北海道でしか買えないお酒|余市・厚岸の20本と道内17事業所を一次資料で【2026年版】
北海道でしか買えないお酒を探すとき、手がかりになる一次資料は三つあります。北海道酒造組合が公開している日本酒メーカーの一覧、二〇一八年に国税庁が指定した地理的表示「北海道」の生産基準、そして当店の掲載商品です。余市蒸溜所限定として出た「鶴」、販売地域を北海道に限ったサッポロクラシック、道内十五市町村に散らばる清酒の造り手。「買えない」理由は三つに分かれます。道外から手に入れるための入口も、道庁の資料からまとめました。後半では角度を変えて、造り手の大きさを分ける「三千キロリットル」という線を法令の側から見ます。同じ数字なのに片方は「以下」、もう片方は「以上」で、数える単位も期間も違います。
「北海道でしか買えない」には三つの意味がある

同じ「北海道でしか買えない」でも、買えない理由は三つに分かれます。売り場が限られているもの、メーカーが販売地域を北海道に限っているもの、そして造る量が少なくて道外まで届きにくいもの。三つは重なることもありますが、探し方はそれぞれ違います。
売り場が限られているもの
蒸溜所の売店だけで扱われてきた形のボトルがこれにあたります。当店が掲載している「鶴」の陶器ボトルは余市蒸溜所限定として出たもので、現地に行かなければ買えなかったものが二次流通に出てきた形です。売り場そのものが限られているため、通常の店頭や通販の発売日を追っても出てきません。
メーカーが北海道に限って売っているもの
サッポロビールの「サッポロクラシック」は、同社が公式の商品ページで「発売以来北海道限定にこだわり」と書き、缶とびんの各ラインアップにも「北海道限定発売」と付けているビールです。造る量ではなく、売る地域の決め方によるものです。当店ではビールの取扱いがないため、この記事の表には入っていません。
量が少なくて道外まで届きにくいもの
三つめが、清酒やワインの小さな造り手です。組合の一覧に名前が出ているのは、千歳鶴、國稀、北の錦、国士無双、大雪乃蔵、男山、緑丘蔵、碧雲蔵、宝川、福司、北の勝といった銘柄。大学の構内に建てられた蔵もあります。造る量が少なければ道外の店頭まで本数が回りにくいのは自然なことですが、どの蔵がどれだけ出しているかは公表されていません。そこで記事の後半では、量の大小が法令の側でどこに線を引かれているのかを見ます。
北海道酒造組合の一覧に載る十七の事業所

北海道酒造組合の日本酒メーカー一覧には、十七の事業所が載っています。ここでいう「事業所」は、組合の一覧に立てられている一件のことです。会社名で数え直すと十六社。上川大雪酒造だけが上川町と帯広市の二か所で別々に載っているためで、北海道の酒蔵を「何蔵あるか」で語ろうとすると、この一社で数が割れます。
| No | 事業所・会社名 | 所在地 | 一覧に書かれた銘柄・蔵名 |
|---|---|---|---|
| 1 | 森ノ醸造所 | 磯谷郡蘭越町 | — |
| 2 | 箱館醸蔵 | 亀田郡七飯町 | — |
| 3 | 函館五稜乃蔵 | 函館市亀尾町 | — |
| 4 | 二世古酒造 | 虻田郡倶知安町 | — |
| 5 | 田中酒造 | 小樽市(本店・亀甲蔵) | 宝川 |
| 6 | 日本清酒 | 札幌市中央区 | 千歳鶴 |
| 7 | 国稀酒造 | 増毛郡増毛町 | 國稀 |
| 8 | 小林酒造 | 夕張郡栗山町 | 北の錦 |
| 9 | 金滴酒造 | 樺戸郡新十津川町 | — |
| 10 | 髙砂酒造 | 旭川市宮下通 | 国士無双 |
| 11 | 合同酒精 | 旭川市南四条通 | 大雪乃蔵 |
| 12 | 男山 | 旭川市永山 | 男山 |
| 13 | 三千櫻酒造 | 上川郡東川町 | — |
