ブルゴーニュ地方のグラン・クリュの一つである「エシェゾー」。世界のワインの中でも特に高額取引される銘柄の一つであり、その人気は日本にも広がっています。
エシェゾーはグラン・クリュの中でも面積の広い畑であるため、多くの生産者が手掛けていることでも知られます。生産者や区画の違いで味わいの差を楽しめるワインでもあります。
ここではそんなエシェゾーのワインを特集していきます。
「エシェゾーとはどんなワイン?」
「グラン・エシェゾーとの違いは?」
「エシェゾーの作り手が知りたい」
このように感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
エシェゾーはブルゴーニュ屈指のグランクリュ
エシェゾーとは
エシェゾーはフランス・ブルゴーニュでも屈指の人気と実力を誇るグラン・クリュ(特級畑)です。場所はコート・ド・ニュイ地区のフラジェ・エシェゾー村にあります。
フラジェ・エシェゾー村はヴォーヌ・ロマネ村に隣接する村であり、他にシャンボール・ミュジニー村、ヴージョ村といったブルゴーニュの銘醸地に囲まれています。周りにある村からもわかるように優れた土地であり、エシェゾーの他にはグラン・エシェゾーという特級畑も存在します。
ただし“フラジェ・エシェゾー”という村名は、ワイン界隈の中ではあまり有名ではありません。なぜならエシェゾーは特級畑ですが、フラジェ・エシェゾーという名のアペラシオン(原産地呼称)は存在しないためです。
エシェゾーの畑そのものはフラジェ・エシェゾー村内にありますが、エシェゾーという特級畑の条件に満たないものは「ヴォーヌ・ロマネ」の村名ワインや、「ブルゴーニュ・ルージュ」などとしてリリースされています。
このような複雑な背景を持つため、エシェゾーはヴォーヌ・ロマネ村のグラン・クリュと表現されることもあります。いずれにせよ優れたグラン・クリュであることには変わりなく、世界でもトップレベルの赤ワインが生産される畑となっています。
特級畑の中でも広い面積を誇る
エシェゾーの畑は約37ヘクタールほどあります。これはブルゴーニュ地方にあるグラン・クリュの中でも2番目に広いです。
そのため畑は多くの区画に分かれており、複数の生産者が存在しています。区画や作り手によって、同じエシェゾーというワインでも味わいには差が生まれます。
全体を見ると標高230〜300mの位置にある畑であり、斜面に広がる形で土壌が複雑です。石灰質と粘土が混ざった土壌がモザイク様に広がっていて、土壌の組成の違いがそれぞれのワインの味わいの違いに現れています。
ただし細かな違いはありますが、トータルで見るとたくましく、ふくよかなエレガンスを持つものが多いです。果実やスパイスの香り、バラやすみれのような華やかさ、そして熟成を経てキノコや革のようなニュアンスも発揮する様になると表現されています。
エシェゾーは深いルビーのような色合いをしたピノ・ノワール100%の赤ワインで、多くのワインラバーから愛される存在となっています。
グラン・エシェゾーとの違い
エシェゾーは隣接する畑「グラン・エシェゾー」としばしば比較されます。どちらもフラジェ・エシェゾー村にあるグラン・クリュであるという点は同じですが、そのスタイルには大きな差があります。
具体的にはエシェゾーのワインがエレガントな印象であるのに対し、グラン・エシェゾーは力強いスタイルのものが多い傾向にあります。なおグラン・エシェゾーと比較した場合、エシェゾーの畑はおよそ4倍の面積があり、生産者数が多いのも特徴に挙げられるでしょう。
中にはドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ(DRC)社のように、エシェゾーとグラン・エシェゾーをどちらも生産している作り手もいます。
なおエシェゾーは面積が広く生産者が多いぶん、作り手による違いが顕著に現れやすいです。これに対しグラン・エシェゾーは安定した著名なドメーヌが生産を行うことが多く、品質や味わいのブレが少なめです。
<エシェゾーの詳細情報>
- 産地:フランス ブルゴーニュ地方 コート・ド・ニュイ フラジェ・エシェゾー村
- 面積:約37ヘクタール
- 土壌:粘土、石灰、泥灰土など
- ワインのタイプ:赤ワイン
- ブドウ品種:ピノ・ノワール
エシェゾーの人気生産者!作り手によるスタイルは?
