サントリーローヤルの値段と定価|まずいの理由と現行の2本
「サントリーウイスキーローヤル」という名前を、法律の言葉と、そうでない言葉に分けてみる。残るのは「ウイスキー」の五文字だけである。「サントリー」は商号、「ローヤル」は商標で、どちらも酒の分け方の名前ではない。
ところが、その唯一の法律の言葉である品目「ウイスキー」は、サントリーの商品ページには一文字も書かれていない。書かれているのは容量やJANコード、希望小売価格、原材料、アルコール度数、純アルコール量といった項目で、品目の行だけが無い。品目「ウイスキー」が出てくるのは、干支ボトルを告知するニュースリリースの商品概要表のほうである。
この記事では、ローヤルの現行品の価格と味の評価を公式の数字で確かめたうえで、ラベルに載る言葉と載らない言葉がどこで枝分かれしているのかを、酒税法・酒類業組合法・公正競争規約の三つを実際に引きながら追う。会社の名前でも銘柄の名前でもなく、「洋酒」という一語が、条文が定義を置かないまま業界団体の名前になっている、という話にたどり着く。
現行のローヤルは二本しかない|700mlと660mlの希望小売価格

サントリーの商品情報サイトでローヤルを引くと、詳細ページが出てくるのは二本だけである。700ml瓶と、660mlのスリムボトル。どちらも同じ紹介文が付いていて、価格だけが違う。
| 商品 | 容量 | アルコール度数 | 希望小売価格 | 原材料 | JANコード |
|---|---|---|---|---|---|
| サントリーウイスキーローヤル | 700ml瓶 | 43% | 3,900円(税別) | モルト、グレーン | 4901777188211 |
| サントリーウイスキーローヤル スリムボトル | 660ml瓶 | 43% | 3,390円(税別) | モルト、グレーン | 4901777188228 |
| サントリーウイスキーローヤル〈午歳〉ボトル | 600ml | 43% | 10,000円(税別) | 公表なし | 公表なし |
出典 サントリー商品情報(2026年8月27日取得)および2025年9月9日ニュースリリース
干支ボトルだけは、品目「ウイスキー」が公表されている。ニュースリリースの商品概要表に「品目」の列があるためで、商品情報サイトの側にはこの列が無い。
価格はいずれも税別である。商品ページには「記載の価格は消費税別の価格です。」と書かれ、あわせて「※価格は販売店様の自主的な価格設定を拘束するものではありません。」という注記が付く。税込に直したいなら自分で計算することになる。700ml瓶なら4,290円、スリムボトルなら3,729円である。
同じ会社のページの中で、度数が二通り書かれている
スリムボトルの度数には注意が要る。商品情報サイトの詳細ページと、ウイスキーの製品情報ページは、どちらも43%と書いている。ところがローヤルのブランドサイトのラインナップ欄だけが、画像の代替テキストに「ローヤル スリムボトル(660ml/40%)」と書いたまま残っている。同じページの700ml側は「ローヤル(700ml/43%)」で、こちらは他と一致する。
このブランドサイトの一文は、2012年と2015年に保存された記録でも同じ文字列だった。十年以上そのままということになる。43%と書いているのが商品情報サイトと製品情報ページの二か所、40%と書いているのがブランドサイトの一か所なので、この記事では43%を採る。
値上げの名指しは2023年が最後である
3,900円という額は、2023年3月22日のニュースリリースで決まったものである。角瓶・オールド・スペシャルリザーブ・ローヤルの四ブランド十一品目が対象で、ローヤル700ml瓶は3,360円から3,900円へ、率にして16%の引き上げだった。いずれも希望小売価格の税別の額である。実施は2023年7月1日出荷分からである。
