ウイスキーの風味を長く楽しむためには、正しい保管方法を知っておくことが欠かせません。
「ウイスキーに賞味期限はあるの?」「どこに保管するのが最適?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
実は、保存環境によってウイスキーの香りや味わいは大きく変化します。温度変化やニオイ移り、紫外線など、ちょっとしたことが品質に影響を与えてしまうことも。
この記事では、未開封・開封後それぞれに適したウイスキーの保管方法から、避けるべきNG保存、長期保存のポイントまで徹底解説。
ウイスキーをもっと美味しく、大切に楽しむための保存のコツをわかりやすくご紹介します。
ウイスキーの賞味期限と保存期間
ウイスキーには賞味期限がない
ウイスキーはアルコールの中でも、特に長期保存に向いているお酒です。
ラベルやボトルを見てもわかるように、賞味期限の記載がなく、条件を満たせば10年以上、30年以上と昔のボトルでも飲めると言われています。
なぜならウイスキーの多くはアルコール度数40%以上と高く、殺菌力が高いからです。ジュースや果汁飲料のように腐ってしまうということが基本的にはなく、未開封であれば長期保存ができます。
またウイスキーはお酒の中でも「蒸留酒」に当てはまります。蒸留酒は醸造したお酒を蒸溜してアルコール度を高めたお酒のことであり、ウイスキーのほかブランデーや焼酎、スピリッツなどがこれに該当します。
これに対し醸造しかしていないワインや日本酒のようなお酒は、「醸造酒」と呼ばれます。
また醸造酒と蒸留酒の中間的存在である「混成酒」というアルコールも存在します。混成酒は糖分、薬草、果実などが加えられているお酒で、梅酒やリキュールなどが当てはまります。
- 醸造酒・・・穀類や果実を原料とし、それを発酵させて作るお酒。ビールやワイン、日本酒などが有名。
- 蒸留酒・・・醸造したお酒を蒸溜し、アルコール度数を高めたお酒。ウイスキー、ブランデーなど。
- 混成酒・・・醸造酒や蒸留酒に糖分・薬草・果実などを加えて作る。梅酒やリキュールなど。
蒸溜という工程を経ているウイスキーは、醸造酒や混成酒とは違い瓶内でアルコール発酵がさらに進んでいくことはありません。
そのため酒質が変化しにくく、飲み頃が長く続くとされています。
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保管方法が悪いと劣化するので注意
飲み頃が長く続くと言われるウイスキーですが、何をしても永久的に日持ちするという無敵のお酒ではないので注意しましょう。
保管や保存の方法・環境が悪いと、残念ながら酒質が劣化してしまいます。
劣悪な環境下で保管しておくと、目減りや変色などの変化が見られることがあります。見た目が変化しているということは当然味も変わっており、香りや味わいが悪くなっていることもあるでしょう。
いきなり腐ってしまうということは少ないですが、悪い環境で保管していることで「美味しく無くなってしまった」「香りが変わってしまった」という報告はよく見受けられています。
また状態が悪くなりすぎると、沈殿物が出てくるといった症状が見られる場合もあります。
特にレアな昔のウイスキーであるほど、その保管方法には気をつけておきたいところです。
せっかくのレアウイスキーの価値が下がってしまったということにならないよう、ウイスキーの適切な保管方法を知っておくことが大事です。
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ウイスキーは蒸留酒なので、基本的に賞味期限はない。
ただし保存状態が悪いと劣化することもあるので気を付ける。
未開封ウイスキーの保管方法
光(紫外線)に当てない
未開封のウイスキーは空気に触れにくいようになっているので、一気に質が変わってしまうということはありません。
しかし直射日光のような光(紫外線)に長く当ててしまうと、変色や目減りなどの症状が発生してしまうことがあるので気をつけましょう。
特にコレクションとして長く飾っておく場合は注意が必要です。強い光に当てないよう、冷暗所での保管を心がけておきましょう。
なおウイスキーの中には、箱付きのタイプのものが存在します。ウイスキーの化粧箱は光を遮断するのに役立つので、箱付きウイスキーを保管する場合は、ボトルを箱の中に入れたままにしておきましょう。
化粧箱がない時は新聞紙を巻き付けるのもおすすめです。
冷蔵庫など強い振動や温度の変化を避ける
ウイスキーは強い振動や極端な温度の変化にも弱いです。できるだけ静かに保管できる場所が好ましいです。