エシェゾーは、なんと80を超えるドメーヌによってワイン作りが行われています。ドメーヌによって所有する区画やスタイルが異なるので、ぜひ比較してみましょう。
ここからはエシェゾーの中でも特に有名で人気を集める生産者についてまとめていきます。
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティはDRCとも略されるブルゴーニュトップの作り手です。エシェゾーにおいても最大所有者であり、約4.6ヘクタールほどを所有しています。
DRCはエシェゾーの中でも最上級とされる区画「レ・プーライエール」を所有しています。厳しい剪定条件などを設けブドウ栽培を行っており、非常に質の高いワインが生み出されています。
なおDRC社は複数のグラン・クリュを所有していますが、数ある赤ワインの中でも親しみやすく飲みやすいとされるのがエシェゾーです。ロマネ・コンティやラターシュなどと比べると、若いうちから美味しく飲めるという特性があります。
ドメーヌ・モンジャール・ミニュレ
ドメーヌ・モンジャール・ミニュレは1620年からワイン作りを行ってきた名門です。モンジャール・ミュニュレやモンジャール・ミュヌレと表記されることもありますが全ておなじドメーヌです。
ドメーヌ・モンジャール・ミニュレの代表的な畑がエシェゾーです。DRCに次ぐ面積を所有していて、およそ2.6ヘクタールあります。
肉付きの良いワインが生まれる区画である「レ・トゥルー」およびエレガントなワインが生まれる「エシェゾー・デュ・デュス」という区画を所有しています。レ・トゥルーはアメリカ向け、エシェゾー・デュ・デュスは日本やフランス向けに展開されます。
ドメーヌ・グロ・フレール・エ・スール
ドメーヌ・グロ・フレール・エ・スールは、伝説の醸造家とされるジャン・グロ氏の次男であるベルナール氏が運営するドメーヌです。モダンで個性のあるワイン作りに定評があります。
ドメーヌ・グロ・フレール・エ・スールのエシェゾーは、上質なブドウのみを厳選して作られます。力強いタンニンによるストラクチャーに、エレガントさも併せ持つ素晴らしい仕上がりです。
ドメーヌ・エマニュエル・ルジェ
ドメーヌ・エマニュエル・ルジェは、アンリ・ジャイエ氏の甥に当たるエマニュエル・ルジェ氏のドメーヌです。真の後継者とされており、ブドウの本来の味わいを活かしたワインづくりを得意としています。
ドメーヌ・エマニュエル・ルジェのエシェゾーはしなやかで、豊富なミネラル感と果実味が印象的です。
ここ数年で評価が爆上がりしており、価格も何倍になっているという高価なワインです。
ドメーヌ・コカール・ロワゾン・フルーロ
ドメーヌ・コカール・ロワゾン・フルーロは、フラジェ・エシェゾー村で5世代にもわたり活躍してきたドメーヌです。ただしワインはヨーロッパの個人客に売られることなどが多く、ここ最近まで輸出されることがありませんでした。
ドメーヌ・コカール・ロワゾン・フルーロのワインが市場に出回る様になったのは、2010年ごろと非常に最近です。輸出市場に出回ってからすぐに注目を集めたほどの実力派でもあります。
近年はCLFと略されることもあり、日本ではまだあまり名前が浸透していませんがじわじわと人気が高まっています。透明感や躍動感を思わせるエシェゾーに仕上がっています。
ドメーヌ・ヴァンサン・ジラルダン
先日のワイン会で好評のヴァンサン ジラルダンのエシェゾー2008 2本ご予約頂きました。 pic.twitter.com/t9q9V6GJy2
— Mizumoto Akira (@sakewinecom) May 30, 2013
ヴァンサン・ジラルダンはドメーヌとしてもネゴシアン(卸売商人)としても活躍するワインの作り手です。質が高くもコスパの良いワイン作りに定評があります。
ヴァンサン・ジラルダンのエシェゾーは、ネゴシアン物としてリリースされています。2001年まではぶどうをDRC社から買い付けしていたため、DRCのエシェゾーと近い味わいを堪能できると話題になっています。
人気漫画『神の雫』にて取り上げられたことも話題となり、たちまち人気を集めました。今では完売が相次ぎ、入手の難しいエシェゾーの一つになっています。
