クラフトビールやクラフトウイスキーのブームに続き、「クラフトジン」というお酒が流行の兆しを見せています。日本国内でも、酒屋やスーパーにおいてクラフトジンの販売が増えてきているのをよく見かけます。
ですがクラフトジンとは一体どのようなお酒なのでしょうか?
ここではクラフトジンについて、どんなお酒なのか、どんな銘柄があるのかを解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
クラフトジンとは?特徴や通常のジンとの違いについて
クラフトジンとは
クラフトジンは「ジン」と呼ばれるお酒の一種です。
ジンはスピリッツ(蒸留酒)にカテゴライズされる酒であり、ジュニパーベリーをはじめ、ハーブやスパイスなどのボタニカルが加えられ風味がつけられているのが特徴です。40度近いアルコール度数があり、カクテルベースにも使われることが多いお酒となります。
クラフトジンはそんなジンの中でも、作り手が特にこだわりを持って手がけているものを指します。蒸溜所がそれぞれのポリシーのもと、地域や伝統を重んじ、土地の素材を生かしたボタニカルなどを使い作り上げているジンをクラフトジンと呼びます。
なおクラフトジンという言葉そのものには、明確な定義はありません。ただし“クラフト(=craft)”という言葉からもわかるように、工芸品のように技術を活かし、こだわりを持って作られたものであることが伺えます。
一般的には小規模な蒸溜所が創意工夫を凝らし製造しているものが多く、例えば日本のクラフトジンの場合は柚子や山椒などを使っているものもあります。独特な味わいや香りを楽しめることから、近年世界中で大きな注目を集めています。
イギリスから火がつき日本でもブームに
クラフトジンという言葉が世界でトレンドにあがり出したのは、2010年ごろと比較的最近のことです。
もともとジンは古くから世界で愛されるお酒であったものの、そのブームは残念ながら過ぎ去っていました。ジンの本場と言われるイギリスにおいても、一定数生産はされていたものの“時代遅れ”と称されることがあり、他のお酒の人気にはかなわない状態でした。
しかし1980年代後半ごろから「ボンベイ・サファイア」といった、新鮮な味わいとフレーバーを持つおしゃれなジンが登場するようになります。この頃から徐々に、イギリスではジンの人気が復興していきます。
そして2008年、イギリスではジンの大きな転機が訪れます。元はルール上、大きな蒸溜所でしか生産が許されていなかったジンですが、2008年には小規模蒸留所でジンの製造免許が取得できるように法律が変更になります。
このことをきっかけにイギリスではたくさんの蒸溜所ができ、クラフトジンブームが訪れます。やがてそのブームはヨーロッパ諸国やアメリカまで広がり、世界でさまざまなジンが作られるようになります。
日本国内にもそのブームは広がっていき、2010年代後半〜2020年ごろからさまざまなジンが登場するようになります。「季の美」で知られる国内初のクラフトジン蒸留所・京都蒸溜所ができるなど、ジンを取り巻く周辺環境に盛り上がりが見られるようになります。
現在ではジンを作る蒸溜所は、大手・小規模合わせると100箇所以上あるとも言われています。中には高額取引されるような高級クラフトジンもあり、お酒のファンの中でも注目を浴びるアルコールの一種となっています。
クラフトジンの選び方!生産国やフレーバーに注目
明確な定義のないクラフトジンには、とにかく多彩な種類のボトルが存在しています。たくさんあるクラフトジンの中からお気に入りを探すためには、以下の点に注目してみましょう。
1.生産国・生産地に注目してみる
クラフトジンは世界の各国で作られています。お気に入りを探すには、生産国や生産地域に注目してみるのも良いでしょう。
例えば海外産のものから選ぶ場合は、やはり王道のイギリス産は間違いありません。伝統技術を持って作られるジンや、フルーツブランデーなど他の蒸留酒製造の技術を持って作られたジンなども存在します。
ロンドンで作られる「ドライジン」は特に有名です。ロンドン・ジンやイングリッシュ・ジンと呼ばれることもあります。
このほか海外産ではオランダの「ジェネヴァ」やドイツの「シュタインヘーガー」、やや甘みのある砂糖を加えた「オールド・トム・ジン」なども有名です。
一方で和の個性を持つものを飲んでみたいという場合は、日本産のジャパニーズクラフトジンがおすすめです。日本の中でも各地でジンは作られているので、お気に入りの土地や思い入れのある土地、故郷のジンなどシーンに合わせて選んでみましょう。