例えば冷蔵庫などは、開け閉めする機会が多く、振動や温度による刺激が増えてしまうので避けておきたいところです。
日頃はビールや日本酒を好んで飲むという方は、お酒を冷蔵庫で保管する習慣が多いかもしれません。しかしウイスキーの場合は、冷蔵庫よりも常温の静かな棚の方が保管に向いていることが多いです。
ニオイの強いもののそばに置かない
ウイスキーは香りの良さも魅力の一つです。しかしニオイの強いもののそばに置いていると、ニオイ移りしてしまい、せっかくの香りが損なわれてしまうことがあるので気をつけましょう。
石鹸や洗剤、香水など、清潔だと思われるものの中にもニオイの強いものは存在します。
わざわざ臭いものと一緒にウイスキーを保管する方は少ないと思いますが、意外といいニオイにも影響を受けてしまうので気をつけておいてください。
ボトルは横向きにしない
ウイスキーのボトルは立てて保管するのが基本です。ワインのように寝かせて保管するのはNGなので、日頃ワインを飲んでいるという方は特に注意が必要です。
年代物のウイスキーや高級ウイスキーの中には、コルク栓が採用されているものがあります。
特にコルク栓のウイスキーの場合、横に寝かせてしまうとコルクが劣化する原因となる場合があります。
未開封のウイスキーを保管する際は、直射日光や振動に気を付ける。
ニオイうつりのしにくい場所で、ボトルを立てて静かに保管するのがコツ。
開封後のウイスキーの保管方法
空気との接触をできるだけ避ける
開封後のウイスキーの場合は、上記の注意事項に加え「空気との接触」を避けることも意識しましょう。
なぜなら空気に触れることで酸化してしまったり、酒質が変化してしまったりすることがあるからです。
当たり前ですが飲んだ後には必ずキャップをしっかりと閉めるように心がけましょう。なお一度開けてしまったウイスキーは、どんなにしっかりと蓋をしても隙間から空気が入ることがあります。
変化を100%避けるということは無理なので、味が変わらないうちに飲んでしまうのも大事です。
パラフィルムや小瓶をうまく利用する
私はウイスキーの700ml瓶を買ったら、こういう小瓶に移して飲んで、無くなったらまた大瓶から移すという方法にしています。 そうすれば空気に触れる回数も面積も減るので、長く鮮度が保たれるという訳ですw pic.twitter.com/pp8PL7CsjE
— 零☆ ?×5済 (@rei_a6m2) February 8, 2016
ウイスキーのボトルは1本700mlや750mlのものが多く、ハイペースで飲んだとしても1本を開けるのに何日もかかります。
一気に飲めないボトルをうまく保管するためには、パラフィルムや小瓶などのアイテムを活用するのも一つのアイディアです。
パラフィルムはワインの保存によく用いられるアイテムで、伸びがよくキャップ周辺を密閉してくれるのが特徴です。開栓後のウイスキーのキャップにはパラフィルムを巻いておくことで、酸素が入り込むのを抑える効果が期待できます。
また内容量が減ってきたウイスキーは、小瓶に移し替えることで空気に触れる面積を減らすことができます。
少しの変化はポジティブに受け止めよう
開封後のウイスキーはどんなに工夫をしても、変化を完全に避けるというのは難しくなります。しかし変化が必ずしも悪いものであるとは限りません。
ウイスキーの中には、開栓後には刺激や苦味が強いけれど、時間を置くことでその印象が穏やかになるものもあります。
苦味が和らいだり、香りが柔らかくなることで、むしろ美味しいと感じるようなものもあるでしょう。
こうしたウイスキーの変化は、ポジティブに捉えるべきです。自分にとってベストな飲み頃を探してみるのも、ウイスキーの楽しみ方の一つとなるでしょう。
開封後のウイスキーは空気との接触に気を付ける。
少しの変化はポジティブに受け止めることも大事。
ウイスキーのNGな保存方法
ウイスキーを長く美味しく楽しむためには、正しい保管方法が不可欠です。せっかく手に入れたウイスキーも、保存状態が悪ければ風味や品質が損なわれてしまう可能性があります。
ここでは、やってはいけない「NGな保存方法」について具体的に解説します。
直射日光や高温での保存
ウイスキーはデリケートなお酒です。ボトルを直射日光の当たる場所や、気温が高くなる環境に置いておくと、風味の変化や劣化の原因になります。
特に紫外線はウイスキーの色や香りに悪影響を及ぼすため、窓際や照明の強い場所での保管は避けましょう。また、エアコンや暖房器具の近く、キッチン周りなど温度変化が激しい場所も不向きです。
