世界最高峰の赤ワインの一つである「ラターシュ」。かの有名なロマネ・コンティに次ぐ知名度を誇るDRC社のワインであり、1本が何十万円という価格で取引されるほど高い評価を得ています。
この記事ではそんなラターシュについて、深掘りしていきます。
ラターシュの畑の特徴やワインの味わい、そしてロマネコンティとの違いなどについて解説していきます。記事の中では価格や当たり年ワインの解説なども行っているので、ラターシュについて知りたい方はぜひこの記事を参考にしてください。
ラターシュはDRC社が単独所有するグラン・クリュ
ラターシュとは
ラターシュ(La Tâche)は、ワイン名醸地として知られるフランス・ブルゴーニュ地方にあるブドウ畑の名前であり、そこで生産される赤ワインのことを指します。ワインはピノ・ノワール100%で作られる、最高級の赤ワインです。
ラターシュの畑はブルゴーニュ地方の中でもコート・ド・ニュイ地区、ヴォーヌ・ロマネ村の中にあります。格付けではグラン・クリュ(=特級畑)に選ばれており、世界に数あるワインの中でもトップに君臨するような存在です。
そんなラターシュのワインは、1本に数十万円〜100万円以上という価格が付くほど高額で取引されます。これは世界にあるワインの中でも上位のレベルです。
ラターシュはWine Advocate(ワイン・アドヴォケイト)などの有名なワイン誌でも100点満点の評価を受けたことがあるほどのブランドで、三つ星レストランのワインリストなどにも並ぶことがあります。
手に入りづらい希少価値の高いワインでもあり、ただのアルコール飲料ではなく、資産や高級品としても親しまれているワインになります。
ロマネコンティで有名なDRC社の単独所有である
ラターシュの畑は全てドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)が占有しています。いわゆる“モノポール”と呼ばれるもので、DRC社以外の作り手はいません。
DRC社はロマネコンティを手がけることで知られる、ブルゴーニュでもトップに君臨するドメーヌです。ロマネコンティやラターシュをはじめいくつもの特級畑を所有しており、テロワールを活かしたワインづくりを得意としています。
DRCが占有するラターシュの畑は約6ヘクタールの面積で、ここでは年間におよそ12,000本〜23,000本程度のワインが生産されます。なお、元々のラターシュはおよそ1.4ヘクタールの小さな畑でしたが、DRC社の申し立てによち1932年に隣のゴーディショの畑(約4.6ヘクタール)が併合され今の大きさになったという歴史があります。
【DRC(ロマネ コンティ)】そんなラターシュの畑は、ロマネコンティの畑の南側に位置しています。東西に長い形状をしていて、畑の中でも高低差が50メートルほどあるのが特徴です。
高低差のあるラターシュの畑は、プレモー石灰岩、頁岩状石灰岩、貝殻堆積泥岩といったように、場所によって土壌が変わります。上部の方は重厚なピノ・ノワールが生まれ、下の方に位置する畑では繊細なピノ・ノワールが育つという特性があります。
ラターシュの赤ワインは、このように複数の特性を持つピノ・ノワールがブレンドされてつくられます。なお栽培にはビオディナミ農法を採用し、厳しい収量制限を設けるなど徹底した管理のもとでブドウ作りが行われています。
<ラターシュの詳細情報>
- 産地:フランス ブルゴーニュ地方 コート・ド・ニュイ ヴォーヌ・ロマネ村
- 生産者:ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)
- 面積:6.06ヘクタール
- 土壌:粘土室を含む石灰岩
- ワインのタイプ:赤ワイン
- ブドウ品種:ピノ・ノワール
ラターシュの赤ワインの特徴と味わいを解説
エレガントでありながらも力強いスタイル
ラターシュのワインはエレガントさと力強さを併せ持つスタイルです。見た目は濃い色をしていて、口に含むと絹のような滑らかな舌触りを感じ取ることができます。
味わいはヴィンテージによっても変わりますが、凝縮した果実の味わいがしっかりと目立つフルボディタイプです。濃密な中にはチェリーやベリーといった果実のニュアンスがあり、そこにスパイス、甘草といった香りがバランスよく調和していきます。
野生味やタンニンの力強さも感じられるラターシュのワインは、長期熟成に向いているのも特徴です。飲み頃を迎えるまでに少なくとも10年を要すると言われており、優れたヴィンテージ(当たり年)のものになると30年以上の熟成にも耐えうるポテンシャルを持つともされています。
熟成を経たラターシュはより複雑さが増し、華開いた印象になるのが特徴です。なお生産本数が限られていて熟成にも時間がかかることから、最新ヴィンテージだけでなく、何年も前のラターシュに高い価値がつきやすい傾向にあります。