2.ボタニカルやフレーバーを比較してみる
クラフトジンの味わいや香りは使われるボタニカルで大きく変化します。どんなボタニカルが使われているのか、どんな味わいや香りの個性を持つのかを比較してみると、自分のお気に入りを探しやすくなります。
オーソドックスな味わいは無色透明の「ドライジン」と呼ばれるものになります。必ず使われるジュニパーベリーに加え、カルダモン、シナモン、レモンピール、オレンジピールといったものが加えられることが多いです。
またドライジン以外にも、ブドウやりんごなどを使うフルーティーなジンや、レモンやオレンジなどを前面に押し出したシトラスな味わい、ペッパー系のスパイシーなジンなどもあります。
3.価格帯や買いやすさに注目してみる
クラフトジンはブームとなっていることから、リッチな価格帯のボトルや限定商品なども登場しています。飲みたいシーンに合わせて、価格帯や買いやすさも比べてみましょう。
日常的に飲む銘柄をお探しなら、コンビニやスーパーでも買えるクラフトジンがおすすめです。一方で限定品はギフトや特別な日の1本としても人気があります。
人気上昇中のジャパニーズクラフトジンおすすめ7選
ここからはクラフトジンをお探しの方に向け、おすすめのボトルを紹介します。クラフトジンの中でも日本が誇る「ジャパニーズクラフトジン」を集めてみたのでぜひ参考にしてください。
1.京都蒸溜所 季の美 京都ドライジン
- 生産地:日本・京都
- ボタニカルの種類:ジュニパーベリー、オリス、赤松、柚子、レモン、緑茶(玉露)、生姜、赤紫蘇、笹の葉、山椒(実)、木の芽
- アルコール度数:45%
- 価格:700ml 約4,500円(税込)
京都蒸溜所は日本国内初のクラフトジン蒸溜所です。複数のジンを展開していますが、「季の美 京都ドライジン」はその中でも最もスタンダートな1本です。
お米から作られるライススピリッツに、玉露やゆずといった日本らしいボタニカルを使って作られるドライジンです。11種類のボタニカルをまとめるのではなく、それぞれの特性に合わせて蒸留したのちにブレンドするという特殊な手法にて作られます。
こうして作られる季の美 京都ドライジンは、透明感がありみずみずしいゆずのニュアンスを堪能できます。ジンジャーやほのかな玉露なども感じられます。
2.サントリー ROKU
- 生産地:日本
- ボタニカルの種類:桜花、桜葉、煎茶、玉露、山椒、柚子
- アルコール度数:47%
- 価格:700ml 4,400円(税込)
サントリーが展開する人気のジンがこちらです。桜花、桜葉、煎茶、玉露、山椒、柚子といった、日本らしい6種のボタニカルを使用して作られています。
日本人にも飲みやすいスムースな口当たりと上品な味わいが印象的です。日本の四季を思わせる華やかな香りと甘みが、ジンらしい切れ味と調和していきます。
多くの店舗に展開されており、購入しやすいのも魅力です。700mlボトルのほか手軽に試せる200mlボトルもあり、コンビニなどでも扱われている人気銘柄です。
3.ニッカ カフェジン
- 生産地:日本
- ボタニカルの種類:ジュニパーベリー、柚子、甘夏、かぼす、山椒など
- アルコール度数:47%
- 価格:700ml 4,950円(税込)
ニッカウヰスキーが所有する、世界的にも珍しいカフェ式連続式蒸留機を使って作られるジンです。和柑橘の爽やかさに山椒のようなスパイシーが混ざり合います。
コクと甘さのあるジンであり、飲みやすさに長けています。同じラベルデザインのカフェウォッカやウイスキーなども展開されており、コレクター人気も高い1本です。
4.越後薬草 THE HERBALIST YASO
- 生産地:日本・新潟
- ボタニカルの種類:ジュニパーベリー、杉葉、コリアンダーシード、リコリス、春ウコン、ジャスミンフラワー、フェンネルなど20種類
- アルコール度数:45%
- 価格:700ml 6,380円(税込)
40年以上にわたり野草酵素の研究を続けるという新潟・越後薬草のクラフトジンです。野草を研究する中で生まれたアルコールを副産物として使用、独自のブランドとして築き上げています。
植物発酵液には80種類もの原料が使われます。アルコール蒸留ののちボタニカルを加え、さらに蒸溜を行います。
「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション」においても金賞を受賞する実力派です。
