メスカルとは|テキーラとの違い・種類と度数・飲み方と、法令に載る「りゅうぜつらん」

メスカルとは|テキーラとの違い・種類と度数・飲み方と、法令に載る「りゅうぜつらん」

日本の法令に「メスカル」という語は一度も出てきません。e-Gov法令検索で現行法令を横断して引くと、「メスカル」も「テキーラ」も零件です。ところが原料の「りゅうぜつらん」なら、ひらがなで二つの政令に書かれています。一つは絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の別表で、載っているアガベはただ一種。もう一つは経済連携協定に基づく関税割当制度に関する政令で、そこでのアガベは酒ではなく甘味料の欄に、ブリックス値という数字とともに置かれています。国はアガベを、酒としてではなく、絶滅と甘味という二つの物差しで測っている。この記事は、メスカルという酒の基本を押さえたうえで、その二つの政令と、瓶に沈む芋虫が日本の法令のどこに落ちるのかを、条文の字で確かめます。

メスカルとは|アガベを地中の窯で焼いて造るメキシコの蒸留酒

メスカルとは|アガベを地中の窯で焼いて造るメキシコの蒸留酒
メスカルの参考画像

先に答え|三つだけ

一つ目。メスカルの定義を書いているのはメキシコの規格で、日本の法令ではありません。メキシコ官報が二〇一七年二月二十三日に公示した公的規格NOM-070-SCFI-2016は、メスカルをBebida alcohólica destilada mexicana, 100 % de maguey o agave、すなわち百パーセントがマゲイまたはアガベであるメキシコの蒸留酒と定めています。同じ規格の用語定義では、マゲイまたはアガベはCualquier especie del género Agave=アガベ属のいかなる種でもよい、と書かれています。

二つ目。日本側の法令には、この酒の名前が一度もありません。e-Gov法令検索の全法令横断で「メスカル」を引くと零件、「テキーラ」も零件です。酒税法にも品目としてのメスカルはなく、酒として輸入するときにどの号で見られるかはパローマとは|作り方と度数、テキーラが通る関税の道が関税率表の側から扱っています。この記事では重ねません。

三つ目。それでも原料の名前なら、ひらがなの「りゅうぜつらん」として二つの政令に存在します。絶滅危惧種を並べた政令の別表と、関税の割当枠を決める政令です。この二つを開くのが記事の後半になります。

この記事が扱う範囲と、扱わない範囲

テキーラという酒そのものの種類・度数・飲み方はテキーラの種類・度数・飲み方が、銘柄別の度数と参考小売価格はクエルボとはが、カクテルへの使い方はテキーラのカクテルとマルガリータとはが扱っています。この記事はメスカルの側に立ち、テキーラとの比較は規格の条文が分けている点だけに絞ります。

代わりに開くのは、生きものの側の日本の七つの法令です(このほかに関税割当ての政令を一つ開きます)。特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成十六年法律第七十八号)と同施行令・同施行規則、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)と同施行令、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)、生物多様性基本法(平成二十年法律第五十八号)。全文の合計は二十六万二千二百九十四字になります。

この七つに「酒」は零回、「アルコール」も「蒸留」も「飲料」も零回でした。「幼虫」も「蛾」も零回です。それでも読む価値があるのは、この七つが「生きものをどこで数え、どこで線を引くか」を書いた場所だからです。瓶に沈む芋虫がその線のどこに落ちるのかは、条文を開けば分かります。

名前は「焼いたアガベ」から来ている

メスカルという語は、ナワトル語で「アガベ」を意味する語と「焼いたもの」を意味する語が合わさった形と説明されます。規格が定める製法の第一段階もCocción=焼くことで、カテゴリによって使える窯が違います。もっとも伝統的なアンセストラルはhornos de pozo、つまり地面に掘った穴の窯だけしか認められません。

穴に焼けた石を敷き、その上にアガベの株の中心部を積み、土をかぶせて数日蒸し焼きにする。この工程で薪の煙がアガベに移り、メスカル特有の燻香になります。テキーラの規格は加熱を「加水分解」と定義するだけで窯を一つも挙げておらず、窯の種類を条文で挙げているのはメスカルの側だけです。

メスカルとテキーラの違い|規格が分けているのは原料と産地と設備

メスカルとテキーラの違い|規格が分けているのは原料と産地と設備
アガベの蒸留酒を並べた参考画像

原料はアガベ属の全種か、一種か

メスカルの規格は原料をCualquier especie del género Agaveと書きます。種の限定は無く、アガベ属であればどれでもよい。ただし後述のとおり、生育した場所のほうで切られています。現場で最も多く使われるのは栽培種のエスパディンで、そのほかにトバラ、ハバリ、テペステといった野生種が銘柄ごとに使い分けられます。ラベルには使ったアガベの学名または慣用名を書くことが求められ、二種以上を使った場合は多い順に並べる決まりです。