品質が安定していて外れの年が少ない
複数の土壌のブドウをブレンドしてつくられるラターシュの赤ワインは、比較的どのヴィンテージも品質が安定して高いのもポイントです。いわゆるハズレの年が少なく、一般的にはブドウが不作と言われる年にも高いクオリティを発揮します。
味わいには一貫性があるので、ワインラバーにとっても選びやすい高級ワインとなっています。特に男性的な味わいのピノ・ノワールが好きな方には好まれやすいワインです。
そんなラターシュは、時には「ロマネコンティを上回る」と表現されることもあります。
位置付け的にはDRC社のロマネコンティに次ぐ価格のワインであり、ロマネコンティの弟とも言われますが、引けを取らないほどの実力があることがわかります。
ラターシュの価格は?人気ヴィンテージは100万円超えに
先日亡くなった先輩の祭壇に、先輩が生前買ってたワインを見つける。
— 酒徒吉風 (@syutoyoshikaze) March 28, 2024
状態にもよるけど50万〜100万の価値のあるワインだが、ご遺族の方は多分気づいてなかったので「保存に気をつけて、なにかの折にご遺族で飲んでください」と伝える。
先輩に恩返しができた。
ロマネ・コンテイ95年のラ・ターシュ。 pic.twitter.com/8B40cxszHq
ラターシュの価格はヴィンテージによって異なります。手に入りやすいもので探した場合は、1本で70〜100万円前後となっています。
数年前までは50万円前後で手に入るものもありましたが、ここ最近は輸出入コストの上昇や物価高騰の影響を受けラターシュの価格も上がってきています。ラベル不良などの品を探すと50万円前後で手に入る場合もありますが、ネットショップで購入する場合の平均価格は100万円前後になってくるでしょう。
また当たり年やレアなヴィンテージの場合は、価格が上がります。人気ヴィンテージは100万円超えとなり、中には150万円、200万円といった価格のつけられているラターシュも存在します。
販売店や購入時期、ヴィンテージ、そしてワインの状態によっても価格が変動するので、ラターシュを購入する際は必ず相場とワインの状態を調べておきましょう。
なお極端に価格の低いものは劣化していたり、偽物であったりする場合があるので注意しましょう。
ラターシュの当たり年!1999や2009は注目の的に
どのヴィンテージも安定して高い品質を誇るラターシュですが、その中でも秀逸な年(当たり年)と言われるヴィンテージが存在します。
ラターシュの中でも特に高い評価を得ているヴィンテージには1990年・1999年・2003年・2005年・2009年・2010年・2015年・2019年といったものがあります。
1999年のラターシュはワイン専門誌である「Wine Advocate(ワイン・アドヴォケイト)」において、100点満点を獲得しています。
また2009年のラターシュは98点の評価であり、過去のラターシュと比べても傑作と表現されています。
最近のもので挙げるならば2019ヴィンテージも人気です。2019年のラターシュは99+の評価であり、これから価格が高騰していくことも予想されています。
価格や味わいなどロマネコンティとラターシュの違いを比較
ロマネ・コンティ | ラターシュ | |
---|---|---|
ワインの種類 | ピノ・ノワール100%の赤ワイン | ピノ・ノワール100%の赤ワイン |
畑の場所 | ヴォーヌ・ロマネ村 | ヴォーヌ・ロマネ村 |
格付け | グラン・クリュ | グラン・クリュ |
畑の面積 | 1.81ヘクタール | 6.06ヘクタール |
生産本数 | 約6,000本/年 | 12,000〜23,000本/年 |
価格 | 平均250万円前後 | 平均100万円前後 |
特徴 | ミネラルが豊富で非常にエレガントかつ複雑な味わい | エレガントさと力強さを併せ持つ重厚な味わい |
「ロマネコンティの弟」と表現されるラターシュですが、実際のロマネコンティと比較すると上記のような違いがあります。
ロマネコンティとラターシュは、どちらもDRC社が単独所有する畑であるという点は変わりありません。両方がヴォーヌ・ロマネ村にあるグラン・クリュとなっており、世界でも最高峰に位置づけられています。
ただしラターシュよりもロマネコンティの方が畑の面積が小さく、年間生産本数もおよそ6,000本程度と限られています。ラターシュもレアなワインではありますが、ロマネコンティはそれを上回る希少性があります。
希少さが違うためか価格帯も異なっており、ラターシュが1本およそ100万円前後であるのに対し、ロマネコンティの価格はおよそ250万円前後になっています。なおロマネコンティの中には、1本400〜500万円を超えるようなワインも多く存在します。