なるべく温度が安定し、暗く涼しい場所に保管することが大切です。
不適切な保存容器
市販されているウイスキーの多くはガラス瓶に入っており、そのままでも十分保存性に優れています。しかし、保管方法を間違えると、せっかくのガラス瓶も逆効果になりかねません。
特に注意したいのがボトルを横にして保存すること。ワインと異なり、ウイスキーはアルコール度数が高く、長時間コルクに触れるとコルクを劣化させたり、風味に悪影響を与える可能性があります。
コルクが傷むと密閉性が落ち、酸化や揮発が進みやすくなります。
そのため、ウイスキーのボトルは必ず「立てて」保管するのが基本です。また、移し替え用のデキャンタや容器に保存する場合は、遮光性や密閉性に優れた容器を選びましょう。
安価なプラスチック製や密閉性の低い容器は避けたほうが無難です。
直射日光の当たる場所での保管はNG。
保存容器の種類などにも気をつけておく。
ウイスキーを長期間保管するためのヒント
ウイスキーを何年もかけてゆっくり楽しみたい方や、将来的な価値を見据えて保管している方も多いでしょう。そんな方にとって、「長期間でも品質を保てる保存環境」は非常に重要なポイントです。
ここでは、ウイスキーを長期保管する際に押さえておきたいポイントをご紹介します。
高価なウイスキーやコレクションの保存
ヴィンテージウイスキーや限定ボトルなど、高価なウイスキーを保有している方にとって、その価値を保つための保存環境は極めて重要です。
たとえ未開封であっても、直射日光や高温多湿の環境にさらされていれば、品質の低下やボトル・ラベルの劣化を招いてしまいます。
理想的なのは、光を遮断できる暗所で、温度が一定に保たれている場所。例えば、ワインセラーやウイスキー専用キャビネットなどがあれば最適です。
温度は15〜20度前後、湿度は50〜70%程度を目安にすると良いでしょう。
また、ラベルやパッケージの状態も価値に影響を与えるため、ホコリや汚れが付かないよう、保管時にはカバーや箱に入れておくのもおすすめです。
棚に飾りおしゃれにコレクションするのも人気
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ウイスキーをせっかく長期保存するなら、飾り棚にこだわるのもおすすめです。近頃はウイスキーブームとともに、ウイスキーをおしゃれにコレクションしておくという方も増えています。
専用の飾り棚を用意することで、外部からの衝撃や刺激、ニオイ移りなどを避けながらウイスキーをおしゃれに保管することができます。
コレクションケースや専用の棚、ラック、ワゴンなどに保管するのがトレンドです。
なお飾り棚やケースを選ぶ場合は、ウイスキーが転倒しないように注意しておきましょう。
できるだけ扉のあるものや支えのあるものなどをチョイスし、万が一の災害に備えておくことが大切です。
ウイスキーの価値保存のための投資保管方法
近年、ウイスキーは“飲むため”だけでなく“資産”として保有されることも増えており、ウイスキー投資に注目が集まっています。そんな中で失敗しがちなのが、「購入後の保管環境をおろそかにしてしまう」こと。
投資目的でウイスキーを保管する場合、特に注意すべきは「保存状態=価値」という点。温度や湿度が不安定な場所での保管は、コルクの劣化やラベルの変色につながり、査定や再販売時の評価に大きく影響します。
投資向けのボトルは、温度・湿度がコントロールできる専用保管庫の利用や、信頼できるウイスキー保管サービスを活用するのもひとつの手。
保存状態が記録された“証明書付き保管”などがある場合は、将来的なリセール時にも信頼性が高まります。
コレクションや投資用の高級ウイスキーは、特に保管状態に注意。
専用の棚やキャビネットを用意するのもおすすめ。
古いウイスキーを飲む前にはここをチェック
見た目が変化していないか確かめる
オールドボトルなどの古いウイスキーや開栓から時間が経過したウイスキーを飲む際は、まず状態を確かめるようにしましょう。
一番わかりやすいのは見た目の変化です。色が大幅に変色していないか、目減りや沈殿物などが見られないかを丁寧に確かめてみましょう。
ただし見た目に些細な変化があった場合でも、完全に腐っているとは言い切れません。見た目や味に変化があっても腐っておらず、実は飲めるというケースも多いので少しずつ確認してみましょう。
コルクの状態を確かめておく
コルク栓の古いウイスキーは、コルクの状態をチェックすることでも劣化状況を確認できます。コルクが崩れている、腐敗しているようなものは、中身のウイスキーが劣化している可能性が高いです。