| 14 | 上川大雪酒造 | 上川郡上川町 | 緑丘蔵 |
| 15 | 上川大雪酒造 | 帯広市稲田町 | 碧雲蔵 |
| 16 | 福司酒造 | 釧路市住吉 | 福司 |
| 17 | 碓氷勝三郎商店 | 根室市常盤町 | 北の勝 |
十五の市町村に散らばり、旭川市だけが三つ
十七の事業所を住所で並べると、蘭越町・七飯町・函館市・倶知安町・小樽市・札幌市・増毛町・栗山町・新十津川町・旭川市・東川町・上川町・帯広市・釧路市・根室市の十五市町村になります。旭川市だけが三つで、残る十四市町村はいずれも一つずつ。髙砂酒造、合同酒精、男山の三社です。後志の蘭越町から日本の最東にある根室市まで、南北にも東西にも広く散っています。
「一覧の行の数」と「蔵の数」は一致しない
この表の行は十七ですが、蔵の数が十七という意味ではありません。田中酒造は一つの行の中に小樽市の本店と亀甲蔵という二か所を持っています。逆に上川大雪酒造は、上川町と帯広市の二か所が別々の行として載っています。同じ「二か所」でも一覧上の扱いが違うので、行を数えても蔵は数えられません。この点は、記事の後半で見る租税特別措置法第八十七条の書きぶりとつながります。同条は、二以上の製造場を持つ造り手について、承認の申請先を「いずれか一の製造場」の所在地を所轄する税務署長と定めているからです。
道外から北海道の清酒を探す三つの入口
この十七の事業所の清酒は、掲載時点で当店に在庫がありません。道外から探すときの入口は三つあります。一つめは各蔵の公式サイト(直販や取扱店の案内を載せている蔵があります)、二つめは道内の酒販店の通信販売。三つめが、北海道が自ら設置している「北海道どさんこプラザ」です。北海道庁が公表している概要には、取扱商品として水産加工品・農畜産品・乳製品・酒類・民工芸品が挙げられています。同じ資料に載る国内の道外店舗は、掲載時点で有楽町・池袋・さいたま新都心・吉祥寺・羽田空港・町田・海老名・新宿・高輪・名古屋栄・四日市・仙台・あべのハルカス・福岡の十四店。これとは別に楽天市場店とYahoo!店もあります(取扱いの範囲は各店でご確認ください)。羽田空港店は第1ターミナル2階の出発ロビーにあり、現地で買うならJR札幌駅北口の札幌店が約二千三百品目でいちばん大きい店です。
ウイスキーの棚から自動で選ばれている関連商品

当店の掲載で北海道に関わるのは、主に余市蒸溜所と厚岸蒸溜所のウイスキーと、十勝で熟成させたブランデーです。下のグリッドはウイスキーの品揃え全体から自動で組まれるため、北海道以外の銘柄も混ざります。
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ここではベストセラーの在庫から一部を掲載しています。価格・在庫・箱の有無は各商品ページでご確認いただけます。
当店に並ぶ北海道ゆかりの蒸留酒二十本を一枚の表で比べる

下の表は、当店が扱う北海道ゆかりの蒸留酒から二十本を選んだものです。内訳は余市蒸溜所が十一本、厚岸蒸溜所が八本、十勝で三十年熟成させたブランデーが一本。当店の北海道関連の掲載を網羅したものではありません。価格は掲載時点の当店販売価格です。おすすめ順と価格順で並び替えられます。
表示価格はリンクサス酒販の販売価格(2026年8月時点・税込)で、メーカー希望小売価格とは別のものです。同じ商品に複数の容量や状態がある場合は、いちばん低い価格を表示しています。この表には相場のレンジも他社モールの価格も載せていません。在庫は日々動きます。一部の商品は東京都限定の発送です。ご注文の前に各商品ページの表示をご確認ください。北海道の清酒・ワイン・ビールは当店の掲載が無いか掲載時点で在庫が無いため、この表には含まれていません。