その後の価格改定リリースを2026年4月実施分までたどって見ると、主な対象品目の表にローヤルの名は一度も出てこない。ただし、表を載せているリリースはいずれも見出しが「主な」であり、全品目の内訳は公表されていない。2024年4月実施分は「ウイスキー:14ブランド63品目」の回と、国産プレミアムの5ブランド19品目の回の二本立てで、前者の表のウイスキー欄に名前が挙がっているのは八品目だけである。2026年4月実施分の主な対象ブランドは、ウイスキーでは「響」「山崎」「白州」の三つで、リリースには「※一部対象外の商品もあります」と添えられている。
関連商品ラインナップ

リンクサス酒販には、現行のスリムボトルから終売した12年・15年、干支をかたどった限定ボトルまでローヤルが並んでいる。ウイスキーのコレクションから在庫のあるものをまとめて確認できる。
下のラインナップは在庫と価格が動く。終売品は入荷が読めないので、気になる一本があれば早めに見ておくとよい。
「サントリーローヤルの値段と定価|まずいの理由と現行の2本」に関連するおすすめ商品
ここではウイスキーの在庫から一部を掲載しています。価格・在庫・箱の有無は各商品ページでご確認いただけます。
サントリーローヤルと同じ造り手のウイスキー30本を価格の安い順に並べる

下の表は、ローヤルの各世代と、同じ造り手のブレンデッドおよびシングルモルトを、当店の販売価格が安い順に並べたものである。価格欄は2026年8月27日時点の当店の販売価格(税込)で、サントリーの希望小売価格ではない。
下端はスリムボトルの3,573円、上端は山崎18年リミテッドエディションの165,000円で、およそ46倍のひらきがある。同じ表の中で、現行のスリムボトルと終売した15年ゴールドラベルが六倍ちがう位置に立っているのが分かる。
表の見方を一つだけ添えておく。ローヤルの終売品は、15年ブルーラベルと15年ゴールドラベルのように、同じ年数でラベルの色が分かれている。ラベルの色ごとの位置づけと年代の見分け方はサントリーローヤルの種類と年代別違いで詳しく扱っているので、そちらに任せる。
「まずい」と言われるのは何と比べたときか

「サントリー ローヤル まずい」で検索されている、という事実から始めたい。この言葉が出てくる場面は、たいてい二つに分かれる。名前から高級品を期待した人と、終売した12年や15年を知っている人である。どちらも比較の相手が違う。
同じ会社の値段の並びに置いてみる
2023年の価格改定リリースは、四ブランドの改定後の希望小売価格を並べて示している。角瓶700ml瓶が1,910円、オールドが2,250円、スペシャルリザーブが3,000円、ローヤルが3,900円。いずれも税別である。
この並びでいえば、ローヤルは日常の一本の二倍で、四つのなかではいちばん上にいる。ただし、同じ造り手の響や山崎とは桁が違う。現行のローヤルは、家庭の棚の中ではいちばん高いが、ジャパニーズウイスキーという広い棚の中では真ん中より下にいる。「まずい」と書かれるときの比較相手が後者だと、評価は下向きに振れる。
現行品と終売品は別の酒として扱う
もう一つの落差は、年数表示のあるボトルとの比較である。ローヤルには年数表示のあるボトルが公式の年表に並んでいた時期があり、いまは年数表示のないものだけが残っている。年数の付いたボトルを飲んだ記憶と、現行の43%のボトルを同じ名前で比べれば、違って感じられるのは当然といえる。年表そのものは後の章で見る。
なお、味の評価そのものは公式が語る領域ではない。サントリーの商品ページに書かれているのは容量・JANコード・希望小売価格・原材料・度数・純アルコール量といった項目で、テイスティングノートは載っていない。この記事で数字として扱えるのはそこまでである。
口コミの集計と、飲み方ごとの評価はサントリーローヤルの種類と年代別違いにゆずる。この章で扱うのは、公式が出した数字の並びだけである。
「ウイスキー」と名乗る条件に、熟成も樽も年数も書かれていない

ローヤルのラベルにある品目「ウイスキー」は、酒税法第三条第十五号の名前である。その号を通して読むと、書かれていないものの多さに驚く。
十五 ウイスキー 次に掲げる酒類(イ又はロに掲げるものについては、第九号ロからニまでに掲げるものに該当するものを除く。)をいう。
イ 発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)