5.佐多宗二商店 赤屋根 AKAYANE CRAFT GIN 山椒
- 生産地:日本・鹿児島
- ボタニカルの種類:ジュニパーベリー、山椒
- アルコール度数:45%
- 価格:720ml 5,500円(税込)
AKAYANEは鹿児島、南薩摩の土地にて作られるクラフトジンのブランドです。もともと本格焼酎「不二才」や「晴耕雨読」を手掛けていた佐多宗二商店が、2018年にスタートしたクラフトジンです。
完熟させた赤山椒の香り、山椒由来のまろやかな香りを堪能できるボトルです。ソーダで割るのはもちろん、お湯で割るホットジンスタイルなども人気です。
6.本坊酒造 Japanese GIN 和美人
- 生産地:日本・鹿児島
- ボタニカルの種類:ジュニパーベリー、コリアンダーシード、柚子、辺塚橙、檸檬、金柑、けせん、月桃、緑茶、生姜、紫蘇
- アルコール度数:47%
- 価格:700ml 4,180円(税込)
津貫などのウイスキーでも人気を集める本坊酒造のクラフトジンブランドです。マルス津貫蒸溜所にて作られる、鹿児島のクラフトジンとなります。
鹿児島で育まれたさまざまなボタニカルを使用し作られる独自の味わいです。爽快感のある香りと味わいで、ファンの多いボトルです。
7.中国醸造 JAPANESE DRY GIN 桜尾
- 生産地:日本・広島
- ボタニカルの種類:ジュニパーベリー、レモン、ネーブル、夏みかん、柚子、橙、檜、緑茶、赤紫蘇、生姜
- アルコール度数:47%
- 価格:700ml 2,310円(税込)
広島県産の柑橘類を中心に、9種のボタニカルとジュニパーベリーなどを使って作られるジンです。柑橘由来の美しい香りが印象的です。
2,000円台で購入できるというコスパの良さで、クラフトジンを手軽に楽しみたいという方に人気があります。
クラフトジンの飲み方!ジンソーダ・ジントニックなど人気カクテルも
クラフトジンといえば、さまざまな飲み方で楽しめるという点も魅力です。豊かな香りがありながらも割材と馴染みやすい味わいで、ストレートからカクテルまで幅広く楽しむことができます。
本来の味わいを楽しむのであればまずは「ストレート」で飲むのがベストです。ただしこちらは度数が高いため、ゆっくりと味わうように口をつけ、チェイサーと交互に楽しむのが良いでしょう。
ストレートだとややキツく感じる方には「ロック」や「水割り」もおすすめです。また夏には炭酸水で割る「ジンソーダ」、冬にはお湯割りで飲むスタイルもおすすめできます。
このほか以下のようなカクテルにもジンが使われます。クラフトジンを使ってカクテルを作ることもできるので、ぜひ試してみてください。
- ジントニック・・・ジンにトニックウォーターを注ぎ、ライムを入れて完成。
- マティーニ・・・ジンとベルモットを合わせて作るショートカクテル。
- ギムレット・・・ジンにライムジュース、シュガーシロップを入れてシェイクする。
- ジンフィズ・・・ジンにレモンジュース、砂糖を注ぎシェイクする。
- ネグローニ・・・ジン、カンパリ、スイートベルモットを同程度混ぜ合わせる。
- オレンジ・ブロッサム・・・ジンをオレンジジュースで割るカクテル。
クラフトジンやスピリッツはお酒買取査定へ
クラフトジンをはじめとするスピリッツには、基本的に賞味期限がありません。未開封のボトルはきちんと保管しておけば、半永久的に日持ちすると言われています。
もし未開封の状態で余っているものがあれば、お酒買取査定の利用もおすすめです。お酒買取査定なら、人気のクラフトジンなどをお得に現金化することができます。
特に近年はクラフトジンの人気が世界的に高まっているため、買取査定に出すチャンスです。人気銘柄や限定品などは特に高額買取に繋がりやすいです。
もし余っているお酒があるなら、ぜひ買取査定の利用を検討してみましょう。なお買取に出す際は、なるべく見た目を綺麗にしておき、化粧箱などがある場合は合わせて査定に出すようにしましょう。
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まとめ
ボタニカルを使い、豊かな香りを味わいを持つように作られた「ジン」。世界4大蒸留酒の一つであり、特に近年は“クラフトジン”が大きな注目を集めています。
イギリスが本場ですが、ここ最近は日本産のブランドも多くなってきています。クラフトジンの蒸溜所が増え、さまざまなスタイルの商品が登場しているのでぜひチェックしてみましょう。