価格の幅は八千円台から三十六万円台まで開く
いちばん低いのはシングルモルト余市のノンエイジで8,250円、いちばん高いのは余市二十年貯蔵の旧ボトルで363,000円。同じ蒸溜所のボトルでも、長い年数表記と旧ボトルという二つの条件が重なると四十倍以上の差になります。余市10年は新ボトルが33,000円、旧ボトルが49,500円で、同じ十年でも価格が分かれます。厚岸の八本は19,800円から66,000円までの範囲に収まり、余市よりも幅が狭くなっています。
厚岸は度数が二つに割れ、余市は散らばる
厚岸の二十四節気シリーズは、当店の掲載では寒露と啓蟄が55%、大暑・小満・大寒・冬至・処暑が48%と二つの数字に分かれ、残る霜降二〇二四には度数の表記がありません。一方の余市十一本は、45%が四本、43%と48%が各二本、47%と52%が各一本、残る一本は度数の表記がありません。シングルモルトのほかにウッドフィニッシュや売店限定のブレンデッドが混ざるため、一つの蒸溜所の中でも度数がそろいません。
年号や節気で内容が固定された商品が十一本
余市のマンサニーリャウッドフィニッシュ二〇一八、アップルブランデーウッドフィニッシュ二〇二〇、アロマティックイースト二〇二二は、いずれもその年のリリースで内容が固定されています。厚岸の二十四節気も、当店の掲載の範囲では同じ節気の名前が二度出てきません。同じものを買い足せない形の商品が、二十本のうち十一本を占めます。旧ボトルの二本も、事実上は買い足しがききません。
地理的表示「北海道」が決めている数字

「北海道の酒」を、店の在庫ではなく製造の条件で定義したものが地理的表示「北海道」です。買える場所を決める制度ではなく、その産地名を名乗れる条件を決める制度で、指定は平成三十年六月二十八日。対象の品目は果実酒で、清酒でもウイスキーでもありません。国税庁が公表している生産基準を数字で読むと、線の引かれ方に癖があります。
イ 果実に北海道で収穫されたぶどう(次に掲げる品種に限る。)のみを用いたものであること。
別紙 地理的表示「北海道」生産基準 2(1)イ(国税庁・平成三十年六月二十八日指定)
品種は五十七、その半分あまりがヴィニフェラ種
括弧の中に並ぶ品種を数えると五十七になります。内訳はヴィニフェラ種が三十、ラブラスカ種が八、ヤマブドウ種が三、ハイブリッド種が十六。五十七のうち三十、つまり半分をわずかに超える数がヴィニフェラ種です。ハイブリッド種にはセイベルの四つのほか、清見、ふらの2号、清舞、山幸、岩松5号といった国内で育てられた名が並びます。同じ生産基準は、主要なぶどう栽培地として余市町(後志)、岩見沢市(空知)、富良野市(上川)、池田町(十勝)の四つを挙げています。
いちばん高い糖度の線は、いちばん品種の多い群につく
収穫するぶどうの果汁糖度には群ごとに線が引かれています。ヴィニフェラ種は16.0%以上、ラブラスカ種は13.0%以上、ヤマブドウ種とハイブリッド種は15.0%以上。品種の数がいちばん多いヴィニフェラ種にいちばん高い線が引かれ、いちばん低い13.0%は八品種のラブラスカ種につきます。三品種しかないヤマブドウ種は、十六品種のハイブリッド種と同じ15.0%に置かれています。ただし栽培期間の天候が不順だった年には、その暦年に収穫したぶどうに限り、三つの線をそれぞれ1.0%下げることが認められています。
白と赤の差は、糖度が変わってもぴったり0.6のまま
総酸値の基準は、原則として補酸しないことを前提に、果汁糖度21%を境に二段に分かれます。21%未満のぶどうなら白とロゼが5.8g/L以上、赤が5.2g/L以上。21%以上なら白とロゼが5.4g/L以上、赤が4.8g/L以上。白と赤の差は上の段でも下の段でも0.6g/Lで変わらず、糖度が上がったときの下げ幅も白赤とも0.4g/Lで揃っています。