テキーラ側は原料を一種に絞っています。この一種だけという指定と、アガベ属のどれでもよいという指定の差が、そのまま香りの幅の差になって出ます。

産地の線は五つの州と、市町村の単位で足された地域

メスカルの原産地呼称は一九九四年に保護が与えられました。認証機関COMERCAMの公表によると、対象はオアハカ州、ゲレロ州、サンルイスポトシ州、サカテカス州、ドゥランゴ州の五つの州に加え、プエブラ州の百十八市町村、ミチョアカン州の三十市町村、タマウリパス州の十一市町村、グアナフアト州の六市町村です。

二〇一八年にメキシコ州、アグアスカリエンテス州、モレロス州の一部を加える決議の変更が行われましたが、同機関はこれについて不服申立ての手続が進行中であると書いており、シナロア州の四市町村の追加についても同様としています。産地の線は今も動いています。

そして規格は、原料の項でこう書いています。栽培でも野生でもよいが、その生育が原産地呼称の地域の中で進んだものであり、かつその採取がpermitida su extracción por las autoridades competentes conforme a las leyes aplicables=適用法令に従い権限ある当局に認められていること。参考文献の欄には、メキシコの野生生物一般法と森林法と環境均衡法が並びます。酒の規格が、野生生物の法律を自分の外枠として名指ししているわけです。

設備の指定は、カテゴリが下るほど機械が外れる

規格は焼く・挽く・発酵させる・蒸留するの四工程それぞれについて、カテゴリごとに使える設備を列挙します。メスカルは穴窯・石造り窯・オートクレーブのいずれでもよく、蒸留も単式蒸留器のほか連続式蒸留器や銅・ステンレスの塔で構いません。アルテサナルになると窯は穴窯か石造りの立窯に限られ、蒸留は銅の釜または土の壺による直火に限られます。アンセストラルはさらに狭く、窯は穴窯だけ、蒸留は土の壺と土または木の兜だけです。

発酵の容器のほうは逆で、アルテサナルとアンセストラルではoquedades en piedra, suelo o tronco=石や地面や丸太のくぼみ、そして動物の皮まで認められています。挽く工程でも杵が加わります。狭くなるのは窯と蒸留器、広がるのは手作業の側です。

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スピリッツの棚の参考画像

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メスカルの代表銘柄を三十種類で比較

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銘柄比較の参考画像

エスパディンを使ったホベンから、野生種のトバラやハバリ、樽で寝かせたレポサドとアネホ、そして芋虫を入れたコン・グサノまで、品揃えのある三十本を並べています。価格順や条件で並べ替えて、入門の一本と次の一本を見比べてください。

メスカル 主要30銘柄 比較|定番エスパディンから野生アガベ・最高級まで飲み比べ
メスカルは、メキシコでアガベ(リュウゼツラン)から造られる蒸留酒で、薪火の直火焼きによるスモーキーな個性が魅力だ。この比較表では、入門向けのクアトロシエントス・コネホスやバンヘス、世界のバーで定番のデル・マゲイ ヴィダやイレガル、有機エスパディンのモンテロボス、野生のトバラやハバリを使った希少品、果実と鶏肉で再蒸留するデル・マゲイ ペチュガ、陶器ボトルの最高級クラセアスールまでのメスカルに、違いを知る基準としてのテキーラ(クエルボ・パトロン・ドンフリオ1942)も加えて横断比較。度数・産地・タイプ・実勢価格を一覧でき、表上部のタブで『おすすめ順』『価格順』に並べ替えできる(メスカルの多くはオープン価格のため定価は非掲載、市場相場の目安のみを表示/2026年6月時点)。
画像 銘柄・スコア 定価
市場相場
特徴 リンクサス酒販
本命
Amazon 楽天 買取
ホセ・クエルボ エスペシャル(レポサド)750ml1位参考・テキーラ定番 ホセ・クエルボ エスペシャル(レポサド)750ml
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世界で最も飲まれるテキーラの定番。メスカルとの違いを知る基準点に。

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パトロン シルバー 750ml2位参考・プレミアム パトロン シルバー 750ml
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プレミアムテキーラの代表格。なめらかなアガベの甘み。

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ドン・フリオ 1942 アネホ 750ml3位参考・高級アンカー ドン・フリオ 1942 アネホ 750ml
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💎 プロのおすすめ

長期熟成の高級テキーラ。バニラと樽香の象徴的な一本。

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4位入門・定番 クアトロシエントス・コネホス ホベン 750ml
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手に取りやすい入門メスカル。ほどよい燻香とすっきりした後味。

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協同組合が造るコスパの良いメスカル。柑橘とハーブの香り。

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なめらかで親しみやすい味わい。カクテルにも使いやすい。

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8位本格・力強い ブルクソ No.1 エスパディン 750ml
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度数46%の力強い味わい。スモーキーさとミネラル感。

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9位アルテサナル・現代派 グラシアス・ア・ディオス エスパディン 700ml
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若い造り手による現代的メスカル。クリーンな燻香。

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10位伝統・土着酵母 コンビテ エスパディン 750ml
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土着酵母で発酵させる伝統派。深い土っぽさと余韻。