エシェゾーの価格はいくら?数万円で手に入るものもあり
エシェゾーの価格は作り手によって大幅に変わります。
例えばトップのドメーヌとされるDRCのエシェゾーは、1本に30〜50万円近い価格が付けられています。とはいえロマネコンティやラターシュなど他のDRC社のワインが1本100万円以上するのに比べると、エシェゾーはグラン・クリュの中でも親しみやすい価格帯であることがわかります。
またドメーヌによっては数万円でエシェゾーを販売しているところもあります。5万円や10万円で購入できるボトルも多いので、特別な日に楽しみたい、ギフトに選びたいというシーンでも人気があります。
なおエシェゾーの価格帯は当たり年でも大きく変わってきます。エシェゾーを選ぶ際には、当たり年についてもぜひ注目してみましょう。
エシェゾーの当たり年には1990年、1996年、1998年、1999年、2003年、2005年、2009年、2010年、2015年、2019年などがあります。当たり年になるほど、高額で取引される傾向にあります。
エシェゾーの楽しみ方!4〜5年の熟成がおすすめ
4〜5年の熟成で複雑さが増す
エシェゾーのようなピノ・ノワールの赤ワインは、長期熟成向きと言われます。エシェゾーも4〜5年程度熟成させてから飲むほうが、味わいに複雑さや奥行きが生まれるのでおすすめです。
なお同じグラン・クリュワインでも、ロマネ・コンティやラ・ターシュなどに比べると熟成が早い傾向にあります。比較的若いうちから楽しめることは、エシェゾーの大きな魅力です。
当たり年のエシェゾーの場合は、10年以上の熟成でより深みが増すものもあります。長期熟成してコレクションに加えておきたいという方は、エシェゾーの中でもヴィンテージが良いものを選ぶのがおすすめです。
引き締まった赤み肉などを合わせて
エシェゾーはソフトなタンニンやまろやかさ、繊細さを持つエレガントな赤ワインです。合わせる料理は、肉料理の中でも引き締まった味わいのものがおすすめです。
馬刺しや北京ダックなどを合わせるスタイルも人気があります。またオレンジソースで味付けした鴨など、味わいに爽やかさがある肉料理などもおすすめです。
また熟成するとなめし革やトリュフのようなニュアンスが生まれるので、きのこ料理などに合わせるのもバランスが良いでしょう。作り手によるスタイルや熟成年数に合わせて、合う料理を選んでみると失敗しにくいです。
余ったエシェゾーはワイン買取査定に出そう
コレクションしていたけれど飲む予定がない、お店の在庫が余ってしまった、そんなエシェゾーのワインがあるなら「ワイン買取査定」の利用を検討してみましょう。
ワイン買取査定では、飲まないワインに価値をつけ現金に変えることができます。エシェゾーは長期熟成ができるワインなので、数年前のボトルなどにも高い価値がつくことが多いです。
ただしここで注意しておきたいのが、ひとことでエシェゾーといってもさまざまなワインが存在するという点です。エシェゾーには複数の生産者が存在していて、価格帯も数万円〜50万円越えと幅広いボトルがあります。
正しくエシェゾーの価値を理解してもらうためには、リサイクルショップやネットオークションなどではなくお酒買取専門店を利用するのがベストです。お酒を専門的に扱いショップのワイン買取査定なら、作り手やヴィンテージの違いを判断した上で、エシェゾーを高額買取してもらうことが可能です。
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まとめ
エシェゾーのワインはDRC社などを筆頭に有名な作り手のものが多く、世界でもトップレベルの赤ワインとして知られています。グラン・クリュの中では比較的早い段階から楽しめることや、作り手が多くさまざまなスタイルを堪能できる点が評価につながっています。
高額ワインではありますが、作り手によっては数万円で購入できるボトルも存在します。ブルゴーニュワインの魅力を知る上で、初心者の方にもワインラバーの方にも幅広くおすすめできるワインです。
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