「三千キロリットル」は現行法令に七つの文しかない

ここから先は、北海道の造り手の「小ささ」を法令の側から見ます。国が公開している法令の全文検索は、廃止されたものも含めて横断します。現行のものは九千五百五十本。そのうち「三千キロリットル」という語を含む文は、全部で七つしかありません。
七つのうち酒に関わるのは三つ
七つの内訳は、租税特別措置法が二つ(本則に一つ、改正の附則に一つ)、国税局の調査体制を定めた省令が一つ、そして残る四つがエネルギーの使用に関する三本の法令です。エネルギー側の四つは原油に換算した使用量の話で、酒とは関係がありません。酒に関わるのは三つだけです。七つのいずれも、廃止や失効の扱いにはなっていません。
承認酒類製造者のうち、その年度(その年の四月一日からその年の翌年三月三十一日までの間をいう。以下この条において同じ。)の開始前一年間における酒類の製造場(以下この条において単に「製造場」という。)から移出した酒類…の数量…が三千キロリットル以下である者が、令和六年四月一日から令和十一年三月三十一日までの間に製造場から当該酒類を移出する場合において…
租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第八十七条第一項
この条の見出しは「承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例」。数えるのは前の一年間に製造場から出した量で、輸出免税を受けたものなどは除き、完全支配関係にある者の数量は合算されます。この特例が働くのは、令和六年四月一日から令和十一年三月三十一日までの移出に限られます。
法令に「蒸溜所」という語は一つもない
余市蒸溜所も厚岸蒸溜所も名乗っている「蒸溜所」という語は、現行法令に一つの文も見つかりません。「蒸留所」でも「醸造所」でも「酒蔵」でも「ワイナリー」でも「クラフトビール」でも「地ビール」でも、結果は同じです。「蒸溜」という字を含む文は三つだけあり、その三つは建築基準法の別表が挙げる石油蒸溜産物、弗酸の製造に使う蒸溜施設、亜鉛の精錬に使う立型蒸溜炉。いずれも酒とは無関係です。
同じ三千キロリットルが、片方は「以下」、片方は「以上」

酒に関わる三つの文のうち、二つは本則にあります。一つは前章で見た租税特別措置法第八十七条第一項の「三千キロリットル以下」。もう一つが、国税局の調査体制を定めた省令の表にある「三千キロリットル以上」です。
1 酒税法(昭和二十八年法律第六号)に規定する酒類の製造場 当該製造場から一年中に移出された酒類の数量が三千キロリットル以上であること
国税局課税部等の統括国税調査官等の所掌に属する事務の範囲を定める省令(昭和五十二年大蔵省令第三十二号)第二条第一号の表 第一行
境目の一点だけが、数字の上では両方に拾われる
片方は「以下」、もう片方は「以上」。したがって数字の上では、きっかり三千キロリットルという一点だけが、税を軽くする側にも、統括国税調査官が担当する側にも拾われます。三千を一リットルでも超えれば、軽減の側の数字からは外れます。ただし省令の側は絶対の線ではありません。同じ条の第一号にはただし書があり、第二号は「基準に該当する製造場等に準ずる製造場等」も国税局長の判断で指定できると定めています。
エネルギー側は「未満」と「以上」を同じ表の上下に置いている
残る四つの文はエネルギーの使用量の話です。そのうち一つは施行令の本則で、「原油換算エネルギー使用量の数値で三千キロリットルとする」と、向きを持たない基準値として置かれているだけ。ほかの三つは三本の法令にそれぞれ置かれた表の中で、「三千キロリットル未満」の行と「三千キロリットル以上」の行が上下に並びます。二つはエネルギー管理者を何人選任するかを定める表、一つは選任できる者の資格を電気の使用量と組み合わせて定める表で、三つのうち二つは本則ではなく改正の附則です。いずれも同じ表の上下の行なので、境目はどちらか一方にしか属しません。