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11位芋虫入り・話題 メスカル・ベネバ レポサド コン・グサノ 750ml
実勢 約3,000〜4,200円(750ml・2026年6月時点)

瓶に芋虫(グサノ)を入れた土産物的な定番。演出として有名。

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12位サソリ入り・話題 スコーピオン メスカル アネホ(サソリ入り)750ml
実勢 約3,800〜5,500円(750ml・2026年6月時点)

瓶にサソリを封入した個性派。話題性の高いギフト向け。

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13位ブレンド・定番 ウニオン ウノ ホベン 750ml
実勢 約3,800〜4,800円(750ml・2026年6月時点)

エスパディンと野生シリキをブレンド。手頃で飲みやすい。

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14位カクテル定番 デル・マゲイ ヴィダ 750ml
実勢 約4,500〜5,800円(750ml・2026年6月時点)

世界のバーで定番のメスカル。カクテルベースの基準。

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15位人気・バー発 イレガル ホベン 750ml
実勢 約5,000〜6,500円(750ml・2026年6月時点)

バー発のブランド。なめらかでカクテル映えする味わい。

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16位伝統・人気 ロス・シエテ・ミステリオス ドバ・イェジ 750ml
実勢 約5,500〜7,000円(750ml・2026年6月時点)

伝統製法を守る造り手の定番。素朴で力強い燻香。

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17位個性派・再蒸留 メスカル・ヴァゴ エロテ 750ml
実勢 約6,000〜7,800円(750ml・2026年6月時点)

焙煎とうもろこしを加えて再蒸留。香ばしく甘い個性派。

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18位高品質・名手 レイ・カンペロ エスパディン 750ml
実勢 約5,800〜7,200円(750ml・2026年6月時点)

カンデラリアの名手による高品質エスパディン。複雑な香り。

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19位人気・濃厚 マルカ・ネグラ エスパディン 750ml
実勢 約5,500〜7,000円(750ml・2026年6月時点)

黒ラベルの人気銘柄。濃厚な燻香としっかりしたボディ。

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20位シングルビレッジ アリプス サン・アンドレス 750ml
実勢 約5,000〜6,500円(750ml・2026年6月時点)

村名を冠したシングルビレッジ。産地の個性を映す一本。

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21位レポサド・まろやか アモーレス レポサド 750ml
実勢 約5,000〜6,500円(750ml・2026年6月時点)

樽で寝かせたまろやかなメスカル。燻香と樽香の調和。

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22位レポサド・上品 イレガル レポサド 750ml
実勢 約6,500〜8,000円(750ml・2026年6月時点)

4か月の樽熟成。スパイスとバニラをまとった上品な味。

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23位アネホ・高級 イレガル アネホ 750ml
実勢 約8,500〜11,000円(750ml・2026年6月時点)

1年以上の樽熟成。濃厚な甘みと複雑な余韻。

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デル・マゲイ チチカパ 750ml24位シングルビレッジ・名作 デル・マゲイ チチカパ 750ml
実勢 約8,500〜11,000円(750ml・2026年6月時点)

シングルビレッジの代表作。複雑で奥深い燻香と果実味。

LINXASで探すコレクション 価格を見るAmazon ¥12,472 楽天 査定 買取
25位少量生産・プレミアム エル・ホルゴリオ エスパディン 750ml
実勢 約9,000〜12,000円(750ml・2026年6月時点)

職人と組んだ少量生産。村と造り手の個性が際立つ。

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26位野生アガベ・希少 レイ・カンペロ ハバリ 750ml
実勢 約11,000〜15,000円(750ml・2026年6月時点)

気難しい野生種ハバリを使った希少品。フローラルで複雑。

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27位野生トバラ・希少 エル・ホルゴリオ トバラ 750ml
実勢 約15,000〜20,000円(750ml・2026年6月時点)

野生の小型アガベ「トバラ」を使った希少メスカル。

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28位野生トバラ・名品 デル・マゲイ トバラ 750ml
実勢 約16,000〜22,000円(750ml・2026年6月時点)

野生トバラを使ったデル・マゲイの名品。華やかで上品。

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29位ペチュガ・最高級 デル・マゲイ ペチュガ 750ml
実勢 約20,000〜28,000円(750ml・2026年6月時点)

果実と鶏胸肉を加えて再蒸留する祝祭の最高級メスカル。

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クラセアスール メスカル サン・ルイス・ポトシ 750ml30位最高級・コレクション クラセアスール メスカル サン・ルイス・ポトシ 750ml
実勢 約32,000〜40,000円(750ml・2026年6月時点)

手描き陶器ボトルの最高級メスカル。野生サルミアナ種を使用。

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メスカルは小規模な造り手による少量生産が多く、メーカー希望小売価格を定めない「オープン価格」が一般的なため、定価(list_price)は掲載せず市場相場の目安のみを記載しています(2026年6月時点の実勢)。野生アガベ(トバラ・ハバリ)を使った希少品やペチュガ、クラセアスールなどは流通量が限られ価格変動が大きく、為替の影響も受けます。Amazon価格は各モールの実勢で、同一銘柄・容量が見つからない場合は空欄となります。アルコール度数はメーカー公表値・ラベル表記に基づきますが、ロットにより前後する場合があります。最新の在庫・価格は各リンク先でご確認ください。テキーラ3銘柄はメスカルとの違いを示す参考として掲載しています。

