フランスが誇る名門コニャックブランド「バロンオタール」。その歴史は18世紀にまで遡り、200年以上にわたり高品質なブランデーを生み出し続けてきました。
洗練された味わいと独特のティアドロップ型ボトルで、世界中のブランデー愛好家から高い評価を得ています。
本記事では、バロンオタールの魅力や特徴、種類ごとの違い、購入方法まで詳しく解説します。初心者からコニャック愛好家まで、バロンオタールの世界を深く知りたい方は必見です。
バロンオタールは歴史の古いブランデー
1795年創業の老舗コニャックメーカー
バロンオタールは、フランス・コニャック地方で活躍するブランデーのメーカーです。世界3大コニャックの一つである「コニャック」を製造しています。
バロンオタールは数あるコニャックメーカーの中でも歴史が長い、老舗になります。創業は1795年で、そこから200年以上に渡り活躍を続けているブランドであります。
そんなバロンオタールを設立したのは、バロン・ジャン・バプティスト・オタールです。フランス革命の時代に死刑宣告をされた彼は、1793年に一度イギリスに亡命しました。
その後帰国を果たした後、1795年にコニャックのシャトーを購入しコニャックハウスを設立します。それが現在でも続くバロンオタールの始まりとされています。
ちなみにバロンというのは、男爵のことを意味します。バロン・ジャン・バプティスト・オタールの曽祖父であったジェームス・オタールは、かのルイ13世とともに戦争を戦い抜きます。
その名誉を讃え、1701年に男爵の地位を授かります。それが“バロン”の由来で、オタールのコニャックにもバロンの名がつけられています。
そもそもコニャックとは?
バロンオタールは、ブドウを原料にして作られるブランデーに分類されます。ブランデーの中でも「コニャック」に該当するアルコールであり、高い品質を誇ります。
コニャックは、アルマニャックやカルヴァドスというお酒と共に世界3大ブランデーに数えられるお酒です。フランスの原産地呼称(AOC)により、厳しいルールを守ったお酒だけがこの名を名乗ることが許されています。
コニャックはフランスのコニャック地方にて作られていることが最大の条件で、このほかブドウの品種や蒸留方法、そして熟成にまでルールが設けられています。
バロンオタールはコニャックとして認められているお酒であり、上質であることがわかります。
ティアドロップ型のボトルで知られる
最近のお気に入りコニャック。 古酒よりも若い酒の方が、すいすいと飲めて最近の好みに合う。#コニャック #cognac#オタールvsop #オタール #バロンオタール #バロンオタールvsop #vsop #otard #baronotard pic.twitter.com/tgZklSnWtI
— 陋見 (@wine_rouken) June 12, 2020
バロンオタールのコニャックといえば、ティアドロップ(涙の雫)の形をしたボトルデザインでも有名です。現行品は全てこの雫型ボトルであり、コレクターからも大きな人気を集めています。
なお過去に発売されていたオールドボトルや限定品の場合、雫型以外のボトルもあります。古い歴史のあるブランドなので、さまざまなボトルの商品がこれまでリリースされてきています。
高品質なコニャックブランデーで、ドロップ(涙)型のボトルが目印!
バロンオタールのこだわり!原料や熟成の特徴は?
ユニブランを中心とする厳選されたブドウを使う
バロンオタールのコニャックには、グランド・シャンパーニュ地区、プティット・シャンパーニュ地区、ボルドリー地区、ファン・ボワ地区といったエリアの厳選されたブドウが使われています。
そのうち90%がユニ・ブランというブドウ品種で、残りがフォル・ブランシュやコロンバールといったブドウ品種になります。
ユニ・ブランはブランデーに向いていると言われる品種のブドウで、強い酸味と複雑な香りが特徴です。普通のワインにすると酸味が強すぎますが、バロンオタールでは、3週間ほどかけてこれらのブドウを発酵し、ワインを作ります。
そして出来上がったワインを蒸留したものを、コニャックの原料として使います。蒸留後も香味がしっかりと残ることがユニ・ブランの特徴であり、これがバロンオタールの豊かな香りにつながっています。
コニャック城の地下セラーで熟成が進められる
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蒸留後、ブランデーは長期熟成することで完成します。バロン・オタールは10世紀に建設された「コニャック城(シャトー・ド・コニャック)」の地下セラーにて、ブランデーの熟成を行います。
熟成所は湿度90%、室温15℃という環境が保たれており、ブランデーの長期熟成には最高の環境だと言われています。
ここでじっくりと熟成が進められることで、男性的な強さを持ちながらも滑らかな味わいのブランデーに仕上がるのです。
ちなみにコニャック城は見学も可能です。コニャック城ではオタールツアーも開催されており、簡単に申し込みができます。