畑が異なることからワインの味わいにも違いが現れています。ロマネコンティは非常に優雅なスタイルであり、豊富なミネラルと複雑なニュアンスが特徴に挙げられます。
ロマネコンティは熟成をすることで独自の香りが生まれます。繊細かつ滑らかなテクスチャであり、飲む人を一気に魅了していきます。
ラターシュはロマネコンティに近い性質もありますが、ロマネコンティに比べるとやや力強く、スパイシーなニュアンスがあるワインです。より男性的なワインと表現できるでしょう。
DRC社が手がけるそのほかのワインも
DRC社はロマネコンティやラターシュだけでなく、他にも複数のワインを生産しています。特級畑のものでは筋肉質な「リシュブール」、きめ細やかで繊細な「ロマネ・サンヴィヴァン」、女性的な特性を持つ「グラン・エシェゾー」そしてスパイシーなアロマが印象的な「エシェゾー」などがあります。
またこのほか白ワインのグラン・クリュである「モンラッシェ」、そして村名ワインである「ヴォーヌ・ロマネ」なども作っています。
ラターシュが気になるという方は、ぜひこれらのワインもチェックしてみましょう。
幻のセカンドラベル?キュヴェ・デュヴォ―・ブロシェとは
ラターシュにはセカンドラベル的存在である「キュヴェ・デュヴォー・ブロシェ」というワインが存在します。
このワインはDRC社唯一のプルミエ・クリュのワインです。正確にはラターシュのセカンドではなく、ラターシュのブドウを主体に、DRC社の所有する畑で育った若木のブドウがブレンドされているという、マルチブレンドのワインとなっています。
ラターシュを主体にマルチブレンドで作られたキュヴェ・デュヴォ―・ブロシェは、特級畑ワインに引けを取らないくらいのポテンシャルを誇ります。なお毎年生産されるわけではなく、ブドウの出来栄えが良い年にしか生産されないことも特徴になっています。
そんなキュヴェ・デュヴォ―・ブロシェは、日本の流通量がすくないことから希少価値が高まっています。実はラターシュそのものよりも見つけづらいとされており、プルミエ・クリュでありながら1本に何十万円という価値がつけられています。
ラターシュのワインを楽しむ方法!上質な肉料理に合わせて
ラターシュと相性のいい料理は?
力強さとエレガンスを併せ持つラターシュは、スパイスのニュアンスなども感じられるフルボディの赤ワインです。その味わいは、上質な肉料理と特に相性が抜群です。
例えばローストビーフやフィレ肉のステーキ、合鴨のロースト、そしてジビエ肉などにも合わせることができるでしょう。またきのこの付け合わせや、風味の強いチーズなどとも一緒に楽しむことができます。
温度帯は16〜18℃前後が目安に
ラターシュを飲む場合は、ほんのり冷やして飲むのがおすすめです。とはいえ冷やし過ぎるのではなく、16〜18℃前後を目安にするのが良いでしょう。
ワインセラーにて保管していた場合は、飲む前に少しだけ室温に戻して温度を調整するといいでしょう。なお若いヴィンテージの場合は約1〜2時間のデキャンタージュを行うことで、華開いた印象が増します。
グラスは大ぶりなブルゴーニュ用のグラスを用意しましょう。ボウル部分の大きなブルゴーニュグラスを使うことで、ラターシュが持つ複雑な香りを拾いやすくなります。
ラターシュのワインはお酒買取・ワイン買取でも高評価に
ラターシュの赤ワインは世界でもトップレベルの知名度と人気を誇ります。希少価値も高く、それだけ高値で取引される傾向にあります。
熟成年数も数十年以上とされていることから、古いヴィンテージにも価値がつきます。未開封で飲む予定のないラターシュのワインをお持ちの方は、ぜひ無駄にしてしまう前にお得なお酒買取査定の利用を検討してみましょう。
特にラターシュのような高額ワインを査定に出す場合は、ワイン買取に強い買取専門店を選ぶのがおすすめです。ワインの知識に詳しい専門店の査定を受けることで、ヴィンテージや状態なども加味した上での高額をつけてもらうことが可能になります。
またすぐには買取査定に出さないという場合は、保管方法に気をつけておきましょう。ラターシュは繊細なワインなので、できるだけワインセラーなどの適切な環境で保管していただくことをおすすめします。
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まとめ
ラ・ターシュはワイン愛好家の憧れであり、手に入れる価値のある名品です。1本およそ100万円と高額ではありますが、ワイン好きの方であればぜひチェックしておくべきでしょう。
ラターシュを選ぶ際には、ぜひ当たり年や他のDRC社のワインとの違いについても比べてみてください。
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