日本の法令に「メスカル」という語は無い

日本の法令に「メスカル」という語は無い
法令集の参考画像

全法令を横断して引いた結果

e-Gov法令検索には、現行法令の本文を横断してキーワードで引く機能があります。ここに「メスカル」を入れると、該当する法令はありません。「テキーラ」も同じく零件です。「芋虫」も零件でした。メキシコを代表する二つの蒸留酒の名は、日本の条文のどこにも書かれていない。

ちなみに、この記事で開く七つの法令に「昆虫」の二文字は十回、「ちょう目」は八回出てきますが、「幼虫」も「蛾」も零回です。虫は綱と目の名前で数えられていて、成長の段階では数えられていません。

ただし、名前が無いことと制度の外にあることは違います。輸入の場面では関税率表の号に落とし込まれ、国内で売るときは酒税法の品目に当てはめられます。酒としてどの号で見るのかはパローマとは|作り方と度数、テキーラが通る関税の道が号番号まで追っていますので、そちらを参照してください。この記事は酒の側の号には立ち入りません。

「りゅうぜつらん」で引くと二件だけ出る

同じ横断検索に、ひらがなで「りゅうぜつらん」を入れると二件が返ります。絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令(平成五年政令第十七号)と、経済連携協定に基づく関税割当制度に関する政令(平成十七年政令第三十五号)です。漢字の「竜舌蘭」では零件、カタカナの「リュウゼツラン」でも条文には現れません。

そして「アガベ」というカタカナ三文字で引くと、返ってくるのは一件だけ。しかもそれは種の保存法施行令の別表に載るAriocarpus agavoides(アガベ牡丹)というサボテンの和名で、アガベ属の植物ではありません。日本の条文に「アガベ」の三文字が出るのは、アガベに似たサボテンの名前としてだけです。

ではアガベ属そのものが条文に無いのかというと、そうではありません。表記が「アガヴェ」に変わります。この二つの政令に、アガヴェ・パルヴィフロラ、アガヴェ・テクイラナ、アガヴェ・サルミアナという三つの種名が載っています。以下で引く条文にも、そのまま出てきます。

酒ではなく、絶滅と甘味の二つの物差し

結果として、日本の法令はアガベを二つの角度からしか名指ししていないことになります。一つは絶滅のおそれのある種として。もう一つは関税の割当枠に載る甘味料の原料として。どちらの政令にも「酒」の字はありません。関税割当ての政令の別表第一には「ワイン」も「アルコール飲料」も出てきますが、メキシコ協定の項には一つもありません。次の二つの章で、それぞれの条文を開きます。

この二つの政令を束ねる上位の考え方は、生物多様性基本法の第二条第一項が短く書いています。この法律において「生物の多様性」とは、様々な生態系が存在すること並びに生物の種間及び種内に様々な差異が存在することをいう。七千五百五十五字しかないこの法律にも、「酒」の字はありません。

一つ目の政令|りゅうぜつらん科は植物界の筆頭に置かれている

一つ目の政令|りゅうぜつらん科は植物界の筆頭に置かれている
アガベの株の参考画像

別表第二の表二、植物界の一番目

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の別表第二は、法第四条第四項の国際希少野生動植物種を並べた表です。その表二の後半、動物界の並びが終わって第二 植物界と切り替わった直後、最初に置かれているのが(1) りゅうぜつらん科です。

第二 植物界/(1) りゅうぜつらん科/1 Agave parviflora(アガヴェ・パルヴィフロラ)/昭和58年7月29日

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令 別表第二 表二

りゅうぜつらん科の欄に載っている種は、これ一つだけです。適用日は昭和五十八年七月二十九日。表二には種名の欄のほかに適用日の欄があり、その日より前に国内で取得されたか輸入された個体等については、法第二十条第一項の登録の道が政令第八条で開かれています。

メスカルに使うアガベは、この表にいない

エスパディンもトバラもハバリも、この別表には載っていません。りゅうぜつらん科の欄が一行で終わっているからです。つまりメスカルの原料として実際に使われているアガベは、この政令の対象外にあります。野生種を使う銘柄について採取の可否を決めているのは、日本の別表ではなくメキシコ側の許可です。

別表第五にりゅうぜつらん科は無い

この法律で「器官」と「加工品」が何を指すかは、法第六条第二項第四号が政令に投げています。受けているのが施行令第三条と第四条で、器官の中身は別表第五に、加工品は剝製その他の標本と別表第五の加工品欄に定められています。

別表第五の植物界の欄に並ぶのは、なんようすぎ科、サボテン科、ひのき科、まめ科、ゆり科、らん科、まつ科の七科だけです。りゅうぜつらん科は入っていません。したがって Agave parviflora について、法律上の「器官」を政令は定めていないことになります。