ツアーの後にはオタールコニャックの試飲もあるので、もし訪れる機会がある方はぜひチェックしてみましょう。なおツアーの金額によって、試飲可能なコニャックの種類やランクが変わってきます。
ユニ・ブランのブドウを中心に作られるバロンオタール。
熟成にこだわりを持つブランドで、豊かな香りを持つ。
バロンオタールの人気ラインナップ・現行品
バロンオタールの現行品は、さほど種類が多くありません。熟成年数ごとに等級が分かれており、VS、VSOP、XO、EXTRA1795、Fort et Fidelisといった種類のボトルが存在しています。
その中でも日本への流通量が多く手に入りやすいのは以下のボトルになります。
バロンオタール VSOP
今日は友達と飲み バロンオタール VSOPから pic.twitter.com/UO2sXbQ77k
— ひでたん (@sarah_hide) January 23, 2023
- アルコール度数・・・40%
- 特徴・・・最低5年以上の熟成でフローラルな香りとフルボディな味わい
- 価格・・・約4,000円(税込)
バロンオタールVSOPは、最低5年以上熟成の原酒から作られるコニャックブランデーです。
リッチでフローラルな香りが特徴で、口に含むと柔らかく、芳醇な味を堪能できます。繊細で上品なブランデーですが、飲み進めていくうちにスパイシーなニュアンスも感じ取ることができます。
4,000円程度で入手できるコニャックブランデーなので、コスパの良いブランデーをお求めの方にもおすすめの1本です。
バロンオタール XO ゴールド
- アルコール度数・・・40%
- 特徴・・・バロンオタールを代表するボトルで琥珀色をしたリッチな雰囲気
- 価格・・・約15,000円(税込)
バロンオタールXOゴールドは、XOの等級に該当する高級コニャックです。見た目は熟成を感じられる琥珀色で、非常にリッチな印象を受けます。
木々の香りとプラムやヘーゼルナッツのような香ばしさを持つコニャックで、スミレやハチミツのようなニュアンスも印象的です。
バロンオタール エクストラ
ついにこれを飲む時がきた! バロンオタールエクストラ ドンペリの4倍のお値段♪ いただきまーす pic.twitter.com/sZg5TvuS3K
— かなざわのせんの (@w_w_x_x_yuya) April 11, 2014
- アルコール度数・・・40%
- 特徴・・・XOよりも等級が上の高級品で複雑さ、濃厚さが特徴
- 価格・・・約40,000円(税込)
エクストラはXOよりもさらに等級が上のコニャックで、バロンオタールの中でも最高級品の扱いです。
グランド・シャンパーニュのオードヴィーだけをブレンドした逸品で、贅沢なアロマと濃厚な味わい、余韻が印象的です。
日本には輸入もされていますが、本数が少なく希少です。1本4万円ほどの価格なので、特別な日の贈り物にもぴったりなボトルです。
オタールは旧ボトル・オールドボトルも人気
オタール ナポレオン
本日紹介させていただくのは 『オタール ナポレオン』 オタールはこのオタール城で常に温度15度、湿度90%という状態で管理・熟成されています✨✨ 現在のオタールはナポレオンを生産していません? 甘く上品な香りで、熟した果実の甘さが感じられます?♀️ ハイボールがオススメ✨#お酒の美術館金沢店 pic.twitter.com/d5xeT4mwoH
— お酒の美術館 金沢店 (@lm_kanazawa) August 30, 2020
ナポレオンは銘柄の名前ではなく、XOやVSOPのような等級を表します。オタールのナポレオンはすでに終売となっているため、流通しているのは全てオールドボトルになります。
熟成年数は15年ほどとなります。スミレのようなニュアンスの香りが印象的な1本で、オタールらしい味に仕上がっています。
オタール ナポレオン エスカルゴ
ナポレオンのオタールには、こちらのデザインボトルも存在していました。エスカルゴをモチーフにしたデザインのボトルで、コレクションアイテムとしての人気が高いです。
箱入りタイプの商品になると、希少価値が上がります。外箱のほかオリジナルの替え栓がついています。
オタール エクストラ 陶器製
お客様の要望にて封切り致しました。 コニャック オタール エクストラ 男酒と言われるオタール。深いこくがありますが、その中でも上位のエクストラ!XOの上です。 90年代の物で今はなかなか入手困難。陶器製の素晴らしいボトルデザイン! 中には60年熟成の古酒も使われ気品のある深い味わい。 pic.twitter.com/gUJrBk7IsH
— Bar12 マスターフジ (@bar12tw) May 30, 2020
エクストラなどのボトルにも、現行品とは異なるオールドボトルが存在します。例えば90年代に流通していたオタール エクストラは、瓶ではなく陶器ボトルとなっています。
時代が異なると、同じエクストラでも味わいが現行品と異なる場合があります。飲み比べてみるのもきっと面白いでしょう。
バロンオタールの選び方!購入できる場所は?
