、飲みきれなかったワインをそのまま放置し、捨ててしまうといった方も多いかもしれません。
ワインは賞味期限がないとお伝えしたように、そのまま捨ててしまうのは大変もったいない行為です。ここでは、余ったワインの活用法を下記にまとめました。
カクテルにする
自宅で簡単!ワインカクテル🍸その4
— エノテカ公式 (@enoteca_online) March 23, 2020
【ロゼ・パンプルムース】
フランスで人気のワインカクテル、通称「ロゼパン」。爽やかな味わいで、これからの季節にピッタリです!
①グラスに氷を入れる
②ロゼワインとグレープフルーツジュースを同量入れて、軽く混ぜ合わせれば完成! pic.twitter.com/UTPnl3zafX
ワインはリキュールやほかの飲料と組み合わせることで、カクテルとして利用できます。例えばこれらワインカクテルが有名です。
- カーディナル(赤ワイン+クレームドカシス)
- シンフォニー(白ワイン+ピーチツリー+グレナデンシロップ+シロップ)
- キール・ロワイヤル(スパークリングワイン+クレームドカシス)
- ロゼ・パンプルムース(ロゼワイン+ピンクグレープフルーツジュース+はちみつ)
自宅にリキュールがなくてもジュースなどで割るだけでも美味しいワインカクテルが作れるので、ぜひ挑戦してみましょう。
【関連リンク】赤白スパークリングワイン別カクテルの種類と飲み方・作り方40選
サングリアにする
余ったワインでサングリア🍷
— ぽちゃんの日常( ^ω^ ) (@popopopochan14) July 3, 2021
フルーツをボコボコいれて
クローブとシナモンも😋
ワイン以外に少量ジンと
カシスリキュールも混ぜてみました~
日本の酒税法でお酒の作り置きはダメみたいなのですぐ飲みました(°▽°)笑 pic.twitter.com/s3BWdzx0HS
余ったワインをフルーツを漬込んだサングリアとして再利用する方法もおすすめです。サングリアはスペイン発祥のフレーバードワインのひとつで、主にフルーツと砂糖、シナモンスティックを利用した甘酸っぱさが楽しめる人気のワイン。
主に赤ワインのサングリアが主流ですが、白ワインのサングリア・ブランカなど比較的自由に楽しむことができます。
漬込むフルーツは自由ですが、白ワインで作る場合は柑橘系やパイナップルなどがおすすめです。
ホットワインにする
なーんか飲まなかった余りの赤ワインはホットワイン行き🍷
— ムン顔ハチワレ(旧泉かなた🦢アクアリス冬眠ってことぉ〜? (@hayaku__nenasai) January 30, 2022
夜のニノクロタイムはほぼ酔ってますす🙏
ティーウォーマーで常にあったか☺️ pic.twitter.com/kYXQA602Mw
体を芯から温めたいといった方には、ホットワインもおすすめです。ホットワインはその名の通り温かいワインのことで、グリューワインやヴァンショーとも呼ばれています。
一般的にワインにシナモンなどの香辛料と砂糖、フルーツなどを組み合わせて一緒に温められ、11月からクリスマス時期にマーケットなどで販売されることが多い傾向です。
主に赤ワインで作られることが多いですが、白ワイン、ロゼワインなどでも美味しいホットワインが作れるので挑戦してみましょう。
料理酒として使う
明日の仕込み中…
— はやたつ (@hayatatsu7) January 24, 2022
料理酒は395円のチリワイン。
まあまあ美味い😂 pic.twitter.com/GfoBw1DljE
ワインは料理酒として利用することができます。ワインはそもそもアルコール飲料なので食材の臭みを消したり味わいをまろやかにしたり、素材の味を引き出すなど、さまざまな効果が期待できます。
さらに、赤ワインや白ワインをマリネ液として利用することで、赤ワインならタンニンによる肉の軟化効果、白ワインは酸による殺菌作用などが期待できるなど万能調味料でもあるのです。
また、嬉しいポイントとしてワインを使った料理はワインに合うため、ペアリングにこだわる方には特におすすめの利用方法といえるでしょう。
こんなワインには注意!飲めない・捨てるべきワインの見極め方

ワインには賞味期限がないとお伝えしてきましたが、中には飲めなくなってしまうワインもあります。ここからは、飲めない状態のワインについて解説していきます。
異常な目減り
熟成が長く進んでいるワイン(または、ただ古いワイン)の場合、コルクの僅かな隙間から液体が蒸発していきます。
とくに数十年以上熟成を経た高級ワインは目減りすることは仕方がないとされていますが、その目減りが多過ぎるのは危険です。目減りのないワインはボトル・ネック部分まで液体が残っていますが、それがトップ・ショルダー、アッパー・ショルダーと少しずつ目減りしていきます。
アッパー・ショルダーまでであれば熟成ワインとして問題ないといわれているものの、それ以下、ミッド・ショルダーやロー・ショルダーはワインがかなり劣化している恐れがあるといわれています。
ミッド・ショルダーは、まだ大丈夫なワインがありますが、ロー・ショルダーまで目減りしているワインは避けた方が無難でしょう。
臭いがおかしい
ワインの臭いがおかしいと感じた場合、劣化している恐れがあるため避けるべきでしょう。例えば、細菌が入り込んだ、何らかの微生物汚染によってカビが発生した、異臭のもとが生成されたといった可能性があるからです。
しかし、一部で亜硫酸塩などを一切利用せずにナチュラルな造りをするワインもあり、異臭と思われるフレイバーがあえて美味しさを生み出すといったシチュエーションもあります。
しかし、明らかに違和感のある臭いがした場合は避けるべきです。
ブショネ
ブショネとは、コルクにトリクロロアニソールという物質が生成された結果、カビ臭いにおいをワインに与えてしまうことをいいます。
近年、天然コルクのワインが減少しているため少なくなってきてはいますが、それでも高級ワインや古いワインなどには多く発生しており注意が必要です。
濡れた段ボール、放置された雑巾など、不快臭と共にワイン本来のアロマが感じられないため、ワインの香りに違和感を感じたら飲まないようにしましょう。
液漏れしている
未開封のワインから液漏れが発生している場合、劣化している可能性が高いので注意が必要です。液漏れの原因は瓶詰め時のミスや配送中のトラブル、急激な温度変化によるワインの変質でなど、さまざまな要因があるといわれています。
また、強い乾燥状態にあったワインを横に寝かしている際、コルクが収縮して漏れてきた可能性もあるでしょう。液漏れしているということは、ワインに何らかの異変が起こっている。また、空気中の酸素とかなりの時間接触している可能性が示唆されます。
長期間、液漏れが発生していることがわかった場合、そのワインは口にしないことをおすすめします。
まとめ
ワインには賞味期限がありませんが、“いつ飲むか”と“どう保存するか”によって味わいは大きく変わります。
適切な温度・湿度・光の管理を行えば、長期間の保存や熟成も十分可能です。
一方で、保存環境が悪いとワインはすぐに劣化してしまうため、冷暗所やワインセラーでの保管、そして開封後はワインストッパーや窒素ガスなどを活用するのが理想です。
熟成を重ねることで深みを増すワインもあれば、すぐに楽しむべきフレッシュなタイプもあります。あなたのライフスタイルや目的に合わせて、ベストなタイミングで“最高の一杯”を味わう。
それこそが、ワインをより豊かに楽しむための一番のポイントです。
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