些細な変色であれば飲めるケースが多いですが、一方でカビが生えているものなどは非常に危険なので、コルク部分が怪しいと感じたら飲まないようにしましょう。
また劣化によってコルクのニオイが移ってしまったり、隙間があいて溢れてしまったりというケースもあります。コルクの状態に不安を感じる時には、ウイスキーに悪影響が出る前に別の瓶に移し替えることも検討してみましょう。
香りに異変がないかどうか嗅いでみる
見た目で変化がわかりづらい時は、実際にグラスに注いでみて香りを確かめてみましょう。見た目に変化がなくとも、香りに変化が生じているケースがあります。
香りが若干変化したウイスキーでも、十分に飲むことは可能です。ただしカビ臭い、異常なニオイがするという時には飲むのを中止した方が良いでしょう。
中古品は信頼のおけるショップから買おう
古いウイスキーの場合、未開封であっても中身が劣化しているケースがあります。特に何年も前に発売されたオールドボトルを中古で買うという時は注意が必要です。
中古品、二次流通品として販売されているものを買う場合は、信頼のおけるショップを利用しましょう。
古いウイスキーは、飲む前に見た目や香りの変化がないかチェック。
オールドボトルなど中古品を買う場合は、信頼のおけるショップを選ぼう。
ウイスキーの保管・保存に関してよくある質問
保管に適した温度はどれくらい?
ウイスキーの保管に適しているのは室温10〜20度前後の場所です。暑すぎる部屋や、冷蔵庫など冷えすぎてしまう場所での保管は不向きなので気をつけましょう。
ちなみに湿度は60〜70度が理想とされています。
また部屋の中でも、熱を発する家電の近くには置かないように心がけましょう。電子レンジの上やストーブの近くにおいてしまうと、気付かないうちにウイスキーが温まり、劣化してしまうことがあります。
ガスを補填しておくのはあり?
ちょうど去年から始めた実験。 販売してる酒保存用に使えるものはどれが一番効果が高いのか? 左から ・何もなし ・プライベート プリザーブ ・パラフィルム やはりというか、一番蒸発しないのはパラフィルム pic.twitter.com/Qn6EeZbW6J
— りゅー (@RYU_NYC_P) September 2, 2017
ワインの保管にはよく「プライベート・プリザーブ」というガスが使用されます。ただしウイスキーの保存にガスを使うのは賛否両論あるので注意しましょう。
プライベート・プリザーブはお酒の表面にガスの層を作り、酸素になるべく触れないようにするという仕組みのアイテムです。ワインの保存には非常に人気のアイテムであり、ウイスキーの保存にも使えるとされています。
しかしその一方で、ガスを補填したら味が落ちた気がするという口コミもあります。
そもそもウイスキーはワインに比べ酸化しにくいともされているので、ガスを補填する作業は気休め程度にしかならないかもしれません。
ウイスキーにガスを補填する場合は、自己責任で行うようにしましょう。
風味が落ちたウイスキーの活用方法は?
香りや味が変化してしまったウイスキーも、活用方法はあります。そのまま飲んでも美味しくないと感じた場合は、カクテルにしたり、お菓子や料理の材料にしたりとアレンジを加えてみましょう。
ストレートや水割りでは飲みにくくなってしまったウイスキーも、ジュースやリキュールと混ぜることで飲みやすくなります。単純に炭酸を混ぜてハイボールにするだけでも、オフフレーバーが和らぎ飲みやすくなることがあります。
【関連リンク】自宅で作れるウイスキーカクテル一覧!初心者向けから本格派まで
お菓子の場合は焼き菓子に数滴垂らしたり、チョコに混ぜたりするだけで一気に大人の味わいになります。
料理に使う場合はウイスキーで煮込んだり、フランベしたりといった工夫もおすすめです。
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まとめ
ウイスキーは保存方法ひとつで、味わいや価値が大きく変わってしまう繊細なお酒です。
未開封であっても直射日光や高温多湿な環境はNG。開封後は酸化を防ぐための工夫も必要です。
保管の基本は、「暗所・常温・静かな場所で立てて保管」。特にコルク栓のボトルや高価なウイスキーは、温度や湿度に気を配り、状態をしっかりキープしてあげましょう。
正しく保管すれば、ウイスキーは長期間楽しむことができます。
手元の一本を最高の状態で味わうためにも、今日からぜひ実践してみてください。
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