ヨーロッパでは広く知られる老舗コニャック、「ランディ(LANDY)」をご存じですか?
フランス・グランド・シャンパーニュ地区のブドウをメインに使用し、伝統製法で丁寧に造られるランディは、コニャックブランデーの中でも上質な味わいと個性的なボトルデザインで注目を集めています。
特に“帆船”をモチーフにした「フェイマスシップ」、女性のボディを模した「デジール」などは、コレクターからの評価も高く、国内外で高値で取引されることも。
日本ではまだ知名度が高いとはいえないものの、ランディの柔らかく奥行きのある味わいは、日本人の味覚にもぴったりマッチします。
本記事では、そんなランディブランデーの魅力を、種類・製法・味わい・価格・購入方法・飲み方まで徹底解説。
「どんなブランデー?」「どこで買える?」「高いの?」「美味しい飲み方は?」という疑問を一気に解消します。
ランディの魅力にじっくり触れて、自分にぴったりの1本を見つけてみてください。
ランディとは?|歴史の長いコニャックブランデー
ランディとは
ランディ(LANDY)はフランス・コニャック地方にて作られるコニャックブランデーの銘柄です。
コニャックはブドウを原料として作られるブランデーです。ブランデーの中でもコニャック地方で作られるものだけが、コニャックの名を名乗ることができます。
コニャックは熟成年数や製法、使われるブドウなどに厳しい制限があり、ルールを守ったものしかコニャックと呼ばれません。これらのルールを守って作られるコニャック・ランディは、ブランデーの中でも高い品質を持つのが特徴です。
ランディのコニャックはコニャック地方でも有数のぶどうの名産地であるグランド・シャンパーニュ地方で作られているぶどうを使用して作られています。熟成期間を長く取っているのも特徴であり、出来上がるコニャックは香りが豊かで味わい深いものとなっています。
深みを持った甘い味わいに、スパイシーなフィニッシュが印象的なランディのコニャック。砂糖漬けのフルーツやリコリスのような贅沢な香りも特徴で、飲む人を魅了してやまない存在です。
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コニャックの中でも最古の歴史を誇る
ランディを作っているのはコニャック・フェラン社です。この会社はコニャック地区でもっとも古い歴史を持つワイナリー「Ferrand」と、200年以上の歴史を持つ蒸溜所「Logis d'Angneac」の協力によって1989年に誕生しました。
近年はヨーロッパだけでなく、特にアメリカ国内で高い評価を受けていることで知られます。数多くの賞も受賞しており、その実力は折り紙つきとなっています。
サンフランシスコにて2010年に行われたコンクールでは、ランディのVSOPが見事に受賞。その翌年にはフェイマスシップ・コレクションと呼ばれるボトルも受賞をしていて、世界にもその名前が広がっています。
そんなランディですが、味わいだけでなくボトルの美しさにも定評があることで知られています。帆船をモチーフにしたデザインボトルや、女性のボディを模ったボトルなどが人気で、インテリアやコレクション需要も高いコニャックとして評判を集めています。
ランディのブランデー製造方法|ブドウ品種や蒸留の特徴は?