ブランデーの中でも歴史あるブランド「バロンオタール」は、その高品質な味わいと洗練された風味で愛好家から高く評価されています
しかし、種類が豊富なため、どのバロンオタールを選ぶべきか迷ってしまうことも。
ここでは、シーン別の選び方や購入時のポイントをご紹介します。
シーン別バロンオタールの選び方
バロンオタールには、VSOP、ナポレオン、XOなど、異なる熟成年数や特徴を持つラインナップがあります。
それぞれのシーンに最適なバロンオタールを選びましょう。
① カジュアルに楽しむなら:バロンオタール VSOP
バロンオタール VSOP(Very Superior Old Pale)は、比較的若めの熟成期間ながらも、しっかりとしたフルーティーな香りとスパイシーな余韻が楽しめる1本。
価格も手頃で、普段の晩酌や気軽なブランデー体験にぴったりです。
- ロックやストレートなら、甘みと香りが際立つ
- ハイボールやカクテルにして、軽やかな味わいを堪能するのもあり
② プレゼントや特別な日に:バロンオタール ナポレオン
ナポレオンは、VSOPよりも長い熟成期間を経ており、よりリッチでスムーズな口当たりが特徴。
香り高く、ナッツやドライフルーツのような深みのある風味が魅力です。
入手難度が高いので、コレクションとしても◎大切な人への贈り物や、誕生日・記念日など特別な日に最適です。
- ストレートでゆっくりと香りを楽しむ
- ダークチョコレートやナッツと一緒に味わう
③ ラグジュアリーなひとときに:バロンオタール XO
XO(Extra Old)は、最も長い熟成期間を経た高級ライン。なめらかで奥深い味わいと、シナモンやチョコレート、熟した果実の香りが重厚に広がります。
ワンランク上の時間を楽しみたい方や、特別なディナーの締めくくりにおすすめです。
- ストレートでじっくりと味わいを堪能する
- シガーや濃厚なチーズと合わせてリッチなペアリングを楽しむ
バロンオタールを購入できる場所
バロンオタールは一般の酒屋では見かけることが少ないため、購入場所を把握しておくことが重要です。以下の方法で入手できます。
1. オンラインショップ
バロンオタールは、ネット上のオンライン通販なら比較的簡単に購入できます。
種類や価格を比較しながら選べるため、自分にぴったりの1本を見つけやすいのがメリットです。
- 並行輸入品や偽物に注意し、信頼できるショップを選ぶ
- レビューを参考にして品質をチェックする
2. 高級リカーショップ
百貨店の酒類コーナーや専門のリカーショップでは、バロンオタールの正規品を扱っていることが多いです。
店員に相談しながら、自分の好みに合った1本を選ぶことができます。
- 試飲ができる場合は、実際に味わってから選ぶ
- 保存状態の良い店舗を選び、品質の良いボトルを選択する
3. 免税店(空港・海外ショップ)
海外旅行の際に、免税店でバロンオタールを購入するのも選択肢の一つです。
特にXOなどの高級ラインは、国内価格よりもお得に手に入ることがあります。
- 価格比較をして、本当にお得か確認する
- 限定ボトルがある場合は、コレクション目的でチェックする
購入時のポイント・アドバイス
バロンオタールを購入する際に、注意すべきポイントを押さえておきましょう。
-
熟成年数とグレードを確認
バロンオタールには、VSOP、ナポレオン、XOなどの種類があり、それぞれ熟成期間が異なります。
飲むシーンや好みに合わせて選びましょう。 -
価格とコストパフォーマンスをチェック
VSOPは比較的手頃な価格で楽しめる一方、XOは高級なブランデーです。
予算と用途に応じて最適な1本を選ぶことが重要です。 -
購入先の信頼性を確認
オンラインで購入する場合は、信頼できる販売店を選び、並行輸入品や偽物に注意しましょう。
高級ブランデーは品質が重要なので、確認してからの購入をおすすめします。 -
保存方法をチェック
ブランデーは長期保存が可能ですが、直射日光や高温多湿を避け、適切な環境で保管しましょう。
開封後は、風味が落ちないように密閉して保管することが大切です。
バロンオタールを最大限に楽しむ方法
まずはストレートでそのまま飲む
バロンオタールのようなコニャックは、ストレートでそのまま飲むのが基本です。
ただしアルコール度数が40%と高いので、ビールやハイボールのようにグイグイと飲むお酒ではありません。
少量をグラスに注ぎ、ゆっくりと時間をかけて飲むようにしましょう。40〜60ml程度をグラスに注ぎ、30分ほど時間をかけて飲むのがベストです。