ロ 発芽させた穀類及び水によつて穀類を糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)
ハ イ又はロに掲げる酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの(イ又はロに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の百分の十以上のものに限る。)
出典 酒税法(昭和二十八年法律第六号)第三条第十五号
数値で切っている条件は二つしかない。留出時のアルコール分が九十五度未満であること。そして、ハの場合にイかロの酒類が総量の百分の十以上あること。熟成という語も、樽という語も、年数という語も出てこない。何年寝かせたか、何に入れて寝かせたかは、この号の関心の外にある。
法がローヤルに用意した別名は、十三度未満のときの一つだけ
品目名の代わりに書ける呼称は、酒類業組合法施行規則第十一条の五が表の形で定めている。その表のウイスキーの行は、次の一行しかない。
ウイスキー アルコール分(酒税法第三条第一号に規定するアルコール分をいう。以下この条において同じ。)が十三度未満のもの 水割りウイスキー
出典 酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律施行規則 第十一条の五
同じ表の中で、単式蒸留焼酎には「ホワイトリカー又は焼酎乙類」「本格焼酎」「泡盛」と三つの行が与えられ、連続式蒸留焼酎にも「ホワイトリカー又は焼酎甲類」がある。焼酎の側の呼び分けはかのかといいちこの違いで扱っている。表の全体の読み方はスコーピオンの裏ラベルにゆずる。
ここで確かめておきたいのは、ウイスキーに与えられた別名が「薄めたときの名前」ひとつだという点である。ローヤルは43%だから、この行には届かない。法がローヤルという酒に、酒の区分として貸す名前は、品目「ウイスキー」の一語で終わりになる。
「洋酒」は酒の名として、法令に一度しか出てこない

ローヤルを造る会社が入っている団体の名は、日本洋酒酒造組合という。この「洋酒」という語を、法令の側から探してみる。
e-Govの法令検索を全法令横断で叩くと、「洋酒」を含む文は二つしか返らない。一つは商標法施行規則の別表で、商品の区分を並べた第三十三類のなかに「洋酒 ウイスキー ウォッカ ジン ブランデー ラム リキュール」という並びがある。もう一つは昭和四十五年の家計資産調査規則の別表で、こちらは「洋酒グラス(カクテルグラス,ブランデーグラスなど)」というガラス器の名前である。
つまり、酒の区分として「洋酒」を使っている条文は、e-Govが収める法令のなかで商標の分類表の一箇所だけということになる。e-Govは告示を収録しないので、公正取引委員会告示である「洋酒製造業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」の名はこの数に入っていない。この分類表そのものの読み方はフレンチコネクションの記事で扱っている。
酒税法にも組合法にも、この語は一度も出ない
酒の税を決める法律の側はどうか。酒税法の全文を平坦化して数えると、「洋酒」は本則に0回、附則にも0回だった。酒類業組合法の本体も0回、同施行令も0回、同施行規則も0回である。「洋酒税」「洋酒類」という語も全法令検索で0件、つまり一文も存在しない。
酒税法が使う品目名は「ウイスキー」「ブランデー」「スピリッツ」「リキュール」といった個別の名前で、それらをまとめて呼ぶ上位の語を、この法律は持っていない。「洋酒」は、条文の外で使われている言葉なのである。
ローヤルの原材料欄に並ぶ「モルト、グレーン」の二語を決めているのは公正競争規約の側で、これは後の章で見る。先に片づけたいのは、条文に無い「洋酒」の二文字が、なぜ組合の名として通っているのかのほうである。
同じ一句が、入口では名前を残し、出口では名前を消す

「一般に慣熟」という言い回しは、この制度のなかに二か所ある。どちらも、正式な品目名ではない呼び名を受け入れるための入口である。ところが、その先で起きることが正反対になる。
一つ目は、ラベルの品目名を置き換える道