ランディの主な原料
ランディのブランデーは、フランス・コニャック地方の中でも特に評価の高い「グランド・シャンパーニュ地区」で収穫されたブドウを主な原料としています。この地域は、石灰質の土壌と穏やかな気候により、ブランデーの蒸留に理想的なブドウが育つことで知られています。
使用されるブドウの多くは「ユニ・ブラン(Ugni Blanc)」という品種で、酸味と爽やかさを併せ持ち、蒸留後の熟成に適した性質を持っています。この品種は、雑味が少なく香り高い原酒を生むことから、高品質なコニャック作りには欠かせない存在です。
ランディは、こうした選び抜かれたブドウを使用することで、豊かな香りと奥深い味わいを実現しています。
ランディの製造過程
ランディのブランデーは、伝統的な製法に忠実に、細部にまでこだわって造られています。
まず、収穫されたブドウは新鮮なうちに圧搾され、自然酵母によって発酵されます。ワインとして完成したのち、伝統的な「アランビック」と呼ばれる銅製のポットスチルを使い、二度にわたって蒸留されます。
この2回の蒸留により、芳醇で雑味の少ない原酒が完成します。
その後、蒸留された原酒はフレンチオークの樽で長期間熟成されます。熟成期間中、木の成分がゆっくりと溶け出し、まろやかで奥行きのある風味が形成されていきます。
また、樽の種類や熟成環境にもこだわることで、ランディならではの繊細な香りと深いコクが引き出されます。
このように、選び抜かれた原料と伝統的な技術によって、ランディのブランデーは他にはない高品質な味わいに仕上がっているのです。
フェイマスシップで有名|ラインナップは全部で12種類
日本丸など帆船をモチーフにしたデザインボトル
ランディの代表シリーズといえば、「フェイマスシップ コレクション」のボトルは外せません。こちらは25年以上熟成したという希少なコニャックの原酒を、ガラス細工のデキャンタに詰めたという非常に美しいお酒です。
ボトルの中には、大型帆船を模したガラス細工が入っています。ひとつひとつを職人が手作業で創り上げるという繊細なものであり、ボトルそのものに高い価値が認められています。
なおランディ フェイマスシップには、全部で12種類のボトルがあります。
- 日本丸
- サンタマリア号
- セントルイス号
- ゴールデンハイン号
- メイフラワー号
- HMSヴィクトリー号
- サンマーチン号
- ヴァイキングロングシップ号
- レッドライオン号
- ソプリン・オブ・ザ・シー号
- プリンスロイヤル号
- ニッポンチャレンジ号
一覧を見てわかるように、日本にちなんだ名前のコニャックが2種類もあります。デザインの帆船も、確かに古い木造に帆がたくさんある形の船となっています。
また、栓の部分には海賊のハットのような黒い布がつけられており、まさに海賊船のような帆船のイメージにもぴったりです。
首が細くて長いランディ フェイマスシップは、どのシリーズも角度をあまりつけずに傾けてグラスに注ぐと入れやすくなります。
普通のブランデーのようにボトルを傾けて入れようとすると、ドボドボと言うような注ぎ方になり、入れづらい上に跳ねてしまうので注ぐ際には注意が必要です。
ランディ フェイマスシップの味わい
ランディ フェイマスシップは香ばしいナッツのような香りがし、続いてバニラのような濃厚な甘い香りが口の中に広がります。
見た目は濃い琥珀色ですが味わいは割とさっぱりとしており、オレンジピールやドライベリーのような優しい甘みがランディ フェイマスシップの全体的な銘柄の特徴です。
飲む際には、ストレートで飲んでも飲みやすくてランディ本来の味わいを楽しむことができます。
さらに、ランディのようなさっぱりとした甘味が特徴のコニャックの場合は、マリブやココナッツ系の甘味の強いリキュールとバッティングしても飲みやすくて旨味を引き出すことができます。
水割りなどにすると、アルコールは優しくなりますので飲みやすさはありますが、風味が薄れてしまう可能性があります。
ですので、割りたい場合には炭酸で割るハイボールや果汁割りなどをすることをおすすめします。
魔法のランプを模した陶器ボトル|ゴールドなどカラバリ豊富
ゴールドをはじめとするランプ型ボトル
ボトルデザインにかなりのこだわりを持ってコニャック作りをしてあるランディ。魔法のランプをモチーフにした陶器ボトルも、そのデザインボトルの中のひとつです。