数える単位も期間も、数える中身も違う
重なるのは数字だけで、数え方はそろっていません。措置法は「年度」を四月一日から翌年三月三十一日までと定義し、その開始前の一年間を見ます。省令は「年」と書き、しかも指定の日の属する年の前三年以内のいずれかの年に当たればよいとしています。措置法は造り手を単位にして完全支配関係にある者の数量まで合算し、省令は製造場を単位にして合算の規定を置いていません。数える中身も、措置法は輸出免税を受けたものなどを除き、省令は除外を置いていません。しかも措置法の主語は「承認酒類製造者」で、承認を受けていない造り手は最初から当たりません。二つの数字が同時に当てはまるのは、製造場を一つだけ持つ承認酒類製造者が前年度にきっかり三千キロリットルを出した場合といった、かなり限られた形です。
十行のうち量で線を引かれるのは酒の一行だけ

「三千キロリットル以上」が置かれている表を、行ごと見ておきます。国税局長がどの製造場等を指定するかを決める表で、番号は一から十まで振られています。
国税局長は、前条第一号に掲げる課税第二部統括国税調査官等の所掌に属する事務に関し、次の各号に掲げる製造場等を指定する。一 次の表の中欄に掲げる製造場等の区分に応じ、指定の日の属する年の前三年以内のいずれかの年において、それぞれ同表の下欄に掲げる基準に該当する製造場等。ただし、国税局長が特に課税第二部統括国税調査官等において当該製造場等に係る酒税等の課税標準の調査及び酒税等に関する検査を行わせる必要がないと認めるものを除く。
国税局課税部等の統括国税調査官等の所掌に属する事務の範囲を定める省令 第二条第一号
九行が円、一行だけがキロリットル
十行の下欄を並べると、二行目のたばこ、三行目の揮発油、四行目の航空機燃料、五行目の石油ガス、六行目の原油等の採取場、七行目の石油石炭税の還付、九行目の販売電気、十行目の国際観光旅客税は、いずれも「五千万円以上であること」。八行目の印紙税だけが「資本金額又は出資金額が五十億円以上であること」です。九つの行がすべて円で線を引かれているなかで、一行目の酒類の製造場だけが三千キロリットルという量で線を引かれています。九行が見ているのは納める税額か、還ってくる金額か、会社の資本金。酒だけが、製造場から出した液体の量で見られています。
札幌国税局の名は、この省令の本則に出てこない
この指定を誰が行うのかも、同じ省令が決めています。第一条は、担当する部署を長い一文で列挙しています。
国税局課税部(仙台国税局、広島国税局及び福岡国税局にあっては、課税第二部とする。)の消費税課又は国税局課税部(熊本国税局を除き、広島国税局及び福岡国税局にあっては課税第二部とする。)の酒税課又は仙台国税局、関東信越国税局、東京国税局、名古屋国税局及び大阪国税局の課税第二部の統括国税調査官又は熊本国税局の課税部の統括国税調査官又は沖縄国税事務所の間税課
同省令 第一条(抜粋)
名指しされているのは仙台・広島・福岡・関東信越・東京・名古屋・大阪・熊本の八局と、沖縄国税事務所です。北海道を管轄する札幌国税局の名は、この省令の本則に一度も出てきません。金沢と高松も同じで、この三局は括弧の外、つまり原則の側に置かれています。
軽くなる幅は四分の三、二分の一、四分の一と落ちる

三千キロリットル以下という入口を通ったあと、税がどれだけ軽くなるかは二段階で決まります。第一段は、その年度に積み上がった酒税の累計額です。