ただし加工品のほうは別です。施行令第四条は二つの号で加工品を定めており、科の限定が付くのは別表第五を受ける第二号だけ。第一号の「剝製その他の標本」は科を問わず希少野生動植物種の全体に掛かります。りゅうぜつらん科でも、押し葉以外の標本の形になったものは加工品です。

もう一つの別表第六は、法第十二条第一項第四号の「原材料器官等」を定めた表です。こちらに並ぶのは、せんざんこう科の皮、ぞう科の皮と牙、おおとかげ科の皮、うみがめ科の皮と甲の四科だけ。国内で製品の原材料として実際に使われているものを名指しした表で、植物は一つも入っていません。

二つ目の政令|アガベに数字が付くのは甘味料の欄

二つ目の政令|アガベに数字が付くのは甘味料の欄
アガベシロップの参考画像

メキシコ協定の枠に並ぶ、牛肉とはちみつとオレンジと

経済連携協定に基づく関税割当制度に関する政令の別表第三は、協定ごとに関税割当ての対象品目を並べた表です。その一の項が「メキシコ協定」で、下欄に並ぶのは(一)から(一三)までの関税率表の号番号ばかりです。牛肉、豚肉、鶏肉、はちみつ、オレンジと続き、果汁やトマトケチャップの号もあります。日本語の品名が書き添えられているのは、六番目の(六)だけです。

関税率表第一七〇二・六〇号の二に掲げる物品のうちりゅうぜつらん(アガヴェ・テクイラナ及びアガヴェ・サルミアナ)の液汁、エキス又は濃縮物から得た果糖水

経済連携協定に基づく関税割当制度に関する政令 別表第三 一の項(六)

ブリックス値七四、しょ糖四%、ぶどう糖二五%、果糖七〇%

同じ号の括弧書きが、この果糖水の条件を四つの数字で切ります。ブリックス値が七十四を超えるもののうち、乾燥状態でしょ糖の含有量が全重量の四パーセント以下、ぶどう糖の含有量が全重量の二十五パーセント以下、かつ果糖の含有量が全重量の七十パーセントを超えるもの。そして精製の有無は問わないが、砂糖その他の甘味料を加えたものは除く、と続きます。

日本の法令でりゅうぜつらんに中身の数字が付いているのは、ここだけです。もう一方の政令が与えているのは、適用日という日付だけでした。度数でも産地でも熟成期間でもなく、糖の割合。国がアガベを測るときの目盛りは、酒ではなく甘味料の目盛りでした。

名指しは二種、エスパディンは入っていない

括弧の中に置かれた種名はアガヴェ・テクイラナ及びアガヴェ・サルミアナの二つだけです。メスカルの主力であるエスパディンも、野生のトバラもハバリも、この号には現れません。同じアガベ属でも、割当ての枠に名前があるのは二種にとどまります。

手続も条文に書かれています。政令第二条第二項が申請先を農林水産大臣とし、第三項が輸出国証明書の添付を求め、第四項がその証明書は相手国で発給の権限を持つ機関の出したものでなければならないと念を押します。

瓶の中の虫(グサノ)を、法令はどこで見るか

瓶の中の虫(グサノ)を、法令はどこで見るか
メスカルの瓶の参考画像

メキシコの規格は、虫をクラスの名前で書いている

まずメキシコ側です。規格はメスカルを六つのクラスに分けます。ブランコまたはホベン、マドゥラード・エン・ビドリオ、レポサド、アニェホ、アボカド・コン、デスティラード・コン。このうち五番目のアボカド・コンが、材料を直接入れて風味を付けたものを指し、その例示にgusano de maguey=マゲイの芋虫が挙げられています。ダミアナ、レモン、蜂蜜、オレンジ、マンゴーと同じ並びです。

入れられる材料は、保健省の告示とNOM-142-SSA1/SCFI-2014が認めたものに限られます。クラスの名はラベルの主要面に、商標とは離して単独で書く決まりです。つまり虫入りのメスカルは、瓶の表にクラス名が入るもの。ただし輸出向けの表示は仕向国の言語に訳してよいと規格が書いているので、原語の「Abocado con」とは限りません。またアボカド・コンだけは、乾燥エキス分の上限が一リットル当たり六十グラムまで緩められています。

第二条第一項は二度「生きているものに限る」と書く

では日本側です。特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の第二条第一項は、特定外来生物の中身を定義するとき、括弧の中で二度も同じ条件を置きます。

…政令で定めるものの個体(卵、種子その他政令で定めるものを含み、生きているものに限る。)及びその器官(…政令で定めるもの(生きているものに限る。)に限る。)をいう。

特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律 第二条第一項

個体にも器官にも、生きていることが条件として掛かっています。第七条の輸入の禁止も、第八条の譲渡し等の禁止も、第九条の放出等の禁止も、すべてこの定義を受けます。同じ条件は第二十一条の未判定外来生物にも、第二十五条第一項の証明書の添付にも置かれていて、この法律の輸入の側は生きたものだけを見ています。