このシリーズにはゴールドをはじめ、さまざまなカラーが存在しています。金色に輝くゴールドのボトルには、赤色でランディの文字が入っているのを確認できます。
またゴールドの他、ブラックやブルーといった色展開があります。このように色展開が豊富にあるシリーズは、「全色揃えておきたい」というコレクター需要があるため中古品でも買い手が多くいる印象です。
価格はボトルのカラーやボトルの状態によって変化しますが、高いものなら1つで数万円することもあります。傷のないボトルや箱ありのボトルは特に高値で取引される傾向にあります。
ランディ ランプ型 陶器ボトルの味わい
凝ったデザインのボトルからもわかるように、魔法のランプを模したランディは高貴で贅沢な香りが印象的です。
味わいはフルーティでドライマンゴーやラズベリーなどの甘酸っぱいフルーツの風味が口いっぱいに広がります。
フィニッシュに感じられるスモーキーな味わいは熟成木の香りならではのものです。飲み方としてはロックが一番美味しさを感じられるオススメの飲み方です。
また、お酒が好きな方はラムやウォッカなどのようなスピリッツとバッティングしてもバリエーション豊かな味わいが楽しめます。
味わいが濃いコニャックですので、もしもリキュールなどと合わせて飲む場合にはさっぱりめのものと合わせて飲むとしつこさもなく飲むことができるでしょう。
ランディ・デジール|女性のボディを模した魅惑的なボトル
“欲望”の名を持つ魅惑的なコニャック
ランディの中には、女性のボディを模したようなボトルも存在しています。こちらは「ランディ デジール」と呼ばれるシリーズで、タイトなドレスに真っ赤なキラーハットを被ったようなデザインです。
デジールはフランス語で“欲望”という意味を持つ言葉です。官能的とも言えるこのボトルは、味覚・視覚の両方で楽しめるような存在です。
ランディ デジールのシリーズには、ドレスの色でさまざまなタイプが存在します。ホワイト・ピンク・レッド・イエロー・ブルー・ブラック・ゴールドといったカラーのほか、パンサー柄や豹柄などのドレスのものも存在しています。
また流通量は少ないですが、ホルターネックのようなデザインのドレスや、上下セパレートになった洋服のタイプも存在しています。非常に映える見た目は「ボディコンボトル」とも呼ばれており、女性人気や夜の街でも人気が高いシリーズとなっています。
ランディ デジールの味わい
ランディ・デジール 瓶の形はあれだけどとっても美味しいコニャック pic.twitter.com/K6aB3HQqUl
— たべ (@th_tmm) July 10, 2015
ランディ デジールは、バニラのようなエレガントな香りが特徴です。口に含むと甘さだけでなく、シトラスやプルーンのようなフルーティーなニュアンスも堪能できます。
刺激的な見た目とは反して飲み心地は柔らかく、「飲みやすい」といった感想も多く見受けられています。コニャック初心者や女性ウケも良い味わいなので、ギフトやプレゼントにもおすすめです。
NUMERO(NO.1)|ナンバーワンの意味を持つXOブランデー
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XOランクの最高級コニャック
NUMERO1と名付けられたこのお酒は、ナンバーワンという意味を持ちます。XOランクのコニャックで、ランディの中でも非常に高い品質を誇ります。
2009年開催された国際スピリッツコンクールでも金賞を獲得した実力派のコニャックで、見た目も味わいも格別です。オーク樽による熟成が生み出すマホガニーカラーが、高級感を漂わせています。
なお流通しているボトルの中には、箱付きのものも存在しています。箱付きであるものは特に価値が高い傾向にあります。
ランディ XO NUMERO(NO.1)の味わい
ランディ XOは蜂蜜、ドライフラワーといったエレガントな香りが印象的です。ランディのコニャックの特徴であるプルーン、リコリスといった味の中に、砂糖漬けのフルーツやサンダルウッドなどの複雑さが絡み合います。
しなやかで深いフィニッシュは、どことなくスパイシーな印象も漂わせます。
ランディの価格帯と購入方法|高級ブランデーは数万円超えも
ランディーの価格帯
ブランデーの価格は、熟成期間やグレードによって大きく異なります。ランディブランデーも例外ではなく、ブランデーそのものの品質に加え、ボトルデザインの人気度や市場での希少性が価格に大きく影響します。