一 五千万円以下の金額 百分の八十/二 五千万円を超え八千万円以下の金額 百分の九十/三 八千万円を超え一億円以下の金額 百分の九十五
租税特別措置法 第八十七条第一項各号
金額の帯は狭くなり、一億円を超える部分には号がない
三つの帯の幅は五千万円、三千万円、二千万円と狭くなります。割合のほうは八十、九十、九十五と上がるので、軽くなる幅は二十、十、五と半分ずつ縮みます。そして一億円を超える部分に対応する号は置かれていません。累計額が一億円を超えた部分は軽減の対象にならず、酒税法の税率(別の特例があるときはその税率)のまま計算されます。
隣り合う二つの欄が、どちらも「割合」という同じ一語で呼ばれている
第二段は、品目ごとの量で第一段の割合を書き換える仕組みです。
前項の場合において、前年度課税移出数量のうちいずれか一の品目の数量(以下この項において「特定品目前年度課税移出数量」という。)が次の表の上欄に掲げる数量である年度があるときは、承認酒類製造者がその年度に製造場から移出する酒類に係る前項の規定の適用については、同表の当該中欄に掲げる同項各号に定める割合は、同表の当該下欄に定める割合とする。
租税特別措置法 第八十七条第二項
この表の見出しは、左から「特定品目前年度課税移出数量」「割合」「割合」。二つめと三つめが同じ一語です。書き換える前と後を区別しているのは、条文の中の「中欄」「下欄」という位置の名だけです。
量の帯は不ぞろいなのに、削られ方はきっちり四分の一ずつ
| 一の品目の前年度の量 | 八十の行 | 九十の行 | 九十五の行 | 軽くなる幅の残り |
|---|---|---|---|---|
| 表に当たらない場合 | 80% | 90% | 95% | そのまま |
| 四百kl超〜千kl以下 | 85% | 92.5% | 96.25% | 四分の三 |
| 千kl超〜千三百kl以下 | 90% | 95% | 97.5% | 二分の一 |
| 千三百kl超 | 95% | 97.5% | 98.75% | 四分の一 |
表の右端のとおり、三つの行はいずれも、元の軽減幅のちょうど四分の三、二分の一、四分の一になっています。ところが量の帯のほうは、四百から千までが六百キロリットル、千から千三百までが三百キロリットルと不ぞろいです。線の間隔はそろっていないのに、削られる量は四分の一ずつきれいにそろっています。
小さな蔵の承認は誰が出し、いつ消えるのか

この条の恩恵を受けられるのは「承認酒類製造者」だけです。誰がその名を与えるのか、条文は次のように書いています。
一 承認酒類製造者 酒税の保全のために酒類業の健全な発達に資する取組を適正かつ確実に行うことができると認められるものとして、製造場(二以上の製造場を有するときは、いずれか一の製造場。次項及び第七項において同じ。)の所在地を所轄する税務署長の承認を受けた酒類製造者をいう。
租税特別措置法 第八十七条第四項第一号
蔵が二つあっても、申請先は一つに絞られる
括弧の中が効いています。二以上の製造場を持つ造り手は、そのうち「いずれか一の製造場」の所在地を所轄する税務署長に申請することになります。前半で見たとおり、組合の一覧には、小樽市に本店と亀甲蔵を持つ田中酒造と、上川町と帯広市の二か所が別々に載る上川大雪酒造があります。この条の言い方を当てはめれば、申請するとすれば申請先は二つのうち一つに絞られます。とくに上川町と帯広市にまたがる上川大雪酒造では、この括弧書きが効いてきます。実際に承認を受けているかどうかは公表されていないので、ここでは条文の読み方だけを示します。なお申請を受けた税務署長は、申請の日の翌日から起算して三月以内に承認か却下かを決めます。
九つのいずれかに当たると、第一項は適用されない