一つ目は、施行令第八条の三第四項が開ける道である。品目名のほかに「一般に慣熟した呼称」があるものは財務省令の定める呼称で書いてよい、という一項で、その先が前章で見た第十一条の五の表である。政令が名前を省令に預け、省令が名前を並べる。だから名前は条文の上に残る。この入口そのものの読み方はスコーピオンの裏ラベルが扱っている。
二つ目は、組合の名前から品目を消す道
もう一方は、団体の名乗りの話である。まず法律が命じる。
第六条 酒造組合は、その名称中に、酒造組合という文字を用い、かつ、その組合員が製造し又は移出する酒類の品目(みりんについては、政令で定める種別。第八十六条の五を除き、以下同じ。)を明らかにしなければならない。
4 酒類業組合は、政令で定めるところにより、財務大臣の承認を受けた場合においては、第一項又は第二項の規定にかかわらず、酒造組合にあつては、酒類の品目を、酒販組合にあつては、卸売、小売の別をその名称中に明らかにすることを要しない。
出典 酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律 第六条第一項・第四項
第四項が言う「政令で定めるところ」が、施行令第二条第二項である。そこには二つの逃げ道が並んでいる。品目が二以上ある組合であること。あるいは、この政令が施行される前から使っていた名称のなかに、「当該酒類の品目と異なるがその品目を表わすものとして一般に慣熟している」酒類の名称があること。どちらかに当たり、財務大臣の承認を受ければ、名称に品目を書かなくてよい。
ここが第八条の三第四項と決定的に違う。呼称を並べる省令が、この先には無い。承認を受けた組合が何という名前を名乗ってよいかは、条文のどこにも書かれていない。実際、施行令の全文に「洋酒」の語は一度も出てこない。
命じたのは「品目を明らかにせよ」だった。外したのは「明らかにすることを要しない」だった。外れた先に残った名前について、この制度は最後まで何も言わない。ローヤルを造る会社が属する団体の名は、その空白の上に立っている。
ラベルの「モルト、グレーン」の出所は、法令ではなく規約の側にある

ローヤルの原材料欄には「モルト、グレーン」とある。並べる順序を決めているのは、ウイスキーの表示に関する公正競争規約の施行規則である。
⑴ 原材料名
ウイスキーの特長を決定する要素に基づき、「原材料名」という文字の後に、次に掲げる原材料名を順次表示するものとする。
麦芽又はモルト
穀類又はグレーン(「穀類」又は「グレーン」の括弧書として類名を記載し又は穀類の種類名をそのまま表示しても差し支えないものとする。)
ブレンド用アルコール(穀類を原料とするものを除き、これらを当該ウイスキーにブレンドした場合に表示するものとする。)
スピリッツ(穀類を原料とするものを除き、これらを当該ウイスキーにブレンドした場合に表示するものとする。)
シェリー酒類(容量比で2.5パーセントを超えて使用した場合に、表示する。)
出典 ウイスキーの表示に関する公正競争規約施行規則 第二条(1)
ローヤルの表示が「モルト、グレーン」の二語で終わっているということは、この規則にしたがう限り、穀類以外を原料とするブレンド用アルコールもスピリッツも加えていないと読める。括弧書きが穀類のものを除いているので、そこまでしか分からない。シェリー酒類は容量比2.5パーセントを超えていない。原材料欄は、書かれていることより書かれていないことのほうが情報量が多い。
ここで紙の段を分けておきたい。規約そのものは公正取引委員会と消費者庁が告示する。いま引いた施行規則は、告示ではなく両庁の承認を受けて置かれる。段が一つ下である。そして施行規則は「麦芽又はモルト」「穀類又はグレーン」と選択肢を並べるだけで、二語のどちらを書くかまでは決めていない。「麦芽については『モルト』と表示する」「穀類については『グレーン』と表示する」と書いているのは、さらに一段下の「運用上の取扱い」のほうである。
この規約が拠っているのは景品表示法の第三十六条
規約の第一条は、根拠を「不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第36条第1項の規定に基づき」と書いている。この条番号は制定以来くり返し動いている。直前は第三十一条で、二〇二四年十月一日に第三十六条となった。二〇二四年九月三十日の変更告示は、五十六本の規約についてこの条ずれを一括で直すためのもので、ウイスキー規約の実体的な表示基準はこのとき変わっていない。