特に人気を集めているのが、帆船をモチーフにした「ランディシップ」シリーズ。中でも「HMSビクトリー号」「日本丸」などはコレクターからの評価も高く、現在は4〜5万円前後で取引されることが多くなっています。
希少価値のあるボトルは年々入手が難しくなっており、中古市場ではプレミア価格がつくこともあります。
一方で、「ランディ デジール」などの比較的入手しやすいボトルであれば、1万円前後で購入できるケースも見られます。ただし、こうした価格帯の製品でも新品の流通は限られており、中古品や並行輸入品としての販売が中心です。
そのため、購入の際はボトルの保存状態や正規品であるかどうかをしっかり確認することが大切です。
また上記の価格は、あくまでもボトルを購入する場合の価格になるので注意しましょう。レストランやバー、クラブなどでランディを注文する場合は、ボトル1本で10万円を超えるようなケースもあります。
ランディーの購入場所
ランディのブランデーは、国内では流通量が多いとは言えず、どこでも手に入るわけではありません。そのため、購入を検討する際は、ブランデーやコニャックに強い専門店や信頼できるショップを選ぶのが得策です。
実店舗であれば、品揃えに定評のある高級酒専門店や一部の大型酒販店で取り扱いがある場合がありますが、在庫は限られていることが多いため、事前の問い合わせがおすすめです。
一方、オンラインショップではランディの各ボトルが流通しているケースも多く、Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングなどの大手ECモールをはじめ、輸入酒専門のオンラインストアでも購入が可能です。価格比較やレビューの確認ができる点も、オンライン購入の魅力です。
さらにランディはその独特な飾りボトルのデザイン性からコレクター人気も高く、メルカリやヤフオクといったフリマアプリやオークションサイトでも頻繁に出品されています。ただし中古品や未開封品など、幅広い選択肢がある一方で、商品の状態や真贋、保存状況には注意が必要です。
確実に正規品を購入したい場合は、信頼できる販売元からの購入を心がけましょう。
ランディはどう楽しむ?|ブランデーの飲み方とペアリング

おすすめの飲み方
ランディブランデーは、その芳醇な香りと奥深い味わいをじっくり堪能できるよう、まずはストレートで楽しむのが基本とされています。
室温でゆっくりと香りが立ちのぼる様子を感じながら、スワリングして香りを楽しんだあと、少しずつ口に含むのがおすすめです。
もう少しライトな口当たりを好む方には、ロックや少量の水で割る「加水」も選択肢のひとつ。氷や水を加えることで香りの変化を感じられ、また違った表情を見せてくれます。
また、ランディの一部ボトルはデザイン性の高さからギフト用途でも選ばれるため、特別なカクテルやアフターディナードリンクとして楽しむシーンでも映える存在です。香りを活かしたクラシックカクテルに取り入れることで、贅沢なひとときを演出できます。
おすすめのペアリング
ランディブランデーの芳醇な風味には、味わいの濃い食材やスイーツとのペアリングがよく合います。とくにおすすめなのが、熟成チーズやダークチョコレート。
チーズの塩気やチョコレートのビターさが、ブランデーの甘みや樽香と絶妙にマッチし、お互いの味を引き立てます。
その他にも、ナッツ類、ドライフルーツ、フォアグラなどの濃厚な前菜系との相性も抜群です。
デザートタイムに合わせれば、大人の贅沢なひとときをより一層特別なものにしてくれるでしょう。
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まとめ
伝統製法と美しいボトルデザイン、そして確かな味わい――。
ランディブランデーは、単なる「お酒」ではなく、見る人を魅了し、飲む人の心を満たす“芸術品”のような存在です。
特にコレクション性の高い「フェイマスシップ」シリーズや「デジール」のような個性豊かなボトルは、インテリアとしても存在感を放ち、贈り物や特別なシーンにも最適。
熟成された味わいもまた一級品で、ストレートでもロックでも、ペアリングでも楽しめる多彩な表情を持っています。
入手がやや難しい銘柄ではありますが、それだけに“出会えた時の感動”はひとしお。
ブランデー愛好家はもちろん、初めてコニャックに触れる方にもおすすめできるブランドです。
この機会に、ぜひ「ランディ」という名の名門ブランデーを味わってみてはいかがでしょうか。