第三項は、第一項を適用しない者を一号から九号まで並べます。その一号と二号を並べると、同じ「三百人」という数字が別々の効き方をしていることが分かります。
一 その年度の前年度の末日において常時使用する従業員の数が三百人を超える個人/二 その年度の前年度の末日において資本金の額又は出資金の額が三億円を超え、かつ、常時使用する従業員の数が三百人を超える法人(次号及び第四号において「特定大法人」という。)
租税特別措置法 第八十七条第三項第一号・第二号
個人は従業員の数だけで外れますが、法人は資本金三億円超と従業員三百人超の両方に当たらなければ外れません。同じ三百人という線が、個人には単独で効き、法人には「かつ」で束ねられています。ほかに滞納処分を受けた者、酒類の製造免許を受けていない者などが並びます。
出口は五月三十一日と、四つの遡る日
承認酒類製造者が事業計画書に記載した目標の達成状況その他の財務省令で定める事項を記載した書面をその年度(以下この項及び次項において「対象年度」という。)の翌年度の五月三十一日までに製造場の所在地を所轄する税務署長に提出しない場合には、当該対象年度については、第一項の規定は、適用しない。ただし、同日までに当該書面の提出がなかつたことにつき当該税務署長がやむを得ない事情があると認める場合において、同日後に当該書面の提出があつたときは、この限りでない。
租税特別措置法 第八十七条第七項
承認を受けたあとも、毎年五月三十一日という締切があります。出さなければその年度は第一項が適用されません。ただし、出せなかったことにやむを得ない事情があると税務署長が認め、期限後に提出したときは、この限りではありません。さらに第八項は承認の取消しを四つの場合に分け、それぞれの場合ごとに遡る日を定めています。書面に偽りがあれば対象年度の初日、取組が行われていなければその期間の初日、滞納処分を受けたときはその日、申請書類の不備や除外事由に当たることとなったときはその日です。
北海道のウイスキーを手放すときに見られる点

北海道のウイスキーは、当店にも査定のご相談が届く数が多い部類です。余市と厚岸で見られる点は少し違います。
余市は年数表記の有無と、ラベルの世代で分かれる
余市は、年数表記があるかどうかで扱いが大きく変わります。当店の掲載でも、ノンエイジと十年・十五年・二十年貯蔵では価格帯がまったく別です。加えて、同じ十年でもラベルとキャップの意匠が異なる二種を、当店では別の商品として扱っています。写真を送っていただく際はラベル全体、肩、キャップの三点を写していただけると早く進みます。
厚岸は節気の名前がそのまま識別子になる
厚岸の二十四節気シリーズは、当店の掲載の範囲では同じ節気の名前が二度出てくるものがありません。節気の名前と年が分かれば、どの回のリリースかが決まります。シングルモルトかブレンデッドかは度数でおおむね見分けがつき、表記があるものはシングルモルトが55%、ブレンデッドが48%です。箱の有無は評価に影響しますので、箱がある場合はご一緒にお持ちください。
共通して見る三つ
銘柄にかかわらず見るのは、未開栓かどうか、液面がどこまで下がっているか、そしてラベルの状態です。長く保管された瓶は液面が下がっていることがあり、下がり具合は評価に影響します。直射日光の当たる場所に置かれていたものは退色が進み、ここも評価に響きます。
あわせて読みたい北海道と余市・厚岸のガイド
北海道のお酒についてよくある質問

北海道でしか買えないお酒にはどんなものがありますか。
買えない理由が三つに分かれます。売り場が蒸溜所の売店に限られているもの(余市蒸溜所限定として出た「鶴」など)、メーカーが販売地域を北海道に限っているもの(サッポロクラシック)、そして造る量が少なくて道外まで届きにくいもの(道内の小さな清酒蔵やワイナリーの銘柄)です。当店が掲載できるのは一つめと三つめの一部で、ビールの取扱いはありません。