規約そのものは昭和五十五年八月七日の公正取引委員会告示第二十二号で制定された。現在の版は平成三十一年三月二十日に認定され、平成三十一年四月五日に公正取引委員会・消費者庁告示第四号として告示されている。
運用しているのは協議会ではなく組合そのもの
公正競争規約というと、業種ごとの公正取引協議会が運用しているものと思いがちだ。ウイスキーは違う。規約第七条が実施機関に指定しているのは「組合」、すなわち日本洋酒酒造組合そのものである。
消費者庁の一覧で酒類の表示に関する規約は七本ある。運用団体をたどると、酒造組合や協会がそのまま実施機関になっていて、「公正取引協議会」という名の団体は一つも出てこない。七本の内訳はかのかの記事で挙げた。
組合は、調査に協力しない事業者にも、規約に違反した事業者にも、まず文書で警告する。従わないときに理事会の議決で、前者には三万円以下、後者には三十万円以下の違約金を課す。後者では違約金に代えて、消費者庁長官に必要な措置を求めることもできる。組合はこれらの措置をとったとき、遅滞なく文書で消費者庁長官及び国税庁に報告することになっている。
「ROYAL」は、留意が要る語にも自由に使える語にも無い

規約の本文と施行規則を最後まで読んでも、銘柄名に使う格付けの言葉は出てこない。それが出てくるのは、同じ組合が別に置いている「運用上の取扱い」という文書のほうである。日付は令和三年九月八日、承認したのは日本洋酒酒造組合の理事会である。公正取引委員会の認定も消費者庁長官の承認も経ていない、三段目の紙ということになる。
⑴ 「Special grade」、「Special class」、「finest」、「highest」、「best」の最上級品を意味する用語の使用に当たっては、消費者に誤認を与えないように留意する。(ウイスキー原酒の混和率が30%未満のものについては、使用しない。)
⑵ 「extra」、「deluxe」、「excellent」、「super」、「reserve」、「excellence」、「select」については、製品の格付け用語として定着し、国内慣行となっているものであるので、各社とも使用できる。
出典 ウイスキーの表示に関する公正競争規約 運用上の取扱い 5
留意が要る⑴と、自由に使える⑵。見比べると、サントリーの中核ブレンデッドの並びが妙な形で割れる。スペシャルリザーブの「reserve」は⑵に名指しされている。エクセレンスの「excellence」も⑵にある。ところが「ローヤル」も「オールド」も、どちらにも出てこない。
三十パーセントの線を引いたのは、法令ではない
⑴の括弧書きは、原酒の混和率が三十パーセント未満なら最上級を意味する語を使わない、と書いている。ただし何に対する比なのかを、この文書は書いていない。酒税法第三条第十五号ハの百分の十のほうは、アルコール分の総量どうしの比だと条文が明示している。測っているものが違うので、二つの数字を割って倍率を出すことはできない。名乗りの下限は法が決め、褒め言葉の下限は理事会が承認しただけの文書が決めている、というところまでが言えることである。
なお、モルトウイスキー・グレーンウイスキー・ブレンデッドウイスキーといったタイプ名の定義も、規約でも施行規則でもなく、この同じ「運用上の取扱い」の1にしか置かれていない。タイプ名の中身はグレーンウイスキーとはで扱っている。
「本格ウイスキー」は使わないことになっている
⑴と⑵のほかに、名指しして使わせない項がもう一つある。
⑶ 各種タイプのウイスキーが国際的に併存していることから、自己の又は特定のウイスキーにつき「本格ウイスキー」と表示することは、他の事業者に係るものより著しく優良又は有利であると誤認されるおそれがあるので、表示しないものとする。
出典 同 運用上の取扱い 5(3)
焼酎の側では事情が逆になる。「本格焼酎」は酒類業組合法施行規則第十一条の五の表に載っている、法が用意した呼称である。同じ「本格」の二文字が、片方では制度に迎えられ、片方では業界が自ら封じている。焼酎側の扱いはかのかの記事で詳しく見た。