もっとも、芋虫がこの法律から外れる理由の一つ目は生死ではありません。施行令の別表第一で「六 昆虫綱」のちょう目に載っているのは、アカボシゴマダラの奄美亜種以外のものという一項だけ。グサノの種はそもそも指定されていません。指定が無く、生きてもいない。二つの理由が重なります。

器官の別表は、植物十八項の茎と根だけ

その「器官」の中身を決めているのが施行令第三条と別表第三です。開いてみると、載っているのはナガエツルノゲイトウ、ブラジルチドメグサ、ボタンウキクサ、オオキンケイギク、オオハンゴンソウ、オオフサモ、ビーチグラス、オオカワヂシャなど十八の項で、すべて植物。器官の欄に書かれているのは「茎、根」「茎」「根」の三通りだけです。

動物の器官は一つも挙がっていません。生きているかどうか以前に、動物の体の一部はこの法律の器官の欄に存在しない。芋虫が外れる三つ目の理由がここにあります。

種の保存法は、捕獲を生きた個体で切り、譲渡しを加工品まで追う

もう一方の絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律は、線の引き方が違います。第九条の捕獲等の禁止は国内希少野生動植物種及び緊急指定種…の生きている個体を対象にしますが、第十二条第一項の譲渡し等の禁止は希少野生動植物種の個体等を対象にします。個体等とは第七条が希少野生動植物種の個体若しくはその器官又はこれらの加工品と括った語です。

つまり、捕る側は生きているものだけ、渡す側は加工品まで。同じ法律の中に二本の違う線が引かれています。外来生物法が全部を「生きているもの」に揃えたのと対照的です。

輸出入も同じ考え方です。第十五条第一項は特定第一種を除く国内希少野生動植物種の「個体等」を輸出入してはならないと書き、第二項は同じく特定第一種を除く希少野生動植物種の個体等を輸出入しようとする者が外国為替及び外国貿易法の規定により承認を受ける義務を課せられるものとする、と続けます。加工品まで含む語が、そのまま国境での手続に接続する構造です。

食用の例外は、生きたまま預かる場面にだけ置かれている

七つの法令二十六万二千二百九十四字のうち、「食品」の字が出るのは施行規則の第二条第六号と第二十一号だけでした。そのうち食べることに触れているのが、飼養等の禁止の適用除外を二十五号まで並べたこの条の、第二十一号です。

食品衛生法施行令…第三十五条第一号に規定する飲食店営業について食品衛生法第五十五条第一項の許可を受けた者が、食用に供するために、特定飼養等施設とともに譲り受け、当該施設内において保管をするものであること。

特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律施行規則 第二条第二十一号

飲食店が食べるために引き取る場合の例外です。ただしこれは「飼養等」の禁止を外す規定なので、対象はやはり生きている個体になります。国が食用と生きものを同じ文の中で扱ったほとんど唯一の場所が、瓶の中の芋虫にはやはり届きません。

昆虫は「動物」に入るのか|動物の愛護及び管理に関する法律の線

昆虫は「動物」に入るのか|動物の愛護及び管理に関する法律の線
アガベ畑の参考画像

基本原則の「動物」には限定が付いていない

動物の愛護及び管理に関する法律の第二条第一項は、こう始まります。動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく。ここでの「動物」には種類の限定が付いていません。理念の条文としては、あらゆる動物に向けられた書き方です。

罰則の「愛護動物」には限定が付いている

ところが罰則の側は違います。第四十四条第一項は愛護動物をみだりに殺し傷つけた者を五年以下の拘禁刑または五百万円以下の罰金に処すると定め、同条第四項がその愛護動物を二つの号で限定します。

一 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる/二 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの

動物の愛護及び管理に関する法律 第四十四条第四項

第一号は十一種の名指し、第二号は綱による指定です。昆虫は哺乳類でも鳥類でも爬虫類でもありませんから、この条の愛護動物には当たりません。理念は全ての動物に向き、罰は三つの綱と十一種に向く。同じ法律の中で射程が変わります。

この法律で「昆虫」が出てくるのは一回だけ

四万二千七百十二字の全文で「昆虫」の二文字が現れるのは一か所です。第四節「周辺の生活環境の保全等に係る措置」の第二十五条第一項で、都道府県知事が指導・助言できる事態の例として、騒音、悪臭、動物の毛の飛散と並べて多数の昆虫の発生が挙がります。守る対象としてではなく、周辺の生活環境を損なう要因の側に置かれた一回です。

日本の別表に載っている昆虫たち

守る側の法律なら、昆虫はきちんと名指しされています。絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の別表第一の表二には「六 昆虫綱」の区分があり、ごきぶり目のウスオビルリゴキブリから、たまむし科のオガサワラナガタマムシ、おさむし科のオガサワラハンミョウ、かみきりむし科やげんごろう科の面々まで並びます。小笠原諸島の固有種が目立つ並びです。