道外から北海道のお酒を買うにはどうすればいいですか。
酒類の種類で入口が分かれます。蒸溜所の売店に限られていたウイスキーは、二次流通に出たものを探すことになります。当店では余市と厚岸のウイスキー、十勝のブランデーなどを掲載しており、この記事の表にはそこから二十点を選んでいます。清酒は各蔵の公式サイトか「北海道どさんこプラザ」、ワインは各ワイナリーの窓口が入口です。ウイスキーの品揃えもどうぞ。
北海道のお酒でお土産に向くのはどれですか。
三つの方向があります。一つめは蒸溜所限定として出た「鶴」の陶器ボトルのように、意匠そのものが土産になるもの。二つめは道内でしか売られていないサッポロクラシック。三つめが、北海道が設置する「北海道どさんこプラザ」で買う方法です。北海道庁の公表資料によれば取扱商品に酒類が含まれ、羽田空港の出発ロビーにも店舗があります。
北海道の日本酒はどこの蔵がつくっていますか。
北海道酒造組合の日本酒メーカー一覧には十七の事業所が載っています。会社名で数えると十六社で、所在地は十五市町村に散らばり、旭川市だけが三つ(髙砂酒造・合同酒精・男山)です。当店ではこれらの蔵の清酒を掲載していないため、各蔵の公式サイト、道内の酒販店の通信販売、道外なら「北海道どさんこプラザ」の店舗や楽天市場店・Yahoo!店が入口になります。
サッポロクラシックは道外の店でも買えますか。
サッポロビールは公式の商品ページで「発売以来北海道限定にこだわり」と書き、缶とびんの各ラインアップに「北海道限定発売」と付けています。売る地域を決めているため、道外の通常の売り場には並びません。当店ではビールを取り扱っていません。
余市10年の新しいボトルと古いボトルは何が違いますか。
ラベルの意匠とキャップの形が異なり、市場では別のものとして扱われます。当店でも二つを別の商品として掲載しており、価格も分かれています。手放すときは、ラベル全体・肩・キャップの三点が写った写真をお送りいただくと、どちらの世代かの確認が早く進みます。
厚岸の二十四節気シリーズはどう見分ければいいですか。
節気の名前と年、それに度数で見分けます。当店の掲載の範囲では同じ節気の名前が二度出てくるものはないので、名前と年が分かればどの回のリリースかが決まります。度数は、表記があるものはシングルモルトが55%、ブレンデッドが48%です。
地理的表示「北海道」はワインだけの制度ですか。
国税庁が平成三十年六月二十八日に指定した地理的表示「北海道」は、品目が果実酒です。清酒やウイスキーは対象ではありません。またこれは買える場所ではなく、その産地名を名乗るための条件を決める制度です。名乗るには、北海道で収穫された、生産基準が挙げる五十七の品種に限られたぶどうだけを使い、北海道内で製造し、容器に北海道内で詰めるなどの条件が要ります。
北海道の小さな酒蔵は、酒税が軽くなっているのですか。
租税特別措置法第八十七条に、前年度に製造場から出した量が三千キロリットル以下の「承認酒類製造者」について酒税の税率を軽くする特例があります。ただし税務署長の承認が前提で、事業計画書の提出と毎年五月三十一日までの報告が要ります。適用は令和六年四月一日から令和十一年三月三十一日までの移出に限られ、個々の蔵が承認を受けているかどうかは公表されていません。
「蒸溜所」と「蒸留所」はどちらが正しいのですか。
法令はどちらの語も使っていません。現行法令を横断して検索すると、「蒸溜所」も「蒸留所」も一つの文にも現れず、「醸造所」「酒蔵」「ワイナリー」も同じです。法令が使うのは「酒類の製造場」です。本記事では各社の自称に合わせて「蒸溜所」と書いています。




