ラベルと商品ページに出る語で、⑴にも⑵にも無いものがもう一つある。サントリーの商品ページに添えられた「※日本洋酒酒造組合の定めるジャパニーズウイスキーの表示基準に合致した製品です。」の「ジャパニーズウイスキー」である。これも二〇二一年二月十二日に組合が制定した自主基準で、法令ではない。基準の中身はジャパニーズウイスキーの定義で扱っている。
1960年、この酒を出した会社の名は寿屋だった

ローヤルの発売は1960年である。ただし、その年を説明する公式の文が二通りある。
ローヤルのブランドサイトは、サントリーの創業60周年を記念したボトルだと書く。一方、ウイスキー90周年のヒストリーのページは「寿屋の創業60周年を記念して発売されたのは、初代マスターブレンダー・鳥井信治郎の最後にして最高の名作『ローヤル』。」と書く。同じ会社の同じ出来事について、社名が二つ出てくる。
これは書き手の癖ではなく、時系列の問題である。ブランドサイトの年表そのものが、1963年に社名がサントリー株式会社へ変わったと記している。1960年の時点では、この酒を出した会社の名はまだ寿屋だった。銘柄の名前も会社の名前も、この記事が追ってきた「名前は動く」という話の中にある。
瓶の形の由来は公式に書かれている
ローヤルのあの独創的な、他のどんなウイスキーにも似ない瓶。その形は、漢字の「酒」のつくりの部分、「酉」をかたどっています。この文字は、十二支の十番目の「とり」にあたると同時に、酒の壺、酒器をも意味します。また、微妙なカーブを描く栓は、山崎蒸溜所の奥にある神社の鳥居にちなんだものです。
出典 サントリー ローヤルのボトルと歴史
ここで公式が書いているのは「山崎蒸溜所の奥にある神社」までで、神社の固有名は出てこない。世上でよく添えられる社名は、公式のページからは確認できなかった。ボトルの意匠を誰が起こしたのかについても、公式の記述は見当たらない。
なお、この同じページには「40年経った今も世界の人々に愛され続けている」という言い回しが残っている。本文は二〇〇〇年前後、年表は2008年で止まっているとみられるので、年数の計算にはそのまま使えない。1960年から数えるなら、2026年で六十六年になる。
同じ社名が、新字と旧字で書き分けられている
もう一つ、名前の揺れの例を挙げておく。ウイスキー90周年のヒストリーは「寿屋の創業60周年」と新字で書き、ローヤルのブランドサイトの年表は「壽屋からサントリー株式会社に社名変更」と旧字で書く。同じ会社の同じ社名が、同じドメインの中で二通りに書かれている。企業サイトの年表本体は、1960年の項に「創業60周年記念ウイスキー『サントリーウイスキーローヤル』発売」と載せていて、こちらには社名そのものが出てこない。
1995年にプレミアム12年(青のローヤル)、1997年に12年とプレミアム15年、2007年に両方をリニューアル、2008年にローヤル本体をリニューアル。ブランドサイトの年表が記すのはここまでで、12年と15年をいつ終売にしたかを告げる公式の記述は見つからなかった。当時の希望小売価格も、700ml瓶については公表資料から確認できていない。
飲まないローヤルの査定・買取はリンクサスへ

棚に置いたまま何年も動いていないローヤルがあるなら、一度見せてもらえればと思う。ローヤルは世代が多く、同じ「12年」でもブルーラベルとブラックラベルがある。干支をかたどった限定ボトルや、楽器をかたどった意匠ボトルも別の見方をする。
当店の販売側の在庫はウイスキーのコレクションで確認できる。現行のスリムボトルから終売した15年ゴールドラベルまで並んでいるので、買取に出す前に相場感をつかむ材料になる。同じ造り手の他の銘柄についてはサントリーウイスキーの格付け・種類一覧も参考になる。
よくある質問

サントリーローヤルの定価はいくらですか。
サントリーの商品情報によれば、700ml瓶の希望小売価格は3,900円、660mlのスリムボトルは3,390円です。どちらも税別で、商品ページには「記載の価格は消費税別の価格です。」と明記されています。税込に直すと4,290円と3,729円になります。あわせて「価格は販売店様の自主的な価格設定を拘束するものではありません。」という注記も付いています。