グラスに注ぐ際は極端に冷やしたり温めたりせず、常温そのままで飲むのが良いでしょう。適温は18〜20℃前後とされています。空気に触れていくことで、香りが華開いたように変化していくのを楽しめます。
できればブランデー専用のグラスを用意すると良いでしょう。
また飲む際は、同時にチェイサー(水)を用意するのを忘れないようにしてください。
チェイサーとブランデーを交互に飲むことで、悪酔いを防ぎ、口の中を上手にリフレッシュすることができます。
トワイスアップで香りを楽しむ
ブランデーの強いアルコール感に抵抗がある方は、ブランデーと水を混ぜる“トワイスアップ”もおすすめです。
トワイスアップはウイスキーでも多く採用される飲み方であり、ブランデー:水=1:1になるように割る方法を指します。同程度の水で割ることで、
アルコール感が抑えられ、飲み口が穏やかになります。加水されることで、優しく開いていく香りも楽しむことができるでしょう。
爽やかに飲みたいならオン・ザ・ロックで
大きめのロックグラスに氷をいれ、ブランデーを注ぐとオン・ザ・ロックになります。通称“ロック”と呼ばれるこの飲み方は、ブランデーを爽やかに楽しみたい時にぴったりです。
氷で冷やされることにより、ブランデーの味が引き締まった印象になります。また時間が経つにつれて氷が溶けていくので、味わいが変化していくのを楽しむことができます。
ブランデーを使ったカクテルレシピも
コニャックブランデーはカクテルのレシピも多くあります。気分を変えて楽しみたい方は、ぜひバロンオタールを使ったカクテルに挑戦してみましょう。
特にバロンオタールVSOPは、手に入りやすく価格帯もそこまで高くないのでアレンジして飲むのにおすすめです。
ブランデーを使ったカクテルで有名なものにはレモンの酸味をプラスした「サイドカー」や、カカオのニュアンスを加えた「アレキサンダー」などがあります。
バーで飲むのもよし、自宅で作ってみるのもよしです。
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よくある質問(FAQ)
Q.バロンオタールXOとVSOPの違いは?
バロンオタールXOとVSOPは、熟成期間や風味、飲み方において大きな違いがあります。
XO(エクストラ・オールド)は、通常10年以上熟成されることで、より深いコクと滑らかな口当たりを実現しています。
香りにはナッツやドライフルーツ、チョコレートのような濃厚な要素があり、余韻も長く続きます。特別なシーンや贈り物に最適な1本です。
一方、VSOP(ベリー・スペリオール・オールド・ペール)は4~6年の熟成で、フルーティーで軽やかな味わいが特徴。香りにはバニラや柑橘のニュアンスがあり、ストレートだけでなくカクテルにも適しています。
カジュアルに楽しみたい方におすすめの1本です。
Q.バロンオタールはどこで生産されていますか?
バロンオタールは、フランスのコニャック地方で生産される高級ブランデーの一つです。
この地域は、世界でも限られたエリアでのみ生産されるコニャックの本場であり、厳しい原産地統制呼称(AOC)の規定のもと、伝統的な製法が守られています。
バロンオタールの特徴は、かつて王侯貴族に愛された歴史を持つ城の地下貯蔵庫で熟成されること。湿度と温度が一定に保たれる環境の中で、まろやかでバランスの取れた味わいへと仕上がります。
また、使用されるブドウも厳選されており、コニャック地方ならではの土壌の影響を受けた芳醇な香りが楽しめるのも魅力です。
Q.バロンオタールの保存方法は?
バロンオタールは、適切に保存することで風味を長く保つことができます。基本的には直射日光や高温多湿を避け、15~20℃の涼しい場所で保管するのが理想です。
また、ブランデーはワインと異なり、コルクを液体に浸したままにすると劣化しやすいため、ボトルは立てた状態で保管するのがポイントです。
開封後は空気に触れることで徐々に風味が変化するため、できるだけ早めに飲み切ることをおすすめします。
また、ボトルの栓はしっかりと閉め、密閉できる環境を整えることで、風味の劣化を防ぐことができます。
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まとめ
バロンオタールは、フランス・コニャック地方で長年の伝統を守り続ける名門ブランデー。VSOPやXOなどのラインナップがあり、シーンに応じた選び方ができます。
その特徴的な味わいは、厳選されたブドウとコニャック城の地下セラーでの熟成により生まれるもの。さらに、オールドボトルや限定品も人気で、コレクターからも注目を集めています。
歴史あるブランデーの奥深い魅力を、ぜひ一度ご自身で味わってみてはいかがでしょうか。