さらに別表第四は、特定第二種国内希少野生動植物種を並べた表で、その「四 昆虫綱」にはゲンゴロウ、ヒメフチトリゲンゴロウ、エゾゲンゴロウモドキ、マルガタゲンゴロウ、オオイチモンジシマゲンゴロウ、オキナワスジゲンゴロウの六種と、こおいむし科のタガメ、こばんむし科のコバンムシが載ります。

この特定第二種には、第九条第二号という独特のただし書が付いています。販売又は頒布をする目的以外の目的で特定第二種国内希少野生動植物種の生きている個体の捕獲等をする場合は、捕獲等の禁止が及びません。売り買いしないなら捕ってよい、という線の引き方です。譲渡し等の側も第十二条第一項第三号が、購入の目的を加えたうえで同じ形で外しています。

三本の罰則を並べてみる

最も重い刑を並べると、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の第五十七条の二が五年以下の拘禁刑もしくは五百万円以下の罰金またはその併科、動物の愛護及び管理に関する法律の第四十四条第一項が五年以下の拘禁刑または五百万円以下の罰金、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の第三十二条が三年以下の拘禁刑もしくは三百万円以下の罰金またはその併科です。

法人に対する両罰規定は三本ともありますが、額の付け方が違います。種の保存法は第六十五条第一項第一号で一億円以下、外来生物法は第三十六条第一号で同じく一億円以下。動物の愛護及び管理に関する法律は第四十八条第二号が第四十四条について「各本条の罰金刑」とだけ書くので、法人でも五百万円以下のままです(同条第一号は第四十五条について五千万円以下を置いています)。個人の刑では差が付いていた二本が、法人の罰金では同じ一億円で並びます。

メスカルの区分・度数・飲み方

メスカルの区分・度数・飲み方
グラスに注いだメスカルの参考画像

三つのカテゴリ

規格の四・二はカテゴリを三つに分けます。メスカル、メスカル・アルテサナル、メスカル・アンセストラル。分ける基準は焼く・挽く・発酵させる・蒸留するの四工程で使う設備です。ラベルの主要面には、この三つのうち一つだけを、商標とは離して単独で書かなければなりません。

六つのクラス

熟成や添加による区分がクラスで、ブランコまたはホベン、マドゥラード・エン・ビドリオ、レポサド、アニェホ、アボカド・コン、デスティラード・コンの六つです。マドゥラード・エン・ビドリオはガラス容器で十二か月を超えて置いたもの、レポサドは木の容器で二か月から十二か月、アニェホは千リットル未満の木の容器で十二か月を超えたものを指します。マドゥラード・エン・ビドリオとアニェホだけは、年数を整数でラベルに書く決まりです。

NOM-070-SCFI-2016 が定める六つのクラス
クラス 条件
ブランコまたはホベン 無色透明で、その後の処理を受けないもの
マドゥラード・エン・ビドリオ ガラス容器で十二か月を超えて安定させたもの
レポサド 木の容器で二か月から十二か月置いたもの
アニェホ 千リットル未満の木の容器で十二か月を超えて置いたもの
アボカド・コン 芋虫やダミアナなど、保健省が認めた材料を直接入れて風味を付けたもの
デスティラード・コン 七面鳥や鶏の胸肉などと一緒に蒸留して風味を付けたもの

混ぜ合わせについては、同じカテゴリかつ同じクラスのメスカル同士に限ると規格が明記しています。

度数は三十五度から五十五度

規格の表二が定める理化学的な基準では、二十度におけるアルコール分は最小三十五パーセント、最大五十五パーセントです。同じ表には乾燥エキス分が一リットル当たり十グラムまで、メタノールが無水アルコール百ミリリットル当たり三十から三百ミリグラム、鉛と砒素がそれぞれ一リットル当たり〇・五ミリグラムまで、といった上限も並びます。度数の幅の広さは、アルコール度数の高いお酒の一覧と合わせて見ると位置がつかみやすくなります。

飲み方は常温のストレートから

本場での基本は常温のストレートで、少しずつ口に含んで香りの変化を追います。輪切りのオレンジと、乾かした芋虫を塩と唐辛子で挽いた「グサノの塩」を添えるのが定番の組み合わせです。燻香が強いと感じるときは氷を入れる、あるいは炭酸で割ると輪郭がやわらぎます。

カクテルに使うなら、テキーラを置き換えるところから始めると分かりやすいでしょう。マルガリータのテキーラをメスカルに替えたメスカリータ、テキーラサンライズの置き換えなど、燻香が一つ加わるだけで印象が変わります。

選び方は、ラベルの四つの表示から

ラベルには、カテゴリ、クラス、百パーセント・マゲイまたは百パーセント・アガベの表示、そして使ったアガベの学名または慣用名を書くことが求められています。二種以上を使った場合は多い順に並びます。まずはエスパディンのホベンで基準を作り、次に野生種のトバラやハバリへ広げるのが、味の差を測りやすい順序です。ウイスキーのコレクションで樽由来の香りに慣れている方なら、レポサドから入る手もあります。