ローヤルは値上げされましたか。
2023年3月22日のニュースリリースで、700ml瓶が3,360円から3,900円へ改定されました。いずれも税別で、率にして16%、実施は2023年7月1日出荷分からです。対象は角瓶・オールド・スペシャルリザーブ・ローヤルの四ブランド十一品目でした。その後2026年4月実施分までの価格改定リリースでは、主な対象品目の表にローヤルの名は出てきません。
ローヤルのアルコール度数は43%ですか、40%ですか。
商品情報サイトの詳細ページと、ウイスキーの製品情報ページは、700mlもスリムボトルも43%と書いています。ローヤルのブランドサイトのラインナップ欄だけが、画像の代替テキストにスリムボトルを40%と書いたまま残っています。この記述は2012年と2015年の保存記録でも同じ文字列で、更新が止まっているとみられます。43%と書いている面が二か所、40%と書いている面が一か所なので、43%が正しいと読めます。
ローヤルの12年と15年は終売ですか。
サントリーの商品情報サイト、ウイスキーの製品情報、ローヤルのブランドサイトのいずれにも、12年と15年の掲載はありません。掲載されているのは700ml瓶とスリムボトルの二本だけです。ただし終売の時期を告げる公式の記述は見つかりませんでした。ブランドサイトの年表には1995年のプレミアム12年、1997年の12年とプレミアム15年、2007年のリニューアル、2008年のローヤル本体のリニューアルまでが載っています。
ラベルの「モルト、グレーン」は法律で決まっているのですか。
法令ではなく、ウイスキーの表示に関する公正競争規約の施行規則第二条(1)が決めています。麦芽またはモルト、穀類またはグレーン、ブレンド用アルコール、スピリッツ、シェリー酒類の順で書くという規定です。規約そのものは昭和五十五年八月七日の公正取引委員会告示第二十二号で制定され、現在の版は平成三十一年四月五日に告示されたあと、令和六年九月三十日に変更が告示されています。施行規則のほうは告示ではなく、公正取引委員会と消費者庁の承認を受けて置かれています。
「ジャパニーズウイスキー」と書いてあるのは法律の言葉ですか。
いいえ。日本洋酒酒造組合が二〇二一年二月十二日に制定した「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」という自主基準です。ローヤルの商品ページには「※日本洋酒酒造組合の定めるジャパニーズウイスキーの表示基準に合致した製品です。」という一文があります。基準の中身はジャパニーズウイスキーの定義の記事で扱っています。
「洋酒」という言葉は法律に出てきますか。
酒の区分としては、e-Govが収める法令のなかで商標法施行規則の別表第三十三類に一箇所あるだけです。酒税法には本則にも附則にも一度も出てこず、酒類業組合法とその施行令・施行規則にも出てきません。それでも業界団体の名は日本洋酒酒造組合です。酒類業組合法第六条第四項と同施行令第二条第二項が、財務大臣の承認を受けた場合に名称へ品目を書かなくてよいと定めているためです。ただし、代わりに何と名乗ってよいかは条文のどこにも書かれていません。
ローヤルは「ウイスキー」以外の名前で表示できますか。
酒類業組合法施行規則第十一条の五の表で、ウイスキーに用意されている呼称は「水割りウイスキー」の一つだけです。しかもアルコール分が十三度未満のものに限られます。ローヤルは43%なので、この行には当たりません。品目欄に書ける名前は「ウイスキー」だけということになります。
ローヤルの買取相場はどのくらいですか。
世代と状態で大きく変わるため、一律の目安を出すのは難しいというのが正直なところです。当店の販売価格(税込)でいえば、現行のスリムボトルが3,573円、12年ブルーラベルが13,200円、15年ゴールドラベルが22,000円で並んでいます。買取価格はこれとは別に、未開栓かどうか、液面の位置、外箱や付属品の有無を見て決めています。






