飲まないお酒の査定・買取はリンクサスへ

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店舗カウンターの参考画像

メスカルに限らず、贈答でいただいたまま置かれている洋酒や日本酒の査定を承っています。未開栓であること、ラベルと箱が残っていること、液面が下がっていないことが評価の中心です。写真だけの事前確認にも対応していますので、まずは瓶の全体とラベル面を撮ってお送りください。お酒の種類の一覧から、ご自宅の一本の分類を確かめることもできます。

よくある質問

よくある質問
質問と回答の参考画像
メスカルとテキーラの違いは何ですか。

メキシコの公的規格の書き方が違います。メスカルの規格NOM-070-SCFI-2016は原料を「アガベ属のいかなる種でもよい」と定め、産地はオアハカ州など五つの州と四州の一部市町村に及びます。テキーラは原料が一種に絞られ、産地も別に定められています。また設備の指定も異なり、メスカルのアルテサナルは穴窯か石造りの立窯、アンセストラルは穴窯だけが認められます。この穴窯で薪の煙が移ることが、メスカル特有の燻香の出どころです。

日本の法令にメスカルという言葉はありますか。

ありません。e-Gov法令検索の全法令横断で「メスカル」を引くと該当がなく、「テキーラ」も同じく零件です。ただし名前が無いことと制度の外にあることは別です。輸入や課税の場面では関税率表や酒税法の分類に当てはめて扱われます。関税率表のどの号で見るのかは、当店の「パローマとは」の記事が号番号まで追っていますので、そちらをご覧ください。

りゅうぜつらんは日本の法令に出てきますか。

ひらがなで二つの政令に出てきます。一つは絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令で、別表第二の表二の植物界の筆頭に「りゅうぜつらん科」が置かれ、その下に Agave parviflora が一種だけ載っています。もう一つは経済連携協定に基づく関税割当制度に関する政令で、こちらはアガベシロップの原料としての登場です。漢字の「竜舌蘭」では該当がありません。

メスカルに使うアガベは規制されていますか。

日本の絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の別表に載っているアガベは Agave parviflora の一種だけで、エスパディンやトバラといったメスカルの原料は載っていません。ただしメキシコ側の規格は、栽培でも野生でもよいとしたうえで、その生育が原産地呼称の地域の中で進んだものであること、その採取が現地の適用法令に従い権限ある当局に認められていることを条件に置いています。野生種の扱いは現地の許可で担保される構造です。

アガベシロップにはどんな基準がありますか。

経済連携協定に基づく関税割当制度に関する政令の別表第三、メキシコ協定の項の六番目に条件が書かれています。りゅうぜつらん(アガヴェ・テクイラナ及びアガヴェ・サルミアナ)の液汁、エキス又は濃縮物から得た果糖水で、ブリックス値が七十四を超え、乾燥状態でしょ糖が全重量の四パーセント以下、ぶどう糖が二十五パーセント以下、果糖が七十パーセントを超えるもの、という四つの数字です。砂糖その他の甘味料を加えたものは除かれます。

瓶に入っている芋虫は何ですか。

アガベに付く蛾や蝶の幼虫で、現地ではグサノと呼ばれます。メキシコの規格では、材料を直接入れて風味を付けたクラス「アボカド・コン」の例示として「マゲイの芋虫」が名指しされており、ダミアナやレモン、蜂蜜、オレンジ、マンゴーと同じ並びに置かれています。すべてのメスカルに入っているわけではなく、入れたものはラベルの主要面にクラス名が書かれます。

虫入りのメスカルは日本に持ち込めますか。

特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律について言えば、グサノの種はそもそも同法施行令の別表第一に指定されておらず、加えて同法第二条第一項が対象を「生きているものに限る」と二度書いています。同法施行令の別表第三が定める「器官」も、植物十八項の茎と根だけで動物の器官は挙がっていません。ただしこれは同法の話にとどまります。個別の可否は品目や数量、食品衛生法や関税法など他の法令の扱いによって変わりますので、実際の持込みは税関にご確認ください。

昆虫は動物愛護法の対象になりますか。

第二条第一項の基本原則は「動物」と書くだけで種類を限定していませんが、罰則の第四十四条は対象を「愛護動物」に限り、第四項が牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひるの十一種と、人が占有している哺乳類・鳥類・爬虫類に限定しています。昆虫はこの三つの綱に入りませんので、この条の罰則の対象にはなりません。同法で「昆虫」の語が出るのは第二十五条第一項の一か所だけです。

メスカルの度数はどのくらいですか。

規格の表二により、二十度におけるアルコール分は最小三十五パーセント、最大五十五パーセントと定められています。実際の銘柄は四十五パーセント前後のものが多く、伝統的な造り手ほど高めに保つ傾向があります。度数が高いぶん、一度に多く飲むより少量ずつ香りの変化を追う飲み方が向いています。メキシコ国内向けのラベルには「% Alc. Vol.」の略で度数を書くことが求められています。

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